JP2013129076A - 転写用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】被転写物に対し低光沢性の艶消し外観を付与できると同時に、ハードコード層との剥離性を有し、かつスリット加工時の箔こぼれが抑制された、インモールド用転写箔の基板フィルムとして有用な転写用ポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】ポリエステル支持層、艶消し層および離型層がこの順で積層された転写用積層ポリエステルフィルムであって、該艶消し層は平均粒子径d50が1μm以上9μm以下の粒子を艶消し層の重量を基準として1重量%以上15重量%以下含有し、該艶消し層の厚みは該粒子の平均粒子径d50の0.2倍以上1.5倍以下であり、該艶消し層の中心線平均表面粗さRaは0.2μm以上0.7μm以下の範囲であって、該離型層はフッ化アクリル共重合体およびフッ素を含有しないアクリル樹脂を含有する転写用積層ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は転写用積層ポリエステルフィルムに関し、詳しくは成形と同時に転写印刷するインモールド転写に用いられる転写箔のベースフィルムとして有用な転写用積層ポリエステルフィルムに関する。
従来、インモールド用転写箔として、ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、そのうえに熱硬化性の離型層を設け、この離型層の上にハードコート層、さらに印刷層を塗工し、これら順次積層したものが用いられている。
かかるインモールド用転写箔は、成形転写後に離型層面とハードコート層面との間で剥がされ、分離される。すなわち、成形転写後に印刷層は成形品の表面に接着して製品として取出され、ハードコート層はその製品の最表面となる。一方、離型層は転写箔のベースフィルムの上に設けられた状態で製品から取り除かれる。また、インモールド転写箔用に適したフィルムとして、離型層とベースフィルムとの接着力を高めるために両層間に接着層を設けることも検討されている。
転写法により装飾された被転写物の表面は、ポリエステルフィルムの表面形状を反映するため、ポリエステルフィルムの表面形状は加飾された図柄の光沢性に大きく影響を与える。従来の転写箔用ポリエステルフィルムによって得られる被転写物表面は高光沢性に優れるものであり、転写箔用ポリエステルフィルムの表面は易滑性を付与するための突起しか形成されていないものであった(特許文献1)。
近年、成形体表面に落ち着き感を持たせるため、成形体表面に低光沢性が求められるようになってきている。かかる成形体表面を得る方法として、例えばサンドマット処理した転写フィルムを利用する方法もあるが、フィルム製品の大面積化が困難であり、さらにその上に離型層を積層させるための易接着処理などの前処理を必要とするなどの問題がある。
一方、ポリエステルフィルム自体が低光沢の艶消し外観を有するフィルムの開発が行われており、ポリエステルフィルムの製膜中に多量の粒子を含有し、フィルム表面を粗化させる方法などが提案されているが(特許文献2)、転写箔に用いることは検討されていない。
インモールド用転写箔は、上述のとおり成形転写後に離型層面とハードコート層面との間で剥がされ、分離されるが、転写用フィルムに設けられる離型層に着目してみると、転写工程ではハードコート層と接着しており、その後転写箔を取り除く工程では十分な剥離性が求められる。しかしながら、転写箔の製造工程において被転写物の大きさに合わせて適切な幅に切断(スリット)する際、従来の離型層ではスリットの刃があたるショックによりスリットの部分でハードコート層、印刷層などの転写部分が離型層表面から剥がれる箔こぼれ現象を起こすことがあった。これはベースフィルムの上の離型層とハードコート層間において、層間剥離力が非常に低く、転写に供される部分のみでなく転写に供さない部分も剥離性に優れるために生じるものである。かかる箔こぼれ現象は、ハードコート層のように剥離層が厚くならざるを得ない場合、機能層が多い場合など、転写層の厚さが大きいときほど顕著に生じる。かかるスリット時の箔こぼれを防止する一例として、ベースフィルムに離型層を設ける際、スリット箇所に当たる部分を除いた帯状のパターンに離型層を設け、その上にハードコート層、印刷層、接着層などからなる転写層を設けたものが検討されている(特許文献3)。しかしながら、かかる方法では被転写物に適した塗工パターンにしなければならないなどの課題がある。
また特許文献4において、転写材用フィルムとして、従来の熱硬化性の離型層に代えて、熱可塑性樹脂を原料として形成される常態剥離力が2000mN/cm以下の離型層を片面に有するポリエステルフィルムが提案されており、離型層を構成する成分の1つとしてフッ素含有樹脂が好ましいことが記載されている。しかしながら特許文献4では、2000mN/cm以下という幅広い剥離力の離型フィルムが開示されているものの、箔こぼれの改善については何も検討されていない。
このように、成形体表面に低光沢性を付与できるインモールド用転写箔であり、同時にパターン塗工をしなくても箔こぼれを生ずることなく転写後の剥離性を有するインモールド転写材用ポリエステルフィルムが求められているのが現状である。
特開2009−220283号公報 特開2002−200724号公報 特開平11−58584号公報 特開2007−111964号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解消し、被転写物に対し低光沢性の艶消し外観を付与できると同時に、ハードコード層との剥離性を有し、かつスリット加工時の箔こぼれが抑制された、インモールド用転写箔の基板フィルムとして有用な転写用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、従来の艶消しポリエステルフィルムを転写箔として用いようとすると被転写物から転写箔が十分に離型せず、他方で従来の艶消しポリエステルフィルムに単に離型層を設けるだけでは、今度は離型層の塗布厚みによって転写箔の表面突起が埋まり、所望する表面粗さを持つ被転写物が得られず、また転写用フィルムに求められる剥離性や箔こぼれ性などの両立も十分でないとの知見を得てなされたものである。
そして、転写用ポリエステルフィルムが支持層上に艶消し層および離型層を備え、離型層を介していても被転写物に艶消し外観を付与できる表面粗さを有する艶消し層を有し、離型層がフッ化アクリル共重合体を含有することにより、離型層を介しながらも被転写物に十分な艶消し外観を付与でき、同時にハードコード層との剥離性に優れつつ、スリット加工時の箔こぼれも解消されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の目的は、ポリエステル支持層、艶消し層および離型層がこの順で積層された転写用積層ポリエステルフィルムであって、該艶消し層は平均粒子径d50が1μm以上9μm以下の粒子を艶消し層の重量を基準として1重量%以上15重量%以下含有し、該艶消し層の厚みは該粒子の平均粒子径d50の0.2倍以上1.5倍以下であり、該艶消し層の中心線平均表面粗さRaは0.2μm以上0.7μm以下の範囲であって、該離型層はフッ化アクリル共重合体およびフッ素を含有しないアクリル樹脂を含有する転写用積層ポリエステルフィルムによって達成される。
また本発明の転写用積層ポリエステルフィルムは、その好ましい態様として、該フッ化アクリル共重合体が下記一般式(I)で表されるフルオロアルキルアクリレート成分、下記一般式(II)で表されるフッ素を含まないアクリレート成分および下記一般式(III)で表されるアクリル酸成分とを構成成分とする共重合体であること、
Figure 2013129076
(式(I)、(II)および(III)において、R〜Rは水素またはメチル基、RX、RYは炭素原子数1〜10の炭化水素基、Rfはフッ素原子数3〜7のフルオロアルキル基をそれぞれ表わす)
該離型層がさらに架橋剤を含んでなること、該共重合体の全モル量を基準としてかかるフルオロアルキルアクリレート成分が5モル%以上89モル%以下であること、該共重合体のカルボキシル基濃度が30mmol/100g以上200mmol/100g以下であること、該共重合体の含有量が該離型層の重量を基準として50重量%以上90重量%以下であること、該離型層に対するハードコート層の剥離力が3.0mN/mm以上20.0mN/mm以下であること、該離型層が艶消し層上に直接設けられてなること、該離型層の表面自由エネルギーが25mN/m以上40mN/m以下であること、離型層が積層ポリエステルフィルムの製膜工程内で塗布することにより形成されること、積層ポリエステルフィルムの離型層と反対側の面にさらに帯電防止離型層を有すること、ポリエステル支持層が粒子を含有しない二軸配向ポリエステルフィルムであること、の少なくともいずれか一つを具備するものを包含する。
本発明の転写用積層ポリエステルフィルムは、被転写物に対し低光沢性の艶消し外観を付与できると同時に、ハードコード層との剥離性を有し、さらにスリット加工時の箔こぼれ現象が抑制されることから、インモールド転写箔用フィルムとして好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステル支持層]
本発明の転写用積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル支持層、艶消し層および離型層がこの順で積層された層構成を有する。
本発明においてポリエステル支持層を構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを例示することができる。
ポリエステルは、ホモポリマーであっても、これらポリエステルのうちの1つを主たる成分とする共重合体であってもよく、またはブレンドしたものであってもよい。ここで「主たる成分」とは、ポリエステルの繰り返し構造単位のモル数を基準として80モル%以上である。また主たる成分の割合は、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。また、共重合成分またはブレンド成分はポリエステルの繰り返し構造単位のモル数を基準として20モル%以下であり、好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートが力学的物性と成形性のバランスがよいので特に好ましい。
本発明のポリエステル支持層は、本発明の課題を損なわない範囲内で、粒子、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤を含有してもよいが、十分な成形性を確保する観点から、本発明のポリエステル支持層は粒子の含有量が層重量を基準として1重量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.5重量%以下であり、粒子を含有しないことがさらに好ましい。ここで粒子を含有しないとは、実質的に粒子を含有しないことを意味し、本発明においては支持層の重量を基準として0.01重量%以下の範囲であれば実質的に粒子を含有しない範囲に含まれる。
[艶消し層]
本発明における艶消し層は、平均粒子径d50が1μm以上9μm以下の粒子を艶消し層の重量を基準として1重量%以上15重量%以下の範囲で含有する。また本発明における艶消し層の厚みは該粒子の平均粒子径d50の0.2倍以上1.5倍以下であり、該艶消し層の中心線平均表面粗さRaは0.2μm以上0.7μm以下の範囲である。本発明において、艶消し層を構成する樹脂はポリエステルであることが好ましく、ポリエステル支持層に記載したポリエステルの中から適宜選択して用いることができ、ポリエステル支持層と同種のポリエステルを用いることがさらに好ましい。ここで同種とは主たる成分が同一であることをいい、共重合量は異なっていてもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムが、艶消し層においてかかる平均粒子径の粒子を一定量含有し、さらに該粒子の平均粒子径と艶消し外観の厚みを上記の関係にすることにより、艶消し層表面を十分に粗化させることができ、離型層を介して被転写物に対して転写させた際、低光沢性の艶消し外観を被転写物に形成することができる。
艶消し層に用いる粒子は、無機系、有機系のいずれでもよく、またその形状は特に限定されない。粒子の種類としては、無機粒子、有機粒子のうちの少なくとも1種が好ましく、具体的には不定形シリカ(コロイドシリカ)、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、二酸化チタン、カオリン、合成ゼオライト、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリレート粒子などが例示される。これらの粒子の中で、さらに好ましくは不定形シリカ、炭酸カルシウムおよび合成ゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1種である。これらの粒子のうち、2種以上の異なる粒子を含有させてもよく、また同じ種類で粒径が異なる粒子の混合物を用いてもよい。
また、艶消し層の表面形状を精度よく被転写物に転写できる粒子として、合成ゼオライトが好ましく、合成ゼオライトの吸着性、特に水分吸着性を低下させるために、pHが5以上の酸で粒子形状を崩さない程度の酸処理をしたものが好ましく、さらに300℃以上の温度で熱処理したものが好ましい。
粒子の形状は特に規定するものではないが、不定形であると粒度分布が広くなり、凝集による粗大突起を引き起こしやすく、製膜時に破断の起点となる可能性がある。したがって粒子の形状は球状もしくは多面状であることが好ましい。これらの粒子の添加方法は特に制限されないが、例えばポリエステルの重縮合中のグリコール分散系に添加する方法、または押出中マスターバッチを介して艶消し層に添加する方法が挙げられる。
また、粒子の平均粒子径が下限に満たないと光沢度を下げる効果が低下し、光沢度を下げるために粒子の添加量を増やそうとすると本発明の含有量を超える添加が必要となり、十分な製膜性を得ることができない。また粒子の平均粒子径が上限を超える場合は製膜時に破断を起こす起点となる。粒子の平均粒子径の下限値は好ましくは2μm、より好ましくは3μm、さらに好ましくは4μmである。また粒子の平均粒子径の上限値は好ましくは8μm、より好ましくは7μm、さらに好ましくは6μmである。
艶消し層に用いられる粒子の含有量は、艶消し層の重量を基準として1重量%以上15重量%以下の範囲であり、その下限は好ましくは3重量%、より好ましくは5重量%、さらに好ましくは7重量%である。また粒子含有量の上限は好ましくは12重量%、より好ましくは10重量%である。粒子の含有量が下限値に満たない場合は成形品表面に十分な艶消し外観を付与することができない。他方、粒子の含有量が上限値を超えると著しく製膜性が低下し破れが発生しやすくなり、フィルムの製膜自体が困難となる。
艶消し層の厚みは、粒子の平均粒子径d50の0.2倍以上1.5倍以下である。かかる関係が下限値に満たないと、艶消し層に含有される粒子が固定(固着ともいう)されず、塗布加工中に脱落することがあり、脱落した粒子により工程汚染の原因となり、加工適性に劣る。他方、艶消し層の厚みと粒子の平均粒子径との関係が上限値を超えると、含有される粒子がフィルム中に埋没し、十分な艶消し機能が得られない。
艶消し層の厚みは、粒子の平均粒子径d50の0.5倍以上であることが好ましく、0.7倍以上であることがさらに好ましい。また、艶消し層の厚みは粒子の平均粒子径d50の1.3倍以下であることが好ましく、1.1倍以下であることがさらに好ましい。
艶消し層の表面における中心線平均表面粗さ(Ra)は、0.2μm以上0.7μm以下である。艶消し層の中心線平均表面粗さ(Ra)をかかる範囲とすることによって、離型層を介して被転写物に転写させても十分な艶消し加工を施すことができる。
艶消し層の中心線平均表面粗さ(Ra)の値が上限を超えて大きすぎる場合は、艶消し層上に離型層やさらに他の層を塗布加工した際、塗布抜けと呼ばれる塗布されていない表面となり、加工適性に問題が生じる傾向にある。他方、艶消し層の中心線平均表面粗さ(Ra)が小さすぎる場合は、その上に離型層を塗布加工した際、転写箔として十分な表面粗さが得られず、被転写物の光沢度が高くなるなど、十分な艶消し外観を付与できない。このような観点から、艶消し層の中心線平均表面粗さ(Ra)の下限は、さらに好ましくは0.40μm、特に好ましくは0.45μmである。また、艶消し層の中心線平均表面粗さ(Ra)の上限は、さらに好ましくは0.60μm、特に好ましくは0.55μmである。
[離型層]
本発明の積層ポリエステルフィルムは、艶消し層上にさらに離型層を積層した構成を有しており、該離型層はフッ化アクリル共重合体およびフッ素を含有しないアクリル樹脂を含有する。離型層がフッ化アクリル共重合体とフッ素を含有しないアクリル樹脂とをバインダー成分として含有することにより、ハードコート層との剥離性とスリット加工時の箔こぼれ抑制とを両立できる剥離力が発現する。
本発明において、該離型層は艶消し層上に直接設けられてなることが好ましい。また、塗布層は積層ポリエステルフィルムの製膜工程内で塗布することにより形成されることが好ましい。
(フッ化アクリル共重合体)
本発明の離型層を構成するフッ化アクリル共重合体として、下記一般式(I)で表されるフルオロアルキルアクリレート成分、下記一般式(II)で表されるフッ素を含まないアクリレート成分および下記一般式(III)で表されるアクリル酸成分を構成成分とする共重合体であることが好ましい。
Figure 2013129076
(式(I)、(II)および(III)において、R〜Rは水素またはメチル基、RX、RYは炭素原子数1〜10の炭化水素基、Rfはフッ素原子数3〜7のフルオロアルキル基をそれぞれ表わす)
これらのモノマー成分を用いて共重合化して得られたフッ化アクリル共重合体は、剥離効果を有する共重合成分、接着力を有する共重合成分、および架橋反応を有する共重合成分とを含んでいるため、それぞれの機能を備える複数の化合物を離型層中に含む場合に比べて塗液の不安定性が抑制され、しかもこれらの各機能の調整がしやすいため、ハードコート層との剥離性とスリット加工時の箔こぼれ抑制との両立が可能となる。
また、フッ化アクリル共重合体が一定量のアクリル酸成分を含むことで、架橋点を有し、さらに適量の架橋剤を用いて離型層の架橋度を高めることで、高い離型性とハードコート剤塗布液に対する溶剤耐性が得られ、箔こぼれと転写物のクラック抑制という、相反する両機能をさらに両立させることができる。
フルオロアルキルアクリレート成分にはフルオロアルキルメタクリレート成分も含まれ、またフッ素を含まないアクリレート成分はフッ素を含まないアルキル(メタ)アクリレート成分の総称であり、同様にアクリル酸成分にはメタクリル酸成分も含まれる。また、本発明の共重合体は、モノマー成分としてフルオロアルキルアクリレート、フッ素を含まないアクリレートおよびアクリル酸を用い、これらがポリマー状に共重合化されたものである。
フッ化アクリル共重合体がフルオロアルキル基を含有し、そのフッ素原子数が3以上であることにより離型性能が発現しやすい。また、フルオロアルキル基のフッ素原子数が7以下であれば水への分散性が向上するためエマルジョン化しやすく、また離型力が高くなりすぎるのを抑制しやすい。かかるフルオロアルキル基のフッ素原子数は好ましくは3〜5である。
また、式(I)中、フルオロアルキルアクリレート成分に含まれるRXは炭素原子数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜5であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの飽和鎖式炭化水素基、シクロペンチレン基などの飽和脂環式炭化水素基が例示され、特にエチレン基が好ましい。
フッ化アクリル共重合体の共重合成分を構成するフルオロアルキルアクリレート成分の具体例として、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、トリフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートをモノマー成分とする共重合成分があげられる。かかる成分は水に可溶性または分散性のものが好ましいが、多少の有機溶剤を含有する水に可溶なものも好ましく、特に好ましくはモノマー成分がトリフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロブチル(メタ)アクリレートであることにより、ポリエステルフィルムとの接着性、ハードコート層との離型性、加工性が向上する。
フッ化アクリル共重合体の他の共重合成分を構成するモノマーとして、上式(II)で表わされるフッ素を含まないアクリレートが挙げられ、アルキル基の炭素原子数が1〜10であるアルキルアクリレートまたはアルキル基の炭素原子数が1〜10であるアルキルメタクリレートの少なくとも1種が例示される。
アルキル基の炭素原子数が1〜10であるアルキルアクリレートとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、などを挙げることができる。これらのうち、アルキル基の炭素原子数が4〜10のアルキルアクリレートが好ましく、特にアクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。これらのモノマー成分は、単独または2種以上を混合して使用してもよい。
また前記アルキル基の炭素数が1〜10であるアルキルメタクリレートとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、などを挙げることができる。これらのうち、特にメタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。
さらにフッ化アクリル共重合体を構成するアクリル酸成分は、アクリル酸、メタクリル酸などのモノマー成分を用いて得られ、安全性や取り扱いやすさからメタクリル酸が好ましい。
本発明のフッ化アクリル共重合体は、共重合体の全モル数を基準としてフルオロアルキルアクリレート成分が5モル%以上89モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20モル%以上85モル%以下、特に好ましくは30モル%以上80モル%以下である。フルオロアルキルアクリレート成分が下限値に満たないと十分な離型性能が発現しないことがある。一方、フルオロアルキルアクリレート成分が上限値を超える場合は造膜性に乏しくなることがある。
また、フッ素を含まないアクリレート成分は、フッ化アクリル共重合体の全モル数を基準として10モル%以上94モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20モル%以上70モル%以下である。さらにアクリル酸成分はフッ化アクリル共重合体の全モル数を基準として1モル%以上20モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3モル%以上15モル%以下である。
また本発明のフッ素を含まないアクリレート成分として、アルキルアクリレートとアルキルメタクリレートとを併用する場合は、両者の比率には特に制約はないが、フルオロアルキル(メタ)アクリレート中にカルボニル基を含むアクリル系重合体を均一に相溶させるためには、フッ素を含まないアクリレート単量体の合計100重量%に対し、前記アルキルメタクリレートを50重量%以上使用することが好ましい。
また、本発明のフッ化アクリル共重合体は、該共重合体100gに対し、カルボキシル基濃度が30mmol以上200mmol以下であることが好ましい。上記カルボキシル基濃度は、はじめに酸価(フッ化アクリル共重合体100gに含まれるカルボキシル基を中和させるために必要な水酸化カリウムのmg数)を求め、水酸化カリウムの分子量(g/mol)で割った値で表わされる。ここで、フッ化アクリル共重合体のカルボキシル基濃度は、塗布層を形成する前のフッ化アクリル共重合体のカルボキシル基濃度を表わしている。
フッ化アクリル共重合体のカルボキシル基濃度の下限値は40mmol/100gであることがさらに好ましく、特に好ましくは50mmol/100gであり、上限値は195mmol/100gであることがさらに好ましく、特に好ましくは190mmol/100gである。カルボキシル基濃度が上限値を超えると造膜性が大きく低下することがあり、塗布外観が不良となることがある。またカルボキシル基濃度が下限値に満たないと共重合体の架橋点が少ないため離型層の凝集力が十分でないことがあり、ハードコート剤塗布液に対する耐溶剤性、耐薬品性に乏しくなることがある。また、該層の凝集破壊により離型性能および粘着性能が十分に発現しないことがある。
本発明のフッ化アクリル共重合体のガラス転移温度は60℃以下であることがより好ましい。かかるガラス転移温度のフッ化アクリル共重合体を用いることにより、離型層が成形時のポリエステルフィルムの伸びに容易に追従しやすくなり、クラックを抑制しやすくなる。
フッ化アクリル共重合体のガラス転移温度はかかる範囲内でより低い方が好ましいが、ポリマーの性質上、その下限は−20℃に制限され、さらには10℃以上である。フッ化アクリル共重合体のガラス転移温度の調整は、アクリルモノマー種の選択や配合量を制御して行うことができる。
また、本発明で用いるフッ化アクリル共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5000〜1,000,000の範囲であり、より好ましくは100,000〜800,000、特に好ましくは200,000〜600,000である。かかる重量平均分子量が下限値に満たないと離型層の塗膜凝集力が弱く、ハードコート塗布溶剤に対する耐溶剤性に乏しくなることがある。一方、かかる重量平均分子量が上限値を超える範囲では水分散塗液の粘度が高くなりすぎフィルムに均一に塗布し難くなることがある。
フッ化アクリル共重合体の含有量は、離型層の重量を基準として50重量%以上90重量%以下であることが好ましい。またフッ化アクリル共重合体の添加量の上限値は85重量%であることがより好ましく、80重量%であることがさらに好ましく、75重量%であることが特に好ましい。またフッ化アクリル共重合体の添加量の下限値は55重量%であることがより好ましく、60重量%であることがさらに好ましい。
かかる範囲内のフッ化アクリル共重合体を用い、後述する架橋剤によりアクリル酸のカルボキシル基をはじめとする架橋点で架橋化されることにより、ポリエステルフィルムとの接着性が向上し、また塗膜凝集性の向上により、ハードコート塗布溶剤に対する耐溶剤性が向上する。
一方でフッ化アクリル共重合体の含有量が下限値に満たないとポリエステルフィルムとの接着性、離型性能が十分に発現しないことがある。また、フッ化アクリル共重合体の含有量が上限値を超える場合、ポリエステルフィルムとの接着性が低下することがある。
本発明のフッ化アクリル共重合体は、乳化重合により製造することができる。重合開始剤として公知のレドックス系開始剤を用いることができ、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、t−ブチルハイドロパーオキシドなどを挙げることができる。
乳化重合反応は、用いられるモノマーおよびラジカル重合開始剤の種類、その他の条件に応じた温度および反応時間で行うことができる。重合条件として、例えば重合反応温度50〜90℃、および重合反応時間3〜24時間の条件下で行うことができる。乳化重合は、例えば窒素ガスまたはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うこともできる。
これらのフッ化アクリル共重合体はエマルジョンの形態であってもよい。あるいは粉末形態であってもよい。フッ化アクリル共重合体を粉末形態にする方法としては、例えば上記方法などにより調製されたフッ化アクリル共重合体を乾燥させる方法などが挙げられる。一方、塗布層を簡便かつ大面積に作製できる点からエマルジョン形態が好ましい。
本発明のフッ化アクリル共重合体は、塗液中で球状の分散相を形成していることが好ましく、かかる分散相の平均粒径は好ましくは0.02〜1.0μm、より好ましくは0.03〜0.5μm、最も好ましくは0.04〜0.2μmである。かかる範囲であれば剥離性、加工性、造膜性、耐久性、防汚性および基材への密着性を得ることができる。
(フッ素を含有しないアクリル樹脂)
本発明において、離型層の構成成分としてフッ素を含有しないアクリル樹脂をフッ化アクリル共重合体とともに用いることにより、ハードコート層との剥離力を調整することができる。
本発明の離型層を構成するフッ素を含有しないアクリル樹脂は、マクロモノマーを乳化重合したエマルジョンであることが好ましく、重合後に高分子量の側鎖を有するグラフトポリマーを形成することができる。マクロモノマーの重合体成分を構成する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、これらのうちの1種、または2種以上を併用することができる。
これらの単量体のうち、特にメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの中から、少なくとも1種を使用することが好ましい。
フッ素を含有しないアクリル樹脂のガラス転移温度は、好ましくは−40℃以上20℃以下、さらに好ましくは−30℃以上10℃以下である。
該アクリル樹脂のガラス転移温度が下限値に満たないと、室温での凝集力が低く、ハードコート加工後、ハードコート層を剥離する際に該アクリル樹脂がハードコート層に転写(糊残りと称することもある)することがある。また、該アクリル樹脂のガラス転移温度が上限値より高いと室温での粘着力が低く、ハードコート層との剥離力の調整が難しくなることがある。
グラフトポリマーを主成分とするマクロモノマーの製造は公知の種々の方法によって行うことが可能であり、本発明においてはラジカル重合法またはアニオン重合法によって製造された重合体骨格の末端基に、ラジカル重合性の高いアクリロイル基の導入されたマクロモノマーを用いるのが好ましい。
フッ素を含有しないアクリル樹脂の含有量は、離型層の重量を基準として10重量%以上50重量%以下であることが好ましい。またフッ素を含有しないアクリル樹脂の添加量の上限値は40重量%であることがより好ましく、35重量%であることがさらに好ましく、30重量%であることが特に好ましい。またフッ化アクリル共重合体の添加量の下限値は15重量%であることがより好ましく、20重量%であることがさらに好ましい。
(架橋剤)
また、本発明の離型層は、該層の凝集力を向上させるために架橋剤を添加することが好ましい。本発明のフッ化アクリル共重合体とともに架橋剤を用いることにより、離型層自体の凝集破壊を抑制することができ、ハードコート層との剥離性、転写物の耐クラック性、などを高めることができる。また、離型層の塗膜凝集性の向上により、ハードコート剤塗布液に対する耐溶剤性、耐薬品性を高めることができる。
架橋剤としては、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物を例示することができ、その他一般的にカップリング剤と称される化合物を用いることもできる。取扱い易さや塗液のポットライフが長いことからエポキシ化合物、オキサゾリン化合物を用いることが好ましく、カップリング剤を用いることも好ましい。
エポキシ化合物として、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物などが挙げられ、さらに詳しくはそれらのグリシジルエーテル化合物、グリシジルアミン化合物が例示される。
オキサゾリン化合物として、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましい。具体的には付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーについては、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限されない。
メラミン化合物は、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に、低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物及びそれらの混合物が好ましい。メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が挙げられる。
イソシアネート化合物は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4、4´−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3´−ビトリレン−4,4´ジイソシアネート、3,3´ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
架橋剤の含有量は離型層の重量を基準としては0重量%以上30重量%以下であることが好ましい。また架橋剤の添加量の下限値は、より好ましくは10重量%であり、上限値はより好ましくは25重量%である。
架橋剤の含有量が下限値に満たないと離型層の凝集力が十分ではなく、転写物の耐クラック性が低下することがある。またハードコート塗布溶剤に対する耐溶剤性が十分でないことがある。一方、上限を超えて架橋剤を用いると、離型層の造膜性が低下することがあり、塗布外観が低下したり、転写物の耐クラック性が低下することがある。
(界面活性剤)
本発明の離型層を構成する塗液は、塗工時の取扱い易さ、作業環境の面から、水分散液あるいは乳化液の形態で使用するのが好ましい。良好な水分散、乳化液の形態を得るには、界面活性剤の使用が好ましく、塗液の他の成分との分散安定性のため、ノニオン系界面活性剤が特に好ましい。界面活性剤の含有量は、離型層の重量を基準として10重量%以下の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは2重量%〜7重量%の範囲である。
上限値を超えるとブリードアウト現象により離型層表面に界面活性剤が局在化し、上に塗られるハードコート剤と界面混合を起こし、本発明の離型層による離型性能が十分に発現しないことがある。
[帯電防止離型層]
本発明の転写用積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの離型層とは反対側の面にさらに帯電防止離型層を設けることが好ましい。かかる帯電防止離型層は塗布により設けられた帯電防止離型性の塗布層であることが好ましく、また帯電防止剤、離型剤を含有することが好ましい。帯電防止離型層は、インモールド用転写材用フィルムにおいて一般に設けられる層であり、帯電による転写箔同士の貼付きなどを抑えるために帯電性のみならず離型性も付与されることが多いが、かかる層上にハードコート層を設けることはなく、帯電防止性以外に求められる機能も通常はフィルム同士の貼り付き防止に必要な離型力だけであって、粘着力は求められておらず、本発明の離型層とは異なる機能層である。
かかる層を有することにより、インモールド用転写箔を取り扱う際に帯電による転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着の発生を抑えることができる。
帯電防止層の厚みは、乾燥後の厚みとして好ましくは0.01〜0.2μm、さらに好ましくは0.01〜0.08μmである。帯電防止層の厚みが下限値に満たない場合は帯電防止性が不十分となることがあり、また上限値を超えるとインモールド用転写箔とのブロッキングを起こし易くなることがある。
[積層ポリエステルフィルム]
本発明の積層ポリエステルフィルムは、例えば次の方法で製造することができる。
ポリエステル支持層に用いる樹脂組成物、および艶消し層に用いる樹脂組成物をそれぞれ乾燥後、別々の押出機に供給し、それぞれ、融点〜(融点+70)℃の温度で押出機内で溶融する。続いて、両方の溶融樹脂をダイ内部で積層する方法、例えばマルチマニホールドダイを用いた同時積層押出法により、積層した状態でフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、縦方向(以下、連続製膜方向、長手方向、MD方向と称することがある)および横方向(以下、幅方向、TD方向と称することがある)に延伸する。縦方向の延伸は例えば温度60〜130℃、好ましくは90〜125℃で、縦方向に例えば2.0〜4.0倍、好ましくは2.5〜3.5倍に延伸する。横方向の延伸は、例えば温度60〜130℃、好ましくは90〜125℃で、横方向に例えば2.0〜4.5倍、好ましくは3.0〜4.2倍に延伸する。二軸延伸後の面積倍率は13以下とすることが好ましい。
なお、フィルムの延伸後には熱固定処理を行うことが好ましい。熱固定処理は、最終延伸温度より高く融点以下の温度内で1〜30秒の時間内行うことが好ましい。例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは150〜250℃の温度、2〜30秒の時間の範囲で選択して熱固定することが好ましい。その際、20%以内の制限収縮もしくは伸長、または定長下で行い、また2段以上で行ってもよい。
また、離型層は艶消し層上に塗布することにより形成されることが好ましく、さらにポリエステルフィルムの製膜工程内(インラインと称することがある)で塗布することにより形成されることが好ましい。
従来はポリエステルフィルム上に易接着層を形成し、かかるフィルムをいったんロール状にした後、別工程でハードコート層の下地となる離型層をかかる易接着層上に設ける方法が用いられていたのに対し、本発明の特徴は、ポリエステルフィルムの製膜工程内で離型層をポリエステルフィルム上に直接塗設することができ、工程を簡略化できることにある。また、通常の二軸延伸法によるポリエステルフィルム製造工程における縦延伸後に塗布すれば、横延伸工程中に乾燥、熱処理が行われるため好ましい。
具体的な塗布方法は特に限定されず、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布方法を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含漬コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、カレンダーコーター、押出コーター、バーコーター等のような方法が挙げられる。
塗布液の塗布量は、通常3〜30g/m、好ましくは4〜20g/m、さらに好ましくは5〜10g/mである。また得られた離型層の厚みは、乾燥後の厚みとして好ましくは0.01〜0.2μm、さらに好ましくは0.01〜0.08μmである。離型層の厚みが下限値に満たない場合は離型性が不十分となることがあり、また上限値を超えると本発明の積層ポリエステルフィルムが帯電防止離型層をさらに有する場合に、帯電防止離型層とのブロッキングを起こし易くなることがある。
本発明において、帯電防止離型層をさらに有する場合、帯電防止層は積層ポリエステルフィルムの離型層と反対側の面に設けられることが好ましい。また、帯電防止層は塗布により設けられることが好ましい。塗布方法は離型層と同様の方法を用いることができる。
[剥離力]
本発明のポリエステルフィルムの離型層に対するハードコート層の剥離力は3.0mN/mm以上20.0mN/mm以下の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは3.5mN/mm以上15.0mN/mm以下、特に好ましくは3.5mN/mm以上10.0mN/mm以下である。
ここで、本発明における剥離力は、離型層上にDICグラフィックス株式会社製のハードコート剤(製品名「5LC114H」)100重量部および該ハードコート剤用硬化剤を3重量部含むハードコート組成物を塗布し、150℃、1分で熱風乾燥して熱により不完全硬化させた後の剥離力を測定した値で表わされる。
インモールド転写用に使用されるフィルムの離型層が、ハードコート層との剥離力について上述の剥離力を満足する場合に、ハードコート層との粘着性に優れるため、インモールド転写箔を成形品の大きさに合せてスリット加工する際に不要なハードコート層部分が剥離するという箔こぼれ現象も抑制でき、しかもインモールド転写後の転写箔の剥離性にも優れる。また、インモールド転写箔を作成する際にハードコート塗工剤を離型層上に塗布抜けを生じることなく塗工できる。
かかる剥離力が下限値に満たない場合、粘着性が十分ではなく、スリット加工時の箔こぼれが生じる。一方、かかる剥離力が上限値を超える場合、離型性に乏しく、インモールド転写後の転写箔の除去が困難となる。また、かかる範囲内で剥離力がより低い方が耐溶剤性が向上する。
[表面自由エネルギー]
本発明の離型層の表面自由エネルギーは25mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。
離型層の表面自由エネルギーが上限値より大きくなると、ハードコート剤の塗工性は良くなるが、該ハードコート層の離型性に劣ることがある。また離型層の表面自由エネルギーが下限値に満たないと塗工性が低下することがあり、また離型性が良すぎて本発明で必要な剥離力が得られないことがある。
本発明におけるかかる表面自由エネルギーは、下記式(1)で表わされるFowkesの拡張式で定義される表面自由エネルギーγ(以下、表面張力と称することがある)で表わされる。
γ=γ +γ +γ ・・・(1)
(上式中、γ は分散成分、γ は極性成分、γ は水素結合成分をそれぞれ表わす)
Fowkesの拡張式は、London力に由来する分散成分γ 、Debye力(永久双極子モーメント、電荷移動)に由来する極性成分γ 、水素結合力に由来する水素結合成分γ に着目している点で、表面を形成する組成と表面自由エネルギーとの相関性が高く、さらには剥離力との相関性が高い。従来、離型層の離型力について、Fowkesの式による表面張力で検討されることが多かったが、Fowkesの式は相互作用として分散力しか考慮していなかった。
本発明は、かかるFowkesの式では表面を形成する組成と剥離力との相関性が低いことを見出し、従来のFowkesの式による表面張力に代わり、北崎、畑らが考案した(日本接着協会紙8(3)、131〜141(1972))拡張Fowkes式により求めた表面自由エネルギーを用いており、本発明のフッ化アクリル共重合体およびフッ素を含まないアクリル樹脂を離型層に含有させることにより、かかる表面自由エネルギーを得ることができる。
表面自由エネルギーγを構成する分散力成分γ は0mN/mを超え25mN/m以下の範囲であることが好ましい。また、極性成分または双極子成分γ は0mN/mを超え10mN/m未満、水素結合成分γ は0mN/mを超え5mN/m以下であることが好ましい。
[耐クラック性]
本発明の離型層は上述の成分を含むフッ化アクリル共重合体を用いることにより、転写されるハードコート層の耐クラック性が良好なものとなる。
本発明におけるクラックとは、ハードコート層と離型層との剥離力が重いと成形加工時に生じる現象である。詳しくはハードコート層を含む転写層を成型同時転写時に、ハードコート層と離型層との剥離力が重いと転写層の一部分に応力がかかり、その転写層の一部が剥離されず、一部分に割れやヒビが生じる現象である。その結果、微小な傷が観察されたり、白く曇ったように観察されたり、さらには割れやヒビが観察される場合もあり、転写箔の装飾性が著しく失われることがある。
かかる現象は、特にハードコート層が不完全硬化状態であるときに生じる。成形同時転写に用いられるハードコート層の硬化手法の1つとして、成形に供する前にまず熱で不完全硬化し、さらに得られた成形品に紫外線照射することにより完全に硬化する方法が挙げられる。かかる不完全硬化状態のハードコート層に対して本発明の剥離力の塗布層を有する離型フィルムを用いてインモールド転写により成型同時転写を行うことで、クラックのない転写物を得ることができる。
[耐溶剤性]
本発明の離型層は、上述のフッ化アクリル共重合体を所定量有し、該共重合体における一定量のアクリル酸成分(III)が架橋剤によって架橋構造を有していることにより、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンなどのようなケトン系溶剤や、酢酸エチルなどのエステル系溶剤に対する耐溶剤性に優れている。前記溶剤に対する耐溶剤性に優れることにより、メチルエチルケトンなどを溶剤とするハードコート層を離型層上に形成させた際に溶剤による削れ破壊を抑制することができる。
[インモールド転写箔用フィルム]
本発明の転写用積層ポリエステルフィルムは、上述のとおり、ポリエステルフィルム支持層の少なくとも一方の面に艶消し層および離型層がこの順で積層された層構成を有する。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、一定の表面形状を有する艶消し層を有していることにより、離型層を介して被転写物に転写しても、被転写物に艶消し外観を付与できる。
また、前述の組成からなる離型層が艶消し層上に形成され、かかる離型層を介して転写されるため、ハードコート層の加工特性に優れるとともに、粗い表面形状でありながら転写後の離型性にも優れており、さらにスリット加工の際の箔こぼれ、屑、箔塵などの発生を抑制することができる。
さらに、離型層を形成するフッ化アクリル共重合体が既述のフルオロアルキルアクリレート成分、フッ素を含まないアクリレート成分およびアクリル酸を構成成分とする共重合体であり、さらに共重合体のアクリル酸成分が架橋点として適量の架橋剤により架橋される場合には、耐溶剤性がさらに向上する。
また従来は、フィルム製造工程でポリエステルフィルム上に易接着層を積層した後、さらに別工程で該易接着層上に有機溶剤組成の離型剤を塗布した離型層を積層する工程であったところ、本発明の離型層は工程の簡略化、環境低付加、低コスト化の効果をも奏するものである。
本発明の転写用積層ポリエステルフィルムは、離型層と反対面にさらに帯電防止成分を含有してなる離型性の塗布層を有することにより、インモールド転写を行う成形用途に用いた場合に、インモールド転写箔作成過程から成形転写に至る間で優れた帯電防止性及び離型性をも有しており、帯電やブロッキングによる転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃などの付着を抑制することができ、生産性を格段に向上させることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、各種物性は下記の方法により評価した。またwt%は重量%を、部は重量部をそれぞれ表わす。
(1)平均粒子径測定
フィルムをヘキサフルオロイソプロパノールで溶解して粒子を分離し、得られた粒子を測定に用いた。平均粒子径の測定は島津製作所製「CP−50型Centrifugal Particle Size Analyzer」を用いて行った。この測定器によって得られる遠心沈降曲線をもとに算出した各粒径の粒子とその存在量とのcumulative曲線から、50mass percentに相当する粒子径(d50)を読み取り、この値を上記平均粒子径とした(参照「粒度測定技術」、242〜247頁、日刊工業新聞社、1975年発行)。
(2)粒子含有量
フィルムから艶消し層を切り出し、ポリエステル樹脂は溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択し、サンプルを溶解処理した後、粒子をポリエステル樹脂から遠心分離し、粒子の全体重量に対する比率(重量%)をもって粒子の含有量とする。
(3)フィルムの各層厚み
包埋樹脂でフィルムを固定して断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)を用いて、各層の厚みを測定した。各層とも10点の平均値より求めた。なお、艶消し層の層厚みについては、粒子の存在しない部分の厚みを測定した。
(4)中心線平均表面粗さ(Ra)測定
小坂研究所社製の表面粗さ測定器SE−3CKを用い、JIS B0601、B0651の測定法により、艶消し層表面の中心線平均表面粗さ(Ra)を測定した。測定条件は触針先端径2μm、荷重30mg、走査ピッチ2μm、走査長1mm、走査本数100本、カットオフ0.25mmとした。なお、艶消し層の表面粗さは離型層が存在する状態で測定した。
(5)光沢度測定
艶消し層側のフィルム表面について、離型層が存在する状態で、JIS Z8741に準じて60度での鏡面光沢度を光沢計(日本電色工業製VG−2000)を用いて測定した。
(6)塗布層の成分
H−NMR、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(熱分解GC−MS)、X線光電子分光法(ESCA)測定より、塗布層の各成分の種類および成分量を特定した。
(7)ガラス転移温度測定
示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製DSC SSC5200)を使用して、離型層用の塗布液の乾固物をサンプルとして用い、サンプル量5mgを測定用のアルミニウム製パンに封入し、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温条件で25℃から300℃まで昇温させてDSC測定を行い、ガラス転移温度を測定した。
(8)離型層に対するハードコート層剥離力の測定
ポリエステルフィルムの離型層の表面に、以下に示した熱硬化性のハードコート剤を含むハードコート剤塗布液を乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、150℃、1分間、熱風オーブンで乾燥し、不完全硬化の状態のハードコート層を作製した。
作製したハードコート層の表面に幅18mmの粘着テープ(ニチバン社製、商品名「No.405−1P」)を貼り合わせた後、金属ローラー(線圧2kg/cm)で圧着した。室温にて30分放置した後、粘着テープをハードコート層と共に剥離し、その時の剥離力を測定した。測定は引張試験機を使用し、引張速度300mm/minの条件下、粘着テープ側を支点で支持しながら90°剥離の条件で行った。n=5で評価を行い、その平均値を求めてハードコート層剥離力とした。
(ハードコート剤塗布液)
ハードコート剤としてDICグラフィックス株式会社製のハードコート剤(製品名「5LC114H」)100重量部および該ハードコート剤用硬化剤を3重量部調製し、溶媒としてMEK(メチルエチルケトン)を用いて不揮発成分が30%のハードコート剤塗布液を調製した。
(9)表面自由エネルギー
23℃、65%RHの条件下で、24時間調湿したフィルムサンプルの離型層表面について、自動接触角測定装置(協和界面化学(株)社製)を使用して、水、ヨウ化メチレン、n−ヘキサデカンとの静的接触角を測定した。各液体試料についてそれぞれ5回ずつ測定を行い、その平均値をフィルムサンプルの接触角とし、各液体試料の表面張力および表面張力成分値(表1)を用いて、下記式(1)のFowkesの拡張式より離型層表面の表面自由エネルギーを算出した。
γ=γ +γ +γ h ・・・(1)
(上式中、γ は分散成分、γ は極性成分、γ は水素結合成分をそれぞれ表わす)
Figure 2013129076
(10)ハードコート剥離時の箔こぼれ性
離型層のハードコート層剥離力測定試験において、ハードコート層を粘着テープで剥離した際に粘着テープに引きつられて、余計に剥離されたハードコート層の箔こぼれ発生有無を観察し、評価を行った。
○ : 粘着テープ幅と同じ幅でハードコート層が剥離
△ : 部分的に粘着テープ幅より広くハードコート層が剥離
× : 全体的にテープ幅より広くハードコート層が剥離
(11)溶剤ラビング試験
JIS−K5600−8の塗膜劣化評価に従い、ガーゼにメチルエチルケトンを染み込ませ、離型層上にガーゼを載せてその上に総荷重150g(治具の重量150g、追荷重0g)の荷重を負荷しながら塗布層の表面上を1往復させた後、表面に観察された塗布層の剥がれた塗膜幅、傷を観察し、下記の基準で耐溶剤性の評価をした。評価は溶剤ラビング試験を行った部分のうち、2cm×10cmの範囲で観察した。
◎ : 剥離、擦傷とも皆無 ・・・・・・ 溶剤耐性極めて良好
○ : 剥離皆無、擦傷少しあり ・・・・・・ 溶剤耐性良好
△ : 剥離少しあり、擦傷あり ・・・・・・ 溶剤耐性やや良好
× : 剥離あり、擦傷あり ・・・・・・ 溶剤耐性不良
(12)耐クラック性
(8)離型層に対するハードコート層剥離力測定と同じ条件でポリエステルフィルムの離型層の表面にハードコート層を作成し、(8)と同じ条件で粘着テープをハードコート層表面に圧着させたサンプルを用い、引張試験機を使用して、引張速度300mm/minの条件下、90°剥離の条件で粘着テープをハードコート層と共に剥離した。剥離後、粘着テープに張り付いたハードコート層を(株)日立製走査型電子顕微鏡で観察を行った。
○ : 剥離したハードコート層にひび割れが観察されなかった。
△ : 剥離したハードコート層に一部ひび割れが観察された。
× : 剥離したハードコート層にひび割れが観察された。
(13)離型層のヘーズ
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用して、下記式(2)より離型層のヘーズを測定した。式中、フィルムヘーズとは、ポリエステルフィルム上に離型層が形成されたフィルム全体のヘーズ値であり、離型層未塗工フィルムヘーズとは、離型層を塗工していない状態でのフィルムヘーズを指す。
離型層のヘーズ=フィルムヘーズ−離型層未塗工フィルムヘーズ ・・・(2)
A+ : 0.1%未満
A : 0.1%以上 0.4%未満
B : 0.4%以上 0.8%未満
C : 0.8%以上
(14)フッ化アクリル共重合体の酸価(カルボキシル基濃度)
フッ化アクリル共重合体の酸価(カルボキシル基濃度)について、JIS K0070に従い、中和滴定法を用いた測定で行った。フッ化アクリル共重合体0.15gを精秤し、ベンジルアルコール5mlを加えて加熱溶解した。これにクロロホルム10mlを混合した後、フェノールレッドを指示薬として加え、撹拌しながら0.1N−KOHベンジルアルコール溶液で中和滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数を、樹脂100gあたりに換算した値を酸価(カルボキシル基濃度,mmol/100g)として求めた。
(15)転写物評価
ポリエステルフィルムの離型層の表面に、上述の剥離力測定と同じハードコート剤塗布液を乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、150℃、1分間、熱風オーブンで乾燥し、不完全硬化のハードコート層を作製した。次いで紫外線照射装置(FusionUV Systems Japan(株)製:商品名フュージョンHバルブ)を用いて、光量300mJ/cmの条件で紫外線を照射し、ハードコート塗布フィルムを得た。作製したハードコート層の表面に幅18mmの粘着テープ(ニチバン社製、商品名「No.405−1P」)を貼り合わせた後、金属ローラー(線圧2kg/cm)で圧着した。室温にて30分放置した後、粘着テープをハードコート層と共に剥離し、転写物(転写形状を有するハードコート層)を得た。
(i)転写物の中心線平均表面粗さ(Ra)
小坂研究所社製の表面粗さ測定器SE−3CKを用い、JIS B0601、B0651の測定法により、得られた転写物の表面の中心線平均表面粗さ(Ra)を測定した。測定条件は触針先端径2μm、荷重30mg、走査ピッチ2μm、走査長1mm、走査本数100本、カットオフ0.25mmとした。
(ii)転写物の光沢度測定
JIS Z8741に準じ、転写後のハードコート面の60度での鏡面光沢度を光沢計(日本電色工業製VG−2000)を用いて測定した。
[実施例1]
支持層としてポリエチレンテレフタレート([η]=0.64dl/g、Tg=78℃)を用い、艶消し層としてポリエチレンテレフタレート([η]=0.64dl/g、Tg=78℃)を用いて平均粒子径d50が5μmの合成ゼオライト粒子を艶消し層の重量を基準として9重量%の含有量になるよう配合し、それぞれ溶融後、ダイから同時多層押出ししてキャスティングドラム上で急冷し、シートを得た。次いで75℃で予熱し、延伸温度110℃にて縦方向に2.9倍に延伸した。その後、表2に示す塗布層構成成分からなる離型層用塗布液(4.0wt%塗布液)をフィルムの艶消し層面に6g/m(乾燥後の塗布層厚み0.04μm)、帯電防止層用塗布液(2.0wt%塗布液)をフィルムのポリエステル支持層面に6g/m(乾燥後の塗布層厚み0.02μm)になるよう、それぞれロールコーターで均一に塗布した。
次いで、この塗布フィルムを引き続いて105℃で乾燥し、140℃で横方向に3.5倍に延伸し、更に230℃で熱固定して表2に示す塗膜を有する50μmの転写用積層ポリエステルフィルムを得た。熱固定する際に、縦・横に弛緩を入れて熱収縮を調整した。
このようにして得られた、離型層/艶消し層/支持層/帯電防止離型層の層構成の積層ポリエステルフィルムについて、各項目について測定した結果を表2に示す。
[実施例2〜12]
艶消し層の構成および離型層用塗布液の組成を表2に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、転写用積層ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2013129076
[比較例1〜11]
艶消し層の構成および離型層用塗布液の組成を表3に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、転写用積層ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2013129076
(離型層組成)
・フッ化アクリル共重合体A(トリフルオロエチルメタクリレート−ブチルメタクリレート−2−エチルヘキシルメタクリレート−メタクリル酸共重合体;ガラス転移温度 57℃):
トリフルオロエチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メタクリル酸、そして乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩で構成されている。
すなわち、四つ口フラスコにイオン交換水1050重量部、および乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩22.6重量部を仕込んで窒素気流中で80℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム6.4部添加し、更にモノマーであるトリフルオロエチルメタクリレート98.4重量部、n−ブチルメタクリレート8重量部、2−エチルヘキシルメタクリレート35重量部、メタクリル酸6.2重量部を3時間にわたり液温が70〜80℃になるよう調製しながら滴下し、滴下終了後も同温度を5時間保持しつつ、攪拌下に反応を継続させ、次いで冷却し、真空乾燥機で乾燥させて平均粒径0.06μmの不揮発成分重量35%のフッ化アクリル系共重合体水分散体を得た。このフッ化アクリル系共重合体は、モノマー成分がトリフルオロエチルメタクリレートである共重合成分が共重合体の全繰り返し単位を基準として78モル%であり、またモノマー成分がn−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メタクリル酸である共重合成分の合計量が共重合体の全繰り返し単位を基準として22モル%であった。
・フッ化アクリル共重合体B(トリフルオロメチルメタクリレート−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体;ガラス転移温度 22℃):
トリフルオロメチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、そして乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩で構成されている。フッ化アクリル共重合体Bは、イオン交換水1050重量部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩22.6重量部、過硫酸アンモニウム6.4重量部、トリフルオロメチルメタクリレート110.0重量部、n−ブチルアクリレート69.8重量部、メチルメタクリレート21.2重量部、アクリル酸10重量部を用いた以外、合成方法は前記共重合体Aと同じである。該共重合体Bの平均粒子径は0.07μmで、モノマー成分がトリフルオロメチルメタクリレートである共重合成分が共重合体の全繰り返し単位を基準として52モル%であり、またモノマー成分がn−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸である共重合成分が共重合体の全繰り返し単位を基準として48モル%であった。
・フッ素を含有しないアクリル樹脂 : アクリルエマルジョン(楠本化成株式会社製、商品名「NeoCrylXK−90」、ガラス転移温度0℃)
・架橋剤 : オキサゾリン化合物(株式会社日本触媒製、商品名「エポクロスK−2030E」)
・界面活性剤 : ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製、商品名「ナロアクティーN−70」)
(帯電防止層組成)
・シリコーン成分 : エポキシ基含有シリコーン(モメンティブパフォーマンスマテリアルジャパン合同会社製 商品名TSF4730)
・カチオンポリマー :
下記式(IV)に示す構造が80モル%/メチルアクリレート15モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%からなる共重合体を用いた
Figure 2013129076
(上式中、R、RはそれぞれHであり、Rは炭素原子数が3のアルキレン基であり、R、Rはそれぞれ炭素原子数が1の飽和炭化水素基であり、Rは炭素原子数が3のヒドロキシアルキレン基であり、Yはメチルスルホネートイオンである)
・架橋剤 : オキサゾリン化合物(株式会社日本触媒製、商品名「エポクロスK−2030E」)
・界面活性剤 : ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製、商品名「ナロアクティーN−70」)
本発明の転写用積層ポリエステルフィルムは、被転写物に対し低光沢性の艶消し外観を付与できると同時に、ハードコード層との剥離性を有し、さらにスリット加工時の箔こぼれ現象が抑制されることから、インモールド転写箔用フィルムとして好適に使用することができる。

Claims (12)

  1. ポリエステル支持層、艶消し層および離型層がこの順で積層された転写用積層ポリエステルフィルムであって、該艶消し層は平均粒子径d50が1μm以上9μm以下の粒子を艶消し層の重量を基準として1重量%以上15重量%以下含有し、該艶消し層の厚みは該粒子の平均粒子径d50の0.2倍以上1.5倍以下であり、該艶消し層の中心線平均表面粗さRaは0.2μm以上0.7μm以下の範囲であって、該離型層はフッ化アクリル共重合体およびフッ素を含有しないアクリル樹脂を含有することを特徴とする転写用積層ポリエステルフィルム。
  2. 該フッ化アクリル共重合体が下記一般式(I)で表されるフルオロアルキルアクリレート成分、下記一般式(II)で表されるフッ素を含まないアクリレート成分および下記一般式(III)で表されるアクリル酸成分とを構成成分とする共重合体である請求項1記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
    Figure 2013129076
    (式(I)、(II)および(III)において、R〜Rは水素またはメチル基、RX、RYは炭素原子数1〜10の炭化水素基、Rfはフッ素原子数3〜7のフルオロアルキル基をそれぞれ表わす)
  3. 該離型層がさらに架橋剤を含んでなる請求項1または2に記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
  4. 該共重合体の全モル量を基準としてかかるフルオロアルキルアクリレート成分が5モル%以上89モル%以下である請求項2または3に記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
  5. 該共重合体のカルボキシル基濃度が30mmol/100g以上200mmol/100g以下である請求項2〜4のいずれかに記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
  6. 該共重合体の含有量が該離型層の重量を基準として50重量%以上90重量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
  7. 該離型層に対するハードコート層の剥離力が3.0mN/mm以上20.0mN/mm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
  8. 該離型層が艶消し層上に直接設けられてなる請求項1〜7のいずれかに記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
  9. 該離型層の表面自由エネルギーが25mN/m以上40mN/m以下である請求項1〜8のいずれかに記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
  10. 離型層が積層ポリエステルフィルムの製膜工程内で塗布することにより形成される請求項1〜9のいずれかに記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
  11. 積層ポリエステルフィルムの離型層と反対側の面にさらに帯電防止離型層を有する請求項1〜10のいずれかに記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
  12. ポリエステル支持層が粒子を含有しない二軸配向ポリエステルフィルムである、請求項1〜11のいずれかに記載の転写用積層ポリエステルフィルム。
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