JP2010107354A - 放射線変換パネルおよび放射線変換パネルの作製方法 - Google Patents

放射線変換パネルおよび放射線変換パネルの作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、基板の損傷が少なく、撮像素子との密着性が良好で、画像特性に優れ、作製効率に優れる放射線変換パネルよびその作製方法を提供することにある。
【解決手段】基板上に、気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線変換パネルにおいて、該基板が厚さ20μm〜500μmである高分子フィルムであり、該気相堆積法が、基板上へ蛍光体層の堆積を行う蛍光体層堆積工程および該蛍光体層の堆積の終了から蛍光体層が80℃になるまでの冷却工程を有し、該冷却工程における平均冷却速度が0.5℃〜10℃/分の範囲内であることを特徴とする放射線変換パネル。
【選択図】なし

Description

本発明は、被写体の放射線画像を形成する際に用いられる放射線検出装置に用いられる放射線変換パネルおよびその作製方法に関する。
従来、X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。特に、増感紙−フィルム系による放射線画像は、長い歴史のなかで高感度化と高画質化が図られた結果、高い信頼性と優れたコストパフォーマンスを併せ持った撮像システムとして、今なお、世界中の医療現場で用いられている。しかしながらこれら画像情報はいわゆるアナログ画像情報であって、近年発展を続けているデジタル画像情報のような、自由な画像処理や瞬時の電送が出来ない。
そして、近年ではコンピューテッドラジオグラフィ(computed radiography:CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPD)等に代表されるデジタル方式の放射線画像検出装置が登場している。これらは、デジタルの放射線画像が直接得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直接表示することが可能なので、必ずしも写真フィルム上への画像形成が必要なものではない。その結果、これらのデジタル方式のX線画像検出装置は、銀塩写真方式による画像形成の必要性を低減させ、病院や診療所での診断作業の利便性を大幅に向上させている。以下、FPDについて詳細を説明する。
FPDに使用される蛍光体のなかでもヨウ化セシウム(CsI)はX線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成出来るため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
また、発光効率を向上させるため、タリウム、ナトリウム、ルビジウムなどの賦活剤と呼ばれる元素をCsIに含有させることが知られている。また、受光素子から遠いところにある蛍光体層の端に反射面を設け、蛍光体層から受光素子への光の伝達を向上させることも試みられている(例えば、特許文献2参照)。
蛍光体層を成膜する基板としては、アルミやアモルファスカーボンなど剛直な基板が提案されている(特許文献3参照)が、自由に曲げることのできないこれらの基板上に蛍光体層を形成した場合、放射線変換パネルと受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、FPDの受光面内で均一な画質特性が得られないという欠点がある。そこで、例えば厚さ50μm以上500μm以下の高分子フィルムとすることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。またこれらの比較的薄い基板は、X線吸収が少ないことから、使用する放射線の量を低減することができる。
しかしながら、これらの比較的薄い基板を用いた場合には、画像形成に用いる基板のひび割れによる画像欠陥が現れるなどの問題があった。
特開昭63−215987号公報 特公平7−21560号公報 特許第3566926号 国際公開第08/018277号パンフレット
本発明の目的は、基板の損傷が少なく、撮像素子との密着性が良好で、画像特性に優れ、作製効率に優れる放射線変換パネルおよびその作製方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.基板上に、気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線変換パネルにおいて、該基板が厚さ20μm〜500μmである高分子フィルムであり、該気相堆積法が、基板上へ蛍光体層の堆積を行う蛍光体層堆積工程および該蛍光体層の堆積の終了から蛍光体層が80℃になるまでの冷却工程を有し、該冷却工程における平均冷却速度が0.5℃〜10℃/分の範囲内であることを特徴とする放射線変換パネル。
2.前記冷却工程が、真空度1×10−5Pa〜0.1Paの雰囲気下で行われることを特徴とする1に記載の放射線変換パネル。
3.前記蛍光体層が、ヨウ化セシウムを含有することを特徴とする1または2に記載の放射線変換パネル。
4.前記蛍光体層が、タリウムを含有することを特徴とする3に記載の放射線変換パネル。
5.1〜4のいずれか1項に記載の放射線変換パネルを製造する、放射線変換パネルの製造方法であって、前記基板が厚さ20μm〜500μmである高分子フィルムであり、前記気相堆積法が、基板上へ蛍光体層の堆積を行う蛍光体層堆積工程および該蛍光体層の堆積の終了から蛍光体層が80℃になるまでの冷却工程を有し、該冷却工程における平均冷却速度が0.5℃〜10℃/分の範囲内であることを特徴とする放射線変換パネルの作製方法。
本発明においては、下記の構成も好ましい態様である。
6.前記蛍光体層が、臭化セシウムを含有することを特徴とする1または2に記載の放射線変換パネル。
7.前記蛍光体層が、ユーロピウムを含有することを特徴とする6に記載の放射線変換パネル。
本発明の上記手段により、基板の損傷が少なく、撮像素子との密着性が良好で、画像特性に優れ、作製効率に優れる放射線変換パネルおよびその作製方法が提供できる。
本発明は、基板上に、気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線変換パネルにおいて、該基板が厚さ20μm〜500μmである高分子フィルムであり、該気相堆積法が、基板上へ蛍光体層の堆積を行う蛍光体層堆積工程および該蛍光体層の堆積の終了から蛍光体層が80℃になるまでの冷却工程を有し、該冷却工程における平均冷却速度が0.5℃〜10℃/分の範囲内であることを特徴とする。
本発明においては、特に蛍光体層を形成した後、冷却する工程において、上記特定の平均冷却速度で冷却することにより、使用する放射線の量が低減でき、かつ画像の均一性が良好で画像特性に優れる放射線変換パネルが効率よく作製できる。
(蛍光体層)
本発明の放射線変換パネルは、基板上に蛍光体層を有する。基板と蛍光体層との間には、後述の反射層、中間層を有することが好ましい。
本発明に係る蛍光体層は、蛍光体母材を含有する結晶を有する層からなる。
蛍光体母材とは、X線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの電磁波、即ち可視光線を中心に紫外光から赤外光に亘る電磁波(光)を発光する蛍光体をいう。
蛍光体母材としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができる。これらの中でも、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であることから、本発明においては、ヨウ化セシウム(CsI)または臭化セシウムが好ましく用いられる。
蛍光体層の膜厚は、発光強度、粒状性の面から100μm以上であることが必要であり、100μm〜1000μmであることが好ましく、特に100μm〜600μmが好ましい。
蛍光体層は、反射層を有する場合には、反射層上に、さらに中間層を有する場合には、中間層上に形成される。
蛍光体層は、気相堆積法により形成され、蛍光体母材を有する結晶を含有する層であるが、特に蛍光体母材を含有する柱状結晶を有する層であることが好ましい。
柱状結晶は、賦活剤を含有することが好ましい。
賦活剤は、蛍光体母材中に含有されることで、発光効率を上昇し得る元素である。賦活剤を蛍光体層に含有させるために用いられる賦活剤を含有する化合物としては、タリウム化合物、ナトリウム化合物、ルビジウム化合物、ユーロピウム化合物等が挙げられるが特にタリウム化合物が好ましい。
タリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。好ましいタリウム化合物はヨウ化タリウム(TlI)、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、またはフッ化タリウム(TlF、TlF)等である。
蛍光体母材中に含有させるには、蛍光体母材と賦活剤を含む蒸発源を加熱し、基板上に蒸着する方法により行うことができる。
蛍光体母材が、ヨウ化セシウムの場合賦活剤としては、タリウムが好ましく、臭化セシウムの場合には、ユーロピウムが好ましく用いられる。
(放射線変換パネルの製造方法)
本発明に係る蛍光体層は、気相堆積法により形成され、当該気相堆積法は、蛍光体層堆積工程および冷却工程を有する。
即ち、本発明に係る蛍光体層は気相法によって製膜されており、具体的には、蒸着堆積法(蒸着法)により形成されることが好ましい。
本発明に係る蛍光体層堆積工程において好ましく用いられる蒸着法には、下記に説明する蒸着装置を好適に用いることができる。
本発明の放射線変換パネルを作製する方法の典型的例について図を参照しながら説明する。図1は、放射線変換パネル1の例の概略構成を示す断面図である。
放射線変換パネル1は、基材2上に反射層3を有し、反射層3上に中間層4を有し、中間層4上に蛍光体層5を有する。
図2は、蒸着装置の概略構成を示す図面である。放射線変換パネル1の作製方法においては、下記で説明する蒸着装置61を好適に用いることができる。
〈蒸着装置〉
図2に示す通り、蒸着装置61は箱状の真空容器62を有しており、真空容器62の内部には真空蒸着用のボート63が配されている。ボート63は蒸着源の被充填部材であり、当該ボート63には電極が接続されている。当該電極を通じてボート63に電流が流れると、ボート63がジュール熱で発熱するようになっている。放射線変換パネル1の製造時においては、蛍光体母材、あるいは蛍光体母材と賦活剤化合物とを含む混合物がボート63に充填され、そのボート63に電流が流れることで、上記蛍光体母材または混合物を加熱・蒸発させることができるようになっている。
なお、被充填部材として、ヒータを巻回したアルミナ製のるつぼを適用してもよいし、高融点金属製のヒータを適用してもよい。
真空容器62の内部であってボート63の直上には、反射層3および中間層4を設けた基板2を保持するホルダ64が配されている。
ホルダ64にはヒータ(図示略)が配されており、当該ヒータを作動させることでホルダ64に装着した基板2を加熱することができるようになっている。基板2を加熱した場合には、表面の吸着物を離脱・除去したり、その表面に形成される蛍光体層との間に不純物層が形成されるのを防止したり、その表面に形成される蛍光体層との密着性を強化したり、表面に形成される蛍光体層の膜質の調整を行うことができるようになっている。
ホルダ64には当該ホルダ64を回転させる回転機構65が配されている。回転機構65は、ホルダ64に接続された回転軸65aとその駆動源となるモータ(図示略)から構成されたもので、当該モータを駆動させると、回転軸65aが回転してホルダ64をボート63に対向させた状態で回転させることができるようになっている。
蒸着装置61では、上記構成の他に、真空容器62に真空ポンプ66が配されている。真空ポンプ66は、真空容器62の内部の排気と真空容器62の内部へのガスの導入とを行うもので、当該真空ポンプ66を作動させることにより、真空容器62の内部を一定圧力のガス雰囲気下に維持することができるようになっている。
本発明に係る蛍光体層は、ボート63に蛍光体母材を充填し、装置内を排気すると同時に窒素等の不活性なガスを導入口から導入して1.0Pa〜1.0×10−5Pa程度の真空とし、次いで、蛍光体母材を加熱蒸発させて、基板の表面に(図1に示す放射線変換パネルの場合には、反射層、中間層を介して)蛍光体母材の蒸着結晶を堆積し、蛍光体層5が形成される。
本発明に係る蛍光体層堆積工程において、蛍光体層は150℃以上とされる。蛍光体層が150℃以上であるとは、蛍光体層堆積工程における最高温度が、150℃以上であることをいう。
蛍光体層の温度は、蒸着時、前記のホルダに装備した加熱部材などで加熱する等の方法により150℃以上となる。
蛍光体層の温度は、直接測定することは困難であるため、間接的に基板の温度を測定し、本発明においては、基板の温度を蛍光体層の温度とする。基板の温度は、蒸着装置内の基板に熱電対を装着して測定することができる。
本発明に係る気相堆積法は、蒸着終了の後に、蛍光体層を80℃まで冷却する冷却工程を有し、この冷却工程における平均冷却速度が0.5℃〜10℃/分の範囲内である。
冷却工程では、蛍光体層の温度を蒸着終了時の温度から80℃まで冷却する。この際冷却工程は、真空度1×10−5Pa〜0.1Paの雰囲気下で行われることが特に好ましい。
本発明に係る平均冷却速度とは、冷却開始(蒸着終了時)から80℃まで冷却する間の時間と温度を連続的に測定し、この間の1分間あたりの冷却速度を求めたものをいう。即ち、冷却開始時の温度から80℃までの温度差(℃)/冷却時から80℃までの時間(分)、の値(℃/分)をいう。
平均冷却速度が0.5℃〜10℃/分の範囲内である、とは冷却工程内の全ての時間においても(どの1分間の間においても)この範囲であることをいう。
即ち、本発明においては、冷却工程において、平均冷却速度が0.5℃〜10℃/分の範囲内であるが、特に1.0℃〜5℃/分であることが、製造コスト、ひび割れ防止の面から特に好ましい。
冷却工程においては、基板を設置するホルダの温度調整、ArやHe等不活性ガスの導入のような冷却手段を講ずることにより行われる。
80℃まで、冷却した後、蒸着装置から、取り出し、必要に応じ、さらに冷却を施してもよい。
(基板)
本発明に係る基板は、蛍光体層を担持可能な、厚さ20μm〜500μmである高分子フィルムであり、X線等の放射線を入射線量に対し10%以上を透過させることが可能なものである。
本発明に係る、基板は20μm〜500μmである高分子フィルムであるが、可撓性を有することが好ましい。
可撓性有する、とは120℃での弾性率(E120)が1000〜6000N/mmであることをいう。
なお、「弾性率」とは引張試験機を用い、JIS−C2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみとそれに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。これがヤング率と呼ばれる値であり、本発明では、このヤング率を弾性率と定義する。
基板は、上記のように120℃での弾性率(E120)が1000〜6000N/mmであることが好ましい。より好ましくは1200〜5000N/mmである。
本発明に係る基板としては、ポリエチレンナフタレート(E120=4100N/mm)、ポリエチレンテレフタレート(E120=1500N/mm)、ポリブチレンナフタレート(E120=1600N/mm)、ポリカーボネート(E120=1700N/mm)、シンジオタクチックポリスチレン(E120=2200N/mm)、ポリエーテルイミド(E120=1900N/mm)、ポリアリレート(E120=1700N/mm)、ポリスルホン(E120=1800N/mm)、ポリエーテルスルホン(E120=1700N/mm)等からなる高分子フィルムが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、積層あるいは混合して用いてもよい。中でも、特に好ましい高分子フィルムとしては、ポリイミドまたはポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
本発明においては、20〜500μmの厚さの基板を用いることにより、放射線変換パネルとして利用する場合使用する放射線の量を低減することが可能となる。
(反射層)
上述のように基板と蛍光体の間には、反射層を設けてもよい。反射層は、蛍光体層で発せられた蛍光の基板方向に放射進行する電磁波を反射しうる層である。
反射層は反射率の高い金属で形成することが好ましい。反射率の高い金属膜層としては、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Mg、Pt、Auからなる群の中の物質を含む材料が挙げられる。本発明に係る反射層の形成方法は既知のいかなる方法でも構わないが、例えば、上記原材料を使用したスパッタ処理が挙げられる。
金属としては、電気伝導率で6.0S/m(ジーメンス毎メートル)以上のものであることが好ましく、より好ましくは30S/m以上である。具体的にはAl(40S/m)、Ag(67S/m)、Au(46S/m)が反射率や電気伝導率の点で好ましい。
反射層は、真空蒸着、スパッタ蒸着、又はメッキにより基板上に直接付着することができるが、生産性の観点からスパッタ蒸着が好ましい。膜厚に関しては、付着方法によるが、真空蒸着の場合は50nm〜400nm、スパッタ蒸着の場合は20nm〜200nmが好ましい。
(中間層)
蛍光体による反射層の腐食等を防止するため、反射層と蛍光体層の間に中間層を形成してもよい。
中間層は溶剤に溶解した樹脂を塗布、乾燥して形成することが好ましい。樹脂としては、ガラス転位点が30〜100℃のポリマーであることが蒸着結晶と基板との膜付の点で好ましい。
具体的には、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられるが、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。
中間層の膜厚としては接着性の点で0.1μm以上が好ましく、中間層表面の平滑性確保の点で3.0μm以下が好ましい。より好ましくは中間層の厚さが0.2〜2.5μmの範囲である。
中間層作製に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
(保護膜)
本発明の放射線変換パネルは、当該パネルを防湿し、蛍光体層の劣化を抑制するため、放射線変換パネルの外周を保護膜で保護することが好ましい。
保護膜としては透湿度の低いフィルム保護フィルム、ポリパラキシリレンのような耐湿膜などが挙げられる。
例えば、保護フィルムの場合、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いることができる。PETの他には、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等を用いることができる。また、必要とされる防湿性にあわせて、これらフィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層した構成とすることもできる。
また、基板上に蛍光体層を設けた放射線変換パネルの基板側と蛍光体層側の互いに対向する面には、互いを熱融着して封止するための熱融着性の樹脂が用いられることが好ましい。熱融着層としては、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムを使用できる。例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等が挙げられるが、これに限られたものではない。
放射線変換パネルを上下の保護フィルムで挟み、減圧雰囲気中で上下の保護フィルムが接触する端部を融着することにより封止することができる。
保護フィルムの厚さは10〜100μmであることが好ましい。
保護フィルムは防湿性が付与されているが、具体的には透湿度(水蒸気透過率ともいう)が50g/m・day以下であることが好ましく、更に好ましくは10g/m・day以下であり、特に好ましくは1g/m・day以下である。ここで、保護フィルムの透湿度はJIS Z 0208により規定された方法を参照して測定することができる。
透湿度は以下の方法で測定することができる。40℃において、前記保護フィルムを境界面とし、一方の側を90%RH(相対湿度)、他方の側を吸湿剤を用いて乾燥状態に保つ。この状態で24時間にこの保護フィルムを通過する水蒸気の質量(g)(保護フィルムを1mに換算する)を保護フィルムの透湿度と定義する。
保護フィルムの透湿度を上記の範囲に調整し、防湿性を向上させる観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化アルミナ薄膜を蒸着した蒸着フィルムが好ましく用いられる。
保護フィルムの光透過率とは、空気だけの場合の光透過率を100%に設定して各保護フィルムの光透過率を相対値で表した。上記の光透過率は下記式に従って求められる。
光透過率(%)=(透過光/入射光)×100。
また、保護膜としては、ポリパラキシリレンなどの耐湿膜を用いても良い。ポリパラキシリレンは、上記蛍光体層が形成された基板をCVD装置の蒸着室に入れ、ジパラキシリレンが昇華した上記中に露出させておくことにより、シンチレータと基板の全表面がポリパラキシリレン膜で被服された放射線変換パネルを得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
図2の蒸着装置を用い、10cm角で厚さが125μmのポリイミド基板上に、以下の手順でCsI蛍光体層を蒸着した。基板ホルダにポリイミド基板をセットし、Ta坩堝との間隔を40cmに調整した。蒸着装置内をポンプPで排気した後、Arガスを導入して真空度を0.05Paに調整した。次いで、支持体を10rpmの速度で回転しながら、支持体の温度をハロゲンランプで加熱することにより200℃に保持した。その後、抵抗加熱坩堝を加熱して蛍光体(CsI)を蒸着し、蛍光体層が500μmとなったところで蒸着を終了させた。蒸着終了後、蒸着装置内にArガスを加えることによって、200℃から80℃までの平均冷却速度1℃/min.で支持体の温度が80℃となるまで冷却を行った。
(評価)
得られたシンチレータプレートにひび・割れがあるか目視にて確認を行い、下記のランクで評価した。
◎:ひび、割れは認められない。
○:極わずかに、ひびが、認められる。
△:ひびおよび割れが認められる。
×:ひびおよび割れが多数認められる。
PaxScanを用い、X線を照射して得られた画像を観察し、画像の欠陥、ボケの有無を以下のランクで評価した。
◎:良好である。
○:極わずかに画像欠陥がある。
△:画像欠陥またはボケが認められる。
×:画像欠陥が多数見られる。
作製効率については、冷却時間を指標とした。10時間以上は、実用的には、不十分であり×とし、4時間以下は、実用的であるとして、4時間以下12分を超えるものについては○、12分以下のものは、◎で表した。
同様の評価を下記の実施例、比較例についても行った。結果を表1に示す。
(実施例2)基板の厚さを250μmとしたこと以外は実施例1と同様とした。
(実施例3)基板の厚さを20μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させ、Heガスを導入して平均冷却速度を10℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(実施例4)
基板の厚さを20μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させて平均冷却速度を0.5℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(実施例5)
基板の厚さを500μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させ、Heガスを導入して平均冷却速度を10℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(実施例6)
基板の厚さを500μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させて平均冷却速度を0.5℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(比較例1)
基板の厚さを15μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させて平均冷却速度を0.5℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(比較例2)
基板の厚さを15μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させ、Heガスを導入して平均冷却速度を10℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(比較例3)
基板の厚さを20μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させ、ハロゲンランプの出力を段階的に落とすことによって平均冷却速度を0.2℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(比較例4)
基板の厚さを20μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させ、Heガスを導入して平均冷却速度を15℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(比較例5)
基板の厚さを500μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させ、ハロゲンランプの出力を段階的に落とすことによって平均冷却速度を0.2℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(比較例6)
基板の厚さを500μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させ、Heガスを導入して平均冷却速度を15℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(比較例7)
基板の厚さを1,000μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させて平均冷却速度を0.5℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
(比較例8)
基板の厚さを1,000μm、蒸着終了後蒸着装置内にArガスを停止させ、Heガスを導入して平均冷却速度を10℃/min.としたこと以外は実施例1と同様とした。
Figure 2010107354
上記結果から、本発明の放射線変換パネルは、基板の損傷が少なく、撮像素子との密着性が良好で、画像特性に優れ、作製効率に優れる放射線変換パネルが得られることが分かる。
放射線変換パネルの例の概略構成を示す断面図である。 蒸着装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
1 放射線変換パネル
2 基板
3 反射層
4 中間層
5 蛍光体層
61 蒸着装置
62 真空容器
63 ボート
64 ホルダ
65 回転機構
66 真空ポンプ

Claims (5)

  1. 基板上に、気相堆積法により形成された蛍光体層を有する放射線変換パネルにおいて、該基板が厚さ20μm〜500μmである高分子フィルムであり、該気相堆積法が、基板上へ蛍光体層の堆積を行う蛍光体層堆積工程および該蛍光体層の堆積の終了から蛍光体層が80℃になるまでの冷却工程を有し、該冷却工程における平均冷却速度が0.5℃〜10℃/分の範囲内であることを特徴とする放射線変換パネル。
  2. 前記冷却工程が、真空度1×10−5Pa〜0.1Paの雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1に記載の放射線変換パネル。
  3. 前記蛍光体層が、ヨウ化セシウムを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線変換パネル。
  4. 前記蛍光体層が、タリウムを含有することを特徴とする請求項3に記載の放射線変換パネル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線変換パネルを製造する、放射線変換パネルの製造方法であって、前記基板が厚さ20μm〜500μmである高分子フィルムであり、前記気相堆積法が、基板上へ蛍光体層の堆積を行う蛍光体層堆積工程および該蛍光体層の堆積の終了から蛍光体層が80℃になるまでの冷却工程を有し、該冷却工程における平均冷却速度が0.5℃〜10℃/分の範囲内であることを特徴とする放射線変換パネルの作製方法。
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