JP2004350935A - フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】例えばホルムアルデヒドやNOx等の有害物質を強力に分解除去することができる、新規なフィルターを提供すること。
【解決手段】光照射により一重項酸素を生成可能な光増感剤11を付着させたフィルター1からなる。光増感剤11としては、メチレンブルー、ローズベンガル、チオニン、エオシン、テトラフェニルポルフィン、フタロシアニン系色素、金属ポルフィン等が好ましく用いられる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルターに関する。さらに詳しくは、例えば空気清浄機や、半導体工場、無菌室等で使用される脱臭・除菌フィルター等の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工場や、一般家庭の室内、自動車内等において、悪臭や有害化学物質、粉塵を除去するため種々のフィルターが設置されている。
【0003】
上記フィルターとしては、不織布に対象物質を吸着除去するための吸着剤を付着させたものや、フィルターを帯電させて静電気力により粉塵を吸着する方式のものが知られている。例えば、(特許文献1)には、少なくともアクリルシリコン樹脂を含むバインダーによって、不織布基材に臭気成分を吸着除去する吸着剤を固着して形成される脱臭層からなることを特徴とする脱臭フィルターが記載されている。また、(特許文献2)には、エレクトレット層を含む基材及び抗菌防黴層を含む基材をハニカム状に成形加工してなる空気清浄化フィルターが記載されている。
【0004】
これら従来のフィルターは、粉塵等の対象物質をフィルター表面でろ過捕集することが主な目的であり、有害物質を分解する機能は有していないか、もしくは不十分なものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−79706号公報
【特許文献2】
特開2000−262820号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記従来の状況に鑑み、例えばホルムアルデヒドや、SOx、NOx等の有害物質を強力に分解除去することができる、新規なフィルターを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のフィルターは、請求項1として、光照射により一重項酸素を生成可能な光増感剤を付着させたことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、光増感剤が、光照射を受けて励起され、近傍の酸素を活性化して一重項酸素を生成する。一重項酸素()は、活性酸素の一種で酸化力を有しており、この一重項酸素がフィルターを通過する悪臭成分、有害化学物質に有効に作用して無害化する。
【0009】
また、請求項2は、請求項1記載のフィルターにおいて、光増感剤が、メチレンブルー、ローズベンガル、チオニン、エオシン、テトラフェニルポルフィン、フタロシアニン系色素、金属ポルフィンのいずれか一以上であることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、一重項酸素生成の量子収率等を考慮して、光増感剤の具体的な種類が特定される。
【0011】
また、請求項3は、請求項1又は2記載のフィルターにおいて、光増感剤の付着量が、0.05〜5g/mであることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、一重項酸素の発生効率を高める観点から、光増感剤の付着量が最適化される。
【0013】
また、請求項4は、請求項1〜3のいずれか記載のフィルターにおいて、光照射が、自然光により行われることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、自然光を利用して光増感剤を励起するため、エネルギーを消費することなく有害物質の分解が行われる。
【0015】
また、請求項5は、請求項1〜3のいずれか記載のフィルターにおいて、光照射が、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ナトリウムランプ、タングステンハロゲンランプ、白熱灯、蛍光灯、又はLEDにより行われることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、各種光源をフィルターの近傍に設置して光増感剤を励起するので、一重項酸素が効率良く発生する。
【0017】
また、請求項6は、請求項1〜5のいずれか記載のフィルターにおいて、フィルターを構成する繊維が、アクリル繊維、ポリエステル繊維、又はポリエチレン繊維であって透明性を有するものであることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、透明性を有する繊維でフィルターを構成することにより、光増感剤に照射される光量が増加して、一重項酸素がより効率良く生成する。
【0019】
さらに、請求項7は、請求項1〜5のいずれか記載のフィルターにおいて、フィルターを構成する繊維が、生分解性の繊維であることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、フィルターを土中に廃棄した場合に、基材が分解して環境に悪影響を与えないとともに、光増感剤から生成する一重項酸素が土中のPCB等の有害物質に作用して分解する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルターの一例を図1に示す。図1に示すように、本発明に係るフィルター1は、光照射により一重項酸素を生成可能な光増感剤11を基材に付着させて概略構成されている。光増感剤11は、通常、基材を構成する繊維10の表面を被覆するように付着しているが、繊維10の内部に一部含まれる場合もある。
【0022】
光増感剤11は、光照射を受けると励起され、そのエネルギーによって近傍に存在する酸素を活性化し、一重項酸素に変換するものである。一重項酸素()とは、スーパーオキシドラジカル(O )、ヒドロキシラジカル(OH・)等ともに活性酸素種の一種であり、酸化力に富むので、フィルターを通過するホルムアルデヒド、SOx、NOx等の有害化学物質や細菌類、悪臭物質を効果的に分解除去することができる。また、一重項酸素の寿命は、周囲の環境にもよるが4msec程度と短いため、発生箇所から数mm〜数cm程度までしか到達せず、それゆえに環境に悪影響を与えない。
【0023】
光増感剤11としては、光照射により励起して一重項酸素を生成可能な物質であれば適用可能である。具体的には、メチレンブルー、ローズベンガル、チオニン、エオシン、テトラフェニルポルフィン、フタロシアニン系色素、金属ポルフィン等の有機色素や金属錯体、又はこれらの混合物が挙げられる。その中でも、メチレンブルー、及びローズベンガルは、三重項酸素生成の量子収率及び一重項酸素生成の量子収率が高いため、特に好ましく用いられる。なお、上記のような光増感剤は、いずれも食品添加物、化粧品、医薬品等に従来使用されている色素であり、安全性が高いものである。
【0024】
また、光増感剤11は、必要に応じて、分子中にキレート基を導入することができる。これにより、後述のようにフィルター1を土中に廃棄した場合に、重金属に配位して錯体を形成し、固定化することができる。
【0025】
光増感剤11を付着させるフィルター1の基材としては、各種繊維からなる不織布、織布等を用いることができる。繊維10の種類としては、通常フィルターとして使用される材料であれば適用可能であり、例えば、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ビニリデン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ビスコースレーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、綿、絹等の天然繊維、あるいはこれらの複合繊維を挙げることができる。その中でも、透明性を有するアクリル繊維、ポリエステル繊維、又はポリエチレン繊維は好適に用いられる。繊維10が透明であると、光が繊維10を通して、あるいは繊維10により反射されて光増感剤11に照射されるので、光増感剤11に照射される光量が増加し、一重項酸素の生成効率を高めることができる。
【0026】
また、繊維10として、生分解性の繊維を好適に用いることができる。これにより、フィルター1を土中に廃棄した場合に、繊維が分解して環境に悪影響を与えないとともに、太陽等からの光照射を受けて、光増感剤11がなおも一重項酸素を生成し、例えばPCB、ダイオキシン、トリクロロエタン等の有害物質を分解、無害化することができる。それゆえ、フィルターとしての使用から廃棄後まで総合的に環境の浄化に貢献することができる。
生分解性の繊維としては、従来知られた種々の繊維を適用することができ、例として、綿、絹、レーヨン、キュプラ等の天然系の繊維や、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酢酸、あるいはキトサン、澱粉、竹等を原料とする繊維等を挙げることができる。
【0027】
繊維10の径は、フィルターの用途等を考慮して適宜選択することができる。一般的には、0.5〜10μm程度が好ましい。繊維径が0.5μm未満であると、剛性が低下し、また単位面積当りの本数が多くなって圧力損失が大きくなる傾向がある。また、10μmを超えると、繊維本数が少なくなり、捕集効率が低下する場合があるので好ましくない。
【0028】
上記繊維から不織布、織布等を形成するに際しては、その方法は従来知られた一般的な方法を適宜採用することができる。例えば、不織布の作製法として、スパンボンド法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法等を挙げることができる。
【0029】
フィルター1の目付は、10〜100g/mが好ましく、より好ましくは20〜80g/mである。目付が10g/m未満であると、剛性が低くプリーツ加工性が悪くなる。また、光増感剤11と酸素とが接触し難くなり、一重項酸素の生成効率が低下する傾向がある。また、100g/mを超えると、通気性を損なうため好ましくない。
【0030】
フィルター1の通気度は、用途等に応じて適宜設定することができる。具体的には、10〜1500cc/cm/sec程度とすることが好ましい。10cc/cm/sec未満であると、フィルターとしての通気性が悪くなり、逆に1500cc/cm/secを超えると、光増感剤11と酸素とが十分に接触せず、一重項酸素の生成効率が低下するため不適である。
【0031】
フィルター1の厚みは、厚過ぎると圧力損失が大きくなり、また、付着した光増感剤11に光が十分に行き渡らず、それゆえ一重項酸素の生成効率が低下するため不適である。逆に薄過ぎると、剛性が低くプリーツ加工性が悪くなり、また光増感剤11の付着量が減って一重項酸素の生成効率がやはり低下するため、これらのバランスを考慮して適宜設定される。具体的には、0.1〜2mm程度とすることが好ましく、就中0.5〜1.5mmである。なお、フィルター1の基材として、織布又は不織布以外にも、3次元的に網目を形成した構造体を用いることができる。この場合には、光増感剤11を構造体の内部まで付着させても、光が網目を通して内部まで到達し一重項酸素を生成可能であるため、上記厚み範囲に関わらず、厚みを大きくすることができる。
【0032】
光増感剤11を付着させる方法は、例えば、基材となる不織布等に塗布する方法、含浸させる方法、繊維10に練り込む方法等を適宜選択できる。また、塗布又は含浸させる際には、ディップコーター、スプレーコーター等の各種コーターを用いることができる。
【0033】
具体的には、例えば、光増感剤11を水、アルコール等と混合して溶液を作製し、その溶液を基材に塗布・含浸させ、その後乾燥させることにより付着させることができる。また、必要に応じて、各種バインダー、pH調整剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を併用しても良い。バインダーの例としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の共重合体、澱粉等の天然高分子、カルボキシメチルセルロース等の変性高分子、あるいはヘクトライト、モンモリロナイト、カオリナイト等の天然粘土鉱物、コロイダルシリカ、コロイダルアルミ等の無機系バインダーを挙げることができ、特に光増感剤11への光照射を阻害しないよう透明性を有し、耐候性に優れるものが好ましい。
【0034】
フィルター1における光増感剤11の付着量は、少な過ぎると一重項酸素が十分に生成しないため不適であり、逆に多過ぎても、励起した光増感剤11の自己消光によって一重項酸素の生成効率はむしろ低下する場合がある。それゆえ、これらのバランスを考慮して適宜設定することが好ましい。具体的には、光増感剤11の種類によっても異なるが、0.05〜5g/m、就中0.5〜2g/m程度の付着量とすることが好ましい。
【0035】
フィルター1は、太陽からの自然光が照射されるように構成することにより一重項酸素を生成可能である。また、自然光を利用するのではなく、又は自然光とともに、フィルター1の近傍に人工光源を設置し、あるいは人工光源をフィルター1中に埋め込み、その光源からの光を照射しても良い。光源は、光増感剤11の吸収波長を考慮して適宜選択することができ、具体的には、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ナトリウムランプ、タングステンハロゲンランプ、白熱灯、蛍光灯、LED等を挙げることができる。特に、光増感剤11としてメチレンブルーを用いる場合はタングステンハロゲンランプが、またローズベンガルを用いる場合は高圧水銀ランプが、一重項酸素の生成効率が高いため好適に用いられる。
【0036】
フィルター1は、必要に応じて、エレクトレット化処理を施すことができる。これにより、タバコの煙や自動車の排気ガス等の微細な粉塵を静電気力によって効率良く捕集し、表面に保持することができる。したがって、捕集した物質と一重項酸素とを十分な時間反応させることができ、有害物質の分解除去能を高めることができる。エレクトレット化する手段としては、従来知られた方法を適宜採用することができ、具体的には、フィルター1を電極上に設置し、その上から針電極又はワイヤー電極で高電圧を印加し、コロナ放電を行う方法により好適に行うことができる。その他、熱エレクトレット、ラジオエレクトレット、メカノエレクトレット、フォトエレクトレット、マグネットエレクトレット等の手段に拠っても良い。
【0037】
フィルター1が、十分に薄くない場合、例えば3次元的で嵩高い基材を用いる場合には、コロナ放電等によるエレクトレット化処理では安定した分極が得られないことがある。そのような場合には、例えば、フィルムをコロナ放電等によりエレクトレット化し、そのフィルムを繊維状に断裁し、その繊維でフィルターを形成する方法や、紡糸時に高電圧を印加してエレクトレット化した繊維を作製し、その繊維でフィルターを形成する方法等により十分に帯電させることができる。
【0038】
フィルター1には、光増感剤11の機能を損なわない範囲で、各種の吸着剤を付着させることができる。吸着剤としては、活性炭、天然もしくは合成ゼオライト、シリカ、タルク、活性アルミナ、活性白土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸塩、及びこれらの混合物等を挙げることができる。また、吸着剤は、多孔質であることが好ましい。多孔質であると、表面積が大きくなり吸着能が向上するとともに、光増感剤11の担体としても機能し、表面に光増感剤11を微細に分散吸着させることができるので、光を取り込みやすくなり、一重項酸素の生成効率が向上する。
【0039】
上記吸着剤をフィルター1に付着させる方法としては、フィルター表面に塗布する方法、含浸させる方法、あるいは繊維10に練り込む方法等により適宜行うことができる。特に、塗布又は含浸による方法が好ましい。なお、吸着剤を付着させる工程は、光増感剤10を付着させる工程の前後いずれでも良いが、光増感剤11の付着工程を後に行う方が、光増感剤11が外部に対し露出した状態になり易いため好ましい。
【0040】
フィルター1には、上記吸着剤の他にも、光増感剤11の機能を損なわない範囲で、さらに公知の抗菌剤、消臭剤、防カビ剤、吸湿剤、調湿剤、乾燥剤、芳香剤、抗ウイルス剤、防虫剤等の各種薬剤を付着させることができる。具体的には、抗菌剤として、銀、亜鉛、リン酸カルシウム等を含む無機抗菌剤、ベンズイミダゾール系、クロロヘキシジン系、イソチアゾリン系、ピリチオン系、キチン・キトサン等の有機・高分子系抗菌剤、茶や柿等から抽出されるカテキン、孟宗竹抽出エキス、ヒノキチオール等の天然物由来の抗菌剤、及びこれらの混合物が挙げられる。また、消臭剤としては、カテキン、タンニン、フラボノイド等を用いたもの等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。付着させる方法は、上述の吸着剤の場合と同様の方法により行うことができる。
【0041】
本発明のフィルター1は、分解除去能に優れることから長期間使用することができるが、硫酸イオンや硝酸イオン等が付着することにより一重項酸素の生成効率が次第に低下する場合がある。そのような場合にイオンを除去して機能を回復できるように、フィルター1は水洗可能であることが好ましい。水洗可能とするためには、フィルター1の基材である不織布等として耐水性を有するものを使用し、また、光増感剤11が水中に流出しないように確実に付着させることが好ましい。
【0042】
また、フィルター1は、図1のごとく平面状のまま使用しても良いが、必要に応じてブリーツ加工を施しても良い。これにより、表面積を増加させて塵埃の捕集能を高め、一重項酸素による無害化処理をより効率良く行うことができる。
【0043】
なお、本発明のフィルター1は、酸素ないし空気が自然風として接触・通過するだけで一重項酸素を生成させることができるが、より有害物質の処理効率を高めるために必要に応じて、強制的に通気することもできる。通気する手段は特に限定されるものではなく、例えば軸流型、プロペラ型、ターボ型、シロッコ型、ラジアル型、クロスフロー型等の各種ファンモータと組み合わせる方法、換気扇等の排気ファンやエアコン等の空調機から送られる風を利用する方法、熱対流を利用する方法、自動車の移動に伴い生じる気流を利用する方法、イオン風(無声放電方式を用いて生成される、マイナスイオンとオゾンとを含む空気)を導入する方法等を挙げることができる。
【0044】
さらに、本発明のフィルター1は、例えば、エレクトレットフィルター等の、各種の除塵フィルター、抗菌フィルター、及び脱臭フィルター等の他のフィルターと適宜併用することができる。併用する場合には、これらの各種フィルターと本発明のフィルター1とを貼り合わせたり、又は枠付け加工時に一緒に取り付けて複合フィルターとして使用することができる。なお、一重項酸素を確実に生成させるため、フィルター1の表面に照射される光は阻害しないことが望ましい。また、上述のように、フィルター1の近傍に人工光源を配置する場合には、図2に示すように、本発明のフィルター1と他のフィルター2との間に配置することができる。この場合の人工光源3としては、LED等の熱を発生しないものが好適である。なお、LED等の点光源は、光拡散板・散光板等と組み合わせることにより、フィルター1に均一に光照射されるようにしても良い。この他、図3に示すように、LED等の人工光源3をフィルター1中に埋め込んでも良い。
【0045】
以上のように本発明のフィルター1は、空気清浄化フィルター等の、気体をろ過する目的で主に使用されるが、その他にも、土壌浄化用のフィルター、あるいは熱帯魚等の水槽浄化用等、水中に設置するフィルターとしても使用することができる。これにより、PCB、ダイオキシン、トリクロロエタン、DDT、ビスフェノール、ノニフェノール、アセトアルデヒド、トリハロメタン、魚類病原菌等の、土壌・水中に残留する有害物質を好適に除去することができる。
【0046】
【実施例】
次に、実施例及び参考例により本発明をさらに詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、繊維径15μm、繊維長20〜80mmの透明なポリエステル繊維を、カード機によって開繊して繊維ウェブを形成し、クロスワイヤーにより交差積層させて、繊維目付35g/m、厚さ約1mm、大きさ75cmの不織布を得た。
続いて、光増感剤として粒径3〜5μmのメチレンブルーを、メタノールに溶解させて5wt%の溶液とし、この溶液に上記の不織布を浸漬して引き上げ、80℃で1時間乾燥させることによって、光増感剤が付着した目的のフィルターを得た。フィルターに対する光増感剤の付着量は、約1.5g/mであった。
【0047】
次に、得られたフィルターについて、ホルムアルデヒドの分解能を測定した。試験方法は、まず、透明なアクリル製の実験チャンバー(容積3.4m、1.5m×1.5m×1.5m)を作製し、このチャンバー内に、上記フィルターを備えた空気清浄機を設置した。続いて、ホルムアルデヒドを所定濃度になるように導入後、空気清浄機を運転し、1時間経過毎のチャンバー内のホルムアルデヒド濃度を測定した。なお、フィルターは、チャンバー外からの自然光がフィルターの一方の面に均一に当たるように設置した。また、チャンバー内の空気を均一に拡散させるため、小型ファンを内部に設置した。さらに、チャンバー内の温湿度は常時モニターし、約25℃、30%から大きく変化しないことを確認した。ホルムアルデヒドは、標準ガス発生器を用いてホルマリン溶液から揮発導入し、チャンバー内の初期濃度を厚生労働省指針値を上回る0.18〜0.20ppmの範囲に設定した。ホルムアルデヒドの濃度設定は、DNPH−Active法により行った。
実験の結果、ホルムアルデヒドの濃度は、1時間以内に半減し、8時間経過時点で測定限界を下回った。これにより、本発明のフィルターはホルムアルデヒドを効果的に分解除去することがわかった。
【0048】
(実施例2)
メチレンブルーを、粒径約5μmのローズベンガル(フィルターに対する付着量は1.0g/m)に替えた以外は、上記実施例1と同様にして目的のフィルターを作製した。得られたフィルターについて、上記と同様の試験を行った。なお、チャンバー内には高圧水銀ランプを設置し、フィルター面に照射されるようにした。その結果、1時間以内にホルムアルデヒドはほぼ消失することがわかった。
【0049】
(参考例1)
上記実施例1で作製したフィルターについて、一重項酸素の生成量を測定した。測定方法は、まず、2,3−ジメチルインドール(DMI)20mmolをエチレングリコール500mlに溶解させ、その溶液内にフィルターを設置し、溶液底面から酸素を300ml/minの流速で吹き込み、生成した一重項酸素によってDMIが2−アセチルアセトアミドに変換された量を液体クロマトグラフィーにより測定し、その変換量から一重項酸素の生成量を定量した。なお、フィルターの近傍にタングステン・ハロゲンランプを設置し、測定中にフィルター面に照射されるようにした。その結果、10分間で、約2mmolの一重項酸素が生成していることがわかった。
【0050】
【発明の効果】
以上、本発明に係るフィルターは、光増感剤を付着させたことにより、反応性に富む一重項酸素を発生させ、フィルターを通過する悪臭成分、有害化学物質を分解し無害化することができる。
このフィルターを工場や室内等に設置すれば、例えばホルムアルデヒドや、SOx、NOx等の有害物質を強力に分解除去することができ、環境の浄化に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフィルターの一例を示す拡大図である。
【図2】人工光源の配置位置の一例を示す図である。
【図3】人工光源の配置位置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 フィルター
10 繊維
11 光増感剤
2 他のフィルター
3 人工光源

Claims (7)

  1. 光照射により一重項酸素を生成可能な光増感剤を付着させてなるフィルター。
  2. 請求項1記載のフィルターにおいて、光増感剤が、メチレンブルー、ローズベンガル、チオニン、エオシン、テトラフェニルポルフィン、フタロシアニン系色素、金属ポルフィンのいずれか一以上であることを特徴とするフィルター。
  3. 請求項1又は2記載のフィルターにおいて、光増感剤の付着量が、0.05〜5g/mであることを特徴とするフィルター。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載のフィルターにおいて、光照射が、自然光により行われることを特徴とするフィルター。
  5. 請求項1〜3のいずれか記載のフィルターにおいて、光照射が、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ナトリウムランプ、タングステンハロゲンランプ、白熱灯、蛍光灯、又はLEDにより行われることを特徴とするフィルター。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載のフィルターにおいて、フィルターを構成する繊維が、アクリル繊維、ポリエステル繊維、又はポリエチレン繊維であって透明性を有するものであることを特徴とするフィルター。
  7. 請求項1〜5のいずれか記載のフィルターにおいて、フィルターを構成する繊維が、生分解性の繊維であることを特徴とするフィルター。
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