JP4362868B2 - 圧電体、圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド及びプリンタ - Google Patents
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"Application of HydrothermalMechanism for Tailor-making Perovskite Titanate Films", IEEE Proc. of the 9th Int'l Symp. on Electrets, Shanghai, China, Sept. 25-30, pp. 617-622(1996), W-ping Xu, Masanori Okuyama, et al.,
本発明のインクジェット式記録ヘッドの製造方法によれば、圧電体膜中における鉛の含有量を確保しつつ、インク吐出特性に優れたインクジェット式記録ヘッドを製造する方法を提供することができる。
(原理説明)
図7は、圧電体の結晶構造の一種であるペロブスカイト型結晶構造の模式図である。この結晶構造において、元素Aは2価の金属元素(Pb等)であり、元素Bは4価の金属元素(TiやZr等)であり、元素Oは通常酸素(O)である。これら複数の金属元素の酸化物である圧電体の多くは、ペロブスカイト型結晶構造を有する。この結晶構造は自発分極を有する。この結晶構造を備える圧電体は、電気機械変換作用、俗に言う圧電作用を示すようになる。
図1を参照してインクジェットプリンタの構成について説明する。インクジェットプリンタは、主にインクジェット式記録ヘッド100、本体102、トレイ103、ヘッド駆動機構106を備えて構成されている。インクジェット式記録ヘッド100は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの計4色のインクカートリッジ101を備えており、フルカラー印刷が可能なように構成されている。
図2にインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図を示す。ここではインクの共通通路が加圧室基板内に設けられるタイプを示す。同図に示すように、インクジェット式記録ヘッドは加圧室基板1、ノズルプレート2及び基体3から構成される。加圧室基板1はシリコン単結晶基板をエッチング加工等された後、各々に分離される。加圧室基板1には複数の短冊状の加圧室10が設けられ、全ての加圧室10にインクを供給するための共通通路12を備える。加圧室10の間は側壁11により隔てられている。加圧室基板1の基体3側には圧電体素子が設けられている。また、各圧電体素子からの配線はフレキシブルケーブルである配線基板4に収束され、基体3の外部回路と接続される。
次に、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を、圧電体の第一の製造方法と併せて説明する。図3はインクジェット式記録ヘッドの第1の製造方法を示す製造工程断面図であり、同図(A)〜同図(C)が圧電体の第一の製造方法と共通する。
本工程により、基板1上に振動板膜20、下部電極30、圧電体膜前駆体41〜44を順次成膜する。まず、基板1上に振動板膜20を成膜する。基板1として、例えば、厚さ220μmのシリコン単結晶基板を用いる。インクジェット式記録ヘッドをラインプリンタ用に用いる場合は、細長く成形されたシリコン単結晶基板を用い、その厚みは側壁の高さが高くなりすぎないように、例えば、200μm程度とする。熱酸化法により膜厚1.0μmの二酸化珪素から成る振動板膜20を成膜する。この工程では、酸素或いは水蒸気を含む酸素雰囲気中で高温処理する。この振動板膜20は、圧電体素子の変形を加圧室に伝え、加圧室内のインク圧を高める機能を有する。二酸化珪素膜に限られず、酸化ジルコニウム膜、酸化タンタル膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜でもよく、さらに、振動板自体をなくして後述する下部電極に振動板の役割を兼ねてもよい。また、振動板膜20の成膜は、熱酸化法に限らず、CVD(chemical vapor deposition)法でもよい。
本工程は圧電体膜前駆体を水熱処理して結晶化を促進させる工程および結晶化した圧電体膜内のPb含有量を確保する工程であり、2回に分けて水熱処理を行う。まず、1回目の水熱処理工程では、水酸化バリウム水溶液(Ba(OH)2)を処理液6として調製する。処理液の濃度は0.05M(mol/l)〜0.5M(mol/l)程度とする。水酸化バリウムは水酸化カリウムと比較してシリコン基板に対する食刻が少ないため基板1の材質の自由度が広がる利点がある。この処理液6を水槽7に満たす。上述の工程で得られた圧電体膜前駆体を基板1ごと水槽7に浸漬し、オートクレーブ(autoclave)中で結晶化を促進させる。
水熱処理工程後、圧電体膜40上に上部電極50を成膜する。電子ビーム蒸着法、スパッタ法等の薄膜積層技術を用いて、圧電体膜40の上に白金を200nm成膜し、上部電極50とする。但し、白金に限らず、イリジウム、白金とイリジウムの合金、酸化イリジウム、アルミニウム等でもよい。
本工程はインク吐出駆動源となる圧電体素子を各加圧室毎に対応して分離させる工程である。上部電極50上にレジスト(図示せず)をスピンコーティングし、加圧室が形成されるべき位置に合わせて露光・現像し、パターニングする。このレジストをマスクとしてイオンミリング、あるいはドライエッチング法等を適用して、上部電極50及び圧電体膜40から成る積層構造をエッチングする。この工程で加圧室が形成されるべき位置に合わせて圧電体素子5が分離される。
本工程は基板1に加圧室10を形成し、ノズルプレート2を接合する工程である。平行平板型反応性イオンエッチング等の活性気体を用いた異方性エッチングを用いて、加圧室10が形成される空間をエッチングする。エッチングされずに残された基板部分が側壁11になる。エッチング終了後、基板1にノズルプレート2を接合する。このとき、各ノズル21が加圧室10の各々の空間に対応して配置されるよう位置合せする。加圧室10が形成された基板1を基体3に取り付ければ、インクジェット式記録ヘッドが完成する。尚、ノズルプレート2と基板1を一体的にエッチングして形成する場合は、ノズルプレート2の接合工程は不要である。
本実施の形態で製造した圧電体膜のEDXスペクトルを図4に、従来の製法(水酸化バリウムで水熱処理)で製造した圧電体膜のEDXスペクトルを図5に示す。圧電体膜の組成はいずれもPb(Zr0.56Ti0.44)O3である。これらの図を比較すればわかるように、本実施の形態で製造した圧電体膜の鉛の含有量は、従来の製法で製造した圧電体膜の鉛の含有量よりも多いことがわかる。この結果から、1回目の水熱処理工程で水酸化バリウムで圧電体膜を結晶化させた後、2回目の水熱処理工程でバリウム原子を鉛原子に置換し、圧電体膜中の鉛の含有量を確保できたことがわかる。また、本実施の形態で製造した圧電体膜のEDXスペクトル(図4)を従来のゾル・ゲル法で成膜した圧電体膜のEDXスペクトル(図6)と比較すると、本実施の形態の製法で成膜した圧電体膜はゾル・ゲル法で成膜した圧電体膜の組成とほぼ同じ組成を有することがわかる。また、本実施の形態の製法で製造した圧電体膜の結晶中に含まれるバリウム含量は5at%以下であった。
次に、本発明の圧電体の第2の製造方法について説明する。上記第1の製造方法においては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)の前駆体膜を生成し、その後水酸化バリウム(Ba(OH)2)水溶液中で水熱処理して結晶化させるステップと、この結晶体を水酸化鉛(Pb(OH)2)水溶液中で水熱処理して鉛を補うステップとを有していた。これに対し、第2の製造方法においては、チタン酸ジルコン酸バリウム(Ba(Zr,Ti)O3)の結晶体を生成するステップと、これを水酸化鉛(Pb(OH)2)水溶液中で水熱処理して、結晶中のAサイト原子を鉛で置換するステップとを備える。それ以外の各工程については前記第1の製造方法と同様であるので、詳細な説明を省略する。
上記製造方法に基づいて、組成式PbXBa(1-X)(Zr56Ti44)O3で表わされる圧電体を備えた圧電体素子である圧電アクチュエータを製造した。図8に、水熱処理前の組成としてBa(Zr56Ti44)O3で表わされる圧電体結晶体薄膜のEDXスペクトル図を示す。図9に、0.1M(mol/l)のPb(OH)2を含んだアルカリ水溶液で、140℃、5気圧の条件下で60分にわたって水熱処理した場合の最終生成物のEDXスペクトル図を示す。
次に、本発明の圧電体の第3の製造方法について説明する。第3の製造方法は、PZTの前駆体であるアモルファス状態の酸化物を、Pb(OH)2及びBa(OH)2の混合溶液を用いて水熱処理するものである。これにより、前駆体膜を結晶化させると同時に、圧電体結晶のAサイト原子として、Pb及びBaを配位させる。特に、上記Pb(OH)2及びBa(OH)2の混合比により、Aサイト原子の混合比を制御することができる。なお、これ以外の各工程については前記第1の製造方法と同様であるので、詳細な説明を省略する。
上記第3の製造方法に基づいて、組成式PbXBa(1-X)(Zr56Ti44)O3で表わされる圧電体を備えた圧電体素子である圧電アクチュエータを製造した。図13に、水熱処理前の組成として圧電体前駆体膜のEDXスペクトル図を示す。従来法による比較例として、図10に、Ba(OH)2のみのアルカリ水溶液で水熱処理した場合(バリウム元素と鉛元素のモル比1:0)の最終生成物のEDXスペクトル図を示す。本発明の実施例1として、図11に、バリウム元素と鉛元素とのモル比を6:4に調整したアルカリ水溶液で水熱処理した場合の最終生成物のEDXスペクトル図を示す。本発明の実施例2として、図12に、バリウム元素と鉛元素とのモル比を4:6に調整したアルカリ水溶液で水熱処理した場合の最終生成物のEDXスペクトル図を示す。
次に、本発明の圧電体の第4の製造方法について説明する。第4の製造方法は、上記第2の製造方法と類似しており、MOD法を用いて柱状結晶粒よりなるチタン酸鉛(PbTiO3)を生成するステップと、このチタン酸鉛を、水酸化バリウム(Ba(OH)2)水溶液を用いて水熱処理することによってチタン酸バリウム鉛((Ba,Pb)TiO3)を生成するステップとを備えている。なお、それ以外の各工程については前記第1の製造方法と同様であるので、詳細な説明を省略する。
本発明は、上記各実施形態によらず種々に変形して適応することが可能である。例えば、上記実施形態では、PZTを例示したが、Bサイト原子としてジルコニウムやチタン以外の金属元素が配置された圧電体であってもよい。
Claims (6)
- Ba、Pb、及びTiを含み、ペロブスカイト型結晶構造を有する圧電体であって、
前記圧電体は、柱状結晶粒と、前記柱状結晶粒中に形成され格子欠陥が存在する転位層と、を有し、隣接する前記転位層の間隔が10nm以上であることを特徴とする圧電体。 - 請求項1に記載の圧電体であって、前記転位層の間隔が200nm以上であることを特徴とする圧電体。
- 請求項1又は2に記載の圧電体であって、前記圧電体はチタン酸バリウム鉛であることを特徴とする圧電体。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の圧電体と、前記圧電体に電圧を印加する電極とを備える圧電体素子。
- 請求項4に記載の圧電体素子を備えることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項5に記載のインクジェット式記録ヘッドを備えることを特徴とするプリンタ。
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