JP3851443B2 - 光触媒体及びこれを含有してなる光触媒性組成物 - Google Patents

光触媒体及びこれを含有してなる光触媒性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン酸カルシウム系化合物を担体として、光触媒作用のある酸化チタンを担持せしめた光触媒体及び該光触媒体を含有してなる光触媒性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化チタンからなる光触媒体材料にバンドギャップ以上のネルギーを持つ波長の光を照射すると、光励起により伝導帯に電子を、価電子帯に正孔を生じるが、この光励起して生成する電子と正孔の高い還元力および酸化力を利用して、抗菌抗黴性、防汚性、有機物の分解あるいは脱臭、NOx低減能などの用途への利用が各方面から提案されている。また、該酸化チタンは、粉末として取り出す場合、1次粒子径が小さいため粒子間の相互作用により凝集度が大きくなるため、加工性、コスト面から1次粒子径を保持したゾルまたはスラリーのものも用いられている。
【0003】
しかしながら、タイルやセラミックなど無機系材料においては、直接、該酸化チタン粉末又はゾル、スラリーを塗布焼結し密着させればよいが、例えばプラスチックス、ゴム、紙、塗料などの有機系材料を含む用途に配合した場合、酸化チタンの強い酸化力が、着色や劣化等を引き起こす点等の問題がある。このような劣化に対して、特開平2−280818号公報や特開平3−94814号公報では、セラミック繊維等の無機系材料を使用しているが、有機系材料は使用できないため素材の自由性が著しく制限されてしまう。
【0004】
一方、リン酸カルシウム系化合物に代表されるハイドロキシアパタイトは、研磨剤、製紙用顔料もしくは填剤、塗料用顔料、プラスチックス、ゴム又はフィルム用填剤、食品添加剤、化粧品などに有用である他、むし歯予防歯磨き剤として実用化されており、また生化学の分野でアミノ酸やタンパク質等の特異的吸着剤として利用されている。
【0005】
また、各種銀系抗菌剤の一つとしてもアパタイトが提案されており、特開平8−165208号公報では、0.3μm以下のセラミックス抗菌剤に光触媒酸化チタンを併用混合させる方法が提案されているが、そのようなハイドロキシアパタイト抗菌剤は、銀イオンを焼成して金属銀にするため比表面積が低下してしまう上に、一次粒子が凝集したコロイド状と小さく、各種媒体ミルで酸化チタンを混合した場合、凝集したハイドロキシアパタイト内に酸化チタンが取り込まれ光触媒作用の効率が低下する等の問題点が多い。また、各種バインダーを添加したり、スプレードライヤー等を用いて造粒又は顆粒にしたものに対しても、前記したように酸化チタンが造粒粒子中に取り込まれる結果、光による触媒作用が低下するばかりでなく、均一で微粒な粒子を作成することはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の欠点を克服するため、有機系材料の劣化を抑制し、NOx等の有害物質を吸収し、且つ光触媒作用で分解促進を同時に満たす光触媒体を簡便かつ安価に提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、リン酸カルシウム系化合物を担体とし、該担体に光触媒酸化チタンを担持せしめた光触媒体を用いることによりその目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の第1は、リン酸カルシウム系化合物からなる担体に光触媒酸化チタンを担持せしめてなり、下記の式を満足することを特徴とする光触媒体を内容とする。
(a)0.1≦dx1≦20(μm)
(b)0.01≦dx2≦1(μm)
(c)50≦Sw1≦500(m2/g)
但し、
dx1:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)
dx2:水銀圧入法により測定した細孔分布により求めた粒子の平均細孔径(μm)
Sw1:窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)
本発明の第2は、上記光触媒体を含有してなる光触媒性組成物を内容とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる酸化チタンは、光触媒作用のあるものなら特に制限されないが、1次粒子径が小さいほど少量で効果があり触媒作用も高くなることから、好ましくは透過型電子顕微鏡(TEM)写真により測定した平均粒子径dx3が0.05μm以下が好ましく、1次粒子径が分散保持されたゾルまたはスラリーが好適である。更には、後述する水銀圧入法により測定した細孔分布により求めた粒子の平均細孔径dx2以下であることが好ましい。結晶形態はアナターゼ型及びルチル型のどちらでも構わないが、アナターゼ型の方がバンドギャップが大きく、触媒作用が高いためより好ましい。
【0010】
本発明で担体として使用するリン酸カルシウム系化合物は、特開平9−25108号公報で開示されているものが例示される。また、リン酸カルシウム系化合物として特に制限はないが、非晶質リン酸カルシウム(ACP)、リン酸三カルシウム(TCP)、リン酸水素カルシウム(DCP)、リン酸水素カルシウム二水和物(DCPD)、フッ素アパタイト(FCP)、塩素アパタイト(CAP)、Ca10(PO4 6 (OH)2 で表されるヒドロキシアパタイト(HAP)等が例示でき、これらは単独又は2種以上組み合わせて使用されるが、安定性が最も高いヒドロキシアパタイトが特に好適である。
本発明における酸化チタンのリン酸カルシウム系化合物への担持方法は、前記公報に記載のごとく作成したリン酸カルシウム系化合物スラリーに酸化チタンを添加すればよい。担体に対する酸化チタンの担持量は、多いほど光触媒作用が得られやすいが、担体の1次粒子径によっても異なるが、通常1〜100重量%、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%である。1重量%未満では、光触媒効果を十分に発揮させることができず、100重量%を越えると、コスト高になるばかりか、酸化チタンを十分担持できず、脱落の原因や担体粒子の均一性、比表面積に悪影響及ぼす傾向がある。
【0011】
本発明の光触媒体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定した粒子の平均粒子径dx1は、0.1〜20μmである。平均粒子径dx1が0.1未満になると1次粒子径の分散性が保持できず、凝集して酸化チタンを均一にあるいは十分に担持できず、満足な光触媒作用を得ることができない。また、20μmを越える場合は、光触媒作用においては別段問題ないが、特に合成樹脂用途において成形品の表面が荒れてしまったり、粒子が脱落し易いため用途が限定される。更に、本発明の光触媒体は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定した粒子表面に存在する平均細孔径dx4が、0.01〜1μmであることが好ましい。
【0012】
本発明の光触媒体の水銀圧入法により測定した細孔分布により求めた粒子の平均細孔径dx2は、0.01〜1μmである。平均細孔径が0.01μm未満の場合は、酸化チタンを担持保持することができず、脱落等の原因になる。また、1μmを越える場合は、逆に孔が大き過ぎるため、酸化チタンを均一に担持せしめるためには酸化チタンの量が多くなり、コスト高になるばかりでなく、十分に担持保持できず脱落等の原因になる。
【0013】
本発明の光触媒体の窒素吸着法によるBET比表面積は、50〜500(m2/g)である。BET比表面積が50(m2/g)未満の場合は、有害物質等の吸着性あるいは良好な担持が得られない。また、500(m2/g)を越える場合は、吸着性が高くなり過ぎ、酸化チタンを均一担持せしめるためには多量の酸化チタンが必要なためコスト高になるばかりでなく、酸化チタンが担体の奥に入りこんでしまい十分な触媒作用が得られい。
【0014】
また、本発明の効果を一層高める目的から、光触媒体は以下の式(e)〜(h)の特徴を兼備することが好ましい。
(g)1≦α≦5 但し α=d50/dx1
(h)0≦β≦2 但し β=(d90−d10)/d50
(i)95≦ω1≦99(%)
(j)70≦ω2≦95(%)
但し、
α :分散係数
d50:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した粒子の50%平均粒子径(μm)
β :シャープネス
d90:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した粒子のふるい通過側累計90%粒子径(μm)
d10:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した粒子のふるい通過側累計10%粒子径(μm)
ω1 :JISK5101−91 20.1 顔料試験方法の静置法による見掛け比容(ml/g)を測定し、下記の式(h)により計算した静置空隙率(%)
ω2:試料0.5gを断面積2cm2 の円筒に充填し、30kg/cm2 の圧力で30秒間加圧し、その厚みをノギスで測定し、下記の式(i)より計算した加圧空隙率(%)
【0015】
本発明の、酸化チタンを担持したリン酸カルシウム系化合物からなる光触媒体は、分散性、安定性等、耐候性をさらに高めるため、あるいは目的用途に応じ、繊維素化合物、シロキサン化合物、脂肪酸、樹脂酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、燐酸、縮合燐酸、フッソ酸等の無機酸、それら有機酸、無機酸のポリマー、それら有機酸、無機酸の塩、又はそれら有機酸、無機酸のエステル類等の表面処理剤、界面活性剤等の分散剤、チタネートカップリング剤、シランカッブリング剤等のカップリング剤、界面活性剤等の分散剤、光安定剤等を1種又は2種以上用い、常法に従い添加又は表面処理しても差し支えない。また、リン酸カルシウム系化合物担体と酸化チタンとの固着力を一層高めるため、無機系接着剤、有機系接着剤等の各種バインダーを使用しても差し支えない。更にAg、Cu等を含む抗菌性を有する金属もしくは酸化物や錯体物等、又は光触媒作用を助長させる目的で、シリカ等の高比表面積の粉末の添加、Al等の3価元素ドーピング等に併用しても何ら差し支えない。
【0016】
本発明の光触媒体は、脱水濃縮した後、乾燥解砕し、粉末にして各種用途に用いることができることはもちろん、用途に応じて水スラリーの状態、あるいは他の溶媒系でのスラリーとしても有用である。
【0017】
酸化チタンとリン酸カルシウム系化合物担体の固着力及び光触媒作用がさらに高くなるように、前記した方法で粉末化させたものを200〜800℃、好ましくは200〜700℃、より好ましくは200〜500℃、さらに好ましくは200〜300℃で熱処理すると一層効果的である。焼成温度が700℃を越える場合は、担体の比表面積が著しく低下するだけでなく酸化チタンの結晶形態がアナターゼ−型からルチル型に転位してしまい光触媒作用の効率も低下するので700℃以下が好ましい。また焼成温度が200℃未満では、十分な焼成効果が得られない。
【0018】
本発明の光触媒体は、合成樹脂やコーティング材料等に配合され光触媒性組成物とされる。合成樹脂としては特に限定されないが、特に有用である合成樹脂として、熱可塑性樹脂では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸アミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、熱硬化性樹脂ではフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、珪素樹脂等が挙げられる。また、フィルム、繊維用途に関しては、特にポリオレフィンや飽和ポリエステル、ポリエチレンが好適である。合成樹脂製品としては具体的には、プラスチック成形品、塗料、シーラント、インク等であり、その他、製紙、ゴム、天然繊維等に使用可能である。
【0019】
本発明の光触媒体は、工業用途あるいは抗菌用途に用いられる他の粒子、例えば工業用途では、酸化チタン、タルク、シリカ、硫酸バリウム等、抗菌用途では銀、硝酸銀、銅等の銀や銅系の化合物、遠赤外線放射物質等を併用しても何ら差し支えない。
本発明の光触媒体は、優れた吸収(着)性と分解性とを長期に亘って持続し、合成樹脂等に練り込まれたり、コーティング材料に配合され合成樹脂成形品等にコーティングされることにより、抗菌性、抗臭性、空気浄化性等に優れた照明カバー、ガラス、空調機、建築資材、サニタリー、トイレタリー等を提供することができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例、比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0021】
実施例及び比較例に使用する炭酸カルシウムの水懸濁液A及びBの調製方法
炭酸カルシウムの水懸濁液A
比重1.055で温度が8℃の石灰乳(水酸化カルシウムの水懸濁液)7000リッターに、炭酸ガス濃度27重量%の炉ガスを24m3 の流速で導通しpH9まで炭酸化反応を行い、その後40〜50℃で5時間攪拌熟成を行うことにより粒子間のアルカリを溶出させpH10.8として分散させ、電子顕微鏡写真より測定した平均粒子径0.05μmで粒度分布測定器(株式会社島津製作所製SA−CP3)により測定した平均粒子径が0.48μmである炭酸カルシウムの水懸濁液Aを調製した。
【0022】
炭酸カルシウムの水懸濁液B
丸尾カルシウム株式会社製重質炭酸カルシウム「スーパーSSS」(1.2m2/g)に水を添加混合後、TKホモミキサー(5000rpm,15分間)にて攪拌分散させて固形分濃度25重量%の電子顕微鏡写真より測定した平均粒子径3μmで粒度分布測定器(株式会社島津製作所製SA−CP3)により測定した平均粒子径が3.4μmである炭酸カルシウムの水懸濁液Bを調製した。
【0023】
実施例1〜3及び比較例1〜5
表1、表2に記載した原料及び混合条件に従い、邪魔板付きで、直径0.6mのタービン羽根1枚の攪拌機付きの0.4m3ステンレスタンクに、希釈により濃度を調整及び温調した上記炭酸カルシウムA、Bの水懸濁液を投入し、攪拌下において燐酸の希釈水溶液を滴下混合し、表1、表2に記載した熟成条件に従い撹拌を行いながら熟成した。熟成終了後、表1、表2に記載した条件で撹拌しながら光触媒酸化チタンを添加し、担持せしめた。常法に従い、脱水、乾燥を行うことにより粒子表面が花弁状多孔質ヒドロキシアパタイトで被覆された粒子に該酸化チタンを担持した粒子D1〜D3(実施例1〜3)とE1、E2(比較例1、2)を調製した。また、光触媒酸化チタンを添加しないこと以外は、D1〜D3と同様の方法で作成したリン酸カルシウム系化合物粒子F1〜F3(比較例3〜5)を調製した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
実施例1〜3で調製された粒子D1〜D3の粉体物性を表3に、比較例1、2で調製された粒子E1、E2及び比較例3〜4で調製された粒子F1〜F3の粉体物性を表4に示す。表3より、本発明の光触媒体である粒子D1〜D3は、優れた粒子の均一性、分散性と高い比表面積、空隙率を持つことが確認される。
【0027】
また、本発明の光触媒体の担体であるリン酸カルシウム化合物を構成する花弁状多孔質粒子の組成と市販のヒドロキシアパタイトを比較するために、実施例1の粒子D1のSEM写真(10000倍)を図1に示す。図1より、本発明で得られた粒子は、花弁状構造を有していることが確認される。
また、X線回折より粒子D1の組成は、リン酸カルシウム系化合物と炭酸カルシウム(カルサイト)の他、微量のアナターゼ型酸化チタン以外は認められなかった。また、リン酸カルシウム系化合物の主成分はヒドロキシアパタイト(HAP)であることが確認された。
【0028】
実施例4、5
実施例1で調製した粒子D1を常法の方法で濾過水洗後、各々温度250℃、800℃にて1時間熱処理を行った
得られた粒子D4、D5の粉体物性を表3に示す。表3より、本発明の光触媒体である粒子D4、D5は、優れた粒子の均一性、分散性と高い比表面積、空隙率を持つことが確認される。
また、粒子D4、D5をSEM写真で観察したところ、実施例1で得たD1の粒子と全く同じであることが確認された。さらにX線回折より、D4、D5の順でリン酸カルシウム系化合物及び酸化チタンの強度が大きくなっていることが認められた。さらに、D5の酸化チタンは一部ルチル型に転位していることが認められた。
【0029】
実施例6
光触媒酸化チタンを150重量%添加したこと以外は、実施例1と同様の製法で粒子D6のスラリーを得た。
粒子D6の粉体物性を表3に示す。表3より、本発明の光触媒体である粒子D6は、優れた粒子の均一性、分散性と高い比表面積、空隙率を持つことが確認できる。
また、粒子D6をSEM写真で観察したところ、実施例1で得たD1の粒子とほぼ同じであることが確認できた。さらにX線回折より、組成はリン酸カルシウム系化合物と炭酸カルシウム(カルサイト)の他、アナターゼ型酸化チタン以外認められなかった。また、リン酸カルシウム系化合物の主成分はヒドロキシアパタイト(HAP)であることが確認できた。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
比較例6〜8
表1の実施例1の担持混合条件に従い、市販のヒドロキシアパタイト(米山化学工業株式会社製)(比較例6)、市販の珪酸カルシウム(商品名:フローライトR、徳山曹達株式会社製)(比較例7)、市販のA型ゼオライト(触媒化成工業株式会社製)(比較例8)に酸化チタンを担持させた粒子G1〜G3を調製した。これらの物性について表5に示す。
【0033】
【表5】
【0034】
(1)担持性能の評価
実施例1〜6の粒子(D1〜D6)及び比較例1〜2の粒子(E1〜E2)、比較例6〜8の粒子(G1〜G3)の担持性能を確認するため、各水スラリーを常温にて24時間撹拌後、各水スラリーを常法に従って濾過後乾燥を行った後、酸化チタンの担持量を蛍光X線を用いて測定した。これらの結果を表6に示す。表6に示す通り、本発明の光触媒体である粒子D1〜D6は、水への溶出が低いことが確認できる。
【0035】
【表6】
【0036】
(2)配合有機物に対する分解性能評価
光触媒酸化チタン単独と、光触媒担持粒子との配合有機物に対する分解性能を比較するため、オレフィン系樹脂に光触媒酸化チタン単独を5重量%配合したフィルムと、同一量の酸化チタンを含むように実施例1〜6の粒子(D1〜D6)及び比較例1、2の粒子(E1、E2)、比較例6〜8の粒子(G1〜G3)を配合したフィルムとについて、担体のみの比較例3〜5の粒子(F1〜F3)を配合したフィルムをブランクとして、それぞれ屋外暴露にて引っ張り伸度の経時変化を測定した。これらの結果を表7に示す。表7に示す通り、本発明の光触媒体である粒子D1〜D6は酸化チタン単独と比べ樹脂への劣化度が低く、一定に保つことが確認できる。
【0037】
【表7】
【0038】
(3)臭気物質(アンモニア)の分解性評価
アンモニアを臭気物質として選択し、バイアル瓶中に上記(2)の実験で用いた各フィルムをそれぞれ一定量入れた。次いでアンモニアを一定量注入した後、均一になるよう気化させて、近紫外光(ブラックライト:2mW/cm2 )の照射有り又は無しの条件下で所定時間経過後のアンモニア濃度(初濃度300ppm )をガスクロマトグラフ(GC)により測定した。その結果を表8に示す。
表8に示す通り、本発明の光触媒体である粒子D1〜D6は、臭気物質をよく吸着・分解することが確認できる。
【0039】
【表8】
【0040】
(4)タバコの消臭性評価
下記に示す環境庁、悪臭防止法による6段階臭気強度表示法(スメラーテスト)に従い、タバコについての消臭性能をテストした。
【0041】
実験方法
▲1▼オレフィン系樹脂(ポリエチレン)に光触媒酸化チタン単独を30重量%配合したフィルムと、同一量の酸化チタンを含むように実施例1〜6の粒子(D1〜D6)及び比較例1、2の粒子(E1、E2)、比較例6〜8の粒子(G1〜G3)を配合したフィルムを準備し、また担体のみの比較例3〜5の粒子(F1〜F3)を配合したフィルムをブランクとして準備し、各々容積500ml三角フラスコ中にセットした。
▲2▼着火したタバコの煙を使用した。
▲3▼近紫外線照射(ブラックライト:2mW/cm2 )有り又は無しの条件下で、タバコの煙を30秒間、該三角フラスコに採取し、一定時間経過後の該三角フラスコ内の臭気を官能によって下記の基準により6段階評価した。
【0042】
5:強烈な臭い
4:強い臭い
3:楽に感知できる臭い
2:何の臭いかかかわる臭い
1:やっと感知できる臭い
0:無臭
結果を表9に示す。表9から本発明の光触媒体である粒子D1〜D6は、光末照射条件下においては消臭性能が低く、さらに黄色に着色したが、光照射条件下では長期に亘って優れた消臭性能を示し、また着色することなく、非常に優れていることが確認できる。
【0043】
【表9】
【0044】
(5)抗菌効果の評価
「酸化チタン光触媒の開発と環境・エネルギー分野への応用展開(株式会社技術情報協会発行)」の第185頁に記載の抗菌効果の測定法に準拠して、抗菌効果の評価を行った。
即ち、抗菌効果の無いバインダー樹脂に、光触媒酸化チタン単独をコーティングしたものと、同一量の酸化チタンを含むように実施例1〜6の粒子(D1〜D6)及び比較例1、2の粒子(E1、E2)、比較例6〜8の粒子(G1〜G3)をコーティングし、担体のみの比較例3〜5の粒子(F1〜F3)をコーティングしたものをブランクとして抗菌性を評価した。
表10の結果から明らかなように、本発明の光触媒体である粒子D1〜D6は、微弱な蛍光灯照射のもとで、酸化チタン単独とほぼ同等の抗菌効果が得られた。
【0045】
【表10】
【0046】
【発明の効果】
本発明の光触媒体は優れた吸収(着)性と分解性とを長期に亘って持続し、合成樹脂等に練り込まれたり、コーティング材料に配合され合成樹脂成形品等にコーティングされることにより、抗菌性、抗臭性、大気浄化性等に優れた照明カバー、ガラス、空調機、建築資材、サニタリー、トイレタリー等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた粒子D1の走査型電子顕微鏡写真(10000倍)である。

Claims (7)

  1. リン酸カルシウム系化合物からなる担体に光触媒酸化チタンを担持せしめてなり、下記の式を満足することを特徴とする光触媒体。
    (a)0.1≦dx1≦20(μm)
    (b)0.01≦dx2≦1(μm)
    (c)50≦Sw1≦500(m2/g)
    但し、
    dx1:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)
    dx2:水銀圧入法により測定した細孔分布により求めた粒子の平均細孔径(μm)
    Sw1:窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)
  2. リン酸カルシウム系化合物からなる担体に対して光触媒酸化チタンを1〜100重量%担持せしめた請求項1記載の光触媒体。
  3. 光触媒酸化チタンを担持せしめたリン酸カルシウム系化合物を200800℃で熱処理してなる請求項1記載の光触媒体。
  4. 光触媒酸化チタンを担持せしめたリン酸カルシウム系化合物を200700℃で熱処理してなる請求項1記載の光触媒体。
  5. 光触媒酸化チタンが下記の式を満足する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒体。
    (d)dx3≦0.05(μm)
    (e)dx3≦dx2
    但し、
    dx3:透過型電子顕微鏡(TEM)写真により測定した平均粒子径(μm)
  6. リン酸カルシウム系化合物が化学式Ca10(PO4 6 (OH)2 のヒドロキシアパタイトである請求項1〜のいずれか1項に記載の光触媒体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光触媒体を含有してなる光触媒性組成物。
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