JP5913885B2 - 自動車のリヤサスペンション部構造 - Google Patents

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本発明は、リヤフロアパネルの下面に結合された左,右のサイドメンバにサスペンションブラケットを結合し、該左,右のサイドメンバのリヤフロアパネルの上面にリインホースを介してチャイルドシート固定用クロスバーを結合した自動車のリヤサスペンション部構造に関する。
自動車のリヤサスペンション部は、リヤフロアパネルの下面に結合されたサイドメンバにサスペンションブラケットを結合し、該サスペンションブラケットとサスペンション装置のサスペンションアームとの間にスプリングを配置して路面からの突き上げ荷重を吸収する構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
また前記自動車においては、チャイルドシートの取り付け強度,剛性を高める観点から、前記リヤフロアパネルの上面にチャイルドシート固定用クロスバーを配設し、該クロスバーの両端部を車体フロア部に固定する場合がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−280351号公報 特開2002−46517号公報
ところで、前記従来のリヤサスペンション部では、リヤサスペンション装置のスプリングからの入力によりサイドメンバの断面形状が変形したり、左,右のサイドメンバの高さが相対的に変位することによりリヤフロアパネルが変形したりし易く、場合によっては操縦安定性が悪化するおそれがある。
このような操縦安定性の悪化を防止するには、リヤフロアパネルやサイドメンバの板厚を大きくしたり、新たに補強部材を追加したりして入力に対する剛性を高めることが考えられる。しかしながら、このようにするとコストの上昇,車体重量の増加といった問題が生じるとともに、組み付け工数の増加により生産性が低下するという問題が生じる。
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、コストの上昇,車体重量の増加や生産性の低下といった問題を生じることなく、入力に対する剛性を高めることにより操縦安定性を改善できる自動車のリヤサスペンション部構造を提供することを課題としている。
本発明は、リヤフロアパネルと、車両前後方向に延び、左右側壁と底壁とを有する断面略ハット形状で前記リヤフロアパネルの下面に結合された左,右一対のサイドメンバと、該左,右のサイドメンバに結合され、リヤサスペンション装置の衝撃力吸収部材の上端部を支持するサスペンションブラケットと、前記リヤフロアパネルの上面の、前記左,右のサイドメンバ部分に車幅方向両端部がリインホースを介して結合されたチャイルドシート固定用クロスバーとを備えた自動車のリヤサスペンション部構造であって、
前記リインホースを、前記サイドメンバの左右側壁の上端部間に渡る長さの天壁部と、該天壁部に続いて形成され、前記左右側壁の内壁面に当接する後フランジ部とを有するものとし、
前記リインホースの左右フランジ部を、前記サイドメンバの左右側壁の前記サスペンションブラケット近傍部分に結合することにより、前記リインホースとサイドメンバとで角筒形状の閉断面を形成し、
前記リインホースの車外側の後フランジ部と前記サスペンションブラケットとを前記サイドメンバの車外側側壁を介在させて結合した溶接結合部の上部近傍に前記チャイルドシート固定用クロスバーのリヤフロアパネルへの結合部を位置させたことを特徴としている。
本発明に係るリヤサスペンション部構造によれば、チャイルドシート固定用クロスバーを取り付けるためのリインホースを、サイドメンバの左右側壁のサスペンションブラケット近傍部分を橋渡しして結合し、前記リインホースとサスペンションブラケットとをサイドメンバの側壁を介在させて結合した。
このように前記リインホースによりサイドメンバの左右側壁を結合したので、既存のリインホースを利用してサイドメンバの断面剛性を高めることができる。そのため、突き上げ荷重によるサイドメンバの断面崩れを効果的に抑えることができるとともに、左,右のサイドメンバの高さが相対的に変位することによるリヤフロアパネルの変形を効果的に抑えることができる。その結果、コーナリング時のリヤボディ全体の変形を抑えることができ、操縦安定性を高めることができる。
本発明では、前記リインホースとサスペンションブラケットとをサイドメンバを介在させて結合し、 該結合部にチャイルドシート固定用クロスバーの結合部を位置させたので、衝撃力吸収部材からの入力をサイドメンバ,リインホースを介してクロスバーに効率よく分散させて伝達することができ、リヤフロアパネルの変形をより確実に抑えることができ、より一層操縦安定性の改善を図ることができる。
このように本発明では、既存のリインホースを有効利用してリヤサスペンション部の入力に対する剛性を高めることが可能となり、リヤフロアパネルやサイドメンバの板厚を大きくしたり、補強部材を追加したりすることなく必要剛性を得ることができ、コスト上昇,重量増といった問題を回避できるとともに、生産性の悪化を回避できる。
本発明の実施例1による自動車のリヤサスペンション装置の概略構成図である。 前記自動車のリヤサスペンション部の斜視図である。 前記リヤサスペンション部のクロスバー結合部の斜視図である。 前記リヤサスペンション部のリインホース結合部の斜視図である。 前記リヤサスペンション部の概略図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図5は、本発明の実施例1による自動車のリヤサスペンション部を説明するための図である。なお、本実施例の説明の中で前後,左右という場合は、特記なき限り、シートに着座した状態で車両前進方向に見たときの前後,左右を意味する。
図において、1はリヤサスペンション装置2が搭載された自動車のリヤサスペンション部を示している。このリヤサスペンション部1は、不図示のリヤシートが搭載されたリヤフロアパネル3と、該リヤフロアパネル3の下面の車幅方向左,右端部に配設された車両前後方向に延びる断面略ハット形状の左,右一対のサイドメンバ4,4と、車幅方向に延び、前記リヤフロアパネル3の上面の、前記左,右のサイドメンバ4部分に固定されたチャイルドシート固定用クロスバー5とを備えている。
前記左,右のサイドメンバ4には、車幅方向に延びる断面略ハット形状のクロスメンバ6が架け渡して結合されている。このクロスメンバ6及び左,右のサイドメンバ4内には、前記リヤシートを取り付けるための複数のシートブラケット7が溶接結合されている。
前記リヤサスペンション装置2は、その前端部10aが弾性ブッシュ9を介してサイドメンバ4により上下揺動自在に支持されたサスペンションアーム10の後端部10bに後輪11を軸支し、該後端部10bと後輪11の上方に配設されたホイールハウス12との間にショックアブソーバ13を介設するとともに、前記後端部10bとサイドメンバ4との間にコイルスプリング(衝撃力吸収部材)14を介設し、前記左,右のサスペンションアーム10をトーションビーム15により連結した構造を有する。
前記左,右のサイドメンバ4は、左,右の側壁4a,4aと、該左,右の側壁4aの下端同士を連結する底壁4bと、左,右の側壁4aの上縁に形成されたフランジ部4c,4cとを有し、この左,右のフランジ部4cが前記リヤフロアパネル3の下面に溶接結合されている。
また前記左,右のサイドメンバ4の車外側のフランジ部4cには前記ホイールハウス12の下縁部が溶接結合されおり、この結合部にリヤフロアパネル3の外縁部が溶接結合されている。
前記左,右のサイドメンバ4の下面には、第1,第2サスペンションブラケット17,18が配設されている。
この第1サスペンションブラケット17は、大略碗状をなすブラケット本体17aと、該ブラケット本体17aの外周縁に形成された外周フランジ部17bとを有し、該外周フランジ部17bにゴムシート19を介在させて前記コイルスプリング14の上端部が支持されている(図5参照)。
前記第2サスペンションブラケット18は、第1サスペンションブラケット17とサイドメンバ4の車内側の側壁4aとの間に配設されており、曲面形状をなす本体部18aと、該本体部18aの下縁に形成された下フランジ部18bと、前記本体部18aの上縁に沿って形成された上フランジ部18cとを有し、該上フランジ部18cは、サイドメンバ4の側壁4a及びリヤフロアパネル3の外縁部に溶接結合されている。
前記第1サスペンションブラケット17の外周フランジ部17bは、前記サイドメンバ4の底壁4bと前記第2サスペンションブラケット18の下フランジ部18bとに架け渡して溶接結合されている。
前記クロスバー5は、鋼管製のパイプ部材5aの両端部に大略L字形状をなすブラケット5b,5bを結合し、前記パイプ部材5aに所定間隔をあけて複数のフック部材5cを結合した構造を有する。この各フック部材5cは、リヤシートのシートクッションとシートバックとの隙間の近傍に設置されており、このフック部材5cに不図示のチャイルドシートの固定金具を装着する。また前記クロスバー5は、荷室の荷物が移動してリヤシートに当たるのを防止している。
前記クロスバー5の左,右のブラケット5bは、前記リヤフロアパネル3を介在させて前記シートブラケット7及びリインホース20に結合されている。詳細には、左,右のブラケット5bの下辺部5eの前側がボルト22により前記シートブラケット7に固定され、後側がボルト23により前記リインホース20に固定されている。
前記クロスバー5の車幅方向中央部は、前記リヤフロアパネル3を介在させて前記クロスメンバ6に結合されている。詳細には、パイプ部材5aに前方に突出する取付けブラケット5dを溶接結合し、該取付けブラケット5dを、前記クロスメンバ6内に前,後壁間に架け渡して溶接結合された補強部材8にボルト締め固定した構造を有する(図2参照)。
前記リインホース20は、前記左,右のサイドメンバ4の左,右側壁4a,4aの前記第1,第2サスペンションブラケット17,18近傍部分を橋渡しして結合されている。
そして前記リインホース20と前記第2サスペンションブラケット18とは、前記サイドメンバ4の側壁4aを介在させて溶接により結合されており、詳細には以下の構造を有する。
前記リインホース20は、板金製のものであり、サイドメンバ4の左,右側壁4a間に渡る長さの天壁部20aと、該天壁部20aの前,後縁に続いて下方に屈曲形成された前,後壁部20b,20cと、該前,後壁部20b,20cの内,外側縁に続いて前方,後方に屈曲形成された内,外の前フランジ部20d,20e及び後フランジ部20f,20gと、前記天壁部20aの外縁に続いて外方に屈曲形成された外フランジ部20hとを有する。
前記リインホース20の各前,後フランジ部20d〜20gは、それぞれサイドメンバ4の左,右側壁4aの内壁面に溶接結合され、前記外フランジ部20hは、車内側のフランジ部4cに溶接結合されている。
さらに前記リインホース20の後フランジ部20fは、前記サイドメンバ4の車外側の側壁4aを挟んで前記第2サスペンションブラケット18の上フランジ部18cに3枚重ね合わせて溶接により一体に結合されている(図3,図4の×印参照)。
本実施例によれば、チャイルドシート固定用クロスバー5を取り付けるためのリインホース20を、サイドメンバ4の左,右側壁4aの第2サスペンションブラケット18近傍部分に架け渡して結合し、前記リインホース20と第2サスペンションブラケット18とをサイドメンバ4を挟んで溶接結合した。
このように前記リインホース20を、サイドメンバ4の左,右側壁4aに架け渡して結合したので、既存のリインホース20を利用してサイドメンバ4の断面剛性を高めることができる。そのため、突き上げ荷重Fによるサイドメンバ4の断面崩れを効果的に抑えることができるとともに、左,右のサイドメンバ4の高さが相対的に変位することによるリヤフロアパネル3の変形を効果的に抑えることができる。その結果、コーナリング時のリヤボディ全体の変形を抑えることができ、操縦安定性を高めることができる。
本実施例では、前記リインホース20と第2サスペンションブラケット18とをサイドメンバ4を介在させて結合したので、詳細には、リインホース20の後フランジ部20fと第2サスペンションブラケット18の上フランジ部18cとサイドメンバ4の側壁4aとを3枚重ねて溶接結合したので、コイルスプリング14からの入力Fを第1,第2サスペンションブラケット17,18からサイドメンバ4及びリインホース20を介してクロスバー5に効率よく分散させて伝達することができる。そのため、リヤフロアパネル3の変形をより効果的に抑えることができ、前記操縦安定性をより一層確実に改善できる。
このように本実施例によれば、既存のリインホース20を有効利用してリヤサスペンション部1の剛性を高めることが可能となり、リヤフロアパネルやサイドメンバの板厚を大きくしたり、補強部材を追加したりすることなく入力に対する剛性を高めることができ、コスト上昇,重量増といった問題を回避できるとともに、生産性の悪化を回避できる。
また本実施例では、既存のクロスバー5を有効利用してタワーバーと同じ効果を発揮させることができ、この点からも前記同様にコストの上昇,重量の増加を回避できる。
本実施例では、クロスバー5の車幅方向中央部をクロスメンバ6に結合したので、リヤフロアパネル3の変形をより確実に抑えることができる。なお、このクロスバー5とクロスメンバ6とは必ずしも結合する必要はない。
また前記実施例では、サスペンションアームとサイドメンバとの間にコイルスプリングを架設したが、本発明の衝撃力吸収部材には、ショクアブソーバも含まれる。
1 リヤサスペンション部
2 リヤサスペンション装置
3 リヤフロアパネル
4 サイドメンバ
4a,4a 左,右側壁
4b 底壁
5 チャイルドシート固定用クロスバー
14 コイルスプリング(衝撃力吸収部材)
17 第1サスペンションブラケット
18 第2サスペンションブラケット
20 リインホース

Claims (1)

  1. リヤフロアパネルと、
    車両前後方向に延び、左右側壁と底壁とを有する断面略ハット形状で前記リヤフロアパネルの下面に結合された左,右一対のサイドメンバと、
    該左,右のサイドメンバに結合され、リヤサスペンション装置の衝撃力吸収部材の上端部を支持するサスペンションブラケットと、
    前記リヤフロアパネルの上面の、前記左,右のサイドメンバ部分に車幅方向両端部がリインホースを介して結合されたチャイルドシート固定用クロスバーとを備えた自動車のリヤサスペンション部構造であって、
    前記リインホースを、前記サイドメンバの左右側壁の上端部間に渡る長さの天壁部と、該天壁部に続いて形成され、前記左右側壁の内壁面に当接する後フランジ部とを有するものとし、
    前記リインホースの左右フランジ部を、前記サイドメンバの左右側壁の前記サスペンションブラケット近傍部分に結合することにより、前記リインホースとサイドメンバとで角筒形状の閉断面を形成し、
    前記リインホースの車外側の後フランジ部と前記サスペンションブラケットとを前記サイドメンバの車外側側壁を介在させて結合した溶接結合部の上部近傍に前記チャイルドシート固定用クロスバーのリヤフロアパネルへの結合部を位置させた
    ことを特徴とする自動車のリヤサスペンション部構造。
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