JP5426044B1 - 青果物の搾汁液の後味改善方法、飲食品の製造方法、及び飲食品 - Google Patents

青果物の搾汁液の後味改善方法、飲食品の製造方法、及び飲食品 Download PDF

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Abstract

【課題】青果物の搾汁液を原料とする飲食品を、原料に特有の野菜らしさや果実らしさを損なうことなく、すっきりとした後味に改善する方法、当該方法を用いて飲食品を製造する方法、及び当該方法により製造された飲食品の提供。
【解決手段】青果物の搾汁液を、ホスファターゼ処理することにより、グアニル酸含有量を低減させることを特徴とする、青果物の搾汁液の後味改善方法;ホスファターゼ処理により、ホスファターゼ処理前よりもグアニル酸含有量を2/3以下に低減させる、前記記載の青果物の搾汁液の後味改善方法;前記いずれかに記載の青果物の搾汁液の後味改善方法により得られた青果物の搾汁液を含有させることを特徴とする、飲食品の製造方法;並びに、青果物の搾汁液を原料とし、グアニル酸含有量が、グルタミン酸含有量の1/300以下であることを特徴とする、飲食品。
【選択図】なし

Description

本発明は、野菜や果実といった青果物の搾汁液について、後味がすっきりするように改善する方法、当該改善方法を利用して飲食品を製造する方法、及び当該改善方法を利用して製造された飲食品に関する。
トマトジュースをはじめとする野菜ジュースや、野菜汁(野菜の搾汁液)と果汁(果物の搾汁液)を混ぜたミックスジュースは、野菜や果実の栄養素を手軽に摂取できる飲料であり、特に健康志向の消費者に好まれている。これらの飲料は、原料とする野菜や果物の不溶性固形分が含まれていることや、野菜独特の呈味が強いことにより、後味が残りやすい。特にトマトジュースやトマト含有比率の高い野菜ジュースやミックスジュースは、飲んだ後にも口中にトマト特有の呈味が強く残り、飲みにくいと感じる人もいる。
トマト特有の呈味(トマトらしさ)は、主に、グルタミン酸とアスパラギン酸によるものであり、トマトらしい味を再現するためには、グルタミン酸とアスパラギン酸の両方が適当な比率で含まれている必要があることが報告されている(例えば、非特許文献1及び2参照。)。また、グアニル酸はグルタミン酸との相乗効果により旨味を強めること、及び、トマトをはじめとする野菜を加熱処理することにより、グアニル酸含有量が増大し、旨味が強くなることが報告されている(例えば、非特許文献3参照。)。
一方で、グアニル酸をはじめとする5’−リボヌクレオチド類は、それら自身が呈味性を有しており、5’−リボヌクレオチド類の分解による損失を抑制することにより、飲食品中の旨味を保持・増強する方法が知られている。例えば、特許文献1には、水中油系の食品素材を品温95℃以上に加熱した後、ホスファターゼ活性を有する原料を添加して、ホスファターゼ活性を失活させるために必要な時間保持することにより、原料由来のホスファターゼによる5’−リボヌクレオチド類の分解を抑制し、飲食品の旨味低減を防止する方法が開示されている。
特開2008−154554号公報
福家真也、「3.4食品の味」、山野善正ら(編)『おいしさの科学』、朝倉書店発行、1994年、第76〜77ページ。 福家真也、「うま味の研究1〜食物におけるうま味の役割〜」、『医学のあゆみ』、医歯薬出版発行、1999年、第190巻、第13号、第1091〜1094ページ。 堀江秀樹、「野菜の加熱にともなうグアニル酸の生成」、『日本調理化学会誌』、一般社団法人日本調理科学会発行、2012年、第45巻、第5号、第346〜351ページ。
本発明は、野菜汁や果汁のような青果物の搾汁液について、特有の野菜らしさや果実らしさを損なうことなく、すっきりとした後味に改善する方法、当該改善方法を利用して飲食品を製造する方法、及び当該改善方法を利用して製造された飲食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、驚くべきことに、野菜汁や果汁では、旨味が後味の悪さの一因であり、旨味を低減させることにより後味がすっきりすることを見出した。さらに、ホスファターゼ処理によって青果物の搾汁液中のグアニル酸含有量を低減させることにより、当該青果物の搾汁液が本来有する野菜らしさや果実らしさを損なうことなく、よりすっきりとした後味に改善できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、トマト汁を含む青果物の搾汁液を、ホスファターゼ処理することにより、グアニル酸含有量を低減させることを特徴とする、青果物の搾汁液の後味改善方法を提供する。
前記青果物の搾汁液の後味改善方法においては、ホスファターゼ処理により、ホスファターゼ処理前よりもグアニル酸含有量を2/3以下に低減させることが好ましい。
また、前記青果物の搾汁液の後味改善方法においては、ホスファターゼ処理後の青果物の搾汁液のグアニル酸含有量が、グルタミン酸含有量の1/300以下であることが好ましく、ホスファターゼ処理後の青果物の搾汁液のグアニル酸濃度が、0〜15μg/gであることも好ましい。
また、前記青果物の搾汁液の後味改善方法においては、前記青果物の搾汁液のグルタミン酸濃度が、100〜6000μg/gであることが好ましい。
さらに、前記青果物の搾汁液が、野菜汁、果汁、又はこれらの混合物であることが好まし
本発明は、また、前記青果物の搾汁液の後味改善方法により得られた青果物の搾汁液を含有させることを特徴とする、飲食品の製造方法を提供する。
前記飲食品の製造方法においては、製造された飲食品中のグアニル酸含有量が、グルタミン酸含有量の1/300以下であることが好ましい。
本発明は、さらに、トマト汁を含む青果物の搾汁液を原料とし、グアニル酸含有量を低減させたことにより、グアニル酸含有量が、グルタミン酸含有量の1/300以下であることを特徴とする、飲食品を提供する。
前記飲食品においてはトマト含有飲料であることがより好ましい。
また、前記飲食品においては、原料に占める青果物の搾汁液由来成分の含有割合が5〜100質量%であり、グアニル酸濃度が0〜6μg/gであることが好ましい。
また、前記飲食品においては、原料に占めるトマト汁由来成分の含有割合が80〜100質量%であり、グアニル酸濃度が0〜13μg/gであることも好ましい。
本発明により、原料由来の野菜らしさや果実らしさを損なうことなく、従来よりも後味がすっきりするように改善された青果物の搾汁液を得ることができる。さらに、当該青果物の搾汁液を原料とすることにより、後味のよりすっきりとした飲食品を提供することもできる。
実施例1において、試験サンプルと対照サンプルのHPLCのクロマトグラムを示した図である。 実施例2において、酵素量、反応温度の異なるサンプルについて、酵素反応後のトマト汁中のグアニル酸含有量を算出した結果を示した図である。
本発明に係る青果物の搾汁液の後味改善方法(以下、「本発明に係る後味改善方法」ということがある。)は、青果物の搾汁液を、ホスファターゼ処理することにより、グアニル酸含有量を低減させることを特徴とする。野菜汁や果汁においては旨味が後味の悪さ(味の後残りの強さ)の一因であり、特に野菜ジュースやミックスジュース等の飲料では、野菜や果実由来の旨味によって後残りが強く、飲みにくくなってしまっていること、旨味を低減させることにより、野菜らしさや果実らしさを損なうことなく、青果物の搾汁液の後味をすっきりさせられることは、いずれも本発明者らによって初めて見出された知見である。このように、旨味を低減させることにより、かえって後味の官能性が高められることは、今まで報告がなかった。
本発明に係る後味改善方法は、青果物の搾汁液の旨味を低下させるために、ホスファターゼ処理により、グアニル酸含有量を低減させる。グアニル酸はホスファターゼ処理により無味のグアノシンへ分解される。つまり、グアニル酸は、旨味の主たる要因であるグルタミン酸よりも、容易に低減させることができる。特にトマトでは、グルタミン酸はトマトらしさを担う重要な成分であり、トマト汁のグルタミン酸含有量を低減させることは、後味の改善は期待できるものの、トマトらしさが損なわれ、かえって官能性を低下させてしまうおそれがある。これに対して、本発明に係る後味改善方法では、青果物の搾汁液のグルタミン酸含有量は低下させないため、トマトらしさを損なわずにトマト汁の後味改善ができる。
本発明に係る後味改善方法に供される青果物の搾汁液としては、野菜汁であってもよく、果汁であってもよい。また、1種類の青果物の搾汁液であってもよく、2種類以上の青果物の搾汁液の混合物であってもよい。
野菜汁の原料となる野菜としては、例えば、トマト、ナス、パプリカ、ピーマン、ジャガイモ等のナス科の野菜、ニンジン、セロリ、アシタバ、パセリ等のセリ科の野菜、キャベツ、紫キャベツ、メキャベツ(プチヴェール)、ハクサイ、チンゲンサイ、ダイコン、ケール、クレソン、小松菜、ブロッコリー、カリフラワー、カブ、ワサビ、マスタード等のアブラナ科の野菜、ホウレンソウ、ビート等のアカザ科の野菜、レタス、シュンギク、サラダナ、ゴボウ、ヨモギ等のキク科の野菜、タマネギ、ニンニク、ネギ等のユリ科の野菜、カボチャ、キュウリ、ニガウリ等のウリ科の野菜、インゲンマメ、エンドウマメ、ソラマメ、エダマメ等の豆科の野菜、モロヘイヤ、アスパラガス、ショウガ、サツマイモ、ムラサキイモ、シソ、アカジソ、トウモロコシ等が挙げられる。また、栗、クルミ、ピーナッツ、カシューナッツ等のナッツ類も、野菜に含まれる。果汁の原料となる果物としては、レモン、オレンジ、ネーブルオレンジ、グレープフルーツ、ミカン、ライム、スダチ、ユズ、シイクワシャー、タンカン等の柑橘類、リンゴ、ウメ、モモ、サクランボ、アンズ、プラム、プルーン、カムカム、ナシ、洋ナシ、ビワ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、カシス、クランベリー、ブルーベリー、メロン、スイカ、キウイフルーツ、ザクロ、ブドウ、バナナ、グァバ、アセロラ、パインアップル、マンゴー、パッションフルーツ、レイシ等が挙げられる。
本発明に係る後味改善方法に供される青果物の搾汁液としては、グルタミン酸含有量の多い野菜又は果物の搾汁液を含むことが好ましく、グルタミン酸含有量とグアニル酸含有量が共に多い野菜又は果物の搾汁液を含むことがより好ましい。後味改善効果がより顕著に達成し得ることから、本発明に係る後味改善方法に供される青果物の搾汁液としては、グルタミン酸濃度が、100μg/g(100ppm)以上であるものが好ましく、100〜6000μg/gであるものがより好ましい。
グルタミン酸含有量の多い野菜等としては、トマト、トウモロコシ、タマネギ、ダイコン、エダマメ、カリフラワー、キャベツ、カボチャ、ハクサイ、ブロッコリー、ホウレンソウ等が挙げられる。中でも、グルタミン酸含有量とグアニル酸含有量が共に多く、本発明の効果が最も効果的に発揮されるため、本発明に係る後味改善方法に供される青果物の搾汁液としては、トマト汁、又はトマト汁を含む2種以上の青果物の搾汁液の混合物が好ましい。トマト汁を含む2種以上の青果物の搾汁液の混合物としては、トマト汁と、トマト以外の1種又は2種以上の野菜汁の混合物であってもよく、トマト汁と、1種又は2種以上の果汁の混合物であってもよく、トマト汁と、トマト以外の1種又は2種以上の野菜汁と、1種又は2種以上の果汁の混合物であってもよい。
青果物の搾汁液は、原料となる青果物を常法により搾汁することによって調製することができる。搾汁器としては、パルパー、スクリュープレス、ギナー、デカンター、一軸又は二軸(同方向若しくは異方向回転型)エクストルーダー等の飲食品分野で搾汁、搾油に通常用いられるものを適宜組み合わせて用いることができる。搾汁は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うこともできる。
青果物は、搾汁前に、適当な大きさに細断又は破砕しておくことも好ましい。細断等には、ダイサー、カッター、スライサー、ハンマークラッシャー等の通常野菜や果物の細断や破砕に用いられるものを使用することができる。また、青果物又はその細断物等は、搾汁する前に、必要に応じて加熱処理を行ってもよい。加熱処理により、青果物に由来する酵素が失活するため、その後に搾汁することによって、ペクチン等の不溶性固形分を多く含む搾汁液が得られる。逆に、加熱処理をせずに、青果物又はその細断物等をそのまま搾汁することにより、不溶性固形分の含有量が比較的少ない搾汁液が得られる。
ホスファターゼ処理に供される青果物の搾汁液としては、搾汁により得られたもの(何らの処理も行っていない搾汁液)であってもよく、搾汁液を濃縮したもの(濃縮搾汁液)であってもよく、濃縮搾汁液を希釈したもの(還元搾汁液)であってもよく、また、これらに対して、不溶性固形分除去処理等の各種処理を行ったものであってもよい。搾汁液の濃縮処理は、減圧濃縮器、撹拌型薄膜式濃縮器、プレート式濃縮器等の通常用いられる濃縮器を用いて、常法により行うことができる。また、不溶性固形分除去処理は、遠心分離、珪藻土濾過、膜分離等の固液分離処理により行うことができる。
また、青果物の搾汁液には、ホスファターゼ処理に供される前に、各種添加剤を適宜添加してもよい。当該添加物としては、通常、飲食品に添加されるものであり、例えば、食塩、甘味料、酸味料、香辛料、着色料、pH調整剤、酸化防止剤等が挙げられる。甘味料としては、砂糖、ぶどう糖、ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖、砂糖混合果糖ぶどう糖液糖、砂糖混合高果糖液糖、及び水あめ等の砂糖類、エリスリトール、トレハロース、ソルビトール等の糖アルコールや、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア等の高感度甘味料等が挙げられる。酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸等が挙げられる。酸化防止剤としては、L−アルコルビン酸、カテキン等が挙げられる。例えば、ホスファターゼ処理に供される青果物の搾汁液としては、市販されている野菜ジュースやミックスジュース、野菜のペースト等であってもよく、市販されているペーストを希釈したものであってもよい。
ホスファターゼ処理は、青果物の搾汁液に、ホスファターゼを添加し、当該ホスファターゼがホスファターゼ活性を示す温度でインキュベートすることにより行う。この酵素反応により、当該搾汁液中のグアニル酸が分解される。用いるホスファターゼとしては、リン酸エステル結合を加水分解する酵素活性を有し、かつグアニル酸を基質とし得る酵素であればよく、酸性ホスファターゼが好ましい。これらのホスファターゼとしては、市販されているものを用いることができる。ホスファターゼ処理の酵素反応時間は、搾汁液中のグアニル酸含有量、使用するホスファターゼの種類、反応温度等を考慮して適宜調整することができる。例えば、青果物の搾汁液に酸性ホスファターゼを添加し、4〜80℃で30秒間以上、例えば、30秒間〜3時間反応させることにより、当該搾汁液中のグアニル酸が分解される。
青果物の搾汁液は、ホスファターゼ処理によってグアニル酸含有量が低減すればするほど、旨味が低下し、後味がよりすっきりとなる。後味改善効果が充分に得られるため、ホスファターゼ処理によって、ホスファターゼ処理前よりもグアニル酸含有量を2/3以下に低減させることが好ましく、1/2以下に低減させることがより好ましく、1/4以下に低減させることがさらに好ましい。
グアニル酸は、グルタミン酸との相乗効果によって旨味を高める。この点から、ホスファターゼ処理後の青果物の搾汁液(以下、「酵素処理済搾汁液」ということがある。)のグアニル酸含有量は、グルタミン酸含有量の1/300以下であることが好ましく、1/400以下であることがより好ましく、1/800以下であることがさらに好ましい。
酵素処理済搾汁液のグアニル酸含有量は、ホスファターゼ処理前の搾汁液のグアニル酸含有量にもよるが、例えば、酵素処理済搾汁液のグアニル酸濃度が、0〜15μg/gであることが好ましく、0〜13μg/gであることがより好ましく、0〜6μg/gであることがさらに好ましい。なお、「0μg/g」であるとは、グアニル酸が全く含まれていないことに加えて、搾汁液のグアニル酸濃度が測定限界値未満であることも含む。
酵素処理済搾汁液は、そのまま飲料としてもよく、飲食品の原料としてもよい。ホスファターゼ処理後の青果物の搾汁液を原料とすることにより、従来の野菜汁や果汁を原料とした飲食品よりも、後味のすっきりとした飲食品を製造することができる。当該飲食品としては、特に限定されるものではないが、各種飲料、ジュレ、ゼリー、ジャム、シャーベット等が好ましい。
飲食品の製造にあたっては、酵素処理済搾汁液に、ホスファターゼ処理をしていない搾汁液、炭酸水、各種アルコール飲料、ビタミン類、ミネラル類、甘味料、酸味料、香辛料、着色料、pH調整剤、酸化防止剤、凝固剤、増粘安定剤、保存剤、乳化剤等を適宜配合することもできる。甘味料、酸味料、酸化防止剤としては、前記で挙げられたものを用いることもできる。また、凝固剤としては、寒天、こんにゃく粉、ゼラチン、葛粉等が挙げられる。増粘安定剤としては、難消化性デキストリン、カラギナン、ペクチン、サイリウムガム等の増粘多糖類が挙げられる。保存剤としては、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。乳化剤としては、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
例えば、2種類以上の青果物の搾汁液を含む飲料やジュレ、ゼリー、ジャムを製造する場合、全て青果物の搾汁液を混合した後、この混合物を本発明に係る後味改善方法によって処理し、得られた酵素処理済搾汁液に必要に応じて各種添加剤を添加して飲料等としてもよく、各青果物の搾汁液をそれぞれ別個に本発明に係る後味改善方法によって処理し、得られた各酵素処理済搾汁液を混合し、必要に応じて各種添加剤を添加して飲料等としてもよい。また、トマト等のグアニル酸含有量の多い青果物の搾汁液は、本発明に係る後味改善方法によって処理して得られた酵素処理済搾汁液を原料とし、グアニル酸含有量の比較的少ない青果物の搾汁液は、本発明に係る後味改善方法では処理せずにそのまま原料とし、これらと各種添加剤等を混合してもよい。
ただし、酵素処理済搾汁液を含有させて飲食品を製造する際には、製造された飲食品中のグアニル酸含有量が、グルタミン酸含有量の1/300以下となるようにすることが好ましく、1/400以下にすることがより好ましく、1/800以下にすることがさらに好ましい。飲食品中のグルタミン酸含有量に対するグアニル酸含有量の割合を、酵素処理済搾汁液と同程度に維持することにより、酵素処理済搾汁液による後味改善効果を、製造された飲食品についても効果的に得ることができる。
例えば、本発明に係る後味改善方法によりグアニル酸含有量が低減されたトマト汁(以下、「酵素処理済トマト汁」ということがある。)を原料とすることにより、グルタミン酸含有量に対してグアニル酸含有量が従来になく低く、後味のすっきりしたトマト含有飲料やトマト含有ジュレ、トマト含有ゼリーを製造できる。酵素処理済トマト汁を含む飲食品のうち、原料に占めるトマト汁由来成分の含有割合が80〜100質量%と高いもののグアニル酸濃度としては、0〜13μg/gが好ましく、0〜7μg/gがより好ましく、0〜5μg/gがさらに好ましく、0〜3μg/gがよりさらに好ましい。また、酵素処理済トマト汁を含む飲食品のうち、レモン汁等の他の青果物の搾汁液も1種又は2種以上含み、原料に占める青果物の搾汁液由来成分の含有割合が5〜100質量%、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは30〜100質量%のもののグアニル酸濃度としては、0〜6μg/gが好ましく、0〜3μg/gがより好ましく、0〜1μg/gがさらに好ましい。
なお、本発明及び本願明細書において、青果物の搾汁液や飲食品中のグアニル酸含有量は、逆相カラムやイオン交換カラムを用いたHPLC(高速液体クロマトグラフィー)法により測定できる。定量は、クロマトグラム中にグアニル酸のピークのピーク面積を、濃度既知のグアニル酸の標準品のピーク面積を基準として算出できる。また、青果物の搾汁液や飲食品中のグルタミン酸含有量は、陽イオン交換樹脂カラムを固定相として用いた液体クロマトグラフィー法とニンヒドリン発色を利用したポストカラム法により測定できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
トマト汁を酸性ホスファターゼ処理し、グアニル酸含有量の変化を調べた。酸性ホスファターゼとしては、「スミチーム(登録商標)PM」(新日本化学工業(株)製)を用いた。具体的には、スミチームPMを250mg秤量し、5mLの超純水で完全に溶解させて調製した、5%(質量/容量)の酵素原液を搾汁液に添加した。
まず、完熟トマトを洗浄し、ハンマークラッシャーで破砕した。得られた破砕物をパルパーで搾汁し、パルプを除いてトマト汁[1A](Brix値:29)を得た。
次いで、100mL容ビーカーに、20mLのトマト汁[1A]を秤りとり、40μLの酵素原液をさらに添加し(酵素の最終濃度:0.01%(質量/容量))、60℃で1時間静置して酵素反応を行った(試験サンプル)。なお、20mLのトマト汁[1A]を、酵素原液を添加せずに60℃で1時間静置したものを、対照サンプルとした。
1mL容チューブに、酵素反応終了後のトマト汁を500μL回収し、等量のメタノールを加えてボルテックス操作を行い、酵素を失活させた。その後、4℃、12,000rpmで5分間遠心処理し、得られた上清のうち200μLを新しいチューブへ移した。これに800μLの超純水を加えて5倍希釈した後、1mL容シリンジ(テルモ(株)製)で回収し、孔径0.45nmのメンブレンフィルター(ADVANTEC(株)製)で濾過した。得られた濾液を、HPLC分析へ供した。HLPCの分析条件を下記に示す。なお、ピーク同定は、市販標品との比較により行った。
<グアニル酸のHPLC条件>
装置:Shimadzu LC10VPシステム((株)島津製作所製)、
カラム:Develosil RPAQUEOUS AR〔固定相:C30(トリアコンチル基)、粒子径:5μm、内径:4.6nm×250mm、野村化学(株)製〕、
カラム温度:35℃、
サンプル注入量:20μL、
移動相:100mMリン酸緩衝液(pH2.5)をA液、アセトニトリルと超純水を9:1(容量比)で混合した液をB液とし、B液比率を、0〜5分後まで0%、25分後まで7.5%、25.1〜28分後まで20%、28.1〜32分後まで0%となるようなリニアグラジエント、
移動相の流速:1mL/min、
検出器:フォトダイオードアレイ検出器、
検出波長:256nm。
HPLCによるクロマトグラムを図1に示す。図1中、上段(Control)は対照サンプルの結果であり、下段(Enzyme)は試験サンプルの結果である。縦軸は信号強度(mV)を、横軸は保持時間(分)を示す。また、酵素反応により顕著に変化したピークについて番号をつけた。各クロマトグラム中、ピーク1はウリジル酸、ピーク2はアデニル酸、ピーク3はグアニル酸、ピーク4はウリジン、ピーク5はアデノシン、及びピーク6はグアノシンである。図1の上段と下段のクロマトグラムを比較して明らかなように、酸性ホスファターゼ処理により、ピーク1〜3のピークが明らかに減少し、そのかわりにピーク4〜6が大きくなっていた。
図1中のピーク1〜6について、各標品(10ppm)を同じ条件でHPLCして得たクロマトグラムのピーク面積値との比から濃度(ppm)を求めた。求めた濃度を、トマト汁[1A](Brix値:29)当たりで算出した結果を表1に示す。表1の「変化量」の欄中、白抜きの三角は、対照サンプルに比べて試験サンプルで濃度が増大した量を示し、黒塗りの三角は、対照サンプルに比べて試験サンプルで濃度が減少した量を示す。また、表1中、「n.d.」は測定していないことを示す。酵素反応により、ヌクレオシド類が低減し、ヌクレオチド類が増大していた。
Figure 0005426044
また、対照サンプルと試験サンプルを、それぞれ蒸留水で希釈してBrix値が3.5になるように調製した。この希釈したサンプルについて、23人の訓練を受けた専門パネルが、両者の差が官能により判断できるかどうかを確認した。この結果、23人中22人が、Brix値を3.5に調整された対照サンプルと試験サンプルは差があり、官能上区別できると回答した。また、多数の専門パネルが、試験サンプルのほうが対照サンプルよりも、旨味が弱くなり、後味がすっきりしていると評価し、また、酸味があり、清涼感が強いとも評価した。また、両サンプルが区別できると回答した専門パネルの中には、試験サンプルのほうが対照サンプルよりも、甘い香りが多くまろやかである、と評価した者もいた。
これらの結果から、ホスファターゼ処理により、青果物の搾汁液のグアニル酸含有量を低減できること、及び、グアニル酸含有量を低減させることにより、搾汁液の後味がすっきりすることが明らかである。
[実施例2]
酵素反応の反応時間及び酵素の添加量の条件をふり、グアニル酸含有量に対する影響を観察した。
具体的には、酵素の添加量を、酵素の最終濃度が0.01、0.05、又は0.1%(質量/容量)となるようにし、酵素反応温度を4℃又は20℃とし、酵素反応時間を0、10、20、30、60、180、480、又は960分間とした以外は、実施例1と同様にして、トマト汁[1A]に対してホスファターゼ処理を行った。
酵素反応後のトマト汁中のグアニル酸含有量を、実施例1と同様にして算出した。算出結果を図2に示す。縦軸はトマト汁[1A](Brix値:29)あたりのグアニル酸濃度(ppm)を、横軸は反応時間(分)を示す。この結果、図2に示すように、酵素添加量が多いほど、また、反応温度が高いほど、より短時間でグアニル酸濃度が低下することが確認された。
[実施例3]
市販のトマトジュース(無塩)(カゴメ(株)製)に、実施例1で用いた酸性ホスファターゼを酵素の最終濃度が0.1%(質量/容量)となるように添加し、60℃で1時間、酵素反応を行った(試験サンプル1)。また、酵素原液の代わりに蒸留水を添加した以外は、試験サンプル1と同様に60℃で1時間インキュベートしたものを、対照サンプルとした。
両サンプルのグアニル酸含有量を実施例1と同様にして測定したところ、試験サンプル1ではグアニル酸は完全に分解されており、HPLCのクロマトグラムでは全くピークは検出されなかった。
さらに、両サンプルのグルタミン酸含有量を、下記の分析条件で分析した。なお、グアニル酸含有量測定と同様に、孔径0.45nmのメンブレンフィルター(ADVANTEC(株)製)で濾過して得られた濾液を、HPLC分析へ供した。また、ピーク同定は、市販標品との比較により行った。
<グルタミン酸の分析条件>
装置:高速アミノ酸分析計L−8000シリーズ((株)日立製)、
アンモニアフィルタカラム:#2650L(内径:4.6mm×60mm、(株)日立製)、
分析カラム:#2622(内径:4.6mm×60mm、(株)日立製)、
ガードカラム:#2619(内径:4.6mm×60mm、(株)日立製)、
移動相:クエン酸リチウム緩衝液、
反応液:ニンヒドリン溶液、
検出波長:VIS 570nm。
さらに、試験サンプル1の一部に、グアニル酸含有量が10ppmとなるようにグアニル酸を添加したものを、試験サンプル2とした。表2に、各サンプル中のグアニル酸とグルタミン酸の含有量を示す。
Figure 0005426044
これら3種のサンプルに対して、7人の専門パネルにより、旨味と後味についての官能評価試験を実施した。官能評価は、3つのサンプルについて、これらのサンプルが区別可能かどうかを評価し、また、区別が可能な場合には、後味がすっきりしている順に並べた。この結果、専門パネル全員が、3つのサンプルはいずれも後味の点から区別することができ、最も後味がすっきりしていたのが試験サンプル1であり、次いで試験サンプル2であり、最も後味が強かったのが対照サンプルであると評価した。
これらの結果から、グアニル酸含有量を16.1ppmから0ppmへと減少させた場合のみならず、16.1ppmから10.0ppmへと減少させた場合でも、グアニル酸含有量の減少による後味改善効果が判別できることが確認された。
[参考例1]
グルタミン酸とグアニル酸を添加して人工的に調製したモデル液を用いて、グルタミン酸とグアニル酸の濃度の違いによる旨味と後残り度の変化を、専門パネルが評価できるかどうかを確認した。
旨味と後残り度を決定する上で、グルタミン酸濃度が500ppm、グアニル酸濃度が2ppmであるモデル液を基準液1とし、グルタミン酸濃度が2000ppm、グアニル酸濃度が10ppmであるモデル液を基準液2とし、基準液1の旨味・後残り度のスコアを2とし、基準液2の旨味・後残り度を7として設定した(表3)。旨味・後残り度のスコアは小さいほど旨味・後残り度が弱く、すっきりとした後味であり、スコアが大きいほど、後残りが強いとした。
Figure 0005426044
まず、6人の訓練を受けた専門パネルが、基準液1と2をそれぞれ飲み、そのスコアを覚えた。次いで、グルタミン酸濃度とグアニル酸濃度がそれぞれ異なる様々なサンプルをランダムに飲み、それぞれのサンプルについてフレーバープロファイル法により旨味・後残り度のスコアを決定した。専門パネルによる評価結果を表4に示す。グルタミン酸濃度にかかわらず、グルタミン酸濃度が等しいサンプル同士では、グアニル酸濃度が低いほど旨味・後残り度のスコアが小さかった。この結果から、グルタミン酸濃度が一定の場合には、グアニル酸濃度が低いほど後味がすっきりすること、また、グアニル酸濃度の差が0.5〜2ppm程度とわずかであったとしても、グルタミン酸濃度低下による旨味・後残り度の改善効果が認識できることが明らかとなった。
Figure 0005426044
[実施例4]
各種トマト汁やトマト汁と他の青果物の搾汁液の混合物について、ホスファターゼ処理を行い、旨味や後味(後残り度)を評価した。
ホスファターゼ処理には、比較的濃い100質量%トマト汁(搾汁液[4A])、有塩の100質量%トマト汁(搾汁液[4B])、無塩の100質量%トマト汁(搾汁液[4C])、トマトを含む30種類の野菜と1種類の果物の搾汁液の混合物(搾汁液[4D])、トマトを含む14種類の野菜と7種類の果物の搾汁液の混合物(搾汁液[4E])、トマト汁とレモン汁と液糖の混合物(トマト含有割合が35%、搾汁液[4F])、実施例1で用いたトマト汁[1A]を濾過して得たトマト漿液(搾汁液[4G])の7種類を原液として供した。
まず、これらの7種類の原液について、実施例1で用いた酸性ホスファターゼを酵素の最終濃度が0.1%(質量/容量)となるように添加し、60℃で1時間、酵素反応を行い、グアニル酸含有量を0ppmとした酵素処理液を得た。この酵素処理液と、酵素処理前の原液を適宜混合したり、酵素処理前の原液にグアニル酸を添加することにより、グアニル酸含有量が表3に示す量であるサンプルを調製した。表3の「Glu/GMP」は、サンプル中のグルタミン酸含有量とグアニル酸含有量の質量比を示す。
各サンプルの旨味と後残り度について、参考例1において、グルタミン酸濃度とグアニル酸濃度の違いによる旨味度・後残り度の違いを判別できることが確認された、信頼できる6人の専門パネルにより官能評価を行った。旨味と後残り度についての評価は7段階(1:ほとんど感じない、2:非常に弱く感じる、3:弱く感じる、4:やや弱く感じる、5:感じる、6:強く感じる、7:非常に強く感じる)で行った。1種類の原液から調製されたサンプル群を1セットとし、各セットについて、6人の専門パネルが順に試飲し、パネル全員で評価値を決定した。さらに、各セットについて、野菜感を比較し、グアニル酸含有量の異なるサンプル間での野菜感に差があるかどうかを評価した。各サンプルについての評価結果を表5に示す。なお、表5の「旨味度・後残り度」の欄中の「#」は、原液を示す。
Figure 0005426044
この結果、7種類の搾汁液全てにおいて、グアニル酸含有量が低下するほど、旨味度や後残り度が少なくなり、後味がすっきりと改善されることが確認された。また、いずれの搾汁液においても、同じ原液から調製された、グアニル酸含有量のみが相違するサンプル群では、後味に違いはあったものの、その他の味、特に野菜感は、特に違いがなかった(表5の「野菜感」欄中、「変化なし」)。このことから、グアニル酸を低減させることによって、原料の青果物由来の特有の野菜らしさや果実らしさを損なうことなく、後味のみをすっきりとするように改善できることが明らかである。
[実施例5]
一般パネルにより、ホスファターゼ処理したトマト汁を原料とした飲料と、ホスファターゼ処理していないトマト汁を原料とした飲料の後味を評価した。
まず、表6に示す組成のトマト含有飲料(試験サンプルと対照サンプル)を製造した。なお、表6中の「酵素処理済トマト汁」は、対照サンプルの原料としたトマト汁を、実施例1で用いた酸性ホスファターゼを酵素の最終濃度が0.1%(質量/容量)となるように添加し、60℃で1時間、酵素反応を行ったものである。
Figure 0005426044
本研究の内容や背景を知らない114人の一般パネルが、試験サンプルと対照サンプルを飲み比べ、どちらが、運動前や運動中にごくごく飲む場合により美味しく飲めると感じられるかを評価した。この結果、98人(86%)が試験サンプルのほうが美味しく飲めると評価し、対照サンプルのほうが美味しく飲めると評価したのはわずか16人(14%)であった。
[実施例6]
専門パネルにより、ホスファターゼ処理したトマト汁を原料としたゼリーと、ホスファターゼ処理していないトマト汁を原料としたゼリーの後味を評価した。
まず、表7に示す組成で原料を混合し、弱火で10分間加熱させてから容器に移して冷やし固め、トマトゼリー(試験サンプルと対照サンプル)を製造した。表7中の「酵素処理済トマト汁」は、対照サンプルの原料としたトマト汁を、実施例1で用いた酸性ホスファターゼを酵素の最終濃度が0.1%(質量/容量)となるように添加し、60℃で1時間、酵素反応を行ったものである。
Figure 0005426044
得られたゼリーの味を専門パネルが比較したところ、表7に示すようなコメントが得られた。この結果から、ゼリーにおいては、ホスファターゼ処理したトマト汁を原料とすることにより、後味のみならず、味全体をすっきりさせることができることがわかった。
[実施例7]
専門パネルにより、ホスファターゼ処理したトマト汁を原料としたジャムと、ホスファターゼ処理していないトマト汁を原料としたジャムの後味を評価した。
まず、表8に示す組成で原料を混合し、弱火で400g程度になるまで煮詰め、トマトジャム(試験サンプルと対照サンプル)を製造した。酵素処理済トマト汁及びトマト汁は、実施例6で用いたものを用いた。
Figure 0005426044
得られたジャムの味を専門パネルが比較したところ、表8に示すようなコメントが得られた。この結果から、ジャムにおいても、ホスファターゼ処理したトマト汁を原料とすることにより、後味のみならず、味全体をすっきりさせることができることがわかった。

Claims (12)

  1. トマト汁を含む青果物の搾汁液を、ホスファターゼ処理することにより、グアニル酸含有量を低減させることを特徴とする、青果物の搾汁液の後味改善方法。
  2. ホスファターゼ処理により、ホスファターゼ処理前よりもグアニル酸含有量を2/3以下に低減させる、請求項1に記載の青果物の搾汁液の後味改善方法。
  3. ホスファターゼ処理後の青果物の搾汁液のグアニル酸含有量が、グルタミン酸含有量の1/300以下である、請求項1に記載の青果物の搾汁液の後味改善方法。
  4. ホスファターゼ処理後の青果物の搾汁液のグアニル酸濃度が、0〜15μg/gである、請求項1に記載の青果物の搾汁液の後味改善方法。
  5. 前記青果物の搾汁液のグルタミン酸濃度が、100〜6000μg/gである、請求項1に記載の青果物の搾汁液の後味改善方法。
  6. 前記青果物の搾汁液が、野菜汁、果汁、又はこれらの混合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の青果物の搾汁液の後味改善方法。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の青果物の搾汁液の後味改善方法により得られた青果物の搾汁液を含有させることを特徴とする、飲食品の製造方法。
  8. 製造された飲食品中のグアニル酸含有量が、グルタミン酸含有量の1/300以下である、請求項に記載の飲食品の製造方法。
  9. トマト汁を含む青果物の搾汁液を原料とし、
    グアニル酸含有量を低減させたことにより、グアニル酸含有量が、グルタミン酸含有量の1/300以下であることを特徴とする、飲食品。
  10. 原料に占める青果物の搾汁液由来成分の含有割合が5〜100質量%であり、グアニル酸濃度が0〜6μg/gである、請求項に記載の飲食品。
  11. 原料に占めるトマト汁由来成分の含有割合が80〜100質量%であり、グアニル酸濃度が0〜13μg/gである、請求項に記載の飲食品。
  12. トマト含有飲料である、請求項11のいずれか一項に記載の飲食品。
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