JP6012240B2 - 高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、優れた熱伝導性を示し、かつ曲げ強度の高い熱可塑性樹脂組成物を提供することが目的である。
1)
主鎖の構造が一般式(1)
で表されるビフェニル基を有するユニット(A)25〜60モル%、
一般式(2)
−Y−R−Y− (2)
(式中、Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の直鎖状置換基を示す。YはO、COの群から選ばれる2価の置換基を示す)
で表されるユニット(B)25〜60モル%、
一般式(3)
−Z1−M−Z2− (3)
(式中、Z1、Z2はO、NH、CO、S、NHCOの群から選ばれる2価の置換基を示す。Mは主鎖の折り畳み効果を有する芳香族基、縮合芳香族基、複素環基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。)
で表されるユニット(C)0〜25モル%(ただしユニット(A)、(B)、(C)の合計を100モル%とする)からなり、樹脂単体の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上である熱可塑性樹脂(i)に少なくとも1種以上の熱可塑性ポリエステル系樹脂(ii)を含有し、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ii)の融点Tmが、熱可塑性樹脂(i)の融点Ti以下であり、
{熱可塑性樹脂(i)/熱可塑性ポリエステル系樹脂(ii)}の体積比が99.9/0.1〜80/20の割合である熱可塑性樹脂組成物。
2)
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂(ii)の温度Tm+10℃における溶融粘度ηが1000Pa・s以下であることを特徴とする、1)に記載の熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物。
3)
前記熱可塑性樹脂(i)の分子鎖の末端の60モル%以上がカルボキシル基であることを
特徴とする、1)または2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4)
前記一般式(1)のXがO、一般式(2)のYがCOである、1)〜3)に記載の熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物。
5)
前記熱可塑性樹脂(i)のRに相当する部分が直鎖の脂肪族炭化水素鎖である、1)〜4)に記載の熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物。
6)
前記熱可塑性樹脂(i)のRに相当する部分の主鎖原子数が偶数である、1)〜5)の何れかに記載の熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物。
7)
前記熱可塑性樹脂(i)のRが−(CH2)8−、−(CH2)10−、−(CH2)12−から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6の何れかに記載の熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物。
8)
前記熱可塑性樹脂(i)のMが以下に示す構造のうちいずれか一種である、1)〜7)の何れかに記載の熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂(i)の数平均分子量が3000〜40000である、1)〜8)の何れかに記載の熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物。
10)
前記熱可塑性樹脂(i)中のラメラ晶の割合が10Vol%以上であることを特徴とする、1)〜9)の何れかに記載の熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物。
11)
前記無機充填剤の単体での熱伝導率が1W/(m・K)以上であることを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
12)
前記無機充填剤が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ベリリウムおよびダイヤモンドからなる群から選ばれる1種以上の電気絶縁性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする11)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
13)
前記無機充填剤が、グラファイト、導電性金属粉、軟磁性フェライト、炭素繊維、導電性金属繊維および酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の導電性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする11)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
で表されるビフェニル基を有するユニット(A)25〜60モル%、
一般式(2)
−Y−R−Y− (2)
(式中、Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の直鎖状置換基を示す。YはO、COの群から選ばれる2価の置換基を示す)
で表されるユニット(B)25〜60モル%、
一般式(3)
−Z1−M−Z2− (3)
(式中、Z1、Z2はO、NH、CO、S、NHCOの群から選ばれる2価の置換基を示す。Mは主鎖の折り畳み効果を有する芳香族基、縮合芳香族基、複素環基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。)
で表されるユニット(C)0〜25モル%(ただしユニット(A)、(B)、(C)の合計を100モル%とする)からなることを特徴とし、樹脂単体の熱伝導率が0.6W/(m・K)以上である。
これら結晶性ポリエステルの中でも、入手が容易であるという点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート、等を用いることが好ましい。これらの中でも、結晶化速度が最適である点などから、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、等のポリアルキレンテレフタレート熱可塑性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
脂(ii)との比率[(i)/(ii)]は、体積比で、99.9/0.1〜80/20である。80/20を超えると、得られる熱可塑性樹脂の熱伝導率が、十分得られなくなる。
の融点Ti以下であることが好ましく、下限を考慮するとTi−150℃≦Tm≦Tiであることがより好ましく、Ti−100℃≦Tm≦Tiであることがもっとも好ましい。
一般式(1)
中のXとしては、熱伝導性の優れる樹脂が得られるという観点から、Oであることが好ましい。
−Y−R−Y− (2)
(式中、Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の直鎖状置換基を示す。YはO、COの群から選ばれる2価の置換基を示す)
中のYとしては、熱伝導性の優れる樹脂が得られるという観点から、COであることが好ましい。
−Z1−M−Z2− (3)
(式中、Z1、Z2はO、NH、CO、S、NHCOの群から選ばれる2価の置換基を示す。Mは主鎖の折り畳み効果を有する芳香族基、縮合芳香族基、複素環基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。)
について、ここで言う主鎖の折り畳み効果とは、高分子主鎖を折り畳むように屈曲させる効果を意味し、主鎖をなす結合どうしの角度が150度以下、好ましくは120度以下、より好ましくは60度以下である。一般式(3)中のMの具体例としては、以下で表される基が挙げられる。
本発明における熱可塑性樹脂(i)は液晶性を示し、液晶相転移温度と等方相転移温度を
有する。本発明の熱可塑性樹脂を射出成形する際、樹脂を液晶相転移温度と等方相転移温度の間の温度に加熱して液晶状態で射出すると、高熱伝導性を発現する。ここで言う液晶相転移温度と等方相転移温度とは、示差走査熱量測定(DSC)において昇温過程で見られる2つのピークのうち、それぞれ低温側のものと高温側のものである。
本発明における熱可塑性樹脂の数平均分子量とはポリスチレンを標準とし、本発明における熱可塑性樹脂をp−クロロフェノールとトルエンの体積比3:8混合溶媒に2.5重量%濃度となるように溶解して調製した溶液を用いて、GPCにて80℃で測定した値である。本発明における熱可塑性樹脂の数平均分子量は好ましくは3000〜40000であり、より好ましくは5000〜30000であり、さらに好ましくは7000〜20000である。数平均分子量が3000未満または40000より大きい場合、同一の一次構造を有する樹脂であっても熱伝導率が0.6W/(m・K)未満になる場合がある。
い。構造の制御が簡便であるという観点から、ビフェニル基の両末端に反応性官能基を有する化合物と、直鎖状置換基Rの両末端に反応性官能基を有する化合物と、主鎖の折り畳み効果を有する置換基Mに2つの反応性官能基を有する化合物とを反応させて製造する方法が好ましい。このような反応性官能基としては水酸基、カルボキシル基、エステル基、アミノ基、チオール基、イソシアネート基など公知のものを使用でき、これらを反応させる条件も特に限定されない。
ビフェニル基の両末端に水酸基を有する化合物と、直鎖状置換基Rの両末端にカルボキシル基を有する化合物と、主鎖の折り畳み効果を有する置換基Mに水酸基を有する化合物からなる熱可塑性樹脂の製造方法の一例としては、化合物の水酸基を無水酢酸等の低級脂肪酸を用いてそれぞれ個別に、または一括して低級脂肪酸エステルとした後、別の反応槽または同一の反応槽で、直鎖状置換基Rの両末端にカルボキシル基を有する化合物と脱低級脂肪酸重縮合反応させる方法が挙げられる。重縮合反応は、実質的に溶媒の存在しない状態で、通常220〜330℃、好ましくは240〜310℃の温度で、窒素等の不活性ガスの存在下、常圧または減圧下に、0.5〜5時間行われる。反応温度が220℃より低いと反応の進行は遅く、330℃より高い場合は分解等の副反応が起こりやすい。減圧下で反応させる場合は段階的に減圧度を高くすることが好ましい。急激に高真空度まで減圧した場合、直鎖状置換基Rを有するモノマー、主鎖の折り畳み効果を有するモノマーが揮発し、望む組成、または分子量の樹脂が得られない場合がある。到達真空度は40Torr以下が好ましく、30Torr以下がより好ましく、20Torr以下がさらに好ましく、10Torr以下が特に好ましい。真空度が40Torrより高い場合、十分に脱酸が進まず、低分子量の樹脂が得られることがある。多段階の反応温度を採用してもかまわないし、場合により昇温中あるいは最高温度に達したらすぐに反応生成物を溶融状態で抜き出し、回収することもできる。得られた熱可塑性樹脂はそのままで使用してもよいし、未反応原料を除去する、または、物性をあげる意味から固相重合を行なうこともできる。固相重合を行なう場合には、得られた熱可塑性樹脂を3mm以下、好ましくは1mm以下の粒径の粒子に機械的に粉砕し、固相状態のまま100〜350℃で窒素等の不活性ガス雰囲気下、または減圧下に1〜30時間処理することが好ましい。ポリマー粒子の粒径が3mmより大きくなると、処理が十分でなく、物性上の問題を生じるため好ましくない。固相重合時の処理温度や昇温速度は、熱可塑性樹脂粒子どうしが融着を起こさないように選ぶことが好ましい。
、炭素数2〜5個の低級脂肪酸の酸無水物、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロム酢酸、無水ジブロム酢酸、無水トリブロム酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸等が挙げられるが、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリクロル酢酸が特に好適に用いられる。低級脂肪酸の酸無水物の使用量は、用いるモノマーが有する水酸基とアミノ基の合計に対し1.01〜1.5倍当量、好ましくは1.02〜1.2倍当量である。1.01倍当量未満である場合、低級脂肪酸の酸無水物が揮発することによって、水酸基とアミノ基が低級脂肪酸の無水物と反応しきらないことがあり、低分子量の樹脂が得られることがある。その他、ビフェニル基の両末端にカルボキシル基またはエステル基を有する化合物と、置換基Rの両末端に水酸基を有する化合物と、主鎖の折り畳み効果を有する置換基Mにカルボキシル基またはエステル基を有する化合物からなる熱可塑性樹脂の製造方法については例えば、特開平2−258864号公報に記載のように4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチルと脂肪族ジオールを溶融重合する方法が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂(i)の製造には触媒を使用してもよい。触媒としては、従来
からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等の有機化合物触媒を挙げることができる。
前記触媒の添加量としては、熱可塑性樹脂(i)の総重量に対し、通常、1×10-3〜1
重量%、好ましくは5×10-3〜5×10-1重量%、さらに好ましくは1×10-2〜1×10-1重量%用いられる。
本発明の熱可塑性樹脂(i)の末端構造は特に限定されないが、射出成形に適した樹
脂が得られるという観点から、水酸基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、チオール基、イソシアネート基などによって末端が封止されていることが好ましい。末端にエポキシ基、マレイミド基などの反応性が高い官能基を有する場合、樹脂が熱硬化性となり、射出成形性が損なわれることがある。高い熱伝導性を示すという観点から、末端構造はカルボキシル基であることが特に好ましい。分子鎖の全末端に対するカルボキシル基の割合は60モル%以上であり、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上である。60モル%未満の場合は、無機充填剤を配合した際に、末端のカルボキシル基が60モル%以上の樹脂と比較して樹脂組成物の熱伝導率が低くなることがある。
あることが好ましい。ラメラ晶の割合は、20Vol%以上であることが好ましく、30Vol%以上であることがより好ましく、さらには40Vol%以上であることが特に好ましい。
ラメラ晶の割合は、RuO4で染色した試料を透過型電子顕微鏡(TEM)により直接観察することで算出することができる。具体的な方法として、TEM観察用の試料は、成形した厚み6mm×20mmφの円柱状サンプルの一部を切り出し、RuO4にて染色した後、ミクロトームにて作成した0.1μm厚の超薄切片を使用するものとする。作成した切片を加速電圧100kVでTEMにて観察し、得られた4万倍スケールの写真(18cm×25cm)から、ラメラ晶の領域を決定することができる。領域の境界は、ラメラ晶領域を周期的なコントラストの存在する領域とし、決定できる。ラメラ晶は深さ方向にも同様に分布していることから、ラメラ晶の割合は写真の全体の面積に対するラメラ晶領域の割合として算出することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の熱伝導率は、好ましくは0.4W/(m・K)以上であり、より好ましくは1.0W/(m・K)以上、さらに好ましくは5.0W/(m・K)以上、特に好ましくは10W/(m・K)以上である。この熱伝導率が0.4W/(m・K)未満であると、電子部品から発生する熱を効率的に外部に伝えることが困難である。熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には100W/(m・K)以下、さらには80W/(m・K)以下のものが用いられる。本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、優れた熱伝導性を有するため、上記の範囲の熱伝導率を有する高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物を容易に得ることが可能となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電子材料、磁性材料、触媒材料、構造体材料、光学材料、医療材料、自動車材料、建築材料等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。特に優れた成形加工性、高熱伝導性という優れた特性を併せ持つことから、放熱・伝熱用樹脂材料として非常に有用である。
ii−1:ポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバデュラン5008L、融点222℃、232℃における溶融粘度228Pa・s)
ii−2:ポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバデュラン5009L、融点224℃、234℃における溶融粘度298Pa・s)
PA6:ナイロン6(ユニチカ社製ナイロン6 A1020BRL、融点220℃、230℃における溶融粘度129Pa・s)
[評価方法]
数平均分子量:本発明に用いる熱可塑性樹脂をp−クロロフェノール(東京化成工業製)とトルエンの体積比3:8混合溶媒に2.5重量%濃度となるように溶解して試料を調製した。標準物質はポリスチレンとし、同様の試料溶液を調製した。高温GPC(Viscotek社製 350 HT−GPC System)にてカラム温度:80℃、流速1.00mL/minの条件で測定した。検出器としては、示差屈折計(RI)を使用した。
融点:熱可塑性樹脂(A)を約8mg秤量し、示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC−50 ASSY)を用いて25℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温し、次いで25℃まで降温し、再び300℃まで20℃/分の速度で昇温し、吸熱サーモグラムを測定した。
溶融粘度:得られた各サンプルを乾燥した後、高化式フローテスター〔島津製作所製;キャピラリーレオメーターCFT−500D(ノズル寸法:直径1mm×長さ10mm)〕を使用して、荷重98N(10kgf)の条件下で測定した。なお、測定温度は、融点よりも10℃高い温度とした。
試験片成形:得られたペレット状の樹脂組成物を、熱風乾燥機を用いて120℃で4時間乾燥した後、射出成形機にて厚み6mm×20mmφの円板状サンプル、ASTM D638の規格に準じたダンベル試験片、および127mm×12.7mm×厚み3.2mmの試験片を成形した。このとき、シリンダー温度は220〜240℃、金型温度120〜150℃に設定し、液晶状態で射出した。
熱伝導率:厚み6mm×20mmφの円板状サンプルにて、京都電子工業製ホットディスク法熱伝導率測定装置で4φのセンサーを用い、室温大気中における面方向の熱伝導率を測定した。
引張強度:製試験機をASTM D638に従い、引張強度を測定した。
曲げ強度:127mm×12.7mm×厚み3.2mmの試験片にて、ASTM D790に従い、曲げ強度を測定した。
末端カルボキシル基の定量:1H−NMR(400MHz,重水素化クロロホルム:トリフルオロ酢酸=2:1Vol%溶媒中で測定)を用い、各末端基の特性シグナルの積分値よりカルボキシル基末端の割合を測定した。測定に用いた代表的なシグナルの化学シフト値を表1に示す。
ラメラ晶の割合:射出成形した厚み6mm×20mmφのサンプルから観察用に切片を切り出し、RuO4にて染色したのち、ミクロトームにて作成した0.1μm厚の超薄切片を加速電圧100kVでTEMにて観察した。このTEM観察により得られた4万倍スケールの写真から、ラメラ晶領域の割合を写真の全体の面積に対するラメラ晶領域の割合として算出した。
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌棒を備え付けた密閉型反応器に、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ドデカン二酸、無水酢酸をモル比でそれぞれ1.0:1.1:2.1の割合で仕込み、酢酸ナトリウムを触媒とし、常圧、窒素雰囲気下で145℃にて反応させ均一な溶液を得た後、酢酸を留去しながら2℃/minで250℃まで昇温し、250℃で1時間撹拌した。引き続きその温度を保ったまま、約40分かけて10Torrまで減圧した後、減圧状態を維持した。減圧開始から3時間後、窒素ガスで常圧に戻し、生成したポリマーを取り出した。得られた樹脂の各種データを表2に示す。得られた樹脂を(i−1)とする。
[製造例2]
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌棒を備え付けた密閉型反応器に、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、セバシン酸、カテコール、無水酢酸をモル比でそれぞれ0.9:1.1:0.1:2.1の割合で仕込み、酢酸ナトリウムを触媒とし、常圧、窒素雰囲気下で145℃にて反応させ均一な溶液を得た後、酢酸を留去しながら2℃/minで240℃まで昇温し、240℃で30分撹拌した。さらに1℃/minで260℃まで昇温し、260℃で1時間撹拌した。引き続きその温度を保ったまま、約40分かけて10Torrまで減圧した後、減圧状態を維持した。減圧開始から3時間後、窒素ガスで常圧に戻し、生成したポリマーを取り出した。得られた樹脂の各種データを表2に示す。得られた樹脂を(i−2)とする。
製造例1で得られた樹脂(i−1)、熱可塑性ポリエステル樹脂(ii−1)を、熱風乾燥機を用いて120℃で4時間乾燥し、これに無機充填剤として窒化ホウ素粉末(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製PT110、単体での熱伝導率60W/(m・K)、体積平均粒子径45μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1014Ω・cm)、ガラス繊維(日本電気硝子株式会社製T187H/PL、単体での熱伝導率1.0W/(m・K)、繊維直径13μm、数平均繊維長3.0mm、電気絶縁性、体積固有抵抗1015Ω・cm)を、樹脂(i−1)、熱可塑性ポリエステル樹脂(ii−1)、窒化ホウ素粉末、ガラ
ス繊維の体積比率が45:5:30:20となるように混合したものを準備した。これに、フェノール系安定剤(株式会社ADEKA製AO−60)およびリン系酸化防止剤(株式会社ADEKA製アデカスタブPEP−36)を樹脂100重量部に対してそれぞれ0.2重量部加えた。
この混合物を、株式会社テクノベル製15mm同方向回転完全噛合型二軸押出機KZW15−45MGを用いて、バレル温度を表3のように設定して溶融混練し、ダイスヘッド部より吐出した熱可塑性樹脂を水冷することで、樹脂組成物を得た。吐出量は20g/min、スクリュー回転数は150rpmに設定した。二軸押出機内における熱可塑性樹脂は、C1からC6へと順次流動し、ダイスヘッド部から吐出される。得られた樹脂組成物を、射出成形機を用いて成形し、面方向の熱伝導率および曲げ強度を測定した。面方向の熱伝導率および曲げ強度の値を表4に示す。
[実施例2〜5、比較例1]
熱可塑性樹脂(i)および熱可塑性ポリエステル樹脂(ii)の体積比を表4、5に示す
ように変えた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、射出成形機を用いて成形し、面方向の熱伝導率、引張強度および曲げ強度を測定した。熱伝導率、引張強度および曲げ強度の値を表4、5に示す。
[比較例2]
熱可塑性ポリエステル樹脂(ii)を、PA6に変えた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、射出成形機を用いて成形し、面方向の熱伝導率、引張強度および曲げ強度を測定した。熱伝導率、引張強度および曲げ強度の値を表5に示す。
[比較例3〜5]
樹脂の組成比を熱可塑性樹脂(i)のみ、熱可塑性ポリエステル樹脂(ii)のみに変えた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、射出成形機を用いて成形し、面方向の熱伝導率、引張強度および曲げ強度を測定した。熱伝導率、引張強度および曲げ強度の値を表5に示す。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は優れた熱伝導性を示し、かつ高い曲げ強度を有する。このような熱可塑性樹脂組成物は電気・電子工業分野、自動車分野等さまざまな状況で放熱・伝熱用樹脂材料として用いることが可能で、工業的に有用である。
Claims (12)
- 主鎖の構造が一般式(1)
で表されるビフェニル基を有するユニット(A)25〜60モル%、
一般式(2)
−Y−R−Y− (2)
(式中、Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の直鎖状置換基を示す。YはO、COの群から選ばれる2価の置換基を示す)
で表されるユニット(B)25〜60モル%、
一般式(3)
−Z1−M−Z2− (3)
(式中、Z1、Z2はO、NH、CO、S、NHCOの群から選ばれる2価の置換基を示す。Mは主鎖の折り畳み効果を有する芳香族基、縮合芳香族基、複素環基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。)
で表されるユニット(C)0〜25モル%(ただしユニット(A)、(B)、(C)の合計を100モル%とする)からなり、樹脂単体の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上である熱可塑性樹脂(i)に少なくとも1種以上の熱可塑性ポリエステル系樹脂(ii)を含有し、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ii)の融点Tmが、熱可塑性樹脂(i)の融点Ti以下であり、
{熱可塑性樹脂(i)/熱可塑性ポリエステル系樹脂(ii)}の体積比が99.9/0.1〜80/20の割合であり、
前記熱可塑性樹脂(i)の分子鎖の末端は、60モル%以上がカルボキシル基であり、
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂(ii)は、結晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂である熱可塑性樹脂組成物。 - 前記熱可塑性ポリエステル系樹脂(ii)の温度Tm+10℃における溶融粘度ηが1000Pa・s以下であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)のXがO、一般式(2)のYがCOである、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)のRに相当する部分が直鎖の脂肪族炭化水素鎖である、請求項1〜3の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)のRに相当する部分の主鎖原子数が偶数である、請求項1〜4の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)のRが−(CH2)8−、−(CH2)10−、−(CH2)12−から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)の数平均分子量が3000〜40000である、請求項1〜7の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(i)中のラメラ晶の割合が10Vol%以上であることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂組成物に単体での熱伝導率が1W/(m・K)以上である無機充填剤を含有することを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に熱可塑性樹脂組成物。
- 前記無機充填剤が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ベリリウムおよびダイヤモンドからなる群から選ばれる1種以上の電気絶縁性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする請求項10に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記無機充填剤が、グラファイト、導電性金属粉、軟磁性フェライト、炭素繊維、導電性金属繊維および酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の導電性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする請求項10に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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