JP2005272294A - 圧電体薄膜、圧電体薄膜の製造方法、圧電体素子、インクジェット記録ヘッド - Google Patents

圧電体薄膜、圧電体薄膜の製造方法、圧電体素子、インクジェット記録ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】 不均一部分が少なく、かつ良好な圧電特性を保持した圧電体薄膜とその製造方法、およびこの圧電体薄膜を用いた圧電体素子、本圧電体素子を用いたインクジェット式記録ヘッドを提供する。
【解決手段】 ゾルゲル法により基板上に形成された一般式Pb(1-x)Lax(ZryTi1-y)O3(式中、0≦x<1、0.05≦y≦1)で表されるペロブスカイト型結晶の圧電体薄膜において、該薄膜の膜厚を1000nm以上4000nm以下とし、該薄膜の任意の箇所における組成のy値の最大値と最小値の差を0.05以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電体薄膜およびその製造方法、本発明の圧電体薄膜を用いた圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドに関する。特にペロブスカイト型結晶の圧電体薄膜において薄膜内の組成を均一なものとし薄膜を構成する結晶の結晶系を同一のものとすることにより圧電性能を向上させた圧電体薄膜に関する。
圧電体素子は、通常、下部および上部電極とこれらの電極によって挟持された強誘電性あるいは常誘電性の結晶化した圧電性セラミックスにより構成されている。圧電性セラミックスは、チタン酸ジルコニウム酸鉛(以下「PZT」という)、またはこのPZTにランタンを加えた「PLZT型」のものが一般的である。例えば、PZTを用いた強誘電体が、非特許文献1に記載されている。
薄膜状の圧電体を用いた圧電体素子の用途例として、インクジェット式記録ヘッドがある。この用途に用いられる圧電体薄膜が充分な電気機械変換機能(変位を促す圧力)を発現するためには1μm〜25μm程度の膜厚が必要である。また、変位を精度良く制御するためには膜の均一性が望まれる。
これら金属酸化物型の圧電体薄膜の製法としては、スパッタリング法、有機金属気相成長法(MOCVD法)、ゾルゲル法などが挙げられる。ゾルゲル法は、原料となる各成分金属の加水分解性の化合物、その部分加水分解物またはその部分重縮合物を含有する溶液または分散液を基板に塗布し、その塗膜を乾燥させた後、空気中で加熱して金属酸化物の膜を形成し、さらにその金属酸化物の結晶化温度以上で焼成して膜を結晶化させることにより圧電体薄膜を成膜する方法である。
原料となる加水分解性の金属化合物としては、金属アルコキシド、その部分加水分解物または部分重縮合物等の有機金属化合物が一般に使用されている。ゾルゲル法はもっとも安価、簡便に圧電体薄膜を成膜できる。
ゾルゲル法に類似の方法として、有機金属分解法(MOD法)がある。MOD法は、熱分解性の有機金属化合物(金属錯体および金属有機酸塩)、たとえば、金属のβ−ジケトン錯体やカルボン酸塩を含有する溶液を基板に塗布し、たとえば空気中あるいは酸素中で加熱して塗膜中の溶媒の蒸発および有機金属化合物の熱分解を生じさせて金属酸化物の膜を形成し、さらに結晶化温度以上で焼成して膜を結晶化させる方法である。本発明においてはゾルゲル法、MOD法、およびこれらが混合された方法をあわせて「ゾルゲル法」と称する。
またゾルゲル法により成膜された圧電体素子を用いたインクジェット式プリンタヘッドが開示されている。たとえば、特許文献1、特許文献2および特許文献3には、ゾルゲル法を利用し、下部電極上に圧電体材料を含むゾルを複数回に分けて塗布し加熱処理を繰り返すことにより、インクジェット式プリンタヘッドに用いられる圧電体素子の圧電体薄膜を形成する方法が開示されている。
しかしながら、これまでゾルゲル法により形成されたPZT膜などの圧電体膜は、膜中の箇所によって、結晶系や配向が異なっていたり、金属成分の組成比がばらついていたりしていた。このため、圧電体膜の電気性能や圧電性能を最適なものに制御できているとは言いがたかった。
特開平9−92897号公報 特開平10−139594号公報 特開平10−290035号公報 「アプライド フィジックス レターズ(Applied Physics Letters)」、1991年、第58巻、第11号、p.1161−1163
本発明は、このような課題に対処するためになされたもので、圧電体薄膜中の組成の均一性が高く結晶系が同一であり、かつ良好な圧電特性を保持した圧電体薄膜とその製造方法、およびこの圧電体薄膜を用いた圧電体素子、この圧電体素子を用いたインクジェット式記録ヘッドを提供することを目的としている。
上記課題を解決した、本発明の圧電体薄膜は、ゾルゲル法により基板上に形成された一般式Pb(1-x)Lax(ZryTi1-y)O3(式中、0≦x<1、0.05≦y≦1)で表されるペロブスカイト型結晶の圧電体薄膜であって、該圧電体薄膜の膜厚が1000nm以上4000nm以下であり、該圧電体薄膜の任意の箇所におけるyの値の最大値と最小値との差が0.05以下であることを特徴とする。
また、上記課題を解決した、本発明の圧電体薄膜は、ゾルゲル法により基板上に形成された一般式Pb(1-x)Lax(ZryTi1-y)O3(式中、0≦x<1、0.05≦y≦1)で表されるペロブスカイト型結晶の圧電体薄膜であって、該圧電体薄膜の膜厚が1000nm以上4000nm以下であり、該圧電体薄膜の表面に、円相当径200nm以上である結晶粒と円相当径40nm以下である結晶粒が含まれており、該圧電体薄膜の表面に観測される円相当径40nm以下である結晶粒の個数が、圧電体薄膜の表面に観測される全結晶粒の個数に対して、5%以上であることを特徴とする。
また、上記課題を解決した、本発明の圧電体薄膜の製造方法は、(a)チタン、ジルコニウムおよび鉛を含む原料液を基板上に塗布して塗布層を形成する工程と(b)該塗布層を形成するごとに該塗布層を400℃以上700℃以下の温度で焼成して層厚が150nm以上400nm以下の圧電体層を形成する工程と、を複数回繰り返して前記圧電体層が複数積層された圧電体薄膜を形成する工程を有し、該第1層目の圧電体層の形成に用いる原料液のチタン濃度を最後の圧電体層の形成に用いる原料液のチタン濃度より高濃度とすることを特徴とする。
また、上記課題を解決した、本発明の圧電体素子は、下部電極および上部電極に挟持された圧電体薄膜を備える圧電体素子であって、該圧電体薄膜が前記本発明のいずれかの圧電体薄膜であることを特徴とする。
また、上記課題を解決した、本発明の圧電アクチュエータは、前記本発明の圧電体素子を駆動源としてなることを特徴とする。
また、上記課題を解決した、本発明のインクジェット式記録ヘッドは、インク吐出口と、インク吐出口に連通する圧力室と、圧力室の一部を構成する振動板と、圧力室の外部に設けられた振動板に振動を付与するための圧電体素子とを有し、振動板により生じる圧力室内の体積変化によって圧力室内のインクをインク吐出口から吐出するインクジェット式記録ヘッドにおいて、該圧電体素子が、前記本発明の圧電体素子であることを特徴とする。
本発明によれば、組成の均一性が高く圧電定数が大きな圧電体薄膜を提供することができる。また、本発明によれば、組成の均一性が高く、圧電定数が大きな圧電体薄膜を製造することのできる方法を提供することができる。また、本発明によれば、大きな変位を生ずる圧電体素子を提供することができる。さらに、本発明によれば、インク吐出量の制御が容易に行える、周波数追随性に優れたインクジェット式記録ヘッドを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明における圧電体素子の実施形態の1例を示す縦断面模式図である。図中の1は薄膜を支持する基板、2は下部電極、3は本発明の圧電体薄膜、4は上部電極、5、6はそれぞれ基板近傍、表層近傍における任意の領域を示している。
基板1の材質は特に限定されないが、通常850℃以下、特に本発明における圧電体薄膜の製造方法では400℃以上700℃以下で行われる焼成工程において変形、溶融しない材質が好ましい。また、本発明の圧電体素子を用いて本発明のインクジェット式記録ヘッドを製造する際には、基板1が圧力室を形成するための圧力室基板を兼ねていてもよい。例えば、このような目的ではシリコン(Si)やタングステン(W)などからなる半導体基板や耐熱ステンレス(SUS)基板が好ましく用いられるが、ジルコニアやアルミナ、シリカなどのセラミックを用いても構わない。また、これらの材料を複数種類組み合わせてもよいし、積層して多層構成として用いてもよい。白金、パラジウムなどの金属層と組み合わせて積層して用いてもよい。
下部電極2、上部電極4は5〜2000nm程度の層厚を有する導電層よりなる。その材料は特に限定されず、圧電体素子に通常用いられているものであればよく、例えば、Ti、Pt、Ta、Ir、Sr、In、Sn、Au、Al、Fe、Cr、Niなどの金属およびこれらの酸化物を挙げることができる。下部電極2、上部電極4は、これらのうちの1種からなるものであっても、あるいはこれらの2種以上を積層してなるものであってもよい。これらの金属、酸化物は基板上にゾルゲル法などにより塗布、焼成して形成しても良いし、スパッタ、蒸着などにより形成してもよい。また下部電極、上部電極とも所望の形状にパタンニングして用いても良い。
図1において両端矢印で指定した長さ「t」は本発明の圧電体薄膜3の膜厚を示しており、本発明において「t」の値は1000nm以上4000nm以下である。また膜の形状が平坦でなく膜厚を一つの値に決められない場合は、素子化したときに圧電体として実質的に機能する二電極間における厚みの平均値が上記範囲の値となるようにすればよい。圧電体薄膜3の膜厚を1000nm以上とすると、圧電体素子として必要とされる変位量、変位力が得られるとともに、4000nm以下とすると素子の高密度化を期待できる。
また、本発明の圧電体薄膜3は、ゾルゲル法により基板1の上に形成された一般式Pb(1-x)Lax(ZryTi1-y)O3で表されるペロブスカイト型結晶の圧電体薄膜である。上記一般式に記載されたxは0≦x<1の範囲の値を、yは0.05≦y≦1の範囲の値を取る。より好ましくはxは0≦x<0.2の範囲の値を、yは0.3≦y≦0.7の範囲の値を取る。上記、PbとLaの組成におけるLaの組成xの値を上記の範囲とし、ZrとTiの組成におけるZrの組成yの値を上記の範囲にすることで、高い圧電性を有するペロブスカイト結晶が得られる。
Pb、La、Zr、Ti以外の微量の元素でドーピングを行っても良い。ドーピングを行う場合にドーパントとして用いることのできる元素の具体的な例としてはCa、Sr、Ba、Sn、Th、Y、Sm、Ce、Bi、Sb、Nb、Ta、W、Mo、Cr、Co、Ni、Fe、Cu、Si、Ge、Sc、Mg、Mnなどの元素を挙げることができる。そのドープ量は、一般式Pb(1-x)Lax(ZryTi1-y)O3(式中、0≦x<1、0.05≦y≦1)における金属原子の総原子数を2としたときの原子分率で0.05以下である。
また、本発明の圧電体薄膜3の任意の箇所、例えば、基板近傍の領域5と表層近傍の領域6等、において測定したジルコニウムの組成yの最大値と最小値との差は0.05以下である。圧電体薄膜中のジルコニウムの組成yの上記差が小さいとペロブスカイト結晶の均一性が増して圧電性が高まる。逆に、この差が0.05以上あると圧電体薄膜中の部分的な密度や結晶性が不均一となり圧電性に悪影響を与える。この圧電体薄膜中の任意の箇所におけるジルコニウムの組成yを特定する手法の一例としては、走査型電子顕微鏡による圧電体薄膜の断面の観察とX線組成分析の併用が挙げられる。
また、本発明の圧電体薄膜3は任意の箇所における結晶系が同一であるものがより好ましい。圧電体薄膜中の結晶系が同一であれば、圧電体薄膜を構成する結晶粒の分極モーメントの方向が揃うため圧電効果の線形性が高まる。この場合、結晶系は(100)面が膜厚方向に配向した正方晶系または(111)面が膜厚方向に配向した菱面体晶系であるのが更に好ましい。このように配向していると、分極モーメントの方向が圧電体の変形方向と極めて近づくので変形量が大きくなる。
上記圧電体薄膜の配向状態は、結晶薄膜について一般に用いられるX線回折測定(例えば2θ/θ法)における回折ピークの検出角度と強度から容易に確認できる。例えば、本発明における(100)面もしくは(111)面が膜厚方向に配向した圧電体薄膜から得られた回折チャートでは、(100)面もしくは(111)面に相当する角度に検出された回折ピークの強度が、その他の面に相当する角度の検出されたピークの強度の合計よりも大きい。
また、上記圧電体薄膜の任意の箇所における結晶系の確認は、圧電体薄膜の劈開断面における透過型電子顕微鏡観察とその顕微像に対する電子線回折の測定を併用することにより行うことができる。
図2は、本発明の圧電体薄膜の実施形態の1例の表面の結晶粒の模式図であり、圧電体薄膜の表面が大小さまざまな大きさの結晶粒によりパッキングされている状態を模式的に示している。本発明の圧電体薄膜は、ゾルゲル法により形成された一般式Pb(1-x)Lax(ZryTi1-y)O3(式中、0≦x<1、0.05≦y≦1)で表されるペロブスカイト型結晶の圧電体薄膜であり、かつ膜厚が1000nm以上4000nm以下であることに加えて、その表面に、円相当径200nm以上である結晶粒と円相当径40nm以下である結晶粒が観測される。円相当経が200nm以上である結晶粒は、圧電体薄膜の圧電特性を向上させる。一方、円相当径が40nm以下である結晶粒は、それより大きな結晶粒の間に入りこんでパッキング性を高めることで圧電体薄膜の絶縁性を高める。
本発明における「円相当径」とは、顕微鏡観察法において一般に言われる「投影面積円相当径」のことを指しており、結晶粒の投影面積と同面積を有する真円の直径を意味している。本発明において、この円相当径の測定方法は特に制限されないが、例えば圧電体薄膜の表面を走査型電子顕微鏡で2万倍〜5万倍程度に拡大して撮影して得られる電子顕微鏡写真画像について、画像処理ソフトウェア、例えば、「ルーゼックス」(ニレコ社、商品名)、を用いて計算し求めることができる。
前記円相当径が200nm以上である結晶粒は、基板より成長した柱状結晶であることが好ましい。結晶粒が基板より成長したものであることについては、圧電体薄膜の断面を、例えば、透過型電子顕微鏡によって観察し、柱状に成長した結晶粒が基板または基板上の電極に接していることを観察することにより容易に判断することができる。円相当径が200nm以上である結晶粒が、基板より成長した柱状結晶であると、圧電体薄膜の圧電性は更に高まる。
また、前記の円相当径が200nm以上である結晶粒と円相当径が40nm以下である結晶粒の個数が圧電体薄膜の表面に観測される全結晶粒の個数に対して、それぞれ5%以上存在するのがより好ましく、円相当径が200nm以上である結晶粒が7%以上存在するのが更に好ましい。また、通常、これらは合計で80%以下存在するのが好ましい。円相当径が200nm以上である結晶粒と円相当径が40nm以下である結晶粒の個数がそれぞれ5%以上存在すると、その圧電体薄膜の圧電性および絶縁性は更に向上する。一方、円相当径が40nm以下である結晶粒の個数が5%未満である場合は、それより大きな結晶粒の粒界にできる隙間を埋め尽くせなくなるために膜の絶縁性の向上は期待できなくなる。このような円相当径を有する結晶粒の個数、全結晶粒の個数に対する各々の百分率の値についても、圧電体膜表面の走査型電子顕微鏡撮影を行い、得られた画像について画像処理ソフトウェア、例えば、「ルーゼックス」(ニレコ社、商品名)、を用いて求めることができる。
また、前記の圧電体薄膜の表面に観測される結晶粒は、いずれも円相当径が1000nm以下であることが好ましい。円相当径が1000nmを超える結晶粒が含まれると、隙間が大きくなる。その結果として、より小さな結晶粒が隙間を埋め尽くせなくなるので膜の絶縁性が低下してしまう。また、円相当径が1000nmを超える結晶粒が含まれると、1000nmを下回るスケールの高密度加工により圧電体膜が性能劣化を起こすおそれがある。
また、前記の圧電体薄膜の表面に観測される結晶粒の円相当径分布のピーク値は50nm以上200nm以下であることが好ましい。円相当径分布のピーク値が50nm以下であると圧電体薄膜の圧電特性が低下し、円相当径分布のピーク値が200nm以上であると圧電体薄膜の絶縁性が低下する。このような円相当径の分布についても、圧電体膜表面の走査型電子顕微鏡撮影を行い、得られた画像について画像処理ソフトウェア、例えば、「ルーゼックス」(ニレコ社、商品名)、を用いて求めることができる。
また、前記圧電体薄膜の表面において観測される結晶粒は、隣接する結晶粒とその表面同士が密接していることが好ましい。本発明において「結晶粒の表面同士が密接している」状態とは、隣り合う2つ以上の結晶が空隙や異物を介することなく接している状態をいう。結晶粒が密接しあっていることで、本発明の圧電体薄膜の圧電特性は向上している。隣り合う結晶粒の間に空隙が介在すると、圧電歪みが空隙で一部吸収されるために圧電体薄膜の圧電特性は低下する。また、隣り合う結晶粒の間に異物、例えば酸化鉛など、が介在すると、残留歪みの発生や絶縁性低下の要因となる。本発明において、このような結晶粒の隣接状態の観察方法は特に制限されないが、例えば圧電体薄膜の表面を透過型電子顕微鏡で20万倍〜40万倍程度に拡大して撮影して得られる電子顕微鏡写真画像から空隙や異物の有無を判断できる。加えて、透過型電子顕微鏡観察中にエネルギー分散型X線分光法(EDXと表すことがある)を適用すれば、微小分域における金属組成がわかるので異物の有無をより的確に判断することができる。
次に本発明の圧電体薄膜の製造方法について説明する。
本発明の圧電体薄膜は、チタン、ジルコニウムおよび鉛を少なくとも含む溶液または分散液(原料液と表すことがある)を基板上に塗布して塗布層を形成する工程と、塗布層を形成するごとにこれを400℃以上700℃以下の温度で焼成して層厚が150nm以上400nm以下の圧電体層を形成する工程を有するゾルゲル法により製造される。
基板上に塗布する圧電体薄膜の原料液は、少なくともチタン、ジルコニウムおよび鉛を含む。圧電体薄膜にランタンを含ませる場合には、原料液にランタンの化合物を含ませればよい。これら以外の金属種の化合物を性能向上の目的で微量添加しても良い。
原料液に含ませる金属化合物の例として、加水分解性または熱分解性の有機金属化合物が挙げられる。例えば、上記金属の金属アルコキシド、有機酸塩、β−ジケトン錯体などの金属錯体が代表例である。金属錯体についてはアミン錯体をはじめとして、各種の他の錯体を利用できる。β−ジケトンとしては、アセチルアセトン(=2,4−ペンタンジオン)、ヘプタフルオロブタノイルピバロイルメタン、ジピバロイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトンなどが挙げられる。
原料として好適な有機金属化合物の具体例を示すと、鉛化合物およびランタン化合物としては酢酸塩(酢酸鉛、酢酸ランタン)などの有機酸塩ならびにジイソプロポキシ鉛などの有機金属アルコキシドが挙げられる。チタン化合物としては、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラtert−ブトキシチタン、ジメトキシジイソプロポキシチタンなどの有機金属アルコキシドが好ましいが、有機酸塩または有機金属錯体も使用できる。ジルコニウム化合物は上記チタン化合物と同様である。他の金属化合物も上記に類するが上記に限定されるものではない。また、上記金属化合物は組み合わせて用いても良い。なお、原料の有機金属化合物は、上述したような1種類の金属を含有する化合物の他に、2種以上の成分金属を含有する複合化した有機金属化合物であってもよい。
各成分金属の原料として使用する有機金属化合物を、適当な溶剤に一緒に溶解または分散して、圧電体薄膜を形成する複合有機金属酸化物(2以上の金属を含有する酸化物)の前駆体を含有する原料液を調製する。また、原料液の調製に用いる溶剤は分散性、塗布性を考慮して、公知の各種溶剤から適宜選択される。
原料液の調製に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン系などのアミド系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤が挙げられる。これらの中ではアルコール系溶剤を用いるのが好ましい。本発明における原料液の調製に用いられる溶剤の量は特に制限されないが、金属固形分濃度が15質量%から30質量%程度となるように溶剤量を調整すると、1層の塗布層を形成し、これを焼成して形成した圧電体層の層厚を150nm以上400nm以下とすることが容易となり好ましい。
原料液中に含有させる各有機金属化合物の割合は、製造を意図する圧電体薄膜Pb(1-x)Lax(ZryTi1-y)O3(式中、0≦x<1、0.05≦y≦1)における組成比とほぼ同じでよい。但し、複数回原料液を塗布(コーティング)して製造される圧電体薄膜においては、基板近傍に形成される圧電体層と表層近傍に形成される圧電体層は成膜プロセス中に受ける熱履歴が異なるため、組成ずれを起こす。そこで、基板近傍の圧電体層を形成する塗布層をコーティングするには最終物として意図する組成比よりもチタン化合物を多く含んだ原料液を用い、表層近傍に圧電体層を形成する塗布層をコーティングするには意図する組成比よりもジルコニウム化合物を多く含んだ原料液を調製して使用することで組成のばらつきのない圧電体薄膜が得られる。但し、ジルコニウム成分とチタン成分の合計含有量は成膜に使用する原料液群を通じて一定に保っておくことが好ましい。加えて、一連の圧電体層の形成に使用する原料液群に含まれるジルコニウム成分とチタン成分の総量比は、製造を意図する圧電体薄膜の組成比とほぼ等しくしておくことが好ましい。また、一般に鉛化合物は揮発性が高く、焼成工程中に蒸発によって鉛の欠損が起こることがある。このため、この欠損を見越して、鉛をやや過剰に、例えば2〜40モル%過剰に存在させてもよい。鉛の欠損の程度は、鉛化合物の種類や成膜条件によって異なり、実験により求めることができる。
本発明において使用する原料液は、安定化剤として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBUと表すことがある)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBNと表すことがある)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCOと表すことがある)のうち少なくとも1種を含有することが好ましい。安定化剤は金属−酸素−金属結合を、全体としてゆるやかに結合させておくものである。原料液中の上記安定剤の含有量が少な過ぎるとこれらを添加したことによる改善効果が十分に得られず、多過ぎると、粘度が上昇し成膜性が劣るといった問題が生じることから、この含有量は、通常、金属原子の総モル数に対し、0.005倍モル以上5.0倍モル以下、特に0.05倍モル以上2.5倍モル以下の濃度であることが好ましい。1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンは複数種併用しても良い。
これらは、酸と結合した塩の化合物として用いてもよい。具体的には、これらの、ギ酸塩、オクチル酸塩などとすることができる。
また、他の安定化剤として従来用いられている、β−ジケトン類(例えば、アセチルアセトン、ヘプタフルオロブタノイルピバロイルメタン、ジピバロイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等)、ケトン酸類(例えば、アセト酢酸、プロピオニル酢酸、ベンゾイル酢酸等)、これらのケトン酸のエチル、プロピル、ブチル等の低級アルキルエステル類、オキシ酸類(例えば、乳酸、グリコール酸、α−オキシ酪酸、サリチル酸等)、これらのオキシ酸の低級アルキルエステル類、オキシケトン類(例えば、ジアセトンアルコール、アセトイン等)、α−アミノ酸類(例えば、グリシン、アラニン等)、アルカノールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン)等を併用しても良い。
本発明において用いられる安定化剤の量は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのうち少なくとも1種と、上記の従来用いられている安定化剤を併用した場合、金属原子の総モル数に対し、通常0.05倍モル以上5倍モル以下であり、好ましくは0.1倍モル以上1.5倍モル以下である。この場合の併用する従来の安定剤の添加量は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンに対して、通常0.01倍モル以上20倍モル以下であり、好ましくは0.05倍モル以上10倍モル以下である。
本発明の圧電体薄膜の製造方法においては、通常、表面に下部電極を有する基板の下部電極上に圧電体薄膜が形成される。本発明の圧電体薄膜の製造方法において、原料液の塗布方法としては、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレーコートなど公知の塗布方法を用いることができる。この際の相対湿度は60%以下が好ましい。60%以上であると基板上の塗布された原料液中で加水分解が速く進行してしまい塗布層に析出物が見られることがあり好ましくない。
原料液の一回の塗布により形成される焼成後の圧電体層の層厚は150nm以上400nm以下とする。この一回の塗布により形成される焼成後の圧電体層の層厚が150nm以下であると、所望の膜厚の圧電体薄膜を得るためのコート回数が増えるため基板の近傍と表層近傍の熱履歴の差が拡大してしまい、膜質に悪影響を及ぼす。一方、一回の塗布により形成される焼成後の圧電体層の層厚が400nm以上であると、層厚方向のエピタキシャルな結晶成長を阻害する。この層厚は、原料液の濃度と塗布条件を変化させることで制御することが可能であり、この条件は実験より求めることができる。例えば、固形分濃度が20〜25質量%である原料液を2000rpmのスピンコート法で塗布し、焼成を行うと一回の塗布ごとに200〜330nm程度の層厚の圧電体層が形成される。また、所望の圧電体薄膜の膜厚、例えば1000〜4000nmが得られるまで、この塗布工程と焼成工程は3〜10回繰り返される。最後の焼成工程は600℃〜700℃の範囲で行うと、より好ましい。
この複数回の塗布工程のうち、初回の塗布工程においては所望の組成比に対してチタン成分を過剰に含む原料液を使用し、最終回の塗布工程においてはジルコニウム成分を過剰に含む原料液を使用するのが好ましい。より好ましくは、塗布・焼成工程を繰り返すに従って徐々にチタン成分の少ない原料液を塗布する。塗布ごとにチタン成分量を少なくすることにより、各塗布層ごとに熱履歴が異なることに起因する組成のばらつきが軽減され、膜質が向上する。
各塗布工程と各焼成工程の間に各々乾燥工程を実施すると、より好ましい。乾燥工程は通常250℃以下の温度で行う。乾燥工程および焼成工程には、乾燥機、ホットプレート、管状炉、電気炉などを用いることができる。
図3は、本発明の圧電体素子がアクチュエータに用いられたインクジェット式記録ヘッドの一部を拡大して示した縦断面模式図である。このインクジェット式記録ヘッドの構成は従来と同様であり、ヘッド基台7と振動板9および圧電体素子10と電源14からなる本発明のアクチュエータとから構成されている。圧電体素子10は、下部電極11の表面に圧電体薄膜12を形成し、その表面に上部電極13を形成した、圧電体膜12が下部電極11と上部電極13に挟持された構造を有する。
ヘッド基台7には、インクを吐出する多数のインク吐出口(ノズル)(図示せず)、それぞれのインクノズルに個別に連通する多数のインク経路(図示せず)、およびそれぞれのインク経路に個別に連通する多数の圧力室としてのインク室8が形成されており、ヘッド基台7の上面全体を覆うように振動板9が取り付けられ、この振動板9によってヘッド基台7の全てのインク室8の上面開口が閉塞されている。振動板9上には、それぞれのインク室8と個別に対応した位置に、振動板9に振動駆動力を与えるための圧電体素子10が形成されている。そして、アクチュエータの電源14により、所望の選択された圧電体素子10に電圧を印加することにより、圧電体素子10を変形させて、その部分の振動板9を振動させる。これにより、振動板9の振動に対応した部分のインク室8の容積が変化して、インク経路を通ってインクノズルからインクが押し出されて印刷が行われることになる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
(原料液の製造例1〜15)
圧電体薄膜を形成するための原料液として金属組成がPb/La/Zr/Ti=1+v/0.01/0.52+w/0.48−w(式中、0≦v≦0.2、−0.1≦w≦0.1)で表される、表1に示す金属組成を有する原料液を以下の通り作製した。
PbおよびLaの化合物として、表1に示す金属量に相当する量の酢酸鉛水和物および酢酸ランタン水和物を混合後、加熱で脱水し、これに表1に示す安定化剤および1-メトキシ-2-プロパノール(10mol)を混合し加熱撹拌することで反応させる。その後、ZrおよびTiの化合物として、表1に示す金属量に相当する量のテトラn−ブトキシジルコニウム、テトライソプロポキシチタンを加えて更に加熱し反応させ、原料金属化合物を互いに複合化させた。次に、水(4.5mol)、エタノール(5.0mol)を添加し、加水分解反応を行った。その際、酢酸(4.0mol)とアセチルアセトン(0.7mol)を加えた。その後、沸点100℃以下の溶媒をロータリーエバポレーターで完全に取り除き、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加して上記組成式に換算した金属酸化物濃度が23質量%になるように濃度を調節し原料液を調製した。
Figure 2005272294
(原料液の製造例16)
本発明に対する比較用に以下の要領で原料液を調製した。
酢酸鉛3水和物(1.15mol)および酢酸ランタン水和物(0.01mol)を2−メトキシエタノールに分散し、共沸蒸留により水を除去した後、テトライソプロポキシチタン(0.48mol)とテトラn−ブトキシジルコニウム(0.52mol)を加え、還流し、さらに安定化剤としてアセチルアセトン(2.5mol)を加えて十分に攪拌した。その後、水(5mol)を加え、最後に2−メトキシエタノールを添加して上記組成式に換算した金属酸化物濃度が10質量%となるように濃度を調節し原料液を調製した。
[実施例1](圧電体薄膜および圧電体素子の製造例)
前記製造例1、2、3、4、5の原料液を用いて、Pt/Ti/SiO2/Si型で構成される多層基板のプラチナ層の表面に、圧電体薄膜を形成した。
まず製造例1の原料液をスピンコータ(2000rpm)により上記の多層基板上に塗布した。この塗布層を250℃のホットプレートで10分間加熱して乾燥し、溶剤を除去した後、650℃の電気炉で20分間焼成し1層目の圧電体層を形成した。次に、この1層目の圧電体層の上にスピンコータ(2000rpm)により製造例2の原料液を塗布し、1層目と同様にして2層目の圧電体層を形成した。以降、同様にして製造例3、4、5の原料液を用いて、3層目、4層目および5層目の圧電体層を各々形成し、最後に基板全体を700℃で40分間焼成して結晶化させることにより圧電体薄膜A1を得た。
この圧電体薄膜A1の表面と劈開断面について、走査型電子顕微鏡と透過型電子顕微鏡を用い、粒子形状の観察、膜厚の測定、X線組成分析、電子線回折測定を実施した。劈開断面の観察より求めた圧電体薄膜A1の膜厚は1500nm(1層あたり300nm)であった。また、劈開断面においてX線組成分析を実施したところ、基板近傍部のZr/Ti比は0.54/0.46であり、表層近傍部のZr/Ti比は0.51/0.49であった。その他の箇所での組成分析ではこれらの中間値が得られたので、圧電体薄膜A1のy値の最大値と最小値との差は0.03と判断した。加えて、劈開断面において電子線回折測定を実施したところ、圧電体薄膜A1はいずれの部分においても(100)面が膜厚方向に配向した正方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有していることがわかった。
また、圧電体薄膜A1の表面の走査型電子顕微鏡写真像についてニレコ社の画像処理ソフトウェア「ルーゼックス」による画像解析を実施して、各結晶粒の円相当径を計算し、結晶粒の粒径分布を求めた。得られた結果を、図4に示す。この粒径分布の測定結果によると、圧電体薄膜A1の表面層は、円相当径200nm以上である結晶粒が10%、円相当径40nm以下である結晶粒が5.6%存在していることが観測された。また全ての結晶粒の円相当径は1000nm以下であり、分布のピークは80〜160nmの範囲にあった。さらに、透過型電子顕微鏡の劈開断面観察によって、円相当径200nm以上である結晶粒が基板より成長した柱状結晶であることを確認した。
また、圧電体薄膜A1の表面部をイオンミリング法により薄片化して透過型電子顕微鏡HF−2000(日立製作所製;商品名)で顕微鏡画像を撮影した。得られた結果を図10に示す。この撮影像によると結晶粒の隣接領域(粒界)は完全に密接しており、空隙や異物の存在は認められなかった。更にある結晶粒(図10の*1)とそれに隣接する結晶粒(*2)と両結晶粒の粒界(*3)の3箇所においてエネルギー分散型X線分光法を適用して各々の金属組成を求めた。結果を表2に示す。単位は元素%であり、金属成分の合計を100%としている。
Figure 2005272294
測定結果によると両結晶粒の粒界部分(*3)は各々の結晶粒(*1、*2)と類似した組成を示していた。このことより、粒界部分に異物が存在しないことがわかった。
次に、圧電体薄膜A1の上部に金薄膜層をスパッタ法により形成し本発明の圧電体素子A2を得た。この圧電体素子の金薄膜層を上部電極とし、多層基板のプラチナ層を下部電極として、インピーダンス/ゲインフェイズアナライザーSI1260(ソーラトロン社製;商品名)を用いて、圧電体素子A2の圧電体薄膜の誘電率を測定した。10から10000Hzの周波数領域において1000以上の比誘電率を有していた。また、併せて、ヒステリシス測定装置HVS−6000(Radiant社製;商品名)を用いてヒステリシス測定を行った。外部電場の大きさを正負に変化させることにより自発分極が反転するという強誘電体に特有の履歴曲線が観測された。この残留分極値+Prは15Vの電圧印加後で20μC/cm2を示した。
このようなヒステリシス特性は記憶ユニットとして活用可能で、これらの圧電体素子を複数併設し個別に電圧を印加できるようにすればメモリを構成することも可能である。
[実施例2](圧電体薄膜および圧電体素子の製造例)
原料液として製造例6、7、8、9および10の原料液を用いて1層目、2層目、3層目、4層目および5層目の各々の圧電体層を形成したことを除いては、実施例1と同様にして圧電体薄膜B1を製造し、実施例1と同様にして粒子形状の観察、膜厚の測定、X線組成分析および電子線回折測定を実施した。
圧電体薄膜B1の膜厚は1450nm(1層あたり290nm)であった。また、基板近傍部のZr/Ti比は0.53/0.47であり、表層近傍部のZr/Ti比は0.50/0.50であった。圧電体薄膜B1のy値のばらつきは0.03であった。圧電体薄膜B1のいずれの箇所も(100)面が膜厚方向に配向した正方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有していた。
また実施例1と同様に、走査型電子顕微鏡と画像処理ソフトウェアを用いて圧電体薄膜B1の各結晶粒の円相当径を計算し、結晶粒の粒径分布を求めた。得られた結果を、図9に示す。この粒径分布の測定結果によると、圧電体薄膜B1の表面層には、円相当径200nm以上である結晶粒が8.0%、円相当径40nm以下である結晶粒が6.9%存在していることが観測された。また全ての結晶粒の円相当径は1000nm以下であり、分布のピークは80〜120nmの範囲にあった。また、円相当径200nm以上である結晶粒は、基板より成長した柱状結晶であることを確認した。
また、圧電体薄膜B1を用いた以外は実施例1と同様にして圧電体素子B2を得、実施例1と同様にして誘電率およびヒステリシス測定を行った。圧電体素子B2は、10から10000Hzの周波数領域において1000以上の比誘電率を有していた。また、ヒステリシス測定によると強誘電体に特有の履歴曲線が観測され、その残留分極値+Prは15Vの電圧印加後で22μC/cm2を示した。
[実施例3](圧電体薄膜および圧電体素子の製造例)
導電成分としてランタンを3.73wt%ドープしたチタン酸ストロンチウム(LSTO)からなる(111)面に配向した単結晶基板を用い、原料液として製造例11、12、13、14および15の原料液を用いて1層目、2層目、3層目、4層目および5層目の各々の圧電体層を形成したことを除いては、実施例1と同様にして圧電体薄膜C1を製造し、実施例1と同様にして粒子形状の観察、膜厚の測定、X線組成分析および電子線回折測定を実施した。
圧電体薄膜C1の膜厚は1400nm(1層あたり280nm)であった。また、基板近傍部のZr/Ti比は0.49/0.51であり、表層近傍部のZr/Ti比は0.53/0.47であった。圧電体薄膜C1のy値のばらつきは0.04であった。圧電体薄膜のいずれの箇所も(111)面が膜厚方向に配向した菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造を有していた。
加えて、圧電体薄膜C1の表面層には、円相当径200nm以上である結晶粒が6%、円相当径40nm以下である結晶粒が11%存在していることが観測された。また、円相当径200nm以上である結晶粒は、基板より成長した柱状結晶であることを確認した。
また、圧電体薄膜C1を用い、導電基板自体を下部電極として兼用した以外は実施例1と同様にして圧電体素子C2を得た。実施例1と同様にして誘電率およびヒステリシス測定を行ったところ、圧電体素子C2は、10から10000Hzの周波数領域において700以上の比誘電率を有していた。また、ヒステリシス測定によると強誘電体に特有の履歴曲線が観測され、その残留分極値+Prは15Vの電圧印加後で38μC/cm2を示した。
[実施例4](圧電体薄膜および圧電体素子の製造例)
原料液として製造例2、3および4の原料液を用いて、1層目の圧電体層に製造例2の原料液、2層目、3層目および4層目の圧電体層に製造例3の原料液、5層目の圧電体層に製造例4の原料液を使用して各々の圧電体層を形成したことを除いては、実施例1と同様にして圧電体薄膜D1を製造し、実施例1と同様にして粒子形状の観察、膜厚の測定、X線組成分析および電子線回折測定を実施した。
圧電体薄膜D1の膜厚は1250nm(1層あたり250nm)であった。また、基板近傍部のZr/Ti比は0.53/0.47であり、表層近傍部のZr/Ti比は0.48/0.52であった。圧電体薄膜D1のy値のばらつきは0.05であった。圧電体薄膜D1のいずれの箇所も(100)面が膜厚方向に配向した正方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有していた。
加えて、圧電体薄膜D1の表面層には、円相当径200nm以上である結晶粒が5.0%、円相当径40nm以下である結晶粒が5.0%存在していることが観測された。また、円相当径200nm以上である結晶粒は、基板より成長した柱状結晶であることを確認した。
また、圧電体薄膜D1を用いた以外は実施例1と同様にして圧電体素子D2を得、実施例1と同様にして誘電率およびヒステリシス測定を行った。圧電体素子D2は、10から10000Hzの周波数領域において1000以上の比誘電率を有していた。また、ヒステリシス測定によると強誘電体に特有の履歴曲線が観測され、その残留分極値+Prは15Vの電圧印加後で29μC/cm2を示した。
[比較例1](圧電体薄膜および圧電体素子の製造例)
原料液として製造例16の原料液を用いて、1層目から20層目まで、20層の圧電体層を形成したことを除いては、実施例1と同様にして圧電体薄膜R1を製造し、実施例1と同様にして粒子形状の観察、膜厚の測定、X線組成分析および電子線回折測定を実施した。
圧電体薄膜R1の膜厚は1200nm(1層あたり60nm)であった。また基板近傍部は、(111)面が膜厚方向に配向した菱面体晶系のペロブスカイト型結晶構造であり、そのZr/Ti比は0.62/0.38であった。一方、表層近傍部は(100)面が膜厚方向に配向した正方晶系のペロブスカイト型結晶構造であり、Zr/Ti比は0.51/0.49であった。その他の箇所での組成分析ではこれらの中間の組成値が得られたので、圧電体薄膜R1のy値のばらつきは0.11と判断した。
加えて、圧電体薄膜R1の表面層には、円相当径200nm以上である結晶粒が2%、円相当径40nm以下である結晶粒が4%存在していることが観測された。
また、圧電体薄膜R1を用いた以外は実施例1と同様にして圧電体素子R2を得、実施例1と同様にして誘電率およびヒステリシス測定を行った。圧電体素子R2は、10から10000Hzの周波数領域において500〜700の比誘電率を有していた。また、ヒステリシス測定によると強誘電体に特有の履歴曲線が観測され、その残留分極値+Prは15Vの電圧印加後で10μC/cm2を示した。
[実施例5](インクジェット式記録ヘッド用圧電体素子の作製例)
図7および8に示すような構成のインクジェット式記録ヘッドを作製するために、上記実施例1で作製した圧電体薄膜A1を下部電極層の上に設けた基板のシリコン層を裏面よりエッチングした(図5および図6参照)。シリコン層のエッチングは、加熱攪拌したテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの22%水溶液中で行った。エッチングによってシリコン層がくり抜かれた箇所は、SiO2/Ti/Pt/圧電体薄膜A1の層から構成されており、約3μmの層厚を有するSiO2層が振動板としての役割を担う。
上記エッチングを行った後に、圧電体薄膜A1の層の上に上部電極層として金薄膜層をスパッタ法により形成して、本発明の圧電体素子A3を作製した。
得られた圧電体素子A3に、10Vの電圧を印加し、レーザ・ドップラー速度測定器により検出した速度変化を積分して圧電体素子の振動板の振幅を求めたところ、1〜10kHzの周波数域において1.4〜1.6μmの振幅を有する振動が振動板に付与されることが確認された。この変位はインクジェット式記録ヘッドとしてインク吐出を行うのに充分な変位量であった。印加電圧を小さくすると変位も小さくなり、吐出量の制御が可能であることも確認された。
[実施例6](インクジェット式記録ヘッドの作製例)
実施例5で得られた圧電体素子に図7および8で示す構成を有するノズル15を取り付け、さらにインクを導入するための導入管16、ヘッド基台7を取り付けてインクジェット式記録ヘッドを作製した。このインクジェット式記録ヘッドを用いて吐出実験を行った。
上記インクジェット式記録ヘッドに導入管16よりインクジェット用インクを導入し圧力室8を満たした。次に上部電極と下部電極間に1〜20kHz、10Vの交流電圧を印加してインクの吐出の様子を顕微鏡で観察した。これにより、インクジェット式記録ヘッドは各周波数に追随しインク滴を吐出することが確認された。また、同様にして、複数個のインク吐出口を設けたインクジェット式記録ヘッドを作製したところ、同様にインクが吐出されることを確認することができた。これにより、実施例5の圧電体素子を用いたインクジェット式記録ヘッドがインクジェット式記録ヘッドとして充分な機能を有することを確認することができた。
本発明の圧電体素子の実施形態の1例を示す縦断面模式図である。 本発明の圧電体薄膜の実施形態の1例の表面の結晶粒の模式図であり、圧電体薄膜の表面が大小さまざまな大きさの結晶粒によりパッキングされている状態を模式的に示す。 本発明による圧電体素子がアクチュエータに用いられたインクジェット式記録ヘッドの一部を拡大して示した縦断面模式図である。 実施例1の圧電体薄膜A1の走査型電子顕微鏡による表面の電子顕微鏡写真とその結晶粒像を画像処理して求めた円相当径分布を示すグラフである。 実施例5で作製した一部がくりぬかれ振動板の様子が観測できるよう設計されたシリコンウェハーの一例を、拡大して模式的に示した斜視図である。 実施例5で作製した一部がくりぬかれ振動板の様子が観測できるよう設計されたシリコンウェハーの一例を、拡大して模式的に示した縦断面図である。 実施例6で作製したインクジェット式記録ヘッドの1例の一部を、拡大して模式的に示した縦断面図である。 実施例6で作製したインクジェット式記録ヘッドの1例の一部を、拡大して模式的に示した斜視図である。 実施例2の圧電体薄膜B1の走査型電子顕微鏡による表面の結晶粒像を画像処理して求めた円相当径分布を示すグラフである。 実施例1の圧電体薄膜A1の透過型電子顕微鏡による表面の電子顕微鏡写真である。図中の*1、*2、*3はエネルギー分散型X線分光測定における測定位置を示している。
符号の説明
1 基板
2 下部電極
3 圧電体薄膜
4 上部電極
5 圧電体薄膜の基板近傍における任意の領域
6 圧電体薄膜の表層近傍における任意の領域
7 ヘッド基台
8 インク室
9 振動板
10 圧電体素子
11 下部電極
12 圧電体薄膜
13 上部電極
14 電源
15 ノズル
16 インク導入管




Claims (17)

  1. 一般式Pb(1-x)Lax(ZryTi1-y)O3(式中、0≦x<1、0.05≦y≦1)で表されるペロブスカイト型結晶の圧電体薄膜であって、
    該圧電体薄膜の膜厚が1000nm以上4000nm以下であり、
    該圧電体薄膜の表面に、円相当径200nm以上である結晶粒と円相当径40nm以下である結晶粒が含まれており、
    該圧電体薄膜の表面に観測される円相当径40nm以下である結晶粒の個数が、圧電体薄膜の表面に観測される全結晶粒の個数に対して、5%以上であることを特徴とする圧電体薄膜。
  2. 前記圧電体薄膜の表面に観測される円相当径200nm以上である結晶粒が、基板より成長した柱状結晶であることを特徴とする請求項1記載の圧電体薄膜。
  3. 前記圧電体薄膜の表面に観測される円相当径200nm以上である結晶粒の個数が、圧電体薄膜の表面に観測される全結晶粒の個数に対して、5%以上であることを特徴とする請求項1記載の圧電体薄膜。
  4. 前記圧電体薄膜の表面に観測される結晶粒が、いずれも円相当径1000nm以下であることを特徴とする請求項1記載の圧電体薄膜。
  5. 前記圧電体薄膜の表面に観測される結晶粒の円相当径分布のピーク値が50nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1記載の圧電体薄膜。
  6. 前記圧電体薄膜の表面において、隣接する結晶粒の表面同士が密接していることを特徴とする請求項1記載の圧電体薄膜。
  7. (a)チタン、ジルコニウムおよび鉛を含む原料液を基板上に塗布して塗布層を形成する工程と
    (b)該塗布層を形成するごとに該塗布層を400℃以上700℃以下の温度で焼成して層厚が150nm以上400nm以下の圧電体層を形成する工程と、
    を複数回繰り返して前記圧電体層が複数積層された圧電体薄膜を形成する圧電体薄膜の製造方法であって、
    該第1層目の圧電体層の形成に用いる原料液のチタン濃度を最後の圧電体層の形成に用いる原料液のチタン濃度より高濃度とすることを特徴とする圧電体薄膜の製造方法。
  8. 前記(a)の工程と前記(b)の工程とを3回以上10回以下繰り返して前記圧電体層が複数積層された圧電体薄膜を形成することを特徴とする請求項7記載の圧電体薄膜の製造方法。
  9. 前記原料液が、安定化剤として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エンまたは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含有することを特徴とする請求項7記載の圧電体薄膜の製造方法。
  10. ゾルゲル法により基板上に形成された一般式Pb(1-x)Lax(ZryTi1-y)O3(式中、0≦x<1、0.05≦y≦1)で表されるペロブスカイト型結晶の圧電体薄膜であって、
    該圧電体薄膜の膜厚が1000nm以上4000nm以下であり、
    該圧電体薄膜の任意の箇所におけるyの値の最大値と最小値との差が0.05以下であることを特徴とする圧電体薄膜。
  11. 前記ゾルゲル法が請求項7に記載の製造方法であることを特徴とする請求項10記載の圧電体薄膜。
  12. 前記圧電体薄膜の任意の箇所における結晶系が同一であることを特徴とする請求項10記載の圧電体薄膜。
  13. 前記結晶系が正方晶系であり、かつ前記結晶の(100)面が膜厚方向に配向した結晶構造を有することを特徴とする請求項12記載の圧電体薄膜。
  14. 前記結晶系が菱面体晶系であり、かつ前記結晶の(111)面が膜厚方向に配向した結晶構造を有することを特徴とする請求項12記載の圧電体薄膜。
  15. 下部電極および上部電極に挟持された圧電体薄膜を備える圧電体素子であって、該圧電体薄膜が請求項1に記載の圧電体薄膜であることを特徴とする圧電体素子。
  16. 請求項15に記載の圧電体素子を駆動源としてなることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  17. インク吐出口と、インク吐出口に連通する圧力室と、圧力室の一部を構成する振動板と、圧力室の外部に設けられた振動板に振動を付与するための圧電体素子とを有し、振動板により生じる圧力室内の体積変化によって圧力室内のインクをインク吐出口から吐出するインクジェット式記録ヘッドにおいて、該圧電体素子が、請求項15記載の圧電体素子であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。

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