JP2013169638A - 固定治具の製造方法及び固定治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸着溝及び吸着穴を有するシートと、前記吸着穴に各々対応する貫通路を有するベースとを備える固定治具の製造方法であって、a) 前記シートに対応したキャビティと、該キャビティの底面に設けられた前記吸着溝に対応した凸部とを有する型の前記キャビティに常温硬化性液状樹脂を供給する成型工程と(S1)、b) 前記型の型面にベースを位置決めしつつ当接させる当接工程と(S3)、c) 前記樹脂を硬化させる硬化工程と(S4)、d) 離型により前記ベースの上にシートを形成する離型工程と(S6)、e) 貫通路を通じてシートを穿孔することによりシートに吸着穴を作製する吸着穴作製工程と(S7)を有する。
【選択図】図4
Description
樹脂封止体を切断する切断装置には、樹脂封止体を吸着固定するための固定治具が設けられている。固定治具は、移動及び回動自在なベースと、該ベースに固定されたシートから成る。シートには、樹脂封止体における前記複数の領域の各々に対応する位置に設けられた凹状の空間である吸着溝と、該吸着溝の底に設けられた吸着穴と、樹脂封止体を切断する際に回転刃等が通過する切り溝とが設けられている。各々の吸着穴は、ベースに設けられた貫通路を通じて排気ポンプに繋がれており、樹脂封止体における各領域が各吸着溝及び吸着穴によって切断時にも吸着保持されるようになっている(特許文献1)。
まず、複数の貫通路が格子点状に設けられた金属製のベースを作製する。
次に、フッ素ゴム製又はフッ素樹脂製のシートを、目的とする樹脂封止体に対応して複数の領域に区画するとともに、その片面に、前記複数の領域に区画する線に沿って機械加工により切り溝を作製する。また、同じく機械加工により、前記複数の貫通路の各々に対応する位置に吸着溝を作製し、更に各吸着溝の底に吸着穴を作製する。
最後に、吸着穴の位置が貫通路の位置と合うように、ベース上でシートの位置決めを行いつつ、シートをベースに接着固定する。
(1)樹脂封止体を吸着保持する都合上、シートには適度な柔軟性が必要であるが、柔軟性を有するシートには細かい機械加工を施すことが難しく、特に吸着溝の作製が難しい。
(2)機械加工後のシートをベースに接着固定する際、シートが伸縮するため位置決めが難しい。
(3)機械加工が細かくなればなるほど製造コストが増大する。また、上述したようにシートには適度な柔軟性が必要であるが、機械加工を施す都合上、適度な硬度も必要である。このようなシートとして上述のフッ素ゴム製又はフッ素樹脂製のシートが用いられているが、これらの材料は高価である。
a) 前記シートに対応したキャビティと、該キャビティの底面に設けられた前記吸着溝に対応した凸部とを有する型の前記キャビティに常温硬化性液状樹脂を供給する成型工程と、
b) 前記キャビティに前記常温硬化性液状樹脂が供給された前記型の型面に前記ベースを位置決めしつつ当接させる当接工程と、
c) 前記常温硬化性液状樹脂を硬化させる硬化工程と、
d) 離型により前記ベースの上にシートを形成する離型工程と、
e) 前記貫通路を通じて前記シートを穿孔することにより前記シートに吸着穴を作製する吸着穴作製工程と、
を有することを特徴とする。
なお、ベースへの接着は、樹脂の硬化により生ずる自然接着でも構わないが、接着強度をより高めるために、予めベースの当該面にプライマーを塗布しておくことが望ましい。
本製造方法では、吸着溝に対応した凸部をキャビティ底面に有する型を用いることによって、機械加工によりシートに吸着溝を作製する工程が排除される。
また、ベースを型面に対して位置決めするようにしたことにより、従来の方法と比較してベースに対するシートの位置決めが容易となる。
本発明に係る方法では、上述したように、吸着溝の機械加工工程が排除されたことにより製造コストが低減されるが、常温硬化性液状樹脂として低廉なシリコーン系樹脂を用いれば、製造コストをさらに抑えることもできる。
キャビティに供給する常温硬化性液状樹脂の量を更に多くし、前記当接工程において前記型の型面に前記ベースを当接したときに、該常温硬化性液状樹脂が前記ベースの貫通路から該ベースの裏側にまで溢れ出るようにしておくこともできる。こうすることにより、樹脂硬化後のシートのベースへの付着性及び両者の位置決めがより確実となる。
いずれの場合においても、前記吸着穴作製工程ではベースの貫通路を通じて穿孔し、硬化した樹脂を除去するので、貫通路への樹脂の入り込みは何ら問題ない。
また、従来の方法と比較してベースに対するシートの位置決めも容易に行うことができる。
更に、上述したように吸着溝の機械加工工程を排除することにより、製造コストの低減が実現される。常温硬化性液状樹脂として低廉なシリコーン系樹脂を用いれば、製造コストをさらに抑えることもできる。
こうしたことにより、細かい吸着溝及び吸着穴を有する大型の固定治具を、低廉な製造コストで容易に製造することが可能となる。
なお、本発明に係る固定治具の製造方法では、従来と同じく機械加工により切り溝を作製するが、切り溝は機械加工であっても比較的容易に且つ低コストにて作製することができる。
シート2はシリコーン系の常温硬化性液状樹脂をシート状に成型したものであり、その上面は目的とする樹脂封止体に対応して切り溝22により複数の矩形の領域21に区画されている。切り溝22は樹脂封止体を個片化する際に回転刃が通過するところである。本実施例では長手方向に5個、短手方向に4個、計20個の領域21が切り溝22に挟まれるようにして格子状に設けられているが、領域21の配置及び数はこれに限定されるものではない。領域21には、該領域21より一回り小さい矩形凹状の空間である吸着溝23が形成されており、更に該吸着溝23の底面には吸着穴24が穿孔されている。
シート2は、各吸着穴24がベース3の各貫通路32と連通する位置で、ベース3の突出面31に接着固定されている。各吸着穴24は各貫通路32を通じて図示しない排気ポンプに繋がれている。
型10は、1枚のシート2に対応したキャビティ14を有する。キャビティ14の底面には、シート2の各吸着溝23に対応する凸部11が設けられている。キャビティ14の開口はベース3の突出面31と略同一の矩形状であるが、ベース3の突出面31を挿入可能な程度に、突出面31より僅かに大きく設計されている。
なお、上述の樹脂20はシリコーン系に限定されるものではなく、フッ素系樹脂も採用することができる。
更に、ベース3の突出面31に予めプライマーを塗布しておき、突出面31をキャビティ14の開口に挿入しつつ、型10の型面13にベース3を当接する(ステップS3:本発明の「当接工程」に相当)。突出面31をキャビティ14に挿入することによって型面13に対するベース3の位置が決まる。
このように型10の型面13にベース3を当接すると、突出面31によりキャビティ14内部の樹脂20に圧が加わることにより、樹脂20がベース3の貫通路32に入り込み、さらにベース3の裏側にまで溢れ出る。この状態で型10及びベース3を24時間常温放置し、樹脂20を完全に硬化させる(ステップS4:本発明の「硬化工程」に相当)。こうすることにより、シート2のベース3への付着性及び両者の位置決めが確実になる。
なお、樹脂20のベース3への接着は、充分な接着強度が得られるのであれば樹脂20の硬化により生ずる自然接着でも構わない。この場合、プライマーの塗布及び接着工程は不要となる。
最後に、シート2において吸着溝23が形成されていない部分を切断ディスクで直線状に切削して切り溝22を作製する。また、貫通路32を通じてドリルで穿孔し、該貫通路32の内部で硬化した樹脂20を除去するとともにシート2に吸着穴24を作製する(ステップS7:本発明の「吸着穴作製工程」に相当)。こうして本実施例に係る固定治具1が得られる。
また、従来の方法と比較してベース3に対するシート2の位置決めも容易に行うことができる。
更に、上述したように吸着溝23の機械加工工程を排除することにより、製造コストの低減が実現される。常温硬化性液状樹脂20として低廉なシリコーン系樹脂を用いれば、製造コストをさらに抑えることもできる。
こうしたことにより、細かい吸着溝23及び吸着穴24を有する大型の固定治具1を、低廉な製造コストで容易に製造することが可能となる。
なお、本発明に係る固定治具の製造方法では、従来と同じく機械加工により切り溝22を作製するが、切り溝22は機械加工であっても比較的容易に且つ低コストにて作製することができる。
また、型10に供給する樹脂20の量を上述した量(即ち、樹脂20の液面が型10の型面13を上回る量)よりもやや少なめにし、樹脂20がベース3の貫通路32にまで侵入する程度の量としてもよい。
また、透明な樹脂20や色素を添加した樹脂20を用いることにより、透明なシート2や所望の色のシート2を作製してもよい。
10…型
11…凸部
13…型面
14…キャビティ
2…シート
20…シリコーン系樹脂
21…領域
22…切り溝
23…吸着溝
24…吸着穴
3…ベース
31…突出面
32…貫通路
50…気泡
61…真空デシケータ
62…オーブン
Claims (9)
- 板状の被切断物及び前記板状の被切断物を切断して成る個片化物を吸着保持するための吸着溝と該吸着溝の底に設けられた吸着穴とを有するシートと、前記シートが固定され、前記吸着穴に各々対応する貫通路を有するベースとを備える固定治具の製造方法であって、
a) 前記シートに対応したキャビティと、該キャビティの底面に設けられた前記吸着溝に対応した凸部とを有する型の前記キャビティに常温硬化性液状樹脂を供給する成型工程と、
b) 前記キャビティに前記常温硬化性液状樹脂が供給された前記型の型面に前記ベースを位置決めしつつ当接させる当接工程と、
c) 前記常温硬化性液状樹脂を硬化させる硬化工程と、
d) 離型により前記ベースの上にシートを形成する離型工程と、
e) 前記貫通路を通じて前記シートを穿孔することにより前記シートに吸着穴を作製する吸着穴作製工程と、
を有することを特徴とする固定治具の製造方法。 - 前記当接工程において、前記ベースにおいて前記型の型面と当接する面に予めプライマーを塗布しておくとともに、
前記硬化工程の後であって且つ前記離型工程より前に
f) 前記プライマーを硬化させることにより前記常温硬化性液状樹脂を前記ベースに接着する接着工程
を有することを特徴とする請求項1に記載の固定治具の製造方法。 - 前記ベースが前記キャビティの開口と略同一の平面形状を有する突出面を備えるとともに、
前記当接工程において前記突出面を前記キャビティの開口に挿入する
ことを特徴とする請求項2に記載の固定治具の製造方法。 - 前記成型工程において、前記ベースの貫通路にまで侵入する程度の量の常温硬化性液状樹脂を前記キャビティに供給することを特徴とする請求項3に記載の固定治具の製造方法。
- 前記成型工程において、前記貫通路を経由して前記ベースの裏側に達する程度の量の常温硬化性液状樹脂を前記キャビティに供給することを特徴とする請求項3に記載の固定治具の製造方法。
- 前記常温硬化性液状樹脂にシリコーン系樹脂を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固定治具の製造方法。
- 前記離型工程の後に、
切断ディスクにより前記シートに切り溝を作製することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固定治具の製造方法。 - 硬化前の前記常温硬化性液状樹脂に炭素粉末を添加することにより、前記シートに導電性を持たせたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の固定治具の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の固定治具の製造方法によって製造された固定治具。
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