JP2000271488A - 光触媒性ウィスカー及び光触媒性組成物 - Google Patents

光触媒性ウィスカー及び光触媒性組成物

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JP2000271488A
JP2000271488A JP11081175A JP8117599A JP2000271488A JP 2000271488 A JP2000271488 A JP 2000271488A JP 11081175 A JP11081175 A JP 11081175A JP 8117599 A JP8117599 A JP 8117599A JP 2000271488 A JP2000271488 A JP 2000271488A
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photocatalytic
whisker
whiskers
porous
titanium oxide
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JP11081175A
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English (en)
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Hidemitsu Kasahara
英充 笠原
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Maruo Calcium Co Ltd
Original Assignee
Maruo Calcium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料、ゴム、プラスチック、紙、繊維等に含
有させて使用することにより、悪臭や空気中の有害物質
除去、あるいは廃水処理や浄水処理などを行うための環
境浄化材料として有用な光触媒性ウィスカーを提供す
る。 【解決手段】 窒素吸着法によるBET比表面積値Sm
l(m2/g)が10〜300の範囲である多孔質ウィス
カーからなる担体に光触媒酸化チタンを担持せしめたこ
とを特徴とする

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒性ウィスカ
ー及び光触媒性組成物に関し、更に詳しくは、特に塗
料、ゴム、プラスチック、紙、繊維等に含有させて使用
することにより、悪臭や空気中の有害物質除去あるいは
廃水処理や浄水処理などを行うための環境浄化材料とし
て用いられる光触媒性ウィスカー及び光触媒性組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンから成る光触媒体材料にバン
ドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光を照射する
と光励起により、伝導帯に電子を価電子帯に正孔を生じ
るが、この光励起して生成する電子と正孔の高い還元力
および酸化力を利用して、抗菌抗黴性、防汚性、有機物
の分解あるいは脱臭、NOx低減能などの用途が各方面
から提案されている。しかしながら、該酸化チタンを、
例えば、プラスチックス、ゴム、紙、塗料などの有機系
材料を含む用途に配合した場合、酸化チタンの強い酸化
力が着色や劣化等を引き起こすという問題を有してい
る。このような問題を解決するために、特開平2−28
0818号公報や特開平3−94814号公報では、劣
化防止の方法として、セラミック繊維等の無機系材料を
使用しているが、有機系材料は使用できないため素材の
選択自由性が制限されてしまう。
【0003】一方、例えば、特開平3−88717号公
報で開示されているように、紙、ゴム、プラスチック、
塗料等に、高アスペクト比のウィスカーを充填すること
により、剛性、靱性、表面平滑性、寸歩安定性、耐摩耗
性に優れた効果があり、各種マトリックスに使用されて
いる。
【0004】また、特開平5−343124号公報で開
示されているように、該ウィスカーにリン酸処理を施す
ことにより、ウィスカー形状を保持した多孔質ウィスカ
ーが調製され、該多孔質ウィスカーを使用して、研磨
剤、製紙用顔料もしくは填剤、塗料用顔料、プラスチッ
クス、ゴム又はフィルム用填剤、食品添加剤、化粧品の
他、高い吸着性能を利用したカラムクロマトグラフィー
用充填剤、高い比表面積を利用した脱臭剤、除湿剤、徐
放体等の基剤としても実用化されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光触媒酸化
チタンの欠点である有機系材料の劣化を抑制し、また、
NOx等の有害物質を吸収し且つ光触媒作用で分解促進
する光触媒性ウィスカーを簡便かつ安価に提供するとと
もに、該ウィスカーを配合してなる光触媒性組成物を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、多孔質ウィスカーを担
体として用い、該担体に光触媒酸化チタンを担持せしめ
た光触媒体性ウィスカー及び該光触媒性ウィスカーを含
有してなる光触媒性組成物が所期の目的を達成し得るこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の第1は、窒素吸着法に
よるBET比表面積値Sml(m2/g)が10〜300
の範囲である多孔質ウィスカーからなる担体に光触媒酸
化チタンを担持せしめたことを特徴とする光触媒性ウィ
スカーを内容とする。
【0008】好ましい態様として請求項2は、光触媒性
ウィスカーが下記の式(a)、(b)及び(c)を満足
する請求項1記載の光触媒性ウィスカーである。 (a)1≦dw1≦1000(μm) (b)0.01≦dw2≦50μm(μm) (c)5≦dw1/dw2≦100 但し、 dw1:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定し
た光触媒性ウィスカーの平均長径(μm) dw2:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定し
た光触媒性ウィスカーの平均短径(μm) dw1/dw2:アスペクト比
【0009】好ましい態様として請求項3は、光触媒性
ウィスカーが下記の式(d)を満足する請求項1又は2
記載の光触媒性ウィスカーである。 (d)10≦Sw1≦500(m2/g) 但し、 Sw1:窒素吸着法による光触媒性ウィスカーのBET
比表面積値(m2/g)
【0010】好ましい態様として請求項4は、多孔質ウ
ィスカーが下記の式(e)を満足する請求項1〜3のい
ずれか1項に記載の光触媒性ウィスカーである。 (e)5≦Sm1/S1≦200 但し、 Sm1:窒素吸着法による多孔質ウィスカーのBET比
表面積(m2/g) S1:光触媒性ウィスカーの円柱状換算における理論比
表面積値(m2/g) 但し、理論比表面積値は、下記の計算式から算出され
る。 (1/w)/πr2 h×2πrh=2/πr(m2/g) w:粒子の真比重(JIS K5101に準する) r:走査型電子顕微鏡(SEM)写真で測定した平均短
径/2(μm)
【0011】好ましい態様として請求項5は、多孔質ウ
ィスカーがカルシウム化合物を主成分とする請求項1〜
4のいずれか1項に記載の光触媒性ウィスカーである。
【0012】好ましい態様として請求項6は、カルシウ
ム化合物が、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸
カルシウム及びケイ酸カルシウムからなる群から選ばれ
る少なくとも1種である請求項5記載の光触媒性ウィス
カーである。
【0013】好ましい態様として請求項7は、カルシウ
ム化合物のCa/Pの比が33.3以下のリン酸カルシ
ウム系化合物である請求項5又は6記載の光触媒性ウィ
スカーである。
【0014】好ましい態様として請求項8は、リン酸カ
ルシウム系化合物が化学式Ca10(PO4 6 (OH)
2 で表されるヒドロキシアパタイトが主成分である請求
項7記載の光触媒性ウィスカーである。
【0015】本発明の第2は、請求項1〜8のいずれか
1項に記載の光触媒性ウィスカーを配合してなる光触媒
性組成物である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる多孔質ウィス
カーとしては、窒素吸着法によるBET比表面積値Sm
l(m2/g)が10〜300の範囲であることを除いて
特に限定されない。Sm1が10m2/g未満では光触媒
酸化チタンを満足に担持できないばかりでなく、担体の
中に該酸化チタンが入り込めないため、例えば、紙、塗
料、ゴム、プラスチック等の基剤に添加した場合、該基
剤の劣化を促進させ、また300m2/gを越えると酸化
チタンを均一に担持せしめるためには、多量の酸化チタ
ンが必要なばかりでなく、担体の奥に担持されてしま
い、光を取り込めず、満足な活性効果が得られない。こ
のような多孔質ウィスカーは、例えば、前述した特開平
5−343124号公報に記載の如く、カルシウムを主
成分とする化合物が汎用性があり好適である。具体的に
は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、ウォラストナイトを含むケイ酸カルシウム等が挙げ
られ、これらは1種又は必要に応じ2種以上含有してい
ても特に問題はない。また、光触媒酸化チタンの吸着
性、合成樹脂等に添加した際の樹脂との親和性及び保護
性において、該カルシウム化合物に対して少なくともC
a/Pの比が33.3以下のリン酸カルシウム系化合物
であることが光触媒酸化チタンの良好な担持性の点で好
ましい。尚、Ca/Pの比は、カルシウム化合物と処理
したリン酸との量比をいう。また、比表面積計(NOV
A2000、ユアサアイオニクス株式会社製)で測定し
た比表面積値Smlを、SEM写真により測定したウィ
スカーを円柱状換算で導いた理論比表面積値Slで割っ
た値(Sw1/S1)が、5〜200であることが好ま
しく、さらに好ましくは10〜100、最も好ましくは
15〜70である。該値が5未満では光触媒酸化チタン
を満足に担持できないばかりでなく、担体の中に該酸化
チタンが入り込めないため、例えば、紙、塗料、ゴム、
プラスチック等の基剤に添加した場合、該基剤の劣化を
促進させる傾向があり、また200を越えると酸化チタ
ンを均一に担持せしめるためには、多量の酸化チタンが
必要なばかりでなく、担体の奥に担持されてしまい、光
を取り込めず、満足な活性効果が得られない傾向があ
る。
【0017】尚、リン酸カルシウム系化合物の結晶形態
としては特に限定されないが、非晶質リン酸カルシウム
(略号ACP、化学式Ca3 (PO4 2 ・nH
2 O)、フッ素アパタイト(略号FAP、化学式Ca10
(PO4 6 2 )、塩素アパタイト(略号CAP、化
学式Ca10(PO4 6 Cl2 )、ヒドロキシアパタイ
ト(略号HAP、化学式Ca10(PO4 6 (O
H)2 )、リン酸八カルシウム(略号OCP、化学式C
8 2 (PO4 6 ・5H2 O)、リン酸三カルシウ
ム(略号TCP、化学式Ca3 (PO4 2 )、リン酸
水素カルシウム(略号DCP、化学式CaHPO4 )、
リン酸水素カルシウム二水和物(略号DCPD、化学式
CaHPO4 ・2H2 O)等が例示でき、これらは1種
又は必要に応じ2種以上でもよく、中でも組成の安定性
が高いという観点から、ヒドロキシアパタイト、リン酸
八カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシ
ウムが好ましく、特にヒドロキシアパタイトが好適に用
いられる。
【0018】多孔質ウィスカーに担持させる光触媒酸化
チタンは特に限定されないが、微粒子である方が担持し
やすいので好ましい。担持させる光触媒酸化チタンの割
合については、多孔質ウィスカーの担持能力や所望の分
解能力によって異なるため一概には規定できないが、多
孔質ウィスカー100重量部に対して、通常1〜100
0重量部、好ましくは5〜100重量部、さらに好まし
くは10〜70重量部である。1重量部未満では、十分
な活性が発現されにくく、1000重量部を越えると、
例えば基剤に光触媒性ウィスカーを添加した場合、基剤
の保護効果が低下する可能性がある。多孔質ウィスカー
に光触媒酸化チタンを担持せしめた本発明の光触媒性ウ
ィスカーのサイズは特に限定されないが、平均長径dw
1は、1≦dw1≦1000(μm)が一般的に工業分
野で使用しやすい。1μm未満の場合、凝集しやすく、
また、ウィスカーの機能が十分に発現されない場合があ
る。1000μmを越えると、例えば、塗料に用いた場
合、沈降の原因や、吹き付けの際、目詰まりの原因にな
りやすく、利用分野が限定される傾向がある。特に好ま
しくは5≦dw1≦100(μm)、最も好ましくは1
0≦dw1≦50(μm)である。
【0019】また、光触媒性ウィスカーの平均短径dw
2は、0.01≦dw2≦50(μm)が一般的に工業
分野で使用しやすい。0.01μm未満の場合、例えば
塗料に使用した場合、毛玉状に凝集しやすく、増粘のた
めため作業性及び物性の面で支障をきたしやすく、50
μmを越えると、利用分野が限定される傾向があるばか
りでなく、ウィスカーの機能が十分に発現されない場合
がある。特に好ましくは0.1≦dw2≦10(μ
m)、最も好ましくは0.3≦dw2≦5(μm)であ
る。更に、光触媒性ウィスカーのアスペクト比(dw1
/dw2)は、5〜100が一般的に工業分野で使用し
やすい。5未満の場合、ウィスカーの機能が十分に発現
されない場合があり、100を越えると、例えば、合成
樹脂等に添加した場合、樹脂の平滑性が損なわれやす
く、利用分野が限定される傾向がある。特に好ましくは
10〜80、最も好ましくは20〜50である。
【0020】本発明の光触媒性ウィスカーの窒素吸着法
によるBET比表面積値Sw1は、特に限定されない
が、10〜500が一般的に工業分野で使用しやすい。
10未満であると、光触媒酸化チタンの吸着性に支障を
きたす場合があり、脱落の原因にもなりやすい。また、
例えば基剤に添加した場合、基剤の保護効果にも支障を
きたす恐れもある。500を越えると、例えば、NOx
やタバコのヤニ等の有害物質の吸収が過度に促進され、
その結果、光触媒活性が追いつかず、該有害物質が光触
媒ウィスカーを覆ってしまい、光が光触媒酸化チタンに
届かなくなる恐れがある。特に好ましくは30〜30
0、最も好ましくは50〜200である。
【0021】本発明に用いられる多孔質ウィスカー及び
該多孔質ウィスカーの担体に光触媒酸化チタンを担持せ
しめる方法については、特に限定されないが、例えば、
カルシウム化合物である炭酸カルシウムウィスカーを分
散した水懸濁液中に、水溶性リン酸又は水溶性リン酸塩
と徐々に添加して反応させて、炭酸カルシウムウィスカ
ーの表面を多孔質リン酸カルシウム系化合物としてCa
/Pの比が好ましくは33.3以下になるよう調製し、
これに光触媒酸化チタンを担持せしめる方法が挙げられ
る。具体的には、核材となるCa化合物の水懸濁液分散
体とリン酸の希釈水溶液を特定の割合で特定の混合条件
において混合した後、特定の熟成条件で熟成し、次い
で、光触媒酸化チタンを水懸濁液の状態で添加すること
により、担持調製する方法が例示される。
【0022】以下に、本発明の光触媒性ウィスカーを構
成する多孔質ウィスカーとして特に好ましい、Ca/P
の比が33.3以下の多孔質ヒドロキシアパタイトを成
分とした担体を用い、また、光触媒酸化チタンとして、
微粒子化した水懸濁液を用いた場合の光触媒性ウィスカ
ーの調製方法について、より具体的に例示する。
【0023】SEM写真により測定した、平均長径25
μm、平均短径1μm、アスペクト比25の炭酸カルシ
ウムウィスカー(ウィスカルA、丸尾カルシウム株式会
社製)水懸濁液と、リン酸の希釈水溶液、リン酸二水素
カルシウムの水懸濁液及びリン酸水素カルシウム二水塩
の水懸濁液の少なくとも1種とをCa/Pの原子比が3
3.3以下となる割合で水中で下記の混合条件で混合し
た後、更に下記の熟成条件で熟成を行い、光触媒酸化チ
タン水懸濁液を多孔質ウィスカー100重量部に対して
1〜1000重量部添加し、脱水、水洗を行い、300
度以下の乾燥雰囲気下で乾燥し、解砕仕上げを行う。
【0024】 <多孔質ウィスカーの好ましい調製条件> Ca化合物水懸濁液固形分濃度:1〜15重量% リン酸の希釈水溶液濃度 :1〜50重量% リン酸処理量 :3〜58.8重量% 混合攪拌羽根の周速 :0.5〜50m/秒 混合時間 :0.1〜150時間 混合系水懸濁液温度 :10〜80℃ 混合系の水懸濁液pH :5〜9 (熟成) 熟成時間 :0.1〜100時間 Ca/P :33.3以下
【0025】 <光触媒性ウィスカーの好ましい調製条件> (多孔質ウィスカーへの光触媒酸化チタンの担持) 酸化チタンの粒子径 :0.1μm以下 酸化チタン水懸濁液濃度 :1〜50重量% 添加量 :1〜1000重量部 (対多孔質ウィスカー100重量部) 担持時間 :0.1〜24時間 担持温度 :10〜80℃
【0026】上記の如き方法により調製される光触媒性
ウィスカーは、脱水濃縮した後、乾燥解砕し、粉末にし
て各種用途に用いることができることはもちろん、用途
に応じて、水スラリーの状態、あるいは他の溶媒系での
スラリーとしても有用である。また、粉末化したものを
50〜700℃、好ましくは100〜500℃、さらに
好ましくは150〜300℃で熱処理すると、酸化チタ
ンとリン酸カルシウム系化合物の固着力及び光触媒作用
を一層大きくすることができる。熱処理温度が50℃未
満では熱処理の効果が不十分で、また700℃を越える
場合、担体の比表面積が著しく低下するだけでなく、酸
化チタンの結晶形態がアナターゼ−型からルチル型に転
位し光触媒作用の効率も低下してしまうので好ましくな
い。
【0027】本発明の光触媒性ウィスカーは、分散性、
安定性、耐候性等をさらに高めるため、あるいは目的・
用途に応じ、繊維素化合物、シロキサン化合物、脂肪
酸、、樹脂酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、
クエン酸等の有機酸、酒石酸、リン酸、縮合リン酸、フ
ッソ酸等の無機酸、それら(有機酸、無機酸)のポリマ
ー、それらの塩、又はそれらのエステル類等の表面処理
剤、界面活性剤等の分散剤、チタネートカップリング
剤、シランカッブリング剤等のカップリング剤、界面活
性剤等の分散剤、光安定剤等を1種又は2種以上用い、
常法に従い添加又は表面処理等された後使用しても差し
支えない。また、担体と酸化チタンとの固着力を一層高
めるため、無機系接着剤、有機系接着剤等の各種バイン
ダーを使用しても何ら差し支えない。更にAgまたはC
uを含む抗菌性を有する金属もしくは酸化物や錯体物
等、又は光触媒作用を助長させる目的で、シリカ等の高
比表面積粉末の添加、Al等の3価元素ドーピング等を
併用しても何ら差し支えない。
【0028】上記の如くして得られた光触媒性ウィスカ
ーは樹脂等の基材に配合されて光触媒性組成物とされ
る。光触媒性ウィスカーの配合量は特に限定されるもの
でないが、十分な光触媒効果を得るという観点から、組
成物の1〜80重量%が好ましい。また、配合方法につ
いては特に制限されず、公知の方法で良好な分散状態が
得られる。
【0029】本発明の光触媒性ウィスカーが配合される
基材としては特に限定されないが、例えば熱可塑性樹脂
では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、
ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリ
ル酸アミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポ
リアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙
げられ、熱硬化性樹脂ではフェノール樹脂、エポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、メラミン
樹脂、ウレタン樹脂、珪素樹脂等が挙げられる。これら
は単独又は必要に応じ2種以上組み合わせて使用でき
る。また、フィルム、繊維用途では、特にポリエチレン
等のポリオレフィンや飽和ポリエステルが好適である。
合成樹脂製品としては、具体的には、プラスチック成型
品、塗料、シーラント、インク、製紙、ゴム、天然繊維
等に好適に使用される。
【0030】本発明の光触媒性ウィスカーの重要な特徴
は、その多孔性を有するウィスカーの形状にあり、単な
る多孔質化合物ではなく、ウィスカー状を有する多孔質
化合物で構成されていることにある。また、ウィスカー
状多孔質構造であることから、嵩高で、比表面積が大き
く少量で担持機能および吸収機能を有する。また、光触
媒機能を有する酸化チタン微粒子が、孔の中に吸着担持
されるため、光触媒性ウィスカーを、例えば合成樹脂に
添加した場合、合成樹脂と酸化チタンとの接触が避けら
れ、酸化チタンによる合成樹脂の劣化より保護されると
ともに優れた光触媒作用が発揮される。また、本発明の
光触媒性ウィスカーを、例えば塗料等に配合した場合、
塗膜のクラックを防止し、また合成樹脂等に配合した場
合、透明性が高く、また水酸基を保有することから樹脂
との良好な親和性を有する。本発明の光触媒性ウィスカ
ーは、基剤の保護性が高いことから、塗料、紙、ゴム、
プラスチック等あらゆる用途分野で使用できる。例え
ば、空気清浄機用ハニカム状フィルター、道路周辺の遮
蔽板、建造物の外壁建材等に有用である。
【0031】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例のみに何ら限定される
ものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜
変更して実施可能である。
【0032】実施例1〜3 表1の多孔質ウィスカーの調製条件に記載したように、
アラゴナイト結晶を主成分とするウィスカー状炭酸カル
シウム(商品名:ウィスカルA、丸尾カルシウム株式会
社製)を用い、該ウィスカーにリン酸を滴下法で混合す
ることにより多孔質ウィスカーD1〜D3を調製した。
D1〜D3のSml、Sm1/S1比及びCa/P比を
表3に示す。X線回折により、組成はD1とD2は炭酸
カルシウムとヒドロキシアパタイトが混在しており、D
1の方がヒドロキシアパタイトの強度が強いことが確認
された。また、D3は、ほぼヒドロキシアパタイトのみ
の強いピークであった。熟成後のD1〜D3の懸濁液
を、表1の光触媒性ウィスカーの調製条件の記載に従
い、撹拌しながら、光触媒酸化チタン水懸濁液を添加し
て担体D1〜D3に光触媒酸化チタンを担持させ、光触
媒性ウィスカーG1〜G3を調製した。光触媒性ウィス
カーG1〜G3の物性を表3に示す。また、X線回折に
より、G1〜G3は担体D1〜D3で検出したピークの
他、アナターゼ型酸化チタンのピークが混在しているこ
とが確認された。図1に、実施例1の光触媒性ウィスカ
ーG1のSEM写真(10,000倍)を示す。
【0033】実施例4 表1の多孔質ウィスカーの調製条件に記載したように、
硫酸カルシウムウィスカー(商品名:フランクリン・フ
ァイバー、大日本精化工業株式会社販売)を用いた以外
は、実施例1と同様の方法で多孔質ウィスカーD4を調
製した。D4のSm1、Sm1/S1比及びCa/P比
を表3に示す。X線回折により、組成は硫酸カルシウム
とヒドロキシアパタイトが混在していることが確認され
た。熟成後のD4の懸濁液を、実施例1と同様の方法
で、撹拌しながら、光触媒酸化チタン水懸濁液を添加し
て担体Dに光触媒酸化チタンを担持させ、光触媒性ウィ
スカーG4を調製した。光触媒性ウィスカーG4の物性
を表3に示す。また、X線回折により、G4は担体D4
で検出したピークの他、アナターゼ型酸化チタンのピー
クが混在していることが確認された。
【0034】実施例5 表1の多孔質ウィスカーの調製条件に記載したように、
珪酸カルシウムウィスカー(商品名:ゾノハイジ、宇部
マテリアルズ株式会社製)を用いた以外は、実施例1と
同様の方法で多孔質ウィスカーD5を調整した。D5の
Sm1/S1比及びCa/P比を表3に示す。X線回折
により、組成は珪酸カルシウムとヒドロキシアパタイト
が混在していることが確認された。熟成後のD5の懸濁
液を、実施例1と同様の方法で、撹拌しながら、光触媒
酸化チタン水懸濁液を添加して担体D5に光触媒酸化チ
タンを担持させ、光触媒性ウィスカーG5を調製した。
光触媒性ウィスカーG5の物性を表3に示す。また、X
線回折により、G5は担体D5で検出したピークの他、
アナターゼ型酸化チタンのピークが混在していることが
確認された。
【0035】実施例6 表1の多孔質ウィスカーの調製条件に記載したように、
均一沈殿法{(Gypsum& Lime No.245(1993)}で作成し
た炭酸カルシウムウィスカーを用いた以外は、実施例1
と同様の方法で多孔質ウィスカーD6を調製した。D6
のSm1、Sm1/S1比及びCa/P比を表3に示
す。X線回折により、組成は炭酸カルシウムとヒドロキ
シアパタイトが混在していることが確認された。熟成後
のD6の懸濁液を、実施例1と同様の方法で、撹拌しな
がら、光触媒酸化チタン水懸濁液を添加して担体D6に
光触媒酸化チタンを担持させ、光触媒性ウィスカーG6
を調製した。光触媒性ウィスカーG6の物性を表3に示
す。また、X線回折により、G6は担体D6で検出した
ピークの他、アナターゼ型酸化チタンのピークが混在し
ていることが確認された。
【0036】
【表1】
【0037】
【表3】
【0038】比較例1 表2のウィスカーの調製条件に記載したように、硫酸マ
グネシウムウィスカーを用いた以外は、実施例1と同様
の方法でウィスカーE1を調製した。E1のSm1、S
m1/S1比を表4に示す。X線回折により、組成は硫
酸マグネシウムのピークのみであることが確認された。
E1の懸濁液を、実施例1と同様の方法で、撹拌しなが
ら、光触媒酸化チタン水懸濁液を添加して担体E1に光
触媒性チタンを担持し、光触媒性ウィスカーN1を調製
した。光触媒性ウィスカーN1の物性を表4に示す。ま
た、X線回折により、N1は担体E1で検出したピーク
以外検出されず、アナターゼ型酸化チタンのピークは確
認されなかった。
【0039】比較例2 表2のウィスカーの調製条件に記載したように、チタン
酸カリウムウィスカーを用いた以外は、実施例1と同様
の方法でウィスカーE2を調製した。E2のSm1、S
m1/S1比を表4に示す。X線回折により、組成はチ
タン酸カリウムのピークのみであることが確認された。
E2の懸濁液を、実施例1と同様の方法で、撹拌しなが
ら、光触媒酸化チタン水懸濁液を添加して担体E2に光
触媒性チタンを担持し、光触媒性ウィスカーN2を調製
した。光触媒性ウィスカーの物性を表4に示す。また、
X線回折により、N2は担体E2で検出したピーク以外
検出されず、アナターゼ型酸化チタンのピークは確認さ
れなかった。
【0040】比較例3 表2のウィスカーの調製条件に記載した如く、下記の方
法で調製した多孔質珪酸マグネシウムE3を用いた。E
3のSm1、Sm1/S1比を表4に示す。 <調製方法>15Lのステンレス容器に3号珪酸ソーダ
(SiO2 成分21.9重量%、Na2 O成分7.1重
量%)を3.2Kg(全液量中のSiO2 濃度として7重
量%)分取し純水2.2Kgを加えた。次いで15℃に調
節した恒温槽に入れ、スターラーでゆっくり攪拌しなが
らアクリルアミドポリマー水溶液(約10重量%水溶
液、平均分子量50万)を2.1Kg添加(SiO2 分に
対してポリアクリルアミド無水物として30重量%)し
十分に分散させた。次いで15℃に調節した5重量%硫
酸2.5Kgを加え(添加終了後のpH10.8)添加終
了後、攪拌を止め、そのまま12時間エージングさせた
後、濾過し、得られたシリカケーキを純水中に再度分散
させ、pHが2.0になるまで5重量%硫酸を加えpH
が2.0で安定したらそのまま2時間熟成した後、濾過
水洗・乾燥後、ミルで粉砕し、粒子径が2〜3μmの多
孔質シリカを得た。該多孔質球状シリカを120g秤取
り、15重量%スラリーになるよう純水を加え攪拌下
で、固形分に対してMgO換算で30重量%に相当する
水酸化マグネシウム粉末(神島化学製#200)を加
え、十分に分散後、98℃まで加熱昇温し、8時間熟成
した。熟成後、該懸濁液を濾過水洗・乾燥後、ミルで粉
砕し、次いで400℃で1時間焼成し、多孔質珪酸マグ
ネシウム(E3)を得た。E3の懸濁液を、実施例1と
同様の方法で、撹拌しながら、光触媒酸化チタン水懸濁
液を添加して担体E3に光触媒性チタンを担持し、光触
媒性ウィスカーN3を調製した。光触媒性ウィスカーN
3の物性を表4に示す。また、X線回折により、N3は
担体E3の珪酸マグネシウムとアナターゼ型酸化チタン
のピークが確認された。
【0041】比較例4〜6 実施例1〜3で用いた多孔質ウィスカーD1〜D3をそ
のまま使用した。
【0042】
【表2】
【0043】
【表4】
【0044】実施例7〜12、比較例7〜12、対照例
1 A:ポリオレフィン樹脂における分解性評価 <ポリオレフィン樹脂フィルムの調製>メルトフローレ
ートが1.9g/10分であるポリプロピレン樹脂(商
品名:MH−8、三菱化学株式会社製)に光触媒酸化チ
タン単独を30重量%配合したフィルム(対照例1)
と、これと同一量の酸化チタンを含むように、実施例1
〜6の光触媒性ウィスカー(G1〜G6)、比較例1〜
3のウィスカー(N1〜N3)、担体のみの比較例4〜
6のウィスカー(D1〜D3)をそれぞれ配合したフィ
ルム(膜厚50μm)を常法に従って調製し、光触媒性
ポリオレフィン樹脂フィルム(光触媒組成物)を得、各
種試験をおこなった。
【0045】A−1:劣化性試験 上記ポリオレフィン樹脂フィルムを、屋外暴露にて引っ
張り伸度の経時変化を測定した。尚、劣化度は下記式に
より示される。 (照射伸度/未照射伸度)×100(%) 表5、表6に示す通り、本発明の光触媒性ウィスカー
(G1〜G6)を配合した実施例7〜12のフィルムは
酸化チタン単独を配合した対照例1と比べ樹脂の劣化度
が低く、且つ暴露時間を長くしても略一定に保つことが
わかる。
【0046】A−2:アンモニアの分解性 アンモニアを臭気物質として選択し、上記したポリオレ
フィン樹脂フィルムを一定の寸法(10mm×50mm)に
裁断し、該裁断片3枚をバイアル瓶中に入れた。次い
で、アンモニアを一定量注入した後、均一になるよう気
化させて、近紫外光(ブラックライト:2mW/cm2 )の
照射有り又は無しの条件下で所定時間経過後のアンモニ
ア濃度(初濃度300ppm )をガスクロマトグラフィー
(GC)により測定した。その結果を表5、6に示す。
表5、表6に示す通り、本発明の光触媒性ウィスカー
(G1〜G6)を配合した実施例7〜12のフィルムは
臭気物質をよく吸着・分解することがわかる。
【0047】A−3:タバコの消臭性 下記に示す環境庁、悪臭防止法による6段階臭気強度表
示法(スメラーテスト)に従い、タバコについての消臭
性能を調べ下記の基準により評価した。 5:強烈な臭いがする。 4:強い臭いがする。 3:臭いがする。 2:少し臭いがする。 1:かすかに臭いがする。 0:臭いがしない。 実験方法: 上記したポリオレフィン樹脂フィルムを一定の寸法
(10mm×50mm)に裁断し、該裁断片3枚を容積50
0ml三角フラスコ内にセットした。 着火したタバコの煙を使用した。 近紫外線照射(ブラックライト:2mW/cm2 )有り又
は無しの条件下で、タバコの煙を30秒間、該三角フラ
スコ内に採取し、一定時間後の該三角フラスコ内の臭気
を官能によって6段階評価した。 結果を表5、表6に示す。本発明の光触媒性ウィスカー
(G1〜G6)を配合した実施例7〜12のフィルム
は、優れた消臭性能を示すことがわかる。
【0048】A−4:抗菌効果 上記したポリオレフィン樹脂フィルムを一定の寸法
(10mm×50mm)に裁断し、該裁断片3枚を既に大腸
菌又は黄色ブドウ球菌が添加されているパイレックスガ
ラス容器内に入れ密封した。 該パイレックスガラス容器に、微弱な蛍光灯照射条件
下で48時間経過後の菌数を寒天培地化してチェックし
た。 表5、表6から明らかなように、本発明の光触媒性ウィ
スカー(G1〜G6)を配合した実施例7〜12のフィ
ルムは、微弱な蛍光灯照射のもとで、酸化チタン単独と
ほぼ同等の抗菌効果が得られた。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】実施例13〜18、比較例13〜18、対
照例2 B:塗料組成物における分解性評価 <塗料の調製>以下の配合物をサンドグラインダー(S
G)ミルを使用して容器直径100mm、分散ディスク6
0mmφ平2枚羽根2000〜2200rpm で約15分攪
拌し、ガラスビーズを除去し、塗料を調製した。該塗料
に、光触媒酸化チタン単独を1.5g(対照例2)、同
一量の酸化チタンを含むように実施例1〜6のウィスカ
ー(G1〜G6)、比較例1〜3のウィスカー(N1〜
N3)、担体のみの比較例4〜6のウィスカー(D1〜
D3)をそれぞれディスパーで1000〜1200rpm
で約15分攪拌し、アルキド塗料からなる光触媒性塗料
(光触媒性組成物)を調製した。
【0052】 (配合) アルキド樹脂 P470(大日本インキ株式会社製) 221g チタン白 R−820(石原産業株式会社製) 92g 炭酸カルシウム 32g (商品名:MC−K、丸尾カルシウム株式会社製) ドライヤー 14g 組成: 15%ナフテン酸Pb:45重量部 3%ナフテン酸Ca:15重量部 6%ナフテン酸Co: 4重量部 0.9%ナフテン酸Mn:10重量部 ソルベントケロシン 48g 皮張防止剤ディスパロン#501(楠本化成株式会社製) 1g ガラスビーズ 250g
【0053】<塗膜の調製>得られた塗料をスレート板
(50×10mm、厚さ5mm)に塗布し、乾燥膜厚約30
μmとなるよう塗膜を形成させ、耐水性研磨紙(タイプ
DCCS、粒度CC−240−CW、三共理化学株式会
社製)を用いて研磨し、各種試験を行った。
【0054】B−1:劣化性試験 上記した塗膜を促進耐光試験(ウェザーメーター)にて
光沢性の経時変化を試験した。表7、表8に示すよう
に、本発明の光触媒性ウィスカー(G1〜G6)を配合
した実施例13〜18の塗料は酸化チタン単独を配合し
た対照例2と比べ塗膜の光沢性の劣化度が低く、且つ経
時変化も緩やかであることがわかる。
【0055】B−2:アセトアルデヒドの分解性 アセトアルデヒドを臭気物質として選択し、上記した塗
膜をバイアル瓶中に入れた。次いで、アセトアルデヒド
を一定量注入した後、均一になるよう気化させて、近紫
外光(ブラックライト:2mW/cm2 )の照射有り又は無
しの条件下で所定時間経過後のアセトアルデヒデオ濃度
(初濃度100ppm)をGCにより測定した。表7、表8に
示すように、本発明の光触媒性ウィスカー(G1〜G
6)を配合した実施例13〜18の塗料はアセトアルデ
ヒドをよく吸着・分解することがわかる。
【0056】B−3:タバコの消臭性 上記A−3に示した環境庁、悪臭防止法による6段階臭
気強度表示法(スメラーテスト)に従い、タバコについ
ての消臭性能を評価した。結果を表7、表8に示よう
に、本発明の光触媒性ウィスカー(G1〜G6)を配合
した実施例13〜18の塗料は、優れた消臭性能を示し
ていることがわかる。
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】B−4:抗菌効果の評価 上記した塗膜に、あらかじめ大腸菌又は黄色ブドウ球菌
が添加されている水希釈液を200μリットル滴下し、
パイレックスガラス容器に添加し密封し、近紫外線照射
(ブラックライト:0.5mW/cm2 )下で2時間静置し
た。その後、塗膜を削りとり、寒天培地化してコロニー
数を数えた。表7、表8に示すように、本発明の光触媒
性ウィスカー(G1〜G6)を配合した実施例13〜1
8の塗料は、酸化チタン単独の対照例2とほぼ同等の抗
菌効果が得られた。
【0060】実施例19〜24、比較例19〜24、対
照例3 C:紙組成物における分解性評価 <紙の調製>以下の配合物に光触媒酸化チタン単独を3
0重量部(対照例3)、同一量の酸化チタンを含むよう
に実施例1〜6のウィスカー(G1〜G6)、比較例1
〜3のウィスカー(N1〜N3)、担体のみの比較例4
〜6のウィスカー(D1〜D3)をそれぞれ配合して、
常法に従って抄紙を行い、厚み0.25mmの光触媒性紙
(光触媒組成物)を調製し、各種試験を行なった。 (配合) パルプ 60重量部 紙力増強剤 1重量部
【0061】C−1:劣化性試験 得られた紙を25cmの高さから近紫外線照射(ブラック
ライト:2mW/cm2 )を行ったときの引っ張り強度(J
IS P8113に準する)およびハンター白色度(J
IS P8123に準する)の変化を測定した。表9、
表10に示すように、本発明の光触媒性ウィスカー(G
1〜G6)を用いた実施例19〜24の紙の劣化は許容
範囲にあることがわかる。
【0062】C−2:酢酸の分解性 酢酸を臭気物質として選択し、上記紙を一定の寸法(5
0mm×10mm)に裁断し、裁断片3枚をバイアル瓶中に
入れた。次いで、アンモニアを一定量注入した後、均一
になるよう気化させて、近紫外線照射(ブラックライ
ト:2mW/cm2 )の条件で、所定時間後の酢酸の濃度
(初濃度300ppm )をGCにより測定した。表9、表
10に示すように、本発明の光触媒性ウィスカー(G1
〜G6)を用いた実施例19〜24の紙は、臭気物質を
良好に消臭吸着・分解することがわかる。
【0063】C−3:タバコの消臭性 上記A−3に示した環境庁、悪臭防止法による6段階臭
気強度表示法(スメラーテスト)に従い、タバコについ
ての消臭性能を評価した。結果は表9、表10に示よう
に、本発明の光触媒性ウィスカー(G1〜G6)を用い
た紙は、優れた消臭性能を示すことがわかる。
【0064】
【表9】
【0065】
【表10】
【0066】
【発明の効果】本発明の光触媒性ウィスカーは、塗料、
ゴム、プラスチック、紙、繊維等に含有させて使用する
ことにより、それらの有機物質又はそれらに含まれてい
る有機物質を分解することなく、悪臭や空気中の有害物
質の除去、あるいは廃水処理や浄水処理などを行うため
の環境浄化材料として用いることが可能で、例えば、空
気清浄機用ハニカム状フィルター、道路周辺の遮蔽板、
建造物の外壁建材等に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の光触媒性ウィスカーのSEM写真
(10,000倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01B 33/24 101 C01B 33/24 101 C01F 11/18 C01F 11/18 Z // C08K 9/00 C08K 9/00 C08L 101/00 C08L 101/00 Fターム(参考) 4D075 DA11 DB11 EC02 EC22 4G069 AA03 BA04A BA04B BA48A BB10A BB10B BB14A BB14B BB16A BB16B BC09A BC09B BD05A BD05B CA05 CA10 CA17 EA03X EA03Y EB10 EC02X EC02Y EC03X EC03Y 4G073 BA05 CC08 GA12 GA19 UA01 UA02 4G076 AA09 AA14 AA16 AB13 CA07 CA12 DA01 DA14 4J002 BB031 BB121 BC031 BD041 BD101 BF021 BG041 BG101 BG131 CC031 CC181 CD001 CF011 CF031 CF211 CK021 CL001 CP031 DE137 DE236 DG056 DH046 DJ006 FA066 FD206 FD207

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素吸着法によるBET比表面積値Sm
    l(m2/g)が10〜300の範囲である多孔質ウィス
    カーからなる担体に光触媒酸化チタンを担持せしめたこ
    とを特徴とする光触媒性ウィスカー。
  2. 【請求項2】 光触媒性ウィスカーが下記の式(a)、
    (b)及び(c)を満足する請求項1記載の光触媒性ウ
    ィスカー。 (a)1≦dw1≦1000(μm) (b)0.01≦dw2≦50μm(μm) (c)5≦dw1/dw2≦100 但し、 dw1:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定し
    た光触媒性ウィスカーの平均長径(μm) dw2:走査型電子顕微鏡(SEM)写真により測定し
    た光触媒性ウィスカーの平均短径(μm) dw1/dw2:アスペクト比
  3. 【請求項3】 光触媒性ウィスカーが下記の式(d)を
    満足する請求項1又は2記載の光触媒性ウィスカー。 (d)10≦Sw1≦500(m2/g) 但し、 Sw1:窒素吸着法による光触媒性ウィスカーのBET
    比表面積値(m2/g)
  4. 【請求項4】 多孔質ウィスカーが下記の式(e)を満
    足する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒性ウ
    ィスカー。 (e)5≦Sm1/S1≦200 但し、 Sm1:窒素吸着法による多孔質ウィスカーのBET比
    表面積値(m2/g) S1:光触媒性ウィスカーの円柱状換算における理論比
    表面積値(m2/g) 但し、理論比表面積値は、下記の計算式から算出され
    る。 (1/w)/πr2 h×2πrh=2/πr(m2/g) w:粒子の真比重(JIS K5101に準する) r:走査型電子顕微鏡(SEM)写真で測定した平均短
    径/2(μm)
  5. 【請求項5】 多孔質ウィスカーがカルシウム化合物を
    主成分とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触
    媒性ウィスカー。
  6. 【請求項6】 カルシウム化合物が、炭酸カルシウム、
    リン酸カルシウム、硫酸カルシウム及びケイ酸カルシウ
    ムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項
    5記載の光触媒性ウィスカー。
  7. 【請求項7】 カルシウム化合物のCa/Pの比が3
    3.3以下のリン酸カルシウム系化合物である請求項5
    又は6記載の光触媒性ウィスカー。
  8. 【請求項8】 リン酸カルシウム系化合物が化学式Ca
    10(PO4 6 (OH)2 で表されるヒドロキシアパタ
    イトが主成分である請求項7記載の光触媒性ウィスカ
    ー。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光
    触媒性ウィスカーを配合してなる光触媒性組成物。
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