JP2013139215A - スプリングシート - Google Patents

Abstract

【課題】スプリングへの異物（氷、雪及び泥など）の付着を抑制することを可能にするとともに、異物を上方若しくは側方に移動して排出することを可能にする。
【解決手段】スプリング２５と、スプリング２５を支持するサスペンションアーム２２との間に介在されるスプリングシート３０であって、スプリング２５を支持するスプリング支持部６１と、スプリング支持部６１と一体に車幅方向外側において上方に立設され、スプリング２５の側面２５ｃを覆う隔壁部６３と、を備え、サスペンションアーム２２に、スプリング２５の一端２５ａ側を支持する凹部３３を備え、隔壁部６３が、凹部３３の高さと同等に、若しくは凹部３３の高さを超える高さに形成され、隔壁部６３に、車幅方向外側からの異物を上方若しくは側方に移動するガイド面７５を備える。
【選択図】図２

Description

本発明は、スプリングと、スプリングを支持するサスペンションアームとの間に介在されるスプリングシートに関する。

スプリングシートとして、車体側部材と車輪側部材との間に配置されるサスペンションのコイルスプリングの座巻部からなる一巻目部分よりも二巻目部分が大径とされたビッグテール状端部を弾性的に支持するものがある。このスプリングシートは、サスペンションのサスペンションアーム側に設けられる樹脂シートと、コイルスプリング側に設けられるゴムシートとから構成され、ゴムシートには、コイルスプリングの一巻目部分を支持する凹部が形成される。

このスプリングシートによれば、樹脂シートとゴムシートとから構成されたので、コイルスプリングのビッグテール状端部を長期に亘って安定的に支持することが可能である（例えば、特許文献１参照。）。

特開２０１０−００７７７２号公報

ここで、特許文献１のスプリングシートでは、スプリングシートは、サスペンションのサスペンションアーム側に設けられる樹脂シートと、コイルスプリング側に設けられるゴムシートとから構成され、ゴムシートには、コイルスプリングの一巻目部分を支持する凹部が形成されている。例えば、上記のスプリングシートが採用された車両が寒冷地で使用される場合に、サスペンションアーム上の空間（ゴムシートの凹部）に雨水が溜まり、雨水が氷結等によってゴムシートの凹部が氷で充填状態となることも起きうる。そして、それに起因して予期せぬ応力が生じる可能性がある。

サスペンションの構成部品は十分な安全率を見込んだ上で比較的高強度の部材で形成されるものであるが、軽量化等の観点から又は信頼性の観点からも、氷結等による負荷を可能な限り軽減することが好ましい。
すなわち、サスペンションアーム上の空間に雨水が溜まり、雨水の氷結等が発生した場合にも、氷の塊を速やかに排除する工夫が望まれる。なお、雨水が氷結したものの中には雪や泥なども含まれる。以下、氷、雪及び泥などを含めて異物と呼ぶ。

本発明は、スプリングへの異物（氷、雪及び泥など）の付着を抑制することができる技術を提供することを課題とする。また、スプリングの一端側及びスプリングシート廻りに付着する異物を小さく分断することができ、さらに、異物を上方若しくは側方に移動して排出することができるスプリングシートを提供することを課題とする。

請求項１に係る発明は、スプリングと、スプリングを支持するサスペンションアームとの間に介在されるスプリングシートであって、スプリングを支持するスプリング支持部と、スプリング支持部と一体に車幅方向の一方において上方に立設され、スプリングの側面を覆う隔壁部と、を備えることを特徴とする。

請求項２に係る発明は、サスペンションアームに、スプリングの一端側を支持する凹部を備え、隔壁部が、凹部の高さと同等に、若しくは凹部の高さを超える高さに形成されることを特徴とする。

請求項３に係る発明は、隔壁部に、車幅方向外側からの異物を上方若しくは側方に移動するガイド面を備えることを特徴とする。

本発明は以下の効果を奏する。
請求項１に係る発明では、スプリングシートが、スプリングと、スプリングを支持するサスペンションアームとの間に介在される。
スプリングを支持するスプリング支持部と、スプリング支持部と一体に車幅方向の一方において上方に立設され、スプリングの側面を覆う隔壁部と、を備えたので、スプリングへの異物（氷、雪及び泥など）の付着を抑制することができる。

請求項２に係る発明では、サスペンションアームに、スプリングの一端側を支持する凹部を備える。
隔壁部が、凹部の高さと同等に、若しくは凹部の高さを超える高さに形成されたので、凹部空間を隔壁部で区画することができる。これにより、スプリングの一端側及びスプリングシート廻りに付着する異物を小さく分断することができる。この結果、異物の成長を抑制することができる。

請求項３に係る発明では、隔壁部に、車幅方向外側からの異物を上方若しくは側方に移動するガイド面を備えたので、スプリングの一端側及びスプリングシート、さらにはスプリングの車幅方向外側に位置する部材（ダンパユニットなど）の間に挟まった異物を上方若しくは側方に移動して排出することができる。

本発明に係るスプリングシートを採用したサスペンションを示す斜視図である。 図１に示されたサスペンションの平面図である。 図１に示されたサスペンションのサスペンションアーム及びスプリングシートの分解斜視図である。 図１の４−４線断面図である。 本発明に係るスプリングシートの平面図である。 図４に示されたスプリングシートの正面図である。 図４に示されたスプリングシートの左側面図である。 図４に示されたスプリングシートの右側面図である。 本発明に係るスプリングシートの比較検討図である。 本発明に係るスプリングシートの隔壁機能の作用説明図である。

本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。

図１〜図４に示されたように、サスペンション装置２０は、車体１１側に車輪１４を揺動自在に取付けるマルチリンク式のリアサスペンション装置（サスペンション）である。

サスペンション装置２０は、車輪１４を回転自在に支持するナックル２１と、車体１１側からナックル２１に延ばされたサスペンションアーム（ロアアーム）２２と、車体１１側からナックル２１に延ばされたトレーリングアーム２３と、車体１１側からナックル２１に延ばされたコントロールアーム２４と、車体１１側とサスペンションアーム２２との間に設けられるスプリング２５と、車体１１側とサスペンションアーム２２との間に設けられるダンパユニット２６と、スプリング２５とサスペンションアーム２２との間に介在させたスプリングシート３０と、を備える。

サスペンションアーム２２は、車幅方向に延ばされるアームである。サスペンションアーム２２は、車体１１側に揺動自在に取付けられる車体側支持部３１と、ナックル２１側に揺動自在に取付けられるナックル側支持部３２と、ダンパユニット２６及びスプリング２５の一端２５ａ側を支持する凹部３３と、が形成される。

凹部３３は、車体側支持部３１側に設けられ、スプリング２５を支持するとともにスプリングシート３０を載置するスプリングシート載置部３６と、ナックル側支持部３２に設けられ、ダンパユニット２６を支持するダンパ支持部３７と、が形成される。また、凹部３３は、スプリング２５の一端２５ａ側及びダンパユニット２６のユニットアーム側取付部５２側を収納する収納部でもある。
スプリングシート載置部３６の中心には、雨水等を排出するスプリング側開口部３８が設けられている。ダンパ支持部３７は、下方に雨水等を排出するダンパ側開口部３９が設けられている。

トレーリングアーム２３は、車体前後方向に延ばされるアームである。トレーリングアーム２３は、車体１１側に揺動可能に取付けられるトレーリングアーム車体側支持部４１と、ナックル２１側に取付けられる上下のナックル側取付部４２，４３と、が形成される。

コントロールアーム２４は、車幅方向に車体１１から斜め下方に延ばされるアームである。コントロールアーム２４は、車体１１側に揺動可能に取付けられるコントロールアーム車体側支持部４６と、ナックル２１側に揺動可能に取付けられるコントロールアームナックル側支持部４７と、が形成される。

ダンパユニット２６は、サスペンションアーム２２から車体への荷重入力を緩和する油圧緩衝器である。ダンパユニット２６は、車体１１側に取付けられるユニット車体側取付部５１と、サスペンションアーム２２側に取付けられるユニットアーム側取付部５２と、を備える。

ナックル２１は、サスペンションアーム２２を揺動自在に取付けるサスペンションアーム取付部５４と、トレーリングアーム２３を取付ける上下のトレーリングアーム取付部５５，５６と、コントロールアーム２４を取付けるコントロールアーム取付部５７と、車輪１４の車軸１５を回転自在に支持する貫通孔５８と、を備える。

図４〜図８に示されたように、スプリング２５は、具体的にはコイルスプリングであり、車輪１４からの入力を吸収する役目をなす。
スプリング２５は、一端２５ａ側がスプリングシート３０を介してサスペンションアーム２２のプリングシート載置部３６に支持され、他端２５ｂ側が車体１１側に支持される。スプリング２５の一端２５ａ側における側面２５ｃは、後述するように、スプリングシート３０の隔壁部６３で覆われる。

スプリングシート３０は、車体１１の振動の低減及び騒音の低減等を目的として、サスペンション装置２０のサスペンションアーム２２とスプリング（コイルスプリング）２５の一端２５ａとの間に介在させる部材である。すなわち、スプリングシート３０は、スプリング２５と、スプリング２５を支持するサスペンションアーム２２との間に介在される。
また、スプリングシート３０は、撥水性を有する樹脂材によって構成される。特に氷結時に雪氷類が剥離しやすい素材で形成することが好ましい。

スプリングシート３０は、スプリング２５を支持するスプリング支持部６１と、スプリング支持部６１からダンパユニット２６側に延出されたフランジ部６２と、ダンパユニット２６側に形成されスプリング２５の側面２５ｃを覆う隔壁部６３と、からなる。

スプリング支持部６１は、リング状の部分であり、スプリング２５の外周を受ける略円筒状の外壁６５と、スプリング２５の内周を開放する支持部開口６６と、この支持部開口６６の縁から立ち上げた複数の内壁６７と、からなる。
フランジ部６２は、ダンパユニット２６に向けて略水平に延ばされた部分である。フランジ部６２は、補強のための複数の上補強リブ７１及び下補強リブ７２が形成される。

隔壁部６３とスプリング支持部６１との間となるフランジ部６２は、相対的に低剛性とされ、隔壁部６３とフランジ部６２の接点（結合部）７３を支点として変形可能である。ただし、上述のように、スプリング支持部６１の隔壁部６３側（外周）に位置するフランジ部６２に補強リブ（上補強リブ７１及び下補強リブ７２）が形成されているので、変形が抑制され、通常走行時に雑音源とならない程度の強度剛性を有する。

隔壁部６３は、スプリング支持部６１と一体に車幅方向外側において上方に立設される。隔壁部６３は、凹部３３の高さと同等に、若しくは凹部３３の高さを超える高さに形成される。すなわち、図４に示されたように、隔壁部６３の高さをＨ１、隔壁部６３の先端６３ａ部分の凹部３３の高さをＨ２とするときに、Ｈ１≧Ｈ２の関係にある。

隔壁部６３は、中央に設けられるガイド面（ガイド部若しくは案内部）７５と、ガイド面の両脇に設けられる立壁部７６，７６と、立壁部７６，７６からスプリング２５側に折り曲げられる補助隔壁７８，７８と、から構成される。

ガイド面７５は、ダンパユニット２６に対して断面視凹状に形成される部分である。ガイド面７５は、車幅方向外側からの異物を上方若しくは側方に移動する機能を有する。また、隔壁部６３の車幅方向外側からの異物を上方若しくは側方に移動するガイド面７５は、上方に向かうに連れてスプリング２５側に指向させた。

立壁部７６は、コ字状の断面を有する部分である。立壁部７６の先端７６ａは、多角形状（若しくはＲ形状）とされ、先端７６ａからの水切れが良い形状とした。
補助隔壁７８は、立壁部７６から鈍角に且つスプリング２５側に折り曲げられる。補助隔壁７８の先端７８ａは、多角形状（若しくはＲ形状）とされ、先端７８ａからの水切れが良い形状とした。

補助隔壁７８は、上下の切り欠き８１，８２が設けられ、隔壁部６３の中間のみに形成される。これにより、上下の切り欠き（隙間）８１，８２から異物が移動され、スプリングシート３０周りから排出可能となる。また、補助隔壁７８には補強のための凸リブ７９が設けられる。

図９（ａ）に比較例のスプリングシート１３０が示され、図９（ｂ）に実施例のスプリングシート３０が示される。
比較例のスプリングシート１３０は、車体の振動の低減及び騒音の低減を目的として、サスペンションアームとスプリングの一端との間に介在させている。スプリングシート１３０は、スプリング支持部１３１が形成されているのみである。

実施例のスプリングシート３０では、比較例のスプリングシート１３０にサスペンションアーム（ロアアーム）２２の内部に発生する氷を分割する隔壁機能（隔壁部６３）を付加し、ダンパユニット２６の下部やスプリング２５の一端２５ａがそこに付着した氷雪などと一体に氷結することの氷結を防止するようにした。図１０（ａ）及び図１０（ｂ）で氷結防止のメカニズムを説明する。

図１０（ａ）に示されたように、サスペンションアーム２２やダンパユニット２６などの金属より氷との結合力が小さい樹脂（スプリングシート３０の隔壁部６３）で、ダンパユニット２６とスプリング２５とを遮蔽することにより、ダンパユニット２６やスプリング２５周りに形成される氷塊の体積が小さくなる。

これにより、図１０（ｂ）に示されたように、サスペンションアーム２２の揺動に伴い、矢印ａ１の如くスプリング２５の反力でスプリング２５周りの氷を上に浮かし、ダンパユニット２６とスプリング２５との境界に位置する樹脂（スプリングシート３０の隔壁部６３）で境界からの割れを促し、ダンパユニット２６とスプリング２５との間に隙間Ｓ１を発生させる。

さらに、図１０（ｂ）に示されたように、矢印ａ２の如くサスペンションアーム２２の上下動でダンパユニット２６の上部が矢印ａ３の如くサスペンションアーム２２に対して相対的に揺動することで、隙間Ｓ１が拡大するとともに、発生した隙間Ｓ１にダンパユニット２６周りの氷が矢印ａ４の如く移動可能となる。これにより、ダンパユニット２６の動きが改善されてダンパユニット２６が動きやすくなるので、ダンパユニット２６およびスプリング２５間に発生する負荷を緩和することができる。

図１〜図４に示されたように、スプリングシート３０は、車体１１とサスペンションアーム２２との間に設けられるスプリング２５と、スプリング２５を支持するサスペンションアーム２２との間に介在される。
スプリング２５を支持するスプリング支持部６１と、スプリング支持部６１と一体に車幅方向の一方（外側）において上方に立設され、スプリング２５の側面２５ｃを覆う隔壁部６３と、を備えたので、スプリング２５への異物（氷、雪及び泥など）の付着を抑制することができる。

図４に示されたように、スプリングシート３０では、サスペンションアーム２２に、スプリング２５の一端２５ａ側を支持する凹部３３を備える。
隔壁部６３が、凹部３３の高さと同等に、若しくは凹部３３の高さを超える高さに形成されたので、凹部３３空間を隔壁部６３で区画することができる。これにより、スプリング２５の一端２５ａ側及びスプリングシート３０周りに付着する異物を小さく分断することができる。この結果、異物の成長を抑制することができる。

図１及び図８に示されたように、スプリングシート３０では、隔壁部６３に、車幅方向外側からの異物を上方若しくは側方に移動するガイド面７５を備えたので、スプリング２５の一端２５ａ側及びスプリングシート３０、さらにはスプリング２５の車幅方向外側に位置する部材（ダンパユニット２６など）の間に挟まった異物を上方若しくは側方に移動して排出することができる。なお、図１０に示されたように、スプリング２５の伸縮やダンパユニット２６の挙動で、異物がガイド面７５を上方若しくは側方に移動することができる。

尚、本発明に係るスプリングシートは、図１〜図４に示すように、隔壁部６３がダンパユニット２６側に形成されたが、これに限るものではなく、スプリング２５を挟んでダンパユニット２６の対向側に形成されるものであってもよい。また、隔壁部６３がダンパユニット２６側に１箇所形成されたが、適宜、隔壁部６３の個数を増加させることを妨げるものではない。

本発明に係るスプリングシートは、図１及び図３に示すように、隔壁部６３の車幅方向外側からの異物を上方若しくは側方に移動するガイド面７５は、上方に向かうに連れてスプリング２５側に指向させたが、これに限るものではなく、上方に向かうに連れてスプリング２５の離れる方向に指向させたものであってもよい。

本発明に係るスプリングシートは、乗用車のサスペンション（サスペンション装置）に採用するのに好適である。

２０…サスペンション（サスペンション装置）、２２…サスペンションアーム、２５…スプリング、２５ｃ…スプリングの側面、２５ａ…スプリングの一端、３０…スプリングシート、３３…サスペンションアームの凹部、６１…スプリング支持部、６３…隔壁部、７５…隔壁部のガイド面。

Claims (3)

1. スプリングと、該スプリングを支持するサスペンションアームとの間に介在されるスプリングシートであって、
   前記スプリングを支持するスプリング支持部と、
   前記スプリング支持部と一体に車幅方向の一方において上方に立設され、前記スプリングの側面を覆う隔壁部と、を備えることを特徴とするスプリングシート。
2. 前記サスペンションアームは、前記スプリングの一端側を支持する凹部を備え、
   前記隔壁部は、前記凹部の高さと同等に、若しくは前記凹部の高さを超える高さに形成されることを特徴とする請求項１記載のスプリングシート。
3. 前記隔壁部は、前記車幅方向外側からの異物を上方若しくは側方に移動するガイド面を備えることを特徴とする請求項１又は請求項２記載のスプリングシート。

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