JP2014126470A - オージェ電子分光分析装置用試料固定部材 - Google Patents

オージェ電子分光分析装置用試料固定部材 Download PDF

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Abstract

【課題】オージェ電子分光分析装置用試料固定部材を提供する。
【解決手段】繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体を含む、オージェ電子分光分析装置用試料固定部材であって、固体試料を安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことを抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入を抑制でき、高い分析精度を発現できる。繊維状柱状構造体が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である。
【選択図】図3

Description

本発明は、オージェ電子分光分析装置用試料固定部材に関する。詳細には、例えば、電界放射型オージェ電子分光分析装置(FE−AES)において測定対象試料を固定するための部材に関する。
オージェ電子分光分析(AES)は代表的な表面分析の一つで、固体の表面から数nmの深さ領域に関する元素分析や深さ方向分析が可能である。AESの最大の特徴は、空間分解能が極めて高いことにある。これは、励起源に電子線を用いているためである。AES装置では、走査2次電子像(SEM像)を観察し、SEM像で確認した特定箇所のポイント分析やSEM像の視野全体の分析が可能である。また、同心円筒鏡型分析器(CMA)を用いる場合、観察する方向から分析できる。
高真空中で固体資料表面に電子線を照射すると、原子の内殻電子が弾き出され、それによって生成した空軌道を外殻電子が補填する。このとき、X線が発生する過程と外殻電子を放出する過程のどちらかが生じる。後者の過程で発生した電子がオージェ電子である。試料表面からは、オージェ電子以外に、多量の2次電子、散乱電子が放出される。これを分析器に導き、電子の運動エネルギーで分けてスペクトルとして検出する。2次電子、散乱電子は、バックグラウンドとなる。また、内部から発生したオージェ電子は、エネルギーを失う。表面から数nmの深さ領域から発生したオージェ電子のみがエネルギーを失わず、ピークとして検出される。ピークとして検出されたオージェ電子の運動エネルギーは元素固有であるため、その運動エネルギーを調べることにより、表面数nmの元素分析を行うことができる。さらに、イオンエッチング(例えば、Arイオンエッチング)を施すことにより、ミクロンオーダーまでの深さ方向分析を行うことができる(特許文献1)。
AES装置においては、測定対象となる固体試料を粘着剤や接着剤などの固定部材に固定させて測定を行う。しかし、従来の粘着剤や接着剤などの固定部材を用いた場合、イオンエッチングを施すと、固定部材もエッチングされてしまい、その固定部材のエッチングによって発生した異物が測定対象となる固体試料に堆積してしまい、分析精度が低下するという問題がある。
特開平8−327569号公報
本発明の課題は、オージェ電子分光分析装置用試料固定部材であって、固体試料を安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことを抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入を抑制でき、高い分析精度を発現できる、オージェ電子分光分析装置用試料固定部材を提供することにある。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体を含む。
好ましい実施形態においては、本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、室温におけるガラス面に対するせん断接着力が10N/cm以上である。
好ましい実施形態においては、上記繊維状柱状構造体が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である。
好ましい実施形態においては、上記カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が10層以上であり、該層数分布の最頻値の相対頻度が25%以下である。
好ましい実施形態においては、上記カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の最頻値が層数10層以下に存在し、該最頻値の相対頻度が30%以上である。
本発明によれば、オージェ電子分光分析装置用試料固定部材であって、固体試料を安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことを抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入を抑制でき、高い分析精度を発現できる、オージェ電子分光分析装置用試料固定部材を提供することができる。
本発明の好ましい実施形態におけるオージェ電子分光分析装置用試料固定部材の一例の概略断面図である。 本発明の好ましい実施形態におけるオージェ電子分光分析装置用試料固定部材がカーボンナノチューブ集合体を含む場合の該カーボンナノチューブ集合体の製造装置の概略断面図である。 実施例1でのオージェ電子分光分析における、オージェ電子分光分析装置用試料固定部材(1)上のCuO粒子の表面SEM像の写真図である。 実施例1でのオージェ電子分光分析における、最表面オージェスペクトル図である。 実施例1でのオージェ電子分光分析における、深さ方向分析プロファイル図である。 比較例1でのオージェ電子分光分析における、導電性カーボン両面テープ(731:日新EM(株)製)上のCuO粒子の表面SEM像の写真図である。 比較例1でのオージェ電子分光分析における、最表面オージェスペクトル図である。 比較例1でのオージェ電子分光分析における、深さ方向分析プロファイル図である。
≪オージェ電子分光分析装置用試料固定部材≫
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体を含む。本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体を含むことにより、固体試料を安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことを抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入を抑制でき、高い分析精度を発現できる。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、上記繊維状柱状構造体のみからなる部材であっても良いし、上記繊維状柱状構造体とオージェ電子分光分析装置用試料の固定に好ましく用い得る任意の適切な材料とからなる部材であっても良い。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、オージェ電子分光分析装置において測定試料を接着固定させるための部材であり、その大きさや形状は、使用するオージェ電子分光分析装置の種類に応じて、適宜選択し得る。
上記繊維状柱状構造体は、複数の繊維状柱状物を備える集合体である。上記繊維状柱状構造体は、好ましくは、長さLの複数の繊維状柱状物を備える集合体である。図1に、本発明の好ましい実施形態におけるオージェ電子分光分析装置用試料固定部材の一例の概略断面図を示す。
図1において、繊維状柱状構造体10は、基材1と、複数の繊維状柱状物2を備える。繊維状柱状物2の片端2aは、基材1に固定されている。繊維状柱状物2は、長さLの方向に配向している。繊維状柱状物2は、好ましくは、基材1に対して略垂直方向に配向している。ここで、「略垂直方向」とは、基材1の面に対する角度が、好ましくは90°±20°であり、より好ましくは90°±15°であり、さらに好ましくは90°±10°であり、特に好ましくは90°±5°である。
なお、本図示例とは異なり、繊維状柱状構造体10は複数の繊維状柱状物2のみからなる集合体であっても良い。すなわち、繊維状柱状構造体10は基材1を備えていなくても良い。この場合、複数の繊維状柱状物2は、互いに、例えば、ファンデルワールス力によって集合体として存在し得る。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、室温におけるガラス面に対するせん断接着力が、好ましくは10N/cm以上であり、より好ましくは10N/cm〜200N/cm、さらに好ましくは15N/cm〜200N/cm、特に好ましくは20N/cm〜200N/cm、最も好ましくは25N/cm〜200N/cmである。上記せん断接着力が上記範囲内に収まることにより、本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。なお、上記せん断接着力は、後述の方法によって測定される。
上記繊維状柱状物の材料としては、任意の適切な材料を採用し得る。例えば、アルミ、鉄などの金属;シリコンなどの無機材料;カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどのカーボン材料;エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどの高モジュラスの樹脂;などが挙げられる。樹脂の具体例としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドなどが挙げられる。樹脂の分子量などの諸物性は、本発明の目的を達成しうる範囲において、任意の適切な物性を採用し得る。
上記基材としては、目的に応じて、任意の適切な基材を採用し得る。例えば、石英ガラス、シリコン(シリコンウェハなど)、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。エンジニアリングプラスチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチックの具体例としては、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミドなどが挙げられる。これらの基材の分子量などの諸物性は、本発明の目的を達成し得る範囲において、任意の適切な物性を採用し得る。
上記繊維状柱状物の直径は、好ましくは0.3nm〜2000nmであり、より好ましくは1nm〜1000nmであり、さらに好ましくは2nm〜500nmである。上記繊維状柱状物の直径が上記範囲内に収まることにより、本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記基材の厚みは、目的に応じて、任意の適切な値に設定され得る。
上記基材の表面は、隣接する層との密着性,保持性などを高めるために、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理などの化学的または物理的処理,下塗剤(例えば、上記粘着性物質)によるコーティング処理が施されていてもよい。
上記基材は単層であっても良いし、多層体であっても良い。
本発明においては、上記繊維状柱状構造体は、好ましくは、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である。この場合、上記繊維状柱状物は、好ましくは、カーボンナノチューブである。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、上記カーボンナノチューブ集合体のみからなっていても良いし、上記カーボンナノチューブ集合体と任意の適切な部材からなっていても良い。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体を含み、上記基材をも含む場合は、該カーボンナノチューブの片端が該部材に固定されていても良い。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体を含む場合であって、基材を含む場合、該カーボンナノチューブを基材に固定する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、カーボンナノチューブ集合体の製造に使用した基板を基材としてそのまま用いてもよい。また、基材に接着層を設けてカーボンナノチューブに固定してもよい。さらに、基材が熱硬化性樹脂の場合は、反応前の状態で薄膜を作製し、カーボンナノチューブの一端を薄膜層に圧着させた後、硬化処理を行って固定すれば良い。また、基材が熱可塑性樹脂や金属などの場合は、溶融した状態で繊維状柱状構造体の一端を圧着させた後、室温まで冷却して固定すれば良い。
≪カーボンナノチューブ集合体≫
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が繊維状柱状構造体を含む場合、該繊維状柱状構造体は好ましくはカーボンナノチューブ集合体である。本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材がカーボンナノチューブ集合体を含む場合、本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
<第1の好ましい実施形態>
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の好ましい実施形態の1つ(以下、第1の好ましい実施形態と称することがある)は、複数のカーボンナノチューブを備え、該カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が10層以上であり、該層数分布の最頻値の相対頻度が25%以下である。
上記カーボンナノチューブの層数分布の分布幅は10層以上であり、好ましくは10層〜30層であり、より好ましくは10層〜25層であり、さらに好ましくは10層〜20層である。
上記カーボンナノチューブの層数分布の「分布幅」とは、カーボンナノチューブの層数の最大層数と最小層数との差をいう。カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が上記範囲内にあることにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を用いたオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記カーボンナノチューブの層数、層数分布は、任意の適切な装置によって測定すれば良い。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)によって測定される。例えば、カーボンナノチューブ集合体から少なくとも10本、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブを取り出してSEMあるいはTEMによって測定し、層数および層数分布を評価すれば良い。
上記カーボンナノチューブの層数の最大層数は、好ましくは5層〜30層であり、より好ましくは10層〜30層であり、さらに好ましくは15層〜30層であり、特に好ましくは15層〜25層である。
上記カーボンナノチューブの層数の最小層数は、好ましくは1層〜10層であり、より好ましくは1層〜5層である。
上記カーボンナノチューブの層数の最大層数と最小層数が上記範囲内にあることにより、該カーボンナノチューブは一層優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは一層優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を用いたオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記層数分布の最頻値の相対頻度は、25%以下であり、好ましくは1%〜25%であり、より好ましくは5%〜25%であり、さらに好ましくは10%〜25%であり、特に好ましくは15%〜25%である。上記層数分布の最頻値の相対頻度が上記範囲内にあることにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を用いたオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記層数分布の最頻値は、好ましくは層数2層から層数10層に存在し、さらに好ましくは層数3層から層数10層に存在する。上記層数分布の最頻値が上記範囲内にあることにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を用いたオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記カーボンナノチューブの形状としては、その横断面が任意の適切な形状を有していれば良い。例えば、その横断面が、略円形、楕円形、n角形(nは3以上の整数)等が挙げられる。
上記カーボンナノチューブの長さは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは10μm〜5000μmであり、さらに好ましくは50μm〜2000μmであり、特に好ましくは200μm〜1500μmであり、最も好ましくは300μm〜1000μmである。上記カーボンナノチューブの長さが上記範囲内に収まることにより、本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記カーボンナノチューブの直径は、好ましくは0.3nm〜2000nmであり、より好ましくは1nm〜1000nmであり、さらに好ましくは2nm〜500nmである。上記カーボンナノチューブの直径が上記範囲内に収まることにより、本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記カーボンナノチューブの比表面積、密度は、任意の適切な値に設定され得る。
<第2の好ましい実施形態>
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の好ましい実施形態の別の1つ(以下、第2の好ましい実施形態と称することがある)は、複数のカーボンナノチューブを備え、該カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の最頻値が層数10層以下に存在し、該最頻値の相対頻度が30%以上である。
上記カーボンナノチューブの層数分布の分布幅は、好ましくは9層以下であり、より好ましくは1層〜9層であり、さらに好ましくは2層〜8層であり、特に好ましくは3層〜8層である。
上記カーボンナノチューブの層数分布の「分布幅」とは、カーボンナノチューブの層数の最大層数と最小層数との差をいう。カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が上記範囲内にあることにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を用いたオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記カーボンナノチューブの層数、層数分布は、任意の適切な装置によって測定すれば良い。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)によって測定される。例えば、カーボンナノチューブ集合体から少なくとも10本、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブを取り出してSEMあるいはTEMによって測定し、層数および層数分布を評価すれば良い。
上記カーボンナノチューブの層数の最大層数は、好ましくは1層〜20層であり、より好ましくは2層〜15層であり、さらに好ましくは3層〜10層である。
上記カーボンナノチューブの層数の最小層数は、好ましくは1層〜10層であり、より好ましくは1層〜5層である。
上記カーボンナノチューブの層数の最大層数と最小層数が上記範囲内にあることにより、該カーボンナノチューブは一層優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは一層優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を用いたオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記層数分布の最頻値の相対頻度は、30%以上であり、好ましくは30%〜100%であり、より好ましくは30%〜90%であり、さらに好ましくは30%〜80%であり、特に好ましくは30%〜70%である。上記層数分布の最頻値の相対頻度が上記範囲内にあることにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を用いたオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記層数分布の最頻値は、層数10層以下に存在し、好ましくは層数1層から層数10層に存在し、より好ましくは層数2層から層数8層に存在し、さらに好ましくは層数2層から層数6層に存在する。本発明において、上記層数分布の最頻値が上記範囲内にあることにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を用いたオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記カーボンナノチューブの形状としては、その横断面が任意の適切な形状を有していれば良い。例えば、その横断面が、略円形、楕円形、n角形(nは3以上の整数)等が挙げられる。
上記カーボンナノチューブの長さは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは10μm〜5000μmであり、さらに好ましくは100μm〜2000μmであり、特に好ましくは200μm〜1500μmであり、最も好ましくは600μm〜1000μmである。上記カーボンナノチューブの長さが上記範囲内に収まることにより、本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記カーボンナノチューブの直径は、好ましくは0.3nm〜2000nmであり、より好ましくは1nm〜1000nmであり、さらに好ましくは2nm〜500nmである。上記カーボンナノチューブの直径が上記範囲内に収まることにより、本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
上記カーボンナノチューブの比表面積、密度は、任意の適切な値に設定され得る。
≪カーボンナノチューブ集合体の製造方法≫
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の製造方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の製造方法としては、例えば、平滑な基板の上に触媒層を構成し、熱、プラズマなどにより触媒を活性化させた状態で炭素源を充填し、カーボンナノチューブを成長させる、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD法)によって、基板からほぼ垂直に配向したカーボンナノチューブ集合体を製造する方法が挙げられる。この場合、例えば、基板を取り除けば、長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体が得られる。
上記基板としては、任意の適切な基板を採用し得る。例えば、平滑性を有し、カーボンナノチューブの製造に耐え得る高温耐熱性を有する材料が挙げられる。このような材料としては、例えば、石英ガラス、シリコン(シリコンウェハなど)、アルミニウムなどの金属板などが挙げられる。上記基板は、そのまま、本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体が備え得る基材として用いることができる。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体を製造するための装置としては、任意の適切な装置を採用し得る。例えば、熱CVD装置としては、図2に示すような、筒型の反応容器を抵抗加熱式の電気管状炉で囲んで構成されたホットウォール型などが挙げられる。その場合、反応容器としては、例えば、耐熱性の石英管などが好ましく用いられる。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る触媒(触媒層の材料)としては、任意の適切な触媒を用い得る。例えば、鉄、コバルト、ニッケル、金、白金、銀、銅などの金属触媒が挙げられる。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体を製造する際、必要に応じて、基板と触媒層の中間にアルミナ/親水性膜を設けても良い。
アルミナ/親水性膜の作製方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、基板の上にSiO膜を作製し、Alを蒸着後、450℃まで昇温して酸化させることにより得られる。このような作製方法によれば、Alが親水性のSiO膜と相互作用し、Alを直接蒸着したものよりも粒子径の異なるAl面が形成される。基板の上に、親水性膜を作製することを行わずに、Alを蒸着後に450℃まで昇温して酸化させても、粒子径の異なるAl面が形成され難いおそれがある。また、基板の上に、親水性膜を作製し、Alを直接蒸着しても、粒子径の異なるAl面が形成され難いおそれがある。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る触媒層の厚みは、微粒子を形成させるため、好ましくは0.01nm〜20nmであり、より好ましくは0.1nm〜10nmである。本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る触媒層の厚みが上記範囲内にあることによって、該カーボンナノチューブ集合体は優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブ集合体は優れた粘着特性を示し得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を用いたオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、固体試料をより安定的に固定できるとともに、分析の際にイオンエッチングを施しても該固定部材がエッチングされてしまうことをより抑制でき、したがって、固体試料への異物の堆積・混入をより抑制でき、より高い分析精度を発現できる。
触媒層の形成方法は、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、金属触媒をEB(電子ビーム)、スパッタなどにより蒸着する方法、金属触媒微粒子の懸濁液を基板上に塗布する方法などが挙げられる。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る炭素源としては、任意の適切な炭素源を用い得る。例えば、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンなどの炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;などが挙げられる。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材が含み得るカーボンナノチューブ集合体の製造における製造温度としては、任意の適切な温度を採用し得る。たとえば、本発明の効果を十分に発現し得る触媒粒子を形成させるため、好ましくは400℃〜1000℃であり、より好ましくは500℃〜900℃であり、さらに好ましくは600℃〜800℃である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各種評価や測定は、以下の方法により行った。
<繊維状柱状物の長さLの測定>
繊維状柱状物の長さLは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定した。
<オージェ電子分光分析装置用試料固定部材のせん断接着力の測定>
ガラス(MATSUNAMI スライドガラス27mm×56mm)に、1cm単位面積に切り出したオージェ電子分光分析装置用試料固定部材の先端(オージェ電子分光分析装置用試料固定部材がカーボンナノチューブ集合体を含む場合は、カーボンナノチューブの先端)が接触するように載置し、5kgのローラーを一往復させて飛行時間型二次イオン質量分析装置用試料固定部材の先端をガラスに圧着した。その後、30分間放置した。引張り試験機(Instro Tensil Tester)で引張速度50mm/minにて、室温(25℃)にてせん断試験を行い、得られたピークをせん断接着力とした。
<カーボンナノチューブ集合体におけるカーボンナノチューブの層数・層数分布の評価>
カーボンナノチューブ集合体におけるカーボンナノチューブの層数および層数分布は、走査型電子顕微鏡(SEM)および/または透過電子顕微鏡(TEM)によって測定した。得られたカーボンナノチューブ集合体の中から少なくとも10本以上、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブをSEMおよび/またはTEMにより観察し、各カーボンナノチューブの層数を調べ、層数分布を作成した。
<オージェ電子分光分析装置による分析および評価>
ミクロンオーダーサイズのCuO粒子を固定部材に固定し、電界放射型オージェ電子分光分析装置(FE−AES)によって、オージェスペクトル分析、Arイオンエッチング法による深さ方向分析(C、O、Na、Si、Ca、Cu、Sn)を行った。
装置:ULVAC−PHI Model680
電子銃:加速電圧=10kV
試料照射電流=10nA
入射角は試料法線に対して30°
分析面積:約200nm角(スペクトル)
約90μm角(マッピング)
Arイオン銃:加速電圧=1kV
入射角は試料法線に対して45°
エッチング速度:SiO2換算で約5nm/min
中和法:帯電中和法
分析の結果、下記の基準によって、測定試料の汚染の程度を評価した。
○:最表面オージェスペクトル分析において異物である炭素原子の存在割合が10%未満であり、深さ方向分析において異物である炭素原子が10%以上の深さ箇所が存在しない。
×:最表面オージェスペクトル分析において異物である炭素原子の存在割合が10%以上であり、深さ方向分析において異物である炭素原子が10%以上の深さ箇所が存在する。
[実施例1]
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜を形成した。このAl膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、10分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(1)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(1)が備えるカーボンナノチューブの長さは200μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(1)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(1)をオージェ電子分光分析装置用試料固定部材(1)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
また、オージェ電子分光分析における、オージェ電子分光分析装置用試料固定部材(1)上のCuO粒子の表面SEM像を図3に、最表面オージェスペクトルを図4に、深さ方向分析プロファイルを図5に示した。
[実施例2]
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み1nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、10分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(2)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(2)が備えるカーボンナノチューブの長さは200μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(2)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(2)をオージェ電子分光分析装置用試料固定部材(2)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例3]
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜を形成した。このAl膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、15分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(3)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(3)が備えるカーボンナノチューブの長さは300μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(3)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(3)をオージェ電子分光分析装置用試料固定部材(3)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例4]
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み1nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、30分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(4)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(4)が備えるカーボンナノチューブの長さは600μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(4)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(4)をオージェ電子分光分析装置用試料固定部材(4)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例5]
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜を形成した。このAl膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、30分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(5)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(5)が備えるカーボンナノチューブの長さは600μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(5)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(5)をオージェ電子分光分析装置用試料固定部材(5)として、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[比較例1]
オージェ電子分光分析装置用試料固定部材として導電性カーボン両面テープ(731:日新EM(株)製)を用い、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
また、オージェ電子分光分析における、導電性カーボン両面テープ(731:日新EM(株)製)上のCuO粒子の表面SEM像を図6に、最表面オージェスペクトルを図7に、深さ方向分析プロファイルを図8に示した。
本発明のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材は、オージェ電子分光分析装置において測定対象試料を固定するための部材に好適に用いることができる。
10 繊維状柱状構造体
1 基材
2 繊維状柱状物
2a 繊維状柱状物の片端

Claims (5)

  1. 繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体を含む、オージェ電子分光分析装置用試料固定部材。
  2. 室温におけるガラス面に対するせん断接着力が10N/cm以上である、請求項1に記載のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材。
  3. 前記繊維状柱状構造体が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である、請求項1または2に記載のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材。
  4. 前記カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が10層以上であり、該層数分布の最頻値の相対頻度が25%以下である、請求項3に記載のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材。
  5. 前記カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の最頻値が層数10層以下に存在し、該最頻値の相対頻度が30%以上である、請求項3に記載のオージェ電子分光分析装置用試料固定部材。
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