JP2013158698A - 消臭機能付きシート - Google Patents

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Abstract

【課題】
低照度の可視光照射下あるいは光がない環境においても、固体酸の効果と光触媒の消臭、抗菌、抗ウイルス効果によって、高い消臭性能を持つを有するおねしょシートを提供する。
【解決手段】
本態様にかかる消臭性能を有するシートは酸化タングステン微粒子および酸化タングステン複合材微粒子から選ばれる少なくとも1種の微粒子を具備する。微粒子は、1nm〜10μmの平均一次粒径であり、これら粉体はアンモニアの消臭試験、アセトアルデヒドガスの分解試験において、高い消臭、分解性能を有するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は消臭機能付きシートに関する。
近年、高齢化社会となり、高齢者介護施設、グループホームなど高齢者が集団で生活を送る施設が増加している。これら施設の部屋は、介護を行うための機能性の充実と居住空間としての安らぎや快適性という相反する2つの側面が求められる。そのなかで、臭いの問題は、年齢を重ねることで発生する臭い(いわゆる加齢臭)や入居者が失禁することで尿臭が発生し、部屋中あるいは施設全体が臭いに包まれてしまう場合がある。このような観点から、臭い対策の需要は高まる一方であり、消臭製品が増加する一方である。しかしながら、マスキング効果による一過性の消臭効果となっており、根本的な対策は開発が進められている段階である。特に失禁に対する対策は大人用オムツをはかせることが最大の対策であり、入居者本人がそれを望まない場合はベッドへの尿の染み込みを防止する防水シートを敷く程度の対策であり、ニオイの根本的な対策にはなっていない現状がある。
固体酸は、固体であるにもかかわらず酸性を示す物質であり、一般の酸のように塩基性指示薬を変色させたり、塩基を吸着する性質を持つ。例えば、酸性白土のように天然に産する粘土鉱物、ゼオライト、酸化アルミニウム、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン等が挙げられる。
また、光触媒は、光を照射することにより有機物を分解する機能を有し、抗菌・抗ウイルス性といった効果が期待されている材料であり、酸化チタン光触媒が一部実用化されている。ただし、酸化チタンからなる光触媒は紫外線でしか励起されないため、紫外線が少ない屋内環境では十分な性能が得られない。その対策として、可視光でも性能を発揮する白金化合物を担持した酸化チタン、窒素や硫黄をドープした酸化チタン等の可視光応答型光触媒が開発されている。しかし、酸化チタンをベースにした可視光応答型光触媒は励起波長の範囲が狭く、一般的な屋内照明のように低い照度の下では十分な性能が得られていない。
こういったおねしょシートは人が触れたり、存在する環境、特に医療施設や介護施設などにおいて用いられる製品であり、屋内においてその性能を十分発揮するものが最も好ましい。おねしょには、水分、アンモニアのほかに様々な成分が含まれている。また、高齢者になった場合、様々な医薬品を摂取する可能性が高く、尿の中にその残留物が含まれる可能性がある。これらも臭いの原因となる。このため、単純に尿中に含まれるアンモニアの臭いを低減させるだけではなく、尿に含まれる様々な臭い成分を低減させる必要がある。しかしながら現在使用されているおねしょシートは主に防水シートの役割のみであり、ベッド本体あるいはベッドマットに対して、尿が染み込まないために使用されている。このため、失禁してしまった場合、本人は尿に濡れたままになり、また臭いも周囲に拡散してしまうという問題がある。
固体酸は、アンモニアのような塩基性物質を酸性の作用で中和することができる。このため、尿に含まれているアンモニアを中和することが考えられる。また、その中でも酸化タングステンはバンドギャップが酸化チタンに比べて狭いため、可視光で光触媒作用を得ることが可能な材料として注目されている。しかしながら、光触媒機能には即効性がなく、効果が出るのに時間がかかるという問題がある。
上述したように、従来の防水シートでは、介護者の機能性を追及し、掃除がしやすい、ベッドが汚れないことを優先しており、これまで臭いの問題を解決できるような実用的なものは得られていない。その消臭効果を有する材料を用いたおねしょシートの開発が期待されている。
特開平3−210269 特開平6−319790
上記のように、従来のおねしょシートでは、消臭機能を有する製品は得られておらず、特に様々な臭いに対する消臭機能を持つものは得られていない。
本発明の目的は、上記問題を解決し、様々な臭いに対して、消臭機能を持つ実用的なシートを提供することにある。
本発明の態様に係る消臭機能を有するシートは、固体で酸性を示す固体酸粒子である酸化タングステン微粒子および酸化タングステン複合材微粒子から選ばれる少なくとも1種類の粒子を具備するシートであり、塩基性の物質、例えばアンモニアの消臭に有効であることを特徴としている。また、前記微粒子の固着量が0.1g/m以上50g/m以下の範囲であることを特徴としている。さらに、前記微粒子の平均一次粒子径(D50)が1nm以上10μm以下の範囲であることを特徴としている。また、前記一次粒子の一次粒子径のうち、40nm以下の大きさである粒子が15質量%以上含まれている、または/および、100nm以上の大きさである粒子が15質量%以上含まれていることを特徴としている。これら酸化タングステン微粒子および酸化タングステン複合材微粒子から選ばれる少なくとも1種の微粒子は光触媒材料でもあり、JIS−R−1701−1(2004)の窒素酸化物の除去性能(分解能力)評価に準じる流通式装置に0.2gの試料を入れた状態で、初期濃度10ppmのアセトアルデヒドガスを140mL/minで流して測定したガス濃度において、光照射前のガス濃度をA、光照射から15分以上経過し、かつ安定したときのガス濃度をBとし、前記ガス濃度Aと前記ガス濃度Bから[式:(A−B)/A×100]に基づいて算出した値をガス分解率(%)としたとき、白色蛍光灯を使用し、紫外線カットフィルを用い、波長が380nm以上のみの光で照度が6000lxの可視光を照射した際の前記ガス分解率が10%以上の性能を有する粉末を具備することを特徴とする消臭機能を有するシート。
本発明によれば、固体酸の効果によって、尿中に含まれるアンモニアに代表される臭いを持つ塩基性物質は、酸と塩基の反応によって中和されるため、臭いを低減することができる。また、酸化タングステン微粒子、酸化タングステン複合材微粒子を用いた場合、その粒径や結晶構造等が適切に制御されているため、光触媒機能も有し、太陽光下はもちろんのこと、一般的な屋内環境のような可視光照射下において、前記酸化タングステン系微粒子を使用することにより、尿中に含まれる塩基性物質以外の臭い成分の分解による消臭効果に加え、抗菌、抗ウイルス性を有するおねしょシートを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明の実施形態による消臭機能を有するシートは、固体でも酸性を示す物質である固体酸である酸化タングステン微粒子および酸化タングステン複合材微粒子から選ばれる少なくとも1種類の微粒子(酸化タングステン系粒子と記す)を具備する。消臭機能を有する基材には、0.1〜50g/mの量の酸化タングステン系微粒子を固着させることである。好ましくは、1〜30g/m、より好ましくは5〜20g/mの範囲である。0.1g/mよりも少ないとアンモニアなどに溶解するなどして、実効的な消臭効果を十分に得ることができない恐れがある。50g/m以上になると粉体の基材への固定が十分できず、使用時に粉体が落下する恐れがある。これでも構わないという用途であれば制限するものではない。
固体酸として、塩基性物質を消臭する微粒子の性能は、比表面積が比較的大きく、粒径は比較的小さいほうが高くなる。酸化タングステン系微粒子の平均一次粒径(D50)が1nm以上10μmの範囲であることを特徴としている。好ましくは、10nm以上5μm以下、より好ましくは20nm以上1μm以下の範囲である。
また、酸化タングステン系微粒子のBET比表面積は、0.08m/g以上820m/g以下の範囲であることを特徴とする。好ましくは、0.16m/g以上82m/g以下、より好ましくは0.82m/g以上41m/gの範囲である。
一次粒子径が10μmを超える場合やBET比表面積が0.08m/g未満の場合は、粒径が大きすぎ、均一な反応が得られず十分な消臭性能が得られない可能性がある。一方、酸化タングステン微粒子の平均一次粒径が1nm未満の場合やBET比表面積が820m/gを超える場合には、粒子が小さくなりすぎて、塩基性物質との反応の際に反応点が多すぎ、粒子がすぐにイオン化してしまい、中和による消臭効果が消失しやすいことと、取扱い性(粉末としての取扱い性)が劣るため、実用性が低下する。
ガス分解性能を有する微粒子の性能は、比表面積が大きく、粒径が小さい方が高くなる。酸化タングステン系微粒子の平均一次粒子径は1〜200nmの範囲であることが好ましい。また、酸化タングステン系微粒子のBET比表面積は、4.1〜820m/gの範囲であることが好ましい。前記微粒子の平均一次粒子径が200nmを超える場合やBET比表面積が4.1m/g未満の場合には、均一で安定な膜の形成が困難となり、十分な光触媒によるガス分解性能が得られないおそれがある。一方、前記微粒子の平均一次粒子径が1nm未満の場合やBET比表面積が820m/gを超える場合には、粒子が小さくなりすぎて取扱い性(粉末としての取扱い性)が劣るため、光触媒としてのガス分解性能を有する材料(微粒子)としての実用性が低下する。酸化タングステン系微粒子の平均一次粒子径は2〜100nmの範囲であることがより好ましく、BET比表面積は8.2〜410m/gの範囲であることがより好ましい。さらに好ましくは、前記微粒子の平均一次粒子径が5.5〜40nmの範囲である、あるいは、BET比表面積が20〜150m/gの範囲である。
平均一次粒子径はSEMやTEM等の写真の画像解析から、n=50個以上の粒子の体積基準の積算径における平均一次粒子径(D50)に基づいて求めるものとする。平均一次粒子径(D50)は比表面積から換算した平均一次粒子径と一致していてもよい。
このように、消臭機能を有するシートに用いられる酸化タングステン系微粒子は、固体酸としてアンモニアのような塩基性物質を水との共存によって中和し、消臭すると共に、可視光の照射によりガス分解性能、抗菌性を発揮するものである。従って、そのような酸化タングステン系微粒子を具備する消臭機能を有するシートは、屋内、特に照度が低い室内環境で使用した場合はもちろん光のない環境においても、実用的な消臭性能を発揮することができる。
酸化タングステン系微粒子は、固体酸として以下のように働く。例えば、塩基性物質としてアンモニアを仮定した場合、アンモニアはタングステン酸アンモニウムとなり、塩の状態で存在することになる。このため、アンモニア特有の臭いを発することはなくなる。また、この際、酸化タングステン系微粒子も水中に溶解しながら、消臭することとなる。このため、ある程度の量と粒径のコントロールが必要であり、そうでないと実用的でなくなってしまう。
光触媒としての機能を発揮するための酸化タングステン系微粒子の一次粒子経は、40nm以下の大きさである粒子が15質量%以上含まれていることが好ましい。さらに、30質量%以上含まれていることがより好ましい。より小さな粒子が存在することで比表面積が増加し、塩基性物質以外のガス(臭い成分)との接触確率が上がり、効果的である。より好ましくは、均一な細かい微粒子であることであるが、大きめの粒子を含んでいても細かい微粒子を多く含むことにより、効果を発揮することができる。
固体酸として機能を長期間発揮するための酸化タングステン系微粒子の一次粒径は100nm以上の大きさである微粒子が15質量%以上含まれていることが好ましい。さらに、30質量%以上含まれていることがより好ましい。大きな粒子が存在することで、塩基性物質との接触による溶解での粒子のイオン化が抑制され、効果的である。
光触媒としての機能と固体酸としての機能をそれぞれ長期間発揮するためには、酸化タングステン系微粒子の一次粒子径のうち40nm以下の大きさである粒子が15質量%以上含まれ、かつ、100nm以上の大きさの粒子が15質量%以上含まれることが好ましい。
消臭性能を有するシート上の微粒子は、凝集体を形成する場合が多く、その凝集体の平均粒径(D50)が0.05μm以上100μm以下の範囲であること好ましい。凝集体の平均粒径が0.05μm未満であると基材に埋もれたりして、消臭効果が不充分になる恐れがある。一方、凝集体が100μmを超える場合、基材から粒子が脱落したり、光が透過しにくくなることにより、光触媒としての分解反応が起こりにくくなるため、凝集体の平均粒径(D50)は0.05μm以上100μm範囲であることがより好ましい。凝集体の平均粒径は、SEM等の写真の画像解析から、n=50個以上の粒子の体積基準の積算径における平均一次粒子径(D50)に基づいて求めるものとする。
シートへ固着させる酸化タングステン系微粒子の光触媒性能については、以下の方法で評価する。
5cm×10cmのガラス試験片に上記粒子を0.2g付着させて、JIS−R−1701−1(2004)の窒素酸化物の除去性能(分解能力)評価に準じる流通式装置に試料を入れた状態で、初期濃度10ppmのアセトアルデヒドガスを140mL/minで流して測定したガス濃度において、光照射前のガス濃度をA、光照射から15分以上経過し、かつ安定したときのガス濃度をBとし、前記ガス濃度Aと前記ガス濃度Bから[式:(A−B)/A×100]に基づいて算出した値をガス分解率(%)としたとき、白色蛍光灯を使用し、紫外線カットフィルを用い、波長が380nm以上のみの光で照度が6000lxあるいは1000lxの可視光を照射した際の前記ガス分解率を評価する。
消臭シートにおいて、酸化タングステン系微粒子の6000lxの光照射の時のガス分解率が10%以上の性能を有している粒子を具備することを特徴とする。さらに、より高い消臭効果を発揮させるためには、1000lxの光照射のときのガス分解率が2%以上の性能を有している微粒子を具備することが好ましい。
このようなガス分解性能を有する粒子を具備したシートは、臭気成分である塩基性物質、例えばアンモニアと水分と反応して、タングステン酸アンモニウムとなり、無臭化することができる。また、アセトアルデヒド、硫化水素、メチルメルカプタンから選ばれる少なくとも1種類の臭い成分に対して、良好なガス分解性能を有するものである。酸化タングステン微粒子のガス分解性能は、屋外、屋内に関わらず発揮され、さらに比較的低照度日常の室内環境においても発揮されるものである。
またこれら微粒子は光触媒としての機能を有し、臭い成分、細菌類、ウイルス類を分解することができる。
ここで、一般に可視光とは波長が380nm〜830nmの領域の光を指すものである。可視光照射下における性能を評価するために、この実施形態の評価では波長が380nm以上のみの可視光を用いるものとする。具体的には、光源としてJIS−Z−9112で規定されている白色蛍光灯を使用し、波長が380nm未満の光をカットする紫外線カットフィルタを用いて、波長が380nm以上のみの可視光を照射して評価を行うことが好ましい。白色蛍光灯としては、例えば東芝ライテック社製FL20SS・W/18もしくはそれと同等品が用いられる。紫外線カットフィルタとしては、例えば日東樹脂工業社製クラレックスN−169(商品名)もしくはそれと同等品が用いられる。
酸化タングステン系微粒子のガス分解性能を評価するにあたって、微粒子(粉末)をそのままガラス板の上に水等で塗り広げて試料を作製しても良いが、以下の分散処理などを行って評価するほうがより好ましい。
まず微粒子を水等の分散媒と混合し、超音波分散機、湿式ジェットミル、ビーズミル等により分散処理を行って分散液を作製する。得られた分散液をガラス板等の試験片に、滴下、スピンコート、ディップ、スプレー等の一般的な方法で塗布して試料を作製する。このような試料を用いてガス分解性能を評価する。酸化タングステン系微粒子が光触媒性能を有する場合、試験片の表面に塗布した状態で光触媒性能を発揮させるために、分散処理で粉末に歪を与えすぎないような条件を設定することが好ましい。
消臭機能を有するシートは、酸化タングステン系微粒子をシート基材に具備したものであり、基材に具備させる方法は、塗布、練り込み、含浸、基材の成形工程で微粒子を含有する表面層を形成する方法等、既知の方法で製造される。微粒子を基材に塗布する方法としては、微粒子のガス分解性能評価試験と同様に、粉末と分散媒と必要に応じて分散剤との混合物に分散処理を行って作製した分散液を用いる方法が挙げられる。固着粒子の均一性が要求される場合には、塗布法としてスピンコート、ディップ、スプレー、グラビア印刷等の方法を適用することが好ましい。
この実施形態の消臭性能を有するシートは、様々な基材のシートに適用できる。この実施形態の消臭性能を有するシートの基材には、天然繊維、合繊繊維、これらの混合繊維などの不織布または織布、紙、発泡性樹脂生地等に各種素材を適用することができる。
天然繊維としては、綿、麻、パルプ等のセルロース系繊維あるいは植物繊維、毛、絹などの動物繊維のいずれでも良いが、綿が好適である。
また、合繊繊維としては、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアクリロニトリル系、ポリウレタン系繊維等が上げられるが、ポリオレフィン系、ポリエス
テル系繊維が好適である。中でもポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレン
テレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維が好ましい。
また、レーヨン、アセテート等の再生、半合成繊維などを使用できるが、レーヨンも好適である。
また、基材の形態は、織物でも不織布でも良い。不織布の場合の製法は、スパンポンド法、メルトブロー法、ポイントボイド法、乾式又は湿式法など任意に選定できる。
消臭性能を有するシートは酸化タングステン系微粒子を用いた消臭性能を有する材料以外に、無機バインダ等を含有していてもよい。無機バインダとしてはSi、Ti、Al、WおよびZrから選ばれる少なくとも1種の元素のアモルファス酸化物が挙げられる。アモルファス酸化物からなる無機バインダは、例えば酸化タングステン系微粒子を用いた塗料中にコロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル等として添加することにより用いられる。無機バインダの含有量は5〜95質量%の範囲とすることが好ましい。消臭性能を有する表面層において、無機バインダの含有量が95質量%を超えると、所望の消臭性能を得ることができないおそれがある。無機バインダの含有量が5質量%未満の場合には十分な結合力が得られない。また、固体酸や光触媒としての機能を低下させない範囲で有機物を用いたバインダーを用いてもよい。
この実施形態の消臭性能を有するシートの形態は、基材に消臭性能を有する酸化タングステン系微粒子を付着もしくは含浸させた形態、消臭性能を有する酸化タングステン系微粒子を含有する分散液や塗料を基材に塗布する形態等が挙げられる。消臭性能を有する酸化タングステン系微粒子は活性炭やゼオライト等の吸着性能を有する材料と混合、担持、含浸等の処理を行って使用してもよい。消臭性能を有するシートは、塩基性物質、例えばアンモニアが発する臭いを即時に消臭すると共に、光の存在下で光触媒機能により塩基性物質以外のガス(臭い)成分の分解、消臭を目的として使用されるものである。しかしながら、これらの臭い成分以外の抗菌、抗ウイルスを目的として使用することも可能である。
このようなシートの消臭性能を評価する場合には、当該シートから切り出した試験片を用いて評価試験を実施する。
これまでのシートは撥水性を持たせるだけ、あるいは特定の臭いのみを吸着するだけといったものであり、臭いに関する十分な消臭性能は得られていなかった。これに対して、この実施形態のシートは、固体酸としての機能と光触媒としての機能を併せ持つため、消臭機能をしては非常に高いものを発揮することができる。
消臭性能を持つシートにおける塩基性物質であるアンモニアの消臭性能評価は以下の方法で行うことが出来る。
酸化タングステン系微粒子を所定量固着させたシートを5cm×5cmに切り出し、このシートにアンモニア3%溶液(尿に含まれるアンモニア濃度の約10倍)を0.1cc(NH:1.9×10−4mol)滴下し、直後のニオイを人間の官能試験により臭気強度で判定する。臭気強度の判定方法は、周囲には同様のニオイが発生しない場所で、アンモニア滴下後20秒以内に臭いを嗅ぎ、臭気強度を0〜5の間で、0.5刻みで判定する。判定者は6名以上とし、判定者中の最大と最小を除き、残りを平均する。平均した数値の小数点以下が0.25〜0.75の場合は0.5、0〜0.25、0.75〜1の場合は整数とする。このときに臭気強度が0〜1になるような性能を持つことが好ましい。さらに0〜0.5になることがより好ましい。本実施形態のシートは、臭気強度が0〜1、あるいは、0〜0.5という高い性能を有する。
また、シートとしてのガス分解性能は、微粒子の評価同様の装置を用いて評価することもできる。JIS−R−1701−1(2004)の窒素酸化物の除去性能(分解能力)評価に準じる流通式装置に5cm×10cmの任意のシートの試料を入れた状態で、初期濃度10ppmのアセトアルデヒドガスを140mL/minで流して測定したガス濃度において、光照射前のガス濃度をA、光照射から15分以上経過し、かつ安定したときのガス濃度をBとし、前記ガス濃度Aと前記ガス濃度Bから[式:(A−B)/A×100]に基づいて算出した値をガス分解率(%)としたとき、白色蛍光灯を使用し、紫外線カットフィルを用い、波長が380nm以上のみの光で照度が6000lxの可視光を照射した際の前記ガス分解率を評価する。本実施形態のシートは高いガス分解性能を有する。
このような条件を満足する酸化タングステン系微粒子を用いることで、より高い消臭性能を有するシートを実現することができる。このような酸化タングステン系微粒子を用いたシートは、使用される環境の照度に影響を受けることなく、高い消臭性能を発揮することができる。このような酸化タングステン系微粒子を用いたシートは、消臭性能だけでなく、抗菌性、抗ウイルス性も有することができる。
上述したような消臭機能を有するシートは、酸化タングステン系微粒子の粒径(比表面積)や結晶構造等を制御することにより得ることができる。消臭機能を有するシートに用いる微粒子は、酸化タングステンの微粒子に限られるものではなく、酸化タングステン複合材の微粒子であってもよい。酸化タングステン複合材とは、主成分としての酸化タングステンに、遷移金属元素や他の金属元素を含有させたものである。遷移金属元素とは原子番号21〜29、39〜47、57〜79、89〜109の元素である。酸化タングステン複合材はTi、Zr、Mn、Fe、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、AlおよびCeから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましい。Cu、AgおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属元素は有効であり、少量で消臭性能を向上させることができる。
酸化タングステン複合材における遷移金属元素等の金属元素の含有量は0.01〜50質量%の範囲とすることが好ましい。金属元素の含有量が50質量%を超えると、光触媒性能を有するシートとしての特性が低下するおそれがある。金属元素の含有量は10質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは2質量%以下である。金属元素の含有量の下限値は特に限定されるものではないが、金属元素の添加効果をより有効に発現させる上で、その含有量は0.01質量%以上とすることが好ましい。Cu、AgおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属元素の含有量は、酸化タングステン微粒子が有する効果と金属元素の添加効果とを考慮して0.01〜1質量%の範囲とすることが好ましい。
消臭機能を有するシートに用いられる酸化タングステン複合材において、金属元素は各種の形態で存在させることができる。酸化タングステン複合材は、金属元素の単体、金属元素を含む化合物(酸化物を含む化合物)、酸化タングステンとの複合化合物等の形態として、金属元素を含有することができる。酸化タングステン複合材に含有される金属元素は、それ自体が他の元素と化合物を形成していてもよい。金属元素の典型的な形態としては酸化物が挙げられる。金属元素は単体、化合物、複合化合物等の形態で、例えば酸化タングステン粉末と混合される。金属元素は酸化タングステンに担持されていてもよい。
上述したような酸化タングステン系微粒子を用いることによって、通常の環境において、より高い消臭性能を有するシートを得ることが可能となる。
ここで、消臭性能を有するシートに照射する光としては、上記した白色蛍光灯の光のみならず、太陽光、白色LED、電球、ハロゲンランプ、キセノンランプ等の一般照明、青色発光ダイオード、青色レーザ等を光源とする光であってもよい。さらに、消臭性能を有するシートは照度の高い可視光を照射することで、より高い消臭性能を発揮させることが可能となる。
この実施形態の消臭性能を有するシートが消臭性能を発揮するのは、酸化タングステン微粒子の粒径をコントロールすることで、塩基性物質を酸化タングステン粒子の固体酸の機能により中和し、アンモニウム塩化することにより即時消臭を行えることと塩基性物質以外の臭い成分に関しては、酸化タングステン微粒子の光触媒機能を用いるために、比表面積を大きくし、微粒子の粒径を小さくする、あるいはより細かい微粒子を多く含有させることで臭い成分との接触確率が増加し、これにより臭いを分解する活性サイトを増加させることができることに加えて、結晶性の向上により電子や正孔の再結合の確率が低下するためである。
酸化タングステンのバンドギャップは2.5〜2.8eVであり、酸化チタンより小さいために可視光を吸収する。従って、優れた可視光応答性が実現できる。さらに、酸化タングステンの代表的な結晶構造はReO構造であることから、表面最外層に酸素を持つ反応活性が高い結晶面が露出しやすい。このため、水を吸着することにより高い親水性を発揮する。あるいは、吸着した水を酸化することでOHラジカルを生成し、それにより分子や化合物を酸化することができるため、酸化チタンのアナターゼやルチル結晶より優れた光触媒性能を発揮させることが可能となる。
なお、消臭性能を有するシートに用いられる酸化タングステン系微粒子(粉末)は、不純物として金属元素を含有していてもよい。不純物元素としての金属元素の含有量は2質量%以下であることが好ましい。不純物金属元素としては、タングステン鉱石中に一般的に含まれる元素や原料として使用するタングステン化合物等を製造する際に混入する汚染元素等があり、例えばFe、Mo、Mn、Cu、Ti、Al、Ca、Ni、Cr、Mg等が挙げられる。これらの元素を複合材の構成元素として用いる場合には、この限りではない。
本発明の実施形態による消臭性能を有するシートに用いられる酸化タングステン系微粒子(粉末)は以下に示す方法で作製することが好ましいが、これに限定されるものではない。高い光触媒性能を発揮する酸化タングステン微粒子は昇華工程を適用して作製することが好ましい。また、昇華工程に熱処理工程を組合せることも有効である。このような方法で作製した三酸化タングステン系微粒子によれば、上述した平均一次粒子径やBET比表面積、結晶構造を安定して実現することができる。さらに、平均一次粒子径がBET比表面積から換算した値に近似し、粒径ばらつきが小さい微粒子(微粉末)を安定して提供することができる。また、これに熱処理を加えることによって、粒径を熱処理の温度と時間によってコントロールすることができ、所望のサイズの粒径の酸化タングステン微粒子を作成することができる。一方、固体酸としての中和反応を発揮させる酸化タングステン微粒子は、タングステン酸、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウムの溶液あるいは塩等を酸化雰囲気で400〜1000℃、0.5〜10時間の範囲で加熱することにより作製することも出来る。
光触媒機能によるガス(臭い)分解性能を高めるためには、粒径のバラツキが小さく、小さい粒径を多く含むものが好ましく、このような微粒子を得るためには、処理量やエネルギー投入量が適切にコントロールされる必要がある。一般的に微細で均一な粒子を作製する場合、粒子生成や熱処理等の処理量を少なくする方が良い。しかし、工業的には、生産性も考慮する必要があり、処理量を多くせざるを得ない。その場合、粒子の粒径や結晶性のばらつきが大きくなりやすい。しかし、粒子生成および熱処理の温度、時間、雰囲気等の条件を最適化することにより、活性が高い微粒子が多く含まれ、粒子の特性ばらつきを有していても高い光触媒活性を発揮することが可能となる。また、大きな粒子が必要なときには、長時間高温化で熱処理を行えば、粒子の大きい酸化タングステン系微粒子ができる。この場合、結晶構造も光触媒性能を持ち、かつ固体酸としても機能することになる。
昇華工程でタングステン原料を酸素雰囲気中で昇華させる方法としては、誘導結合型プ
ラズマ処理、アーク放電処理、レーザ処理、電子線処理、およびガスバーナー処理から選
ばれる少なくとも1種の処理が挙げられる。これらのうち、レーザ処理や電子線処理では
レーザまたは電子線を照射して昇華工程を行う。レーザや電子線は照射スポット径が小さ
いため、一度に大量の原料を処理するためには時間がかかるものの、原料粉の粒径や供給
量の安定性を厳しく制御する必要がないという長所がある。
この実施形態の固体酸であり、光触媒機能を持つ消臭性能を有するシートに用いられる酸化タングステン系微粒子は、上述したような昇華工程のみによっても得ることができるが、昇華工程で作製した酸化タングステン系微粒子に熱処理工程を実施することも有効である。熱処理工程は、昇華工程で得られた三酸化タングステン系微粒子を、酸化雰囲気中にて所定の温度と時間で熱処理するものである。昇華工程の条件制御等で三酸化タングステン微粒子を十分に形成することができない場合でも、熱処理を施すことで酸化タングステン微粒子中の三酸化タングステン微粒子の割合を99%以上、実質的には100%にすることができる。さらに、熱処理工程で三酸化タングステン微粒子の結晶構造を所定の構造に調整することができる。
熱処理工程で用いられる酸化雰囲気としては、例えば空気や酸素含有ガスが挙げられる。酸素含有ガスとは酸素を含有した不活性ガスを意味する。熱処理温度は200〜1000℃の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは400〜700℃である。熱処理時
間は10分〜16時間とすることが好ましく、さらに好ましくは30分〜7時間である。熱処理工程の温度および時間を上記範囲内にすることによって、三酸化タングステン以外の酸化タングステンから三酸化タングステンを形成しやすい。また、欠陥が少ない結晶性の良い粉末を得るためには、熱処理時の昇温や降温を緩やかに実施することが好ましい。熱処理時の急激な加熱や急冷は結晶性の低下を招くことになる。
熱処理温度が200℃未満の場合には、昇華工程で三酸化タングステンにならなかった
粉末を三酸化タングステンにするための酸化効果を十分に得ることができない恐れがある。熱処理温度が1000℃を超えると酸化タングステン微粒子が急激に粒成長するため、酸化タングステン微粉末の粒径、比表面積のコントロールがしにくい。さらに、上記したような温度と時間で熱処理工程を行うことによって、三酸化タングステン微粉末の結晶構造や結晶性を調整することが可能となる。
この実施形態の消臭性能を有するシートは、各種の形態や構成のシートに適用することができる。消臭性能を有するシートは上述したような製造方法で作製した酸化タングステン系微粒子をシート基材の表面に付着させたり、あるいは基材中への練り込み、機材の成形工程で微粒子を含有する表面層を形成する方法など、既知の方法によって具備させることができる。酸化タングステン系微粒子をシート基材表面に付着させる方法としては、例えば酸化タングステン系微粒子を水やアルコール等の分散媒中に分散させた分散液や塗料を基材の表面に塗布する方法が挙げられる。このような方法を適用することによって、酸化タングステン系微粒子を具備する被膜や塗膜等の表面層を有する消臭性能を有するシートを得ることができる。
また、消臭性能を有するシートは、塩基性物質、例えばアンモニアが発する臭いを即時に消臭すると共に、照度が1000lx以下の可視光の照射下でも、光触媒機能により塩基性物質以外のガス(臭い)成分の分解、消臭を目的として使用されるものである。シートの外表面層のみならず、光の届きにくい層の内部まで具備させた場合でも抗ウイルス性能を発揮することができ、より高い消臭性能を有する、高性能なシートを提供することができる。
この実施形態の消臭性能を有するシートは、実用的な消臭性能を発揮するものであるため、屋内空間などの低照度の可視光照射下で使用された場合でも、消臭性能を得ることができ、光の少ない夜間であっても固体酸の機能と合わせて、消臭性能を発揮させることができる。従来から使用されている防水機能のみ、あるいは使い捨てのシートと異なり、繰り返し使用することができ、実用的な消臭性能を安定的に発揮させることが可能である。
[実施例]

次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。粉末の製造方法と
して、タングステン酸アンモニウム塩を用いる、あるいは、昇華工程に誘導結合型プラズ
マ処理を適用しているが、本発明は、これに限定されるものではない。
得られた微粒子の平均一次粒子径(D50)、規定粒径の含有比率およびBET比表面積の評価は、以下の方法による行った。
平均一次粒子径はTEM写真の画像解析によって測定した。TEM観察には日立社製H−7100FAを使用し、拡大写真を画像解析にかけて粒子50個以上を抽出し、体積基準の積算径を求めてD50を算出した。また、40nm以下の大きさの粒子あるいは、100m以上の大きさの粒子の累積頻度から体積基準での含有比率を算出した。
BET比表面積の測定は、マウンテック社製比表面積測定装置Macsorb1201を用いて行った。前処理は窒素中にて200℃×20分の条件で実施した。
シートにおける酸化タングステン系微粒子の凝集体の平均粒径(D50)は、SEM等の写真の画像解析から、n=50個以上の粒子の体積基準の積算径における平均一次粒子径(D50)に基づいて求めた。
酸化タングステン系微粒子の光触媒効果による消臭性能は、以下の方法により行った。5cm×10cmのガラス試験片に上記粒子を0.2g付着させて、JIS−R−1701−1(2004)の窒素酸化物の除去性能(分解能力)評価に準じる流通式装置に試料を入れた状態で、初期濃度10ppmのアセトアルデヒドガスを140mL/minで流して測定したガス濃度において、光照射前のガス濃度をA、光照射から15分以上経過し、かつ安定したときのガス濃度をBとし、前記ガス濃度Aと前記ガス濃度Bから[式:(A−B)/A×100]に基づいて算出した値をガス分解率(%)としたとき、白色蛍光灯を使用し、紫外線カットフィルを用い、波長が380nm以上のみの光で照度が6000lxあるいは1000lxの可視光を照射した際の前記ガス分解率を評価した。
シートでのアンモニアの消臭性能評価は、以下に示すような方法により官能検査での臭気指数および、アンモニアを検知するセンサを用いて評価した。酸化タングステン系微粒子を具備したシートを5cm×5cmに切り出し、アンモニア3%溶液(尿に含まれるアンモニア濃度の約10倍)を0.1cc(NH:1.9×10−4mol)滴下し、直後のニオイを人間の官能試験により臭気強度で判定する。臭気強度の判定方法は、周囲には同様のニオイが発生しない場所で、アンモニア滴下後20秒以内に臭いを嗅ぎ、臭気強度を0〜5の間で、0.5刻みで判定する。判定者は6名以上とし、判定者中の最大と最小を除き、残りを平均する。平均した数値の小数点以下が0.25〜0.75の場合は0.5、0〜0.25、0.75〜1の場合は整数とする。
ニオイセンサー(新コスモス電機社製XP−329m)を用いて、滴下後30秒後のニオイセンサーによる強度測定を行った。測定時には周囲の環境のセンサー値も読み取り、環境の影響ではないことを確認している。
また、シートでのにおい成分の分解による消臭効果の評価は、微粒子の評価同様にアセトアルデヒドガスを用いて分解率での評価行った。さらに、高齢者介護施設においてシートをベッドシーツの下に敷いて、実環境での評価も行った。
試験評価に用いた基材は、主にレーヨンの不織布である。酸化タングステン系微粒子の水分散液にSiOバインダを含有させた液を用いて、含浸法によりシートを作製し、評価を行ったが、木綿布やポリエステル不織布を用いた場合でも同様の効果が得られており、基材や固着方法によらず、同様に消臭性能が得られることを確認した。このため、本発明は、これに限定されるものではない。
酸化タングステン微粒子の平均一次粒子径(D50)が1nm〜10000nm、BET比表面積が0.08〜820m/gの種々の微粒子を用いて、固着量の水準を振ってシート作製した。微粒子は高い光触媒性能を有しており、これを用いたシートについては、固着量が0.1〜50g/mの試料は、アンモニア消臭効果が高く、また光触媒としてのガス分解性能も高いことが確認できた。
一方、固着量が少ない物は、充分なアンモニア消臭効果が確認できなかった。また、固着量が多いものは、消臭性能が高かったが、意匠性や触感が悪かった。
酸化タングステン微粒子の平均一次粒子径(D50)が同等で、40nm以下の粒子の含有比率が異なる微粒子、あるいは、100nm以下の粒子の含有比率が異なる微粒子を用いて、固着量を20g/mとしてシートを作製した。微粒子はいずれも光触媒性能が高く、これを用いたシートの消臭性能は、40nm以下の粒子の含有比率が高い試料ほど、光触媒による分解性能が非常に高く、アンモニア消臭性能も高かった。また、100nm以上の粒子の含有比率が15質量%以上の試料は、光触媒による分解性能も高く、アンモニア消臭性能が高く、かつ、長期間効果の持続性が認められた。
40nm以下の粒子が15質量%以上、かつ100nm以上の粒子が15質量%の含有した微粒子の場合、光触媒による分解性能もアンモニア消臭性能も非常に高く、かつ、繰り返し使用での高い効果が認められた。
酸化タングステン微粒子の平均一次粒子径(D50)が8nmで、100nm以上の粒子を全く含まない粒子を用いて、固着量20g/mでシートを作製した結果、アンモニア消臭効果が高いが、長期間効果は持続しなかった。一方、平均一次粒子径が200nmで、40nm以下の粒子を全く含まない粒子を用いて、固着量20g/mでシートを作製した結果、アンモニア消臭効果はあったが、光触媒として分解性能がやや劣る結果となった。
酸化タングステン微粒子の平均一次粒子径が1nm〜10000nm、BET比表面積が0.08〜820m/gの種々の微粒子を用いて、シートを作製し、凝集体の平均粒径が異なるシートを用いて評価を行った。この結果凝集体の平均粒径が0.05〜100μmの時、高い消臭効果が得られた。一方、凝集体の平均粒径が0.03の場合は、繊維に粒子が埋もれており、充分な消臭性能が得られなかった。また、凝集体の平均粒径が300μmの場合は、消臭性能は得られたものの、触ると粒子が脱落しやすく、意匠性も悪く実用的でないことが確認された。
以上のように本実施形態の酸化タングステン微粒子や酸化タングステン複合材微粒子を用いた消臭シートは、実用的な消臭性能を長期間に渡って発揮することができ、さらに、低照度の可視光下あるいは光がない環境においても、高い消臭性能を示すものである。
ゼオライト、活性炭、多孔質セラミックス、珪藻土等に酸化タングステン微粒子や酸化
タングステン複合材微粒子を含有させ、これらを塗布したところ、消臭効果を示すだけでなく、ウイルスの低減、菌やカビの発生を低減することができることが確認された。従って、このような消臭材料を適用することで、実用的な消臭、抗菌、抗ウイルス性能を長期間発揮するシートを提供することが可能となる。

Claims (13)

  1. 固体で酸性を示す固体酸である酸化タングステン微粒子あるいは酸化タングステン複合材微粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子を具備するシートであって、消臭機能を有するシート。
  2. 請求項1記載の消臭機能を有するシートにおいて、前記微粒子の固着量が0.1〜50g/mであることを特徴とする消臭機能を有するシート。
  3. 請求項1または2のいずれか1項記載の消臭機能を有するシートにおいて、前記微粒子の平均一次粒径(D50)が1nm以上10μm以下の範囲であることを特徴とする消臭機能を有するシート。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項記載の消臭機能を有するシートにおいて、前記微粒子のBET比表面積が0.08m/g以上820m/g以下の範囲の微粒子を含むことを特徴とする消臭機能を有するシート。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項記載の消臭機能を有するシートにおいて、前記微粒子の一次粒子径のうち、40nm以下の大きさである粒子が15質量%以上含まれていることを特徴とする消臭機能を有するシート。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項記載の消臭機能を有するシートにおいて、前記微粒子の一次粒子径のうち、100nm以上の大きさである粒子が15質量%以上含まれていることを特徴とする消臭機能を有するシート。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項記載の消臭機能を有するシートにおいて、前記微粒子の一次粒子径のうち、40nm以下の大きさである粒子が15質量%以上含まれ、かつ100nm以上の粒子を15質量%以上含まれていることを特徴とする消臭機能を有するシート。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項記載の消臭機能を有するシートにおいて、前記微粒子が形成する凝集体の平均粒径(D50)が、0.05μm以上100μm以下の範囲であることを特徴とする消臭機能を有するシート。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項記載の消臭機能を有するシートにおいて、前記微粒子が可視光応答型光触媒粉末であって、JIS−R−1701−1(2004)の窒素酸化物の除去性能(分解能力)評価に準じる流通式装置に0.2gの試料を入れた状態で、初期濃度10ppmのアセトアルデヒドガスを140mL/minで流して測定したガス濃度において、光照射前のガス濃度をA、光照射から15分以上経過し、かつ安定したときのガス濃度をBとし、前記ガス濃度Aと前記ガス濃度Bから[式:(A−B)/A×100]に基づいて算出した値をガス分解率(%)としたとき、白色蛍光灯を使用し、紫外線カットフィルを用い、波長が380nm以上のみの光で照度が6000lxの可視光を照射した際の前記ガス分解率が10%以上の性能を有する粉末を具備することを特徴とする消臭機能を有するシート。
  10. 請求項1ないし8のいずれか1項記載の消臭機能を有するシートにおいて、前記微粒子が可視光応答型光触媒粉末であって、JIS−R−1701−1(2004)の窒素酸化物の除去性能(分解能力)評価に準じる流通式装置に0.2gの試料を入れた状態で、初期濃度10ppmのアセトアルデヒドガスを140mL/minで流して測定したガス濃度において、光照射前のガス濃度をA、光照射から15分以上経過し、かつ安定したときのガス濃度をBとし、前記ガス濃度Aと前記ガス濃度Bから[式:(A−B)/A×100]に基づいて算出した値をガス分解率(%)としたとき、白色蛍光灯を使用し、紫外線カットフィルを用い、波長が380nm以上のみの光で照度が1000lxの可視光を照射した際の前記ガス分解率が2%以上の性能を有する粉末を具備することを特徴とする消臭機能を有するシート。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項記載の消臭機能を有するシートにおいて、シート基材が木綿繊維、レーヨンなどのセルロース系繊維、あるいは、ポリプロピレン繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維を含むことを特徴とする消臭機能を有するシート。
  12. 請求項11項記載の消臭機能を有するシートにおいて、シートの基材が不織布であることを特徴とする消臭機能を有するシート。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項記載の消臭機能を有するシートにおいて、基材が複数の繊維を積層する構造であり、前記微粒子が表面から2層目以上内部の層に具備されていることを特徴とする消臭機能を有するシート。
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