JP2018019706A - ニンジン汁の旨味抑制方法、ニンジン汁の製造方法、ニンジン汁、及び、にんじんジュース - Google Patents

ニンジン汁の旨味抑制方法、ニンジン汁の製造方法、ニンジン汁、及び、にんじんジュース Download PDF

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Ryoichi Ishii
僚一 石井
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Abstract

【課題】pHを調整してグアニル酸の生成を抑えることにより、旨味が抑制され、後味のキレが改善したニンジン汁の製造方法、及び該ニンジン汁の提供。
【解決手段】ニンジンを酸性水溶液で65度以上において温浴ブランチすること、及びブランチされたニンジンを搾ることを含む、ニンジン汁の製造方法。酸性水溶液のpHが2.6以下、好ましくは、2.5以下である、該ニンジン汁の製造方法。酸性水溶液がクエン酸水溶液である、該ニンジン汁の製造方法。pHが3.1〜4.6であり、かつ、グアニル酸含有量が0.38〜0.44mg%である、ニンジン汁。また、pHが4.7〜5.0であり、かつ、グアニル酸含有量が0.18〜0.21mg%である、ニンジン汁。
【選択図】図3

Description

本発明が関係するのは、ニンジン汁の旨味抑制方法、ニンジン汁の製造方法、ニンジン
汁、及び、にんじんジュースである。
我が国において、野菜飲料は、広く受け入れられており、その市場規模は、1000億
円を超えている。ここで、野菜飲料を例示すると、野菜濃縮飲料、野菜ミックス濃縮ジュ
ースや野菜果実ミックスジュース等である。野菜飲料が広く受け入れられた理由の一つは
、その飲み易さである。野菜飲料が飲み易いのは、その主たる原材料がニンジン汁だから
である。ニンジン汁の製造方法は、各種知られており、具体的には次のとおりである。
特許文献1が開示するのは、ニンジン汁の製造方法であり、その目的は、ニンジン汁の
凝集の防止である。当該製法の構成は、剥皮、ブランチング(茹でること)、破砕及び搾
汁である。ブランチングの実施時期は、剥皮から12時間以内である。ブランチング温度
は、60度乃至80度である。
特許文献2が開示するのは、ニンジン汁の製造方法であり、その目的は、硝酸性窒素(
例えば、硝酸イオン等)の除去である。硝酸性窒素は、好ましくない物質だからである。
当該製法の構成は、切断及びブランチングである。ニンジンを切断して、ニンジンの芯を
露出させる。ブランチング時に、ブランチング水に接触しているのは、露出した芯であり
、そこから、硝酸性窒素が溶出して除去される。ブランチング温度は、60度乃至100
度である。
特許第3362247号公報 特許第3771919号公報
本発明が解決しようとする課題は、ニンジン汁の後味のキレを改善することである。背
景技術において、酵素失活の観点から、ブランチング温度は、60度以上である。他方、
ブランチング温度が上がるについて、ニンジン汁の旨味が強まる。旨味が強いと、後味の
キレが悪くなる。旨味が影響するのは、後味だからである。
本願発明者が着目したのは、グアニル酸の生成量である。旨味を呈するのは、グルタミ
ン酸及びグアニル酸が相乗的に働いているからである。グアニル酸の生成を抑えるために
、本願発明者が鋭意検討して見出したのは、ニンジン汁のpHである。このニンジン汁の
pHに影響するのは、ブランチング水のpHである。そのような機序を踏まえて、本発明
を定義すると、以下のとおりである。
本発明に係るニンジン汁の旨味抑制方法において、ニンジンをブランチする温度は、6
5度以上である。また、ブランチで用いられる媒体は、酸性水溶液である。当該酸性水溶
液のpHは、2.6以下であり、好ましくは、2.5以下である。
本発明に係るニンジン汁の製造方法の構成は、ブランチング及び搾りである。ニンジン
をブランチする温度(ブランチング温度)は、65度以上である。ブランチされたニンジ
ンを搾って得られるのは、ニンジン汁である。ブランチにおいて、ニンジンが浸っている
のは、酸性水溶液である。当該酸性水溶液のpHは、2.6以下であり、好ましくは、2
.5以下である。ここで、「搾り」とは、ニンジン汁を得る工程をいい、そこに含まれる
のは、いわゆる固液分離である。
本発明が可能にするのは、後味のキレを改善したニンジン汁の供給である。
本実施の形態に係るニンジン汁の製造方法の流れ図 本実施の形態に係るブランチング温度とニンジン汁のグアニル酸濃度との関係図 本実施の形態に係るニンジン汁におけるpHとグアニル酸濃度との関係図
<本実施の形態に係るニンジン汁の製造方法の概要>
図1が示すのは、本実施の形態に係るニンジン汁の製造方法の流れである。本実施の形
態に係るニンジン汁の製造方法(以下、「本製法」という。)を構成するのは、蔕取(S
10)、剥皮(S20)、切断(S30)、ブランチング(S40)、砕き(S50)、
搾り(S60)、調合(S70)、並びに殺菌及び充填(S80)である。
<蔕取(S10)>
ニンジンの蔕(へた)を取る目的は、青臭みの回避である。この蔕に含まれる成分が引
き起こすのは、青臭みである。蔕を取る方法は、手動であるか自動であるかを問わず、公
知の方法でよい。
<剥皮(S20)>
ニンジンの表皮を剥く目的は、青臭みの回避である。この表皮に含まれる成分が引き起
こすのは、青臭みである。剥皮方法は、手動であるか自動であるかを問わず、公知の方法
でよい。また、ニンジンを洗浄するのは、好ましくは、剥皮前である。さらに、ニンジン
を洗浄する手段は、水に限らず、温水や蒸気等でもよい。このように、ニンジンを熱洗浄
する目的は、ニンジン汁の色調劣化の防止である。
<切断(S30)>
剥皮ニンジンを切断する目的は、残留物質の抑制である。当該残留物質が偏在している
のは、ニンジンの芯である。つまり、ニンジンを切断するにあたり、その芯が露出するよ
うにする。切断の具体的な説明のために本願明細書が取り込むのは、特許第377191
9号公報の内容である。
<ブランチング(S40)>
剥皮ニンジンをブランチする目的は、酵素の失活である。この観点から、剥皮ニンジン
をブランチする時期は、剥皮後24時間以内であり、好ましくは、剥皮後12時間以内で
ある。剥皮ニンジンをブランチする方法は、温浴である。ここで、温浴とは、温水に浸す
ことをいう。また、当該温浴で使用するのは、酸性水溶液であり、その詳細は後述する。
以下の説明では、ブランチング温度とは、温度であって、ブランチされたニンジンが至る
温度をいう。当該定義における「ニンジン」は、より具体的には、ニンジンの内部であり
、更により具体的には、ニンジンの中心である。ブランチング温度及びブランチング水(
酸性水溶液)の温度は、一致又は略一致する。ブランチング温度の数値は、後述する。
<砕き(S50)>
ブランチされたニンジンを砕く目的は、食感の向上及びβカロテンの収率向上である。
ブランチされたニンジンを砕く方法は、公知の方法で良く、具体的には、磨砕や破砕等で
ある。
<搾り(S60)>
砕かれたニンジンを搾って得られるのは、搾汁及び粕である。そのような搾汁の具体的
な説明のために本願明細書が取り込むのは、特許第3771919号公報の内容である。
<調合(S70)>
搾汁及び砕かれたニンジンを調合して得られるのは、ニンジン汁である。調合の目的は
、食感の付与である。この観点から、調合比率は、適宜決定すればよい。もっとも、食感
が不要であれば、砕かれたニンジンの比率は、ゼロでよい。つまり、「ニンジン汁」が排
除しないのは、搾汁そのものである。
<殺菌及び充填(S80)>
以上に加えて、本製法が適宜採用するのは、殺菌及び充填である。これらの方法は、公
知の方法で良く、例えば、ホットパック(特公平7−85708公報)がある。
<ブランチング温度>
本製法において、酵素失活の観点から、ブランチング温度は、65度以上であり、好ま
しくは、70度以上であり、より好ましくは、75度以上である。他方、ブランチング温
度が上がるにつれて、ニンジン汁の旨味が強まる。旨味が強いと、後味のキレが悪くなる
。旨味が影響するのは、後味だからである。しかも、旨味を呈するのは、グルタミン酸及
びグアニル酸が相乗的に働いているからである。そこで、本願発明者が着目したのは、グ
アニル酸の生成量である。つまり、当該グアニル酸の生成量が抑えられると、旨味が抑制
され、後味のキレが改善する。
<ニンジン汁のpH>
グアニル酸の生成を抑えるために、本願発明者が着目したのは、ニンジン汁のpHであ
る。本製法で得られるニンジン汁のpHは、5.1以下であり、それによって、グアニル
酸の生成量が十分に抑制される。他方、ニンジン汁のpHが5.1を超える場合、グアニ
ル酸の生成量は、十分に抑制されない。もっとも、ニンジン汁において、そのpHが4.
0を下回ると、酸味が強くなる。酸味を弱めるための手段は、pH調整剤であり、例示す
ると、重曹やクエン酸ナトリウム等である。つまり、ニンジン汁のpHは、好ましくは、
4.0以上、かつ、5.1以下である。
<酸性水溶液>
本製法において、ニンジン汁のpHが5.1以下となるのは、ブランチング時に酸性水
溶液のpHを調整するからである。酸性水溶液のpHを調整して2.6以下とすることで
、ニンジンのpHが十分に低下する。酸性水溶液のpHは、好ましくは、2.5以下であ
り、より好ましくは、2.4以下であり、更に好ましくは、2.2以下である。つまり、
ブランチングにおいて削減できるのは、ニンジンの浸漬時間である。本製法において、酸
性水溶液で使用する酸は、食品に適していればよく、例示すると、クエン酸、リンゴ酸、
酢酸、乳酸等である。香味の観点から好ましいのは、クエン酸である。
<実施例1の調製法>
市販のニンジンを水洗して、剥皮した。剥皮ニンジンを角切して、2センチ角とした。
角切ニンジンを茹でた(ブランチした)のは、クエン酸水溶液中である。茹でた角切ニン
ジンをカッターミキサーで破砕し、2軸回転型エクストルーダーで搾汁した。得られた搾
汁液をメッシュ(目開き500μm)で濾過して、ニンジン汁を得た。酵素失活を目的に
、得られたニンジン汁をPETボトルにホットパック充填した。以上において、クエン酸
水溶液を調整してpH2.4とした。また、クエン酸水溶液の温度は、65度とした。ブ
ランチング温度及び湯浴温度(クエン酸水溶液の温度)は、一致させた。例えば、角切ニ
ンジンを茹でる際に、そのクエン酸水溶液の温度を65度として、角切ニンジンの中心の
温度を65度とした。つまり、ブランチングの終点は、角切ニンジンの中心温度がクエン
酸水溶液の温度の65度に達した時点とした。
<実施例2の調製法>
クエン酸水溶液の温度(ブランチング温度)を70度とする以外は、実施例1と同様と
した。
<実施例3の調製法>
クエン酸水溶液の温度(ブランチング温度)を75度とする以外は、実施例1と同様と
した。
<実施例4の調製法>
クエン酸水溶液の温度(ブランチング温度)を80度とする以外は、実施例1と同様と
した。
<実施例5の調製法>
クエン酸水溶液の温度(ブランチング温度)を85度とする以外は、実施例1と同様と
した。
<実施例6の調製法>
クエン酸水溶液のpHを2.6とする以外は、実施例3と同様とした。
<実施例7の調製法>
クエン酸水溶液のpHを2.2とする以外は、実施例3と同様とした。
<実施例8の調製法>
クエン酸水溶液のpHを2.0とする以外は、実施例3と同様とした。
<実施例9の調製法>
クエン酸水溶液のpHを1.7とする以外は、実施例3と同様とした。
<比較例1の調製法>
クエン酸水溶液の温度(ブランチング温度)を60度とする以外は、実施例1と同様と
した。
<対照試料の調製法>
旨味抑制効果を確認するにあたり、実施例1乃至9並びに比較例1で用いられたクエン
酸水溶液に替えて水道水中でブランチした試料を調製し、対照試料とした。実施例試料の
旨味の評価にあたっては、この対照試料との比較により官能評価を行った。なお、官能評
価用の試料を調製するにあたり、20%クエン酸水溶液と蒸留水を用い、適宜各試料のB
rix、酸度の調整を行った。
<糖度の測定>
本測定で採用した糖度(Brix)の測定器は、精密アッベ屈折計(NAR−3T A
TAGO社製)である。測定時の品温は、20度であった。
<pH>
本測定で採用したpHの測定器は、pH計(pH METER F−52 HORIB
A社製)である。測定時の品温は、20度であった。
<酸度の測定>
本測定で採用した酸度測定方法は、0.1N水酸化ナトリウム標準液を用いた中和滴定
法であり、滴定値をクエン酸当量に換算し、酸度を算出した。
<グルタミン酸の測定>
本測定で採用したグルタミン酸の測定方法は、HPLC法である。装置構成は以下に示
す通りである。また、測定条件の詳細は、高速アミノ酸分析計に付属のアプリケーション
である「生体分析法」のとおりである。なお、測定試料には、サンプルを3%(w/w)
スルホサリチル酸で希釈し、フィルター(ADVANTEC TOYO DICMIC−
25CS Cellulose Acetate 0.45μm HYDROPHILI
C)濾過したものを用いた。
測定装置 :高速アミノ酸分析計L−8800A(日立製作所)
アンモニアフィルタカラム:#2650L(内径:4.6mm×60mm)
(日立製作所)
分析カラム :#2622(内径:4.6mm×60mm)
(日立製作所)
ガードカラム :#2619(内径:4.6mm×60mm)
(日立製作所)
移動相 :クエン酸リチウム緩衝液
反応液 :ニンヒドリン溶液
検出波長 :570nm
<グアニル酸>
本測定で採用したグアニル酸の測定方法は、HPLC法である。装置構成、測定条件は
、以下に示す通りである。なお、測定試料には、サンプルをフィルター(ADVANTE
C TOYO DICMIC−25CS Cellulose Acetate 0.4
5μm HYDROPHILIC)濾過したものを用いた。
測定装置
高速液体クロマトグラフChromasterシリーズ(日立製作所)
オートサンプラー :型式5210
ポンプ :型式5110
カラムオーブン :型式5310
UV−VIS検出器 :型式5420
測定条件
カラム :Develosil RPAQUEOUS AR−5
[固定相:C30(トリアコンチル基)、粒子径:5μm)]
4.6mm×250mm(野村化学株式会社)
移動相(A液) :100mMリン酸緩衝液pH2.5
移動相(B液) :90%アセトニトリル
アセトニトリル:超純水=9:1(体積比)
グラジエント条件 :B液比率を、0〜5分後まで0%、25分後まで7.5%
、25.1〜28分後まで20%、28.1〜32分後まで0%とするリニアグラジエン

流速 :1.0ml/min
検出波長 :254nm
カラム温度 :35度
試料注入量 :10μL
分析時間 :35分/サンプル
<官能評価>
官能評価は、実施例1乃至9及び比較例1をそれぞれ1試験区分として、各試験区分に
おける対照試料との間の識別性を判断する2点識別法を採用した。評価は、室温にて、選
定した1名の訓練されたパネルに対して行った。なお、パネルは、予備評価にて各試験区
分の試料で感じることのできる官能差異が旨味であり、他の甘味、酸味、香り等に差異が
認められないこと、対照試料よりも実施例試料のほうが旨味を弱く感じ、旨味を弱く感じ
るほど後味のキレがよいことを事前に確認したうえで本評価に臨んだ。本評価においては
、パネルに試料情報の開示はせず、1試験区分あたり5回の繰り返し評価を行い、その際
、旨味が強い試料(対照試料)がどちらかを回答させる方式とした。また、識別性は5回
の繰り返し試験の結果をもとに、有意差検定(危険率5%)により判断した。なお、旨味
に関する回答としては、1試験区分における2試料間で差異が感じられなかった場合は「
差異なし」とし、差異が感じられた場合は、一方の旨味が強いと判断された試料に対する
相対評価で「やや弱い、弱い、非常に弱い」とする記述方式を採用した。
<測定結果及び官能評価結果>
表1が示すのは、実施例1乃至9並びに比較例1のBrix、pH、酸度、並びにグル
タミン酸、グアニル酸の測定結果である。他方、表2が示すのは、官能評価に供するため
、実施例1乃至9並びに比較例1と各対照試料とのBrix、酸度を調整した結果である
。表1及び表2が示す結果から、各実施例及び比較例のいずれにおいても、各対照区分と
比較すると、グルタミン酸含有量は、大きく変わらないものの、グアニル酸含有量はいず
れの区分においても低い結果となった。図2が示すのは、表2のグアニル酸含有量のうち
、実施例1乃至5並びに比較例1をグラフ化したものである。他方、図3が示すのは、表
2のグアニル酸含有量のうち、実施例6乃至9をグラフ化したものである。さらに、表3
が示すのは、表2で示した各試料を官能評価した結果である。これらから、実施例1乃至
9は、危険率5%の水準で、有意に旨味の強い対照試料との識別が可能であり、対照に比
べ、旨味が抑制されており、旨味を弱く感じるほど後味のキレがよいことを確認できた。
<考察>
実施例1乃至5並びに比較例1の結果より、クエン酸水溶液でのブランチング温度が6
0度の区分(比較例1)においては、対照試料との旨味の差を確認できなかったものの、
クエン酸水溶液でのブランチング温度が65度以上の区分(実施例1乃至5)においては
、対照試料に対する旨味抑制効果を確認できた。一方、実施例6乃至9の結果より、ブラ
ンチング後に得られるニンジン汁のpHがより低いほどグアニル酸含有量は低減されてお
り、結果として旨味抑制効果があることを確認した。また、グルタミン酸に関して言えば
、いずれの区分においても対照試料との大きな差は確認できなかった。以上を踏まえ、本
発明においては、ブランチング温度及びpHを制御することにより、ブランチング時にお
けるニンジン中のグアニル酸生成を抑え、結果として得られるニンジン汁の旨味が抑制さ
れ、後味のキレが改善されることを見出した。具体的には、ニンジンのブランチング温度
が65度以上であり、該ニンジンの内部温度が温浴温度に達するまで酸性水溶液中でブラ
ンチングすることである。これは、一つの要因として、ニンジン中に含まれるグアニル酸
合成酵素、及び分解酵素が寄与しており、これらが温度とpHによって制御され、pHが
低いほど分解酵素のほうが合成酵素よりも活性が高くなること、あるいは、分解酵素、合
成酵素両者の活性が低くなることによってもたらされたことが挙げられる。
<ニンジン汁の物性値>
表2を踏まえて、本製法で得られるニンジン汁を定義すると、(1)当該ニンジン汁の
pHは、3.1乃至4.6であり、かつ、そのグアニル酸含有量は、0.38mg%乃至
0.44mg%であるもの、又は(2)そのpHは、4.7乃至5.1であり、かつ、そ
のグアニル酸含有量は、0.18mg%乃至0.21mg%であるものとなる。にんじん
ジュース(日本農林規格)の原材料が当該ニンジン汁(ストレート汁であるか濃縮還元で
あるかを問わない。)である場合、当該にんじんジュースを定義すると、(1)にんじん
ジュースのpHは、3.1乃至4.6であり、かつ、そのグアニル酸含有量は、0.38
mg%乃至0.44mg%であるもの、又は(2)そのpHは、4.7乃至5.1であり
、かつ、そのグアニル酸含有量は、0.18mg%乃至0.21mg%であるものとなる
<容器>
本発明に係るニンジン汁が詰められるのは、各種容器であり、例示すると、紙容器、P
ET容器や缶(160ml缶、190ml缶、350ml缶、一斗缶、ドラム缶等)など
である。容器の表示が従うのは、法令であるが、家庭用のニンジン汁であれば、「にんじ
んジュース」又は「にんじんミックスジュース」(以上、日本農林規格)である旨、高甘
味である旨、キレがある旨などである。これらが表示されるのは、主に、紙容器、PET
容器及び缶(160ml缶、190ml缶、350ml缶)である。他方、業務用(工業
用)であれば、「にんじんジュース」又は「にんじんミックスジュース」(以上、日本農
林規格)に適合している旨、高甘味である旨、キレがある旨、業務用(工業用)である旨
などである。これらが表示されるのは、主に、一斗缶、ドラム缶である。
本発明が有用な分野は、にんじんジュース及びにんじんミックスジュース(以上、日本
農林規格)等のニンジン汁含有飲料の製造及び販売である。

Claims (9)

  1. ニンジン汁の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程であり、
    (1)温浴ブランチされるのは、ニンジンであり、その温度は、65度以上であり、
    前記ニンジンが浸っているのは、酸性水溶液であり、
    かつ、
    (2)搾られるのは、ブランチされたニンジンであり、それによって得られるのは、
    ニンジン汁である、
    前記製造方法。
  2. 請求項1の製造方法であって、
    前記酸性水溶液のpHは、2.6以下である、
    前記製造方法。
  3. 請求項1の製造方法であって、
    前記酸性水溶液のpHは、2.5以下である、
    前記製造方法。
  4. 請求項1乃至3の何れかの製造方法であって、
    前記酸性水溶液は、クエン酸水溶液である、
    前記製造方法。
  5. 請求項1乃至4の何れかの製造方法であって、
    前記ニンジン汁のpHは、5.1以下である、
    前記製造方法。
  6. ニンジン汁であって、
    そのpHは、3.1乃至4.6であり、かつ
    そのグアニル酸含有量は、0.38mg%乃至0.44mg%である、
    前記ニンジン汁。
  7. ニンジン汁であって、
    そのpHは、4.7乃至5.0であり、かつ、
    そのグアニル酸含有量は、0.18mg%乃至0.21mg%である、
    前記ニンジン汁。
  8. にんじんジュースであって、
    そのpHは、3.1乃至4.6であり、かつ
    そのグアニル酸含有量は、0.38mg%乃至0.44mg%である、
    前記にんじんジュース。
  9. にんじんジュースであって、
    そのpHは、4.7乃至5.0であり、かつ、
    そのグアニル酸含有量は、0.18mg%乃至0.21mg%である、
    前記にんじんジュース。
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