JP5612517B2 - 高熱伝導性樹脂組成物の製造方法および成形体の製造方法 - Google Patents

高熱伝導性樹脂組成物の製造方法および成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高熱伝導性樹脂組成物の製造方法および成形体の製造方法に関するものである。
熱可塑性樹脂などのプラスチックは成形性に優れており、パソコンもしくはディスプレーの筐体、電子デバイス材料または自動車の内外装、等の種々の用途に使用されている。この際、プラスチックは金属材料などの無機物と比較して熱伝導性が低いため、発生する熱を逃がし難いことが課題となることがある。このような課題を解決するため、高熱伝導性無機化合物を大量に熱可塑性樹脂に配合することで、高熱伝導性樹脂組成物を得ようとする試みが広くなされている。
高熱伝導性無機化合物として、グラファイト、炭素繊維、アルミナまたは窒化ホウ素、等の導電性高熱伝導性無機化合物を配合する場合、通常は30体積%以上、さらには50体積%以上もの高配合量にて樹脂中に配合する必要がある。しかしながら、無機物を大量に配合しても樹脂単体の熱伝導性が低いために、高熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率には限界があった。そこで、樹脂単体の熱伝導性を向上させることが求められている。
しかしながら、熱可塑性樹脂については、延伸、磁場配向等の特殊な成形加工無しに、樹脂単体が高熱伝導性を有する熱可塑性樹脂についての研究報告はほとんどなく、数少ない例として特許文献1を挙げることができる。特許文献1に記載されているように、本文献の発明者らは樹脂単体で高熱伝導性を示す熱可塑性液晶樹脂を見出してきた。また、非特許文献1〜4には液晶相を示すメソゲン基とアルキル鎖との交互重縮合体が記載されている。
国際公開番号WO2010/050202号公報(2010年5月6日公開)
Macromolecules,vol17,P2288(1984) Polymer,vol24,P1299(1983) Eur.Polym.J.,vol16,P303(1980) Mol.Cryst.Liq.Cryst.,vol88,P295(1982)
しかし、特許文献1では高熱伝導性を有する熱可塑性液晶樹脂から成形体を得るまでの、熱可塑性液晶樹脂の具体的な取り扱い方法(混練方法、成形方法など)については、ほとんど検討されていない。以下、具体的に説明する。
そこで、本発明では、樹脂単体で熱伝導性に優れた熱可塑性液晶樹脂を含有する高熱伝導性樹脂組成物の製造において、熱伝導率が高い高熱伝導性樹脂組成物が得られる製造方法を提供することを目的とする。また、上記目的に付随して、熱伝導率が高い成形体が得られる成形体の製造方法を提供する事を目的とする。
本発明に係る高熱伝導性樹脂組成物の製造方法には以下の1)〜8)が含まれる。
1)高熱伝導性樹脂組成物の製造方法において、
下記一般式(1)または(2)で示される繰り返し単位を主として有する熱可塑性液晶樹脂、または、前記熱可塑性液晶樹脂および無機充填剤を、
高熱伝導性液晶樹脂組成物が等方相から液晶相への相転移を経る温度条件下にて混練する工程を含むことを特徴とする高熱伝導性樹脂組成物の製造方法
−A−x−A−OCO(CHCOO− ...(1)
−A−x−A−COO(CHOCO− ...(2)
(式中、AおよびAは、各々独立して芳香族基、縮合芳香族基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。xは、各々独立して直接結合、−O−、−S−、−CH−CH−、−C=C−、−C=C(CH)−、−C≡C−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−および−N(O)=N−からなる群から選ばれる2価の置換基を示す。mは2〜20の整数を示す。)
2)上記混錬する工程において、熱可塑性液晶樹脂の混錬を溶融混練機内にて行うことを特徴とする1)に記載の製造方法
3)前記溶融混練機が溶融押出式混練機であることを特徴とする2)に記載の製造方法
4)前記熱可塑性液晶樹脂の−A−x−A−が下記一般式(3)であることを特徴とする1)〜3)の何れかにに記載の製造方法
Figure 0005612517
(式中、Rはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基、F、Cl、Br、I、CN、またはNO、yは1〜4の整数、nは2〜4の整数を示す。)
5)前記一般式(1)または(2)中のmが4〜14の偶数であることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の製造方法。
6)前記熱可塑性液晶樹脂の数平均分子量が3000〜40000であることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の製造方法
7)前記無機充填剤の単体での熱伝導率が1W/(m・K)以上であることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の製造方法
8)前記無機充填剤が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ベリリウムおよびダイヤモンドからなる群から選ばれる1種以上の電気絶縁性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする7)に記載の製造方法
9)前記無機充填剤が、グラファイト、導電性金属粉、軟磁性フェライト、炭素繊維、導電性金属繊維および酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の導電性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする7)に記載の製造方法
また、本発明者は、上記製造方法にて得られた高熱伝導性樹脂組成物を特定な条件下で射出成形することによって、得られる成形体の熱伝導率を一層高められる点を見出した。すなわち、本発明に係る成形体の製造方法は以下の構成10)で表される。
10)1)〜9)のいずれかに記載の製造方法で得られた高熱伝導性樹脂組成物を、シリンダー温度をTmh〜Tih−15(℃)、金型温度90〜Tmh−10(℃)、かつ射出速度を1×103〜6×104mm/sec)の条件下で射出成形することを特徴とする熱可塑性液晶樹脂および高熱伝導性樹脂組成物の成形方法
本発明に係る高熱伝導性樹脂組成物の製造方法によれば、熱伝導率が一層高められた高熱伝導性樹脂組成物を得ることができる。
本発明者らは、特定の高熱伝導性液晶樹脂組成物の製造過程について鋭意検討したところ、新たに以下の問題点が明らかになった。すなわち、工業的なスケールでの製造を行う場合、非常に多量の樹脂を取り扱う為、放冷による冷却では非常に時間が必要となり、一定の物性を有する高熱伝導性液晶樹脂を定常的に得ることができない。そのため、一定の物性を有する高熱伝導性液晶樹脂を定常的に得るためには、重合後の熱可塑性液晶樹脂を、直ちに液晶相温度以下にまで熱可塑性液晶樹脂を冷却固化する必要がある。
ここで、特許文献1の熱可塑性液晶樹脂を空冷した場合、液晶相温度以上の条件下では熱履歴による樹脂着色および熱伝導性の変化が起こり、得られる高熱伝導性液晶樹脂の物性に悪影響が生じることが明らかとなった。一方、水冷による冷却の場合、熱可塑性液晶樹脂の結晶化が十分に起こらないため、熱伝導性が高い高熱伝導性液晶樹脂を得難い場合があるという問題が新たに明らかとなった。
本発明は上記課題が見出されたことに基づき、創作されたものであり、上記高熱伝導性液晶樹脂組成物を特殊な温度条件下にて混錬することにより、得られる高熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率を一層高められる点を見出し、本発明を想到するに至った。
本発明の高熱伝導性樹脂組成物の製造方法は、下記一般式(1)または(2)で示される繰り返し単位を主として有する熱可塑性液晶樹脂、または、前記熱可塑性液晶樹脂および無機充填剤を、高熱伝導性液晶樹脂組成物が等方相から液晶相への相転移を経る温度条件下にて混練する工程を含む製造方法である。以下、「高熱伝導性樹脂組成物」を「樹脂組成物」と適宜略す。
−A−x−A−OCO(CHCOO− ...(1)
−A−x−A−COO(CHOCO− ...(2)
(式中、AおよびAは、各々独立して芳香族基、縮合芳香族基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。xは、各々独立して直接結合、−O−、−S−、−CH−CH−、−C=C−、−C=C(CH)−、−C≡C−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−および−N(O)=N−からなる群から選ばれる2価の置換基を示す。mは2〜20の整数を示す。)
本明細書で言う熱可塑性とは、加熱により可塑化する性質のことである。また、本明細書で言う液晶樹脂とは、樹脂が加熱された際に、ある温度から液晶相を示すものの総称である。
熱可塑性液晶樹脂の熱物性としては、一般的に昇温過程において、固相から液晶相への転移点(以下、Tmhと称する)と、液晶相から等方相への転移点(以下、Tihと称する)とが示される。また、降温過程において、等方相から液晶相への転移点(以下、Ticと称する)と、液晶相から固相への転移点(以下、Tmcと称する)とが示される。これらの相転移点はDSC測定(示差走査熱量測定)の昇降温過程において吸熱および発熱ピークのピークトップとして確認できる。
本明細書で言う、「熱可塑性液晶樹脂が等方相から液晶相へ相転移を経る温度条件」とは、換言すると「等方相の熱可塑性液晶樹脂が、液晶相まで相転移を経る温度条件」のことをいう。
本発明において、樹脂単体で熱伝導性に優れた熱可塑性液晶樹脂としては、同一分子中に棒状で剛直なメソゲン基と柔軟性基とを持つものを挙げることができる。例えば上記一般式(1)または(2)においては、−A−x−A−がメソゲン基に相当し、−(CH−が柔軟性基に相当する。
ここで「主として」とは、分子鎖の主鎖中に含まれる一般式(1)または(2)の量について、全構成単位(または全繰り返し単位)に対して50mol%以上であり、好ましくは70mol%以上であり、より好ましくは90mol%以上であり、最も好ましくは実質的に100mol%である。50mol%未満の場合は、熱可塑性液晶樹脂の結晶化度が低くなり、熱伝導率が低くなる場合がある。
ここでA、Aは各々独立して、炭素数6〜12のベンゼン環を有する炭化水素基、炭素数10〜20のナフタレン環を有する炭化水素基、炭素数12〜24のビフェニル構造を有する炭化水素基、炭素数12〜36のベンゼン環を3個以上有する炭化水素基、炭素数12〜36の縮合芳香族基を有する炭化水素基、および、炭素数4〜36の脂環式複素環基からなる群から選択される1種の置換基であることが好ましい。
、Aの具体例としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、シクロヘキシル、ピリジル、ピリミジル、チオフェニレン等が挙げられる。また、これらは無置換であってもよく、脂肪族炭化水素基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基などの置換基を有する誘導体であってもよい。xは結合子であり、直接結合、−O−、−S−、−CH−CH−、−C=C−、−C=C(CH)−、−C≡C−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−および−N(O)=N−からなる群から選ばれる2価の置換基を示す。これらのうち、結合子に相当するxの主鎖の原子数が偶数であるものが好ましい。すなわち直接結合、−CH−CH−、−C=C−、−C=C(CH)−、−C≡C−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−および−N(O)=N−からなる群から選ばれる2価の置換基が好ましい。xの主鎖の原子数が奇数の場合、メソゲン基の分子幅が増加する事と、結合が回転する際の自由度が増加による屈曲性する事とによって、熱可塑性液晶樹脂における結晶化率の低下を促し、樹脂単体の熱伝導率を低下させる場合がある。
このような好ましいメソゲン基の具体例として、ビフェニル、ターフェニル、クォーターフェニル、スチルベン、ジフェニルエーテル、1,2−ジフェニルエチレン、ジフェニルアセチレン、フェニルベンゾエート、フェニルベンズアミド、アゾベンゼン、2−ナフトエート、フェニル−2−ナフトエート、およびこれらの誘導体等から水素を2個除去した構造を持つ2価の基が挙げられるが、メソゲン基はこれらに限られるものではない。
さらに熱可塑性液晶樹脂の−A−x−A−が下記一般式(3)であることが好ましい。一般式(3)で示されるメソゲン基はその構造ゆえに剛直で配向性が高く、さらには入手または合成が容易である。
Figure 0005612517
(式中、Rはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基、F、Cl、Br、I、CN、またはNO、yは1〜4の整数、nは2〜4の整数を示す。)
上述した一般式(1)および(2)中のmは結晶化度が高く、高熱伝導性を示し易い観点から4〜14の偶数であることが好ましく、6〜12の偶数であることがより好ましい。
本発明の数平均分子量とは、ポリスチレンを標準とし、p−クロロフェノールとトルエンの体積比3:8混合溶媒に、熱可塑性液晶樹脂を2.5重量%濃度となるように溶解して調製した溶液を用いて高温GPC(Viscotek:350 HT−GPC System)にてカラム温度80℃、検出器である示差屈折計(RI)を使用して測定した値である。
数平均分子量は3000〜40000であることが好ましく、上限を考慮すると3000〜30000であることがさらに好ましく、3000〜20000であることが特に好ましい。一方、下限を考慮すると、3000〜40000であることが好ましく、5000〜40000であることがさらに好ましく、7000〜40000であることが特に好ましい。さらに上限および下限を考慮すると、5000〜30000であることがさらに好ましく、7000〜20000であることが最も好ましい。数平均分子量が3000未満の場合は、成形体に加工した場合の機械強度が低くなる場合があり、40000より大きい場合は樹脂単体の熱伝導率が低下する場合がある。
本発明に係る熱可塑性液晶樹脂は対称性が極めて高く、かつ分子の配向性が高いため、形成される高次構造が緻密となり、優れた熱伝導性を有する。
本発明が対象とする熱可塑性液晶樹脂の熱伝導率は0.45W/(m・K)以上であり、好ましくは0.6W/(m・K)以上、より好ましくは0.8W/(m・K)以上、さらに好ましくは1.0W/(m・K)以上、特に好ましくは1.2W/(m・K)以上、最も好ましくは1.3W/(m・K)以上である。熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には30W/(m・K)以下、さらには10W/(m・K)以下の値が例示できる。
本発明に係る熱可塑性液晶樹脂は、公知のいかなる方法で製造されても構わない。構造の制御が簡便であるという観点から、メソゲン基の両末端に水酸基を有する化合物と柔軟性基の両末端にカルボキシル基を有する化合物、またはメソゲン基の両末端にカルボキシル基を有する化合物と柔軟性基の両末端に水酸基を有する化合物を反応させる製造方法が好ましい。
メソゲン基の両末端に水酸基を有する化合物と柔軟性基の両末端にカルボキシル基を有する化合物からなる熱可塑性液晶樹脂の製造方法の一例としては以下の例が挙げられる。すなわち、まず、両末端に水酸基を有するメソゲン基を無水酢酸等の低級脂肪酸を用いてそれぞれ個別に、または一括して酢酸エステルとする。その後、別の反応槽または同一の反応槽で、柔軟性基の両末端にカルボキシル基を有する化合物と酢酸エステルとを脱酢酸重縮合反応させる。
重合反応は、実質的に溶媒の存在しない状態で、通常230℃〜350℃好ましくは250℃〜330℃の温度で、窒素等の不活性ガスの存在下、常圧または減圧下に、0.5時間〜5時間行われる。反応温度が230℃より低いと反応の進行が遅く、350℃より高い場合は分解等の副反応が起こり易い。減圧下で反応させる場合は段階的に減圧度を高くすることが好ましい。急激に高真空度まで減圧した場合、モノマーが揮発する場合がある。到達真空度は100トル以下が好ましく、50トル以下がより好ましく、10トル以下が特に好ましい。真空度が100トル以上の場合、重合反応に長時間を要する場合がある。多段階の反応温度を採用してもよく、場合により昇温中あるいは最高温度に達した後、すぐに反応生成物を溶融状態で抜き出し、回収することもできる。
重合工程にて用いられる低級脂肪酸の酸無水物としては、炭素数2〜5個の低級脂肪酸の酸無水物、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロム酢酸、無水ジブロム酢酸、無水トリブロム酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸等が挙げられるが、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリクロル酢酸が特に好適に用いられる。低級脂肪酸の酸無水物の使用量は、用いるメソゲン基が有する水酸基の合計に対し1.01倍当量〜1.50倍当量、好ましくは1.02倍当量〜1.20倍当量である。
メソゲン基の両末端にカルボキシル基を有する化合物と柔軟性基の両末端に水酸基を有する化合物からなる熱可塑性液晶樹脂の製造方法としては、適当な触媒の存在下で溶融混練してエステル交換反応を行う方法が挙げられる。
触媒としては、例えば、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物;シュウ酸第一スズ、酢酸第一スズ、アルキルスズ酸化物、ジアリールスズ酸化物等のスズ化合物;二酸化チタン、チタンアルコオキシド類、アルコオキシチタンケイ酸塩のようなチタン化合物;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸第一鉄のような有機酸の金属塩;BF、AlClのようなルイス酸類;アミン類、アミド類、塩酸、硫酸等の無機酸等が挙げられる。
本発明に係る熱可塑性液晶樹脂は、その効果の発揮を失わない程度に他のモノマーを共重合して構わない。例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸またはカプロラクタム類、カプロラクトン類、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ジアミン、脂環族ジカルボン酸、および脂環族ジオール、芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオールおよび芳香族メルカプトフェノールが挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−5−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−7−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸および4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸、並びにそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6’ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、3,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’’−ジカルボキシターフェニル、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−カルボキシフェノキシ)ブタン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、ビス(3−カルボキシフェニル)エーテルおよびビス(3−カルボキシフェニル)エタン等、並びにこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げられる。
芳香族ジオールの具体例としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェノールエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび2,2’−ジヒドロキシビナフチル等、並びにこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミンの具体例としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルエーテル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルメタン、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルスルフィドおよび2,2’−ジアミノビナフチル、並びにこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げられる。
芳香族ジアミンおよび芳香族アミノカルボン酸の具体例としては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4’−ジアミノビフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−ジアミノビフェノキシエタン、4,4’−ジアミノビフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4’−ジアミノビフェニルエーテル(オキシジアニリン)、4−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸および7−アミノ−2−ナフトエ酸、並びにこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
脂肪族ジアミンの具体例としては、1,2−エチレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、および1,12−ドデカンジアミンなどが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジオールおよび脂環族ジオールの具体例としては、ヘキサヒドロテレフタル酸、トランス−1,4−シクロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール;ネオペンチルグリコール等の直鎖状または分鎖状脂肪族ジオール等、ならびにそれらの反応性誘導体が挙げられる。
芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオールおよび芳香族メルカプトフェノールの具体例としては、4−メルカプト安息香酸、2−メルカプト−6−ナフトエ酸、2−メルカプト−7−ナフトエ酸、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール、4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプト−2−ヒドロキシナフタレンおよび7−メルカプト−2−ヒドロキシナフタレンなど、並びにそれらの反応性誘導体が挙げられる。
本発明に係る熱可塑性液晶樹脂は無機充填剤を配合することで、熱伝導率を一層高くすることができる。樹脂組成物の熱伝導率は好ましくは0.4W/(m・K)以上であり、より好ましくは1.0W/(m・K)以上、さらに好ましくは5.0W/(m・K)以上、特に好ましくは10W/(m・K)以上である。この熱伝導率が0.4W/(m・K)未満であると、電子部品から発生する熱を効率的に外部に伝えることが困難である。熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的な熱伝導性材料を考慮すると100W/(m・K)以下、さらには80W/(m・K)以下のものが用いられる。本発明の熱可塑性液晶樹脂は、優れた熱伝導性を有するため、上記の範囲の熱伝導率を有する樹脂組成物を容易に得ることが可能となる。
本発明の無機充填剤の配合量は、好ましくは熱可塑性液晶樹脂と無機充填剤との体積比で90:10〜30:70であり、より好ましくは80:20〜40:60であり、特に好ましくは70:30〜50:50である。熱可塑性液晶樹脂と無機充填剤との体積比が100:0〜90:10の範囲(90:10を除く)では熱伝導率が満足に得られないことがある。一方、熱可塑性液晶樹脂と無機充填剤との体積比が30:70〜0:100の範囲(30:70を除く)では、機械物性が低下することがある。本発明の熱可塑性液晶樹脂が優れた熱伝導性を有するため、無機充填剤の配合量が熱可塑性液晶樹脂と無機充填剤との体積比で90:10〜70:30と少量の場合でも、樹脂成形体は優れた熱伝導性を有し、さらに同時に無機充填剤の配合量が少量であるため、少量である分だけ密度を下げることができる。熱伝導率に優れ、かつ密度が小さいことは電気・電子工業分野、自動車分野、等さまざまな状況で放熱・伝熱用樹脂材料として用いる際に有利である。
無機充填剤としては、公知の無機充填剤を広く使用できる。無機充填剤単体での熱伝導率は好ましくは1W/(m・K)以上、より好ましくは5W/(m・K)以上のものである。得られる樹脂成形体が熱伝導性に優れるという観点からは、単体での熱伝導率が10W/(m・K)以上の熱伝導性充填剤であることが特に好ましい。
熱伝導性充填剤としては、公知の充填剤を広く使用できる。熱伝導性充填剤単体での熱伝導率は好ましくは10W/(m・K)以上、さらに好ましくは15W/(m・K)以上、特に好ましくは20W/(m・K)以上、最も好ましくは30W/(m・K)以上のものが用いられる。熱伝導性充填剤単体での熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には3000W/(m・K)以下、さらには2500W/(m・K)以下のものが好ましく用いられる。
樹脂組成物が特に電気絶縁性が要求されない用途に用いる場合には、無機熱伝導性充填剤としては金属系化合物および/または導電性炭素化合物等が好ましく用いられる。これらの中でも、熱伝導性に優れることから、グラファイト、炭素繊維、等の導電性炭素材料;各種金属を微粒子化した導電性金属粉、各種金属を繊維状に加工した導電性金属繊維;軟磁性フェライト等の各種フェライト類、酸化亜鉛、等の金属酸化物、等の熱伝導性充填剤を好ましく用いることができる。
組成物として電気絶縁性が要求される用途に用いる場合には、無機充填剤としては電気絶縁性を示す化合物が好ましく用いられる。電気絶縁性とは具体的には、電気抵抗率1Ω・cm以上のものを示すこととするが、好ましくは10Ω・cm以上、より好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1010Ω・cm以上、最も好ましくは1013Ω・cm以上のものを用いるのが好ましい。電気抵抗率の上限には特に制限は無いが、一般的には1018Ω・cm以下である。本発明の樹脂組成物を射出成形して得られる成形体の電気絶縁性も上記範囲にあることが好ましい。
無機充填剤のうち、電気絶縁性を示す化合物としては具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、ダイヤモンド、等の絶縁性炭素材料、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等の金属水酸化物、を例示することができる。これらは単独あるいは複数種類を組み合わせて用いることができる。
無機充填剤の形状については、種々の形状のものを適応可能である。例えば粒子状、微粒子状、ナノ粒子、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤ状、ロッド状、針状、板状、不定形、ラグビーボール状、六面体状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状または液体等種々の形状を例示することができる。また、これら熱伝導性充填剤は天然物であってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択することができる。これら無機充填剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、形状、平均粒子径、種類および表面処理剤等が異なる2種以上を併用してもよい。
これら無機充填剤は、樹脂と無機充填剤との界面の接着性を高めたり、作業性を容易にする等のため、シラン処理剤等の各種表面処理剤で表面処理がなされたものであってもよい。表面処理剤としては特に限定されず、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、等従来公知のものを使用することができる。中でもエポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;ポリオキシエチレンシラン、等が樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。無機充填剤の表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用できる。
本発明に係る熱可塑性液晶樹脂には、前記の無機充填剤以外にも、その目的に応じて公知の充填剤を広く使用できる。樹脂単体の熱伝導率が高いために、公知の充填剤の熱伝導率が10W/(m・K)未満と比較的低くても、樹脂組成物として高い熱伝導率を有する。前記の無機充填剤以外の充填剤としては、例えば、ケイソウ土粉;塩基性ケイ酸マグネシウム;焼成クレイ;微粉末シリカ;石英粉末;結晶シリカ;カオリン;タルク;三酸化アンチモン;微粉末マイカ;二硫化モリブデン;ロックウール;セラミック繊維;アスベストなどの無機質繊維;およびガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスクロス、溶融シリカ等ガラス製充填剤が挙げられる。これら充填剤を用いることで、例えば熱伝導性、機械強度、または耐摩耗性など樹脂組成物を応用する上で好ましい特性を向上させることが可能となる。さらに必要に応じて紙、パルプ、木料;ポリアミド繊維、アラミド繊維、ボロン繊維などの合成繊維;ポリオレフィン粉末等の樹脂粉末;などの有機充填剤を併用して配合することができる。
本発明に係る熱可塑性液晶樹脂には、本発明の効果の発揮を失わない範囲で、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂等いかなる公知の樹脂も含有させて構わない。好ましい樹脂の具体例として、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリマー、ナイロン6、ナイロン6,6等が挙げられる。これら樹脂の配合量は、通常、樹脂組成物に含まれる本発明の熱可塑性液晶樹脂100重量部に対し、0重量部〜10000重量部の範囲である。また、0.001重量部〜10000重量部であってもよい。
本発明に係る熱可塑性液晶樹脂には、上記樹脂や充填剤以外の添加剤として、さらに目的に応じて他のいかなる成分、例えば、補強剤、増粘剤、離型剤、カップリング剤、難燃剤、耐炎剤、顔料、着色剤、その他の助剤等を本発明の効果を失わない範囲で、添加することができる。これらの添加剤の配合量は、熱可塑性液晶樹脂100重量部に対し、合計で0〜20重量部の範囲であることが好ましい。また、0.0001重量部〜20重量部であってもよい。
本発明の熱可塑性液晶樹脂に対する配合物の配合方法としては特に限定されるものではない。例えば、上述した成分や添加剤等を乾燥させた後、単軸、2軸等の押出機のような溶融混練機にて溶融混練することにより製造することができる。また、配合成分が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて溶融混練機に途中添加して製造することもできる。
熱可塑性液晶樹脂が液晶化する液晶相温度とは、Tmc〜Ticまでの温度領域(TmcおよびTicの単位は「℃」)を示す。熱可塑性液晶樹脂を溶融させる溶融温度の上限は熱可塑性液晶樹脂の分解温度以下であれば特に制限はないが、樹脂着色、冷却効率などの観点からTih〜Tih+20℃であることが好ましい(「Tih〜Tih+20℃」は「Tih以上、Tih+20℃以下」の温度範囲を示す。他の範囲を示す場合についても同様である)。
また、液晶相温度は、Tmc〜Tic−10℃であることが好ましく、Tmc〜Tic−20℃であることがさらに好ましい。
mc、Tmh、Tic、Tihは熱可塑性液晶樹脂の種類によって異なる。例えば、熱可塑性液晶樹脂が一般式(1)で表され、一般式(1)中のmが10、−A−x−A−が上記一般式(3)で表され、yが2、nが0で示される繰り返し単位を繰り返し単位Aとする。繰り返し単位Aを主として有する熱可塑性液晶樹脂のTmc、Tmh、Tic、Tihはそれぞれ、190℃〜200℃、200℃〜210℃、220℃〜245℃、240℃〜270℃である。
熱可塑性液晶樹脂の温度を所定の温度とするためには、熱可塑性液晶樹脂を加熱する加熱装置(ヒーター)の設定温度を上記所定の温度を超える温度に設定すればよい。加熱装置(ヒーター)の設定温度は、混錬条件、熱可塑性液晶樹脂の種類によって異なるが、繰り返し単位Aを主として有する熱可塑性液晶樹脂の場合、加熱装置の温度を245℃以上、290℃以下に設定することにより、熱可塑性液晶樹脂を等方相の状態とすることができる。また、加熱装置の温度を200℃以上、245℃未満に設定することにより、熱可塑性液晶樹脂を液晶相の状態とすることができる。すなわち、加熱装置の温度を、熱可塑性液晶樹脂が等方相から液晶相となる温度に徐々に低下させるように設定することによって、本発明に係る熱可塑性液晶樹脂を混錬する工程での「温度条件」とすることができる。
また、前記温度条件は、熱可塑性液晶樹脂の繰り返し単位の構造等により異なるが、当業者であれば、周知の手法を用いて前記温度条件を設定可能である。
また、溶融温度から液晶相温度への冷却速度について、3℃/min〜50℃/minであることが好ましく、10℃/min〜40℃/min以下であることがより好ましい。3℃/min未満の冷却速度では樹脂着色または樹脂の熱劣化などが起こり、50℃/minを超える冷却速度では、結晶化が十分に起こらず、熱伝導率が低下する。
本発明では、前記工程を実施できる態様であれば、その具体的な手法等が特に限定されないが、溶融混錬機を用いることが好ましい。本明細書で言う溶融混練機とは、熱可塑性液晶樹脂、または、熱可塑性液晶樹脂および無機充填剤の混錬対象物を装置内に配置した状態で加熱混練する装置のことを示し、樹脂温度を制御することができる装置であれば特に限定されない。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー、一軸押出機、二軸押出機などの溶融混練機が挙げられる。これらのうち、温度制御、経済性、処理効率などの観点から溶融押出式の混練機(一軸押出機または二軸押出機)を用いることが好ましく、混練性などの観点から二軸押出機を用いることがさらに好ましい。二軸押出機としては、例えば、2本のスクリューが噛み合うもの、噛み合わないものなどの任意の二軸押出機を使用することができるが、2本のスクリューの回転方向が同一方向でスクリューが噛み合うものがより好ましい。
本発明に用いる溶融押出式混練機において、スクリュー形状およびスクリュー構成については特に制限はないが、実質的に押し出し方向に対して正方向のネジスクリューを持つものが大半を占めることが好ましい。ここで言う押し出し方向に対して正方向のネジスクリューとは、スクリューを回転させたときに、熱可塑性液晶樹脂等を押出し方向に輸送するネジスクリューのことをいい、例えばフルフライトスクリューが挙げられる。可塑化部および混練部としては、単軸押出機の場合、ダルメージスクリュー、ユニメルトスクリュー、ピンスクリュー、バリアスクリューなどが挙げられる。一方、二軸押出機の場合、ニーディングディスク(右ニーディングディスク、ニュートラルニーディングディスク、左ニーディングディスク)、ミキシングスクリューなどが挙げられる。
混錬によって得られた樹脂組成物は射出成形機によって成形できる。本発明に係る成形体の製造方法は、上記のように混練して得られた樹脂組成物を、シリンダー温度をTmh〜Tih−15(℃)、金型温度90〜Tmh−10(℃)、かつ射出速度を1×103〜6×104mm/sec)の条件下で射出成形する工程を含む熱可塑性液晶樹脂および高熱伝導性樹脂組成物の成形方法である。
上記射出成形機には金型が設置されている。本明細書で言う射出成形とは、溶融可塑化された樹脂組成物を射出成形機によって高速で金型内に注入し、冷却固化させて取り出す成形方法である。この際、用いられる射出成形機および金型は特に制限されない。
熱伝導率の高い成形体が得られることから、射出成形機のシリンダー温度はTmh〜Tih−10(℃)であることが好ましく、Tmh〜Tih−15(℃)であることがより好ましい。シリンダー温度がTmh(℃)未満の場合、流動性が非常に悪いため、成形性が低下する。また、Tih−10℃を超える場合、シリンダー内のスクリューやノズル先端部におけるせん断発熱により、樹脂温度が等方相以上の温度になるため、熱伝導性は大きく低下する。
熱伝導率の高い成形体が得られることから、金型温度は115℃〜Tmh−10℃であることが好ましく、120℃〜Tmh−10℃であることがより好ましく、130℃〜Tmh−10℃であることがさらに好ましい。ここでいうTmh(Tmhの単位は「℃」)は、昇温過程において、固相から液晶相への転移点を示す。金型温度が115℃未満の場合、熱伝導性は低下し、一方、Tmh−10℃を越えると成形性が低下する。
より一般的な表現を用いると、金型温度は、通常、115℃〜280℃であるが、115℃〜260℃が好ましく、140℃〜250℃がより好ましく、160℃〜240℃が、さらに好ましい。
また本発明で言う射出速度とは、溶融樹脂がゲートを通過する時の歪み速度(X)である。本発明において、ゲートが長方形の場合と円形の場合には、射出速度Xは次式で表される。
(イ)ゲートが長方形および正方形の場合、
X=6Q/WH2
[式中、Qは流出量(cc/sec)、Wは幅、Hは厚みを示す。]
(ロ)ゲートが円形の場合、
X=4Q/πR3
[式中、Qは前記(イ)に同じ、Rは半径を示す]
熱伝導率の高い成形体が得られることから、射出速度は、1×103〜6×104mm/sec)であることが好ましく、2×103〜2×104mm/sec)であることがより好ましく、5×103〜2×104mm/sec)であることがさらに好ましい。射出速度が1×103mm/sec)未満の場合、熱伝導率は低下する。歪み速度(X)の制御は、射出速度、射出圧力ならびにゲート形状およびゲート面積によって行う。なお、射出速度を多段で変化させて成形する場合、成形品の半分以上は前記の歪み速度(X)で成形すればよい。
〔なお上記の、ゲートが長方形および正方形の場合と円形の場合における射出速度の算出式(イ)、(ロ)は、特開平4−331112、特開平4−205827等での開示と同様である。〕
本発明に係る成形体(高熱伝導性液晶樹脂成形体)は、電子材料、磁性材料、触媒材料、構造体材料、光学材料、医療材料、自動車材料、建築材料、等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。特に優れた成形品外観、高熱伝導性、という優れた特性を併せ持つことから、放熱・伝熱用として、非常に有用である。
本発明による高熱伝導性液晶樹脂成形体は、家電、OA機器部品、AV機器部品、自動車内外装部品、等の射出成形品等に好適に使用することができる。特に多くの熱を発する家電製品やOA機器において、外装材料として好適に用いることができる。さらには発熱源を内部に有するがファン等による強制冷却が困難な電子機器において、内部で発生する熱を外部へ放熱するために、これらの機器の外装材として好適に用いられる。
これらの中でも好ましい装置として、ノートパソコンなどの携帯型コンピューター、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯型音楽プレーヤー、携帯型TV/ビデオ機器、携帯型ビデオカメラ、等の小型あるいは携帯型電子機器類の筐体、ハウジング、外装材用樹脂として非常に有用である。また自動車や電車等におけるバッテリー周辺用樹脂、家電機器の携帯バッテリー用樹脂、ブレーカー等の配電部品用樹脂、モーター等の封止用材料、としても非常に有用に用いることができる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明の製造方法について、実施例および比較例を挙げさらに詳細に説明するが、本発明は係る実施例のみに制限されるものではない。なお、以下に挙げる各試薬は特に特記しない限り和光純薬工業株式会社製の試薬を用いた。
[評価方法]
<数平均分子量>
数平均分子量の測定対象であるサンプルをp−クロロフェノール(東京化成工業)とトルエンの体積比3:8混合溶媒に2.5重量%濃度となるように溶解して試料を調製した。標準物質はポリスチレンとし、同様の試料溶液を調製した。高温GPC(Viscotek社製、350 HT−GPC System)にてカラム温度:80℃、流速1.00mL/min、の条件で測定した。検出器としては、示差屈折計(RI)を使用した。
<熱物性(実施例1〜4および比較例1〜4)>
熱可塑性液晶樹脂を約8mg秤量し、示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC−50 ASSY)を用いて25℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温し、次いで25℃まで降温した。再び300℃まで10℃/分の速度で昇温した後、25℃まで10℃/分の速度で降温し、吸熱・発熱サーモグラムを測定した。各種相転移点は、昇降温2度目の吸熱・発熱ピーク値から求めた。
<熱物性(実施例5〜10および比較例5〜9)>
熱可塑性液晶樹脂を約8mg秤量し、示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC−50 ASSY)を用いて25℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温し、次いで25℃まで降温し、再び300℃まで20℃/分の速度で昇温し、吸熱サーモグラムを測定した。Tmh(液晶化温度)は、昇温2度目の吸熱ピーク値から求めた。

<試験片成形(実施例1〜4および比較例1〜4)>
得られた各サンプルを乾燥した後、射出成形機にて厚み6mm×20mmφの円板状サンプルを成形した。シリンダー温度245℃、金型温度150℃にて成形を行った。
<試験片成形(実施例5〜10および比較例5〜9)>
得られた各サンプルを乾燥した後、射出成形機[東洋機械金属株式会社製、Si−100IV]を用いて厚み6mm×20mmφの円板状サンプルを成形した。成形した円盤状サンプルを熱伝導率測定に使用した。
<熱伝導率>
厚み6mm×20mmφの円板状サンプルにて、京都電子工業製ホットディスク法熱伝導率測定装置で4φのセンサーを用い、熱伝導率を測定した。

〔製造例1〕
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ドデカン二酸、無水酢酸をモル比でそれぞれ1:1.09:2.1の割合で、反応器で仕込み、さらに4,4’−ジヒドロキシビフェニルに対し0.01mol%の酢酸ナトリウムを触媒として加えた。常圧下、窒素ガス雰囲気で145℃にて1hアシル化反応を行い、2℃/minの昇温速度で260℃まで加熱し重縮合を行った。酢酸の留出量が理論酢酸生成量の90%に到達した時点で引き続きその温度を保ったまま、約20分かけて反応器内を20torrに減圧し、溶融重縮合を行った。減圧開始から3時間後、不活性ガスで反応器内を常圧に戻し、生成したポリマーを25mmの口金から流水中に払い出し、急冷した。数平均分子量は10000であった。得られた樹脂を120℃で4時間乾燥した後、射出成形機を用いて成形し、樹脂単体の熱伝導率を測定した。熱可塑性液晶樹脂の分子構造、樹脂単体の熱伝導率および各相転移点を表1に示す。
Figure 0005612517
〔実施例1、2、比較例1、2〕
製造例1で得られた熱可塑性液晶樹脂を120℃で4時間乾燥し、これを、株式会社テクノベル製15mm同方向回転完全噛合型二軸押出機KZW15−45MGを用いて、等方相の状態とした熱可塑性液晶樹脂に対して、バレル温度を表2のように変えて溶融混練し、ダイスヘッド部より吐出した熱可塑性液晶樹脂を水冷することで、樹脂組成物を得た。吐出量は20g/min、スクリュー回転数は150rpmに設定した。二軸押出機内における熱可塑性液晶樹脂は、C1からC6へと順次流動し、ダイスヘッド部から吐出される。
Figure 0005612517
表2における、C1〜C6およびDH(ダイスヘッド部)の温度はヒーターの設定温度であり、熱可塑性液晶樹脂の温度ではない。また、樹脂温度は、DHにおける樹脂の温度を示す。樹脂温度から熱可塑性液晶樹脂が液晶相となっていることがわかる。得られた熱可塑性液晶樹脂を、射出成形機を用いて成形し、樹脂単体の熱伝導率を測定した。樹脂単体の熱伝導率を表2に示す。
〔実施例3、4、比較例3、4〕
製造例1で得られた熱可塑性液晶樹脂を120℃で4時間乾燥し、無機充填剤として窒化ホウ素粉末(モメンティブパフォーマンスマテリマルズ社製PT110、単体での熱伝導率60W/(m・K)、体積平均粒子径45μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1014Ω・cm)、ガラス繊維(日本電気硝子株式会社製T187H/PL、単体での熱伝導率1.0W/(m・K)、繊維直径13μm、数平均繊維長3.0mm、電気絶縁性、体積固有抵抗1015Ω・cm)を50:30:20のvol%比率で混合したものを準備した。
これにフェノール系安定剤(株式会社ADEKA製AO−60)およびリン系酸化防止剤(旭電化工業(株)製アデカスタブPEP−36)を熱可塑性液晶樹脂100重量部に対してそれぞれ0.2重量部加えた。この混合物に対して実施例1と同様に溶融混練を行い、ダイスヘッド部より吐出した吐出物を水冷することで、樹脂組成物を得た。表2と同様に、表3にC1〜C6およびDHのヒーター設定温度、樹脂温度並びに熱伝導率を示す。
Figure 0005612517
以上、示したとおり、本発明の樹脂組成物の製造方法は、溶融混練機を用いて、熱可塑性液晶樹脂が等方相から液晶相への相転移過程を経る温度条件下にて混練する工程を含む。さらに樹脂組成物を成形体し、熱伝導率が一層高められた樹脂組成物を得ることができた。これは、樹脂組成物自体の熱伝導率が高いことを示している。このような樹脂成形体は電気・電子工業分野、自動車分野、等さまざまな状況で放熱および伝熱用樹脂材料として用いることが可能で、工業的に有用である。
〔製造例2〕
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ドデカン二酸、無水酢酸をモル比でそれぞれ1:1.1:2.1の割合で、反応器で仕込んだ。さらに4,4’−ジヒドロキシビフェニルに対し0.01mol%の酢酸ナトリウムを触媒として加えた。常圧下、窒素ガス雰囲気で145℃にて1hアシル化反応を行い、2℃/minの昇温速度で260℃まで加熱し重縮合を行った。
酢酸の留出量が理論酢酸生成量の90%に到達した時点で引き続きその温度を保ったまま、約20分かけて反応器内を20torrに減圧し、溶融重縮合を行った。減圧開始から3時間後、不活性ガスで反応器内を常圧に戻し、生成した熱可塑性液晶樹脂を取り出した。得られた樹脂を120℃で4時間乾燥後、射出成形機(東洋機械金属株式会社製、Si−100IV)を用いて金型温度120℃、射出速度50mm/secで成形し、樹脂単体の熱伝導率を測定した。熱可塑性液晶樹脂の分子構造、数平均分子量、Tmh(液晶化温度)、Tih(等方化温度)および樹脂単体の熱伝導率を表4に示す。
Figure 0005612517
得られた熱可塑性液晶樹脂を120℃で4時間乾燥し、無機充填剤として窒化ホウ素粉末(モメンティブパフォーマンスマテリマルズ社製PT110、単体での熱伝導率60W/(m・K)、体積平均粒子径45μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1014Ω・cm)、ガラス繊維(日本電気硝子株式会社製T187H/PL、単体での熱伝導率1.0W/(m・K)および繊維直径13μm、数平均繊維長3.0mm、電気絶縁性、体積固有抵抗1015Ω・cm)を50:30:20のvol%比率で混合したものを準備した。
これにフェノール系安定剤(株式会社ADEKA製AO−60)およびリン系酸化防止剤(旭電化工業株式会社製アデカスタブPEP−36)を熱可塑性液晶樹脂100重量部に対してそれぞれ0.2重量部加え、これを、日本製鋼所製45mm同方向噛み合い型二軸押出機TEX44を用いて、シリンダー温度220℃で溶融混練し、樹脂組成物をペレット状で得た。
〔実施例5〜7、比較例5、6〕
製造例2で得られた樹脂組成物を120℃で4時間乾燥後、射出成形機[東洋機械金属(株)製、Si−100IV](ゲート形状:正方形)を用いて、表5に示すシリンダー温度に変えて成形品を成形し、熱伝導率を評価した。ノズル部温度220℃、金型温度115℃、射出速度8.5×103mm/sec)、射出圧力150MPaに設定した。得られた成形品の熱伝導率を表5に示す。
Figure 0005612517
〔実施例8〜13、比較例7〜10〕
製造例2で得られた樹脂組成物を120℃で4時間乾燥後、射出成形機[東洋機械金属(株)製、Si−100IV](ゲート形状:正方形)を用いて、表6に示す金型温度、射出速度の射出成形条件に変えて成形品を作成し、熱伝導率を評価した。シリンダー温度220℃、ノズル部温度220℃、射出圧力150MPaに設定した。結果を表6に示す。
Figure 0005612517
以上示したとおり、本発明の成形方法によれば成形体の熱伝導性を一層高くすることができる。このような高熱伝導性熱可塑性樹脂成形体は電気・電子工業分野、自動車分野、等さまざまな状況で放熱・伝熱用樹脂材料として用いることが可能で、工業的に有用である。
本発明に係る製造方法によれば、優れた樹脂組成物を得ることができる。当該組成物は、電気・電子工業分野、自動車分野、等さまざまな状況で熱対策素材として用いることが可能である。

Claims (8)

  1. 高熱伝導性樹脂組成物の製造方法において、
    下記一般式(1)または(2)で示される繰り返し単位を主として有する熱可塑性液晶樹脂、または、前記熱可塑性液晶樹脂および無機充填剤を、
    上記熱可塑性液晶樹脂が等方相から液晶相への相転移を経る温度条件下にて混練する工程を含み、
    前記混錬する工程において、熱可塑性液晶樹脂の混錬を溶融混練機内にて行い、前記溶融混練機が溶融押出式混練機であることを特徴とする高熱伝導性樹脂組成物の製造方法。
    −A1−x−A2−OCO(CH2mCOO− ...(1)
    −A1−x−A2−COO(CH2mOCO− ...(2)
    (式中、A1およびA2は、各々独立して芳香族基、縮合芳香族基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。xは、各々独立して直接結合、−O−、−S−、−CH2−CH2−、−C=C−、−C=C(CH3)−、−C≡C−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−および−N(O)=N−からなる群から選ばれる2価の置換基を示す。mは2〜20の整数を示す。)
  2. 前記熱可塑性液晶樹脂の−A1−x−A2−が下記一般式(3)であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
    Figure 0005612517
    (式中、Rはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2、yは1〜4の整数、nは2〜4の整数を示す。)
  3. 前記一般式(1)または(2)中のmが4〜14の偶数であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記熱可塑性液晶樹脂の数平均分子量が3000〜40000であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
  5. 前記無機充填剤の単体での熱伝導率が1W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 前記無機充填剤が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ベリリウムおよびダイヤモンドからなる群から選ばれる1種以上の電気絶縁性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記無機充填剤が、グラファイト、導電性金属粉、軟磁性フェライト、炭素繊維、導電性金属繊維および酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の導電性高熱伝導性無機化合物であることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法で得られた高熱伝導性樹脂組成物を、
    シリンダー温度をTmh〜Tih−15(℃)、金型温度90〜Tmh−10(℃)、かつ射出速度を1×103〜6×104mm/sec)の条件下で射出成形することを特徴とする熱可塑性液晶樹脂および高熱伝導性樹脂組成物の成形方法。
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