JP2017063734A - ニンジン汁の甘味抑制方法、ニンジン汁の製造方法及びニンジン汁 - Google Patents

ニンジン汁の甘味抑制方法、ニンジン汁の製造方法及びニンジン汁 Download PDF

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恵里子 市川
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Abstract

【課題】低甘味ニンジン汁の安定供給、及びニンジン汁の甘味抑制方法の提供。【解決手段】剥皮ニンジンを68〜75度の温度でブランチングし、搾られたニンジン汁であって、グルタミン酸濃度(A)に対するグアニル酸濃度(B)の値(A/B)が、0.04≦A/B<0.05で、100.0ppm<A≦169.0ppm、かつ、5.0ppm<B≦7.0ppmを満足する、ニンジン汁の甘味抑制方法、及び該ニンジン汁を用いた混合飲料。【選択図】図4

Description

本発明が関係するのは、ニンジン汁の甘味抑制方法、ニンジン汁の製造方法及びニンジン汁である。
我が国において、野菜飲料は、広く受け入れられており、その市場規模は、1000億円を超えている。ここで、野菜飲料を例示すると、野菜濃縮飲料、野菜ミックス濃縮ジュースや野菜果実ミックスジュース等である。野菜飲料が広く受け入れられた理由の一つは、その飲み易さである。野菜飲料が飲み易いのは、その主たる原材料がニンジン汁だからである。ニンジン汁の製造方法は、各種知られており、具体的には次のとおりである。
特許文献1が開示するのは、ニンジン汁の製造方法であり、その目的は、ニンジン汁の凝集の防止である。当該製法の構成は、剥皮、ブランチング(茹でること)、破砕及び搾汁である。ブランチングの実施時期は、剥皮から12時間以内である。ブランチング温度は、60度乃至80度である。
特許文献2が開示するのは、ニンジン汁の製造方法であり、その目的は、硝酸性窒素(例えば、硝酸イオン等)の除去である。硝酸性窒素は、好ましくない物質だからである。当該製法の構成は、切断及びブランチングである。ニンジンを切断して、ニンジンの芯を露出させる。ブランチング時に、ブランチング水に接触しているのは、露出した芯であり、そこから、硝酸性窒素が溶出して除去される。ブランチング温度は、60度乃至100度である。
特許第3362247号公報 特許第3771919号公報
本発明が解決しようとする課題は、ニンジン汁の甘味のばらつきである。ニンジン汁の甘味がばらつくのは、生産単位(ロット)間である。すなわち、一のロットのニンジン汁の甘味は、弱く、他のロットの甘味は、強いのである。
当該ばらつきが影響するのは、野菜飲料の香味である。例えば、野菜ミックス濃縮ジュース及び野菜果実ミックスジュースでは、ニンジン汁の強い甘味によって他の原材料の香味は、隠れてしまう。これでは、「ミックス」の価値の訴求は、不十分である。
以上を踏まえて、本願発明者が鋭意検討して見出したのは、(1)甘味のばらつきの原因が旨味成分の量であること、(2)この旨味成分の量に影響するのがブランチング温度であること、(3)当該成分量が急変するのが特定のブランチング温度であること、である。そのような機序を踏まえて、本発明を定義すると、以下のとおりである。
本発明に係るニンジン汁の甘味抑制方法を構成するのは、ブランチング温度の調整である。ブランチング温度を調整して強化するのは、ニンジン汁の旨味である。当該ブランチング温度とは、温度であって、ブランチされたニンジンが至る点をいう。当該ブランチング温度は、68度より大きく、好ましくは、75度以下である。
本発明に係るニンジン汁の製造方法を構成するのは、ブランチング及び搾りである。すなわち、剥皮ニンジンは、ブランチされ、かつ、搾られる。ブランチされたニンジンが至る温度(ブランチング温度)は、68度より大きく、好ましくは、75度以下である。ここで、「搾り」とは、ニンジン汁を得る工程をいい、そこに含まれるのは、いわゆる固液分離である。
本発明が可能にするのは、低甘味ニンジン汁の安定供給である。
本実施の形態に係るニンジン汁の製造方法の流れ図 本実施例に係るブランチング温度に対する甘味評価の関係図 本実施例に係るブランチング温度に対する旨味評価の関係図 本実施例に係るブランチング温度に対するグルタミン酸濃度の関係図 本実施例に係るブランチング温度に対するグアニル酸濃度の関係図
<本実施の形態に係るニンジン汁の製造方法の概要>
図1が示すのは、本実施の形態に係るニンジン汁の製造方法の流れである。本実施の形態に係るニンジン汁の製造方法(以下、「本製法」という。)を構成するのは、蔕取(S10)、剥皮(S20)、切断(S30)、ブランチング(S40)、砕き(S50)、搾り(S60)、調合(S70)、並びに殺菌及び充填(S80)である。
<蔕取(S10)>
ニンジンの蔕(へた)を取る目的は、青臭みの回避である。この蔕に含まれる成分が引き起こすのは、青臭みである。蔕(へた)を取る方法は、手動であるか自動であるかを問わず、公知の方法でよい。
<剥皮(S20)>
ニンジンの表皮を剥く目的は、青臭みの回避である。この表皮に含まれる成分が引き起こすのは、青臭みである。剥皮方法は、手動であるか自動であるかを問わず、公知の方法でよい。また、ニンジンを洗浄するのは、好ましくは、剥皮前である。さらに、ニンジンを洗浄する手段は、水に限らず、温水や蒸気等でもよい。このように、ニンジンを熱洗浄する目的は、ニンジン汁の色調劣化の防止である。
<切断(S30)>
剥皮ニンジンを切断する目的は、残留物質の抑制である。当該残留物質が偏在しているのは、ニンジンの芯である。つまり、ニンジンを切断するにあたり、その芯が露出するようにする。切断の具体的な説明のために本願明細書が取り込むのは、特許第3771919号公報の内容である。
<ブランチング(S40)>
剥皮ニンジンをブランチする目的は、酵素の失活である。この観点から、剥皮ニンジンをブランチする時期は、剥皮後24時間以内であり、好ましくは、剥皮後12時間以内である。剥皮ニンジンをブランチする方法は、不問であり、具体的には、蒸気や温水等である。以下の説明では、ブランチング温度とは、温度であって、ブランチされたニンジンが至る温度をいう。当該定義における「ニンジン」は、より具体的には、ニンジンの内部であり、更により具体的には、ニンジンの中心である。ブランチング温度及びブランチング媒体(例えば、水等)の温度は、一致することもあれば、そうではないこともある。
<砕き(S50)>
ブランチされたニンジンを砕く目的は、食感の向上及びβカロテンの収率向上である。ブランチされたニンジンを砕く方法は、公知の方法で良く、具体的には、磨砕や破砕等である。
<搾り(S60)>
砕かれたニンジンを搾って得られるのは、搾汁及び粕である。そのような搾汁の具体的な説明のために本願明細書が取り込むのは、特許第3771919号公報の内容である。
<調合(S70)>
搾汁及び砕かれたニンジンを調合して得られるのは、ニンジン汁である。調合の目的は、食感の付与である。この観点から、調合比率は、適宜決定すればよい。もっとも、食感が不要であれば、砕かれたニンジンの比率は、ゼロでよい。つまり、「ニンジン汁」が排除しないのは、搾汁そのものである。
<殺菌及び充填(S80)>
以上に加えて、本製法が適宜採用するのは、殺菌及び充填である。これらの方法は、公知の方法で良く、例えば、ホットパック充填、無菌常温充填(アセプティック充填)、超高温瞬間殺菌(UHT殺菌)後に10度以下の温度まで冷却して充填する方法(チルド充填)等があるが(芹沢全理著 「清涼飲料水の製造技術(5) 茶系飲料およびコーヒー飲料の製造」食品と容器 2008 VOL.49 NO.10 第605頁)、風味の観点から好ましいのは、アセプティック充填及びチルド充填である。
<甘味とブランチング温度との関係>
本発明者らが当初推測したところによれば、甘味が比例するのは、ブランチング温度である。すなわち、ブランチング温度が高ければ、青臭さが少なく、甘味が強い。他方、ブランチング温度が低ければ、青臭さが多く、甘味が弱い。当該仮説を検証するために、ブランチング温度を段階的に上げた。確かに、ブランチング温度が60度を超えるまでは、ブランチング温度の上昇に伴い、甘味が強まった。ところが、ブランチング温度が60度を超えると、ブランチング温度の上昇に伴い、甘味が弱まった。この結果は、全くの予想外であった。そこで、本発明者らが鋭意検討し発見したのは、旨味の違いである。
<ブランチング温度の閾値>
当該ブランチング温度の閾値の決定に際して考慮されるのは、以下の要素のうち少なくとも1以上である。第1に、当該ブランチング温度において、ニンジン汁の甘味評価は、切り下がるか否かである。第2に、当該ブランチング温度において、ニンジン汁の旨味成分濃度の変化は、急であるか否かである。具体的には、ニンジン汁のグルタミン酸濃度の増加が急であるか否か、ニンジン汁のグアニル酸濃度が極大(より正確には、最大)であるか否かである。
<ブランチング温度の下限値及びその境界値>
当該閾値の決定要素を考慮して、本製法におけるブランチング温度の下限値及びその境界値(以下、単に「下限値」という。)を定義すると、次のとおりである。第1に、当該下限値とは、ブランチング温度であって、ニンジン汁の甘味評価が切り下がり、「感じる」から「やや感じる」になる点をいう。第2に、当該下限値とは、ブランチング温度であって、ニンジン汁のグルタミン酸濃度の増加が急な点をいう。このように温度の下限を設定することで抑制されるのは、ニンジン汁の甘味である。これらの定義及び後述する実施例を踏まえると、本製法におけるブランチング温度は、68度より大きい。
<ブランチング温度の上限値>
前述の決定要素を考慮して、本製法におけるブランチング温度の上限値を定義すると、次のとおりである。第1に、当該上限値とは、ブランチング温度であって、ニンジン汁の甘味評価が切り下がり、「やや感じる」から「僅かに感じる」になる点をいう。第2に、当該上限値とは、ブランチング温度であって、ニンジン汁のグアニル酸濃度が最大である点をいう。このように温度の上限を設定することで確保されるのは、ニンジン汁の仄かな甘味である。これらの定義及び後述する実施例を踏まえると、本製法におけるブランチング温度は、好ましくは、75度以下である。ブランチング温度が75度を超えると、ニンジン汁の甘味が殆ど感じられない。
<ニンジン汁の調製法>
市販のニンジンを水洗して、剥皮した。剥皮ニンジンを角切して、2センチ角とした。水道水を温め、その中で、角切ニンジンを茹でた(ブランチした)。茹でた角切ニンジンを破砕し、2軸回転型エクストルーダーで搾汁した。得られた搾汁液をメッシュ(目開き500μm)で濾過して、ニンジン汁(試料1乃至7)を得た。以上において、各試料の調整法の違いは、ブランチング温度である。ブランチング温度及び湯浴温度は、一致させた。例えば、角切ニンジンを茹でる際に、その水温を55±2度として、角切ニンジンの中心の温度を55度とした。
<糖度の測定>
本測定で採用した糖度(Brix)の測定器は、屈折計(NAR−3T ATAGO社製)である。測定時の品温は、20℃であった。
<糖の測定>
本測定で採用した糖の測定器は、Shimadzu LC10VPシステム((株)島津製作所製)である。測定条件は、カラム:Shodex Asahipak NH2P−50 4E[内径:φ4.6mm×250mm、昭和電工(株)製]、カラム温度:50℃、サンプル注入量:10μL、移動相:アセトニトリル/水=75/25(容量比)、移動相の流速:1mL/min、検出器:示差屈折計(RI検出器)である。
<グルタミン酸の測定>
本測定で採用したグルタミン酸の測定法は、HPLC法である。具体的には、本測定で採用したグルタミン酸の測定器は、高速アミノ酸分析計L−8000シリーズ((株)日立製作所)である。測定条件は、アンモニアフィルタカラム:#2650L[内径:4.6mm×60mm、(株)日立製]、分析カラム:#2622[内径:4.6mm×60mm、(株)日立製]、ガードカラム:#2619[内径:4.6mm×60mm、(株)日立製]、移動相:クエン酸リチウム緩衝液、反応液:ニンヒドリン溶液、検出波長:VIS 570nmである。
<グアニル酸の測定>
本測定で採用したグアニル酸の測定法は、HPLC法である。具体的には、本測定で採用したグアニル酸の測定器は、紫外検出器付き高速液体クロマトグラフ(日立製作所Chromasterシリーズ)である。測定条件は、カラム:Develosil RPAQUEOUS AR[固定相:C30(トリアコンチル基)、粒子径:5μm、内径:4.6nm×250mm、野村化学(株)製]、カラム温度:40℃、サンプル注入量:10μL、移動相:100mMリン酸緩衝液(pH2.5)をA液、アセトニトリルと超純水を9:1(容量比)で混合した液をB液とし、B液比率を、0〜5分後まで0%、25分後まで7.5%、25.1〜28分後まで20%、28.1〜32分後まで0%となるようなリニアグラジエント、移動相の流速:1mL/min、検出器:UV検出器、検出波長:254nmである。
<pH>
本測定で採用したpHの測定器は、pH計(pH METER F−52 HORIBA社製)である。測定時の品温は、20℃であった。
<官能評価>
本評価で採用した官能評価方法は、評点法である。評価者は、訓練された評価パネル5人であった。また、評価項目及び評点は、次のとおりであった。ここで、評点は、評点の合計値をパネル数で除した値(すなわち、平均値)である。
<測定及び官能評価>
表2が示すのは、試料1乃至7の測定値及び官能評価点である。ここで、測定値(糖度を除く)及び評価点は、糖度7.0%相当の値である。すなわち、フルクトース、グルコース及びスクロースの含有量を測定するにあたり、各試料の糖度を調整して7.0%とした。また、各試料におけるグルタミン酸及びグアニル酸の実測値を補正して、糖度7.0%相当の測定値とした。何れの測定値もN2の平均値である。さらに、甘味及び旨味の官能評価にあたり、各試料の糖度を調整して7.0%とした。
試料1乃至7を比較すると、糖含有量及びブランチング温度の相関は、特段見られなかった。すなわち、ブランチング温度が上昇したからといって、糖含有量が低下するとは限らなかった。
他方、試料1乃至7を比較すると、甘味のばらつきは、大きい。図2が示すのは、ブランチング温度に対する甘味評価の関係である。当該グラフによれば、甘味の評点が下がって、3.0未満になったのは、65度乃至70度の間である。当該グラフから推測すると、甘味の評点「3.0」に対応するブランチング温度は、68度付近である。また、当該グラフによれば、甘味の評点が下がって、2.0未満になった境界は、75度である。
更に、旨味のばらつきも大きかった。図3が示すのは、ブランチング温度に対する旨味評価の関係である。当該グラフによれば、旨味の評点が上がって、3.0以上となったのも、65度乃至70度の間である。当該グラフから推測すると、旨味の評点「3.0」に対応するブランチング温度は、68度付近である。また、当該グラフによれば、旨味の評点が高止まりしたのは、75度である。
旨味の評価の裏付けは、以下のとおりである。図4が示すのは、ブランチング温度に対するグルタミン酸濃度の関係である。当該グラフによれば、グルタミン酸濃度の増加が急なのは、65度乃至70度の間である。当該グラフから推測すると、グルタミン酸濃度の増加が最も急な点に対応するブランチング温度は、やはり、68度付近である。
更に、図5が示すのは、ブランチング温度に対するグアニル酸濃度の関係である。グアニル酸濃度が最大となったのは、75度である。また、ブランチング温度が75度を超えたら、グアニル酸濃度は、高止まりした。
以上によれば、ニンジン汁の甘味評価が「感じる」よりも弱かったのは、ブランチング温度が68度より大きい点である。言い換えると、ブランチング温度を68度より大きくすることで、ニンジン汁の甘味が抑制される。また、ニンジン汁の甘味評価が「やや感じる」であったのは、ブランチング温度が75度以下である。言い換えると、ブランチング温度を75度以下とすることで、ニンジン汁の甘味は、抑制されつつも、仄かに残る。纏めると、ブランチング温度を調整することで、甘味が抑制されたニンジン汁が安定的に供給される。更に、ニンジン汁の甘味を抑制することで、ニンジン混合飲料の香味を調整し易くなる。
<ニンジン汁の物性値>
表2の測定値を踏まえて、本発明に係るニンジン汁を定義すると、以下のとおりである。当該ニンジン汁のグルタミン酸濃度(A)に対するグアニル酸濃度(B)の値(A/B)が満足するのは、0.04≦A/B<0.05であり、より好ましくは、100.0ppm<A≦169.0ppmであり、かつ、5.0ppm<B≦7.0ppmである。以上において、グルタミン酸濃度及びグアニル酸濃度の下限値は、ブランチング温度が68度より大きい範囲で、最も小さな整数値とした(図4及び図5を参照)。また、グルタミン酸濃度及びグアニル酸濃度の上限値は、ブランチング温度が75度以下の範囲で、最も大きな整数値とした(図4及び図5を参照)。さらに、ニンジン汁の糖度(Brix)は、問わないが、通常は、6.0乃至9.0程度(ストレート換算)である。以上によれば、ニンジン汁の甘味を抑制することで、ニンジン混合飲料の香味を調整し易くなる。
<容器>
本発明に係るニンジン汁が詰められるのは、各種容器であり、例示すると、紙容器、PET容器や缶(160ml缶、190ml缶、350ml缶、一斗缶、ドラム缶等)などである。容器の表示が従うのは、法令であるが、家庭用のニンジン汁であれば、「にんじんミックスジュース」(日本農林規格)である旨、低甘味である旨などである。これらが表示されるのは、主に、紙容器、PET容器及び缶(160ml缶、190ml缶、350ml缶)である。他方、業務用(工業用)であれば、「にんじんミックスジュース」(日本農林規格)に適合している旨、低甘味である旨、業務用(工業用)である旨などである。これらが表示されるのは、主に、一斗缶、ドラム缶である。
本発明が有用な分野は、にんじんミックスジュース(日本農林規格)等のニンジン混合飲料の製造及び販売である。
<ニンジン汁の物性値>
表2の測定値を踏まえて、本発明に係るニンジン汁を定義すると、以下のとおりである。当該ニンジン汁のグルタミン酸濃度(A)に対するグアニル酸濃度(B)の値(B/A)が満足するのは、0.04≦B/A<0.05であり、より好ましくは、100.0ppm<A≦169.0ppmであり、かつ、5.0ppm<B≦7.0ppmである。以上において、グルタミン酸濃度及びグアニル酸濃度の下限値は、ブランチング温度が68度より大きい範囲で、最も小さな整数値とした(図4及び図5を参照)。また、グルタミン酸濃度及びグアニル酸濃度の上限値は、ブランチング温度が75度以下の範囲で、最も大きな整数値とした(図4及び図5を参照)。さらに、ニンジン汁の糖度(Brix)は、問わないが、通常は、6.0乃至9.0程度(ストレート換算)である。以上によれば、ニンジン汁の甘味を抑制することで、ニンジン混合飲料の香味を調整し易くなる。

Claims (9)

  1. ニンジン汁の甘味抑制方法であって、その構成は、以下の工程であって、
    調整されるのは、ブランチング温度であり、それによって強化されるのは、ニンジン汁の旨味である、
    こと。
  2. 請求項1の甘味抑制方法において、
    前記ブランチング温度は、68度より大きい、
    こと。
  3. 請求項1又は2の甘味抑制方法において、
    前記ブランチング温度は、75度以下である、
    こと。
  4. ニンジン汁の製造方法であって、その構成は、以下の工程であって、
    ブランチされるのは、剥皮ニンジンであること、及び
    搾られるのは、ブランチされたニンジンである、ことにおいて、
    ブランチされたニンジンが至る温度(以下、「ブランチング温度」という。)は、68度より大きい、
    こと。
  5. 請求項4の製造方法において、
    前記ブランチング温度は、75度以下である、
    こと。
  6. 請求項4又は5の製造方法において、
    前記ブランチング温度が68度より大きいことで、ニンジン汁の旨味が強化される、
    こと。
  7. ニンジン汁であって、
    そのグルタミン酸濃度(A)に対するグアニル酸濃度(B)の値(A/B)が満足するのは、0.04≦A/B<0.05である、
    もの。
  8. 請求項7のニンジン汁において、
    100.0ppm<A≦169.0ppm、かつ、
    5.0ppm<B≦7.0ppmである、
    もの。
  9. 請求項7又は8のニンジン汁において、
    その用途は、ニンジン混合飲料である、
    もの。
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