JP2016059881A - 可視光応答型光触媒複合体、及び可視光応答型光触媒複合体の製造方法 - Google Patents

可視光応答型光触媒複合体、及び可視光応答型光触媒複合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より低コストで優れた物質吸着性能と可視光応答型の光触媒性能を確実に併せ持つ可視光応答型光触媒複合体を提供する。
【解決手段】可視光の波長領域で光触媒活性を発現する可視光応答型光触媒複合体であって、リン酸カルシウムからなる複数の薄片が空隙部を介して互いに凝集して生成される吸着材と、薄片の表面又は端部の何れかに分散状態に担持されるリン酸銀からなる可視光応答型光触媒と、を含むことを特徴とする。このとき、リン酸カルシウムとして、リン酸8カルシウム又はリン酸水素カルシウムの何れかを使用することにより、吸着材を構成するリン酸カルシウムを薄片状にして、リン酸銀を担持し易くする。
【選択図】図1

Description

本発明は、可視光の照射下において光触媒活性を発現する可視光応答型光触媒を吸着材に複合化させた可視光応答型光触媒複合体、及び可視光応答型光触媒複合体の製造方法に関する。
近年では、ダイオキシン等の環境ホルモン物質、水中や大気中の菌類や悪臭物質、居住空間での健康被害の原因になっている有機化学物質等の汚染物質を素早く、かつ、安全に分解、除去する技術が求められている。光照射により当該汚染物質を酸化・還元反応等により分解、除去する光触媒は、安全面及び省エネルギーの観点からも注目され、開発が進められている。
特に、幅広い波長領域で光触媒作用を発現させるために、太陽光線の約60%を占める可視光の波長領域で応答可能な可視光応答型光触媒が注目されている。可視光に応答する光触媒として、特許文献1には、酸化チタン(TiO2)に異種元素をドーピングしたもの、特許文献2には、レアメタルである酸化タングステン(WO3)を使用したもの、特許文献3には、常温下で容易に合成可能なリン酸銀を使用したものがそれぞれ開示されている。
しかし、これらの光触媒は、粒子径の小さなナノ粒子として使用されることが多く、粒子同士が凝集するために扱いづらく、かつ、可視光応答型光触媒としての分解活性が低下する上、かかる光触媒自身に吸着能がない欠点があった。また、光触媒単体で使用すると、光触媒を担持する基材を光分解で損傷させるので、その適用範囲が限られていた。
そこで、光触媒粒子の凝集抑制、基材損傷予防、及び吸着能付与のため、従来から吸着材と光触媒を複合化(一体化)させることが試みられてきた。例えば、非特許文献1には、ゼオライトと光触媒材料を複合させる手法、非特許文献2には、活性炭と光触媒材料を複合化させる手法がそれぞれ開示されている。また、特許文献4には、ハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)とリン酸銀との複合体を硫黄系化合物の吸着材として使用する手法が開示されている。
国際公開第2004/081130号公報 特開2009−56395号公報 特開2009−78211号公報 特開2012−206060号公報
J. Phys. Chem. 1995, 99, 11501-11507 Materials Science Research Internatinal 6-15 (2000)
可視光の波長領域で確実に光触媒活性を発現する上で、容易に合成可能であり、かつ、材料コストも含めて考慮すると、吸着材に複合化させる可視光応答型光触媒として、常温下で容易に合成可能なリン酸銀を使用することが好ましい。また、吸着材と光触媒の複合体を製造するためには、その製造容易性や材料コストを考慮した上で、当該複合体が物質吸着性能と可視光に対する光触媒性能を確実に発現することが好ましい。
特許文献1の光触媒は、紫外線の波長領域で光触媒活性を発現する酸化チタンに対して可視光応答性を持たせるように異種元素をドーピングしたものであるので、可視光応答の安定性とドーピングのコストが課題となる。また、特許文献2の光触媒は、レアメタルを主原料としているので、その材料コストが課題となる。さらに、特許文献3の光触媒は、リン酸銀を使用しているものの、粒子同士の凝集による可視光応答型光触媒としての分解活性の低下が課題となる。また、非特許文献1及び2の複合体は、吸着材と光触媒が異種材料であるため、吸着剤と光触媒の複合化工程が複雑である。さらに、特許文献4の複合体は、リン酸銀を含むものの、ハイドロキシアパタイトの結晶構造上、リン酸銀が凝集されるので、可視光に対する光触媒活性を維持した複合化の実現には、至っていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より低コストで優れた物質吸着性能と可視光応答型の光触媒性能を確実に併せ持つことの可能な、新規かつ改良された可視光応答型光触媒複合体、及び可視光応答型光触媒複合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、可視光の波長領域で光触媒活性を発現する可視光応答型光触媒複合体であって、リン酸カルシウムからなる複数の薄片が空隙部を介して互いに凝集して生成される吸着材と、前記薄片の表面又は端部の何れかに分散状態に担持されるリン酸銀からなる可視光応答型光触媒と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、可視光に対する光触媒活性を有するリン酸銀が凝集されずに高分散状態で吸着材に担持されて複合化されるので、可視光応答型光触媒としての高い光触媒性能を維持した上で、吸着材としての吸着性能を確保することができる。
このとき、本発明の一態様では、前記リン酸カルシウムは、リン酸8カルシウム又はリン酸水素カルシウムの何れかであることとしてもよい。
このようにすれば、吸着材を構成するリン酸カルシウムが薄片状となることから、リン酸銀を担持し易くなる。
また、本発明の一態様では、前記リン酸銀が粒子状に生成され、該リン酸銀の粒子が前記リン酸カルシウムの前記薄片の表面に担持されることとしてもよい。
このようにすれば、吸着材を構成するリン酸カルシウムの薄片の表面にリン酸銀の粒子が高分散状態で担持されるので、可視光応答型光触媒としての高い光触媒性能を維持した上で、吸着材としての吸着性能を確保することができる。
また、本発明の一態様では、前記リン酸銀が薄片状に生成され、該リン酸銀の薄片が前記リン酸カルシウムの前記薄片の前記表面又は前記端部に担持されることとしてもよい。
このようにすれば、吸着材を構成するリン酸カルシウムの薄片間に有する空隙部を架橋するように、リン酸銀の薄片が高分散状態で担持されるので、可視光応答型光触媒としての高い光触媒性能を維持した上で、吸着材としての吸着性能を確保することができる。
また、本発明の他の態様は、可視光応答型光触媒を吸着材に複合化させた可視光応答型光触媒複合体の製造方法であって、カルシウム化合物を分散させた溶媒に所定量のリン酸水溶液を滴下してリン酸カルシウムを生成するリン酸カルシウム生成工程と、前記リン酸カルシウムをろ過してから乾燥させて前記吸着材を生成する吸着材生成工程と、乾燥後の前記吸着材を硝酸銀水溶液に接触させる接触工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の他の態様によれば、低コストで吸着能を有するリン酸カルシウムからなる吸着材を合成した後に、当該吸着材を硝酸銀水溶液と接触させる簡便な手法によって、可視光応答型の光触媒としての分解性能と吸着材としての吸着性能を有した複合体を容易に生成することができる。
このとき、本発明の他の態様では、前記リン酸カルシウム生成工程において、前記リン酸水溶液の前記所定量として前記カルシウム化合物に含まれるカルシウムと前記リン酸に含まれるリンのモル比が0.5乃至1.3となるように該リン酸水溶液を滴下することとしてもよい。
このようにすれば、溶媒中に分散させた炭酸カルシウムから複数の薄片状のリン酸カルシウムを凝集させて構成される吸着材を効率的に生成できる。
また、本発明の他の態様では、前記接触工程で前記吸着材に接触させる前記硝酸銀水溶液の濃度は、7乃至50mMであることとしてもよい。
このようにすれば、リン酸カルシウムの薄片の表面にリン酸銀が高分散状態で担持された複合体が確実に生成できる。
また、本発明の他の態様では、前記リン酸カルシウム生成工程後に金属イオン溶液を滴下する金属イオン滴下工程を更に含むこととしてもよい。
このようにすれば、アンモニアや硫化水素等の吸着対象となるガスの吸着力を高めた複合体を生成できる。
また、本発明の他の態様では、前記リン酸カルシウム生成工程では、前記炭酸カルシウムとしてアラゴナイト構造、カルサイト構造、又はバテライト構造の結晶構造の炭酸カルシウムを前記溶媒中に分散させることとしてもよい。
このようにすれば、複数の薄片状のリン酸カルシウムが空隙部を介して凝集した構成の吸着材が生成されるようになる。
以上説明したように、本発明によれば、より低コストで優れた物質吸着性能と可視光応答型の光触媒性能を確実に併せ持つ可視光応答型光触媒複合体を簡便な手法により、確実に生成することができる。
本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の一部を部分拡大した電子顕微鏡写真図である。 本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法の概略を示すフロー図である。 (A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法におけるリン酸銀の生成状態を模式的に示す説明図である。 本発明の他の実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法の概略を示すフロー図である。 本発明の可視光応答型光触媒複合体の実施例1の一部を部分拡大した電子顕微鏡写真図である。 本発明の可視光応答型光触媒複合体の実施例2の一部を部分拡大した電子顕微鏡写真図である。 本発明の可視光応答型光触媒複合体の比較例2の一部を部分拡大した電子顕微鏡写真図である。 本発明の可視光応答型光触媒複合体の実施例及び比較例によるアンモニア分解試験の結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法により生成された可視光応答型光触媒複合体の実施例と、本発明の他の実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法により生成された可視光応答型光触媒複合体の実施例のアンモニア吸着試験の結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法により生成された可視光応答型光触媒複合体の実施例と、本発明の他の実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法により生成された可視光応答型光触媒複合体の実施例の硫化水素吸着試験の結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法により生成された可視光応答型光触媒複合体の実施例と、本発明の他の実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法により生成された可視光応答型光触媒複合体の実施例の酢酸吸着試験の結果を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
図1は、本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の一部を部分拡大した電子顕微鏡写真図である。本実施形態の可視光応答型光触媒複合体は、可視光応答型光触媒としてリン酸銀をリン酸カルシウムからなる吸着材に複合化させることによって、吸着材としての物質吸着性能に加えて、可視光の波長領域での光触媒活性を発現可能としたものである。
本実施形態の可視光応答型光触媒複合体に含まれる吸着材は、リン酸カルシウムからなる厚さ100nm以下の複数の薄片が空隙部を介して互いに凝集して寄り集まって、所謂フラワー形状に生成されている。可視光応答型光触媒となるリン酸銀は、リン酸カルシウムの薄片の表面又は端部の何れかに分散状態に担持されて吸着材と複合化されている。本実施形態では、図1に示すように、ナノ粒子状のリン酸銀がリン酸カルシウムからなる薄片の表面や端部に点在するように分散された高分散状態で担持されて複合化されている。なお、ここで言及する「空隙部」とは、一のリン酸カルシウムの薄片の表面から他のリン酸カルシウムの薄片の表面との間の空間部分を示す。
また、本実施形態では、吸着材を構成するリン酸カルシウムとして、リン酸8カルシウム又はリン酸水素カルシウムの何れかを使用する。このため、リン酸カルシウムが薄片状となり、ナノ粒子状のリン酸銀を高分散状態に担持し易くなる。このように、吸着材を複数の薄片状のリン酸カルシウムが空隙部を介して互いに凝集した形状とすることによって、リン酸銀を凝集させずに高分散状態で担持できるので、水等に分散させても、リン酸カルシウムとリン酸銀が分離しない吸着・分解能を有する複合体となる。
なお、本実施形態では、ナノ粒子状のリン酸銀が薄片状のリン酸カルシウムの表面や端部に分散された状態で担持されて複合化されているが、リン酸カルシウムの薄片の一部をリン酸銀の薄片に転換させて、リン酸カルシウムとリン酸銀を複合化されてもよい。すなわち、リン酸カルシウムの薄片の表面又は端部の何れかにリン酸銀が高分散状態に担持されていれば、リン酸銀が薄片状に生成され、当該リン酸銀の薄片がリン酸カルシウムの薄片の表面又は端部に担持される構成としてもよい。
このように、本実施形態では、リン酸銀が凝集されずにナノ粒子状又は薄片状に生成されて、リン酸カルシウムの薄片の表面又は端部の何れかに高分散状態に担持されることによって、リン酸銀の可視光に対する光触媒活性を発現できる。すなわち、本実施形態の複合体は、可視光に対する光触媒活性を有するリン酸銀が凝集されずに、高分散状態で吸着材に担持されて複合化されるので、可視光応答型の高い光触媒性能を維持した上で、吸着材としての吸着性能を確保することができる。また、本実施形態の可視光応答型光触媒複合体は、光触媒粒子を吸着材の表面又は端部の何れかに高分散状態で担持させているので、光触媒作用による基材損傷のリスクも低減される。
本発明者は、前述した本発明の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、国内に大量に産出するカルシウム化合物を原料にして、低コストで吸着能を有する薄片が寄り集まった所謂フラワー形状のリン酸カルシウムからなる吸着材を生成後に、当該吸着材を常温でAg水溶液と接触させるという非常に簡便な手法により、リン酸銀が凝集されずに高分散状態で吸着材に担持された吸着・分解能を有した複合体が得られることを見出した。本発明者は、かかる知見に基づき更に研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
次に、本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法について、図面を使用しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法の概略を示すフロー図である。
本実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法では、まず、カルシウム化合物として炭酸カルシウムを常温から80℃の水又はアルコール等の溶媒に分散させる(分散工程S11)。本実施形態では、吸着材となる薄片が寄り集まった所謂フラワー形状のリン酸カルシウムの原料として、薄片になり易い炭酸カルシウムを用いることが好ましい。また、複数の薄片状のリン酸カルシウムが空隙部を介して凝集した構成の吸着材を生成するために、分散工程S11で分散させる炭酸カルシウムの結晶構造は、アラゴナイト構造、カルサイト構造、又はバテライト構造の何れでも良く、炭酸カルシウムは、重質、軽質、貝殻等の何れでも良い。
次に、炭酸カルシウムを分散させた溶媒に所定量のリン酸水溶液を滴下する(滴下工程S12)。本実施形態では、溶媒中に分散させた炭酸カルシウムから複数の薄片状のリン酸カルシウムを凝集させて構成される吸着材を効率的に生成するために、滴下工程S12において、リン酸水溶液の所定量として炭酸カルシウムに含まれるカルシウムとリン酸に含まれるリンのモル比が0.5乃至1.3となるようにリン酸水溶液を滴下する。このような濃度条件のリン酸水溶液を滴下することによって、吸着材を構成するリン酸カルシウムとして、薄片状のリン酸8カルシウム又はリン酸水素カルシウムの何れかが生成される。本実施形態では、このように分散工程S11及び滴下工程S12によって、カルシウム化合物を分散させた溶媒に所定量のリン酸水溶液を滴下してリン酸カルシウムが生成されるリン酸カルシウム生成工程が行われる。
その後、上記リン酸カルシウム生成工程(分散工程S11及び滴下工程S12)によって生成された複数のリン酸カルシウムの薄片をろ過してから、乾燥させて吸着材を生成する(吸着材生成工程S13)。このように、リン酸水溶液を適量滴下させてからろ過及び乾燥するによって、リン酸カルシウムの薄片が空隙部を介して寄り集まった形状の吸着材が得られる。なお、滴下するリン酸量や温度により、様々なフラワー形状の吸着材の合成が可能である。
次に、乾燥後のリン酸カルシウムの薄片からなる吸着材をAg水溶液に接触させる(接触工程S14)。本実施形態では、吸着材に担持させるリン酸銀の生成に用いるAg水溶液は、可溶性の硝酸銀水溶液が好ましい。また、リン酸カルシウムの薄片の表面にリン酸銀が高分散状態で担持された複合体が確実に生成するために、硝酸銀水溶液の濃度は、低い方が好ましい。
接触工程S14において、硝酸銀水溶液の濃度が高いと、複数のリン酸カルシウムの薄片からなる吸着材の表面にリン酸銀が生成せずに、当該吸着材とリン酸銀がそれぞれ別々に生成してしまい複合体とならない。このため、リン酸カルシウムとリン酸銀との複合体を生成するために、硝酸銀水溶液を吸着材と接触させる場合には、当該硝酸銀水溶液は、低濃度が望ましく、具体的には、その濃度が7乃至50mMの範囲となる。
このように、接触工程S14で複数のリン酸カルシウムの薄片が空隙部を介して寄り集まった形状の吸着材を硝酸銀水溶液に接触させることによって、瞬時にリン酸カルシウムの薄片の表面や端部、周縁部にリン酸銀のナノ粒子が高分散状態で担持されるようになる。すなわち、本実施形態では、光触媒となるリン酸銀と複合化させる吸着材が複数の薄片からなるリン酸カルシウムを空隙部を介して凝集させた形状となっているので、リン酸銀を高分散状態に担持し易くなる。
なお、接触工程S14において、リン酸カルシウムのリン酸イオンの配置により、銀イオンとの複合化が決まると考えられるので、吸着剤と硝酸銀水溶液を接触させる際には、リン酸カルシウムのリン酸イオンの位置が重要となる。すなわち、リン酸カルシウムのリン酸イオンの配置により硝酸銀水溶液に含まれる銀イオンとの複合化が決まる。また、リン酸銀を高分散状態で担持するためには、リン酸カルシウムの単位質量あたりの表面積の大きい方が硝酸銀に含まれる銀イオンとの反応性が向上するので、リン酸カルシウムの形状が薄片状の平坦な構造がよい。
特に、リン酸カルシウム10が薄片状を呈するリン酸8カルシウム(OCP)やリン酸水素カルシウム(鉱物名:Brushite )の場合では、図3(A)に示すように、結晶構造中に水和層12を含むので、水和層をもたないハイドロキシアパタイトと比較して、その結晶構造が疎となる。このため、リン酸カルシウム10の表面に有するリンPは、各リン酸カルシウム10の結晶間に介在している水和層12の影響によって、ある程度分散されているので、粒子状のリン酸銀14が高分散状態でリン酸カルシウム10の表面に生成されると考えられる。
一方、ハイドロキシアパタイトは、図3(B)に示すように、水和層がなくリン酸カルシウム20の結晶が密な構造となっているので、リン酸カルシウム20の表面に有するリン同士が非常に近接している。このため、生成された粒子状のリン酸銀24の結晶成長が促進されて、凝集化されたリン酸銀24aが粗大化されて塊状に生成されるので、リン酸カルシウム20の表面に複合化できないと考えられる。このことからも、リン酸銀とリン酸カルシウムを複合化するためには、吸着材を構成するリン酸カルシウムが薄片状のリン酸8カルシウムやリン酸水素カルシウムで生成されることが好ましいことが分かる。
接触工程S14でリン酸カルシウムの薄片からなる吸着材を硝酸銀水溶液と接触してリン酸銀を担持させたら、その後は、不図示の水洗工程、ろ過工程、及び乾燥工程を経て、リン酸カルシウムとリン酸銀の複合体を得る。本実施形態では、可視光応答型の光触媒となるリン酸銀が凝集することなく、高分散状態でリン酸カルシウムからなる吸着材に担持されて複合化されるので、リン酸銀が可視光に対する光触媒活性を発現できるようになる。
このように、本実施形態では、吸着材として、国内で大量に産出するカルシウム化合物を原料にした複数の薄片が空隙部を介して寄り集まった形状のリン酸カルシウムを選択した。また、可視光応答型光触媒として、常温下で容易に合成可能なリン酸銀を選択した。すなわち、吸着材と光触媒を共通のリン酸イオンを含む材質を使用して、吸着材となる複数の薄片が空隙部を介して寄り集まった形状のリン酸カルシウムに硝酸銀水溶液を接触させることによって、リン酸カルシウム薄片表面に可視光応答型光触媒であるリン酸銀のナノ粒子を高分散状態で担持させて、リン酸カルシウムとリン酸銀とを複合化させた。
これによって、低コスト材料から物質吸着性能と可視光に対する光触媒活性を発現する分解能を有する複合体を効率よく生成することが実現された。すなわち、本実施形態の複合体を構成する吸着材は、国内に大量に産出するカルシウム化合物を原料にし、かつ、100℃以下の低温条件下で短時間の合成により生成される。また、光触媒を吸着材に複合化する手法が常温で硝酸銀水溶液と吸着材を接触させる非常に簡便な手法により生成できる。
このため、カルシウム化合物をフィラーや顔料等として用いている建築業界、紙業界、プラスチック業界等の幅広い業界へ適用可能であるので、本実施形態の可視光応答型光触媒複合体の製品高付加価値化が可能となる。具体的には、塗り壁に付着させる炭酸カルシウムの一部を当該複合体からなる粉末に置き換えることによって、吸着と分解を併せ持った塗り壁とすることができる。また、塗料原料としても利用可能である。さらに、複合体を構成する吸着材の原料をカルシウム化合物としているので、貝殻等のカルシウム系の廃棄物を当該複合体の生成用の材料資源として有効活用ができるようになる。
なお、リン酸銀をリン酸カルシウムに担持させて複合化させる際に、アンモニアや硫化水素ガスの吸着能を向上させるために、吸着材を硝酸銀水溶液に接触させる前に金属イオンと接触させてもよい。すなわち、本発明の他の実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法では、図4に示すように、分散工程S21及び滴下工程S22からなるリン酸カルシウム生成工程後に、例えば、銅イオンを含む硝酸銅水溶液等の金属イオンを含む溶液を滴下する金属イオン滴下工程S23を実施する。
そして、金属イオン滴下工程S23において、リン酸カルシウムに含まれるカルシウムの一部を銅に変えてから、乾燥工程S24で吸着材を乾燥させたものを硝酸銀水溶液に接触させる(接触工程S25)。このように、吸着材を硝酸銀水溶液に接触させる前に銅イオン等の金属イオンを含む溶液を滴下することによって、リン酸カルシウムに担持された金属イオンの影響により、アンモニア、硫化水素等のガスの吸着能が向上した複合体を生成できる。また、このように金属イオンを含む溶液を滴下することによってリン酸銀の粒子が小さくなるので、光触媒活性が向上するようになる。なお、銅イオン以外でも、亜鉛イオン、ニッケル、マンガン、コバルト等の他の金属イオンを含む溶液を滴下することによっても、リン酸カルシウムに担持された金属イオンの影響により、アンモニア、硫化水素等のガスの吸着能が向上した複合体を生成できる。
次に、本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の実施例について、図面を使用しながら説明する。図5は、本発明の可視光応答型光触媒複合体の実施例1の一部を部分拡大した電子顕微鏡写真図であり、図6は、本発明の可視光応答型光触媒複合体の実施例2の一部を部分拡大した電子顕微鏡写真図である。また、図7は、本発明の可視光応答型光触媒複合体の比較例2の一部を部分拡大した電子顕微鏡写真図である。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
本実施例では、本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体を構成する吸着材の原材料や製造方法を変えた複数のサンプルとして、実施例1及び実施例2を用意した。また、これらの実施例の比較対象として、製造方法及び原材料等の条件を本実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体と異なるもののサンプルとして、比較例1及び比較例2を用意した。そして、これらの実施例及び比較例のサンプルに対して、アンモニア分解試験を実施して、それぞれのサンプルに対する光触媒性能について検証した。
実施例1では、カルサイト構造の軽質炭酸カルシウムであるPCC−Brilliant150(白石カルシウム製)2.0gを蒸留水50ml入りのガラス製三角フラスコに加えて、ホットスターラーで60℃になるまで撹拌した。そして、1Mリン酸水溶液10mlを滴定速度3.75ml/minで滴下後、ろ過、水洗して、50℃で乾燥させた。その後、かかる乾燥により得られた粉末100mgを容積50mlの遠沈管に加え、当該遠沈管に20mMの硝酸銀水溶液2.5mlを滴下して、遠沈管に蓋をして軽く振った。そして、スラリーをろ過、水洗してから、50℃で乾燥して薄黄色粉末を得た。
実施例1のサンプル粉末を電子顕微鏡で観察した。また、当該サンプル粉末の化学組成は、ICP発光分光測定により行った。結晶構造は、X線回折により行った。X線回折結果により、リン酸8カルシウムとリン酸銀が確認された。また、ICP分析によりAgが3.5wt%定量された。図5に実施例1のサンプル粉末の電子顕微鏡写真図を示す。図5に示すように、リン酸カルシウムの薄片の表面にリン酸銀のナノ粒子が高分散状態で当該薄片に担持されて複合化していることが分かった。すなわち、リン酸カルシウムからなる複数の薄片が空隙部を介して互いに凝集して生成される所謂フラワー形状の吸着材を構成する薄片の表面に、ナノ粒子状のリン酸銀が高分散状態で担持された複合体が生成していたことが分かった。
一方、実施例2では、アラゴナイト構造の炭酸カルシウムであるアコヤ貝殻粉末2.0gを蒸留水50ml入りのガラス製三角フラスコに加えて、ホットスターラーで60℃になるまで撹拌した。そして、1Mリン酸水溶液20mlを滴定速度3.75ml/minで滴下後、ろ過、水洗してから、50℃で乾燥させた。その後、かかる乾燥により得られた粉末200mgを容積100mlのガラス製ビーカーに加えて、そこに7mMの硝酸銀水溶液50mlを加えて撹拌子で撹拌した。その後、スラリーをろ過、水洗してから、50℃で乾燥して黄色粉末を得た。
実施例2のサンプル粉末を電子顕微鏡で観察した。また、当該サンプル粉末の化学組成は、ICP発光分光測定により行った。結晶構造は、X線回折により行った。X線回折結果により、実施例1と同様にリン酸8カルシウムとリン酸銀が確認された。また、ICP分析によりAgが4wt%定量された。図6に実施例2のサンプル粉末の電子顕微鏡像を示す。図6に示すように、実施例2では、薄片そのものがリン酸銀になっている様子が確認されて、複合化して生成していた。すなわち、リン酸銀が薄片状に生成され、当該リン酸銀の薄片がリン酸カルシウムの薄片の表面又は端部の何れかに担持された複合体が生成していたことが分かった。換言すると、リン酸カルシウムの薄片の一部をリン酸銀の薄片に転換させて、リン酸カルシウムとリン酸銀を複合化されたものとなっていたことが分かった。
また、比較例1では、100mlのガラス製三角フラスコに0.15MのAgNO3水溶液50mlを加え、撹拌しながら、そこへ0.05MのNa2HPO4水溶液50mlを加えて、30分間撹拌してから、スラリーをろ過、水洗して、70℃で乾燥後に濃黄色粉末を得た。黄色粉末のX線回折結果からリン酸銀が生成していた。この粉末と実施例1で得られた所謂フラワー状粒子であるリン酸カルシウムからなる吸着材を実施例1のAg含有量と同じになるように物理混合した。物理混合後の粉末を蒸留水50ml中に加えて、均一に混ざり合うように30分間撹拌した。これらを50℃で乾燥し、薄黄色粉末を得た。
一方、比較例2では、特願2011−75312の明細書に記載の吸着剤試料を調製した。ハイドロキシアパタイトは、WAKO(登録商標)製のものを用いた。蒸留水200mlに硝酸銀を1.75g溶解させて硝酸銀水溶液を調製した。この水溶液にハイドロキシアパタイト10gを添加し、室温・遮光下で3時間撹拌した。その後、これをろ過し、固形分を水洗し、100℃で乾燥させ、茶色粉末を得た。当該茶色粉末には、Agが10wt%含まれていた。図7に比較例2のサンプル粉末の電子顕微鏡像を示す。図7に示すように、ハイドロキシアパタイトが略六角柱形状の結晶構造のため、リン酸銀が凝集されて塊状となって、ハイドロキシアパタイトと複合化できていないことが分かった。
次に、前述した実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2のサンプル粉末に対して、当該サンプル粉末の可視光に対する光触媒性能を確認するために、アンモニア分解試験を実施した。
アンモニア分解試験は、28%アンモニア水をDWで10倍希釈し、1Lガスバックにφ95mmのシャーレに分散させた各試料を100mgずつ入れて、ガスバッグを密閉した。その後、空気を導入後に希釈アンモニア水をシリンジで5μLを導入して、20℃に設定された恒温槽に入れた。そして、決められた時間にアンモニア検知管で濃度を測定した。その後、アンモニア濃度が一定になった時点で青色LEDを照射して、照射後のアンモニア濃度を測定した。
実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2の試験結果を図8に示す。図8は、本発明の可視光応答型光触媒複合体の実施例及び比較例によるアンモニア分解試験の結果を示すグラフである。図8に示すように、これらの試験結果から、LED照射を開始してからアンモニアの濃度減少を示したのは、実施例1及び実施例2のみであった。このことから、実施例1及び実施例2のサンプル粉末は、可視光に対する光触媒活性を有することが分かった。
すなわち、実施例1では、吸着材を構成するリン酸カルシウムの薄片の表面にリン酸銀の粒子が高分散状態で担持されるので、可視光応答型光触媒としての高い光触媒性能を維持した上で、吸着材としての吸着性能を確保できる。また、実施例2では、吸着材を構成するリン酸カルシウムの薄片間に有する空隙部を架橋するように、リン酸銀の薄片が高分散状態で担持されるので、可視光応答型光触媒としての高い光触媒性能を維持した上で、吸着材としての吸着性能を確保できる。
一方、比較例1のように、単にリン酸銀とリン酸カルシウムを物理混合するだけでは、これらリン酸銀とリン酸カルシウムの複合化ができず、かつ、リン酸銀の分散性が悪いため、光触媒活性を示さないことが明らかになった。すなわち、所謂フラワー形状のリン酸カルシウムとリン酸銀との物理混合体では、光触媒活性を示さないことが分かった。
また、比較例2のように、リン酸カルシウムの形状が単一の略六角柱の塊状で、かつ、ハイドロキシアパタイト構造のものは、リン酸銀と複合化できず、銀含有量が10wt%であるにも関わらず、光触媒活性を示さなかった。すなわち、複数の薄片を空隙部を介して凝集させた所謂フラワー形状でないリン酸カルシウムの吸着材では、リン酸銀が当該吸着材と複合化されずに、光触媒活性を示さないことが分かった。これは、吸着材が略六角柱形状等の厚い構造だと、リン酸銀粒子が凝集して、可視光に対する光触媒活性の低い塊状のリン酸銀に変化したためと考えられる。
このように、リン酸カルシウムでも、リン酸銀が高分散状態で複合化させる吸着材は、リン酸カルシウムの薄片が寄り集まったフラワー形状を有する吸着材のみで、その他の形状の吸着材では、リン酸銀が吸着材と複合化されない。すなわち、リン酸銀と複合化されていない吸着材の形状では、可視光照射下で光触媒活性を示さないことが分かった。
次に、本発明の一実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法により生成された可視光応答型光触媒複合体の実施例と、本発明の他の実施形態に係る可視光応答型光触媒複合体の製造方法により生成された可視光応答型光触媒複合体の実施例における吸着試験結果について、図面を使用しながら説明する。図9は、アンモニア吸着試験の結果を示すグラフであり、図10は、硫化水素吸着試験の結果を示すグラフであり、図11は、酢酸吸着試験の結果を示すグラフである。
まず、吸着試験対象となる試料として、前述したリン酸銀とリン酸カルシウムの複合体となる実施例1(AgCaP)と、当該実施例1の複合体を生成する過程で硝酸銀水溶液と接触させる前に、硝酸銅水溶液に接触させたものを50℃で乾燥してから、硝酸銀水溶液を接触させて生成した実施例3に係る複合体(CuAgCaP)を用意する。また、同様にして、当該実施例1の複合体を生成する過程で硝酸銀水溶液と接触させる前に、硝酸亜鉛水溶液に接触させたものを50℃で乾燥してから、硝酸銀水溶液を接触させた実施例4に係る複合体(ZnAgCaP)を用意する。
次に、これらの実施例1、実施例3、及び実施例4に係る複合体に対して、それぞれ下記の条件で吸着試験を実施した。なお、アンモニア吸着試験は、実施例1、実施例3、及び実施例4に係る複合体に対してそれぞれ実施し、硫化水素吸着試験及び酢酸吸着試験は、実施例1及び実施例3に係る複合体に対してそれぞれ実施した。
アンモニア吸着試験は、28%アンモニア水を蒸留水で10倍希釈し、1Lガスバックにφ95mmのシャーレに分散させた各試料を100mgずつ入れて、当該ガスバッグを密閉した。その後、空気を導入後に希釈アンモニア水をシリンジで7μLを導入して、20℃に設定された恒温槽に入れた。そして、決められた時間にアンモニア検知管で濃度を測定した。
硫化水素吸着試験は、1Lガスバックにφ95mmのシャーレに分散させた各試料を100mgずつ入れて、当該ガスバッグを密閉した。その後、空気を導入後に硫化水素標準ガスをシリンジで導入して、20℃に設定された恒温槽に入れた。そして、決められた時間に硫化水素検知管で濃度を測定した。
酢酸吸着試験は、酢酸を蒸留水で50倍希釈し、1Lガスバックにφ95mmのシャーレに分散させた各試料を100mgずつ入れて、ガスバッグを密閉した。その後、空気を導入後に希釈酢酸をシリンジで5μLを導入して、20℃に設定された恒温槽に入れた。そして、決められた時間に酢酸検知管で濃度を測定した。
アンモニア吸着試験の結果を見ると、図9に示すように、銅イオンを担持させた実施例3の複合体、及び亜鉛イオンを担持させた実施例4の複合体の方が実施例1の複合体よりもアンモニアの吸着量が多いことが分かる。これは、複合体に含まれる吸着材に銅や亜鉛等の金属イオンを担持することによって、金属イオンとアンモニアがアンミン錯体化合物を形成するため、アンモニアガスの吸着力が高められたものと考えられる。
また、硫化水素吸着試験の結果を見ると、図10に示すように、実施例1の複合体では、あまり硫化水素の吸着量が多くないが、銅イオンを担持させた実施例3の複合体では、硫化水素の吸着量が大幅に増加したことが分かる。これは、複合体に含まれる吸着材に銅等の金属イオンを担持することによって、金属イオン(M)と硫化水素がM−S結合を形成するため、硫化水素ガスの吸着力を高められたものと考えられる。
さらに、酢酸吸着試験の結果を見ると、図11に示すように、銅イオンを担持させた実施例3の複合体の方が実施例1の複合体よりも、より早く酢酸の吸着が完了することが分かる。これは、複合体に含まれる吸着材に銅等の金属イオンを担持することによって、金属イオン(M)と酢酸がM−COOH結合を形成するため、酢酸ガスの吸着速度を大きくして吸着力を高められたものと考えられる。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、可視光応答型光触媒複合体の構成、動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10、20 リン酸カルシウム、12 水和層、14、24、24a リン酸銀、S11、S21 分散工程(リン酸カルシウム生成工程)、S12、S22 滴下工程(リン酸カルシウム生成工程)、S13、S24 吸着材生成工程、S14、S25 接触工程、S23 金属イオン滴下工程

Claims (9)

  1. 可視光の波長領域で光触媒活性を発現する可視光応答型光触媒複合体であって、
    リン酸カルシウムからなる複数の薄片が空隙部を介して互いに凝集して生成される吸着材と、
    前記薄片の表面又は端部の何れかに分散状態に担持されるリン酸銀からなる可視光応答型光触媒と、を含むことを特徴とする可視光応答型光触媒複合体。
  2. 前記リン酸カルシウムは、リン酸8カルシウム又はリン酸水素カルシウムの何れかであることを特徴とする請求項1に記載の可視光応答型光触媒複合体。
  3. 前記リン酸銀が粒子状に生成され、該リン酸銀の粒子が前記リン酸カルシウムの前記薄片の前記表面又は前記端部に担持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の可視光応答型光触媒複合体。
  4. 前記リン酸銀が薄片状に生成され、該リン酸銀の薄片が前記リン酸カルシウムの前記薄片の前記表面又は前記端部に担持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の可視光応答型光触媒複合体。
  5. 可視光応答型光触媒を吸着材に複合化させた可視光応答型光触媒複合体の製造方法であって、
    カルシウム化合物を分散させた溶媒に所定量のリン酸水溶液を滴下してリン酸カルシウムを生成するリン酸カルシウム生成工程と、
    前記リン酸カルシウムをろ過してから乾燥させて前記吸着材を生成する吸着材生成工程と、
    乾燥後の前記吸着材を硝酸銀水溶液に接触させる接触工程と、を含むことを特徴とする可視光応答型光触媒複合体の製造方法。
  6. 前記リン酸カルシウム生成工程において、前記リン酸水溶液の前記所定量として前記カルシウム化合物に含まれるカルシウムと前記リン酸に含まれるリンのモル比が0.5乃至1.3となるように該リン酸水溶液を滴下することを特徴とする請求項5に記載の可視光応答型光触媒複合体の製造方法。
  7. 前記接触工程で前記吸着材に接触させる前記硝酸銀水溶液の濃度は、7乃至50mMであることを特徴とする請求項5又は6に記載の可視光応答型光触媒複合体の製造方法。
  8. 前記リン酸カルシウム生成工程後に金属イオン溶液を滴下する金属イオン滴下工程を更に含むことを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の可視光応答型光触媒複合体の製造方法。
  9. 前記リン酸カルシウム生成工程では、前記カルシウム化合物としてアラゴナイト構造、カルサイト構造、又はバテライト構造の結晶構造の炭酸カルシウムを前記溶媒中に分散させることを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載の可視光応答型光触媒複合体の製造方法。
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