JP2017172068A - 基材−シリカゾル乾燥物複合体、その応用物品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】悪臭など大気中の有害成分を無光下で保有する正孔により瞬時に分解し、水分を含む環境下ではヒドロキシラジカルが生成して抗ウイルス作用を呈する触媒を基材上に形成できる製造コストが極めて低い基材−シリカゾル乾燥物複合体、さらにはその応用物品を提供する。【解決手段】基材−シリカゾル乾燥物複合体を基材と、基材上にシリカ1molに対するNaOHの含有量を1.9mmol未満の割合に制限してなるシリカゾルを塗布後乾燥してなるものとする。基材として、セルロース系の繊維、織布、不織布、紙から選んだ単体若しくはこれらの複合体、セルロース系の繊維と化学繊維とを、質量比で、9:1〜1:1の割合で含有する混紡品及びこれらのメッシュ加工されたものを採用することができる。【選択図】なし
Description
本発明は、基材―シリカゾル乾燥物複合体及びその製造方法に関する。本発明は、特に、本発明に係る基材―シリカゾル乾燥物複合体が正孔を有することによる酸化作用を利用した応用物品に関する。
生活空間である大気中に存在するやウイルス類や悪臭などの有害気体を、副作用を伴うことなく、短時間で分解・浄化する技術として光触媒が知られている。
このような光触媒の作用は、光触媒半導体が紫外線照射を受けることにより価電子帯の電子が励起されて導電帯に移動した跡に発生する正孔(h+)が多くの無機物や有機物を直接酸化し、分解することによるものであり、また、正孔が活性酸素種を発生させてウイルス類を不活化、や細菌類を滅菌することによるものであるといわれている。活性酸素種とはスーパーオキサイドアニオン、過酸化水素、ヒドロキシラジカル(OH・)および一重項酸素を指すが、中でも、正孔が水の水素原子から電子を奪って生成するヒドロキシ(OH)ラジカルが、さまざまな物質を酸化させて分解することから特に高い評価を得ている。
しかしながら、光触媒は、太陽光が当たらない室内や夜間は光触媒に正孔が生成せず、例えば、衛生マスクに利用しても、最外層以外は触媒機能を発揮し得ないという問題がある。また、エアコンなどの室内空気の温度調節器には内部に光源を設置する空間がないために光触媒を利用されていない。太陽光の紫外線の代わりに照明用の可視光で動作する光触媒の場合には、発生した正孔が励起されて移動した電子と再結合して失われることが多く、再結合の防止には白金などの貴金属の配合が必要なためコストが高くなるという問題もある。これらの事情から、無光下で正孔を保有する触媒が求められている。
このような無光下で正孔を保有する触媒体として、特許文献1には、遷移金属の金属欠乏型不定比酸化物、不定比窒化物及びこれらの複合化合物は、その生成と同時に電気的中性を保持するために欠乏している金属原子(+電荷)に相当する正孔が形成する、つまり予め正孔を保有するp-型半導体であり、紫外線の照射なしでOHラジカルを生成し得る触媒として提案されている。
また、特許文献2には、チタンなどの遷移金属のカルボン酸塩及び遷移金属酸化物のカルボン酸塩群から選んだ1種又は2種以上及びシリカゾルを有効成分とする水溶液を塗布・乾燥させた基材が光の照射を受けない状態で正孔を保有することが示されている。その証拠として表面にラジカルトラップ剤DMPO(5,5−ジメチル5,5−ピロリン−N−オキシド)水溶液を滴下した液の電子スピン共鳴試験のESR分光スペクトルにはOHラジカルが存在したと認定されるDMPO−OH・の4本のピークが検出されたことから正孔を保有することが記載されている。
特許文献3には、マスク本体の呼吸通過箇所に、OHラジカルを発生する微粒子状の抗ウイルス剤が付着した繊維基材と活性炭シートとが積層されていることを特徴とする衛生マスクが開示されている。また、特許文献4には、一価銅化合物を有効成分として含むウイルス不活化剤が、明所のほか暗所においてもウイルス不活化機能を発揮することが記載されている。
さらに、特許文献5には、フェイスマスクであって、殺菌剤を有する最外層を含む複数の層を含み、該殺菌剤含有層が、付加固体百分率で、ポリヘキサメチレンビグアニドを0.01から20重量パーセント、クエン酸を0.01から10重量パーセント、及びN−アルキルポリグリコシド(N−alkylpolyglycoside)を0.01から10重量パーセント有することを特徴とするフェイスマスクが開示されている。
特許文献6にはマスクや空調設備のエアフィルタ・エレメントの交換時に捕捉されていたウイルスなどが飛散するのを防ぎ安全性を確保するために、これらの濾材としてオレイン酸アルカリ金属塩及びジオクチルスルホコハク酸アルカリ金属塩から選ばれた陰イオン表面活性剤を有効成分とする抗ウイルス剤を担持させたシートが提案されている。
一方、特許文献7には、有機溶媒分散シリカゾルをポリエステルやアクリル樹脂、ポリカーボネート等の合成樹脂に配合して使用する場合、コロイダルシリカ粒子表面の固体酸性の作用を呈することが指摘されている(明細書段落0003)。
特許文献1 特開2006−43574号公報
特許文献2 特開2013−126623号公報
特許文献3 特開2012―152327号公報
特許文献4 特開2011−153163号公報
特許文献5 特許第4823314号公報
特許文献6 特開2010−24587号公報
特許文献7 特開2007−63117号公報
特許文献2 特開2013−126623号公報
特許文献3 特開2012―152327号公報
特許文献4 特開2011−153163号公報
特許文献5 特許第4823314号公報
特許文献6 特開2010−24587号公報
特許文献7 特開2007−63117号公報
しかしながら、特許文献1に開示された触媒体は、その実施例によれば、密閉容器内に対象となる金属Ti(チタニウム)の粉末を挿入し昇温、還元雰囲気下で表面を活性状態としたのち、目標とする温度までサンプルを加熱し、所定分圧の酸素を導入し、時間経過とともにサンプルの酸化により酸素分圧が低下するので所定分圧に調整保持し、酸素分圧の低下が認められなくなった時点で処理を終了後はサンプルを可能な限り急冷し、金属欠乏型不定比酸化物粉体を作製し、次いで、得られた粉体を秒速100m以上の流速を有する空気または窒素ガスを主体とするキャリアーガスにより基材としての金属、合金、セラミックス、プラスチックの表面に衝突させることによりこれら構造体の表層に前記粉体を固定する、というものであり製造コストが非常に高いという問題があった。
一方、特許文献2に開示された基材−触媒被膜は、その製造に当たり、原料薬剤の主成分として遷移金属のカルボン酸塩又は遷移金属酸化物のカルボン酸塩を用いるものであるが、これら原料薬剤の製造工程が複雑で手数が掛かりその製造コストが非常に高いためにこの正孔を保有する触媒の製造コストも高くなる、という問題点がある。また、乾燥雰囲気温度が120℃以上という制約があり、そのため、例えば、基材をセルロース系の繊維とすることに困難を伴うという問題があった。
特許文献3には、マスク本体の呼吸通過箇所に、OHラジカルを発生する微粒子状の抗ウイルス剤が付着した繊維基材と活性炭シートとが積層されているマスクが開示されている。しかし、特許文献3に記載のOHラジカルを発生する物質として挙げられているのは、ドロマイト(苦灰石)を焼成し、それを水和した後、粉砕して得られた微粒子(CaCO3、Ca(OH)2及びMg(OH)2を主成分とするもの)であって、正孔の存在によりOHラジカルを生成する触媒とは無縁の物質であり、繊維基材に付着させるのに膠剤などの接着剤を必要とする上、その効果を持続させるために活性炭シートを積層する必要がある。そのため、その製造には、多くの工数が掛かり、コスト高になるおそれがある。加えて、脱臭効果を呈するものではない。
特許文献4に提案されている手段は、有効成分である酸化第一銅の大気中の限界濃度が1mg/m3と毒性の強い物質であって、その取り扱いに強い注意を要するうえ、第一酸化銅自体には基材に対する付着力がないので、基材に固着するにはバインダーを必要とするという問題がある。また、特許文献5に開示されたフェイスマスクは、その殺菌作用を呈する殺菌剤が、主として化学薬剤であり、効果の発現には30分程度を要するためにウイルスがマスクを通過中に不活化が期待できないという問題がある。
また特許文献6に提案された抗ウイルス剤の人体に対する安全性が不明であるという問題がある。このほかにも抗ウイルス剤は多数提案されているが抗ウイルス性が認められるものはそれなりに人体に対しても毒性もあることが多くマスクに実用化されたものはないのが実情である。
特許文献7の記載はコロイダルシリカ粒子表面の固体酸性触媒の作用について示唆するものであるが、生活空間の浄化作用に結びつくものではない。
本発明は、上記先行技術文献に記載の問題点を解決するものであって、悪臭など大気中の有害成分を無光下で保有する正孔により瞬時に分解し、水分を含む環境下でOHラジカルを生成することによって抗ウイルス作用を呈する触媒を、基材上に形成することができる製造コストが極めて低い基材−シリカゾル乾燥物複合体さらにはその応用物品を提案することを目的とする。
本発明は、上記課題を、基材上にシリカ(SiO2)に対してNaOH(水酸化ナトリウム)の含有量が特定の含有量以下のシリカゾルを選定し、これを基材上に塗布後乾燥して得られる基材−シリカゾル乾燥物複合体を水分と接触したとき得られる基材−シリカゾル乾燥物複合体が特に優れたOHラジカル生成源であることを知見して本発明を完成するに至った。すなわち、本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体は、基材と、該基材上にシリカ1molに対しNaOHを1.9 mmol未満の割合で含有するシリカゾルを塗布後乾燥してなる。
なお、シリカゾルには水以外に有機物を溶媒とするシリカゾルも市販されているがNaOHの含有量がシリカ1モルに対して1.9mモル以下の場合には水溶媒シリカゾルと同じ機能を発揮する。
なお、シリカゾルには水以外に有機物を溶媒とするシリカゾルも市販されているがNaOHの含有量がシリカ1モルに対して1.9mモル以下の場合には水溶媒シリカゾルと同じ機能を発揮する。
上記発明において、シリカゾル中のシリカ粒子の粒径は4〜25nmとするのが好ましい。
シリカゾルを塗布後の乾燥が、0〜180℃、特に、5〜150℃の雰囲気温度で行われたものであることが好ましい。
本発明の基材としては、セルロース系の繊維、織布、不織布、紙から選んだ単体若しくはこれらの複合体であることとするのが好ましく、特に、セルロース系の繊維と化学繊維とを、質量比で、9:1〜1:1の割合で含有する混紡品を選択するのが望ましい。また、上記各基材を、メッシュ加工されたものとするのが一層好ましい。
本発明において、基材に対するシリカゾルの塗布量は、乾燥状態で、前記基材の単位表面積当たりの質量(g/m2)当たり0.05〜1.5gの範囲にあることとするのが好ましい。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体を、モル濃度0.2mmol/lのクマリン水溶液に浸漬すると7OHクマリンの存在を示す330〜350nmの紫外線で励起した場合に455nm近傍のピークを有する蛍光を発光するものである。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体は、水と接触した際には無光下においてOHラジカルを発生し、ウイルスを不活化するものである。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体は、また、無光下において脱臭作用を呈するものである。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体は、衛生マスクや防臭マスクの呼気通過部に組み込んで衛生マスクや防臭マスクに適用することができる。
また、空気処理装置を構成する部材のうち、少なくとも排気側又は吸気側の一方又は双方若しくは建物の空気循環用のダクト内に設置するエアフィルタ・エレメントを前記基材−シリカゾル乾燥物複合体とすることができる。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体は、質量比で0.1%以上20%以下のシリカを含有し、前記シリカ1molに対し、1.9mmol未満のNaOHを含有するシリカゾルを塗布する段階と、前記基材を前記段階によって塗布されたシリカゾルとともに雰囲気温度0〜180℃で乾燥する段階とを順次行うことにより製造することができる。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体を、モル濃度0.2mmol/lのクマリン水溶液に浸漬すると7OHクマリンの存在を示す330〜350nmの紫外線で励起した場合に455nm近傍のピークを有する蛍光を発光するものである。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体は、基材と、該基材上にシリカ1molに対しNaOHの含有量が1.9mmol以下の割合に制限されたシリカゾルを塗布後乾燥してなるものである。ここで、基材としては、後述する組成のシリカシリカゾルを塗布後乾燥させたとき、該基材と密着して生成したシリカゾル乾燥物が、正孔を有するものとして形成されるものであればよい。
このようなものとして、まず、セルロース系の繊維、織布、不織布、紙から選んだ単体若しくはこれらの複合体が挙げられる。特に、コットン又はそれを主原料とする不織布は、シリカ粒子に対する付着性が大きく、かつ比表面積が大きいので、製造された基材−シリカゾル乾燥物複合体の抗ウイルス性、脱臭性、有害気体の分解・清浄化機能が向上するので本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体の基材として優れている。
また、コットンに加えてポリエステルなどの化学繊維を加えた混紡繊維からなる混紡品(織布及び不織布の双方を含む)も好適に使用し得る。この混紡品は、水に濡れたときの強度が大きく、例えば、その上にシリカゾルを連続塗布・乾燥ラインで処理することが容易になるなどの利点がある。しかしながら、化学繊維の混紡比が、大きすぎるときには、水と接触したときにOHラジカルの生成量生成量も減少するので、混紡比、すなわち、セルロース系の繊維と化学繊維とを、質量比で、9:1〜1:1の割合とするのがよい。
上記各基材は、メッシュ加工を施したものとすることができる。このようなメッシュ加工品は、例えば、空気浄化などに使用したとき、通風量を大きくしても圧力損失の低減を図ることができ、エアコンなどの空気処理装置のフィルタや建築物の内部に設けられるエアダクト内に設置するフィルタとして用いる場合に好都合である。なお、実施例で示すようにメッシュ加工した場合にOHラジカルの生成に有意差は認められない。
本発明の基材−シリカゾル乾燥物複合体に対し、正孔を保有させ、それにより水分を含む環境下でOHラジカルを確実に生成するようにするためには、上記基材上に塗布するシリカゾルは、シリカ1molに対しNaOHを1.9mmol未満に制限してなるものとする必要がある。このことは、後述する実施例1に示すとおり、330〜350nmで励起した場合OHラジカルの存在を示す455nm近傍のピーク光度ピーク値が、前記比が1.9の場合である試験No.12の場合では0であるのに対し、前記比が1.4である試験No.7の場合には、8.0となることから、明らかである。シリカ1モルに対するNaOHのmmol比は0.9以下が好ましい。
上記シリカゾルは、シリカゾル中のシリカ粒子の粒径が4〜25nmであるものとするのがよい。シリカ粒子の基材に対する付着力は主としてその粒径に依存し25nm以下であれば、実用的に十分な密着性が得られるからである。この範囲であれば基材―シリカゾル乾燥物複合体を取扱中にシリカ粒子が基材から剥離することが無く十分な密着性が得られることは、実施例1から明らかである。なお、上記シリカ粒子の粒径とは、BET法およびシアーズ法により測定される粒径をいう。
通常シリカゾルの粒子径を測定するのに、BET法(窒素吸着法)を用いられる。これは乾燥粉を作成し、その乾燥粉の表面に窒素を吸着させることで、その吸着量から表面積を測定し、それを計算上球形前提で、粒子径を算出する。
これに対して表1の試験No.13および16のような4−6nmの小粒子レベルの粒子に対しては、「乾燥工程」が入ることで粒子の融着が発生して、正しい粒子径が求められないとの考え方から「液中で、NaOHの吸着量」を測定する「シアーズ法」で、表面積を求め、この表面積を球形前提で粒子径に換算して求めたものである。
通常シリカゾルの粒子径を測定するのに、BET法(窒素吸着法)を用いられる。これは乾燥粉を作成し、その乾燥粉の表面に窒素を吸着させることで、その吸着量から表面積を測定し、それを計算上球形前提で、粒子径を算出する。
これに対して表1の試験No.13および16のような4−6nmの小粒子レベルの粒子に対しては、「乾燥工程」が入ることで粒子の融着が発生して、正しい粒子径が求められないとの考え方から「液中で、NaOHの吸着量」を測定する「シアーズ法」で、表面積を求め、この表面積を球形前提で粒子径に換算して求めたものである。
上記の特性を満たすシリカゾルを上記基材に塗布後乾燥して本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体とする。この場合において、塗布後の乾燥は、0〜180℃の雰囲気温度で行われるものとすることが好ましい。乾燥雰囲気温度が180℃より高温の場合は、基材をセルロース系繊維の織布、不織布、紙などとするとき、基材が焦げ、あるいは、燃焼して所望の目的の基材−シリカゾル乾燥物複合体を得ることが困難になるからである。特に、塗布後の乾燥が、5〜150℃の雰囲気温度で行われるものであることが好ましい。
シリカゾルの塗布後の乾燥時間は、上記乾燥における雰囲気温度により異なる。ここに、乾燥とは、塗布したシリカゾルが指に触れても付着しない状態をいい、一般に、乾燥雰囲気温度との関係で定めればよい。
基材に対するシリカゾルの塗布量が、乾燥状態で、前記基材の単位表面積当たりの質量(g/m2)当たり0.05〜1.5g、好ましくは0.1〜0.8gの範囲にあることが望ましい。この付着量は、シリカゾルの基材上への塗布後の乾燥段階において、シリカ粒子同士の重合が発生しない限り多い方がよい。その限度は、得られた製品のOHラジカルの生成量の飽和、低下により定めればよい。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体は、モル濃度0.2mmol/lのクマリン水溶液に浸漬したときに得られる浸漬液を励起した場合に455nm近傍のピークを有する蛍光を発光するものである。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体がOHラジカルを発生するものであることは、参考文献1により従前から知られているスピントラップ剤でラジカルを安定化しESRで観測する方法によっても確認できるが、下記参考文献2および3の記載に基づき正孔を有する触媒の存在下における希薄クマリン水溶液の挙動を参考にして本発明者が確立したOHラジカルの検出手段(以下「クマリン法」と呼ぶ)によるのがよい。そのほうが安価でかつ測定結果が安定し、製造工程の管理に容易に利用し得るからである。
記
参考文献1: 入門光触媒(野坂芳雄、野坂篤子 著 p80 2004.東京図書)
参考文献2:G. Louit et al.: The reaction of coumarin with the OH radical revisited: hydroxylation product analysis determined by fluorescence and chromatography Radiation Physics and Chemistry 72(2005)119−124 )
参考文献3:張傑、野坂芳雄 可視光応答型光触媒懸濁液のOHラジカル生成とH2O2の効果2011.12.12 光機能材料研究会
記
参考文献1: 入門光触媒(野坂芳雄、野坂篤子 著 p80 2004.東京図書)
参考文献2:G. Louit et al.: The reaction of coumarin with the OH radical revisited: hydroxylation product analysis determined by fluorescence and chromatography Radiation Physics and Chemistry 72(2005)119−124 )
参考文献3:張傑、野坂芳雄 可視光応答型光触媒懸濁液のOHラジカル生成とH2O2の効果2011.12.12 光機能材料研究会
上記参考文献2には、OHラジカルによりクマリン(下記式(1))は3〜8の位置にOH基が付加するが7の位置に付加した7OHクマリン(別名ウンベリフェロン、下記式(2))は励起により455nmにピークを持つ蛍光が発生ることが示されている。また、参考文献3には、希薄クマリン水溶液中に懸濁した光触媒TiO2粉末に紫外線を照射した上澄液は、励起により455nmにピークを持つ蛍光が発生することから、7OHクマリン即ち正孔の存在を立証できること、および7OHクマリンの生成に寄与するOHラジカルは全体の7%であることが示されている。
本発明者が確立したクマリン法によるOHラジカル、ひいては、正孔触媒における正孔の存在の確認手段は、下記の手順による。
(1) 試料の調整:
(2)クマリン水溶液の調整:
(3)クマリン水溶液への試料の浸漬:
(4)浸漬液の採取:
(5)浸漬液の励起―蛍光分光分析:
(6) 判定基準:
(1) 試料の調整:
(2)クマリン水溶液の調整:
(3)クマリン水溶液への試料の浸漬:
(4)浸漬液の採取:
(5)浸漬液の励起―蛍光分光分析:
(6) 判定基準:
上記の特性を有する基材−シリカゾル乾燥物複合体は、その表面に無光下において存在する正孔が水と接触した際に無光下においてOHラジカルを発生し、ウイルスを不活化する作用を奏する。このことは、後述する実施例1、2により明らかにされる。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体は、無光下において脱臭作用を呈する。この脱臭作用は、基材−シリカゾル乾燥物複合体に無光下において存在する正孔と大気中に存在する分子状の臭気物質と直接接触して臭気物質の電子を奪う酸化作用により生ずる。したがって、脱臭作用には、水分の存在を必要としない。このことについても、後述する実施例1、2により明らかにされる。
シリカゾルを塗布・乾燥した基材に生成した正孔によって脱臭は可能でありOHラジカルを発生させる正孔が存在すれば付随的に脱臭能が発揮される。
エアコンや空気清浄器の場合はシリカゾル塗布乾燥不織布から成るフィルタに捕捉されたウイルスは大量の空気中に含まれる水蒸気によりOHラジカルが発生してウイルスを不活化する。湿度が低い場合にはフィルタが湿る程度に短時ごく短時間加湿し、あとはもとの乾燥状態に戻ればその時点で正孔が回復する、つまり間欠的に加湿すればよい。かくして、ウイルス不活化作用と悪臭等の有害成分の分解・浄化とが無光下において実施される。
シリカゾルを塗布・乾燥した基材に生成した正孔によって脱臭は可能でありOHラジカルを発生させる正孔が存在すれば付随的に脱臭能が発揮される。
エアコンや空気清浄器の場合はシリカゾル塗布乾燥不織布から成るフィルタに捕捉されたウイルスは大量の空気中に含まれる水蒸気によりOHラジカルが発生してウイルスを不活化する。湿度が低い場合にはフィルタが湿る程度に短時ごく短時間加湿し、あとはもとの乾燥状態に戻ればその時点で正孔が回復する、つまり間欠的に加湿すればよい。かくして、ウイルス不活化作用と悪臭等の有害成分の分解・浄化とが無光下において実施される。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体は、マスク(衛生マスク又は防臭マスク)の呼気透過部に組み込むことができる。かかるマスクを使用すると、例えば、インフルエンザウイルスは基材−シリカゾル乾燥物複合体に捕捉されたのち、基材−シリカゾル乾燥物複合体が呼気に含まれる水蒸気が接触したときに生ずるOHラジカルにより不活化され、衛生マスクとして機能する。また、生活環境下にある臭気物質も基材−シリカゾル乾燥物複合体と接触して分解され、防臭マスクとして機能する。マスクとしては、ガーゼマスク及びオレフイン系の化学繊維不織布のプリーツ型マスクの双方が利用可能である。ガーゼマスクの場合は、本発明に係る基材−シリカ乾燥物複合体を約8cm角に切断したシートを、ガーゼマスクの内側にできたポケットに挟み込んでおけばよい。マスクが汚れたら触媒シートを取り出してから洗い、乾燥後にシートをポケットに戻せばよい。一方、プリーツ型マスクの場合には、例えば本発明に係る基材−シリカ乾燥物複合体を約10×15cmの長方形に裁断し、これを半折して7.5×10cmに折重ね、プリーツ型マスクの内側(顔面に当たる側)の上端部に両面接着テープを用いて貼り付ければよい。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体のうち、基材を、(1)セルロース系の繊維、織布、不織布、紙から選んだ単体若しくはこれらの複合体、(2)セルロース系の繊維と化学繊維とを、質量比で、9:1〜1:1の割合で含有する混紡品、(3)上記(1)又は(2)メッシュ加工したものは、空気処理装置に設置されるエアフィルタ・エレメントとして利用することができる。また、建物の空気循環用のダクト内に設置するエアフィルタ・エレメントとして利用することができる。これにより、生活環境に存在するウイルスや有害物質は、不活化あるいは酸化により分解され、例えば、院内感染の防止やVOC(volatile organic compound)によるシックハウス、シックビルディング症候群などを解決することができる。
本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体は、質量比で0.1%以上20%以下のシリカを含有しシリカ1molに対するNaOHの含有量を、1.9mmol未満の割合に制限してなるシリカゾルを塗布する段階と、前記基材を前記段階によって塗布されたシリカゾルとともに雰囲気温度0〜180℃で乾燥する段階とを順次行うことり製造することができる。このような段階を順次行う設備として、例えば、エアフィルターの製造に用いられる連続処理ラインが挙げられ、前記諸条件を適用して効率的に本発明に係る効率的に基材−シリカゾル乾燥物複合体を製造し得る。
(実施例1)
各種の基材を選定し、該基材上にシリカゾル(スノーテックス(商標)日産化学工業(株)
製を塗布後乾燥し、得られた基材―シリカゾル乾燥物についてクマリン法によりOHラジカルの生成の有無を確認した。
各種の基材を選定し、該基材上にシリカゾル(スノーテックス(商標)日産化学工業(株)
製を塗布後乾燥し、得られた基材―シリカゾル乾燥物についてクマリン法によりOHラジカルの生成の有無を確認した。
(基材の選定)
基材として下記の(a)、(b)、(c)を選定した。
記
(a)目付40g/m2のポリエステル40%混紡コットン不織布メッシュ加工品(ユニチカ(株)製 エスコット40(商標))
(b)目付40g/m2のポリエステル+ポリプロピレン合計40%混紡コットン不織布プレーン(第三(株)製cmx40(商標)
(c)目付60g/m2のコットン100%不織布プレーン(日清紡テキスタイル(株)製オイコスAP2060(商標)
基材として下記の(a)、(b)、(c)を選定した。
記
(a)目付40g/m2のポリエステル40%混紡コットン不織布メッシュ加工品(ユニチカ(株)製 エスコット40(商標))
(b)目付40g/m2のポリエステル+ポリプロピレン合計40%混紡コットン不織布プレーン(第三(株)製cmx40(商標)
(c)目付60g/m2のコットン100%不織布プレーン(日清紡テキスタイル(株)製オイコスAP2060(商標)
(シリカゾルと塗布乾燥条件)
上記の基材に対し、表1に示す条件で、シリカゾルを塗布乾燥して、基材―シリカゾル乾燥物を得た。この際、基材は100×150mmの長方形に切断し、これに対し、濃度:8massに調整したシリカゾル15mlを塗布した後、ステンレス製の網上に拡げ、雰囲気温度:50、70、90、140℃の各温度に保持した空気循環型乾燥器(アズワン(株)製OF−450B(商標)に挿入して30〜5分間乾燥した。上記に加え、室温6〜8℃の室内で10時間の自然乾燥を行って実施例とした。
上記の基材に対し、表1に示す条件で、シリカゾルを塗布乾燥して、基材―シリカゾル乾燥物を得た。この際、基材は100×150mmの長方形に切断し、これに対し、濃度:8massに調整したシリカゾル15mlを塗布した後、ステンレス製の網上に拡げ、雰囲気温度:50、70、90、140℃の各温度に保持した空気循環型乾燥器(アズワン(株)製OF−450B(商標)に挿入して30〜5分間乾燥した。上記に加え、室温6〜8℃の室内で10時間の自然乾燥を行って実施例とした。
(クマリン法によるOHラジカル発生の確認テスト)
上記により得られた基材−シリカゾル乾燥物複合体から、一辺3×3cmの試験片を3枚ずつ切り取り、50mmシャーレに入れてモル濃度0.2mmol/lのクマリン液を3ml滴下後、30分間浸漬して基材−シリカゾル乾燥物複合体と反応した浸漬液(以下、「浸漬クマリン液」という)を得た。得られた浸漬クマリン液のうち2mlを石英セルに収納し、波長330〜350nmの紫外光で励起して発生した波長455nm近傍のピーク光度を測定した。測定には、JASCO製FP−6600分光蛍光光度計(商標)を用いた。得られた測定結果は表1に併せて示す。
上記により得られた基材−シリカゾル乾燥物複合体から、一辺3×3cmの試験片を3枚ずつ切り取り、50mmシャーレに入れてモル濃度0.2mmol/lのクマリン液を3ml滴下後、30分間浸漬して基材−シリカゾル乾燥物複合体と反応した浸漬液(以下、「浸漬クマリン液」という)を得た。得られた浸漬クマリン液のうち2mlを石英セルに収納し、波長330〜350nmの紫外光で励起して発生した波長455nm近傍のピーク光度を測定した。測定には、JASCO製FP−6600分光蛍光光度計(商標)を用いた。得られた測定結果は表1に併せて示す。
表1によれば、試験No.1〜11の場合(シリカゾル:G,J,H,F,及びE,の場合)は、基材および乾燥条件にかかわらず、浸漬クマリン液のピーク光度値が8.0以上であった。浸漬クマリン液に455nm近傍に8.0以上のピーク光度値が認められることは、クマリンが基材−シリカゾル乾燥物複合体の有する正孔によって生成したOHラジカルによりクマリンの7の位置にOH基が付加した7OHクマリンが浸漬クマリン液中に生成したことを示している。
これに対し、試験No.12〜16の場合(D,A,K,Bの場合)には前記ピーク光度値が0であった。このことは、試験に供した基材−シリカゾル乾燥物複合体が、クマリン液に浸漬されたとき、これを酸化するに必要な正孔を有していなかったことを意味している。
表1の結果は、かかるOHラジカルの顕著な発生を示すピーク光度値の発現限界がシリカ1molに対するNaOHの含有量(NaOH/SiO2のmmol比)が1.9未満好ましくは1.4以下であり、本発明の範囲内を充足する基材−シリカゾル乾燥物複合体はウイルス不活化作用を呈し、また、大気中の臭気などの有害ガスを分解するに十分な正孔を有することは、以下に記す実施例2、3によりが明らかにされている。
(密着性試験)
上記クマリン法によるOHラジカル発生の確認テストと併行して、得られた基材−シリカゾル乾燥物複合体について下記の手順により密着性試験を行った。
(1) テストピースの作成
(2) 密着性試験
(3) 判定基準
上記密着性試験の結果、すべてのテストピースは、本発明に係る製品が実用上十分な密着性を保有していることを示した。
試験片の片側端部を2枚の板に挟んで固定して折り曲げ、を2回繰り返し支点部分をこすって粉の発生が無い。
上記クマリン法によるOHラジカル発生の確認テストと併行して、得られた基材−シリカゾル乾燥物複合体について下記の手順により密着性試験を行った。
(1) テストピースの作成
(2) 密着性試験
(3) 判定基準
上記密着性試験の結果、すべてのテストピースは、本発明に係る製品が実用上十分な密着性を保有していることを示した。
試験片の片側端部を2枚の板に挟んで固定して折り曲げ、を2回繰り返し支点部分をこすって粉の発生が無い。
(実施例2)
実施例1のクマリン法によるOHラジカル発生の確認テストに用いた基材−シリカゾル乾燥物複合体のうち、試験No.2(本発明例)及び試験No.13(対比例)についてそれぞれ抗ウイルス性の評価を行った。
実施例1のクマリン法によるOHラジカル発生の確認テストに用いた基材−シリカゾル乾燥物複合体のうち、試験No.2(本発明例)及び試験No.13(対比例)についてそれぞれ抗ウイルス性の評価を行った。
(抗ウイルス性の評価)
抗ウイルス性の評価は、下記の方法により、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス性をウイルスの力価(HA価)に与える影響により評価した。
記
(1) 力価128HA以上のニワトリ胚で培養したA/Philippine/2/82(H3N2)インフルエンザウイルス液0.5mlを前記基材−シリカゾル乾燥物複合体の30mm×300mmの各試料小片に添加する。
(2)得られたインフルエンザウイルス液添加後の各小片を37℃、10分間インキュベートする。
(3)インキュベート後の各小片に対し、2mlのPBS(リン酸緩衝液)による洗浄を3回行って、基材−シリカゾル乾燥物複合体とインフルエンザウイルス液との反応後の力価測定液とした。
(4)力価(HA0価)の測定は、96穴マイクロプレートを用いた「赤血球凝集(HA)試験」により測定し、結果は表2に示した。
抗ウイルス性の評価は、下記の方法により、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス性をウイルスの力価(HA価)に与える影響により評価した。
記
(1) 力価128HA以上のニワトリ胚で培養したA/Philippine/2/82(H3N2)インフルエンザウイルス液0.5mlを前記基材−シリカゾル乾燥物複合体の30mm×300mmの各試料小片に添加する。
(2)得られたインフルエンザウイルス液添加後の各小片を37℃、10分間インキュベートする。
(3)インキュベート後の各小片に対し、2mlのPBS(リン酸緩衝液)による洗浄を3回行って、基材−シリカゾル乾燥物複合体とインフルエンザウイルス液との反応後の力価測定液とした。
(4)力価(HA0価)の測定は、96穴マイクロプレートを用いた「赤血球凝集(HA)試験」により測定し、結果は表2に示した。
抗ウイルス活性値(L)は、基材−シリカゾル乾燥物複合体の持つ触媒機能の抗ウイルス性を、一方、ウイルス減少値(N)は抗ウイルス性の増減を表している。抗ウイルス活性値(L)が0のときには、抗ウイルス性がなく、正の値をとるときに抗ウイルス性があると判断され、ウイルス減少値(N)が0のときには、触媒坦持処理による抗ウイルス性の増加はなく、正の値を取るときに抗ウイルス性の増加があると判断される。抗ウイルス活性値(L)は、表2に示すように、本発明に係る基材−シリカゾル乾燥物複合体(試験No.2)は、L値が大きく、N値もプラスなので抗ウイルス性の増加がありウイルス不活化作用を呈することが分かる。これに対して、本発明に係るNaOH/シリカ比を満たさない基材−シリカゾル乾燥物複合体(試験No.13)は、抗ウイルス性のL値およびN値が共に小さく、ウイルス不活化作用を呈することがない。
(実施例3)
実施例1のクマリン法によるOHラジカル発生の確認テストに用いた基材−シリカゾル乾燥物複合体を用いて脱臭試験を行った。
0.5%アンモニア水を20ml入れた内径25mm、高さ81mmの広口びんを用意した。7cmx10cmに切断した表1の2種のサンプルを交互に手で鼻を覆って臭いを嗅ぎ優劣を比較した。
実施例1のクマリン法によるOHラジカル発生の確認テストに用いた基材−シリカゾル乾燥物複合体を用いて脱臭試験を行った。
0.5%アンモニア水を20ml入れた内径25mm、高さ81mmの広口びんを用意した。7cmx10cmに切断した表1の2種のサンプルを交互に手で鼻を覆って臭いを嗅ぎ優劣を比較した。
脱臭試験には評価は、種類の異なる2サンプルずつで優劣を比較する方法で行った。
結果は表3に示す。
結果は表3に示す。
試験は0.1質量%アンモニア水から開始したが相対順位の上位は殆ど臭いを感じないので0.1質量%ずつ濃度を大きくして行き0.4質量%でやっと差が付けられた。その場合のサンプルを被せる前のびんの直上の空気中のアンモニア濃度を検知管(No.105SC光明理化学工業(株)により測定したところ約120ppmであった。
表3の順位を表1のサンプル製造条件と照合するとシリカゾルではNaOHが0.30以下の品種G,JおよびHが優れており、基材ではポリエステル等化学繊維40%混紡コットンが、さらにその中でもメッシュ加工品がすぐれていることがわかる。
乾燥条件の影響は認められなかった。上位のサンプルは100ppm以上の高濃度のアンモニア臭気を分解して人に感じさせないほど優れた脱臭機能を保有していることが明らかになった。
表3の順位を表1のサンプル製造条件と照合するとシリカゾルではNaOHが0.30以下の品種G,JおよびHが優れており、基材ではポリエステル等化学繊維40%混紡コットンが、さらにその中でもメッシュ加工品がすぐれていることがわかる。
乾燥条件の影響は認められなかった。上位のサンプルは100ppm以上の高濃度のアンモニア臭気を分解して人に感じさせないほど優れた脱臭機能を保有していることが明らかになった。
Claims (15)
- 基材と、該基材上にシリカ1molに対するNaOHの含有量を1.9mmol未満の割合に制限してなるシリカゾルを塗布後乾燥してなることを特徴とする基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- シリカゾル中のシリカ粒子の粒径が4〜25nmであることを特徴とする請項1に記載の基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- 塗布後の乾燥が、0〜180℃の雰囲気温度で行われるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- 塗布後の乾燥が、5〜150℃の雰囲気温度で行われるものであることを特徴とする請求項3に記載の基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- 基材が、セルロース系の繊維、織布、不織布、紙から選んだ単体若しくはこれらの複合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- 基材が、セルロース系の繊維と化学繊維とを、質量比で、9:1〜1:1の割合で含有する混紡品であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- 基材がメッシュ加工されたものであることを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- 基材に対するシリカゾルの塗布量が、乾燥状態で、前記基材の単位表面積当たりの質量(g/m2)当たり0.05〜1.5gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- 基材−シリカゾル乾燥物複合体をモル濃度0.2mmol/lのクマリン水溶液に浸漬したときに得られる浸漬液を波長330〜350nmの紫外線で励起した場合に455nm近傍のピークを有する蛍光を発光することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- 水と接触した際に無光下においてヒドロキシラジカルを発生し、ウイルスを不活化するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- 無光下において脱臭作用を呈することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の基材−シリカゾル乾燥物複合体。
- 請求項1〜11のいずれかに記した基材−シリカゾル乾燥物複合体を呼気通過部に組み込んでなるマスク。
- 空気処理装置を構成する部材のうち、少なくとも排気側又は吸気側の一方又は双方若しくは建物の空気循環用のダクト内に設置する請求項5〜9のいずれかに記載の基材−シリカゾル乾燥物複合体を空気清浄用部材とするエアフィルタ・エレメント。
- 請求項1〜11のいずれかに記した基材−シリカゾル乾燥物複合体をエアフィルタ・エレメントとする空気処理装置であって間欠的に加湿機能を備えたことを特徴とする空気処理装置。
- 質量比で0.1%以上20%以下のシリカを含有しシリカ1molに対するNaOHの含有量を、1.9mmol未満の割合に制限してなるシリカゾルを塗布する段階と、前記基材を前記段階によって塗布されたシリカゾルとともに雰囲気温度0〜180℃で乾燥する段階とを順次行うことを特徴とする基材−シリカゾル乾燥物複合体の製造方法。
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JP2016059012A JP2017172068A (ja) | 2016-03-23 | 2016-03-23 | 基材−シリカゾル乾燥物複合体、その応用物品及びその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022075450A1 (ja) * | 2020-10-09 | 2022-04-14 | 学校法人昭和大学 | ウイルス不活化方法、ウイルス不活化装置、当該ウイルス不活化装置を備える送風装置 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013126623A (ja) * | 2011-12-19 | 2013-06-27 | Tokushu Muki Zairyo Kenkyusho | 光の照射を受けない状態で正孔を保有する触媒体、その製造方法及び抗ウイルス性・抗菌クロス |
JP2016068543A (ja) * | 2014-09-24 | 2016-05-09 | 公益財団法人特殊無機材料研究所 | 正孔を保有する基材−シリカゾル乾燥物複合体及びその製造方法 |
-
2016
- 2016-03-23 JP JP2016059012A patent/JP2017172068A/ja active Pending
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Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
関 八千穂: "微細気孔性シリカ多孔体の製造法", 日本セラミックス協会学術論文誌, vol. 96[9], JPN6017035516, 1988, pages 920 - 24, ISSN: 0003769232 * |
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WO2022075450A1 (ja) * | 2020-10-09 | 2022-04-14 | 学校法人昭和大学 | ウイルス不活化方法、ウイルス不活化装置、当該ウイルス不活化装置を備える送風装置 |
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