JP2020005363A - ロータコアの製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カルの分離時に樹脂に抉れが生じにくく、またカルのコア本体側への残留を抑制可能なロータコアの製造装置及び製造方法を提供する。【解決手段】磁石収容孔13に磁石14を収容したコア本体11が載置される固定型2と、コア本体11上に設けられ、樹脂流入口33を有する可動型3と、コア本体11と可動型3との間に配置され、樹脂流入口33から流入した樹脂を磁石収容孔13に導くと共に、樹脂の硬化物であるカル5を保持する充填ポット41が形成されたカルプレート4と、を備え、カルプレート4は、カルプレート4のコア本体11側の端部に充填ポット41内に突出するように形成された刃部44を有し、刃部44は、刃部44を含むカルプレート4の少なくとも一部をコア本体11の上面に沿ってスライドすることで、磁石収容孔13内で硬化された樹脂15とカル5との境界部分をせん断可能に構成されている。【選択図】図2
Description
本発明は、モータに用いるロータコアの製造装置及び製造方法に関する。
モータに用いるロータコアとして、コア本体に形成された磁石収容孔に磁石を収容し、磁石を収容した磁石収容孔内に樹脂を充填し硬化させて、コア本体に磁石を固定したものが知られている。このようなロータコアを製造する際には、磁石収容孔内に充填した樹脂を硬化させた後に、磁石収容孔の外部に形成されたカルと呼称される不要な樹脂の硬化物を除去する必要がある。
従来のロータコアの製造装置として、成型型とコア本体との間にカルプレートと呼称される板状の部材を配置し、このカルプレートにカルを保持させるように構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。カルプレートを備えることにより、樹脂の硬化後にカルプレートをコア本体から取り外せば、カルプレートと共に複数のカルが一気にコア本体から分離されることとなり、カルを分離させる工程が容易になる。
ところで、カルプレートをコア本体から取り外し、磁石収容孔内で硬化された樹脂からカルを分離させる際に、磁石収容孔内で硬化された樹脂に抉れ(凹部)が発生したり、カルの一部がコア本体側に残留したりする場合がある。樹脂の抉れは外観不良となってしまい、カルの残留があると、残留したカルを除去する無駄な作業が発生してしまう。
特許文献1では、磁石収容孔内で硬化された樹脂とカルとの境界部分に応力集中を発生させることで、樹脂の抉れ等を抑制している。しかし、この場合においても、樹脂の抉れやカルの残留を完全に抑制できるわけではなく、改善が望まれる。
そこで、本発明は、カルの分離時に樹脂に抉れが生じにくく、またカルのコア本体側への残留を抑制可能なロータコアの製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、コア本体に形成された磁石収容孔に磁石を収容し、前記磁石を収容した前記磁石収容孔内に樹脂を充填し硬化させて、前記コア本体に前記磁石を固定する装置であって、前記磁石収容孔に前記磁石を収容した前記コア本体が載置される固定型と、前記コア本体上に設けられ、樹脂流入口を有する可動型と、前記コア本体と前記可動型との間に配置され、前記樹脂流入口から流入した樹脂を前記磁石収容孔に導くと共に、前記樹脂の硬化物であるカルを保持する充填ポットが形成されたカルプレートと、を備え、前記カルプレートは、当該カルプレートの前記コア本体側の端部に前記充填ポット内に突出するように形成された刃部を有し、前記刃部は、当該刃部を含む前記カルプレートの少なくとも一部を前記コア本体の上面に沿ってスライドすることで、前記磁石収容孔内で硬化された樹脂と前記カルとの境界部分をせん断可能に構成されている、ロータコアの製造装置を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、コア本体に形成された磁石収容孔に磁石を収容し、前記磁石を収容した前記磁石収容孔内に樹脂を充填し硬化させて、前記コア本体に前記磁石を固定する方法であって、前記磁石収容孔に前記磁石を収容した前記コア本体を固定型に載置し、前記コア本体上に樹脂流入口を有する可動型を設けると共に、前記コア本体と前記可動型との間に、前記樹脂流入口から流入した樹脂を前記磁石収容孔に導くと共に、前記樹脂の硬化後に前記樹脂の硬化物であるカルを保持する充填ポットが形成されたカルプレートを配置する準備工程と、前記樹脂流入口から供給された前記樹脂を、前記充填ポットを介して前記磁石収容孔に流入させ充填し、前記磁石収容孔に充填した前記樹脂を硬化させる樹脂封止工程と、前記可動型を離脱させ、その後前記カルプレートを前記コア本体から取り外すことで、前記コア本体から前記カルを分離させるカル分離工程と、を備え、前記カルプレートは、当該カルプレートの前記コア本体側の端部に前記充填ポット内に突出するように形成された刃部を有し、前記カル分離工程では、前記刃部を含む前記カルプレートの少なくとも一部を前記コア本体の上面に沿ってスライドすることで、前記磁石収容孔内で硬化された樹脂と前記カルとの境界部分を前記刃部でせん断し、前記磁石収容孔内で硬化された樹脂と前記カルとを分離する、ロータコアの製造方法を提供する。
本発明によれば、カルの分離時に樹脂に抉れが生じにくく、またカルのコア本体側への残留を抑制可能なロータコアの製造装置及び製造方法を提供できる。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
(ロータコアの説明)
図1は、本実施の形態に係るロータコアの製造装置で製造するロータコアを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は中心軸線を含む断面を示す断面図である。図1(a),(b)に示すように、ロータコア10は、コア本体11と、コア本体11に形成された磁石収容孔13に収容された磁石14と、磁石収容孔13に充填され硬化された樹脂15と、を有している。
図1は、本実施の形態に係るロータコアの製造装置で製造するロータコアを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は中心軸線を含む断面を示す断面図である。図1(a),(b)に示すように、ロータコア10は、コア本体11と、コア本体11に形成された磁石収容孔13に収容された磁石14と、磁石収容孔13に充填され硬化された樹脂15と、を有している。
コア本体11は、電磁鋼板からなる複数枚の鉄心片12が積層された積層体である。コア本体11は、全体として略円筒状に形成されており、その軸心部には、コア本体11を軸方向に貫通するように中心孔11aが形成されている。なお、図1(a),(b)における符号Cは、コア本体11の中心軸線を表している。コア本体11の内周面には、対向位置から径方向内方に突出するキー部11bが形成されている。キー部11bは、後述する固定型2に対する位置決めのために用いられる。
磁石収容孔13は、中心孔11aの外周側に形成されると共に、コア本体11を軸方向に貫通するように形成されている。コア本体11には、周方向に間隔をおいて複数の磁石収容孔13が形成されている。磁石収容孔13は、長穴状に形成されており、その長軸方向が、コア本体11の径方向に対して傾斜するように形成されている。より具体的には、長軸方向がコア本体11の径方向に対して所定角度傾斜した磁石収容孔13と、長軸方向がコア本体11の径方向に対して反対方向に所定角度傾斜した磁石収容孔13とが、コア本体11の周方向に離間して交互に形成されている。
各磁石収容孔13には、コア本体11の軸方向に沿って延在する板状の磁石14が収容されている。磁石収容孔13には、樹脂15が充填されており、この樹脂15により、磁石14がコア本体11に固定されている。樹脂15としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
コア本体11の中心孔11aよりも外周側、かつ磁石収容孔13よりも内周側には、磁石14を冷却するための冷却媒体が流通される冷却孔11cが形成されている。コア本体11には、周方向に離間して複数の冷却孔11cが形成されている。各冷却孔11cは、コア本体11を軸方向に貫通するように形成されると共に、コア本体11の周方向に沿って湾曲した円弧状に形成されている。図示していないが、各冷却孔11cは、コア本体11の内部において分岐して中心孔11aと連通する連通部を有している。
(ロータコアの製造装置の説明)
図2は、本実施の形態に係るロータコアの製造装置を示す断面図である。図2に示すように、ロータコアの製造装置1は、コア本体11に形成された磁石収容孔13に磁石14を収容し、磁石14を収容した磁石収容孔13内に樹脂を充填し硬化させて、コア本体11に磁石14を固定する装置である。ロータコアの製造装置1は、固定型2と、可動型3と、カルプレート4と、を備えている。
図2は、本実施の形態に係るロータコアの製造装置を示す断面図である。図2に示すように、ロータコアの製造装置1は、コア本体11に形成された磁石収容孔13に磁石14を収容し、磁石14を収容した磁石収容孔13内に樹脂を充填し硬化させて、コア本体11に磁石14を固定する装置である。ロータコアの製造装置1は、固定型2と、可動型3と、カルプレート4と、を備えている。
固定型2は、磁石収容孔13に磁石14を収容したコア本体11が載置されるものであり、固定型本体21と、固定型本体21の上面に固定された支持部材22と、支持部材22の上面に配置されたスペーサ23と、を有している。
支持部材22は、固定型本体21の上面に図略のボルトにより固定された板状のベース部22aと、ベース部22aの中央部から上方に突出し、コア本体11の中心孔11aに挿入される略円筒状のポスト部22bと、を有している。図示していないが、ポスト部22bの外周面には、コア本体11のキー部11bが挿入される一対のキー溝が形成されており、このキー溝にキー部11bを挿入することにより、固定型2に対するコア本体11の位置決めが行われる。
スペーサ23は、板状に形成されており、その中央部にポスト部22bを挿通する挿通孔23aが形成されている。図示していないが、スペーサ23は、挿通孔23a内に突出しポスト部22bのキー溝に挿入される一対の規制突起を有しており、この規制突起をキー溝に挿入することで、支持部材22及びコア本体11に対するスペーサ23の位置決めがなされる。コア本体11は、スペーサ23の上面に載置され、コア本体11の下面とスペーサ23の上面とは当接する。
スペーサ23におけるコア本体11の磁石収容孔13に対応する位置には、スペーサ23を板厚方向に貫通するピン用孔23bが形成されており、このピン用孔23bに、下方から規制ピン23cが挿入され固定されている。規制ピン23cの上端部は、スペーサ23の上面よりも上方に突出し、磁石収容孔13内に突出しており、磁石収容孔13に収容された磁石14を下方から支持する。
可動型3は、固定型2に載置されたコア本体11上に、固定型2に対して離接可能に設けられている。可動型3は、可動型本体31と、可動型本体31の下面に固定されたプレート部32と、を有している。プレート部32は、カルプレート4よりも外形が大きくされている。可動型3は、磁石収容孔13を封止する樹脂を流入させるための複数の樹脂流入口33を有している。各樹脂流入口33は、可動型本体31及びプレート部32を貫通するように形成されており、平面視で円形状に形成されている。
(カルプレート4の説明)
図3は、カルプレート4を示す図であり、(a)は平面図、(b)は充填ポット41の近傍を拡大した断面図である。なお、図3(a)では、カルプレート4をコア本体11に重ねた際の磁石収容孔13の位置を破線にて表している。図2及び図3に示すように、カルプレート4は、板状に形成されており、コア本体11と可動型3(プレート部32)との間に配置されている。カルプレート4の下面はコア本体11の上面に当接し、カルプレート4の上面はプレート部32の下面に当接する。
図3は、カルプレート4を示す図であり、(a)は平面図、(b)は充填ポット41の近傍を拡大した断面図である。なお、図3(a)では、カルプレート4をコア本体11に重ねた際の磁石収容孔13の位置を破線にて表している。図2及び図3に示すように、カルプレート4は、板状に形成されており、コア本体11と可動型3(プレート部32)との間に配置されている。カルプレート4の下面はコア本体11の上面に当接し、カルプレート4の上面はプレート部32の下面に当接する。
カルプレート4には、可動型3の樹脂流入口33から流入した樹脂を磁石収容孔13に導く複数の充填ポット41が形成されている。本実施の形態では、周方向に隣り合った2つの磁石収容孔13毎に、1つの充填ポット41が形成されている。詳細は後述するが、充填ポット41は、樹脂の硬化後に、不要な樹脂の硬化物であるカルを保持する役割も果たすものである。
充填ポット41は、平面視で円形状に形成され、上面に開口し可動型3の樹脂流入口33と連通する接続部41aと、接続部41aの底壁を貫通し、接続部41aと磁石収容孔13とを連通する2つのノズル部41bと、を有している。ノズル部41bは、全体として、平面視で矩形状に形成されており、下方ほど(コア本体11側ほど)開口が狭くなるテーパ状に形成されている。これにより、樹脂の硬化後に、磁石収容孔13を封止している樹脂15と、不要なカルとを連結する連結部が細くなり、樹脂15からのカルの分離が容易となる。
本実施の形態に係るロータコアの製造装置1では、カルプレート4は、カルプレート4のコア本体11側(下方側)の端部に充填ポット41内に突出するように形成された刃部44を有している。刃部44は、当該刃部44を含むカルプレート4の少なくとも一部をコア本体11の上面に沿ってスライドすることで、磁石収容孔13内で硬化された樹脂15とカルとの境界部分をせん断可能に構成されている。
本実施の形態では、カルプレート4は、板状のプレート本体42と、刃部44を有する薄板状の分割部材43と、を有している。プレート本体42のコア本体11側(下方側)に分割部材43を重ね合わせることで、カルプレート4が構成されている。充填ポット41の接続部41aは、プレート本体42に形成されており、充填ポット41のノズル部41bは、プレート本体42と分割部材43とにわたって形成されている。分割部材43は、プレート本体42よりも薄く形成されている。
刃部44は、所謂片刃の構成となっており、カルプレート4の下面(分割部材43の下面)と連続する水平面44aと、水平面44aに対して所定の角度θをなし、斜め上方に傾斜する傾斜面44bと、を有している。水平面44aは、コア本体11の軸方向に対して垂直(コア本体11の上面に対して平行)な面となっており、コア本体11の上面に当接する。
水平面44aと傾斜面44bとのなす角度θは、30°以上45°以下とすることが望ましい。角度θが30°未満であると刃部44の機械的強度が低下して刃部44が破損しやすくなり、角度θが45°より大きいと、樹脂15とカルとの境界部分をせん断した際に樹脂15表面に荒れが生じ、樹脂15の表面に微小な抉れ(凹部)やカルの残留が発生するおそれがあるためである。
図4(a),(b)に示すように、分割部材43をコア本体11及びプレート本体42に対してスライドさせると、磁石収容孔13内で硬化された樹脂15とカル5との境界部分が刃部44によりせん断され、樹脂15とカル5とが分離される。本実施の形態では、分割部材43をコア本体11の中心軸線Cを中心として回転させることで、磁石収容孔13内で硬化された樹脂15とカル5との境界部分をせん断している。なお、図4(a)はコア本体11の径方向に沿った断面を示しており、図4(b)はコア本体11の周方向に沿った断面(図3(a)に示すA−A線に沿った断面)を示している。
なお、図示の例に限らず、分割部材43をスライドさせる方向は、コア本体11の軸方向に対して垂直な方向であってもよい。ただし、カルプレート4には、周方向に沿って複数の充填ポット41が形成されていることから、分割部材43を回転させ、各充填ポット41に保持された全てのカル5に対して同じ条件でせん断及び分離を行うことがより好ましい。
また、ここでは、ノズル部41bの出口周縁の全体に刃部44を設ける場合を示しているが、刃部44は、少なくとも、分割部材43をスライド(回転)する方向に対して後方側に設けられていればよく、例えば、分割部材43をスライド(回転)する方向に対して前方側の刃部44は省略可能である。
本実施の形態では、プレート本体42と分割部材43とを重ね合わせてカルプレート4を構成しているため、両者の位置合わせを容易に行うことが望まれる。そこで、本実施の形態では、分割部材43を板厚方向に貫通するネジ穴43aを形成すると共に、プレート本体42の下面に分割部材43のネジ穴43aと連通するネジ穴42aを形成し、両ネジ穴42a,43aにネジ45を螺合させることで、プレート本体42と分割部材43とを互いに固定するようにした。カル5を分離させる際には、ネジ45を取り外した後に、分割部材43をスライド(回転)させるとよい。分割部材43のネジ穴43aは、分割部材43をスライド(回転)させる際にハンドル(不図示)を取り付けるための穴として使用することもできる。
ここでは、プレート本体42と分割部材43とからなるカルプレート4を用いる場合を説明したが、カルプレート4は分割されていなくてもよい。この場合、図5(a)に示すように、カルプレート4(プレート本体42)のコア本体11側(下方側)の端部に、充填ポット41内に突出するように刃部44を形成し、カル5の分離時にカルプレート4全体をスライド(回転)させるとよい。ただし、カルプレート4は重いので、カルプレート4全体をスライド(回転)させることが容易ではない場合もある。そのような場合は、図4(b)のような分割構成として、薄く軽い分割部材43のみをスライド(回転)させることが望ましい。つまり、本実施の形態のように、カルプレート4を、板状のプレート本体42と、刃部44を有する薄板状の分割部材43とで構成することにより、カル5を分離させる工程をより容易に行えるようになる。
また、分割部材43をスライド(回転)させる際には、プレート本体42側のノズル部41bと、分割部材43側のノズル部41bとの境界においても、カル5がせん断され分割されることになる。このプレート本体42と分割部材43間でのカル5のせん断をより容易とするために、図5(b)に示すように、プレート本体42の分割部材43側(下方側)の端部に、充填ポット41内に突出するように第2刃部46を形成してもよい。この場合、第2刃部46は、分割部材43をスライド(回転)する方向に対して前方側に設けられるとよい。なお、これに限らず、分割部材43のプレート本体42側(上方側)の端部に、充填ポット41内に突出するように第2刃部を形成してもよい。この場合、第2刃部は、刃部44と同様に、分割部材43をスライド(回転)する方向に対して後方側に設けられるとよい。
(ロータコアの製造方法の説明)
図6は、本実施の形態に係るロータコアの製造方法の手順を示すフロー図である。図6に示すように、本実施の形態に係るロータコアの製造方法では、まず、ステップS1にて、コア本体11を形成するコア本体形成工程を行う。ステップS1のコア本体形成工程では、電磁鋼板をプレスして鉄心片12を形成し、形成した鉄心片12を複数積層して上下からプレスしてコア本体11を形成する。なお、コア本体11を形成する具体的な工程については、これに限定されるものではない。
図6は、本実施の形態に係るロータコアの製造方法の手順を示すフロー図である。図6に示すように、本実施の形態に係るロータコアの製造方法では、まず、ステップS1にて、コア本体11を形成するコア本体形成工程を行う。ステップS1のコア本体形成工程では、電磁鋼板をプレスして鉄心片12を形成し、形成した鉄心片12を複数積層して上下からプレスしてコア本体11を形成する。なお、コア本体11を形成する具体的な工程については、これに限定されるものではない。
その後、ステップS2にて、コア本体11をロータコアの製造装置1にセットする準備工程を行う。ステップS2の準備工程では、コア本体11を固定型2に載置すると共に、コア本体11の磁石収容孔13に磁石14を収容する。また、コア本体11上に、カルプレート4と可動型3とを順次配置する。
その後、ステップS3にて、樹脂封止工程を行う。ステップS3の樹脂封止工程では、図7(a)に示すように、封止用の樹脂15の原料となる熱硬化性樹脂からなる母材15aを、可動型3の樹脂流入口33に挿入し、プランジャ7により母材15aを下方(コア本体11側)へと押し込みつつ、母材15aを熱により溶融させて、樹脂流入口33から樹脂(溶融させた母材15a)を供給する。図7(b)に示すように、樹脂流入口33から供給された樹脂は、充填ポット41を介して磁石収容孔13に流入し、樹脂が充填ポット41に充填される。熱により磁石収容孔13に充填した樹脂が硬化されると、磁石収容孔13を封止する樹脂15が形成されると共に、カルプレート4の充填ポット41にカル5が形成される。なお、樹脂封止工程においては、コア本体11やロータコアの製造装置1の一部を予め加熱しておき、この熱により母材15aの溶融及び樹脂の硬化を行うとよい。
その後、ステップS4にて、カル分離工程を行う。ステップS4のカル分離工程では、まず、図8(a)に示すように、可動型3を上方に移動させて離脱させる。その後、図4(a),(b)で説明したように、分割部材43をコア本体11の上面に沿ってスライド(回転)することで、磁石収容孔13内で硬化された樹脂15とカル5との境界部分を刃部44でせん断し、磁石収容孔13内で硬化された樹脂15とカル5とを分離する。その後、図8(b)に示すように、カルプレート4をコア本体11から取り外す。なお、図8(b)では分割部材43を回転させる場合を示しているため、図8(b)の断面では分割部材43の刃部44(ノズル部41b)及びネジ穴43aは表れていない。カル5を分離させたコア本体11を固定型2から取り外せば、図1のロータコア10が得られる。
その後、ステップS5にて、カルプレート4からカル5を取り除くカル除去工程を行う。ステップS5のカル除去工程では、例えば、インジェクタピンをノズル部41bの下方から挿し込むことで、カル5をカルプレート4(プレート本体42及び分割部材43)から取り除く。なお、カルプレート4からカル5を取り除く具体的な方法については、これに限定されない。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るロータコアの製造装置1では、カルプレート4は、カルプレート4のコア本体11側の端部に充填ポット41内に突出するように形成された刃部44を有し、刃部44は、刃部44を含むカルプレート4の少なくとも一部をコア本体11の上面に沿ってスライドすることで、磁石収容孔13内で硬化された樹脂15とカル5との境界部分をせん断可能に構成されている。
以上説明したように、本実施の形態に係るロータコアの製造装置1では、カルプレート4は、カルプレート4のコア本体11側の端部に充填ポット41内に突出するように形成された刃部44を有し、刃部44は、刃部44を含むカルプレート4の少なくとも一部をコア本体11の上面に沿ってスライドすることで、磁石収容孔13内で硬化された樹脂15とカル5との境界部分をせん断可能に構成されている。
刃部44のせん断により樹脂15とカル5とを分離させることで、カル5の分離時に樹脂15の抉れやカル5の残留が発生することを抑制可能となる。その結果、樹脂15の抉れによる外観不良の発生を抑制できる。また、残留したカルの除去作業を行う必要もなくなるので、ロータコア10の製造効率が向上し、量産性が向上する。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
1…ロータコアの製造装置、2…固定型、21…固定型本体、22…支持部材、22a…ベース部、22b…ポスト部、23…スペーサ、23a…挿通孔、23b…ピン用孔、23c…規制ピン、3…可動型、31…可動型本体、32…プレート部、33…樹脂流入口、4…カルプレート、41…充填ポット、41a…接続部、41b…ノズル部、42…プレート本体、42a…ネジ穴、43…分割部材、43a…ネジ穴、44…刃部、44a…水平面、44b…傾斜面、45…ネジ、46…第2刃部、5…カル、7…プランジャ、10…ロータコア、11…コア本体、11a…中心孔、11b…キー部、11c…冷却孔、12…鉄心片、13…磁石収容孔、14…磁石、15…樹脂、15a…母材
Claims (4)
- コア本体に形成された磁石収容孔に磁石を収容し、前記磁石を収容した前記磁石収容孔内に樹脂を充填し硬化させて、前記コア本体に前記磁石を固定する装置であって、
前記磁石収容孔に前記磁石を収容した前記コア本体が載置される固定型と、
前記コア本体上に設けられ、樹脂流入口を有する可動型と、
前記コア本体と前記可動型との間に配置され、前記樹脂流入口から流入した樹脂を前記磁石収容孔に導くと共に、前記樹脂の硬化物であるカルを保持する充填ポットが形成されたカルプレートと、を備え、
前記カルプレートは、当該カルプレートの前記コア本体側の端部に前記充填ポット内に突出するように形成された刃部を有し、
前記刃部は、当該刃部を含む前記カルプレートの少なくとも一部を前記コア本体の上面に沿ってスライドすることで、前記磁石収容孔内で硬化された樹脂と前記カルとの境界部分をせん断可能に構成されている、
ロータコアの製造装置。 - 前記刃部は、前記カルプレートを前記コア本体の中心軸線を中心として回転させることで、前記磁石収容孔内で硬化された樹脂と前記カルとの境界部分をせん断可能に構成されている、
請求項1に記載のロータコアの製造装置。 - 前記カルプレートは、板状のプレート本体と、前記刃部を有する薄板状の分割部材と、を有し、
前記プレート本体の前記コア本体側に前記分割部材を重ね合わせることで、前記カルプレートが構成されており、
前記分割部材を前記コア本体及び前記プレート本体に対してスライドすることで、前記磁石収容孔内で硬化された樹脂と前記カルとの境界部分をせん断可能に構成されている、
請求項1または2に記載のロータコアの製造装置。 - コア本体に形成された磁石収容孔に磁石を収容し、前記磁石を収容した前記磁石収容孔内に樹脂を充填し硬化させて、前記コア本体に前記磁石を固定する方法であって、
前記磁石収容孔に前記磁石を収容した前記コア本体を固定型に載置し、
前記コア本体上に樹脂流入口を有する可動型を設けると共に、
前記コア本体と前記可動型との間に、前記樹脂流入口から流入した樹脂を前記磁石収容孔に導くと共に、前記樹脂の硬化後に前記樹脂の硬化物であるカルを保持する充填ポットが形成されたカルプレートを配置する準備工程と、
前記樹脂流入口から供給された前記樹脂を、前記充填ポットを介して前記磁石収容孔に流入させ充填し、前記磁石収容孔に充填した前記樹脂を硬化させる樹脂封止工程と、
前記可動型を離脱させ、その後前記カルプレートを前記コア本体から取り外すことで、前記コア本体から前記カルを分離させるカル分離工程と、を備え、
前記カルプレートは、当該カルプレートの前記コア本体側の端部に前記充填ポット内に突出するように形成された刃部を有し、
前記カル分離工程では、前記刃部を含む前記カルプレートの少なくとも一部を前記コア本体の上面に沿ってスライドすることで、前記磁石収容孔内で硬化された樹脂と前記カルとの境界部分を前記刃部でせん断し、前記磁石収容孔内で硬化された樹脂と前記カルとを分離する、
ロータコアの製造方法。
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JP2018120870A JP2020005363A (ja) | 2018-06-26 | 2018-06-26 | ロータコアの製造装置及び製造方法 |
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