JP2013176311A - 容器詰トマト含有飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 これまでのトマト含有飲料は、トマトが本来有する独特の青臭みを有するため飲みにくかった。トマトが苦手なユーザーでも美味しく飲用できるトマト含有飲料のさらなる改善が課題であった。
【解決手段】 トマト含有飲料の各種アミノ酸量を所定の数値範囲内に調整することにより、トマト本来の自然のコク味や舌触りを維持・向上させながらも、喉越しや後味が大幅に改善され、旨味や食感も改善がなされた容器詰トマト含有飲料を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、容器詰トマト含有飲料及びその製造方法、並びに容器詰トマト含有飲料の呈味性向上方法に関する。
近年、消費者における健康志向や食生活の乱れにより、野菜を摂取する重要性が注目されている。しかし、野菜の調理には手間隙がかかることに加えて、保存期間も短いため、簡便に野菜を摂取することができ且つ長期保存が可能な容器詰野菜飲料が広く消費者に受け入れられるようになっていきてる。
これに伴い、容器詰野菜飲料に対する消費者ニーズが多様化するようになった。例えば、1種類又は2種類以上の野菜のみ又はこれに少量の添加物等を加えた野菜飲料は、野菜摂取量を重視するユーザーに好まれる傾向があるが、野菜の配合割合が高いと野菜独特の臭みが抜けきらず飲用しにくく、一般ユーザーに広く受け入れられにくいという問題があった。この問題を改善するため、1種類又は2種類以上の野菜に、果汁や添加物を加えて野菜独特の臭みをマスキングすることにより、野菜独特の臭みが苦手なユーザーにも飲みやすい野菜果汁飲料が開発され、幅広く飲用されている。さらに、市場ではあまり一般的とはいえないが、例えば人口甘味料等のマスキング剤を添加する方法(特許文献1)や、発酵豆乳や発酵乳を添加する方法(特許文献2,3)や、野菜飲料に炭酸を吹き込む等の方法(特許文献4)により、野菜独特の臭みをマスキングしようという試みもある。
容器詰野菜飲料は、その主原料であり且つ当該飲料の味を決定するベースとなる野菜があり、これまではニンジンとトマトがベース野菜の役割を主に果たしてきた。ニンジンは、加熱処理を行うとニンジン特有の甘味が生じるためそのままでも美味しい上に、野菜果汁飲料とする場合にも果汁との相性に優れている。これに対して、トマトは、トマトが本来有する独特の青臭みを有するため搾汁したままでは飲みにくい上に、果汁との相性もニンジンと比べて良いとはいえない。このため、トマトをベースとする野菜飲料は、食塩を添加する方法や、トマトとニンジンとを併用する方法や、果汁を添加する方法や、蜂蜜や人口甘味料等をマスキング剤として使用する方法などが用いられてきた。しかし、食塩を添加する方法ではトマト独特の青臭みが残るため、青果トマトが苦手なユーザーは飲用できない。また、トマトとニンジンとを併用する方法や、果汁を添加する方法や、蜂蜜や人口甘味料等を使用する方法などは、青果トマトが苦手なユーザーからは一定程度の評価が得られたものの、トマト本来の美味しさを犠牲にしている側面がある。特に、トマト含有飲料のヘビーユーザーにとっては、トマト本来の呈味から逸脱している感が否めない。よって、マスキング剤などの添加物を極力使用せずにトマト独特の青臭みが抑制され且つトマト本来の呈味を保持したトマト含有飲料が望まれていた。
本発明者らは、特願2011−94186において、トマト含有飲料における糖度及び糖酸比を従来のトマト含有飲料から逸脱した特定範囲に調整することにより、主原料となるトマト以外の野菜や果汁等を極力配合しなくても濃厚な味わいでフルーツトマトのような甘味があり且つトマトの酸味が抑制された新規なトマト含有飲料及びその製造方法、並びにトマト含有飲料の酸味抑制方法が得られるという知見に到達した。
特願2011−94186の発明は、酸味、甘味、濃厚さ及びその総合評価において極めて優れたものであるものの、トマト含有飲料のさらなる呈味性と香味性の向上を目指すべく改良の余地があった。
特開2011−103783 特開2008−43280 特開2009−284825 特開2010−213593
本発明は、トマト本来の自然のコク味や舌触りを維持・向上させながらも、喉越しや後味が大幅に改善され、併せて旨味や食感も改善がなされた容器詰トマト含有飲料、その製造方法及びトマト含有飲料の各種の呈味性及び/又は香味性を改善及び/又は向上する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、特願2011−94186の発明で得られた知見に基づき、トマト含有飲料の呈味性と香味性のさらなる向上を目指してトマト含有飲料の研究を更に鋭意進めたところ、トマト含有飲料に含まれる特定種のアミノ酸量に着目して原料を調整することにより、トマト独特の青臭みが抑制され且つトマト本来の呈味を保持したトマト含有飲料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
1. 下記条件(1)〜(4)の1又は2以上を満たすことを特徴とする容器詰トマト含有飲料。
(1) アスパラギン酸の含有量90mg/100mL以上
(2) アルギニンの含有量が17mg/100mL以上
(3) アスパラギンの含有量が40mg/100mL以上
(4) アラニンの含有量が20mg/100mL以上
2. 前記アミノ酸群[A]におけるグルタミン酸[G]の含有比率([G/A])が0.8以下であることを特徴とする上記1に記載の容器詰トマト含有飲料、
3. グルタミン酸の含有量が100mg/100mL以上であることを特徴とする上記1又は2に記載の容器詰トマト含有飲料、
4. アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニンからなるアミノ酸群[A]が300mg/100mL以上であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料、
5. Brixが4〜30であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料、
6. 果汁を実質的に含まないことを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料、
7. トマト以外の野菜を原料として使用しないことを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
8. 非アルコール性であることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
9. RTDであることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
10. 内溶液が非透明であることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
11. 下記工程(1)〜(4)の1又は2以上を含むことを特徴とする容器詰トマト含有飲料の製造方法、
(1) アスパラギン酸の含有量を90mg/100mL以上に調整する工程、
(2) アルギニンの含有量を17mg/100mL以上に調整する工程、
(3) アスパラギンの含有量を40mg/100mL以上に調整する工程、
(4) アラニンの含有量を20mg/100mL以上に調整する工程、
12. 下記条件(1)〜(4)の1又は2以上を満たすよう調整することを特徴とする容器詰トマト含有飲料の呈味性及び/又は香味性の改善方法、
(1) アスパラギン酸の含有量を90mg/100mL以上、
(2) アルギニンの含有量を17mg/100mL以上、
(3) アスパラギンの含有量を40mg/100mL以上、
(4) アラニンの含有量を20mg/100mL以上、
に関する。
本発明は、濃厚な味わいでフルーツトマトのような甘みがあり且つトマトの酸味が抑制された、飲料形態としておいしく飲める容器詰トマト含有飲料を提供することを目的とする。
本発明の容器詰トマト含有飲料は、(1)アスパラギン酸の含有量が90mg/100mL以上である、(2)アルギニンの含有量が17mg/100mL以上である、(3)アスパラギンの含有量が40mg/100mL以上である、(4)アラニンの含有量が20mg/100mL以上である、の1又は2以上の条件を満たすことを特徴とする。
本発明において「トマト含有飲料」とは、トマト搾汁液を原料として配合した飲料を意味するものであり、飲料全体に対するトマト搾汁液の含有量が50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上配合するのが望ましい(トマト高含有飲料)。なお、上記トマト搾汁の配合量はストレート換算したものであり、以下に詳細する野菜搾汁液や果汁の添加量についても同様にストレート換算したものである。また、本発明のトマト含有飲料の水色は特に限定されるものではないが、青果トマトが通常有する赤色系の色調を有するものであって少なくとも非透明であるのが好ましい。
トマトは一般的に野菜に分類されているが、「トマト加工食品表示基準」(平成21年5月19日農林水産省告示第670号)などの表示に関する各種法規制等により、商品における品名表示はトマト加工品、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマト果汁飲料、濃縮トマト、濃縮トマト飲料などと記載されることがあるが、本願発明はこれらを含むものである。よって、本願発明の実施形態によっては、野菜飲料や野菜果汁飲料ではなく、清涼飲料として分類されることもある。なお、本発明のトマト含有飲料は、濃縮還元したものであってもよい。
また、以下に詳説するが、本願発明のトマト含有飲料は、二酸化炭素などの気泡を吹き込むことにより炭酸飲料(清涼飲料)として提供することもできる。また、本発明のトマト含有飲料は、アルコール成分を添加してアルコール性飲料(炭酸性、非炭酸性)として提供することもできるが、アルコール成分を添加しない非アルコール性飲料として提供する方がトマト本来の風味を最大限に引き出すことができるためより好適である。
(トマト搾汁液)
トマト搾汁液とは、トマト果実を破砕して搾汁し、又は裏ごしし、皮、種子等を除去したもの(トマト搾汁)を利用することができる。トマト搾汁は、そのまま用いてもよいが、酵素処理など公知の方法で処理してもよい。また、トマト搾汁の原料となるトマト果実は、その品種、産地、熟度、大きさなどを適宜選択することができる。また、品種、産地、熟度、大きさ等が異なる二種類以上のトマト果実を原料としてブレンドすることもできる。
原料のトマト果実は、必要に応じて洗浄し、傷みの有無などで選別すればよい。その際、洗浄方法及び選別方法は、通常行われている任意の方法を採用することができる。
また、必要に応じて、トマト由来の酵素活性を失活させる処理を施してもよい。例えば70℃以上に加熱処理を行えばよい。
本トマト含有飲料に使用するトマト搾汁は、トマト果実を磨り潰し、裏ごしして果皮、種子などを除き、そのまま又は濃縮して得られるトマトペースト、トマトピューレ、トマト果汁、濃縮還元トマトなどを好ましく用いることができる。各種のトマト原料搾汁液の割合を調整することにより、所望のトマト含有飲料を得ることができる。
トマト搾汁の配合量は、飲料の種類によって適宜調整すればよい。例えば低カロリー飲料とする場合には、飲料100g当たり20kcal以下となるようにトマト搾汁の配合量を調整するのが好ましい。
本トマト含有飲料は、マスキング剤などの余分な添加物を極力しなくてもトマト独特の青臭みが抑制され且つトマト本来の呈味を保持するものである。よって、マスキング剤などの余分な添加物を極力しなくても本願発明の効果は発揮されるものであるが、消費者の嗜好などに合せてトマト以外の野菜搾汁や果汁などの添加を排除するものではない。この場合、トマト搾汁、野菜搾汁及び/又は果汁の総量においてトマト搾汁が占める割合を最も多くすることが重要であり、トマト搾汁の割合がトマト搾汁、野菜搾汁及び/又は果汁の総量に対して50〜100質量%、特に60〜100質量%、中でも特に70〜100質量%、さらには80〜100質量%、とりわけ90〜100質量%であるのが好ましい。
(野菜搾汁液)
上述のとおり、本トマト含有飲料は、消費者の嗜好に合せてトマト以外の野菜搾汁液を含むことができる。
この場合、野菜の搾汁とは、野菜を加熱処理や、十分な水洗い、水にさらす、薬品処理する等の非加熱処理を搾汁前後に施すなどして得られた野菜搾汁を用いることができる。さらに、前記野菜搾汁を特定の樹脂に通液するなどして野菜搾汁に含まれる特定の成分を除去した野菜搾汁も原料として用いることができる。また、これらの工程で得られた野菜搾汁を単独で用いることができるが、2種類以上を適宜用いることもできる。
この際、野菜としては、例えばニンジン、ナス、カボチャ、ピーマン、ゴーヤ、ナーベラ、トウガン、オクラ、トウガラシ、トウモロコシ、キュウリ等の果菜類、ニンジン、ゴボウ、タマネギ、タケノコ、レンコン、カブ、ダイコン、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ニンニク、ショウガ等の根菜類、モロヘイヤ、アスパラガス、セロリ、ケール、チンゲンサイ、ホウレンソウ、コマツナ、キャベツ、レタス、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワー、ミツバ、パセリ、ネギ、シュンギク、ニラ等の葉茎類等を挙げることができる。
中でも、トマトの風味を干渉しない点で、主に葉茎部を可食部とする野菜である葉物野菜が好ましく、例えばホウレンソウ、小松菜、カラシ菜、サラダ菜、春菊、白菜、レタス、芽キャベツ、キャベツ、チンゲン菜、シソの葉、ブロッコリー、モロヘイヤ、ネギ、ミズナ、ビート、チシャ、ターサイ、ケール、大麦若葉、セロリ、パセリ、ミツ葉、アスパラガス、クレソン、ニラ、高菜などを挙げることができ、さらにはモヤシ、ダイコンの葉部、サツマイモの葉部なども適宜利用できる。
なお、これらの野菜のいずれか1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本トマト含有飲料において、トマト搾汁液以外の野菜搾汁液の配合量は、トマトの風味に干渉し過ぎないようにするという観点から、飲料全体に対するトマト搾汁液以外の野菜搾汁液の配合割合(トマト搾汁液以外の野菜搾汁液/飲料全体)を0〜50質量%、特に0〜40質量%、中でも特に0〜30質量%、さらには0〜20質量%、とりわけ0〜10質量%であるのが好ましい。
また、使用する野菜の種類は1種類でもよいが、2種以上の野菜から得た搾汁液を混合して用いてよい。複数種類の野菜を配合した場合には、その全体に占める各種野菜の割合は適宜調整することができる。
(果汁)
上述のとおり、本トマト含有飲料は、消費者の嗜好に合せて果汁を含むことができる。この場合、果汁は単独で配合することもできるが、野菜搾汁と果汁を混合して配合してもよい。
配合し得る果汁の果実としては、例えば柑橘類果実(オレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等)、リンゴ、ブドウ、モモ、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、カシス、ブルーベリー、アセロラ、プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、ライチ、メロン、西洋ナシ、スモモ類等が挙げられる。
使用する果実の種類は1種類でもよいが、2種以上の果実から得た搾汁液を混合して用いてもよい。
本トマト含有飲料において、果汁の配合量は、トマトの風味に干渉し過ぎないようにするという観点から、飲料全体に対するトマト搾汁液以外の野菜搾汁液の配合割合(トマト搾汁液以外の野菜搾汁液/飲料全体)を0〜50質量%、特に0〜40質量%、中でも特に0〜30質量%、さらには0〜20質量%、とりわけ0〜10質量%であるのが好ましい。
(その他の成分)
本トマト含有飲料は、マスキング剤などの余分な添加物を極力しなくてもトマト独特の青臭みが抑制され且つトマト本来の呈味を保持するものである。よって、マスキング剤などの余分な添加物を極力しなくても本願発明の効果は発揮されるものであるが、消費者の嗜好などに合せて各種添加物などの添加を排除するものではない。特に、トマト果汁飲料やトマトミックスジュースなどが通常含有し得る成分、例えば、食塩、香辛料、酸味料、調味料、野菜や果実以外の農畜産物、着色料などを適宜加えることを排除するものではない。また、本トマト含有飲料は、各種食物繊維、各種甘味料、その他の成分を添加することもできる。
食物繊維としては、例えば難消化性デキストリン、ペクチン、グアー豆酵素分解物、グアーガム、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。また、不溶性食物繊維としては、例えばセルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサンなどが挙げられる。なかでも、製品の粘性や粒度、さらには透明性の観点から、難消化性デキストリン、ペクチンが好ましい。具体的には、難消化性デキストリンについてはその機能性を特に期待することができる。ペクチンについては、飲料の可溶性部分(上清)の粘度を上げて透明化を抑制することができる。
本トマト含有飲料においては、上記食物繊維から選ばれる1種又は2種以上の食物繊維、特に添加型食物繊維を0.01〜4.0質量%、好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.03〜2.5質量%含有してもよい。
甘味料としては、例えば砂糖、蔗糖、果糖ぶどう糖液糖、果糖、異性化糖、グルコース、フラクトース、トレハロース、ラクトース、キシロース、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム、キシリトール、D−ソルビトール、D−マンニトール等を挙げることができる。
本トマト含有飲料においては、上記甘味料から選ばれる1種又は2種以上の甘味料をトマト搾汁100質量%に対して0.0005〜0.05質量%、特に0.003〜0.03質量%、中でも特に0.005〜0.015質量%含有してもよい。
その他の成分としては、トマト独特の青臭みが抑制され且つトマト本来の呈味を保持するという本願発明の効果を阻害するものでない限りにおいて添加することができる。例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料;酸化防止剤;炭酸水素ナトリウム(重曹)等のpH調整剤;グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤;食物繊維、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナイアシン、パントテン酸等の強化剤;各種乳酸菌やこれを含む発酵乳等をさらに含有していてもよい。
さらに、本トマト含有飲料は、二酸化炭素などの気泡を封入することにより、発泡性飲料又は炭酸飲料の形態でも提供することができる。また、本トマト含有飲料は、アルコールを含まない非アルコール性飲料であるのが好ましいが、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、アルコール性飲料として提供することもでき、かかるアルコール性飲料は炭酸性と非炭酸性とのいずれであってもよい。
(容器)
本トマト含有飲料を充填する容器は、特に限定するものではない。例えば金属缶(スチール缶、アルミニウム缶など)、PET容器、紙容器、壜等を挙げることができる。容器の形状や色彩は問わないが、市場性や簡便性を考慮すると、金属缶、PET容器、紙容器を用いるのが好ましく、さらにPET容器は透明、半透明、不透明のいずれを用いてもよい。
(RTD)
本発明の容器詰トマト含有飲料は、濃縮加工したものを容器詰したものであってもよいが、購入後にそのまま飲用することができるRTD(Ready To Drink)であることが、ユーザーの簡便性の観点から優れている。
(容器詰野菜飲料の製造方法)
本発明の容器詰トマト含有飲料は、上述のトマト搾汁を調製した後、必要であればホモジナイザー処理を行い、その後、必要に応じて水、食塩、香辛料、酸味料、調味料などを加えて味、濃度、成分値などを調整して、殺菌及び容器充填するなどして製造することができる。
(アスパラギン酸)
本発明の容器詰トマト含有飲料のアスパラギン酸量は、90mg/100mL以上であるのが好ましく、90〜160mg/100mLがより好ましく、95〜155mg/100mLがより好ましく、100〜150mg/100mLがさらに好ましく、105〜150mg/100mLが最も好ましい。アスパラギン酸量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるアスパラギン酸量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
例えば、トマトにおけるアスパラギン酸量は、トマト実が若くて青い段階と、熟して赤くなった段階との両方が最も多く含まれている段階であり、その間の成長段階におけるアスパラギン酸量は減少する傾向にある(例えば、J. Japan. Soc. Hort. Sci., 49(3):435−441, 1980)。
また、アスパラギン酸量を高める他の方法としては、アスパラギン酸や、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(アルギニン)
本発明の容器詰トマト含有飲料のアルギニン量は、17mg/100mL以上であるのが好ましく、17〜50mg/100mLがより好ましく、17〜40mg/100mLがより好ましく、20〜40mg/100mLがさらに好ましく、25〜35mg/100mLが最も好ましい。アルギニン量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるアルギニン量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
例えば、トマトにおけるアルギニン量は、トマト実が若くて青い段階では比較的少なく、熟して赤くなった段階で増加する傾向にある(例えば、J. Japan. Soc. Hort. Sci., 49(3):435−441, 1980)。
また、アルギニン量を高める他の方法としては、アルギニンや、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(アスパラギン)
本発明の容器詰トマト含有飲料のアスパラギン量は、40mg/100mL以上であるのが好ましく、40〜100mg/100mLがより好ましく、40〜90mg/100mLがより好ましく、45〜80mg/100mLがさらに好ましく、50〜70mg/100mLが最も好ましい。
アスパラギン量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるアスパラギン量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
また、アスパラギン量を高める他の方法としては、アスパラギンや、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(アラニン)
本発明の容器詰トマト含有飲料のアラニン量は、20mg/100mL以上であるのが好ましく、20〜50mg/100mLがより好ましく、23〜45mg/100mLがより好ましく、25〜45mg/100mLがさらに好ましく、28〜45mg/100mLが最も好ましい。
例えば、トマトにおけるアラニン量は、トマト実が若くて青い段階では比較的少なく、熟して赤くなった段階で増加する傾向にある(例えば、J. Japan. Soc. Hort. Sci., 49(3):435−441, 1980)。
アラニン量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるアラニン量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
また、アラニン量を高める他の方法としては、アラニンや、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(グルタミン酸)
本発明の容器詰トマト含有飲料のグルタミン酸量は、100mg/100mL以上であるのが好ましく、160〜500mg/100mLがより好ましく、160〜400mg/100mLがより好ましく、245〜400mg/100mLがさらに好ましく、200〜280mg/100mLが最も好ましい。
グルタミン酸量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるグルタミン酸量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
また、グルタミン酸量を高める他の方法としては、グルタミン酸や、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(アミノ酸類)
本発明の容器詰トマト含有飲料のアミノ酸量は、300mg/100mL以上であるのが好ましく、300〜1000mg/100mLがより好ましく、300〜800mg/100mLがより好ましく、410〜750mg/100mLがさらに好ましく、450〜590mg/100mLが最も好ましい。なお、本発明におけるアミノ酸類は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニンからなる群の総称である。
アミノ酸量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるアミノ酸量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
なお、各アミノ酸量の測定は、公知の方法を用いればよく、例えばAllianceシステム(Waters株式会社製)を用いて、HPLC法(蛍光検出)に基づいて各種アミノ酸の含有量を求めることができる。
(グルタミン酸/アミノ酸)
本発明の容器詰トマト含有飲料における、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニンからなるアミノ酸群[A]におけるグルタミン酸[G]の重量比率([G]/[A])は、トマト本来の自然な旨味やコク味を引き出す観点から、0.8以下、とりわけ0.1〜0.8が好ましく、0.3〜0.65がより好ましく、0.4〜0.55がさらに好ましく、0.4〜0.5がさらに最も好ましい。
また、アミノ酸類量を高める他の方法としては、各種アミノ酸類や、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(Brix)
本発明の容器詰トマト含有飲料のBrixは、4〜30が好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が最も好ましい。Brix値の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料のBrix値やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
また、Brix値を高める他の方法としては、人口甘味料を含む各種甘味料、甘味成分を含む天然由来原料、多糖類をはじめとする各種食物繊維などを添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
Brixの測定方法は、公知の方法を用いればよく、例えば光学屈折率計(アタゴ社製、Digital Refractometers、RX5000α−Bev)を用いることができる。
(タンパク質)
本発明の容器詰トマト含有飲料におけるタンパク質量は、トマト本来の自然な旨味やコク味を引き出す観点から、0.5〜2.0g/100mLが好ましく、0.7〜1.8g/100mLがより好ましく、0.9〜1.6g/100mLがさらに好ましく、1.0〜1.5g/100mLが最も好ましい。
また、タンパク質量を高める他の方法としては、各種タンパク質や、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
なお、各タンパク質量の測定は、公知の方法を用いればよく、例えば分光光度計 U−3310(日立社製)などで測定することができる。
(リコピン)
本発明の容器詰トマト含有飲料におけるリコピン量は、5〜500mg/Lが好ましく、8〜500mg/Lがより好ましく、10〜250mg/Lがさらに好ましく、10〜180mg/Lが最も好ましい。
また、リコピン質量を調整する方法としては、リコピンや、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
なお、リコピン量の測定は、公知の方法を用いればよく、例えば社団法人 全国トマト加工品・調味料検査協会編集の「分析便覧」,トマト加工品・ソース類・食酢関係(PART1),昭和56年3月、8〜9頁に記載の方法に基づき、分光光度計 U−2100(日立社製)などで測定することができる。
(ビタミン類)
本発明の容器詰トマト含有飲料は、抗酸化作用を有するといわれるビタミンAやビタミンCを含むことが好ましい。具体的には、ビタミンA含有量は、飲料100mLあたり200〜800μgであるのが好ましく、350〜800μgであるのが特に好ましい。ビタミンC含有量は、飲料100mLあたり200〜800mgであるのが好ましく、300〜800mgであるのがより好ましく、400〜800mgであるのが特に好ましい。
各種ビタミン類量を調整する方法としては、各種ビタミン類量や、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましい。
(ナトリウム)
本発明の容器詰トマト含有飲料におけるナトリウム量は、1〜100mg/100mLが好ましく、10〜80mg/100mLがより好ましく、20〜60mg/100mLがさらに好ましく、25〜55mg/100mLが最も好ましい。
また、ナトリウム量を調整する方法としては、ナトリウムや、これを含有する天然由来原料(例えば食塩)などを別途添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(カリウム)
本発明の容器詰トマト含有飲料におけるカリウム量は、30〜1000mg/100mLが好ましく、50〜800mg/100mLがより好ましく、100〜700mg/100mLがさらに好ましく、300〜600mg/100mLが最も好ましい。
また、カリウム量を調整する方法としては、カリウムや、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(カリウム/ナトリウム)
トマト含有飲料におけるナトリウムやカリウムなどのミネラル成分は、これらの含有量や含有割合によってはトマト含有飲料のコク味や雑味となり呈味性に影響を与えることがある。トマト含有飲料におけるナトリウム[Na]とカリウム[K]との含有比率([K]/[Na])は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、2〜15がさらに好ましく、5〜15が最も好ましい。
(カルシウム)
また、本発明の容器詰トマト含有飲料におけるカルシウム量は、1〜100mg/100mLが好ましく、3〜80mg/100mLがより好ましく、5〜50mg/100mLがさらに好ましく、10〜30mg/100mLがまたさらに好ましく、15〜25mg/100mLが最も好ましい。
(粘度)
本発明の容器詰トマト含有飲料の粘度は、喉越し、風味の観点から、250cP以上、特に300〜1000cP、なかでも300〜600cPであるのが好ましい。粘性の調整には、多糖類を添加するなどの方法により調整することができる。
なお、容器詰トマト含有飲料の粘度は、公知の方法を用いればよく、例えば市販の粘度計により測定することができる。
(pH)
本発明の容器詰トマト含有飲料のpHは、4.0〜5.0であるのが好ましく、4.2〜5.0であるのがより好ましく、4.3〜4.8であるのがさらに好ましく、4.4〜4.6であるのが最も好ましい。pHの調整はアスコルビン酸類や重炭酸ナトリウムなどを用いる方法により調整することができる。
(粒子径)
本野菜飲料において、トマト由来の粒子の平均粒子径は70μm〜250μmであるのが好ましく、特に100μm〜230μm、その中でも特に180μm〜230μmであるのがさらに好ましい。トマト由来の粒子の平均粒子径が70μm〜250μmであれば、よりなめらかな食感を得ることができる。
容器詰トマト含有飲料の粒子径は、公知の方法を用いればよく、例えば島津製作所社製のレーザ解析式粒度分布測定装置SALD−2100によって測定することができる。
(Brix)
本発明の容器詰トマト含有飲料のBrixは、トマト本来の自然な甘味やコク味を引き出す観点から、4以上が好ましく、6〜12がより好ましく、7〜11がさらに好ましく、9〜10が最も好ましい。Brixが4を下回ると、トマト含有飲料が有するトマト由来の美味しさが保ち難くなり、Brixが12を上回ると、トマト含有飲料が有するトマト由来の美味しさが崩れてしまいがちになる。
Brix値の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料のBrix値やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
また、Brix値を調整する方法としては、人口甘味料を含む各種甘味料、甘味成分を含む天然由来原料、多糖類をはじめとする各種食物繊維などを添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
Brixの測定方法は、公知の方法を用いればよく、例えば光学屈折率計(アタゴ社製、Digital Refractometers、RX5000α−Bev)を用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1:本発明品1〜4)
まず、市販のトマトペースト(Brix:28)、市販の混濁濃縮トマト汁A(Bx40)、市販の透明トマト汁B(Brix:60)、酸味を低減した脱酸トマト汁C(Brix15)を用意した。
本発明品1の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト(25.6%)、トマト汁A(5.25%)、トマト汁C(1.2%)の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、缶容器に充填後にレトルト殺菌(122℃、30秒)を施し、冷却することにより容器詰トマト含有飲料を得た。
本発明品2の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト(27.0%)、トマト汁A(3.6%)、トマト汁C(4.9%)の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、缶容器に充填後にレトルト殺菌(122℃、30秒)を施し、冷却することにより容器詰トマト含有飲料を得た。
本発明品3の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト(28.9%)、トマト汁A(3.0%)、トマト汁C(2.1%)の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、混合液に128℃で30秒の殺菌処理をして冷却した後、紙容器に充填した。
本発明品4の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト(27.0%)、トマト汁B(2.47%)、トマト汁C(3.7%)の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、混合液に128℃で30秒の殺菌処理をして冷却した後、紙容器に充填した。
(表1)
(実施例2:本発明品5〜6)
本発明品5の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト、トマト汁B、トマト汁Cを表1に記載の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、混合液に128℃で30秒の殺菌処理をして冷却した後、紙容器に充填した。
本発明品6の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト、トマト汁B、トマト汁Cを表1に記載の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、混合液に128℃で30秒の殺菌処理をして冷却した後、紙容器に充填した。
(表2)
(実施例3:比較品1〜3)
比較品1〜3のトマト含有飲料は、いずれも市販のトマト含有飲料を購入して評価したものである。比較品1には、市販の缶容器詰トマトジュース(トマト100%:JAS規格に指定された食塩添加トマトジュース)を、比較品2には、市販の小型PET容器詰トマトジュース(トマト100%:JAS規格に指定された食塩無添加トマトジュース)を、比較品3には、市販の大型PET容器詰トマトジュース(トマト100%:JAS規格に指定された食塩無添加トマトジュース)をそれぞれ用いて分析・評価した。
(実施例4:比較品4〜5)
比較品4〜5のトマト含有飲料は、市販の青果トマト2品(比較品4:広島県産、比較品5:静岡県産)を購入し、これらを搾汁することにより搾汁液を得たものである。得られた搾汁液を、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、缶容器に充填した後にレトルト殺菌(122℃、30秒)を施し、冷却することにより得たものである。
本発明品1〜6及び比較品1〜5の各種測定及び評価は、以下の通り実施した。
<Brix>
光学屈折率計(アタゴ社製、Digital Refractometers、RX5000α−Bev)を用いて、Brixを測定した。
<アミノ酸類>
Allianceシステム(Waters株式会社製)を用いて、HPLC法(蛍光検出)に基づいて各種アミノ酸の含有量を求めた。
サンプル調整法:
サンプルを適量はかりとり、蒸留水に懸濁後、フィルターろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器
検出波長:励起335nm エミッション450nm
<粘度>
TVB−10型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、回転数60rpm及び30秒の条件下で、粘度を測定した(表中の数値は、3回の平均値である)。なお、粘度の測定域を外れる場合は回転数を適宜変更し測定した。
<官能評価試験>
トマト含有飲料の官能評価試験は、10人のパネラーに委託して行い、各項目を以下に示す基準で評価したものである。ここで、表中の数値は、10人のパネラーの評価の平均値である。
<評価項目>
1.コク味
2.喉越し
3.旨味
4.食感
5.舌触り
6.後味
7.総合評価
<評点(総合評価を除く)>
5点:非常に良い
4点:良い
3点:どちらでもない
2点:悪い
1点:非常に弱い
<総合評価>
各評価項目を総合的に勘案して、商品としての適性を評価した。
○:商品としての適性に優れている
△:商品としての適性は標準的である
×:商品としての適性に劣っている
(表3)
(表4)
(考察)
本発明品1〜6は、比較品1〜5と比較して、コク味、喉越し、旨味、食感、舌触り、後味及びその総合評価のいずれの項目において優れていた。とりわけ、本発明品1〜6は、コク味や舌触りを保持しながらも喉越しや後味において大幅な改善が見られた。また、本発明品1〜6は、市販のトマトを搾汁したままで容器詰した比較品4〜5との差は顕著であった。これらの試験結果は、トマト含有飲料におけるコク味、喉越し、旨味、食感、舌触り、後味を向上させる上では、原料トマト搾汁液におけるアスパラギン酸、アルギニン、アスパラギン、アラニンに着目し、かかる成分含有量を所定の範囲内に調整するように配合することが重要であることを示している。
本発明によれば、トマト本来の自然のコク味や舌触りを維持・向上させながらも、喉越しや後味が大幅に改善され、併せて旨味や食感も改善がなされた容器詰トマト含有飲料が得られる。
本発明は、容器詰トマト含有飲料及びその製造方法、並びに容器詰トマト含有飲料の呈味性向上方法に関する。
近年、消費者における健康志向や食生活の乱れにより、野菜を摂取する重要性が注目されている。しかし、野菜の調理には手間隙がかかることに加えて、保存期間も短いため、簡便に野菜を摂取することができ且つ長期保存が可能な容器詰野菜飲料が広く消費者に受け入れられるようになっていきてる。
これに伴い、容器詰野菜飲料に対する消費者ニーズが多様化するようになった。例えば、1種類又は2種類以上の野菜のみ又はこれに少量の添加物等を加えた野菜飲料は、野菜摂取量を重視するユーザーに好まれる傾向があるが、野菜の配合割合が高いと野菜独特の臭みが抜けきらず飲用しにくく、一般ユーザーに広く受け入れられにくいという問題があった。この問題を改善するため、1種類又は2種類以上の野菜に、果汁や添加物を加えて野菜独特の臭みをマスキングすることにより、野菜独特の臭みが苦手なユーザーにも飲みやすい野菜果汁飲料が開発され、幅広く飲用されている。さらに、市場ではあまり一般的とはいえないが、例えば人口甘味料等のマスキング剤を添加する方法(特許文献1)や、発酵豆乳や発酵乳を添加する方法(特許文献2,3)や、野菜飲料に炭酸を吹き込む等の方法(特許文献4)により、野菜独特の臭みをマスキングしようという試みもある。
容器詰野菜飲料は、その主原料であり且つ当該飲料の味を決定するベースとなる野菜があり、これまではニンジンとトマトがベース野菜の役割を主に果たしてきた。ニンジンは、加熱処理を行うとニンジン特有の甘味が生じるためそのままでも美味しい上に、野菜果汁飲料とする場合にも果汁との相性に優れている。これに対して、トマトは、トマトが本来有する独特の青臭みを有するため搾汁したままでは飲みにくい上に、果汁との相性もニンジンと比べて良いとはいえない。このため、トマトをベースとする野菜飲料は、食塩を添加する方法や、トマトとニンジンとを併用する方法や、果汁を添加する方法や、蜂蜜や人口甘味料等をマスキング剤として使用する方法などが用いられてきた。しかし、食塩を添加する方法ではトマト独特の青臭みが残るため、青果トマトが苦手なユーザーは飲用できない。また、トマトとニンジンとを併用する方法や、果汁を添加する方法や、蜂蜜や人口甘味料等を使用する方法などは、青果トマトが苦手なユーザーからは一定程度の評価が得られたものの、トマト本来の美味しさを犠牲にしている側面がある。特に、トマト含有飲料のヘビーユーザーにとっては、トマト本来の呈味から逸脱している感が否めない。よって、マスキング剤などの添加物を極力使用せずにトマト独特の青臭みが抑制され且つトマト本来の呈味を保持したトマト含有飲料が望まれていた。
本発明者らは、特願2011−94186において、トマト含有飲料における糖度及び糖酸比を従来のトマト含有飲料から逸脱した特定範囲に調整することにより、主原料となるトマト以外の野菜や果汁等を極力配合しなくても濃厚な味わいでフルーツトマトのような甘味があり且つトマトの酸味が抑制された新規なトマト含有飲料及びその製造方法、並びにトマト含有飲料の酸味抑制方法が得られるという知見に到達した。
特願2011−94186の発明は、酸味、甘味、濃厚さ及びその総合評価において極めて優れたものであるものの、トマト含有飲料のさらなる呈味性と香味性の向上を目指すべく改良の余地があった。
特開2011−103783 特開2008−43280 特開2009−284825 特開2010−213593
本発明は、トマト本来の自然のコク味や舌触りを維持・向上させながらも、喉越しや後味が大幅に改善され、併せて旨味や食感も改善がなされた容器詰トマト含有飲料、その製造方法及びトマト含有飲料の各種の呈味性及び/又は香味性を改善及び/又は向上する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、特願2011−94186の発明で得られた知見に基づき、トマト含有飲料の呈味性と香味性のさらなる向上を目指してトマト含有飲料の研究を更に鋭意進めたところ、トマト含有飲料に含まれる特定種のアミノ酸量に着目して原料を調整することにより、トマト独特の青臭みが抑制され且つトマト本来の呈味を保持したトマト含有飲料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
1.下記条件(1)〜(4)の1又は2以上を満たすと共に、Brixが4〜30であることを特徴とする容器詰トマト含有飲料。
(1) アスパラギン酸の含有量90mg/100mL以上
(2) アルギニンの含有量が17mg/100mL以上
(3) アスパラギンの含有量が40mg/100mL以上
(4) アラニンの含有量が20mg/100mL以上
2.アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニンからなるアミノ酸群[A]におけるグルタミン酸[G]の含有比率([G/A])が0.8以下であることを特徴とする上記1に記載の容器詰トマト含有飲料。
3.グルタミン酸の含有量が100mg/100mL以上であることを特徴とする上記1又は2に記載の容器詰トマト含有飲料。
4.アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニンからなるアミノ酸群[A]が300mg/100mL以上であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
5.果汁を実質的に含まないことを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
6.トマト以外の野菜を原料として使用しないことを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料
7.非アルコール性であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
8.RTDであることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
9.内溶液が非透明であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
10.下記工程(1)〜(4)の1又は2以上を含むと共に、Brixが4〜30に調整されることを特徴とする容器詰トマト含有飲料の製造方法。
(1) アスパラギン酸の含有量を90mg/100mL以上に調整する工程
(2) アルギニンの含有量を17mg/100mL以上に調整する工程
(3) アスパラギンの含有量を40mg/100mL以上に調整する工程
(4) アラニンの含有量を20mg/100mL以上に調整する工程
11.下記条件(1)〜(4)の1又は2以上を満たすと共に、Brixが4〜30に調整されることを特徴とする容器詰トマト含有飲料の呈味性及び/又は香味性の改善方法。
(1) アスパラギン酸の含有量を90mg/100mL以上
(2) アルギニンの含有量を17mg/100mL以上
(3) アスパラギンの含有量を40mg/100mL以上
(4) アラニンの含有量を20mg/100mL以上
に関する。
本発明は、濃厚な味わいでフルーツトマトのような甘みがあり且つトマトの酸味が抑制された、飲料形態としておいしく飲める容器詰トマト含有飲料を提供することを目的とする。
本発明の容器詰トマト含有飲料は、(1)アスパラギン酸の含有量が90mg/100mL以上である、(2)アルギニンの含有量が17mg/100mL以上である、(3)アスパラギンの含有量が40mg/100mL以上である、(4)アラニンの含有量が20mg/100mL以上である、の1又は2以上の条件を満たすことを特徴とする。
本発明において「トマト含有飲料」とは、トマト搾汁液を原料として配合した飲料を意味するものであり、飲料全体に対するトマト搾汁液の含有量が50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上配合するのが望ましい(トマト高含有飲料)。なお、上記トマト搾汁の配合量はストレート換算したものであり、以下に詳細する野菜搾汁液や果汁の添加量についても同様にストレート換算したものである。また、本発明のトマト含有飲料の水色は特に限定されるものではないが、青果トマトが通常有する赤色系の色調を有するものであって少なくとも非透明であるのが好ましい。
トマトは一般的に野菜に分類されているが、「トマト加工食品表示基準」(平成21年5月19日農林水産省告示第670号)などの表示に関する各種法規制等により、商品における品名表示はトマト加工品、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマト果汁飲料、濃縮トマト、濃縮トマト飲料などと記載されることがあるが、本願発明はこれらを含むものである。よって、本願発明の実施形態によっては、野菜飲料や野菜果汁飲料ではなく、清涼飲料として分類されることもある。なお、本発明のトマト含有飲料は、濃縮還元したものであってもよい。
また、以下に詳説するが、本願発明のトマト含有飲料は、二酸化炭素などの気泡を吹き込むことにより炭酸飲料(清涼飲料)として提供することもできる。また、本発明のトマト含有飲料は、アルコール成分を添加してアルコール性飲料(炭酸性、非炭酸性)として提供することもできるが、アルコール成分を添加しない非アルコール性飲料として提供する方がトマト本来の風味を最大限に引き出すことができるためより好適である。
(トマト搾汁液)
トマト搾汁液とは、トマト果実を破砕して搾汁し、又は裏ごしし、皮、種子等を除去したもの(トマト搾汁)を利用することができる。トマト搾汁は、そのまま用いてもよいが、酵素処理など公知の方法で処理してもよい。また、トマト搾汁の原料となるトマト果実は、その品種、産地、熟度、大きさなどを適宜選択することができる。また、品種、産地、熟度、大きさ等が異なる二種類以上のトマト果実を原料としてブレンドすることもできる。
原料のトマト果実は、必要に応じて洗浄し、傷みの有無などで選別すればよい。その際、洗浄方法及び選別方法は、通常行われている任意の方法を採用することができる。
また、必要に応じて、トマト由来の酵素活性を失活させる処理を施してもよい。例えば70℃以上に加熱処理を行えばよい。
本トマト含有飲料に使用するトマト搾汁は、トマト果実を磨り潰し、裏ごしして果皮、種子などを除き、そのまま又は濃縮して得られるトマトペースト、トマトピューレ、トマト果汁、濃縮還元トマトなどを好ましく用いることができる。各種のトマト原料搾汁液の割合を調整することにより、所望のトマト含有飲料を得ることができる。
トマト搾汁の配合量は、飲料の種類によって適宜調整すればよい。例えば低カロリー飲料とする場合には、飲料100g当たり20kcal以下となるようにトマト搾汁の配合量を調整するのが好ましい。
本トマト含有飲料は、マスキング剤などの余分な添加物を極力しなくてもトマト独特の青臭みが抑制され且つトマト本来の呈味を保持するものである。よって、マスキング剤などの余分な添加物を極力しなくても本願発明の効果は発揮されるものであるが、消費者の嗜好などに合せてトマト以外の野菜搾汁や果汁などの添加を排除するものではない。この場合、トマト搾汁、野菜搾汁及び/又は果汁の総量においてトマト搾汁が占める割合を最も多くすることが重要であり、トマト搾汁の割合がトマト搾汁、野菜搾汁及び/又は果汁の総量に対して50〜100質量%、特に60〜100質量%、中でも特に70〜100質量%、さらには80〜100質量%、とりわけ90〜100質量%であるのが好ましい。
(野菜搾汁液)
上述のとおり、本トマト含有飲料は、消費者の嗜好に合せてトマト以外の野菜搾汁液を含むことができる。
この場合、野菜の搾汁とは、野菜を加熱処理や、十分な水洗い、水にさらす、薬品処理する等の非加熱処理を搾汁前後に施すなどして得られた野菜搾汁を用いることができる。さらに、前記野菜搾汁を特定の樹脂に通液するなどして野菜搾汁に含まれる特定の成分を除去した野菜搾汁も原料として用いることができる。また、これらの工程で得られた野菜搾汁を単独で用いることができるが、2種類以上を適宜用いることもできる。
この際、野菜としては、例えばニンジン、ナス、カボチャ、ピーマン、ゴーヤ、ナーベラ、トウガン、オクラ、トウガラシ、トウモロコシ、キュウリ等の果菜類、ニンジン、ゴボウ、タマネギ、タケノコ、レンコン、カブ、ダイコン、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ニンニク、ショウガ等の根菜類、モロヘイヤ、アスパラガス、セロリ、ケール、チンゲンサイ、ホウレンソウ、コマツナ、キャベツ、レタス、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワー、ミツバ、パセリ、ネギ、シュンギク、ニラ等の葉茎類等を挙げることができる。
中でも、トマトの風味を干渉しない点で、主に葉茎部を可食部とする野菜である葉物野菜が好ましく、例えばホウレンソウ、小松菜、カラシ菜、サラダ菜、春菊、白菜、レタス、芽キャベツ、キャベツ、チンゲン菜、シソの葉、ブロッコリー、モロヘイヤ、ネギ、ミズナ、ビート、チシャ、ターサイ、ケール、大麦若葉、セロリ、パセリ、ミツ葉、アスパラガス、クレソン、ニラ、高菜などを挙げることができ、さらにはモヤシ、ダイコンの葉部、サツマイモの葉部なども適宜利用できる。
なお、これらの野菜のいずれか1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本トマト含有飲料において、トマト搾汁液以外の野菜搾汁液の配合量は、トマトの風味に干渉し過ぎないようにするという観点から、飲料全体に対するトマト搾汁液以外の野菜搾汁液の配合割合(トマト搾汁液以外の野菜搾汁液/飲料全体)を0〜50質量%、特に0〜40質量%、中でも特に0〜30質量%、さらには0〜20質量%、とりわけ0〜10質量%であるのが好ましい。
また、使用する野菜の種類は1種類でもよいが、2種以上の野菜から得た搾汁液を混合して用いてよい。複数種類の野菜を配合した場合には、その全体に占める各種野菜の割合は適宜調整することができる。
(果汁)
上述のとおり、本トマト含有飲料は、消費者の嗜好に合せて果汁を含むことができる。この場合、果汁は単独で配合することもできるが、野菜搾汁と果汁を混合して配合してもよい。
配合し得る果汁の果実としては、例えば柑橘類果実(オレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等)、リンゴ、ブドウ、モモ、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、カシス、ブルーベリー、アセロラ、プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、ライチ、メロン、西洋ナシ、スモモ類等が挙げられる。
使用する果実の種類は1種類でもよいが、2種以上の果実から得た搾汁液を混合して用いてもよい。
本トマト含有飲料において、果汁の配合量は、トマトの風味に干渉し過ぎないようにするという観点から、飲料全体に対するトマト搾汁液以外の野菜搾汁液の配合割合(トマト搾汁液以外の野菜搾汁液/飲料全体)を0〜50質量%、特に0〜40質量%、中でも特に0〜30質量%、さらには0〜20質量%、とりわけ0〜10質量%であるのが好ましい。
(その他の成分)
本トマト含有飲料は、マスキング剤などの余分な添加物を極力しなくてもトマト独特の青臭みが抑制され且つトマト本来の呈味を保持するものである。よって、マスキング剤などの余分な添加物を極力しなくても本願発明の効果は発揮されるものであるが、消費者の嗜好などに合せて各種添加物などの添加を排除するものではない。特に、トマト果汁飲料やトマトミックスジュースなどが通常含有し得る成分、例えば、食塩、香辛料、酸味料、調味料、野菜や果実以外の農畜産物、着色料などを適宜加えることを排除するものではない。また、本トマト含有飲料は、各種食物繊維、各種甘味料、その他の成分を添加することもできる。
食物繊維としては、例えば難消化性デキストリン、ペクチン、グアー豆酵素分解物、グアーガム、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。また、不溶性食物繊維としては、例えばセルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサンなどが挙げられる。なかでも、製品の粘性や粒度、さらには透明性の観点から、難消化性デキストリン、ペクチンが好ましい。具体的には、難消化性デキストリンについてはその機能性を特に期待することができる。ペクチンについては、飲料の可溶性部分(上清)の粘度を上げて透明化を抑制することができる。
本トマト含有飲料においては、上記食物繊維から選ばれる1種又は2種以上の食物繊維、特に添加型食物繊維を0.01〜4.0質量%、好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.03〜2.5質量%含有してもよい。
甘味料としては、例えば砂糖、蔗糖、果糖ぶどう糖液糖、果糖、異性化糖、グルコース、フラクトース、トレハロース、ラクトース、キシロース、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム、キシリトール、D−ソルビトール、D−マンニトール等を挙げることができる。
本トマト含有飲料においては、上記甘味料から選ばれる1種又は2種以上の甘味料をトマト搾汁100質量%に対して0.0005〜0.05質量%、特に0.003〜0.03質量%、中でも特に0.005〜0.015質量%含有してもよい。
その他の成分としては、トマト独特の青臭みが抑制され且つトマト本来の呈味を保持するという本願発明の効果を阻害するものでない限りにおいて添加することができる。例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料;酸化防止剤;炭酸水素ナトリウム(重曹)等のpH調整剤;グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤;食物繊維、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナイアシン、パントテン酸等の強化剤;各種乳酸菌やこれを含む発酵乳等をさらに含有していてもよい。
さらに、本トマト含有飲料は、二酸化炭素などの気泡を封入することにより、発泡性飲料又は炭酸飲料の形態でも提供することができる。また、本トマト含有飲料は、アルコールを含まない非アルコール性飲料であるのが好ましいが、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、アルコール性飲料として提供することもでき、かかるアルコール性飲料は炭酸性と非炭酸性とのいずれであってもよい。
(容器)
本トマト含有飲料を充填する容器は、特に限定するものではない。例えば金属缶(スチール缶、アルミニウム缶など)、PET容器、紙容器、壜等を挙げることができる。容器の形状や色彩は問わないが、市場性や簡便性を考慮すると、金属缶、PET容器、紙容器を用いるのが好ましく、さらにPET容器は透明、半透明、不透明のいずれを用いてもよい。
(RTD)
本発明の容器詰トマト含有飲料は、濃縮加工したものを容器詰したものであってもよいが、購入後にそのまま飲用することができるRTD(Ready To Drink)であることが、ユーザーの簡便性の観点から優れている。
(容器詰野菜飲料の製造方法)
本発明の容器詰トマト含有飲料は、上述のトマト搾汁を調製した後、必要であればホモジナイザー処理を行い、その後、必要に応じて水、食塩、香辛料、酸味料、調味料などを加えて味、濃度、成分値などを調整して、殺菌及び容器充填するなどして製造することができる。
(アスパラギン酸)
本発明の容器詰トマト含有飲料のアスパラギン酸量は、90mg/100mL以上であるのが好ましく、90〜160mg/100mLがより好ましく、95〜155mg/100mLがより好ましく、100〜150mg/100mLがさらに好ましく、105〜150mg/100mLが最も好ましい。アスパラギン酸量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるアスパラギン酸量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
例えば、トマトにおけるアスパラギン酸量は、トマト実が若くて青い段階と、熟して赤くなった段階との両方が最も多く含まれている段階であり、その間の成長段階におけるアスパラギン酸量は減少する傾向にある(例えば、J. Japan. Soc. Hort. Sci., 49(3):435−441, 1980)。
また、アスパラギン酸量を高める他の方法としては、アスパラギン酸や、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(アルギニン)
本発明の容器詰トマト含有飲料のアルギニン量は、17mg/100mL以上であるのが好ましく、17〜50mg/100mLがより好ましく、17〜40mg/100mLがより好ましく、20〜40mg/100mLがさらに好ましく、25〜35mg/100mLが最も好ましい。アルギニン量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるアルギニン量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
例えば、トマトにおけるアルギニン量は、トマト実が若くて青い段階では比較的少なく、熟して赤くなった段階で増加する傾向にある(例えば、J. Japan. Soc. Hort. Sci., 49(3):435−441, 1980)。
また、アルギニン量を高める他の方法としては、アルギニンや、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(アスパラギン)
本発明の容器詰トマト含有飲料のアスパラギン量は、40mg/100mL以上であるのが好ましく、40〜100mg/100mLがより好ましく、40〜90mg/100mLがより好ましく、45〜80mg/100mLがさらに好ましく、50〜70mg/100mLが最も好ましい。
アスパラギン量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるアスパラギン量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
また、アスパラギン量を高める他の方法としては、アスパラギンや、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(アラニン)
本発明の容器詰トマト含有飲料のアラニン量は、20mg/100mL以上であるのが好ましく、20〜50mg/100mLがより好ましく、23〜45mg/100mLがより好ましく、25〜45mg/100mLがさらに好ましく、28〜45mg/100mLが最も好ましい。
例えば、トマトにおけるアラニン量は、トマト実が若くて青い段階では比較的少なく、熟して赤くなった段階で増加する傾向にある(例えば、J. Japan. Soc. Hort. Sci., 49(3):435−441, 1980)。
アラニン量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるアラニン量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
また、アラニン量を高める他の方法としては、アラニンや、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(グルタミン酸)
本発明の容器詰トマト含有飲料のグルタミン酸量は、100mg/100mL以上であるのが好ましく、160〜500mg/100mLがより好ましく、160〜400mg/100mLがより好ましく、245〜400mg/100mLがさらに好ましく、200〜280mg/100mLが最も好ましい。
グルタミン酸量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるグルタミン酸量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
また、グルタミン酸量を高める他の方法としては、グルタミン酸や、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(アミノ酸類)
本発明の容器詰トマト含有飲料のアミノ酸量は、300mg/100mL以上であるのが好ましく、300〜1000mg/100mLがより好ましく、300〜800mg/100mLがより好ましく、410〜750mg/100mLがさらに好ましく、450〜590mg/100mLが最も好ましい。なお、本発明におけるアミノ酸類は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニンからなる群の総称である。
アミノ酸量の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料におけるアミノ酸量やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
なお、各アミノ酸量の測定は、公知の方法を用いればよく、例えばAllianceシステム(Waters株式会社製)を用いて、HPLC法(蛍光検出)に基づいて各種アミノ酸の含有量を求めることができる。
(グルタミン酸/アミノ酸)
本発明の容器詰トマト含有飲料における、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニンからなるアミノ酸群[A]におけるグルタミン酸[G]の重量比率([G]/[A])は、トマト本来の自然な旨味やコク味を引き出す観点から、0.8以下、とりわけ0.1〜0.8が好ましく、0.3〜0.65がより好ましく、0.4〜0.55がさらに好ましく、0.4〜0.5がさらに最も好ましい。
また、アミノ酸類量を高める他の方法としては、各種アミノ酸類や、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(Brix)
本発明の容器詰トマト含有飲料のBrixは、4〜30が好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が最も好ましい。Brix値の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料のBrix値やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
また、Brix値を高める他の方法としては、人口甘味料を含む各種甘味料、甘味成分を含む天然由来原料、多糖類をはじめとする各種食物繊維などを添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
Brixの測定方法は、公知の方法を用いればよく、例えば光学屈折率計(アタゴ社製、Digital Refractometers、RX5000α−Bev)を用いることができる。
(タンパク質)
本発明の容器詰トマト含有飲料におけるタンパク質量は、トマト本来の自然な旨味やコク味を引き出す観点から、0.5〜2.0g/100mLが好ましく、0.7〜1.8g/100mLがより好ましく、0.9〜1.6g/100mLがさらに好ましく、1.0〜1.5g/100mLが最も好ましい。
また、タンパク質量を高める他の方法としては、各種タンパク質や、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
なお、各タンパク質量の測定は、公知の方法を用いればよく、例えば分光光度計 U−3310(日立社製)などで測定することができる。
(リコピン)
本発明の容器詰トマト含有飲料におけるリコピン量は、5〜500mg/Lが好ましく、8〜500mg/Lがより好ましく、10〜250mg/Lがさらに好ましく、10〜180mg/Lが最も好ましい。
また、リコピン質量を調整する方法としては、リコピンや、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
なお、リコピン量の測定は、公知の方法を用いればよく、例えば社団法人 全国トマト加工品・調味料検査協会編集の「分析便覧」,トマト加工品・ソース類・食酢関係(PART1),昭和56年3月、8〜9頁に記載の方法に基づき、分光光度計 U−2100(日立社製)などで測定することができる。
(ビタミン類)
本発明の容器詰トマト含有飲料は、抗酸化作用を有するといわれるビタミンAやビタミンCを含むことが好ましい。具体的には、ビタミンA含有量は、飲料100mLあたり200〜800μgであるのが好ましく、350〜800μgであるのが特に好ましい。ビタミンC含有量は、飲料100mLあたり200〜800mgであるのが好ましく、300〜800mgであるのがより好ましく、400〜800mgであるのが特に好ましい。
各種ビタミン類量を調整する方法としては、各種ビタミン類量や、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましい。
(ナトリウム)
本発明の容器詰トマト含有飲料におけるナトリウム量は、1〜100mg/100mLが好ましく、10〜80mg/100mLがより好ましく、20〜60mg/100mLがさらに好ましく、25〜55mg/100mLが最も好ましい。
また、ナトリウム量を調整する方法としては、ナトリウムや、これを含有する天然由来原料(例えば食塩)などを別途添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(カリウム)
本発明の容器詰トマト含有飲料におけるカリウム量は、30〜1000mg/100mLが好ましく、50〜800mg/100mLがより好ましく、100〜700mg/100mLがさらに好ましく、300〜600mg/100mLが最も好ましい。
また、カリウム量を調整する方法としては、カリウムや、これを含有する天然由来原料などを別途添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点からトマト原料に含まれるもの以外による添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
(カリウム/ナトリウム)
トマト含有飲料におけるナトリウムやカリウムなどのミネラル成分は、これらの含有量や含有割合によってはトマト含有飲料のコク味や雑味となり呈味性に影響を与えることがある。トマト含有飲料におけるナトリウム[Na]とカリウム[K]との含有比率([K]/[Na])は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、2〜15がさらに好ましく、5〜15が最も好ましい。
(カルシウム)
また、本発明の容器詰トマト含有飲料におけるカルシウム量は、1〜100mg/100mLが好ましく、3〜80mg/100mLがより好ましく、5〜50mg/100mLがさらに好ましく、10〜30mg/100mLがまたさらに好ましく、15〜25mg/100mLが最も好ましい。
(粘度)
本発明の容器詰トマト含有飲料の粘度は、喉越し、風味の観点から、250cP以上、特に300〜1000cP、なかでも300〜600cPであるのが好ましい。粘性の調整には、多糖類を添加するなどの方法により調整することができる。
なお、容器詰トマト含有飲料の粘度は、公知の方法を用いればよく、例えば市販の粘度計により測定することができる。
(pH)
本発明の容器詰トマト含有飲料のpHは、4.0〜5.0であるのが好ましく、4.2〜5.0であるのがより好ましく、4.3〜4.8であるのがさらに好ましく、4.4〜4.6であるのが最も好ましい。pHの調整はアスコルビン酸類や重炭酸ナトリウムなどを用いる方法により調整することができる。
(粒子径)
本野菜飲料において、トマト由来の粒子の平均粒子径は70μm〜250μmであるのが好ましく、特に100μm〜230μm、その中でも特に180μm〜230μmであるのがさらに好ましい。トマト由来の粒子の平均粒子径が70μm〜250μmであれば、よりなめらかな食感を得ることができる。
容器詰トマト含有飲料の粒子径は、公知の方法を用いればよく、例えば島津製作所社製のレーザ解析式粒度分布測定装置SALD−2100によって測定することができる。
(Brix)
本発明の容器詰トマト含有飲料のBrixは、トマト本来の自然な甘味やコク味を引き出す観点から、4以上が好ましく、6〜12がより好ましく、7〜11がさらに好ましく、9〜10が最も好ましい。Brixが4を下回ると、トマト含有飲料が有するトマト由来の美味しさが保ち難くなり、Brixが12を上回ると、トマト含有飲料が有するトマト由来の美味しさが崩れてしまいがちになる。
Brix値の調整方法は、青果のトマト搾汁液若しくはその処理液又はこれらの濃縮液などの原料のBrix値やこれらの配合割合などを考慮して組み合わせることにより実施できる。
また、Brix値を調整する方法としては、人口甘味料を含む各種甘味料、甘味成分を含む天然由来原料、多糖類をはじめとする各種食物繊維などを添加する方法もあるが、後味への影響や製造コスト抑制の観点から添加を極力控えるのが好ましく、可能であればこれらを全く添加しないのが最も好ましい。
Brixの測定方法は、公知の方法を用いればよく、例えば光学屈折率計(アタゴ社製、Digital Refractometers、RX5000α−Bev)を用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1:本発明品1〜4)
まず、市販のトマトペースト(Brix:28)、市販の混濁濃縮トマト汁A(Bx40)、市販の透明トマト汁B(Brix:60)、酸味を低減した脱酸トマト汁C(Brix15)を用意した。
本発明品1の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト(25.6%)、トマト汁A(5.25%)、トマト汁C(1.2%)の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、缶容器に充填後にレトルト殺菌(122℃、30秒)を施し、冷却することにより容器詰トマト含有飲料を得た。
本発明品2の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト(27.0%)、トマト汁A(3.6%)、トマト汁C(4.9%)の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、缶容器に充填後にレトルト殺菌(122℃、30秒)を施し、冷却することにより容器詰トマト含有飲料を得た。
本発明品3の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト(28.9%)、トマト汁A(3.0%)、トマト汁C(2.1%)の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、混合液に128℃で30秒の殺菌処理をして冷却した後、紙容器に充填した。
本発明品4の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト(27.0%)、トマト汁B(2.47%)、トマト汁C(3.7%)の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、混合液に128℃で30秒の殺菌処理をして冷却した後、紙容器に充填した。
(表1)

(実施例2:本発明品5〜6)
本発明品5の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト、トマト汁B、トマト汁Cを表1に記載の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、混合液に128℃で30秒の殺菌処理をして冷却した後、紙容器に充填した。
本発明品6の容器詰トマト含有飲料は、トマトペースト、トマト汁B、トマト汁Cを表1に記載の配合割合となるように調整し、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、混合液に128℃で30秒の殺菌処理をして冷却した後、紙容器に充填した。
(表2)

(実施例3:比較品1〜3)
比較品1〜3のトマト含有飲料は、いずれも市販のトマト含有飲料を購入して評価したものである。比較品1には、市販の缶容器詰トマトジュース(トマト100%:JAS規格に指定された食塩添加トマトジュース)を、比較品2には、市販の小型PET容器詰トマトジュース(トマト100%:JAS規格に指定された食塩無添加トマトジュース)を、比較品3には、市販の大型PET容器詰トマトジュース(トマト100%:JAS規格に指定された食塩無添加トマトジュース)をそれぞれ用いて分析・評価した。
(実施例4:比較品4〜5)
比較品4〜5のトマト含有飲料は、市販の青果トマト2品(比較品4:広島県産、比較品5:静岡県産)を購入し、これらを搾汁することにより搾汁液を得たものである。得られた搾汁液を、目開き0.5〜1.0mm程度のメッシュを用いて裏ごしして異物を除去し、重炭酸ナトリウムを適量添加し、缶容器に充填した後にレトルト殺菌(122℃、30秒)を施し、冷却することにより得たものである。
本発明品1〜6及び比較品1〜5の各種測定及び評価は、以下の通り実施した。
<Brix>
光学屈折率計(アタゴ社製、Digital Refractometers、RX5000α−Bev)を用いて、Brixを測定した。
<アミノ酸類>
Allianceシステム(Waters株式会社製)を用いて、HPLC法(蛍光検出)に基づいて各種アミノ酸の含有量を求めた。
サンプル調整法:
サンプルを適量はかりとり、蒸留水に懸濁後、フィルターろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器
検出波長:励起335nm エミッション450nm
<粘度>
TVB−10型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、回転数60rpm及び30秒の条件下で、粘度を測定した(表中の数値は、3回の平均値である)。なお、粘度の測定域を外れる場合は回転数を適宜変更し測定した。
<官能評価試験>
トマト含有飲料の官能評価試験は、10人のパネラーに委託して行い、各項目を以下に示す基準で評価したものである。ここで、表中の数値は、10人のパネラーの評価の平均値である。
<評価項目>
1.コク味
2.喉越し
3.旨味
4.食感
5.舌触り
6.後味
7.総合評価
<評点(総合評価を除く)>
5点:非常に良い
4点:良い
3点:どちらでもない
2点:悪い
1点:非常に弱い
<総合評価>
各評価項目を総合的に勘案して、商品としての適性を評価した。
○:商品としての適性に優れている
△:商品としての適性は標準的である
×:商品としての適性に劣っている
(表3)

(表4)

(考察)
本発明品1〜6は、比較品1〜5と比較して、コク味、喉越し、旨味、食感、舌触り、後味及びその総合評価のいずれの項目において優れていた。とりわけ、本発明品1〜6は、コク味や舌触りを保持しながらも喉越しや後味において大幅な改善が見られた。また、本発明品1〜6は、市販のトマトを搾汁したままで容器詰した比較品4〜5との差は顕著であった。これらの試験結果は、トマト含有飲料におけるコク味、喉越し、旨味、食感、舌触り、後味を向上させる上では、原料トマト搾汁液におけるアスパラギン酸、アルギニン、アスパラギン、アラニンに着目し、かかる成分含有量を所定の範囲内に調整するように配合することが重要であることを示している。
本発明によれば、トマト本来の自然のコク味や舌触りを維持・向上させながらも、喉越しや後味が大幅に改善され、併せて旨味や食感も改善がなされた容器詰トマト含有飲料が得られる。

Claims (12)

  1. 下記条件(1)〜(4)の1又は2以上を満たすことを特徴とする容器詰トマト含有飲料。
    (1) アスパラギン酸の含有量90mg/100mL以上
    (2) アルギニンの含有量が17mg/100mL以上
    (3) アスパラギンの含有量が40mg/100mL以上
    (4) アラニンの含有量が20mg/100mL以上
  2. 前記アミノ酸群[A]におけるグルタミン酸[G]の含有比率([G/A])が0.8以下であることを特徴とする請求項1に記載の容器詰トマト含有飲料。
  3. グルタミン酸の含有量が100mg/100mL以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器詰トマト含有飲料。
  4. アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニンからなるアミノ酸群[A]が300mg/100mL以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
  5. Brixが4〜30であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
  6. 果汁を実質的に含まないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
  7. トマト以外の野菜を原料として使用しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
  8. 非アルコール性であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
  9. RTDであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
  10. 内溶液が非透明であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の容器詰トマト含有飲料。
  11. 下記工程(1)〜(4)の1又は2以上を含むことを特徴とする容器詰トマト含有飲料の製造方法。
    (1) アスパラギン酸の含有量を90mg/100mL以上に調整する工程
    (2) アルギニンの含有量を17mg/100mL以上に調整する工程
    (3) アスパラギンの含有量を40mg/100mL以上に調整する工程
    (4) アラニンの含有量を20mg/100mL以上に調整する工程
  12. 下記条件(1)〜(4)の1又は2以上を満たすよう調整することを特徴とする容器詰トマト含有飲料の呈味性及び/又は香味性の改善方法。
    (1) アスパラギン酸の含有量を90mg/100mL以上
    (2) アルギニンの含有量を17mg/100mL以上
    (3) アスパラギンの含有量を40mg/100mL以上
    (4) アラニンの含有量を20mg/100mL以上
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