JP7260462B2 - エンジン - Google Patents
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Description
特許文献1のエンジンでは、排気経路からエンジンオイルが流れ出す、いわゆる排気経路からの液ダレ現象が起こり易い。
図1(A)に例示するセカンドランド(2L)とシリンダ(CY)間のセカンドランド隙間容積(2LV)は、トップランド(1L)とシリンダ(CY)間のトップランド隙間容積(1LV)の0.4倍~0.8倍とされ、セカンドランドノッチ部容積(2NV)は、セカンドランドノッチ部容積(2NV)を含まないセカンドランド隙間容積(2LV)の1倍~3倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成され、
図1(A)に例示するように、セカンドランドノッチ部(2N)は、その周方向と交差する断面が奥端(2Na)から入口(2Nb)に向けて拡開するV字形で、トップリング溝(1RG)寄りの斜面(2N1)は、奥端(2Na)から入口(2Nb)に近づくにつれてトップリング溝(1RG)に近づくように傾斜すると共に、セカンドリング溝(2RG)寄りの斜面(2N2)は、奥端(2Na)から入口(2Nb)に近づくにつれてセカンドリング溝(2RG)に近づくように斜面することにより、上記断面で、各斜面(2N1)(2N2)とセカンドランド(2L)がなす角度(2N1θ)(2N2θ)の両方がいずれも鈍角とされている、こと特徴とするエンジン。
《効果》 排気経路からの液ダレ現象、出力の低下、スモークの発生が起こり難い。
図1(A)に例示するように、セカンドランド隙間容積(2LV)がトップランド隙間容積(1LV)の0.4倍未満である場合、或いは、セカンドランドノッチ部容積(2NV)がセカンドランド隙間容積(2LV)の1倍未満である場合には、セカンドランド隙間容積(2LV)やセカンドランドノッチ部容積(2NV)が小さ過ぎ、膨張行程で、これら容積(2LV)(2NV)内に流入したブローバイガスにより、これら容積(2LV)(2NV)内の内圧が大きくなり、トップリング(1R)が上死点側に浮き上がり、その密封性が低下し、クランクケース(4b)内のブローバイガスが燃焼室(CC)側に逆流する、いわゆるブローアップ現象が起こり易く、ブローバイガス中のエンジンオイルが燃焼室(CC)を経て排気経路から流れ出す、いわゆる排気経路からの液ダレ現象が起こり易い。
他方、図1(A)に例示するように、セカンドランド隙間容積(2LV)がトップランド隙間容積(1LV)の0.8倍を超える場合、或いは、セカンドランドノッチ部容積(2NV)がセカンドランド隙間容積(2LV)の3倍を超える場合には、セカンドランド隙間容積(2LV)やセカンドランドノッチ部容積(2NV)が大き過ぎ、膨張行程でこれら容積(2LV)(2NV)内に多くのブローバイガスが溜まり、吸気行程で多くのブローバイガスが燃焼室(CC)に吸い戻され、出力の低下や、スモークの発生が起こり易い。
これに対し、上記範囲では、排気経路からの液ダレ現象、出力の低下、スモークの発生が起こり難い。
図3に示すように、このエンジンは、シリンダブロック(4)と、シリンダブロック(4)の上部に組み付けられたシリンダヘッド(5)と、シリンダヘッド(5)の上部に組み付けられたシリンダヘッドカバー(6)と、クランク軸(7)の架設方向を前後方向として、シリンダブロック(4)の前部に組み付けられたフロントケース(8)と、フロントケース(8)の前方に配置されたエンジン冷却ファン(9)と、シリンダブロック(4)の後部に組み付けられたフライホイールハウジング(10)と、シリンダブロック(4)の下部に組み付けられたオイルパン(11)を備えている。シリンダブロック(4)は、シリンダ(CY)(図1,2参照)を内蔵したシリンダ部(4a)とクランクケース(4b)を備えている。
ピストンヘッド(PH)は、トップリング(1R)を嵌めたトップリング溝(1RG)と、セカンドリング(2R)を嵌めたセカンドリング溝(2RG)と、オイルリング(3G)を嵌めたオイルリング溝(3RG)と、トップランド(1L)と、セカンドランドノッチ部(2N)を備えたセカンドランド(2L)と、サードランド(3L)を備えている。
図1(A)に示すセカンドランド(2L)とシリンダ(CY)間のセカンドランド隙間容積(2LV)は、トップランド(1L)とシリンダ(CY)間のトップランド隙間容積(1LV)の0.4倍~0.8倍とされ、セカンドランドノッチ部容積(2NV)はセカンドランドノッチ部容積(2NV)を含まないセカンドランド隙間容積(2LV)の1倍~3倍とされている。
他方、セカンドランド隙間容積(2LV)がトップランド隙間容積(1LV)の0.8倍を超える場合、或いは、セカンドランドノッチ部容積(2NV)がセカンドランド隙間容積(2LV)の3倍を超える場合には、セカンドランド隙間容積(2LV)やセカンドランドノッチ部容積(2NV)が大き過ぎ、膨張行程でこれら容積(2LV)(2NV)内に多くのブローバイガスが溜まり、吸気行程で多くのブローバイガスが燃焼室(CC)に吸い戻され、出力の低下や、スモークの発生が起こり易い。
これに対し、上記範囲では、排気経路からの液ダレ現象、出力の低下、スモークの発生が起こり難い。
サードランド(3L)はサードランドノッチ部(3N)を備え、サードランド(3L)とシリンダ(CY)間のサードランド隙間容積(3LV)は、セカンドランド隙間容積(2LV)の0.1倍~0.4倍とされ、サードランドノッチ部容積(3NV)は、サードランドノッチ部容積(3NV)を含まないサードランド隙間容積(3LV)の1倍~3倍とされている。
他方、サードランド隙間容積(3LV)が、セカンドランド隙間容積(2LV)の0.4倍を超える場合、或いは、サードランドノッチ部容積(3NV)がサードランド隙間容積(3LV)の3倍を超える場合には、サードランド隙間容積(3LV)やサードランドノッチ部容積(3NV)が大き過ぎ、膨張行程でこれら容積(3LV)(3NV)内に多くのブローバイガスが溜まり、吸気行程で多くのブローバイガスが燃焼室(CC)に吸い戻され、出力の低下や、スモークの発生が起こり易い。
これに対し、上記範囲では、排気経路からの液ダレ現象、出力の低下、スモークの発生が起こり難い。
オイルリング溝(3RG)は、奥端が円弧状のリング溝で、ピストンヘッド(PH)の昇降方向に沿う高さ寸法よりも径半方向に沿う奥行寸法が長く形成されている。
オイルリング(3G)には外周面に油掻き溝(3a)を備えたカット形が用いられ、内側にはオイルリング(3G)に外向きの押圧力を付与するコイルリングエキスパンダ(3b)を備えている。
油掻き溝(3a)の奥端側には、油掻き溝(3a)で掻きとったエンジンオイルをオイルリング溝(3RG)の奥端側に排出する複数のオイル孔(3c)(図1(D)参照)を備え、オイルリング溝(3RG)の奥端側にはピストンヘッド(PH)に形成されたオイルドレン孔(3d)を備え、油掻き溝(3a)で掻きとったエンジンオイルがオイル孔(3c)とオイルドレン孔(3d)を順に介してクランクケース(4b)(図3参照)からオイルパン(11)に戻る。
セカンドランドノッチ部(2N)は、サードランドノッチ部(3N)よりも入口開口が広く、奥行寸法も長く、容積も大きい。
図1(C)に示すセカンドリング合口隙間(2JG)が、図1(B)に示すトップリング合口隙間(1JG)の2倍未満である場合には、セカンドリング合口隙間(2JG)が小さ過ぎ、膨張行程で、セカンドランド隙間容積(2LV)やセカンドランドノッチ部容積(2NV)の内圧が大きくなり、トップリング(1R)が上死点側に浮き上がり、いわゆるブローアップ現象、ひいては排気経路からの液ダレ現象が起こり易い。
他方、セカンドリング合口隙間(2JG)が、トップリング合口隙間(1JG)の5倍を超える場合には、セカンドリング合口隙間(2JG)が大き過ぎ、膨張行程でセカンドランド隙間容積(2LV)やセカンドランドノッチ部容積(2NV) 内に多くのブローバイガスが溜まり、吸気行程で多くのブローバイガスが燃焼室(CC)に吸い戻され、出力の低下や、スモークの発生が起こり易い。
これに対し、上記範囲では、排気経路からの液ダレ現象、出力の低下、スモークの発生が起こり難い。
図1(D)に示すオイルリング合口隙間(3JG)が、図1(C)に示すセカンドリング合口隙間(2JG)の0.1倍未満である場合には、オイルリング合口隙間(3JG)が小さ過ぎ、膨張行程で、サードランド隙間容積(3LV)やサードランドノッチ部容積(3NV)内の内圧が大きくなり、セカンドリング(2R)が上死点側に浮き上がり、いわゆるブローアップ現象、ひいては排気経路からの液ダレ現象が起こり易い。
他方、オイルリング合口隙間(3JG)が、セカンドリング合口隙間(2JG)の0.8倍を超える場合には、オイルリング合口隙間(3JG)が大き過ぎ、膨張行程でサードランド隙間容積(3LV)やサードランドノッチ部容積(3NV)内に多くのブローバイガスが溜まり、吸気行程で多くのブローバイガスが燃焼室(CC)に吸い戻され、出力の低下や、スモークの発生が起こり易い。
これに対し、上記範囲では、排気経路からの液ダレ現象、出力の低下、スモークの発生が起こり難い。
上記実施形態は、次の構成を備えている。
セカンドランドノッチ部容積(2NV)は、セカンドランドノッチ部容積(2NV)を含まないセカンドランド隙間容積(2LV)の1倍~3倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されている。
図1(A)に示すように、セカンドランドノッチ部(2N)は、その周方向と交差する断面が奥端(2Na)から入口(2Nb)に向けて拡開するV字形で、トップリング溝(1RG)寄りの斜面(2N1)は、奥端(2Na)から入口(2Nb)に近づくにつれてトップリング溝(1RG)に近づくように傾斜すると共に、セカンドリング溝(2RG)寄りの斜面(2N2)は、奥端(2Na)から入口(2Nb)に近づくにつれてセカンドリング溝(2RG)に近づくように斜面することにより、上記断面で、各斜面(2N1)(2N2)とセカンドランド(2L)がなす角度(2N1θ)(2N2θ)の両方がいずれも鈍角とされている。
セカンドランドノッチ部容積(2NV)は、セカンドランドノッチ部容積(2NV)を含まないセカンドランド隙間容積(2LV)の1倍~3倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されていることに代え、セカンドランドノッチ部容積(2NV)は、セカンドランドノッチ部容積(2NV)を含まないセカンドランド隙間容積(2LV)の1.88倍~2.12倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されている。
サードランドノッチ部容積(3NV)は、サードランドノッチ部容積(3NV)を含まないサードランド隙間容積(3LV)の1倍~3倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されている。
図1(A)に示すように、サードランドノッチ部(3N)は、その周方向と交差する断面が奥端(3Na)から入口(3Nb)に向けて拡開するV字形で、セカンドリング溝(2RG)寄りの斜面(3N1)は、奥端(3Na)から入口(3Nb)に近づくにつれてセカンドリング溝(2RG)に近づき、サードリング溝(3RG)寄りの斜面(3N2)は、奥端(3Na)から入口(3Nb)に近づくにつれてサードリング溝(3RG)に近づくように斜面することにより、上記断面で、各斜面(3N1)(3N2)とサードランド(3L)がなす角度(3N1θ)(3N2θ)の両方がいずれも鈍角とされている。
サードランドノッチ部容積(3NV)は、サードランドノッチ部容積(3NV)を含まないサードランド隙間容積(3LV)の1倍~3倍とされていることにより、排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されていることに代えて、サードランドノッチ部容積(3NV)は、サードランドノッチ部容積(3NV)を含まないサードランド隙間容積(3LV)の1.88倍~2.12倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されている。
セカンドリング合口隙間(2JG)は、トップリング合口隙間(1JG)の2倍~5倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されている。
オイルリング合口隙間(3JG)は、セカンドリング合口隙間(2JG)の0.1倍~0.8倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されている。
Claims (7)
- シリンダ(CY)と、シリンダ(CY)内に往復動自在に内嵌されたピストンヘッド(PH)を備え、
ピストンヘッド(PH)は、トップリング(1R)を嵌めたトップリング溝(1RG)と、セカンドリング(2R)を嵌めたセカンドリング溝(2RG)と、オイルリング(3R)を嵌めたオイルリング溝(3RG)と、トップランド(1L)と、セカンドランドノッチ部(2N)を備えたセカンドランド(2L)と、サードランド(3L)を備え、
セカンドランド(2L)とシリンダ(CY)間のセカンドランド隙間容積(2LV)は、トップランド(1L)とシリンダ(CY)間のトップランド隙間容積(1LV)の0.4倍~0.8倍とされ、セカンドランドノッチ部容積(2NV)は、セカンドランドノッチ部容積(2NV)を含まないセカンドランド隙間容積(2LV)の1倍~3倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成され、
セカンドランドノッチ部(2N)は、その周方向と交差する断面が奥端(2Na)から入口(2Nb)に向けて拡開するV字形で、トップリング溝(1RG)寄りの斜面(2N1)は、奥端(2Na)から入口(2Nb)に近づくにつれてトップリング溝(1RG)に近づくように傾斜すると共に、セカンドリング溝(2RG)寄りの斜面(2N2)は、奥端(2Na)から入口(2Nb)に近づくにつれてセカンドリング溝(2RG)に近づくように斜面することにより、上記断面で、各斜面(2N1)(2N2)とセカンドランド(2L)がなす角度(2N1θ)(2N2θ)の両方がいずれも鈍角とされている、こと特徴とするエンジン。 - 請求項1に記載されたエンジンにおいて、
セカンドランドノッチ部容積(2NV)は、セカンドランドノッチ部容積(2NV)を含まないセカンドランド隙間容積(2LV)の1倍~3倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されていることに代え、
セカンドランドノッチ部容積(2NV)は、セカンドランドノッチ部容積(2NV)を含まないセカンドランド隙間容積(2LV)の1.88倍~2.12倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されていることを特徴とするエンジン。 - 請求項1または請求項2に記載されたエンジンにおいて、
サードランド(3L)はサードランドノッチ部(3N)を備え、
サードランド(3L)とシリンダ(CY)間のサードランド隙間容積(3LV)は、セカンドランド隙間容積(2LV)の0.1倍~0.4倍とされ、サードランドノッチ部容積(3NV)は、サードランドノッチ部容積(3NV)を含まないサードランド隙間容積(3LV)の1倍~3倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されていることを特徴とするエンジン。 - 請求項3に記載されたエンジンにおいて、
サードランドノッチ部(3N)は、その周方向と交差する断面が奥端(3Na)から入口(3Nb)に向けて拡開するV字形で、セカンドリング溝(2RG)寄りの斜面(3N1)は、奥端(3Na)から入口(3Nb)に近づくにつれてセカンドリング溝(2RG)に近づき、サードリング溝(3RG)寄りの斜面(3N2)は、奥端(3Na)から入口(3Nb)に近づくにつれてサードリング溝(3RG)に近づくように斜面することにより、上記断面で、各斜面(3N1)(3N2)とサードランド(3L)がなす角度(3N1θ)(3N2θ)の両方がいずれも鈍角とされている、こと特徴とするエンジン。 - 請求項3または請求項4に記載されたエンジンおいて、
サードランドノッチ部容積(3NV)は、サードランドノッチ部容積(3NV)を含まないサードランド隙間容積(3LV)の1倍~3倍とされていることにより、排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されていることに代えて、
サードランドノッチ部容積(3NV)は、サードランドノッチ部容積(3NV)を含まないサードランド隙間容積(3LV)の1.88倍~2.12倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されていることを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項5のいずれに記載されたエンジンにおいて、
セカンドリング合口隙間(2JG)は、トップリング合口隙間(1JG)の2倍~5倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されていることを特徴とするエンジン。 - 請求項6に記載されたエンジンにおいて、
オイルリング合口隙間(3JG)は、セカンドリング合口隙間(2JG)の0.1倍~0.8倍とされている、ことにより排気経路からの液ダレ現象が抑制されるように構成されていることを特徴とするエンジン。
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