JP2013164022A - エンジン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
この課題解決のため、ピストン周壁1に、ピストンヘッド2側から順に、第1ランド3、第1リング溝4、第2ランド5、第2リング溝6、第3ランド7、第3リング溝8、ピストンスカート9を設け、第1リング溝4に第1圧力リング10を、第2リング溝6に第2圧力リング11を、第3リング溝8にオイルリング12をそれぞれ嵌め、第2ランド5に窪み13を設けた、エンジンにおいて、第2ランド5の外周面5aと第2リング溝6の第2ランド側端面6aとの境界を第2リング溝6に向けて縮径するテーパ面14で面取りし、このテーパ面14で前記第2ランド5の窪み13を形成した。
【選択図】 図1
Description
この種のエンジンによれば、第2ランド対向空間の容積が第2ランドの窪みの分だけ増加し、ピストン昇降時の第2ランド対向空間のガス圧の変動を抑制することができる利点がある。
しかし、この従来技術では、第2ランドの外周面の中間部に溝を設け、この溝で第2ランドの窪みを形成しているため、問題がある。
第2ランドの外周面の中間部に溝を設け、この溝で第2ランドの窪みを形成しているため、第2ランドの剛性が大きく低下し、ピストンが振動して第1リング溝と第2リング溝が変形・異常磨耗しやすい。
このため、第2ランドに設けた窪みで、ピストン昇降時の第2ランド対向空間のガス圧の変動を抑制することができるにも拘わらず、ピストンの振動・リング溝の変形・異常磨耗により、第1オイルリングと第2オイルリングの挙動が不安定になり、これらのシール性能の低下により、長時間運転後、オイル消費量やブローバイガスの漏れ量が多くなる。
図1(B)に例示するように、ピストン周壁(1)に、ピストンヘッド(2)側から順に、第1ランド(3)、第1リング溝(4)、第2ランド(5)、第2リング溝(6)、第3ランド(7)、第3リング溝(8)、ピストンスカート(9)を設け、第1リング溝(4)に第1圧力リング(10)を、第2リング溝(6)に第2圧力リング(11)を、第3リング溝(8)にオイルリング(12)をそれぞれ嵌め、第2ランド(5)に窪み(13)を設けた、エンジンにおいて、
図1(B)に例示するように、第2ランド(5)の外周面(5a)と第2リング溝(6)の第2ランド側端面(6a)との境界を第2リング溝(6)に向けて縮径するテーパ面(14)で面取りし、このテーパ面(14)で前記第2ランド(5)の窪み(13)を形成した、ことを特徴とするエンジン。
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 長時間運転後も安定して、オイル消費量やブローバイガスの漏れ量を低減させることができる。
図1(B)に例示するように、テーパ面(14)で第2ランド(5)の窪み(13)を形成したので、第2ランド対向空間(17)の容積が第2ランド(5)に設けた窪み(13)の分だけ増加し、ピストン昇降時の第2ランド対向空間(17)のガス圧の変動を抑制することができる。
しかも、第2ランド(5)の外周面(5a)と第2リング溝(6)の第2ランド側端面(6a)との境界を第2リング溝(6)に向けて縮径するテーパ面(14)で面取りし、このテーパ面(14)で前記第2ランド(5)の窪み(13)を形成したので、第2ランド(5)の剛性を大きく低下させることがなく、ピストン(18)の振動・リング溝の変形・異常磨耗も抑制することができる。
このため、第1圧力リング(10)と第2圧力リング(11)の振動を抑制し、これらのシール性能を高く維持し、長時間運転後も安定して、オイル消費量やブローバイガスの漏れ量を低減させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 長時間運転後も安定して、オイル消費量やブローバイガスの漏れ量を十分に低減させることができる。
図1(B)に例示するように、第2リング溝(6)の第2ランド側端面(6a) のシリンダ側仮想延長線(6b)に対するテーパ面(14)の角度(Θ)が30°〜60°、テーパ面(14)のピストン径方向の深さ寸法(C)を第2リング溝(6)のピストン径方向の深さ寸法(D)で除した値(C/D)の百分率が20%〜30%となるようにしたので、長時間運転後も安定して、オイル消費量やブローバイガスの漏れ量を十分に低減させることができる。
また、前記最適範囲を外れ、テーパ面(14)の角度(Θ)が大き過ぎた場合には、テーパ面(14)で第2ランド(5)が幅寸法(W2)の広い範囲に亘って除肉され、第2ランド(5)の剛性が低下し、ピストン(18)が振動し、第1リング溝(4)と第2リング溝(6)が変形・磨耗しやすくなり、第1圧力リング(10)と第2圧力リング(11)も振動しやすくなる。
また、前記最適範囲を外れ、テーパ面(14)の深さ寸法(C)に関する値(C/D)の百分率が大き過ぎた場合には、第2リング溝(6)による第2圧力リング(11)の支持面積が小さくなり、第2圧力リング(11)が振動しやすくなる。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 長時間運転後も安定して、オイル消費量やブローバイガスの漏れ量を十分に低減させることができる。
図1(B)に例示するように、第2ランド(5)の幅寸法(W2)をシリンダボアの直径(B)で除した値(W2/B)の百分率が6%〜15%となるようにしたので、長時間運転後も安定して、オイル消費量やブローバイガスの漏れ量を十分に低減させることができる。
また、前記適用範囲を外れ、第2ランド(5)の幅寸法(W2)に関する値(W2/B)の百分率が大き過ぎた場合には、ピストン(18)の全長が適正値よりも長くなり過ぎる場合がある。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 オイル消費量やブローバイガスの漏れ量を十分に低減させることができる。
図1(B)に例示するように、第3ランド(7)の外周面(7a)と第3リング溝(8)の第3ランド側端面(8a)との境界に第3ランド(7)の窪み(15)を設けたので、第3ランド対向空間(20)の容積が第3ランド(7)の窪み(15)の分だけ増加し、ピストン昇降時の第3ランド対向空間(20)のガス圧の変動を抑制し、第2圧力リング(11)とオイルリング(12)の振動を抑制し、これらのシール性能の向上により、オイル消費量やブローバイガスの漏れ量を十分に低減させることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 オイル消費量を十分に低減させることができる。
図1(B)に示すように、ピストンスカート(9)の外周面(9a)と第3リング溝(8)のピストンスカート側端面(8b)との境界にピストンスカート(9)の窪み(16)を設けたので、オイル消費量を十分に低減させることができる。
まず、第1実施形態に係るエンジンについて説明する。
図1(A)に示すように、このエンジン(21)はシリンダ(22)内にピストン(18)を昇降自在に内嵌させ、ピストン(18)にコンロッド(23)を介してクランク軸(24)を連動連結している。シリンダ(22)の上部にはシリンダヘッド(25)を組み付けている。シリンダヘッド(25)には、吸気ポート(26)と排気ポート(27)と燃料噴射ノズル(28)とを設けている。図中の符号(1a)はピストン中心軸線である。
また、ピストンスカート(9)の外周面(9a)と第3リング溝(8)のピストンスカート側端面(8b)との境界にピストンスカート(9)の窪み(16)を設けている。
ピストンスカート(9)の窪み(16)は、ピストン中心軸線(1a)に沿う断面図上、鈍角L字形の溝(32)で形成し、その奥端面(33)はピストン中心軸線(1a)と平行な向きで、そのピストンヘッド(2)と反対側の面(34)は奥端面(33)に向けて縮径するテーパ状に形成されている。
比較例エンジンとして、上記各実施例エンジンのテーパ面(14)が無いエンジンを作製した。
これらを比較した結果、各実施例エンジンは各比較例エンジンに比べ、オイル消費量が30%程度減少し、ブローバイガスの漏れ量が35%程度減少することが確認された。また、200時間運転後も大きな性能低下は確認されなかった。
最大値実施例エンジンは、テーパ面(14)の角度(Θ)が60°、ピストン径方向の深さ寸法(D)に関する値(C/D)の百分率が30%、第2ランド(5)の幅寸法(W2)に関する値(W2/B)の百分率が11%である。
中間値実施例エンジンは、テーパ面(14)の角度(Θ)が45°、ピストン径方向の深さ寸法(D)に関する値(C/D)の百分率が25%、第2ランド(5)の幅寸法(W2)に関する値(W2/B)の百分率が8.5%である。
なお、各エンジンの第1ランド(3)の幅寸法(W1)をシリンダボアの直径(B)で除した値(W1/B)の百分率は13%とした。また、第3ランド(7)の幅寸法(W3)をシリンダボアの直径(B)で除した値(W3/B)の百分率は、4%とした。
前記各実施例エンジンと上記各比較例エンジンとを比較した結果、各実施例エンジンは各比較例エンジンに比べ、オイル消費量が15%程度減少し、ブローバイガスの漏れ量が17%程度減少することが確認された。
前記各実施例エンジンのテーパ角度(Θ)のみを前記適正範囲の上限値60°を超える65°に変更した比較例エンジンを作製した。
前記各実施例エンジンと上記各比較例エンジンとを比較した結果、各実施例エンジンは各比較例エンジンに比べ、オイル消費量が15%程度減少し、ブローバイガスの漏れ量が17%程度減少することが確認された。
前記各実施例エンジンと上記各比較例エンジンとを比較した結果、各実施例エンジンは各比較例エンジンに比べ、オイル消費量が20%程度減少し、ブローバイガスの漏れ量が23%程度減少することが確認された。
前記実施例エンジンのテーパ面(14)の深さ寸法(C)に関する値(C/D)の百分率のみを前記適正範囲の上限値30%を超える40%に変更した比較例エンジンを作製した。
前記各実施例エンジンと上記各比較例エンジンとを比較した結果、各実施例エンジンは各比較例エンジンに比べ、オイル消費量が20%程度減少し、ブローバイガスの漏れ量が23%程度減少することが確認された。
前記各実施例エンジンと上記各比較例エンジンとを比較した結果、各実施例エンジンは各比較例エンジンに比べ、オイル消費量が15%程度減少し、ブローバイガスの漏れ量が17%程度減少することが確認された。
また、前記各実施例エンジンの第2ランド(5)の幅寸法(W2)に関する値(W2/B)の百分率のみを前記適正範囲の上限値11%を超える12%に変更しようとしたところ、ピストン(18)の全長が適正値よりも長くなりすぎることが確認された。
第1ランド(3)の幅寸法(W1)に関する値(W1/B)の百分率と、第2ランド(5)の幅寸法(W2)に関する値(W2/B)の百分率と、第3ランド(7)の幅寸法(W3)に関する値(W3/B)の百分率は、その合計が28%以下となるようにするのが望ましい。合計がこの百分率を上回ると、ピストン(18)の全長が適正値よりも長くなり過ぎる場合がある。
この第2の実験も第1の実験と同じ寸法比率で調節した実施例エンジンと比較例エンジンを用いて行ったところ、第1の実験と同等の実験結果が確認された。
次に、第2実施形態に係るエンジンについて説明する。
図2(B)に示すように、第2実施形態に係るエンジンは、第3ランド(7)の外周面(7a)と第3リング溝(8)の第3ランド側端面(8a)との境界を第3リング溝(8)に向けて縮径するテーパ面(37)で面取りし、このテーパ面(37)で前記第3ランド(7)の窪み(15)を形成している。
他は、第1実施形態と同じ構造であり、図2中、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付しておく。
この第2実施形態に係るエンジンも、第1の実施形態に係るエンジンと同様にして実験を行ったところ、第1実施形態と同等結果が得られた。
(2) ピストンヘッド
(3) 第1ランド
(4) 第1リング溝
(5) 第2ランド
(5a) 外周面
(6) 第2リング溝
(6a) 第2ランド側端面
(6b) シリンダ側仮想延長線
(7) 第3ランド
(7a) 外周面
(8) 第3リング溝
(8a) 第3ランド側端面
(8b) ピストンスカート側端面
(9) ピストンスカート
(10) 第1圧力リング
(11) 第2圧力リング
(12) オイルリング
(13) 第2ランドの窪み
(14) テーパ面
(15) 第3ランドの窪み
(16) ピストンスカートの窪み
(Θ) テーパ面の角度
(C) テーパ面の深さ寸法
(D) 第2リング溝の深さ寸法
(C/D) テーパ面の深さ寸法に関する値
(B) シリンダボアの直径
(W2) 第2ランドの幅寸法
(W2/B) 第2ランドの幅寸法に関する値
Claims (5)
- ピストン周壁(1)に、ピストンヘッド(2)側から順に、第1ランド(3)、第1リング溝(4)、第2ランド(5)、第2リング溝(6)、第3ランド(7)、第3リング溝(8)、ピストンスカート(9)を設け、第1リング溝(4)に第1圧力リング(10)を、第2リング溝(6)に第2圧力リング(11)を、第3リング溝(8)にオイルリング(12)をそれぞれ嵌め、第2ランド(5)に窪み(13)を設けた、エンジンにおいて、
第2ランド(5)の外周面(5a)と第2リング溝(6)の第2ランド側端面(6a)との境界を第2リング溝(6)に向けて縮径するテーパ面(14)で面取りし、このテーパ面(14)で前記第2ランド(5)の窪み(13)を形成した、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1に記載したエンジンにおいて、
第2リング溝(6)の第2ランド側端面(6a)のシリンダ側仮想延長線(6b)に対するテーパ面(14)の角度(Θ)が30°〜60°、テーパ面(14)のピストン径方向の深さ寸法(C)を第2リング溝(6)のピストン径方向の深さ寸法(D)で除した値(C/D)の百分率が20%〜30%となるようにした、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項2に記載したエンジンにおいて、
第2ランド(5)の幅寸法(W2)をシリンダボアの直径(B)で除した値(W2/B)の百分率が6%〜11%となるようにした、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載したエンジンにおいて、
第3ランド(7)の外周面(7a)と第3リング溝(8)の第3ランド側端面(8a)との境界に第3ランド(7)の窪み(15)を設けた、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載したエンジンにおいて、
ピストンスカート(9)の外周面(9a)と第3リング溝(8)のピストンスカート側端面(8b)との境界にピストンスカート(9)の窪み(16)を設けた、ことを特徴とするエンジン。
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