JP2013160588A - 飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材は、長さ200μm以上の繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体を含む。
【選択図】図1
Description
本発明の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材は、長さ200μm以上の繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体を含む。本発明の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材が、長さ200μm以上の繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体を含むことにより、固体試料の汚染を防止でき、固体試料を安定的に固定でき、飛行時間型二次イオン質量分析装置において二次イオンの正確な検出を可能とする。本発明の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材は、上記繊維状柱状構造体のみからなる部材であっても良いし、上記繊維状柱状構造体と飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料の固定に好ましく用い得る任意の適切な材料とからなる部材であっても良い。
本発明の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材が繊維状柱状構造体を含む場合、該繊維状柱状構造体は好ましくはカーボンナノチューブ集合体である。本発明の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材がカーボンナノチューブ集合体を含む場合、本発明の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材は、固体試料の汚染を効果的に防止でき、固体試料をより一層安定的に固定でき、飛行時間型二次イオン質量分析装置において二次イオンのより一層正確な検出を可能とする。
本発明の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の好ましい実施形態の1つ(以下、第1の好ましい実施形態と称することがある)は、複数のカーボンナノチューブを備え、該カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が10層以上であり、該層数分布の最頻値の相対頻度が25%以下である。
本発明の飛行時間型二次イオン質量分析装置用固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の好ましい実施形態の別の1つ(以下、第2の好ましい実施形態と称することがある)は、複数のカーボンナノチューブを備え、該カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の最頻値が層数10層以下に存在し、該最頻値の相対頻度が30%以上である。
本発明の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の製造方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。
繊維状柱状物の長さLは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定した。
ガラス(MATSUNAMI スライドガラス27mm×56mm)に、1cm2単位面積に切り出した飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材の先端(飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材がカーボンナノチューブ集合体を含む場合は、カーボンナノチューブの先端)が接触するように載置し、5kgのローラーを一往復させて飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材の先端をガラスに圧着した。その後、30分間放置した。引張り試験機(Instro Tensil Tester)で引張速度50mm/minにて、室温(25℃)にてせん断試験を行い、得られたピークをせん断接着力とした。
カーボンナノチューブ集合体におけるカーボンナノチューブの層数および層数分布は、走査型電子顕微鏡(SEM)および/または透過電子顕微鏡(TEM)によって測定した。得られたカーボンナノチューブ集合体の中から少なくとも10本以上、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブをSEMおよび/またはTEMにより観察し、各カーボンナノチューブの層数を調べ、層数分布を作成した。
飛行時間型二次イオン質量分析装置による測定は下記のように行った。
飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材の上に、粒子状FeOx(直径:10μm〜140μm)を載せ、過剰な粒子をブロアーで除去したのち、専用の試料台に固定して、飛行時間型二次イオン質量分析装置(ION−TOF製、「TOF−SIMS5」)にて測定した。
測定条件は下記の通りとした。
照射した一次イオン:Bi3 +
一次イオン加速電圧:25kV
測定面積:150μm角
飛行時間型二次イオン質量分析装置による測定における、試料の汚染の度合いの評価は下記の基準で行った。
○:正イオン/HFeO+が50未満、且つ、負イオン/FeO2 −が30未満。
×:正イオン/HFeO+が50以上、または、負イオン/FeO2 −が30以上。
なお、飛行時間型二次イオン質量分析装置による測定を行う際に、接着力不足によって試料固定が不可能であった場合を、「はがれ」と評価した。
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl2O3膜を形成した。このAl2O3膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、10分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(1)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(1)が備えるカーボンナノチューブの長さは200μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(1)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(1)を飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材(1)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み1nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、10分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(2)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(2)が備えるカーボンナノチューブの長さは200μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(2)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(2)を飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材(2)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl2O3膜を形成した。このAl2O3膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、15分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(3)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(3)が備えるカーボンナノチューブの長さは300μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(3)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(3)を飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材(3)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み1nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、30分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(4)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(4)が備えるカーボンナノチューブの長さは600μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(4)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(4)を飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材(4)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl2O3膜を形成した。このAl2O3膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、30分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(5)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(5)が備えるカーボンナノチューブの長さは600μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(5)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(5)を飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材(5)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl2O3膜を形成した。このAl2O3膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、5分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(C1)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(C1)が備えるカーボンナノチューブの長さは90μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(C1)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(C1)を飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材(C1)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み1nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、6分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(C2)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(C2)が備えるカーボンナノチューブの長さは120μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(C2)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(C2)を飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材(C2)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材として導電性カーボン両面テープ(731:日新EM(株)製)を用い、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材としてポリエステル粘着テープ(No.31:日東電工(株)製)を用い、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
1 基材
2 繊維状柱状物
2a 繊維状柱状物の片端
Claims (6)
- 長さ200μm以上の繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体を含む、飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材。
- 室温におけるガラス面に対するせん断接着力が10N/cm2以上である、請求項1に記載の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材。
- 前記繊維状柱状構造体が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である、請求項1または2に記載の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材。
- 前記カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が10層以上であり、該層数分布の最頻値の相対頻度が25%以下である、請求項3に記載の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材。
- 前記カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の最頻値が層数10層以下に存在し、該最頻値の相対頻度が30%以上である、請求項3に記載の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材。
- 基材を含む、請求項1から5までのいずれかに記載の飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材。
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