JP2013170202A - 高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ビフェニル基を有するユニット(A)25〜60モル%、直鎖状ユニット(直鎖の脂肪族炭化水素鎖など)(B)25〜60モル%、および主鎖の折り畳み効果を有する非縮合芳香族基、縮合芳香族基、複素環基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を有するユニット(C)0〜25モル%からなる熱可塑性樹脂(i)100重量部に対して、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸金属塩、亜リン酸金属塩、次亜リン酸金属塩の群から選ばれる1種以上のリン系添加剤(ii)を0.001〜5重量部含有してなる、熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
主鎖の構造が一般式(1)
で表されるビフェニル基を有するユニット(A)25〜60モル%、
一般式(2)
−Y−R−Y− (2)
(式中、Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の直鎖状置換基を示す。YはO、COの群から選ばれる2価の置換基を示す)
で表されるユニット(B)25〜60モル%、
一般式(3)
−Z1−M−Z2− (3)
(式中、Z1、Z2はO、NH、CO、S、NHCO、およびCONHからなる群より選ばれる2価の置換基を示す。Mは主鎖の折り畳み効果を有する非縮合芳香族基、縮合芳香族基、複素環基、脂環基、および脂環式複素環基からなる群より選ばれる置換基を示す。)
で表されるユニット(C)0〜25モル%(ただしユニット(A)、(B)、(C)の合計を100モル%とする)からなり、樹脂単体の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上である熱可塑性樹脂(i)100重量部に対して、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸金属塩、亜リン酸金属塩、および次亜リン酸金属塩からなる群より選ばれる1種以上のリン系添加剤(ii)を0.001〜5重量部含有してなる、熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂(i)、前記リン系添加剤(ii)、無機充填剤(iii)よりなることを特徴とする、1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記一般式(1)のXがO、一般式(2)のYがCOである1)または2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂(i)のRに相当する部分が直鎖の脂肪族炭化水素鎖である、1)〜3)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂(i)のRに相当する部分の主鎖原子数が偶数である、1)〜4)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂(i)のRが−(CH2)8−、−(CH2)10−、−(CH2)12−から選ばれる少なくとも1種である、1)〜5)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂(i)のMが以下に示す構造のうちいずれか1種である、1)〜6)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂(i)の数平均分子量が3000〜40000である、1)〜7)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂(i)の分子鎖の末端の60モル%以上がカルボキシル基である、1)〜8)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂(i)中のラメラ晶の割合が10Vol%以上であることを特徴とする、1)〜9)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記リン系添加剤(ii)が、リン酸金属塩、亜リン酸金属塩、および次亜リン酸金属塩からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする、1)〜10)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記リン系添加剤(ii)が、リン酸アルカリ金属塩、次亜リン酸アルカリ金属塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする、1)〜11)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記リン系添加剤(ii)を、前記熱可塑性樹脂(i)の重合反応中に添加することを特徴とする、1)〜12)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
前記リン系添加剤(ii)を、前記熱可塑性樹脂(i)の重合反応開始時に原料モノマーとともに反応器に投入することを特徴とする、13)に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
前記無機充填剤(iii)が、単体での熱伝導率が1W/(m・K)以上の無機化合物であることを特徴とする、1)〜14)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記無機充填剤(iii)が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、およびダイヤモンドからなる群より選ばれる1種以上の電気絶縁性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする、1)〜15)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
前記無機充填剤(iii)が、グラファイト、導電性金属粉、軟磁性フェライト、炭素繊維、導電性金属繊維、および酸化亜鉛からなる群より選ばれる1種以上の導電性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする、1)〜16)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
1)〜17)のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有する放熱・伝熱用樹脂材料。
で表されるビフェニル基を有するユニット(A)25〜60モル%、
一般式(2)
−Y−R−Y− (2)
(式中、Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の直鎖状置換基を示す。YはO、COの群から選ばれる2価の置換基を示す)
で表されるユニット(B)25〜60モル%、
一般式(3)
−Z1−M−Z2− (3)
(式中、Z1、Z2はO、NH、CO、S、NHCO、およびCONHからなる群より選ばれる2価の置換基を示す。Mは主鎖の折り畳み効果を有する非縮合芳香族基、縮合芳香族基、複素環基、脂環基、および脂環式複素環基からなる群より選ばれる置換基を示す。)
で表されるユニット(C)0〜25モル%(ただしユニット(A)、(B)、(C)の合計を100モル%とする)からなることを特徴とし、樹脂単体の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上である。
一般式(1)
中のXとしては、熱伝導性の優れる樹脂が得られるという観点から、Oであることが好ましい。
一般式(2)
−Y−R−Y− (2)
(式中、Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の直鎖状置換基を示す。YはO、COの群から選ばれる2価の置換基を示す)
中のYとしては、熱伝導性の優れる樹脂が得られるという観点から、COであることが好ましい。
−Z1−M−Z2− (3)
(式中、Z1、Z2はO、NH、CO、S、NHCOの群から選ばれる2価の置換基を示す。Mは主鎖の折り畳み効果を有する非縮合芳香族基、縮合芳香族基、複素環基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。)
について、ここで言う主鎖の折り畳み効果とは、高分子主鎖を折り畳むように屈曲させる効果を意味し、主鎖をなす結合どうしの角度が150度以下、好ましくは120度以下、より好ましくは60度以下である。一般式(3)中のMの具体例としては、以下で表される基が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電子材料、磁性材料、触媒材料、構造体材料、光学材料、医療材料、自動車材料、建築材料等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。特に優れた成形加工性、高熱伝導性という優れた特性を併せ持つことから、放熱・伝熱用樹脂材料として非常に有用である。
数平均分子量:本発明に用いる熱可塑性樹脂をp−クロロフェノール(東京化成工業製)とトルエンの体積比3:8混合溶媒に2.5重量%濃度となるように溶解して試料を調製した。標準物質はポリスチレンとし、同様の試料溶液を調製した。高温GPC(Viscotek社製 350 HT−GPC System)にてカラム温度:80℃、流速1.00mL/minの条件で測定した。検出器としては、示差屈折計(RI)を使用した。
W(白色度)=100−sqr[(100−L)2+(a2+b2)]
で表され、L値(明度)、a値(赤色度)、b値(黄色度)から算出されるものであり、最大値は100である。末端カルボキシル基の定量:1H−NMR(400MHz,重水素化クロロホルム:トリフルオロ酢酸=2:1Vol比溶媒中で測定)を用い、各末端基の特性シグナルの積分値よりカルボキシル基末端の割合を測定した。測定に用いた代表的なシグナルの化学シフト値を表1に示す。
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌棒を備え付けた密閉型反応器に、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ドデカン二酸、無水酢酸をモル比でそれぞれ1.0:1.1:2.1の割合で仕込み、酢酸ナトリウムを触媒とし、リン酸二水素カリウムを理論収量に対して0.5重量部加え、常圧、窒素雰囲気下で145℃にて反応させ均一な溶液を得た後、酢酸を留去しながら2℃/minで270℃まで昇温し、270℃で1時間撹拌した。引き続きその温度を保ったまま、約40分かけて10Torrまで減圧した後、減圧状態を維持した。減圧開始から3時間後、窒素ガスで常圧に戻し、生成したポリマーを取り出した。得られた樹脂の数平均分子量は9800、樹脂単体の熱伝導率は0.9W/(m・K)、白色度は87、末端カルボキシル基は99%以上、ラメラ晶の割合は80Vol%であった。
リン酸二水素カリウムを添加しないこと以外は実施例1と同様にして得られた樹脂の数平均分子量は8800、樹脂単体の熱伝導率は1.0W/(m・K)、白色度は84、末端カルボキシル基は99%以上であった。
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌棒を備え付けた密閉型反応器に、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、セバシン酸、カテコール、無水酢酸をモル比でそれぞれ0.9:1.1:0.1:2.1の割合で仕込み、酢酸ナトリウムを触媒とし、リン酸二水素カリウムを理論収量に対して0.055重量部加え、常圧、窒素雰囲気下で145℃にて反応させ均一な溶液を得た後、酢酸を留去しながら1℃/minで240℃まで昇温し、240℃で1時間撹拌した。さらに1℃/minで270℃まで昇温し、約40分かけて10Torrまで減圧した後、減圧状態を維持した。減圧開始から3時間後、窒素ガスで常圧に戻し、生成したポリマーを取り出した。得られた樹脂の数平均分子量は7700、樹脂単体の熱伝導率は1.2W/(m・K)、白色度は71、末端カルボキシル基は99%以上、ラメラ晶の割合は70Vol%であった。
リン酸二水素カリウムの代わりに次亜リン酸ナトリウムを添加すること以外は実施例2と同様にして得られた樹脂の数平均分子量は7500、樹脂単体の熱伝導率は1.0W/mK、白色度は72、末端カルボキシル基は99%以上、ラメラ晶の割合は72Vol%であった。
リン酸二水素カリウムの代わりに亜リン酸を添加すること以外は実施例2と同様にして得られた樹脂の数平均分子量は10300、樹脂単体の熱伝導率は0.8W/mK、白色度は69、末端カルボキシル基は99%以上であった。
リン酸二水素カリウムを添加しないこと以外は実施例2と同様にして得られた樹脂の数平均分子量は6600、樹脂単体の熱伝導率は1.1W/(m・K)、白色度は64、末端カルボキシル基は99%以上であった。
実施例1で得られた樹脂を、熱風乾燥機を用いて110℃で4時間乾燥し、これに無機充填剤として窒化ホウ素粉末(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製PT110、単体での熱伝導率60W/(m・K)、体積平均粒子径45μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1014Ω・cm)、ガラス繊維(日本電気硝子株式会社製T187H/PL、単体での熱伝導率1.0W/(m・K)、繊維直径13μm、数平均繊維長3.0mm、電気絶縁性、体積固有抵抗1015Ω・cm)を、樹脂、窒化ホウ素粉末、ガラス繊維の体積比率が50:30:20となるように混合したものを準備した。これに、フェノール系安定剤(株式会社ADEKA製AO−60)およびリン系酸化防止剤(株式会社ADEKA製アデカスタブPEP−36)を樹脂100重量部に対してそれぞれ0.2重量部加えた。
この混合物を、株式会社テクノベル製15mm同方向回転完全噛合型二軸押出機KZW15−45MGを用いて、バレル温度を表2のように設定して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。吐出量は20g/min、スクリュー回転数は150rpmに設定した。二軸押出機内における熱可塑性樹脂組成物は、C1からC6へと順次流動し、ダイスヘッド部から吐出される。得られた樹脂組成物を、射出成形機を用いて成形し、熱伝導率および白色度を測定した。熱伝導率および白色度の値を表4に示す。
実施例1で得られた樹脂の代わりに、実施例2,3、比較例1,2で得られた樹脂を使用した以外は実施例5と同様にして、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、射出成形機を用いて成形し、熱伝導率および白色度を測定した。熱伝導率および白色度の値を表4に示す。
Claims (19)
- 主鎖の構造が一般式(1)
(式中、XはO、COの群から選ばれる2価の置換基を示す)
で表されるビフェニル基を有するユニット(A)25〜60モル%、
一般式(2)
−Y−R−Y− (2)
(式中、Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の直鎖状置換基を示す。YはO、COの群から選ばれる2価の置換基を示す)
で表されるユニット(B)25〜60モル%、
一般式(3)
−Z1−M−Z2− (3)
(式中、Z1、Z2はO、NH、CO、S、NHCO、およびCONHからなる群より選ばれる2価の置換基を示す。Mは主鎖の折り畳み効果を有する非縮合芳香族基、縮合芳香族基、複素環基、脂環基、および脂環式複素環基からなる群より選ばれる置換基を示す。)
で表されるユニット(C)0〜25モル%(ただしユニット(A)、(B)、(C)の合計を100モル%とする)からなり、樹脂単体の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上である熱可塑性樹脂(i)100重量部に対して、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸金属塩、亜リン酸金属塩、および次亜リン酸金属塩からなる群より選ばれる1種以上のリン系添加剤(ii)を0.001〜5重量部含有してなる、熱可塑性樹脂組成物。 - 前記熱可塑性樹脂(i)、前記リン系添加剤(ii)、無機充填剤(iii)よりなることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)のXがO、一般式(2)のYがCOである請求項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)のRに相当する部分が直鎖の脂肪族炭化水素鎖である、請求項1〜3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)のRに相当する部分の主鎖原子数が偶数である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)のRが−(CH2)8−、−(CH2)10−、−(CH2)12−から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)の数平均分子量が3000〜40000である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)の分子鎖の末端の60モル%以上がカルボキシル基である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)中のラメラ晶の割合が10Vol%以上であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記リン系添加剤(ii)が、リン酸金属塩、亜リン酸金属塩、および次亜リン酸金属塩からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記リン系添加剤(ii)が、リン酸アルカリ金属塩、次亜リン酸アルカリ金属塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記リン系添加剤(ii)を、前記熱可塑性樹脂(i)の重合反応中に添加することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記リン系添加剤(ii)を、前記熱可塑性樹脂(i)の重合反応開始時に原料モノマーとともに反応器に投入することを特徴とする、請求項13に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記無機充填剤(iii)が、単体での熱伝導率が1W/(m・K)以上の無機化合物であることを特徴とする、請求項1〜14に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記無機充填剤(iii)が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、およびダイヤモンドからなる群より選ばれる1種以上の電気絶縁性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする、請求項1〜15に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記無機充填剤(iii)が、グラファイト、導電性金属粉、軟磁性フェライト、炭素繊維、導電性金属繊維、および酸化亜鉛からなる群より選ばれる1種以上の導電性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜17のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有する放熱・伝熱用樹脂材料。
- 請求項1〜18のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有する成形体。
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