JP2013118286A - 圧電体膜、それを用いたセンサおよびアクチュエータ、ならびに圧電体膜の製造方法 - Google Patents

圧電体膜、それを用いたセンサおよびアクチュエータ、ならびに圧電体膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定した圧電特性の圧電体膜およびその製造方法を提供する。
【解決手段】圧電体膜110は、ランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛からなり、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65)の範囲である部分を含み、粒状晶グレインの集合体からなる。圧電体膜110は、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第1層111と、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65)の第2層112とを含む。
【選択図】図1

Description

この発明は、チタン酸ジルコン酸鉛を用いた圧電体膜、それを用いたセンサおよびアクチュエータ、ならびにそのような圧電体膜の製造方法に関する。
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:PbZrTi1-X)は、ペロブスカイト型の強誘電体であり、その優れた圧電特性を利用したセンサおよびアクチュエータが提案されている。PZTを用いた圧電体膜は、スパッタ法またはゾルゲル法により形成される。スパッタ法によって形成されたPZT膜は、膜厚方向に延びた柱状晶グレインの集合体からなっているので、厚さ方向の耐圧が低く、膜表面の凹凸が大きくなる。また、エッチングによってパターニングすると、パターンのエッジが柱状のグレインに沿って縁取られるので、滑らかな形状にならない。ゾルゲル法によって形成されるPZT膜は、粒状晶グレインの集合体からなるので、上記のような問題はない。
ゾルゲル法によるPZT膜の形成は、特許文献1に記載されている。PZTにおいて圧電特性が最大となる化学組成比は、[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107であることが知られている。したがって、この組成比でジルコン、チタンおよび鉛を含む前駆体溶液を用いてゾルゲル法が実行される。ゾルゲル法は、前駆体溶液を塗布して塗布膜を形成する工程と、その塗布膜を加熱して有機溶媒を蒸発させることによりゲル化させる仮焼成工程と、そのゲル化した塗布膜を熱処理して焼結させる本焼成工程とを含む。
特開平6−40727号公報
本焼成時の温度は、鉛の融点(328℃)を超えているため、本焼成時に鉛が膜外へと失われる。そのため、最終的に得られるPZT膜は必ずしも理想的な化学組成比を有しているとは限らない。しかも、膜外に失われる鉛の量を正確に制御することは至難であるから、PZT膜の化学組成比にばらつきが生じ、それに応じて圧電特性がばらつくという問題がある。
そこで、この発明の目的は、安定した圧電特性の圧電体膜およびその製造方法を提供することである。また、この発明の他の目的は、安定した圧電特性の圧電体膜を用いることによって、安定した検出特性を実現できるセンサを提供することである。さらに、この発明の他の目的は、安定した圧電体膜を用いることによって安定した駆動特性を実現できるアクチュエータを提供することである。
請求項1記載の発明は、ランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛からなり、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の組成比は110以上がより好ましい。)の範囲である部分を含み、(柱状晶でない)粒状晶グレインの集合体からなる、圧電体膜である。
この構成によれば、ジルコン組成および鉛組成が多めにされていることによって、圧電特性のばらつきを抑制できる。また、ジルコン組成が、チタン酸ジルコン酸鉛における理想的なジルコン組成よりも多めにされていることによって、微量にランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛における理想的なジルコン組成に近づき、高い圧電特性を得ることができる。すなわち、優れた圧電特性を安定して実現できる圧電体膜を提供できる。
請求項2記載の発明は、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第1層と、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の組成比は110以上がより好ましい。)の第2層とを含む、請求項1に記載の圧電体膜である。この構成によれば、第2層の存在によって、第1層中の鉛が失われにくくなり、第2層はもちろんのこと、理想的な組成を有する第1層も安定した圧電特性を有することができる。これにより、全体として、安定した圧電特性の(圧電特性にばらつきの少ない)圧電体膜を提供できる。
請求項3記載の発明は、前記第1層および前記第2層が交互に複数周期繰り返し積層されている、請求項2に記載の圧電体膜である。この構成によれば、第1層に第2層が接しているので、第1層から鉛が失われることを確実に抑制できる。これにより、圧電体膜の圧電特性を一層安定させることができる。第1層および第2層の繰り返し積層回数は、圧電体膜の必要総厚に応じて決定すればよい。
請求項4記載の発明は、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第1層と、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第2層と、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の組成比は110以上がより好ましい。)の第3層とを含み、前記第1層、前記第2層および前記第3層が、循環的に複数周期繰り返し積層されている、請求項1に記載の圧電体膜である。この構成によれば、第3層の存在によって、第1層および第2層中の鉛が失われにくくなり、第3層はもちろんのこと、理想的な組成を有する第1層および第2層も安定した圧電特性を有することができる。これにより、全体として、安定した圧電特性の(圧電特性にばらつきの少ない)圧電体膜を提供できる。また、第1層、第2層および第3層が循環的に複数周期繰り返し積層されているので、第3層は第1および第2層中の鉛が失われることを確実に抑制する。これにより、圧電特性の一層の安定化に寄与できる。第1層、第2層および第3層の繰り返し周期数は、圧電体膜の必要な総厚に応じて定めればよい。
請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記第1層を複数層含み、当該複数層の第1層の積層体の上に前記第2層が積層され、この第1および第2層の積層構造を繰り返し単位として複数周期第1および第2層を繰り返し積層した構成された圧電体膜、と言い換えることもできる。
請求項5記載の発明は、前記圧電体膜が金属膜上に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧電体膜である。この構成によれば、圧電体膜が金属膜に接しているので、圧電体膜の圧電効果により生じる電気信号を金属膜から取り出したり、金属膜から圧電体膜に電圧を印加したりすることができる。圧電体膜上には別の金属膜が形成されていてもよい。
請求項6記載の発明は、前記圧電体膜が(111)面方位に優先配向している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧電体膜である。圧電体膜の配向はその下地膜の配向に依存する。たとえば、金属膜上にゾルゲル法によって圧電体膜を形成するとき、金属膜が(111)面方位に優先配向していれば、それに応じて圧電体膜も(111)面方位に優先配向する。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電体膜と、前記圧電体膜の圧電効果によって生じる電気信号を出力する信号出力手段とを含む、センサを提供する。これにより、安定した圧電特性の圧電体膜を用いることによって、安定した検出特性を実現できるセンサを提供できる。センサの例としては、圧力センサ、加速度センサ、角速度センサ、超音波センサ、マイクロホンを挙げることができる。
請求項8記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電体膜と、前記圧電体膜に駆動信号を印加する駆動信号印加手段とを含む、アクチュエータを提供する。これにより、安定した圧電体膜を用いることによって安定した駆動特性を実現できるアクチュエータを提供できる。アクチュエータの例としては、インクジェットプリンタヘッドを挙げることができる。
請求項9記載の発明は、ランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電体膜の製造方法であって、ジルコン、チタンおよび鉛を、[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の割合は110以上がより好ましい。)の範囲の割合で含む前駆体溶液を用いたゾルゲル法によって、粒状晶グレインの集合体からなる圧電体膜を製造する方法である。この方法によれば、前駆体溶液におけるジルコン組成および鉛組成が多めにされていることによって、圧電特性のばらつきを抑制した圧電体膜を製造できる。また、ジルコン組成が、チタン酸ジルコン酸鉛における理想的なジルコン組成よりも多めにされていることによって、微量にランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛における理想的なジルコン組成に近づき、高い圧電特性を得ることができる。すなわち、優れた圧電特性を安定して実現できる圧電体膜の製造方法を提供できる。
請求項10記載の発明は、前記ゾルゲル法が、前記前駆体溶液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を鉛の融点未満の温度で熱処理して溶媒を蒸発させることによりゲル化させる仮焼成工程と、前記ゲル化した塗布膜を750℃〜850℃の温度で熱処理して焼結させる本焼成工程とを含む、請求項9に記載の圧電体膜の製造方法である。上記温度範囲での本焼成によって、圧電特性を一層安定化させることができる。
請求項11記載の発明は、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む前駆体溶液を用いて第1層を形成する工程と、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の割合は110以上がより好ましい。)の割合で含む前駆体溶液を用いて第2層を形成する工程とを含む、請求項9または10に記載の圧電体膜の製造方法である。この方法によれば、第2層の存在によって、第1層中の鉛が失われにくくなり、第2層はもちろんのこと、理想的な組成を有する第1層も安定した圧電特性を有することができる。これにより、全体として、安定した圧電特性の(圧電特性にばらつきの少ない)圧電体膜を製造できる。
請求項12記載の発明は、前記第1層を形成する工程および前記第2層を形成する工程を交互に複数回繰り返し行って、前記第1層および前記第2層を交互に複数周期繰り返し積層する、請求項11に記載の圧電体膜の製造方法である。この方法によれば、第1層に第2層が接しているので、第1層から鉛が失われることを確実に抑制できる。これにより、圧電体膜の圧電特性を一層安定させることができる。第1層および第2層の繰り返し積層回数は、圧電体膜の必要総厚に応じて決定すればよい。
請求項13記載の発明は、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む前駆体溶液を用いて第1層を形成する工程と、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む前駆体溶液を用いて第2層を形成する工程と、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の割合は110以上がより好ましい。)の割合で含む前駆体溶液を用いて第3層を形成する工程とを含み、前記第1層を形成する工程、前記第2層を形成する工程および前記第3層を形成する工程を循環的に複数回繰り返し行って、前記第1層、前記第2層および前記第3層を循環的に複数周期繰り返し積層する、請求項11に記載の圧電体膜の製造方法である。この方法によれば、第3層の存在によって、第1層および第2層中の鉛が失われにくくなり、第3層はもちろんのこと、理想的な組成を有する第1層および第2層も安定した圧電特性を有することができる。これにより、全体として、安定した圧電特性の(圧電特性にばらつきの少ない)圧電体膜を提供できる。また、第1層、第2層および第3層が循環的に複数周期繰り返し積層されているので、第3層は第1および第2層中の鉛が失われることを確実に抑制する。これにより、圧電特性の一層の安定化に寄与できる。第1層、第2層および第3層の繰り返し周期数は、圧電体膜の必要な総厚に応じて定めればよい。
請求項14記載の発明は、前記圧電体膜が金属膜上に形成される、請求項9〜13のいずれか一項に記載の圧電体膜の製造方法である。この方法によれば、圧電体膜を金属膜に接するように形成できるので、圧電体膜の圧電効果により生じる電気信号を金属膜から取り出したり、金属膜から圧電体膜に電圧を印加したりすることができる。圧電体膜上には別の金属膜が形成されてもよい。
請求項15記載の発明は、前記圧電体膜が(111)面方位に優先配向する、請求項9〜14のいずれか一項に記載の圧電体膜の製造方法である。たとえば、金属膜上にゾルゲル法によって圧電体膜を形成するとき、金属膜が(111)面方位に優先配向していれば、それに応じて圧電体膜も(111)面方位に優先配向する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る圧電体薄膜の模式的な断面図である。 図2は、前記圧電体薄膜の形成工程を説明するためのフローチャートである。 図3は、ジルコンの組成割合と圧電歪み定数との関係に関する実験結果を示す。 図4は、鉛の組成割合と圧電歪み定数との関係に関する実験結果を示す。 図5は、この発明の第2の実施形態に係る圧電体薄膜の製造工程を説明するためのフローチャートである。 図6は、この発明の第3の実施形態に係る圧電体薄膜の模式的な断面図である。 図7は、前記第3の実施形態に係る圧電体薄膜の製造工程を説明するためのフローチャートである。 図8は、この発明の第4の実施形態に係る圧電体薄膜の構成を説明するための模式的な断面図である。 図9は、前記第4の実施形態に係る圧電体薄膜の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図10は、この発明の一実施形態に係るアクチュエータであるインクジェットプリンタヘッドの模式的な断面図である。 図11は、この発明の一実施形態に係る超音波センサの構成を説明するための模式的な断面図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る圧電体薄膜の模式的な断面図である。圧電体薄膜110は、この実施形態では、シリコン基板101上に形成された金属膜103の表面に接して形成されている。より具体的には、シリコン基板101の表面には、酸化シリコン膜102が形成されており、この酸化シリコン膜102の表面に金属膜103が形成されている。金属膜103は、この実施形態ではPt(白金)からなっており、(111)面方位に優先配向している。シリコン基板の表面またはシリコン基板上に形成された酸化シリコン膜の表面にPt膜を形成すると、このPt膜は(111)面方位に優先配向する。
圧電体薄膜110は、微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタン(La)が添加されたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなるPZTL膜である。より具体的には、圧電体薄膜110は、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107である第1層111と、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の組成比は110以上がより好ましい。)の範囲である第2層112とを含む。第1層111および第2層112は、交互に繰り返し積層されており、それぞれの層厚は0.05μm程度であってもよい。最下層の第1層111が金属膜103に接しており、この第1層111に接するように第2層112が第1層111上に積層されている。そして、第1層111および第2層112からなる積層単位が複数周期(この実施形態では10周期)繰り返し積層されて、全体でたとえば1μm厚程度の圧電体薄膜110が、金属膜103上に形成されている。
この圧電体薄膜110は、ゾルゲル法によって形成された薄膜である。そのため、スパッタ法で形成された圧電体薄膜とは異なり、粒状晶グレインの集合体からなっている。
図2は、前記圧電体薄膜の形成工程を説明するためのフローチャートである。表面に金属膜103が形成されたシリコン基板101が準備され、金属膜103上に最下層の第1層111のための塗布膜が形成される。具体的には、第1層111を形成するための前駆体溶液がスピンコートされる(ステップS1)。この前駆体溶液は、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む溶液であって、溶媒として有機溶剤を用い、さらに微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加された溶液である。このスピンコートの後、塗布膜を鉛の融点未満の温度(たとえば300℃)の温度で熱処理して、有機溶媒を蒸発させることにより、当該塗布膜をゲル化させる仮焼成工程(ステップS2)が行われる。
次いで、第1層のゲル状膜上に第2層112のための前駆体溶液がスピンコートされる。この前駆体溶液は、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の割合は110以上がより好ましい。)の範囲の割合で含む溶液であって、溶媒として有機溶媒が用いられ、微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加された溶液である。この前駆体溶液がスピンコートによって第1層のゲル状膜上に塗布される。こうして形成された塗布膜に対して、鉛の融点未満の温度(たとえば300℃)の熱処理が行われることにより、塗布膜中の有機溶媒を蒸発させて第2層のゲル状膜を形成する仮焼成工程(ステップS4)が実行される。こうして、第1層のゲル状膜上に第2層のゲル状膜を積層した、ゲル状膜積層体が得られる。
次いで、そのゲル状膜積層体に対して、本焼成工程(ステップS5)が実行される。本焼成工程では、第1層および第2層のゲル状膜積層体に対して750℃〜850℃の温度で熱処理が施され、これにより、当該ゲル状膜積層体が焼結させられる。本焼成工程は、RTA(rapid thermal annealing)によって行われてもよい。こうして、第1層111および第2層112を積層した1周期分の積層膜が得られる。この積層膜が、所定の繰り返し周期(この実施形態では10周期)だけ繰り返されると(ステップS6)、圧電体薄膜110が得られる。
下地の金属膜103が(111)面方位に優先配向しているので、圧電体薄膜110は(111)面方位に優先配向した圧電体薄膜となる。そして、圧電体薄膜110は前述のようなゾルゲル法によって形成されるので、粒状晶グレインの集合体からなり、スパッタ法によって形成された柱状晶のグレインの集合体からなる圧電体薄膜に対してはるかに優れた耐圧を有する薄膜となる。
図3は、ジルコンの組成割合と圧電歪み定数d31との関係に関する実験結果を示す。「圧電歪み定数d31」とは、電界をかけたときの歪みの量を表し、とくに電界に垂直な方向(電極面に沿う方向)への歪みの量を表している。図3には、ジルコン組成が0.52〜0.65の範囲の様々な値であるPZTL膜について、圧電歪み定数d31を測定した結果が示されている。シンボル「◆」は焼成温度を700℃とした試料についての測定値を示し、シンボル「■」は焼成温度を750℃とした試料についての測定結果を示し、シンボル「▲」は焼成温度を800℃とした試料についての測定結果を示す。この結果から、ジルコン組成を0.53以上(より好ましくは0.56以上とすることによって、圧電歪み定数d31のばらつきが抑制され、安定した圧電特性の圧電体膜が得られることが分かる。また、ジルコン組成をPZTにおける理想的とされているジルコン組成よりも多めにすることにより、微量のランタンが添加されたPZTLにおける圧電特性の向上を図ることができる。
図4は、鉛の組成割合と圧電歪み定数d31との関係に関する実験結果を示す。図4には、鉛組成が1.015〜1.070の範囲の様々な値であるPZTL膜について、圧電歪み定数d31を測定した結果が示されている。シンボル「◆」は焼成温度を700℃とした試料についての測定値を示し、シンボル「■」は焼成温度を750℃とした試料についての測定結果を示し、シンボル「▲」は焼成温度を800℃とした試料についての測定結果を示す。この結果から、鉛組成が多いほど、優れた圧電特性が安定して得られることが分かる。製造工程において、本焼成工程では鉛が膜外に失われやすいので、前駆体溶液における鉛の組成割合は多めに設定しておくことが好ましい。
さらに、図3および図4の結果から、焼成温度を750℃以上(より好ましくは800℃以上)とすることによって、より高く、かつ安定した圧電特性が得られることが分かる。
図5は、この発明の第2の実施形態に係る圧電体薄膜の製造工程を説明するためのフローチャートである。この実施形態によって作成される圧電体薄膜の最終構造は図1の場合と同様であるので、この実施形態の説明では図1を併せて参照する。また、図5において前述の図2に示した各ステップと同等の工程を示すステップには同一参照符号を付して示す。
この実施形態においては、第1層111および第2層112のためのゲル状膜の積層体が形成された後、本焼成を行う前に、さらに第1層および第2層のゲル状膜積層体が形成される。すなわち、第1層111および第2層112を2周期だけ交互に積層した全4層のゲル状層積層体が形成され、その後に当該ゲル状膜積層体に対して本焼成(ステップS5)が行われる。
より詳細に説明すると、まず、表面に金属膜103が形成されたシリコン基板101が準備され、その金属膜103上に第1層111のための前駆体溶液がスピンコートされる(ステップS1)。次に、鉛の融点よりも低い温度(たとえば300℃)の熱処理によって第1層111が仮焼成され(ステップS2)、第1層111のゲル状膜が形成される。このゲル状膜の上に、第2層112のための前駆体溶液がスピンコートされる(ステップS3)。そして、鉛の融点よりも低い温度(たとえば300℃)の熱処理によって第2層112の塗布膜が仮焼成されて(ステップS4)、当該第2層112のゲル状膜が形成される。
次に、ステップS1と同様にして、第1層111のための前駆体溶液が第2層112のゲル状膜の上にスピンコートされる(ステップS11)。そして、ステップS2と同様にして、当該第1層の塗布膜に対して仮焼成(ステップS12)のための熱処理(たとえば300℃)が行われることにより、第1層のゲル状膜が形成される。このゲル状膜の上に、第2層のための前駆体溶液がスピンコートされる(ステップS13)。次いで、この第2層112のための塗布膜に対して鉛の融点未満の温度(たとえば300℃)の熱処理が行われることにより、当該塗布膜が仮焼成されてゲル化し、第2層112のためのゲル状膜が形成される(ステップS14)。こうして、第1層111および第2層112を交互に積層した全4層のゲル状膜の積層体が得られる。
このゲル状膜積層体に対して、たとえば750℃〜850℃の高温で熱処理を施すことにより、当該積層体が焼結させられる(ステップS5)。これらの工程(ステップS1〜S5)が、所定の繰り返し周期数(たとえば5周期)だけ実行されることにより、必要膜厚の圧電体薄膜110が得られる。各層の膜厚が0.5μmの場合、ステップS1〜S5を5回繰り返した場合に形成される全20層からなる圧電体薄膜110の総膜厚は1.0μmとなる。
このような製造工程によっても、第1の実施形態の場合と同様の構成の圧電体薄膜110を形成することができる。第1層111の化学組成比がPZTの圧電特性が最大となる組成比に設定されているのに対して、第2層112のジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比は、ジルコンおよび鉛の組成が通常よりも多く設定されている。これにより、安定した圧電特性を得ることができる。
図6は、この発明の第3の実施形態に係る圧電体薄膜の模式的な断面図である。図6において、前述の図1に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示す。圧電体薄膜120は、第1の実施形態の場合と同じく、シリコン基板101上に形成された金属膜103に接して形成されている。金属膜103は、シリコン基板101の表面に形成された酸化シリコン膜102に接して形成されている。そして、金属膜103は、(111)面方位に優先配向しており、それに応じて圧電体薄膜120は(111)面方位に優先配向している。
圧電体薄膜120は、第1層121、第2層122および第3層123を金属膜103からこの順に循環的に積層して構成されている。たとえば、第1層121、第2層122および第3層123はそれぞれの層厚が0.5μmであり、第1層〜第3層121〜123を1周期としてそれらが所定周期(たとえば7周期)だけ繰り返し積層されている。これにより、たとえば膜厚1.05μmの圧電体薄膜120が金属膜103に接して形成されている。圧電体薄膜120は、次に説明するように、ゾルゲル法によって形成されており、したがって、粒状晶グレインの集合体からなっている。また、第1層121および第2層122は、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107であるPZTに微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加されたPZTL膜である。第3層123は、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の組成比は110以上がより好ましい。)の範囲であるPZTに微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加されたPZTL膜である。すなわち、第1層121および第2層122の化学組成比がPZTの圧電特性を最大とする理想的な組成比であるのに対して、第3層123の化学組成比は、当該理想的な化学組成比に対してジルコンおよび鉛の組成比が大きく設定されている。これによって、第1層121および第2層122は、ゾルゲル法による形成過程において鉛が失われにくいので理想的な化学組成比を維持できる。その一方で、第3層123は、鉛が多少失われても十分な圧電特性を有し、かつランタンの添加に応じてジルコンの組成比を大きくすることによってより大きな圧電定数を実現している。これによって、安定して優れた圧電特性を有する圧電体薄膜120を金属膜103上に形成することができる。
図7は、上記圧電体薄膜120の製造工程を説明するためのフローチャートである。表面に金属膜103が形成されたシリコン基板101が用意され、このシリコン基板の金属膜103の表面に、第1層121のための前駆体溶液がスピンコートされる(ステップS21)。これにより、第1層121のための前駆体溶液と塗布膜が金属膜103の表面に形成される。次いで、この塗布膜の有機溶媒を蒸発させて当該塗布膜をゲル化させるための仮焼成が行われる(ステップS22)。この仮焼成は、鉛の融点よりも低い温度(たとえば300℃)で実行される。こうして、第1層121のためのゲル状膜が形成されると、その表面に対して第2層122のための前駆体溶液がスピンコートされる(ステップS23)。そして、当該前駆体溶液の塗布膜が形成されると、この塗布膜中の有機溶媒を蒸発させてゲル状化させるために、鉛の融点未満の温度(たとえば300℃)の熱処理により仮焼成工程(ステップS24)が実行される。こうして、第1層121および第2層122のためのゲル状膜の積層体が形成される。次に、さらに、第3層123のための前駆体溶液が第2層122のためのゲル状膜の表面にスピンコートされる(ステップS25)。こうして、第3層123のための前駆体溶液の塗布膜が形成されると、その塗布膜中の有機溶媒を蒸発させてゲル状化させるための熱処理である仮焼成工程(ステップS26)が実行される。この仮焼成工程は、鉛の融点未満の温度(たとえば300℃)での熱処理によって行われる。このようにして、第1〜第3層121〜123のためのゲル状膜の積層体が形成されると、750℃〜850℃の温度での熱処理により本焼成工程(ステップS27)が実行されて、当該ゲル状膜の積層体が焼結させられる。これらのステップS21〜S27が所定の繰り返し周期数(たとえば7周期)実行されることによって、必要膜厚の圧電体薄膜120が得られる。
第1層121および第2層122のための前駆体溶液としては、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含み、微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加された溶液が用いられる。これに対して、第3層123のための前駆体溶液としては、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の割合は110以上がより好ましい。)の範囲の割合で含み、微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加された溶液が用いられる。これによって、本焼成工程では、鉛の融点よりも高い熱処理が行われる場合に、第1層121および第2層122の鉛の組成比がほとんど変化しない。第3層123の鉛の組成比は減少したとしても、鉛の組成比が元々理想的な組成比よりも多いので、圧電特性に対する影響は限定的である。さらに、第3層123はジルコンの化学組成比が大きめに設定されているので、ランタンが添加されたPZT膜において、より高くかつ安定した圧電定数を実現することができる。
図8は、この発明の第4の実施形態に係る圧電体薄膜の構成を説明するための模式的な断面図である。図8において、前述の図1に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付して示す。圧電体薄膜110は、シリコン基板101の表面に形成された金属膜103に接して形成されている。金属膜103は、より具体的には、シリコン基板101の表面に形成された酸化シリコン膜102上に形成されていて、(111)面方位に優先配向している。圧電体薄膜130は、金属膜103の表面に形成されたPZTL膜であって、金属膜103の配向と整合するように(111)面方位に優先配向している。圧電体薄膜130は、この実施形態では、第1層131、第2層132、第3層133および第4層134をこの順に金属膜103から循環的に複数周期積層して構成されている。第1層〜第4層131〜134は、たとえばそれぞれ0.5μmの層厚を有しており、第1〜第4層131〜134をたとえば5周期循環的に積層することにより、全20層からなり、1.0μm程度の総厚の圧電体薄膜130が形成されている。圧電体薄膜130は、次に説明するようにゾルゲル法によって形成され、したがって、粒状晶グレインの集合体からなる。
第1層131および第2層132および第3層133は、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107のPZTに微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加されたPZTL膜からなる。これに対して、第4層134は、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の組成比は110以上がより好ましい。)の範囲のPZTに微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加されたPZTL膜からなっている。
図9は、圧電体薄膜130の製造方法を説明するためのフローチャートである。表面に金属膜103が形成されたシリコン基板101が用意され、その金属膜103の表面に第1層131のための前駆体溶液がスピンコートされる(ステップS31)。次に、その前駆体溶液の塗布膜をゲル状化させるための仮焼成工程(ステップS32)が実行される。すなわち、鉛の融点よりも低い所定の温度(たとえば300℃)での熱処理によって、前駆体溶液中の有機溶媒を蒸発させて塗布膜をゲル状化させる工程が実行される。次いで、このゲル状化した膜の表面に、第2層132のための前駆体溶液がスピンコートされる(ステップS33)。こうして、前駆体溶液の塗布膜が形成されると、鉛の融点よりも低い所定の温度(たとえば300℃)での熱処理が行われ、塗布膜中の有機溶媒を蒸発させて当該塗布膜をゲル状化させるための仮焼成工程(ステップS34)が行われる。次いで、当該ゲル状化した膜の表面に、第3層133のための前駆体溶液のスピンコートが行われる(ステップS35)。こうして形成された前駆体溶液の塗布膜に対して、鉛の融点よりも低い所定の温度(たとえば300℃)での熱処理が行われることにより、塗布膜中の有機溶媒を蒸発させて当該塗布膜をゲル状化させる仮焼成工程(ステップS36)が行われる。こうして、第1層〜第3層のためのゲル状膜の積層体が形成されると、次いで、第4層134のための前駆体溶液が当該積層体の表面にスピンコートされる(ステップS37)。そして、その前駆体溶液の塗布膜に対して鉛の融点よりも低い所定の温度(たとえば300℃)での熱処理が行われて、塗布膜中の有機溶媒を蒸発させて当該塗布膜をゲル状化させるための仮焼成工程(ステップS38)が行われる。こうして、第1〜第4層131〜134に対応した各ゲル状膜を積層したゲル状膜積層体が形成される。
次いで、この積層体に対して、750℃〜850℃の温度での熱処理が行われて、当該積層体の各層を焼結させる本焼成工程(ステップS39)が実行される。そして、これらのステップS31〜S39が所定の繰り返し周期数(たとえば5周期)だけ実行されると(ステップS40)、必要膜厚の圧電体薄膜130が得られる。
第1層131、第2層132および第3層133のための前駆体溶液は、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含み、微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加された溶液である。これに対して、第4層134のための前駆体溶液は、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の割合は110以上がより好ましい。)の範囲の割合で含み、微量(たとえば0.5〜3Vol%程度)のランタンが添加された溶液である。
第1〜第4層131〜134のためのゲル状化膜の積層体が形成された後に本焼成工程が行われるので、第4層によって覆われる第1〜第3層131〜133においては、本焼成工程において鉛がほとんど失われない。一方、第4層134は、鉛の化学組成比が元々多いので、本焼成工程において多少の鉛が失われても、圧電定数の大きな低下を招くことがない。そして、第4層134は、ジルコンの化学組成比が多めであるから、ランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛(PZTL)において、より高くかつ安定な圧電定数を実現することができる。このようにして、第1〜第4層131〜134を積層して本焼成を行う工程を所定の繰り返し周期数だけ繰り返して形成される圧電体薄膜は、高くかつ安定した圧電定数を有することができる。
図10は、この発明の一実施形態に係るアクチュエータであるインクジェットプリンタヘッドの模式的な断面図である。インクジェットプリンタヘッド1は、シリコン基板2と、キャビティプレート10A,10B,10Cとを備えている。
シリコン基板2には、ノズル形成領域3および回路形成領域4が設定されている。さらに、シリコン基板2には、インク溜まりとしての加圧室62が形成されている。キャビティプレート10Aは、たとえばシリコンプレートからなる。このキャビティプレート10Aは、シリコン基板2の裏面に貼り合わされ、インク通路10a,11aを形成するように構成されている。インク通路10aは、加圧室62に連通し、この加圧室62にインクを供給するインク供給路である。インク通路11aは、インク通路10aとは別の位置で加圧室62に連通しており、インク吐出通路11の一部を形成している。キャビティプレート10B,10Cは、プラスチック板またはステンレス板で構成されていてもよい。キャビティプレート10Bは、キャビティプレート10Aに貼り合わされており、キャビティプレート10Aのインク通路11aと整合するインク通路11bが、厚さ方向に貫通して形成されている。キャビティプレート10Cは、キャビティプレート10Bに貼り合わされており、キャビティプレート10Bのインク通路11bと整合するノズル通路11cが厚さ方向に貫通して形成している。インク通路11a,11bおよびノズル通路11cは、インク吐出通路11を形成している。加圧室62からインク吐出通路11を通って、ノズル通路11cの先端に形成された吐出口11dから、インクが吐出される。インク通路11aおよび11bは、それぞれの入口から出口まで一様な流路断面を有している。ノズル通路11cは、インク通路11bの出口に整合する入口を有し、吐出口11dに向かって流路断面がテーパー状に絞られている。
ノズル形成領域3において、シリコン基板2の表面には、振動膜5が形成されている。振動膜5は、シリコン層5Aと、絶縁膜である酸化シリコン(SiO)層5Bとからなる。振動膜5の厚さは、たとえば、0.5μm〜2μmである。より具体的には、シリコン層5Aの厚さがたとえば0.3μm〜1.4μm程度であり、酸化シリコン層5Bの厚さがたとえば0.2μm〜0.6μm程度である。シリコン層5Aは、ノズル形成領域3において、シリコン基板2を裏面側から部分的にエッチングして加圧室62を形成し、その加圧室62の天面部に薄部を残すことによって形成されている。すなわち、シリコン基板2は、加圧室62以外の部分の厚部(厚さ50μm〜60μm)と、加圧室62の天面部である薄部とを有しており、その薄部が振動膜5を構成するシリコン層5Aをなしている。
ノズル形成領域3において、振動膜5の表面、すなわち酸化シリコン層5Bの表面には、圧電素子6が配置されている。圧電素子6は、酸化シリコン層5B上に形成された下部電極7と、下部電極7上に形成された圧電体層8と、圧電体層8上に形成された上部電極9とを備えている。言い換えれば、圧電素子6は、圧電体層8を上部電極9および下部電極7で上下から挟むことにより形成されている。
下部電極7は、たとえば、Ti(チタン)層およびPt(プラチナ)層(たとえば100nm〜150nm厚)を振動膜5側から順に積層した2層構造を有している。この他にも、Au(金)膜、Cr(クロム)膜、Ni(ニッケル)膜などの単膜で下部電極を形成することもできる。下部電極7は、圧電体層8に接する本体部7Aと、この本体部7Aから側方に延びた延長部7Bとを有している。
圧電体層8は、下部電極7の本体部7Aと平面視同形状に形成されている。圧電体層8には、前述の第1〜第4の実施形態に係る圧電体薄膜110,120,130のいずれかを適用することができる。圧電体層8の厚さは、1μm〜5μmが好ましい。振動膜5の全体の厚さは、圧電体層8の厚さと同程度か、圧電体層8の厚さの2/3程度とすることが好ましい。
上部電極9は、圧電体層8と平面視同形状に形成されている。上部電極9は、たとえば、IrO(酸化イリジウム)層およびIr(イリジウム)層を圧電体層8側から順に積層した2層構造を有している。
ノズル形成領域3において、振動膜5および圧電素子6の表面は、水素バリア膜13により覆われている。水素バリア膜13は、Al(アルミナ)からなる。これにより、圧電体層8の水素還元による特性劣化を防止することができる。水素バリア膜13上には、層間絶縁膜14が積層されている。層間絶縁膜14は、SiOからなる。層間絶縁膜14上には、配線15,16が形成されている。配線15,16は、Al(アルミニウム)を含む金属材料からなる。
配線15の一端部は、下部電極7の延長部7Bの先端部の上方に配置されている。配線15の一端部と延長部7Bとの間において、水素バリア膜13および層間絶縁膜14を連続して貫通する貫通孔17が形成されている。配線15の一端部は、貫通孔17内に入り込み、貫通孔17内で延長部7Bと接続されている。
配線16の一端部は、上部電極9の周縁部の上方に配置されている。配線16の一端部と上部電極9との間において、水素バリア膜13および層間絶縁膜14を連続して貫通する貫通孔18が形成されている。配線16の一端部は、貫通孔18内に入り込み、貫通孔18内で上部電極9と接続されている。
配線15,16の各他端部は、後述する駆動回路72に接続されている。
回路形成領域4には、たとえば、NチャネルMOSFET(Negative-channel Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)21およびPチャネルMOSFET(Positive-channel Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)22を含む集積回路(CMOS集積回路)が形成されている。この集積回路は、圧電素子6を駆動するための駆動回路72を含む。
回路形成領域4において、NチャネルMOSFET21が形成されるNMOS領域23と、PチャネルMOSFET22が形成されるPMOS領域24とは、素子分離部25により、それぞれ周囲から絶縁分離されている。素子分離部25は、シリコン基板2の表面から比較的浅く掘り下がった溝(たとえば、深さ0.2μm〜0.5μmのシャロートレンチ)26の内面に形成された熱酸化膜27と、熱酸化膜27の内側を埋め尽くす絶縁体28とを備えている。絶縁体28は、たとえば、SiOからなる。絶縁体28の表面は、シリコン基板2の表面と面一をなしている。
NMOS領域23には、P型ウェル31が形成されている。P型ウェル31の深さは、溝26の深さよりも大きい。P型ウェル31の表層部には、チャネル領域32を挟んで、N型のソース領域33およびドレイン領域34が形成されている。ソース領域33およびドレイン領域34のチャネル領域32側の端部は、その深さおよび不純物濃度が小さくされている。すなわち、NチャネルMOSFET21では、LDD(Lightly Doped Drain)構造が適用されている。
チャネル領域32上には、ゲート絶縁膜35が形成されている。ゲート絶縁膜35は、SiOからなる。ゲート絶縁膜35上には、ゲート電極36が形成されている。ゲート電極36は、N型ポリシリコンからなる。ゲート絶縁膜35およびゲート電極36の周囲には、サイドウォール37が形成されている。サイドウォール37は、SiNからなる。
ソース領域33、ドレイン領域34およびゲート電極36の表面には、それぞれシリサイド38,39,40が形成されている。
PMOS領域24には、N型ウェル41が形成されている。N型ウェル41の深さは、溝26の深さよりも大きい。N型ウェル41の表層部には、チャネル領域42を挟んで、P型のソース領域43およびドレイン領域44が形成されている。ソース領域43およびドレイン領域44のチャネル領域42側の端部は、その深さおよび不純物濃度が小さくされている。すなわち、PチャネルMOSFET22では、LDD構造が適用されている。
チャネル領域42上には、ゲート絶縁膜45が形成されている。ゲート絶縁膜45は、SiOからなる。ゲート絶縁膜45上には、ゲート電極46が形成されている。ゲート電極46は、P型ポリシリコンからなる。ゲート絶縁膜45およびゲート電極46の周囲には、サイドウォール47が形成されている。サイドウォール47は、SiNからなる。
ソース領域43、ドレイン領域44およびゲート電極46の表面には、それぞれシリサイド48,49,50が形成されている。
回路形成領域4において、シリコン基板2の表面上には、層間絶縁膜51が形成されている。層間絶縁膜51は、SiOからなる。層間絶縁膜51上には、配線52,53,54が形成されている。配線52,53,54は、Alを含む金属材料からなる。
配線52は、ソース領域33の上方に形成されている。配線52とソース領域33との間において、層間絶縁膜51には、それらを電気的に接続するためのコンタクトプラグ55が貫通して設けられている。コンタクトプラグ55は、W(タングステン)からなる。
配線53は、ドレイン領域34およびドレイン領域44の上方に、それらに跨るように形成されている。配線53とドレイン領域34との間において、層間絶縁膜51には、それらを電気的に接続するためのコンタクトプラグ56が貫通して設けられている。また、配線53とドレイン領域44との間において、層間絶縁膜51には、それらを電気的に接続するためのコンタクトプラグ57が貫通して設けられている。コンタクトプラグ56,57は、Wからなる。配線54は、ソース領域43の上方に形成されている。配線54とソース領域43との間において、層間絶縁膜51には、それらを電気的に接続するためのコンタクトプラグ58が貫通して設けられている。コンタクトプラグ58は、Wからなる。
インクジェットプリンタヘッド1の最表面には、表面保護膜61が形成されている。表面保護膜61は、SiNからなる。層間絶縁膜14,51および配線15,16,52,53,54は、表面保護膜61により覆われている。
そして、シリコン基板2には、圧電素子6と対向する位置に、その裏面側に開口する加圧室62が形成されている。加圧室62は、たとえば、シリコン基板2の表面側ほど幅(開口面積)が小さくなる断面略台形形状に形成されている。加圧室62には、図示しないインクタンクからインク通路10aを通って供給されるインクが充填される。前述の振動膜5は、加圧室62の天面部を区画していて、加圧室62に臨んでいる。振動膜5は、シリコン基板2の加圧室62の周囲の部分(厚部)によって支持されており、加圧室62に対向する方向(換言すれば振動膜5の厚さ方向)に振動可能な可撓性を有している。
駆動回路72から圧電素子6に駆動電圧が印加されると、逆圧電効果によって、圧電体層8が変形する。これにより、圧電素子6とともに振動膜5が変形し、それによって、加圧室62内に容積変化がもたらされ、加圧室62内のインクが加圧される。加圧されたインクは、インク吐出通路11を通って、吐出口11dから微小液滴となって吐出される。
このインクジェットプリンタヘッド1においては、圧電体層8が、第1〜第4の実施形態に係る圧電体薄膜110,120,130のいずれかで構成されているので、優れた圧電特性を有し、かつ、その圧電特性のばらつきが少ない。そのため、安定して優れたインク吐出性能を得ることができる。
図11は、この発明の一実施形態に係る超音波センサの構成を説明するための模式的な断面図である。超音波センサ180は、SOI(Silicon on Insulator)基板181と、SOI基板181上に形成された絶縁膜である酸化シリコン層182と、酸化シリコン層182上に形成された圧電素子184とを含む。
SOI基板181は、下地シリコン基板185と、下地シリコン基板185の表面に形成された埋め込み酸化膜186と、埋め込み酸化膜186上に形成されたシリコン層187とを含む。下地シリコン基板185は、その裏面側(シリコン層187とは反対側)から掘り込まれており、これによって、断面視略台形状のキャビティ191が形成されている。埋め込み酸化膜186において、キャビティ191に臨む部分も除去されていて、キャビティ191の天面は、シリコン層187によって区画されている。これにより、キャビティ191の天面部には、シリコン層187と酸化シリコン層182とを積層した振動膜192が形成されている。振動膜192は、キャビティ191の周囲の厚いSOI基板181によって支持されている。すなわち、シリコン層187および酸化シリコン層182は、キャビティ191の天面部の全域を覆い、さらにその周囲に延びて形成されている。
圧電素子184は、酸化シリコン層182に接する下部電極188と、下部電極188上に積層された圧電体層189と、圧電体層189上に積層された上部電極190とを含む。
下部電極188は、たとえば、酸化シリコン層182に接するPt層と、このPt層上に積層されたTi層とを積層した積層構造膜からなる。圧電体層189は、前述の第1〜第4の実施形態に係る圧電体薄膜110,120,130のいずれかで構成することができる。上部電極190は、たとえば、Pt層からなる。
下部電極188は、キャビティ191の天面部の全域を覆い、さらに、その周囲にまで延びて形成されている。圧電体層189も同様に、キャビティ191の天面部の全域を覆い、さらにその周囲にまで延びて形成されている。圧電体層189において、キャビティ191よりも外側の領域には、下部電極188を露出させる開口が形成されている。この開口から露出した下部電極188の表面は、外部接続のためのパッド188aとなる。上部電極190は、この実施形態では、キャビティ191の天面部の中央領域の上方に形成されている。
この構成により、超音波によって振動膜192が振動すると、それに応じて圧電体層189が変形する。この変形に伴う圧電効果によって、下部電極188と上部電極190との間に電圧が生じる。この電圧を取り出して増幅等の適切な処理を施すことによって、超音波に対応した電気信号を得ることができる。
圧電体層189は、第1〜第4の実施形態に係る圧電体薄膜110,120,130のいずれかで構成されているので、優れた圧電特性を有し、かつその圧電特性のばらつきが少ない。したがって、安定した高感度の超音波センサを提供できる。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の層を1層、2層または3層積層し、その上にジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=53〜65:48:107〜115の層を積層する例を示したけれども、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の層の数は4層以上であってもよい。また、圧電体薄膜を構成する全ての層を、ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の組成比は110以上がより好ましい。)の範囲とした層で構成してもよい。すなわち、圧電体薄膜を構成する全ての層を、ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65。より好ましくは56≦x≦65。鉛の割合は110以上がより好ましい。)の割合の範囲で含む前駆体溶液を用いて形成してもよい。
また、この発明は、インクジェットプリンタヘッド、超音波センサ以外にも、シリコン層を含む可動部を有する他の装置に対しても適用することができる。このような装置としては、前述の例の他、MEMS技術を用いて作製されるシリコンマイク、マイクロスピーカ、圧力センサ、加速度センサ等に代表されるマイクロ構造装置を例示できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
101 シリコン基板
102 酸化シリコン膜
103 金属膜
110 圧電体薄膜
111 第1層
112 第2層
120 圧電体薄膜
121 第1層
122 第2層
123 第3層
130 圧電体薄膜
131 第1層
132 第2層
133 第3層
134 第4層
5 振動膜
5A シリコン層
5B 酸化シリコン層
6 圧電素子
7 下部電極(金属膜、駆動信号印加手段)
8 圧電体層(圧電体膜)
9 上部電極(駆動信号印加手段)
180 超音波センサ
181 基板
182 酸化シリコン層
184 圧電素子
187 シリコン層
188 下部電極(金属膜、信号出力手段)
189 圧電体層(圧電体膜)
190 上部電極(信号出力手段)
192 振動膜

Claims (15)

  1. ランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛からなり、
    ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の範囲である部分を含み、
    粒状晶グレインの集合体からなる、
    圧電体膜。
  2. ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第1層と、
    ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の第2層とを含む、請求項1に記載の圧電体膜。
  3. 前記第1層および前記第2層が交互に複数周期繰り返し積層されている、請求項2に記載の圧電体膜。
  4. ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第1層と、
    ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の第2層と、
    ジルコン、チタンおよび鉛の化学組成比が[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の第3層とを含み、
    前記第1層、前記第2層および前記第3層が、循環的に複数周期繰り返し積層されている、請求項1に記載の圧電体膜。
  5. 前記圧電体膜が金属膜上に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧電体膜。
  6. 前記圧電体膜が(111)面方位に優先配向している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧電体膜。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電体膜と、
    前記圧電体膜の圧電効果によって生じる電気信号を出力する信号出力手段とを含む、センサ。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電体膜と、
    前記圧電体膜に駆動信号を印加する駆動信号印加手段とを含む、アクチュエータ。
  9. ランタンが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電体膜の製造方法であって、
    ジルコン、チタンおよび鉛を、[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の範囲の割合で含む前駆体溶液を用いたゾルゲル法によって、粒状晶グレインの集合体からなる圧電体膜を製造する方法。
  10. 前記ゾルゲル法が、
    前記前駆体溶液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
    前記塗布膜を鉛の融点未満の温度で熱処理して溶媒を蒸発させることによりゲル化させる仮焼成工程と、
    前記ゲル化した塗布膜を750℃〜850℃の温度で熱処理して焼結させる本焼成工程とを含む、請求項9に記載の圧電体膜の製造方法。
  11. ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む前駆体溶液を用いて第1層を形成する工程と、
    ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の割合で含む前駆体溶液を用いて第2層を形成する工程とを含む、請求項9または10に記載の圧電体膜の製造方法。
  12. 前記第1層を形成する工程および前記第2層を形成する工程を交互に複数回繰り返し行って、前記第1層および前記第2層を交互に複数周期繰り返し積層する、請求項11に記載の圧電体膜の製造方法。
  13. ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む前駆体溶液を用いて第1層を形成する工程と、
    ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=52:48:107の割合で含む前駆体溶液を用いて第2層を形成する工程と、
    ジルコン、チタンおよび鉛を[Zr]:[Ti]:[Pb]=x:(1−x):107〜115(ただし、53≦x≦65)の割合で含む前駆体溶液を用いて第3層を形成する工程とを含み、
    前記第1層を形成する工程、前記第2層を形成する工程および前記第3層を形成する工程を循環的に複数回繰り返し行って、前記第1層、前記第2層および前記第3層を循環的に複数周期繰り返し積層する、請求項11に記載の圧電体膜の製造方法。
  14. 前記圧電体膜が金属膜上に形成される、請求項9〜13のいずれか一項に記載の圧電体膜の製造方法。
  15. 前記圧電体膜が(111)面方位に優先配向する、請求項9〜14のいずれか一項に記載の圧電体膜の製造方法。
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