JP2014098107A - 宇宙空間で用いる把持材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な静摩擦係数を有することによって優れた把持力を発現でき、被着体に対して適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際には適度な剥離力を発現して良好な剥離を可能とし、化学物質による被把持箇所の汚染の心配がなく、耐環境性に優れた、宇宙空間で用いる把持材料を提供する。
【解決手段】把持材料は、宇宙空間で用いる把持材料であって、ポリスチレン表面に対する静摩擦係数が0.7以上であり、ポリスチレン表面に対する垂直接着力が2.0N/cm以上であり、ポリスチレン表面に対する180°ピールが0.25N/20mm以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、宇宙空間で用いる把持材料に関する。具体的には、例えば、国際宇宙ステーションなどで活用される宇宙ロボットハンドにおける把持機構に好適に用いることができる把持材料に関する。
近年、宇宙空間においては、国際宇宙ステーションの建設など、人工構造物の建設が予定あるいは実際に進められている。このような宇宙空間での建設などの際に、実際に人によって船外活動などの各種活動を行うことは、非常に危険な作業である。このため、例えば、単純な繰り返し作業などは、安全性やコストの観点から、人ではなく宇宙ロボットによって行われることが適切である。
宇宙ロボットの機能として重要となるのは、把持に代表されるハンドリング性である。無重力状態において宇宙ロボットのハンドリング性が良好となるためには、着脱が容易であり、耐環境性を有し、被把持箇所を汚染しない把持材料を用いることが必要となる。
把持材料として利用し得るものとして、粘弾性体がある。粘弾性体は弾性と粘性との優れたバランスを有するため、粘着剤の材料として有用であり、各種の産業分野において盛んに研究開発が行われている(特許文献1参照)。粘弾性体からなる粘着剤は、そのモジュラスの低さから、被着体にぬれて馴染み、粘着力を発現する。
しかし、従来の粘弾性体は、化学粘着剤であるため、宇宙空間で容易に変質してしまって本来の性能を発揮できないという問題や、含有化学物質によって被把持箇所が汚染されてしまうという問題がある。
特開2009−173695号公報
本発明の課題は、十分な静摩擦係数を有することによって優れた把持力を発現でき、被着体に対して適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際には適度な剥離力を発現して良好な剥離を可能とし、化学物質による被把持箇所の汚染の心配がなく、耐環境性に優れた、宇宙空間で用いる把持材料を提供することにある。
本発明の把持材料は、
宇宙空間で用いる把持材料であって、
ポリスチレン表面に対する静摩擦係数が0.7以上であり、
ポリスチレン表面に対する垂直接着力が2.0N/cm以上であり、
ポリスチレン表面に対する180°ピールが0.25N/20mm以下である。
好ましい実施形態においては、本発明の把持材料は、繊維状柱状構造体を含む。
好ましい実施形態においては、上記繊維状柱状構造体が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である。
好ましい実施形態においては、本発明の把持材料は、宇宙ロボットの把持機構に用いる把持材料である。
本発明によれば、十分な静摩擦係数を有することによって優れた把持力を発現でき、被着体に対して適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際には適度な剥離力を発現して良好な剥離を可能とし、化学物質による被把持箇所の汚染の心配がなく、耐環境性に優れた、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
本発明の好ましい実施形態における把持材料が繊維状柱状構造体を含む場合の一例の概略断面図である。 カーボンナノチューブ集合体製造装置の概略断面図である。
≪把持材料≫
本発明の把持材料は、宇宙空間で用いる把持材料である。本発明の把持材料は、十分な静摩擦係数を有することによって優れた把持力を発現でき、被着体に対して適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際には適度な剥離力を発現して良好な剥離を可能とし、化学物質による被把持箇所の汚染の心配がなく、耐環境性に優れているので、宇宙空間での用途に非常に適しており、好ましくは、宇宙ロボットの把持機構に用いることができる。
本発明の把持材料は、ポリスチレン表面に対する静摩擦係数が0.7以上であり、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.5以上であり、さらに好ましくは2.0以上であり、特に好ましくは2.5以上である。上記静摩擦係数の上限値は、好ましくは5.0以下である。上記静摩擦係数を上記範囲内に調整することにより、本発明の把持材料は、宇宙空間において優れた把持力を発現し得る。上記静摩擦係数の測定方法については後述する。
本発明の把持材料は、ポリスチレン表面に対する垂直接着力が2.0N/cm以上であり、好ましくは2.5N/cm以上であり、より好ましくは3.0N/cm以上であり、さらに好ましくは3.2N/cm以上であり、特に好ましくは3.4N/cm以上である。上記垂直接着力の上限値は、好ましくは50N/cm以下である。上記垂直接着力を上記範囲内に調整することにより、本発明の把持材料は、宇宙空間において、被着体に対して適度に十分な接着力を発現し得る。上記垂直接着力の測定方法については後述する。
本発明の把持材料は、ポリスチレン表面に対する180°ピールが0.25N/20mm以下であり、より好ましくは0.20N/20mm以下であり、さらに好ましくは0.15N/20mm以下であり、特に好ましくは0.10N/20mm以下である。上記180°ピールの下限値は、好ましくは0.01N/20mm以下である。上記180°ピールを上記範囲内に調整することにより、本発明の把持材料は、宇宙空間において、被着体から剥離する際に適度な剥離力を発現し得るので良好な剥離が可能となる。上記180°ピールの測定方法については後述する。
本発明の把持材料は、好ましくは、繊維状柱状構造体を含む。
上記繊維状柱状構造体は、複数の繊維状柱状物を備える集合体である。上記繊維状柱状構造体は、好ましくは、長さLの複数の繊維状柱状物を備える集合体である。図1に、本発明の好ましい実施形態における把持材料が繊維状柱状構造体を含む場合の一例の概略断面図を示す。
図1において、繊維状柱状構造体10は、基材1と、複数の繊維状柱状物2を備える。繊維状柱状物2の片端2aは、基材1に固定されている。繊維状柱状物2は、長さLの方向に配向している。繊維状柱状物2は、好ましくは、基材1に対して略垂直方向に配向している。ここで、「略垂直方向」とは、基材1の面に対する角度が、好ましくは90°±20°であり、より好ましくは90°±15°であり、さらに好ましくは90°±10°であり、特に好ましくは90°±5°である。なお、本図示例とは異なり、繊維状柱状構造体10は複数の繊維状柱状物2のみからなる集合体であっても良い。すなわち、繊維状柱状構造体10は基材1を備えていなくても良い。この場合、複数の繊維状柱状物2は、互いに、例えば、ファンデルワールス力によって集合体として存在し得る。
上記長さLは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは100μm以上であり、さらに好ましくは200μm以上であり、さらに好ましくは300μm以上であり、さらに好ましくは400μm以上であり、特に好ましくは500μm以上であり、最も好ましくは600μm以上である。上記長さLの上限値は、好ましくは2000μm以下であり、より好ましくは1500μm以下であり、さらに好ましくは1000μm以下であり、特に好ましくは900μm以下である。上記長さLを上記範囲内に調整することにより、本発明の把持材料は、宇宙空間において、より優れた把持力を発現し得るとともに、被着体に対してより適度に十分な接着力を発現でき、さらに、被着体から剥離する際により適度な剥離力を発現し得るのでより良好な剥離が可能となる。上記長さLの測定方法については後述する。
上記繊維状柱状物の直径は、好ましくは0.2nm〜1000nmであり、より好ましくは0.5nm〜500nmであり、さらに好ましくは1.0nm〜100nmであり、特に好ましくは2nm〜50nmであり、最も好ましくは2nm〜20nmである。上記繊維状柱状物の直径を上記範囲内に調整することにより、本発明の把持材料は、宇宙空間において、より優れた把持力を発現し得るとともに、被着体に対してより適度に十分な接着力を発現でき、さらに、被着体から剥離する際により適度な剥離力を発現し得るのでより良好な剥離が可能となる。上記直径の測定方法については後述する。
上記繊維状柱状物の材料としては、任意の適切な材料を採用し得る。例えば、アルミ、鉄などの金属;シリコンなどの無機材料;カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどのカーボン材料;エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどの高モジュラスの樹脂;などが挙げられる。樹脂の具体例としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドなどが挙げられる。樹脂の分子量などの諸物性は、本発明の目的を達成しうる範囲において、任意の適切な物性を採用し得る。
上記基材としては、目的に応じて、任意の適切な基材を採用し得る。例えば、石英ガラス、シリコン(シリコンウェハなど)、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。エンジニアリングプラスチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチックの具体例としては、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミドなどが挙げられる。これらの基材の分子量などの諸物性は、本発明の目的を達成し得る範囲において、任意の適切な物性を採用し得る。
上記基材の厚みは、目的に応じて、任意の適切な値に設定され得る。
上記基材の表面は、隣接する層との密着性,保持性などを高めるために、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理などの化学的または物理的処理、下塗剤(例えば、上記粘着性物質)によるコーティング処理が施されていてもよい。
上記基材は単層であっても良いし、多層体であっても良い。
本発明においては、上記繊維状柱状構造体は、好ましくは、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である。この場合、上記繊維状柱状物は、好ましくは、カーボンナノチューブである。
本発明の把持材料は、上記カーボンナノチューブ集合体のみからなっていても良いし、上記カーボンナノチューブ集合体と任意の適切な部材からなっていても良い。
本発明の把持材料が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体を含み、上記基材をも含む場合は、該カーボンナノチューブの片端が該基材に固定されていても良い。
本発明の把持材料が複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体を含む場合であって、基材を含む場合、該カーボンナノチューブを基材に固定する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、カーボンナノチューブ集合体の製造に使用した基板を基材としてそのまま用いてもよい。また、基材に接着層を設けてカーボンナノチューブに固定してもよい。さらに、基材が熱硬化性樹脂の場合は、反応前の状態で薄膜を作製し、カーボンナノチューブの一端を薄膜層に圧着させた後、硬化処理を行って固定すれば良い。また、基材が熱可塑性樹脂や金属などの場合は、溶融した状態で繊維状柱状構造体の一端を圧着させた後、室温まで冷却して固定すれば良い。
≪カーボンナノチューブ集合体≫
本発明の把持材料が含み得るカーボンナノチューブ集合体の好ましい実施形態としては、下記に示すような第1の好ましい実施形態および第2の好ましい実施形態が挙げられる。
<第1の好ましい実施形態>
本発明の把持材料が含み得るカーボンナノチューブ集合体の好ましい実施形態の1つ(以下、第1の好ましい実施形態と称することがある)は、複数のカーボンナノチューブを備え、該カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が10層以上であり、該層数分布の最頻値の相対頻度が25%以下であり、該カーボンナノチューブの長さが10μmより大きい。このようなカーボンナノチューブ集合体を採用することにより、より優れた把持力を発現でき、被着体に対してより適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより適度な剥離力を発現してより良好な剥離を可能とし、化学物質による被把持箇所の汚染の心配がなく、耐環境性に優れた、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記カーボンナノチューブの層数分布の分布幅は10層以上であり、好ましくは10層〜30層であり、より好ましくは10層〜25層であり、さらに好ましくは10層〜20層である。上記カーボンナノチューブの層数分布の分布幅を上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記カーボンナノチューブの層数分布の「分布幅」とは、カーボンナノチューブの層数の最大層数と最小層数との差をいう。
本発明において、カーボンナノチューブの層数、層数分布は、任意の適切な装置によって測定すれば良い。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)によって測定される。例えば、カーボンナノチューブ集合体から少なくとも10本、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブを取り出してSEMあるいはTEMによって測定し、層数および層数分布を評価すれば良い。
上記カーボンナノチューブの層数の最大層数は、好ましくは5層〜30層であり、より好ましくは10層〜30層であり、さらに好ましくは15層〜30層であり、特に好ましくは15層〜25層である。上記カーボンナノチューブの層数の最大層数を上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記カーボンナノチューブの層数の最小層数は、好ましくは1層〜10層であり、より好ましくは1層〜5層である。上記カーボンナノチューブの層数の最小層数を上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記層数分布の最頻値の相対頻度は、25%以下であり、好ましくは1%〜25%であり、より好ましくは5%〜25%であり、さらに好ましくは10%〜25%であり、特に好ましくは15%〜25%である。上記層数分布の最頻値の相対頻度を上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記層数分布の最頻値は、好ましくは層数2層から層数10層に存在し、さらに好ましくは層数3層から層数10層に存在する。上記層数分布の最頻値を上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記カーボンナノチューブの形状としては、その横断面が任意の適切な形状を有していれば良い。例えば、その横断面が、略円形、楕円形、n角形(nは3以上の整数)等が挙げられる。
上記カーボンナノチューブの長さは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは100μm以上であり、さらに好ましくは200μm以上であり、特に好ましくは300μm以上であり、最も好ましくは400μm以上である。上記カーボンナノチューブの長さの上限値は、好ましくは2000μm以下であり、より好ましくは1500μm以下であり、さらに好ましくは1000μm以下であり、特に好ましくは500μm以下である。上記カーボンナノチューブの長さを上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記カーボンナノチューブの比表面積、密度は、任意の適切な値に設定され得る。
<第2の好ましい実施形態>
本発明の把持材料が含み得るカーボンナノチューブ集合体の好ましい実施形態の別の1つ(以下、第2の好ましい実施形態と称することがある)は、複数のカーボンナノチューブを備え、該カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の最頻値が層数10層以下に存在し、該最頻値の相対頻度が30%以上である。このようなカーボンナノチューブ集合体を採用することにより、より優れた把持力を発現でき、被着体に対してより適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより適度な剥離力を発現してより良好な剥離を可能とし、化学物質による被把持箇所の汚染の心配がなく、耐環境性に優れた、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記カーボンナノチューブの層数分布の分布幅は、好ましくは9層以下であり、より好ましくは1層〜9層であり、さらに好ましくは2層〜8層であり、特に好ましくは3層〜8層である。上記カーボンナノチューブの層数分布の分布幅を上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記カーボンナノチューブの層数分布の「分布幅」とは、カーボンナノチューブの層数の最大層数と最小層数との差をいう。
本発明において、カーボンナノチューブの層数、層数分布は、任意の適切な装置によって測定すれば良い。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)によって測定される。例えば、カーボンナノチューブ集合体から少なくとも10本、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブを取り出してSEMあるいはTEMによって測定し、層数および層数分布を評価すれば良い。
上記カーボンナノチューブの層数の最大層数は、好ましくは1層〜20層であり、より好ましくは2層〜15層であり、さらに好ましくは3層〜10層である。上記カーボンナノチューブの層数の最大層数を上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記カーボンナノチューブの層数の最小層数は、好ましくは1層〜10層であり、より好ましくは1層〜5層である。上記カーボンナノチューブの層数の最小層数を上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記層数分布の最頻値の相対頻度は、30%以上であり、好ましくは30%〜100%であり、より好ましくは30%〜90%であり、さらに好ましくは30%〜80%であり、特に好ましくは30%〜70%である。上記層数分布の最頻値の相対頻度を上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記層数分布の最頻値は、層数10層以下に存在し、好ましくは層数1層から層数10層に存在し、より好ましくは層数2層から層数8層に存在し、さらに好ましくは層数2層から層数6層に存在する。上記層数分布の最頻値を上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記カーボンナノチューブの形状としては、その横断面が任意の適切な形状を有していれば良い。例えば、その横断面が、略円形、楕円形、n角形(nは3以上の整数)等が挙げられる。
上記カーボンナノチューブの長さは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは100μm以上であり、さらに好ましくは200μm以上であり、さらに好ましくは300μm以上であり、さらに好ましくは400μm以上であり、特に好ましくは500μm以上であり、最も好ましくは600μm以上である。上記カーボンナノチューブの長さの上限値は、好ましくは2000μm以下であり、より好ましくは1500μm以下であり、さらに好ましくは1000μm以下である。上記カーボンナノチューブの長さを上記範囲内に調整することにより、より一層優れた把持力を発現でき、被着体に対してより一層適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際にはより一層適度な剥離力を発現してより一層良好な剥離が可能な、宇宙空間で用いる把持材料を提供することができる。
上記カーボンナノチューブの比表面積、密度は、任意の適切な値に設定され得る。
〔カーボンナノチューブ集合体の製造方法〕
カーボンナノチューブ集合体の製造方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。
カーボンナノチューブ集合体の製造方法としては、例えば、平滑な基板の上に触媒層を構成し、熱、プラズマなどにより触媒を活性化させた状態で炭素源を充填し、カーボンナノチューブを成長させる、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD法)によって、基板からほぼ垂直に配向したカーボンナノチューブ集合体を製造する方法が挙げられる。この場合、基板を取り除けば、長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体が得られる。
上記基板としては、任意の適切な基板を採用し得る。例えば、平滑性を有し、カーボンナノチューブの製造に耐え得る高温耐熱性を有する材料が挙げられる。このような材料としては、例えば、石英ガラス、シリコン(シリコンウェハなど)、アルミニウムなどの金属板などが挙げられる。上記基板は、そのまま、本発明のカーボンナノチューブ集合体が備え得る基材として用いることができる。
カーボンナノチューブ集合体を製造するための装置としては、任意の適切な装置を採用し得る。例えば、熱CVD装置としては、図2に示すような、筒型の反応容器を抵抗加熱式の電気管状炉で囲んで構成されたホットウォール型などが挙げられる。その場合、反応容器としては、例えば、耐熱性の石英管などが好ましく用いられる。
カーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る触媒(触媒層の材料)としては、任意の適切な触媒を用い得る。例えば、鉄、コバルト、ニッケル、金、白金、銀、銅などの金属触媒が挙げられる。
カーボンナノチューブ集合体を製造する際、必要に応じて、基板と触媒層の中間にアルミナ/親水性膜を設けても良い。
アルミナ/親水性膜の作製方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、基板の上にSiO膜を作製し、Alを蒸着後、450℃まで昇温して酸化させることにより得られる。このような作製方法によれば、Alが親水性のSiO膜と相互作用し、Alを直接蒸着したものよりも粒子径の異なるAl面が形成される。基板の上に、親水性膜を作製することを行わずに、Alを蒸着後に450℃まで昇温して酸化させても、粒子径の異なるAl面が形成され難いおそれがある。また、基板の上に、親水性膜を作製し、Alを直接蒸着しても、粒子径の異なるAl面が形成され難いおそれがある。
カーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る触媒層の厚みは、微粒子を形成させるため、好ましくは0.01nm〜20nmであり、より好ましくは0.1nm〜10nmである。本発明のカーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る触媒層の厚みが上記範囲内にあることによって、該カーボンナノチューブ集合体は優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブ集合体は優れた粘着特性を示し得る。触媒層の形成方法は、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、金属触媒をEB(電子ビーム)、スパッタなどにより蒸着する方法、金属触媒微粒子の懸濁液を基板上に塗布する方法などが挙げられる。
カーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る炭素源としては、任意の適切な炭素源を用い得る。例えば、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンなどの炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;などが挙げられる。
カーボンナノチューブ集合体の製造における製造温度としては、任意の適切な温度を採用し得る。たとえば、本発明の効果を十分に発現し得る触媒粒子を形成させるため、好ましくは400℃〜1000℃であり、より好ましくは500℃〜900℃であり、さらに好ましくは600℃〜800℃である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各種評価や測定は、以下の方法により行った。
<繊維状柱状物の長さ・直径の測定>
繊維状柱状物の長さ・直径の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)および/または透過電子顕微鏡(TEM)によって測定した。
<カーボンナノチューブ集合体におけるカーボンナノチューブの層数・層数分布の評価>
カーボンナノチューブ集合体におけるカーボンナノチューブの層数および層数分布は、走査型電子顕微鏡(SEM)および/または透過電子顕微鏡(TEM)によって測定した。得られたカーボンナノチューブ集合体の中から少なくとも10本以上、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブをSEMおよび/またはTEMにより観察し、各カーボンナノチューブの層数を調べ、層数分布を作成した。
<ポリスチレン表面に対する静摩擦係数の測定>
被着体としてのポリスチレンに300mm角の試験片を載せ、その上に200gの重りを載せ、速度100m/minで引張った時の静摩擦係数を測定した。
<ポリスチレン表面に対する垂直接着力の測定>
被着体としてのポリスチレンに10mm角の試験片を5kgの重りで圧着し、速度50mm/minで引張り、剥離時の応力を測定した。
<ポリスチレン表面に対する180°ピールの測定>
被着体としてのポリスチレンに20mm幅の試験片を5kgの重りで圧着し、30分放置した後、剥離角度180°、速度300mm/minで引張り、剥離時の応力を測定した。
[実施例1]
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み20nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み1nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、5分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(1)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(1)が備えるカーボンナノチューブの長さは150μm、直径(平均)は4.8nmであった。
カーボンナノチューブ集合体(1)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(1)からなる把持材料(1)について各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例2]
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み20nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み1nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、15分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(2)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(2)が備えるカーボンナノチューブの長さは300μm、直径(平均)は4.8nmであった。
カーボンナノチューブ集合体(2)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(2)からなる把持材料(2)について各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例3]
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み20nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み1nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、30分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(3)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(3)が備えるカーボンナノチューブの長さは700μm、直径(平均)は4.8nmであった。
カーボンナノチューブ集合体(3)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(3)からなる把持材料(3)について各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例4]
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み20nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、5分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(4)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(4)が備えるカーボンナノチューブの長さは150μm、直径(平均)は7.5nmであった。
カーボンナノチューブ集合体(4)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は3層に存在し、相対頻度は72%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(4)からなる把持材料(4)について各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例5]
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み20nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、15分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(5)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(5)が備えるカーボンナノチューブの長さは300μm、直径(平均)は7.5nmであった。
カーボンナノチューブ集合体(5)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は3層に存在し、相対頻度は72%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(5)からなる把持材料(5)について各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例6]
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み20nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、30分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(6)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(6)が備えるカーボンナノチューブの長さは700μm、直径(平均)は7.5nmであった。
カーボンナノチューブ集合体(6)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は3層に存在し、相対頻度は72%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(6)からなる把持材料(6)について各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例7]
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜を形成した。このAl膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、3分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(7)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(7)が備えるカーボンナノチューブの長さは80μm、直径(平均)は14.9nmであった。
カーボンナノチューブ集合体(7)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(7)からなる把持材料(7)について各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例8]
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜を形成した。このAl膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、10分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(8)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(8)が備えるカーボンナノチューブの長さは200μm、直径(平均)は14.9nmであった。
カーボンナノチューブ集合体(8)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(8)からなる把持材料(8)について各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[実施例9]
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜を形成した。このAl膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、20分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(9)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(9)が備えるカーボンナノチューブの長さは420μm、直径は14.9nmであった。
カーボンナノチューブ集合体(9)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%であった。
得られたカーボンナノチューブ集合体(9)からなる把持材料(9)について各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[比較例1]
シリコンラバー(ダウコーニング、HS−11)を厚み500μmに成形したものを把持材料として使用し、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
[比較例2]
粘着テープ(日東電工製、E−MASK RP207)(厚み59μm)を把持材料として使用し、各種評価を行い、結果を表1にまとめた。
Figure 2014098107
本発明の把持材料は、宇宙空間で用いる把持材料である。本発明の把持材料は、十分な静摩擦係数を有することによって優れた把持力を発現でき、被着体に対して適度に十分な接着力を発現できるとともに、被着体から剥離する際には適度な剥離力を発現して良好な剥離を可能とし、化学物質による被把持箇所の汚染の心配がなく、耐環境性に優れているので、宇宙空間での用途に非常に適しており、好ましくは、宇宙ロボットの把持機構に用いることができる。本発明の把持材料は、上記のような優れた特性を兼ね備えているので、例えば、平板状構造物の把持などに特に好適である。
10 繊維状柱状構造体
1 基材
2 繊維状柱状物
2a 繊維状柱状物の片端

Claims (4)

  1. 宇宙空間で用いる把持材料であって、
    ポリスチレン表面に対する静摩擦係数が0.7以上であり、
    ポリスチレン表面に対する垂直接着力が2.0N/cm以上であり、
    ポリスチレン表面に対する180°ピールが0.25N/20mm以下である、
    把持材料。
  2. 繊維状柱状構造体を含む、請求項1に記載の把持材料。
  3. 前記繊維状柱状構造体が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である、請求項2に記載の把持材料。
  4. 宇宙ロボットの把持機構に用いる把持材料である、請求項1から3までのいずれかに記載の把持材料。



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