JP5369906B2 - 放射線像変換パネル、及び放射線像検出装置 - Google Patents

放射線像変換パネル、及び放射線像検出装置 Download PDF

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Description

本発明は放射線像変換パネル、及び該放射線像変換パネルを用いた放射線像検出装置に関する。
従来、X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。特に増感紙−フィルム系による放射線画像は、長い歴史の中で高感度化と高画質化が図られた結果、高い信頼性と優れたコストパフォーマンスを併せ持った撮像システムとして、今なお、世界中の医療現場で用いられている。しかしながら、これら画像情報はいわゆるアナログ画像情報であって、近年発展を続けているデジタル画像情報のような、自由な画像処理や瞬時の電送ができない。
そして、近年ではコンピューテッドラジオグラフィ(computed radiography:CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPD)等に代表されるデジタル方式の放射線像検出装置が登場している。これらは、デジタルの放射線画像が直接得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直接表示することが可能なので、必ずしも写真フィルム上への画像形成が必要なものではない。その結果、これらのデジタル方式のX線画像検出装置は、銀塩写真方式による画像形成の必要性を低減させ、病院や診療所での診断作業の利便性を大幅に向上させている。
X線画像のデジタル技術の一つとして、コンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)が現在医療現場で受け入れられている。しかしながら、鮮鋭性が十分でなく空間分解能も不十分であり、スクリーン・フィルムシステムの画質レベルには到達していない。そして、更に新たなデジタルX線画像技術として、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた平板X線検出装置(FPD)が開発されている。
放射線を可視光に変換するために、放射線により発光する特性を有するX線蛍光体で作られたシンチレータパネルが使用されるが、低線量の撮影においてのSN比を向上するためには、発光効率の高いシンチレータパネルを使用することが必要になってくる。一般にシンチレータパネルの発光効率は、シンチレータ層(蛍光体層)の厚さ、蛍光体のX線吸収係数によって決まるが、蛍光体層の厚さは厚くすればするほど、蛍光体層内での発光光の散乱が発生し鮮鋭性は低下する。そのため、画質に必要な鮮鋭性を決めると膜厚が決定する。
中でも、ヨウ化セシウム(CsI)はX線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であった。
しかしながら、CsIのみでは発光効率が低いために、例えば、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものを、蒸着を用いて基板上にナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)として堆積、また近年ではCsIとヨウ化タリウム(TlI)を任意のモル比で混合したしたものを、蒸着を用いて基板上にタリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)として堆積したものに、後工程としてアニールを行うことで可視変換効率を向上させ、X線蛍光体として使用している。
また、他の光出力を増大する手段としては、シンチレータを形成する基板を反射性とする方法(例えば、特許文献1参照)、基板上に反射層を設ける方法(例えば、特許文献2参照)、基板上に設けられた反射性金属薄膜と、金属薄膜を覆う透明有機膜上にシンチレータを形成する方法(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
また、シンチレータパネルを平面受光素子面上に配置する方法があるが、生産効率が悪く、シンチレータパネルと平面受光素子面での鮮鋭性の劣化は避けられない(例えば、特許文献4及び5参照)。
従来、気相法によるシンチレータの製造方法としては、アルミやアモルファスカーボンなど剛直な基板上に蛍光体層を形成し、その上にシンチレータの表面全体を保護層(保護膜)で被覆させることが一般的である(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、自由に曲げることのできないこれらの基板上に蛍光体層を形成した場合、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、フラットパネルディテクタの受光面内で均一な画質特性が得られないという欠点がある。この問題は、近年のフラットパネルディテクタの大型化に伴い深刻化してきている。
また、基板と反射層(金属薄膜)の間に樹脂層を存在させ、接着性、腐食性を改善する技術が知られている(例えば、特許文献7参照)。
更に蛍光体層の基板に対する接着力を、蛍光体層の破断強度より高くして、外部衝撃性を改良する技術が知られている(例えば、特許文献8参照)。
いずれの技術も、シンチレータパネルを光電変換素子アレイ上に密着させた放射線像検出装置における熱による両者のズレの問題を解決するには到っていない。
特公平7−21560号公報 特公平1−240887号公報 特開2000−356679号公報 特開平5−312961号公報 特開平6−331749号公報 特許第3566926号公報 特許第3987438号公報 特開2008−203252号公報
本発明の目的は、温度変動による画像欠陥、画像ムラの少ない放射線像検出装置、更にはその為の放射線像変換パネルを提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
1.2次元的に配列された光電変換素子アレイ上に放射線を光に変換する放射線像変換パネルを密着させてなる放射線像検出装置において、該放射線像変換パネルが基板の上に反射層、下引き層、蛍光体層を有しており、該放射線像変換パネルの熱膨張係数が20ppm/℃以下であり、且つ該光電変換素子アレイの放射線像変換パネル密着面の熱膨張係数と放射線像変換パネルの光電変換素子アレイ密着面の熱膨張係数の差が20ppm/℃以下であることを特徴とする放射線像検出装置。
2.上記熱膨張係数の差が10ppm/℃以下であることを特徴とする前記1に記載の放射線像検出装置。
3.前記1または2に記載の放射線像検出装置における放射線像変換パネルにおいて、基板の上に反射層、下引き層、蛍光体層を有しており、該蛍光体層が気相堆積により形成されており、該蛍光体層と該基板との距離が10μm未満であることを特徴とする放射線像変換パネル。
4.前記放射線像変換パネルが基板より熱膨張係数の低い剛性板に固定されていることを特徴とする前記3に記載の放射線像変換パネル。
5.前記基板の熱膨張係数が0.1ppm/℃以上25ppm/℃以下であることを特徴とする前記3または4に記載の放射線像変換パネル。
6.前記剛性板の熱膨張係数が0.1ppm/℃以上10ppm/℃以下であることを特徴とする前記4または5に記載の放射線像変換パネル。
7.前記基板が可撓性を有する基板であることを特徴とする前記3〜6のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
8.前記基板が可撓性を有する基板がポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドのいずれかであることを特徴とする前記7に記載の放射線像変換パネル。
9.前記可撓性を有する基板が液晶ポリマーであることを特徴とする前記7に記載の放射線像変換パネル。
10.前記蛍光体層が輝尽性蛍光体を含むことを特徴とする前記3〜9のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル
11.前記蛍光体層がCsIを母体とする蛍光体を含むことを特徴とする前記3〜9のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
本発明により、温度変動による画像欠陥、画像ムラの少ない放射線像検出装置、更にはその為の放射線像変換パネルを提供することができた。
本発明の放射線像変換パネルの概略構成を示す断面図である。 本発明の放射線像変換パネルにおける蛍光体層作製の蒸着装置の模式図である。 本発明の放射線像検出装置の概略構成を示す一部破断斜視図である。
以下、本発明について詳述する。
本発明の放射線像検出装置は、2次元的に配列された光電変換素子アレイ上に放射線を光に変換する放射線像変換パネルを密着させてなる放射線像検出装置において、該放射線像変換パネルが基板の上に反射層、下引き層、蛍光体層を有しており、該放射線像変換パネルの熱膨張係数が20ppm/℃以下であり、且つ該光電変換素子アレイの放射線像変換パネル密着面の熱膨張係数と放射線像変換パネルの光電変換素子アレイ密着面の熱膨張係数の差が20ppm/℃以下であることを特徴とする。この熱膨張係数の差は10ppm/℃以下であることがより好ましく、3ppm/℃以下、0ppm/℃以上であることが最も好ましい。
また、本発明の放射線像変換パネルは、基板の上に反射層、下引き層、蛍光体層を有し、基板側に基板より熱膨張係数の低い剛性板で固定されていることが好ましい。
光電変換素子アレイは熱膨張係数の小さいガラスを使うことが一般的である。しかし、放射線像変換パネルは様々な基板を使用することができる。この時、この2つの部材の熱膨張係数差を小さく設計しない場合は、使用中の熱変動や衝撃によりズレを発生させることがある。前記放射線像検出装置では、光電変換素子アレイ、放射線像変換パネル各々のムラや欠陥を撮影前に補正により信号を均一化する。しかし、熱変動や衝撃によるズレにより、補正の位置情報がズレ、元々のムラや欠陥がより強調されたものとして画像上にムラや欠陥を発生させ、診断に支障をきたすことがわかってきた。
基板より熱膨張係数の低い剛性板で固定することによって、光電変換素子アレイと放射線像変換パネルの熱膨張係数を近づけることで、2つの部材の密着性を増し、ズレや欠陥の増加のない放射線像検出装置を得ることができる。
そして、基板の熱膨張係数が0.1ppm/℃以上25ppm/℃以下で、剛性板の熱膨張係数が0.1ppm/℃以上10ppm/℃以下であることが好ましい。また、本発明においては、放射線像変換パネルの熱膨張係数は20ppm/℃以下である。なお、下限熱膨張係数は0ppm/℃である。
更に、本発明の放射線像変換パネルにおいては、蛍光体層と基板との距離が10μm未満であることが好ましい。この距離の下限としては1μmである。ここで、蛍光体層と基板との距離とは蛍光体層と基板との最短距離であり、具体的には蛍光体層の基板側の最表面と、基板の蛍光体側の最表面との距離を意味する。
このような距離にすることにより、蛍光体や基板の熱膨張を押さえ、放射線像変換パネルの熱膨張を光電変換素子アレイに近づけることができる。加えて剛性板を用いるか、基板として液晶ポリマーを用いることである。これによって放射線像変換パネルの熱膨張係数を20ppm/℃以下とすることができる。
以上のようにして、温度変動による画像欠陥、画像ムラの少ない放射線像検出装置を作製することができた。
(放射線像検出装置の構成)
本発明の放射線像検出装置は、放射線を光に変換する蛍光体層を基板上に有する放射線像変換パネルを備えていることを特徴とするが、当該蛍光体層の外に、目的に応じて、後述するような各種機能層を設けた構成とすることが好ましい。
また、本発明の放射線像検出装置は、第1の基板上に反射層等の機能層を介して気相堆積法により蛍光体層を設けてなる放射線像変換パネルに、第2の基板上にフォトセンサとTFT(Thin Film Transistor)またはCCD(Charge Coupled Devices)からなる画素を2次元状に配置した光電変換素子部(「平面受光素子」)を設けてなる光電変換素子アレイを接着あるいは密着させることで放射線画像変換パネルとすることが好ましい。なお、光電変換素子アレイは放射線像変換パネルの蛍光体層側と接着あるいは密着している。
以下、典型的例として、主に放射線像変換パネルを形成する場合の各種構成層及び構成要素等について説明する。
(放射線像変換パネルの構成)
図1は本発明の放射線像変換パネルの概略構成を示す断面図である。
基板4に、例えば、アルミのスパッタで反射層13を設け、その上に、例えば、塗布によって下引き層14を形成する。この下引き層まで設けた基板を図2に示す蒸着装置に取り付け、蛍光体層15を形成する。次に、基板側に接着剤によって、ガラス等の剛性板11を接着し、最後に保護層16を設けて、本発明の放射線像変換パネル10が作製される。
本発明の放射線像変換パネルは、高分子フィルム基板上に柱状結晶からなる蛍光体層を設けて成る放射線像変換パネルが好ましく、基板と蛍光体層の間に下引き層を有する態様がより好ましい。また、基板上に反射層を設け、反射層、下引き層、及び蛍光体層の構成であってもよい。以下、各構成層及び構成要素等について説明する。
(蛍光体層)
本発明に係る蛍光体層は、柱状結晶の輝尽性蛍光体からなる蛍光体層であることが好ましい。蛍光体層を形成する材料としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができるが、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)及び酸硫化ガドリウム(GdS)が好ましい。
但し、CsIまたはGdSのみでは発光効率が低いために、各種の賦活剤が添加される。例えば、特公昭54−35060号公報の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば、特開2001−59899号公報に開示されているようなCsIを蒸着で、タリウム(Tl)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質を含有するCsIが好ましい。本発明においては、特にタリウム(Tl)、ユウロピウム(Eu)が好ましい。更にタリウム(Tl)が好ましい。
なお、本発明においては、特に1種類以上のタリウム化合物を含む添加剤とヨウ化セシウムとを原材料とすることが好ましい。即ち、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長をもつことから好ましい。
本発明に係る1種類以上のタリウム化合物を含有する添加剤のタリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。
本発明において、好ましいタリウム化合物は、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、またはフッ化タリウム(TlF、TlF)等である。
また、本発明に係るタリウム化合物の融点は、400〜700℃の範囲内にあることが好ましい。700℃以内を超えると、柱状結晶内での添加剤が不均一に存在してしまい、発光効率が低下する。なお、本発明での融点とは、常温常圧下における融点である。
本発明に係る蛍光体層において、当該添加剤の含有量は目的性能等に応じて、最適量にすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して、0.001〜50mol%、更に0.1〜10.0mol%であることが好ましい。
ここで、ヨウ化セシウムに対し、添加剤が0.001mol%以上であるとヨウ化セシウム単独使用で得られる発光輝度の向上がみられ、目的とする発光輝度を得る点で好ましい。また、50mol%以下であるとヨウ化セシウムの性質・機能を保持することができて好ましい。GdS蛍光体にはTbを賦活することが好ましい。
なお、蛍光体層の厚さは100〜800μmであることが好ましく、120〜700μmであることが輝度と鮮鋭性の特性をバランスよく得られる点からより好ましい。
(反射層)
本発明においては、高分子基板上には反射層を設けることが好ましい、蛍光体から発した光を反射して、光の取り出し効率を高めるためのものである。当該反射層は、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。特に、上記の元素からなる金属薄膜、例えば、Ag膜、Al膜などを用いることが好ましい。また、このような金属薄膜を2層以上形成するようにしてもよい。
金属薄膜を2層以上とする場合は、下層をNiもしくはCr、あるいはその両方を含む層とすることが基板との接着性を向上させる点から好ましい。また、金属薄膜上にSiO、TiO等の金属酸化物からなる層をこの順に設けて更に反射率を向上させてもよい。
なお、反射層の厚さは0.005〜0.3μm、より好ましくは0.01〜0.2μmであることが、発光光取り出し効率の観点から好ましい。
(下引き層)
本発明においては、基板と蛍光体層の間、または反射層と蛍光体層の間に膜付の観点から、下引き層を設けることが好ましい。当該下引き層は、高分子結合材、分散剤等を含有することが好ましい。なお、下引き層の厚さは0.5〜4μmが好ましい、4μm以下とすることで下引き層内での光散乱が小さくなり鮮鋭性が良化する。以下、下引き層の構成要素について説明する。
〈高分子結合材〉
本発明に係る下引き層は、溶剤に溶解または分散した高分子結合材を塗布、乾燥して形成することが好ましい。
高分子結合材としては、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。
本発明に係る高分子結合材としては、特に蛍光体層との密着の点で、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースなどが好ましい。また、ガラス転位温度(Tg)が30〜100℃のポリマーであることが、蒸着結晶と基板との膜付の点で好ましい。この観点からは、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。
下引き層の調製に用いることができる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
なお、本発明に係る下引き層には、蛍光体が発光する光の散乱の防止し、鮮鋭性等を向上させるために顔料や染料を含有させてもよい。
(保護層)
本発明に係る保護層は、蛍光体層の保護を主眼とするものである。即ち、ヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを主眼とする。
当該保護層は種々の材料を用いて形成することができる。例えば、CVD法によりポリパラキシリレン膜を形成する。即ち、蛍光体(シンチレータ)及び基板の表面全体にポリパラキシリレン膜を形成し、保護層とすることができる。
また、別の態様の保護層として、蛍光体層上に高分子フィルムを設けることもできる。なお、高分子フィルムの材料としては、後述する基板材料としての高分子フィルムと同様のフィルムを用いることができる。
上記高分子フィルムの厚さは、空隙部の形成性、蛍光体層の保護性、鮮鋭性、防湿性、作業性等を考慮し、12μm以上120μm以下が好ましく、更には20μm以上80μm以下が好ましい。また、ヘイズ率は、鮮鋭性、放射線画像ムラ、製造安定性及び作業性等を考慮し、3%以上40%以下が好ましく、更には3%以上10%以下が好ましい。ヘイズ率は、例えば、日本電色工業株式会社NDH5000Wにより測定できる。必要とするヘイズ率は、市販されている高分子フィルムから適宜選択し、容易に入手することが可能である。
保護フィルムの光透過率は、光電変換効率、蛍光体発光波長等を考慮し、550nmで70%以上あることが好ましいが、99%以上の光透過率のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に99〜70%が好ましい。
保護フィルムの透湿度は、蛍光体層の保護性、潮解性等を考慮し、50g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には10g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましいが、0.01g/m・day(40℃・90%RH)以下の透湿度のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に、0.01g/m・day(40℃・90%RH)以上、50g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には0.1g/m・day(40℃・90%RH)以上、10g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましい。
(基板)
本発明の放射線像変換パネルは、基板として可撓性を有する高分子フィルムを用いることが好ましい。高分子フィルムとしては、セルロースアセテートフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム)、液晶ポリマー等を主成分として含有するものが好ましく、中でもポリイミド、液晶ポリマーを含有する高分子フィルムが、ヨウ化セシウム等を原材料として気相法にて蛍光体柱状結晶を形成する場合に、好適である。
液晶ポリマーとしては、例えば、エチレンテレフタレートとパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体、エチレンテレフタレートとパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体、2,6−ヒドロキシナフトエ酸とパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体等が挙げられるが、中でも耐熱性の観点より、2,6−ヒドロキシナフトエ酸とパラヒドロキシ安息香酸との重縮合体が最も好ましい。
なお、本発明に係る基板としての高分子フィルムは、厚さ50〜500μmであることが好ましい。
ここで、「可撓性を有する基板」とは、120℃での弾性率(E120)が1000〜6000N/mmである基板をいい、かかる基板としてポリイミドまたはポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
なお、「弾性率」とは、引張試験機を用い、JIS C 2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。これがヤング率と呼ばれる値であり、本発明ではかかるヤング率を弾性率と定義する。
本発明に用いられる基板は、上記のように120℃での弾性率(E120)が1000〜6000N/mmであることが好ましい。より好ましくは1200〜5000N/mmである。
具体的には、ポリエチレンナフタレート(E120=4100N/mm)、ポリエチレンテレフタレート(E120=1500N/mm)、ポリブチレンナフタレート(E120=1600N/mm)、ポリカーボネート(E120=1700N/mm)、シンジオタクチックポリスチレン(E120=2200N/mm)、ポリエーテルイミド(E120=1900N/mm)、ポリアリレート(E120=1700N/mm)、ポリスルホン(E120=1800N/mm)、ポリエーテルスルホン(E120=1700N/mm)等からなる高分子フィルムが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく積層あるいは混合して用いてもよい。中でも、特に好ましい高分子フィルムとしては、上述のように、ポリイミドまたはポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
なお、放射線像変換パネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、フラットパネルディテクタの受光面内で均一な画質特性が得られないという点に関して、該基板を、厚さ50〜500μmの高分子フィルムとすることで放射線像変換パネルが平面受光素子面形状に合った形状に変形し、フラットパネルディテクタの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られる。
(剛性板)
本発明に係る剛性板は、熱膨張係数が0.1ppm/℃以上10ppm/℃以下であればいかなる材料でも使用できる。具体的には、ガラス、炭素繊維板、グラファイト、積層ポリイミド材料が挙げられる。中でも、ガラスは剛性だけでなく平面性にも優れているため好ましい。剛性板の厚みは0.1mm以上1mm以下が好ましい。0.1mm以下であると剛性を保つことができず、1mm以上ではX線吸収が多くなり画像品質が落ちる可能性がある。
〈蛍光体層作製の蒸着装置〉
図2は、本発明に係る放射線像変換パネルにおける蛍光体層作製の蒸着装置1の概略構成図である。図2に示すように、蒸着装置1は真空容器2を備えており、真空容器2には真空容器2の内部の排気及び大気の導入を行う真空ポンプ3が備えられている。
真空容器2の内部の上面付近には、支持体4を保持する支持体ホルダ5が設けられている。
支持体4の表面には、蛍光体層が気相堆積法によって形成される。気相堆積法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法その他を用いることができるが、本発明では特に蒸着法が好ましい。
支持体ホルダ5は、支持体4のうち前記蛍光体層を形成する面が真空容器2の底面に対向し、且つ真空容器2の底面と平行となるように支持体4を保持する構成となっている。
また、支持体ホルダ5には、支持体4を加熱する加熱ヒータ(図示せず)を備えることが好ましい。この加熱ヒータで支持体4を加熱することによって、支持体4の支持体ホルダ5に対する密着性の強化や、前記蛍光体層の膜質調整を行う。また、支持体4の表面の吸着物を離脱・除去し、支持体4の表面と前記蛍光体との間に不純物層が発生することを防止する。
また、加熱手段として温媒または熱媒を循環させるための機構(図示せず)を有していてもよい。この手段は、蛍光体の蒸着時における支持体4の温度を50〜150℃といった比較的低温に保持して蒸着する場合に適している。
また、加熱手段としてハロゲンランプ(図示せず。)を有していてもよい。この手段は蛍光体の蒸着時における支持体4の温度を150℃以上といった比較的高温に保持して蒸着する場合に適している。
更に、支持体ホルダ5には、支持体4を水平方向に回転させる支持体回転機構6が設けられている。支持体回転機構6は、支持体ホルダ5を支持すると共に支持体4を回転させる支持体回転軸7及び真空容器2の外部に配置されて支持体回転軸7の駆動源となるモータ(図示せず)から構成されている。
また、真空容器2の内部の底面付近には、支持体4に垂直な中心線を中心とした円の円周上の互いに向かい合う位置に、蒸発源8a、8bが配置されている。この場合において、支持体4と蒸発源8a、8bとの間隔は100〜1500mmとされるのが好ましく、より好ましくは200〜1000mmである。また、支持体4に垂直な中心線と蒸発源8a、8bとの間隔は100〜1500mmとされるのが好ましく、より好ましくは200〜1000mmである。
なお、本発明に係る放射線像変換パネルにおける蛍光体層作製の蒸着装置においては、3個以上の多数の蒸発源を設けることも可能であり、各々の蒸発源は等間隔に配置してもよく、間隔を変えて配置してもよい。また、支持体4に垂直な中心線を中心とした円の半径は任意に定めることができる。
蒸発源8a、8bは、前記蛍光体を収容して抵抗加熱法で加熱するため、ヒータを巻いたアルミナ製のルツボから構成してもよいし、ボートや、高融点金属からなるヒータから構成してもよい。また、前記蛍光体を加熱する方法は、抵抗加熱法以外に電子ビームによる加熱や、高周波誘導による加熱等の方法でもよいが、本発明では比較的簡単な構成で取り扱いが容易、安価、且つ非常に多くの物質に適用可能である点から直接電流を流し抵抗加熱する方法や、周りのヒータでルツボを間接的に抵抗加熱する方法が好ましい。また、蒸発源8a、8bは分子源エピタキシャル法による分子線源でもよい。
また、蒸発源8a、8bと支持体4との間には、蒸発源8a、8bから支持体4に至る空間を遮断するシャッタ9が水平方向に開閉自在に設けられており、このシャッタ9によって、蒸発源8a、8bにおいて前記蛍光体の表面に付着した目的物以外の物質が蒸着の初期段階で蒸発し、支持体4に付着するのを防ぐことができるようになっている。
〈蛍光体層の製造方法〉
図2に示した蒸着装置1を用いた蛍光体層の製造方法について説明する。
先ず、支持体ホルダ5に支持体4を取付ける。また、真空容器2の底面付近において、支持体4に垂直な中心線を中心とした円の円周上に蒸発源8a、8bを配置する。この場合において、支持体4と蒸発源8a、8bとの間隔は100〜1500mmとされるのが好ましく、より好ましくは200〜1000mmである。また、支持体4に垂直な中心線と蒸発源8a、8bとの間隔は、100〜1500mmとされるのが好ましく、より好ましくは200〜1000mmである。
次いで、真空容器2の内部を真空排気し、所望の真空度に調整する。その後、支持体回転機構6により支持体ホルダ5を蒸発源8a、8bに対して回転させ、蒸着可能な真空度に真空容器2が達したら、加熱した蒸発源8a、8bから前記蛍光体を蒸発させて、支持体4の表面に前記蛍光体を所望の厚さに成長させる。
なお、支持体4の表面に前記蛍光体を成長させる工程を複数回に分けて行って前記蛍光体層を形成することも可能である。
また、蒸着法においては、蒸着時、必要に応じて、被蒸着体(支持体4、保護層または中間層)を冷却あるいは加熱してもよい。
更に、蒸着終了後、前記蛍光体層を加熱処理してもよい。また、蒸着法においては必要に応じてO、Hなどのガスを導入して蒸着する反応性蒸着を行ってもよい。
形成する前記蛍光体層の膜厚は、放射線像変換パネルの使用目的により、また前記蛍光体の種類により異なるが、本発明の効果を得る観点から50〜2000μmであり、好ましくは50〜1000μmであり、更に好ましくは100〜800μmである。
また、前記蛍光体層が形成される支持体4の温度は、室温(rt)〜300℃に設定することが好ましく、更に好ましくは50〜250℃である。
以上のようにして前記蛍光体層を形成した後、必要に応じて、前記蛍光体層の支持体4とは反対の側の面に、物理的にあるいは化学的に前記蛍光体層を保護するための保護層を設けてもよい。保護層は、保護層用の塗布液を前記蛍光体層の表面に直接塗布して形成してもよく、また、予め別途形成した保護層を前記蛍光体層に接着してもよい。これらの保護層の層厚は0.1〜2000μmが好ましい。
また、保護層は蒸着法、スパッタリング法などにより、SiC、SiO、SiN、Alなどの無機物質を積層して形成してもよい。
本発明においては、保護層の外に、上記の各種機能層を設けることが好ましい。
以上の蒸着装置1または製造方法によれば、複数の蒸発源8a、8bを設けることによって蒸発源8a、8bの蒸気流が重なり合う部分が整流化され、支持体4の表面に蒸着する前記蛍光体の結晶性を均一にすることができる。このとき、多数の蒸発源を設けるほど多くの箇所で蒸気流が整流化されるため、より広範囲において前記蛍光体の結晶性を均一にすることができる。また、蒸発源8a、8bを支持体4に垂直な中心線を中心とした円の円周上に配置することによって、蒸気流の整流化によって結晶性が均一になるという作用を、支持体4の表面において等方的に得ることができる。
また、支持体回転機構6によって支持体4を回転しながら前記蛍光体の蒸着を行うことによって、支持体4の表面に均一に前記蛍光体を蒸着させることができる。
以上述べたように、本発明に係る蒸着装置1または製造方法によれば、支持体4の表面において、前記蛍光体の結晶性が均一となるように前記蛍光体層を成長させることによって、前記蛍光体層の感度ムラを低下させ、本発明に係る放射線像変換パネルを用いた放射線像変換パネルから得られる放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
また、支持体4に蒸着する前記蛍光体の入射角を所定の範囲に制限して輝尽性蛍光体の入射角のばらつきを防ぐことによって、蛍光体の結晶性をより均一にして、放射線像変換パネルから得られる放射線画像の鮮鋭性を向上させることができる。
なお、以上は支持体ホルダ5が支持体回転機構6を備える場合について説明したが、本発明は必ずしもこれに限らず、支持体ホルダ5が支持体4を保持して静止した状態で蒸着を行う場合や、支持体4を蒸発源8a、8bに対して水平方向に移動させることによって蒸発源8a、8bからの前記蛍光体を蒸着させる場合などにおいても適用可能である。
(放射線像検出装置)
以下に、図3を参照しながら、当該放射線像変換パネル10を具備した放射線像検出装置100の構成について説明する。なお、図3は放射線像検出装置100の概略構成を示す一部破断斜視図である。
放射線像変換パネル10と筐体155の放射線入射側に設置された保護カバー155aの間隙には、ポリウレタン製のフォーム(発泡材)150が配置されている。
図3に示す通り、放射線像検出装置100には、放射線像変換パネル10、放射線像検出装置100の動作を制御する制御部152、書き換え可能な専用メモリ(例えば、フラッシュメモリ)等を用いて放射線像変換パネル10から出力された画像信号を記憶する記憶手段であるメモリ部153、放射線像検出装置を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電力供給手段である電源部154、等が筐体155の内部に設けられている。筐体155には必要に応じて放射線像検出装置100から外部に通信を行うための通信用のコネクタ156、放射線像検出装置100の動作を切り換えるための操作部157、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部153に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部158、等が設けられている。
ここで、放射線像検出装置100に電源部154を設けると共に、放射線画像の画像信号を記憶するメモリ部153を設け、コネクタ156を介して放射線像検出装置100を着脱自在にすれば、放射線像検出装置100を持ち運びできる可搬構造とすることができる。
放射線像変換パネル10は放射線照射面側に配置されており、入射した放射線の強度に応じた電磁波を発光するように構成されている。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
〔放射線像変換パネルの作製〕
〔放射線像変換パネル2の作製〕
(基板上への反射層の形成)
厚さ125μm、250×200mmサイズのポリイミドフィルム(熱膨張係数は20ppm/℃)(宇部興産製ユーピレックス)にアルミをスパッタして反射層(0.10μm)を形成した。
(下引き層の形成)
バイロン630(東洋紡製:高分子ポリエステル樹脂) 100質量部
メチルエチルケトン(MEK) 90質量部
トルエン 90質量部
上記処方を混合し、ディスパーにて15時間分散し、塗設用の塗布液を得た。この塗布液を上記ポリイミドフィルムのスパッタ面に乾燥膜厚が1.0μmになるようにバーコーターで塗布した後、100℃で8時間乾燥することで下引き層を作製した。下引き層の膜厚は30μmであった。
(蛍光体層の形成)
基板の下引き層側に蛍光体(CsI:0.003Tl)を図2に示した蒸着装置を使用して蒸着させ、蛍光体層を形成した。
即ち、先ず上記蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱ルツボ(ボード)に充填し、また回転する基板ホルダの金属製の枠に基板を設置し、基板と蒸発源との間隔を400mmに調節した。
続いて蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して0.5Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で基板を回転しながら基板の温度を200℃に保持した。次いで、抵抗加熱ルツボ(ボード)を加熱して蛍光体を蒸着し、蛍光体層の膜厚が450μmとなったところで蒸着を終了させ、蛍光体層が形成された基板を得た。
(剛性板の接着)
上記蛍光体層を設けた基板の基板側と剛性板としてのガラス(熱膨張係数は3ppm/℃)を、耐熱性両面接着テープで接着させた。
(保護層の作製)
上記のようにガラスを接着させたところで、CVD装置の蒸着室に入れ、ポリパラキシリレンの原料が昇華した蒸気中に露出させておくことにより、ポリパラキシリレン膜で被服された放射線像変換パネル2を得た。
得られた放射線像変換パネル2の熱膨張係数は31ppm/℃であった。
〔放射線像変換パネル1の作製〕
放射線像変換パネル2の作製において、ガラスを接着しなかった以外は同様にして放射線像変換パネル1を作製した。なお、放射線像変換パネルの熱膨張係数は26ppm/℃であった。
〔放射線像変換パネル3〜8、10、11の作製〕
放射線像変換パネル2の作製と同様に作製したが、放射線像変換パネルの熱膨張係数、ポリイミドの熱膨張係数(放射線像変換パネル10、11については、それぞれ熱膨張係数10ppm/℃、5ppm/℃のポリイミドフィルム(宇部興産製ユーピレックス)を使用)、更には下引き層の膜厚は表1の通りである。
〔放射線像変換パネル9の作製〕
放射線像変換パネル8の作製の作製において、ガラスを接着しなかった以外は同様にして放射線像変換パネル9を作製した。なお、放射線像変換パネルの熱膨張係数は25ppm/℃であった。
〔放射線像変換パネル12の作製〕
放射線像変換パネル1の作製において、ポリイミドに代えて熱膨張係数5ppm/℃の液晶ポリマー(クラレ製ベクスター)を用いた以外は、同様にして放射線像変換パネル12を作製した。放射線像変換パネルの熱膨張係数、下引き層の膜厚は表1の通りである。
〔放射線像変換パネル13の作製〕
放射線像変換パネル12の作製において、ガラスを接着しなかった以外は同様にして放射線像変換パネル13を作製した。放射線像変換パネルの熱膨張係数、下引き層の膜厚は表1の通りである。
(熱膨張係数の測定)
各パネルの蛍光体層を上にして、ホットプレート上に置く。続いて、パネル表面の対向する角から10mmの位置にマーキングを2点(A、B)行い、パネル中央にカプトンテープを用いて熱電対を貼り付ける。
この状態で、ミツトヨ製三次元測定器を用いてA、Bの座標(XA、YA)及び(XB、YB)を記録し、次式によってAB間の距離L0を算出する。
L0=((XA−XB)+(YA−YB)1/2
この時のプレート表面温度をT0とする。
続いてオーブンを70℃まで昇温させ、その時のAB間の距離をL1、パネル表面の温度をT1とする。パネルの熱膨張係数αは次式によって算出する。
α=(L1−L0)/L0/(T1−T0)。
(光電変換素子アレイの作製)
光電変換素子アレイは既知の作製方法により作製した。例えば、特開2006−5077号公報が挙げられる。この時、アレイ基板には熱膨張係数を3ppm/℃及び5ppm/℃のガラスを使用した。
上記放射線像変換パネルと光電変換素子アレイを密着させることで放射線画像検出装置を得た。
〔評価〕
上記光電変換素子アレイと上記放射線像変換パネル1〜13を密着させて、セットした。80kVのX線を照射し、初期画像を得た。
次に、放射線像変換パネル1〜13をセットした放射線像検出装置をサイクルサーモに入れ、0℃から60℃を1cycleとして、100cycleの温度変動を与えた。更に放射線像検出装置を緩衝材で巻き、100cmの高さより5回落下させた。
その後、80kVのX線を照射して、画像を得て、初期の画像より増加した欠陥数、画像ムラを評価した。放射線像変換パネル1〜13に対応して、サンプル1〜13を得た。
画像ムラ
1:ムラが多く、使用できない
2:ムラが多い
3:ムラが見える
4:ムラがあるが、わかりにくい
5:ムラがない、もしくはわからない。
Figure 0005369906
表1より、本発明の放射線像変換パネルをセットした放射線像検出装置においては、画像欠陥、画像ムラともに少ないことがわかる。
1 蒸着装置
2 真空容器
3 真空ポンプ
4 基板
5 基板ホルダ
6 基板回転機構
7 基板回転軸
8a、8b 蒸発源
9 シャッタ
10 放射線像変換パネル
11 剛性板
12 接着層
13 反射層
14 下引き層
15 蛍光体層
16 保護層
100 放射線像検出装置

Claims (11)

  1. 2次元的に配列された光電変換素子アレイ上に放射線を光に変換する放射線像変換パネルを密着させてなる放射線像検出装置において、
    該放射線像変換パネルが基板の上に反射層、下引き層、蛍光体層を有しており、
    該放射線像変換パネルの熱膨張係数が20ppm/℃以下であり、且つ該光電変換素子アレイの放射線像変換パネル密着面の熱膨張係数と放射線像変換パネルの光電変換素子アレイ密着面の熱膨張係数の差が20ppm/℃以下であることを特徴とする放射線像検出装置。
  2. 上記熱膨張係数の差が10ppm/℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射線像検出装置。
  3. 請求項1または2に記載の放射線像検出装置における放射線像変換パネルにおいて、
    基板の上に反射層、下引き層、蛍光体層を有しており、
    該蛍光体層が気相堆積により形成されており、該蛍光体層と該基板との距離が10μm未満であることを特徴とする放射線像変換パネル。
  4. 前記放射線像変換パネルが基板より熱膨張係数の低い剛性板に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の放射線像変換パネル。
  5. 前記基板の熱膨張係数が0.1ppm/℃以上25ppm/℃以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の放射線像変換パネル。
  6. 前記剛性板の熱膨張係数が0.1ppm/℃以上10ppm/℃以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の放射線像変換パネル。
  7. 前記基板が可撓性を有する基板であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
  8. 前記基板が可撓性を有する基板がポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の放射線像変換パネル。
  9. 前記可撓性を有する基板が液晶ポリマーであることを特徴とする請求項7に記載の放射線像変換パネル。
  10. 前記蛍光体層が輝尽性蛍光体を含むことを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル
  11. 前記蛍光体層がCsIを母体とする蛍光体を含むことを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
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