JP2013118286A - 圧電体膜、それを用いたセンサおよびアクチュエータ、ならびに圧電体膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電体膜110は、ランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛からなり、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65)の範囲である部分を含み、粒状晶グレインの集合体からなる。圧電体膜110は、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第1層111と、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65)の第2層112とを含む。
【選択図】図1
Description
請求項5記載の発明は、前記圧電体膜が金属膜上に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧電体膜である。この構成によれば、圧電体膜が金属膜に接しているので、圧電体膜の圧電効果により生じる電気信号を金属膜から取り出したり、金属膜から圧電体膜に電圧を印加したりすることができる。圧電体膜上には別の金属膜が形成されていてもよい。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る圧電体薄膜の模式的な断面図である。圧電体薄膜110は、この実施形態では、シリコン基板101上に形成された金属膜103の表面に接して形成されている。より具体的には、シリコン基板101の表面には、酸化シリコン膜102が形成されており、この酸化シリコン膜102の表面に金属膜103が形成されている。金属膜103は、この実施形態ではPt(白金)からなっており、(111)面方位に優先配向している。シリコン基板の表面またはシリコン基板上に形成された酸化シリコン膜の表面にPt膜を形成すると、このPt膜は(111)面方位に優先配向する。
図2は、前記圧電体薄膜の形成工程を説明するためのフローチャートである。表面に金属膜103が形成されたシリコン基板101が準備され、金属膜103上に最下層の第1層111のための塗布膜が形成される。具体的には、第1層111を形成するための前駆体溶液がスピンコートされる(ステップS1)。この前駆体溶液は、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む溶液であって、溶媒として有機溶剤を用い、さらに微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加された溶液である。このスピンコートの後、塗布膜を鉛の融点未満の温度(たとえば300℃)の温度で熱処理して、有機溶媒を蒸発させることにより、当該塗布膜をゲル化させる仮焼成工程(ステップS2)が行われる。
図5は、この発明の第2の実施形態に係る圧電体薄膜の製造工程を説明するためのフローチャートである。この実施形態によって作成される圧電体薄膜の最終構造は図1の場合と同様であるので、この実施形態の説明では図1を併せて参照する。また、図5において前述の図2に示した各ステップと同等の工程を示すステップには同一参照符号を付して示す。
第1層131、第2層132および第3層133のための前駆体溶液は、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含み、微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加された溶液である。これに対して、第4層134のための前駆体溶液は、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の割合は110以上がより好ましい。)の範囲の割合で含み、微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加された溶液である。
シリコン基板2には、ノズル形成領域3および回路形成領域4が設定されている。さらに、シリコン基板2には、インク溜まりとしての加圧室62が形成されている。キャビティプレート10Aは、たとえばシリコンプレートからなる。このキャビティプレート10Aは、シリコン基板2の裏面に貼り合わされ、インク通路10a,11aを形成するように構成されている。インク通路10aは、加圧室62に連通し、この加圧室62にインクを供給するインク供給路である。インク通路11aは、インク通路10aとは別の位置で加圧室62に連通しており、インク吐出通路11の一部を形成している。キャビティプレート10B,10Cは、プラスチック板またはステンレス板で構成されていてもよい。キャビティプレート10Bは、キャビティプレート10Aに貼り合わされており、キャビティプレート10Aのインク通路11aと整合するインク通路11bが、厚さ方向に貫通して形成されている。キャビティプレート10Cは、キャビティプレート10Bに貼り合わされており、キャビティプレート10Bのインク通路11bと整合するノズル通路11cが厚さ方向に貫通して形成している。インク通路11a,11bおよびノズル通路11cは、インク吐出通路11を形成している。加圧室62からインク吐出通路11を通って、ノズル通路11cの先端に形成された吐出口11dから、インクが吐出される。インク通路11aおよび11bは、それぞれの入口から出口まで一様な流路断面を有している。ノズル通路11cは、インク通路11bの出口に整合する入口を有し、吐出口11dに向かって流路断面がテーパー状に絞られている。
ノズル形成領域3において、振動膜5および圧電素子6の表面は、水素バリア膜13により覆われている。水素バリア膜13は、Al2O3(アルミナ)からなる。これにより、圧電体層8の水素還元による特性劣化を防止することができる。水素バリア膜13上には、層間絶縁膜14が積層されている。層間絶縁膜14は、SiO2からなる。層間絶縁膜14上には、配線15,16が形成されている。配線15,16は、Al(アルミニウム)を含む金属材料からなる。
配線16の一端部は、上部電極9の周縁部の上方に配置されている。配線16の一端部と上部電極9との間において、水素バリア膜13および層間絶縁膜14を連続して貫通する貫通孔18が形成されている。配線16の一端部は、貫通孔18内に入り込み、貫通孔18内で上部電極9と接続されている。
回路形成領域4には、たとえば、NチャネルMOSFET(Negative-channel Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)21およびPチャネルMOSFET(Positive-channel Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)22を含む集積回路(CMOS集積回路)が形成されている。この集積回路は、圧電素子6を駆動するための駆動回路72を含む。
ソース領域33、ドレイン領域34およびゲート電極36の表面には、それぞれシリサイド38,39,40が形成されている。
ソース領域43、ドレイン領域44およびゲート電極46の表面には、それぞれシリサイド48,49,50が形成されている。
配線52は、ソース領域33の上方に形成されている。配線52とソース領域33との間において、層間絶縁膜51には、それらを電気的に接続するためのコンタクトプラグ55が貫通して設けられている。コンタクトプラグ55は、W(タングステン)からなる。
配線53は、ドレイン領域34およびドレイン領域44の上方に、それらに跨るように形成されている。配線53とドレイン領域34との間において、層間絶縁膜51には、それらを電気的に接続するためのコンタクトプラグ56が貫通して設けられている。また、配線53とドレイン領域44との間において、層間絶縁膜51には、それらを電気的に接続するためのコンタクトプラグ57が貫通して設けられている。コンタクトプラグ56,57は、Wからなる。配線54は、ソース領域43の上方に形成されている。配線54とソース領域43との間において、層間絶縁膜51には、それらを電気的に接続するためのコンタクトプラグ58が貫通して設けられている。コンタクトプラグ58は、Wからなる。
そして、シリコン基板2には、圧電素子6と対向する位置に、その裏面側に開口する加圧室62が形成されている。加圧室62は、たとえば、シリコン基板2の表面側ほど幅(開口面積)が小さくなる断面略台形形状に形成されている。加圧室62には、図示しないインクタンクからインク通路10aを通って供給されるインクが充填される。前述の振動膜5は、加圧室62の天面部を区画していて、加圧室62に臨んでいる。振動膜5は、シリコン基板2の加圧室62の周囲の部分(厚部)によって支持されており、加圧室62に対向する方向(換言すれば振動膜5の厚さ方向)に振動可能な可撓性を有している。
このインクジェットプリンタヘッド1においては、圧電体層8が、第1〜第4の実施形態に係る圧電体薄膜110,120,130のいずれかで構成されているので、優れた圧電特性を有し、かつ、その圧電特性のばらつきが少ない。そのため、安定して優れたインク吐出性能を得ることができる。
SOI基板181は、下地シリコン基板185と、下地シリコン基板185の表面に形成された埋め込み酸化膜186と、埋め込み酸化膜186上に形成されたシリコン層187とを含む。下地シリコン基板185は、その裏面側(シリコン層187とは反対側)から掘り込まれており、これによって、断面視略台形状のキャビティ191が形成されている。埋め込み酸化膜186において、キャビティ191に臨む部分も除去されていて、キャビティ191の天面は、シリコン層187によって区画されている。これにより、キャビティ191の天面部には、シリコン層187と酸化シリコン層182とを積層した振動膜192が形成されている。振動膜192は、キャビティ191の周囲の厚いSOI基板181によって支持されている。すなわち、シリコン層187および酸化シリコン層182は、キャビティ191の天面部の全域を覆い、さらにその周囲に延びて形成されている。
下部電極188は、たとえば、酸化シリコン層182に接するPt層と、このPt層上に積層されたTi層とを積層した積層構造膜からなる。圧電体層189は、前述の第1〜第4の実施形態に係る圧電体薄膜110,120,130のいずれかで構成することができる。上部電極190は、たとえば、Pt層からなる。
圧電体層189は、第1〜第4の実施形態に係る圧電体薄膜110,120,130のいずれかで構成されているので、優れた圧電特性を有し、かつその圧電特性のばらつきが少ない。したがって、安定した高感度の超音波センサを提供できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
102 酸化シリコン膜
103 金属膜
110 圧電体薄膜
111 第1層
112 第2層
120 圧電体薄膜
121 第1層
122 第2層
123 第3層
130 圧電体薄膜
131 第1層
132 第2層
133 第3層
134 第4層
5 振動膜
5A シリコン層
5B 酸化シリコン層
6 圧電素子
7 下部電極(金属膜、駆動信号印加手段)
8 圧電体層(圧電体膜)
9 上部電極(駆動信号印加手段)
180 超音波センサ
181 基板
182 酸化シリコン層
184 圧電素子
187 シリコン層
188 下部電極(金属膜、信号出力手段)
189 圧電体層(圧電体膜)
190 上部電極(信号出力手段)
192 振動膜
Claims (15)
- ランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛からなり、
ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の範囲である部分を含み、
粒状晶グレインの集合体からなる、
圧電体膜。 - ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第1層と、
ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の第2層とを含む、請求項1に記載の圧電体膜。 - 前記第1層および前記第2層が交互に複数周期繰り返し積層されている、請求項2に記載の圧電体膜。
- ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第1層と、
ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第2層と、
ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の第3層とを含み、
前記第1層、前記第2層および前記第3層が、循環的に複数周期繰り返し積層されている、請求項1に記載の圧電体膜。 - 前記圧電体膜が金属膜上に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧電体膜。
- 前記圧電体膜が(111)面方位に優先配向している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧電体膜。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電体膜と、
前記圧電体膜の圧電効果によって生じる電気信号を出力する信号出力手段とを含む、センサ。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電体膜と、
前記圧電体膜に駆動信号を印加する駆動信号印加手段とを含む、アクチュエータ。 - ランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電体膜の製造方法であって、
ジルコン、チタンおよび鉛を、[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の範囲の割合で含む前駆体溶液を用いたゾルゲル法によって、粒状晶グレインの集合体からなる圧電体膜を製造する方法。 - 前記ゾルゲル法が、
前記前駆体溶液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
前記塗布膜を鉛の融点未満の温度で熱処理して溶媒を蒸発させることによりゲル化させる仮焼成工程と、
前記ゲル化した塗布膜を750℃〜850℃の温度で熱処理して焼結させる本焼成工程とを含む、請求項9に記載の圧電体膜の製造方法。 - ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む前駆体溶液を用いて第1層を形成する工程と、
ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の割合で含む前駆体溶液を用いて第2層を形成する工程とを含む、請求項9または10に記載の圧電体膜の製造方法。 - 前記第1層を形成する工程および前記第2層を形成する工程を交互に複数回繰り返し行って、前記第1層および前記第2層を交互に複数周期繰り返し積層する、請求項11に記載の圧電体膜の製造方法。
- ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む前駆体溶液を用いて第1層を形成する工程と、
ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む前駆体溶液を用いて第2層を形成する工程と、
ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の割合で含む前駆体溶液を用いて第3層を形成する工程とを含み、
前記第1層を形成する工程、前記第2層を形成する工程および前記第3層を形成する工程を循環的に複数回繰り返し行って、前記第1層、前記第2層および前記第3層を循環的に複数周期繰り返し積層する、請求項11に記載の圧電体膜の製造方法。 - 前記圧電体膜が金属膜上に形成される、請求項9〜13のいずれか一項に記載の圧電体膜の製造方法。
- 前記圧電体膜が(111)面方位に優先配向する、請求項9〜14のいずれか一項に記載の圧電体膜の製造方法。
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