JP2009038274A - 圧電素子およびその製造方法、アクチュエータ、並びに、液体噴射ヘッド - Google Patents

圧電素子およびその製造方法、アクチュエータ、並びに、液体噴射ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】簡易なプロセスにより、信頼性が高く、かつ圧電特性が良好な圧電素子およびその製造方法を提供する。また、本発明の圧電素子を含む、アクチュエータ、並びに、液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】本発明に係る圧電素子100の製造方法は、基体10の上方にパターニングされた下部電極12を形成する工程と、基体10および下部電極12の上にチタン層14を形成する工程と、チタン層14の上方に圧電体層16を形成する工程と、圧電体層16の上方に上部電極18を形成する工程と、少なくとも、上部電極18および圧電体層16をパターニングする工程と、を含み、上部電極18および圧電体層16をパターニングする工程は、圧電体層16がチタン層14を介して下部電極12の上に位置する第1部分16aと、圧電体層16がチタン層14を介して基体10の上に位置する第2部分16bと、を有するように行われることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電素子およびその製造方法、アクチュエータ、並びに、液体噴射ヘッドに関する。
インクジェット式記録ヘッドなどに用いられる圧電素子では、圧電体層の結晶性の向上のため、圧電体層をチタン層上に形成する技術が知られている。例えば、特開2002−314163号公報には、下部電極上にチタン層を介して圧電体層の1層目を形成した後、この1層目の圧電体層と共に下部電極をパターニングし、1層目の圧電体膜上にさらにチタン層を形成した後、残りの圧電体膜を形成するようにした圧電体素子の製造方法が開示されている。
しかしながら、このような圧電体素子の製造方法では、1層目の圧電体層上に形成されたチタン層によって、圧電体層の結晶が1層目と2層目との間で分断されて不連続となってしまう場合があり、圧電体層の結晶性に影響を与えることがある。
特開2002−314163号公報
本発明の目的は、簡易なプロセスにより、信頼性が高く、かつ圧電特性が良好な圧電素子およびその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、本発明の圧電素子を含む、アクチュエータ、並びに、液体噴射ヘッドを提供することにある。
本発明に係る圧電素子の製造方法は、
基体の上方にパターニングされた下部電極を形成する工程と、
前記基体および前記下部電極の上にチタン層を形成する工程と、
前記チタン層の上に圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の上方に上部電極を形成する工程と、
少なくとも、前記上部電極および前記圧電体層をパターニングする工程と、を含み、
前記上部電極および前記圧電体層をパターニングする工程は、前記圧電体層が前記チタン層を介して前記下部電極の上に位置する第1部分と、前記圧電体層が前記チタン層を介して前記基体の上に位置する第2部分と、を有するように行われることができる。
本発明に係る圧電素子の製造方法によれば、後述するように、簡易なプロセスにより、信頼性が高く、かつ圧電特性が良好な圧電素子を得ることができる。
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。同様に、「下方」という文言は、A下に直接Bを形成するような場合と、A下に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとする。
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記チタン層を形成する工程は、該チタン層の厚さが5nm以上、10nm以下となるように行われることができる。
本発明に係る圧電素子は、
基体と、
前記基体の上方に形成された下部電極と、
前記基体および前記下部電極の上に形成されたチタン層と、
前記チタン層の上に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、を含み、
前記圧電体層は、前記チタン層を介して前記下部電極の上に位置する第1部分と、前記チタン層を介して前記基体の上に位置する第2部分と、を有することができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記圧電体層は、平面視において、前記第2部分から前記第1部分に向かう方向を第1の方向としたとき、前記第2部分が、前記第1部分の前記第1の方向における少なくとも一方の端部と連続するように設けられることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記チタン層の厚さは、5nm以上、10nm以下であることができる。
本発明に係るアクチュエータは、
前記の圧電素子を含み、
前記基体が振動板を有することができる。
本発明に係る液体噴射ヘッドは、
前記アクチュエータと、
前記基体に形成された流路と、
前記基体の下方に形成された、前記流路に連続するノズル穴を有するノズルプレートと、を含むことができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
1.圧電素子
図1は、本実施形態に係る圧電素子100を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係る圧電素子100を模式的に示す平面図である。なお、図1は、図2のA−A線における断面を示す図である。図2に示す例では、圧電素子100が2つ配置されているが、圧電素子100の数は特に限定されるわけではない。なお、図2では、便宜上、上部電極の図示を省略している。
圧電素子100は、図1および図2に示すように、基体10と、基体10の上方に形成された下部電極12と、基体10および下部電極12の上に形成されたチタン層14と、チタン層14の上に形成された圧電体層16と、圧電体層16の上方に形成された上部電極18と、を含む。ここで、圧電体層16は、チタン層14を介して下部電極12の上に位置する第1部分16aと、チタン層14を介して基体10の上に位置する第2部分16bと、を有することができる。
基体10は、圧電素子100が動作したときの機械的な出力を行う部材である。基体10は、後述するように、例えば、振動板を含んで構成されてもよい。基体10は、圧電体層16の動作により、たわんだり振動したりすることができる。基体10の厚みは、用いる材質の弾性率などに従って、最適に選ばれる。基体10の材質としては、例えば、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、酸化シリコンなどの無機酸化物、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)などの金属、シリコンなどの半導体を用いることができる。基体10は、2種類以上の物質の積層構造であってもよい。
下部電極12は、基体10の上に設けられる。下部電極12は、上部電極18と対になり、圧電体層16を挟む一方の電極として機能する。下部電極12は、図示せぬ外部回路と電気的に接続されている。下部電極12の厚みは、基体10に圧電体層16の変形が伝達できる範囲であれば任意である。下部電極12の厚みは、例えば、50nm〜300nmとすることができる。下部電極12の材質は、この機能を満足する導電性を有する物質である限り特に限定されない。下部電極12の材質には、例えば、イリジウム、白金、チタンなどの各種の金属、それらの導電性酸化物、例えば、酸化イリジウム(IrO)、酸化白金、ストロンチウムとルテニウムの複合酸化物(SrRuO:SRO)、ランタンとニッケルの複合酸化物(LaNiO:LNO)などを用いることができる。下部電極12は、前記例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
下部電極12は、図2に示すように、例えば、複数の圧電素子100の共通電極であることができる。これに対し、上部電極18は、例えば、複数の圧電素子100のそれぞれに設けられた独立した電極であることができる。なお、下部電極12は、図示しないが、例えば、圧電素子100のそれぞれに設けられた独立した電極であることもできる。
チタン層14は、基体10および下部電極12の上に接して設けられる。チタン層14は、その上面に圧電体層16が形成されると、圧電体層16の結晶性を向上する機能を有する。チタン層14の厚みは、例えば、5nm〜10nmとすることができる。チタン層14の厚みを、5nm〜10nmとすることで、圧電体層16は優先的に(100)に配向し、圧電体素子100は、良好な圧電特性を有することができる。ここで、「優先的に(100)に配向する」とは、(100)にすべての結晶が配向している場合と、例えば、50%以上の結晶が(100)に配向しており、(100)に配向していない残りの結晶が(110)等に配向している場合と、を含むことを意味する。なお、チタン層14の厚さが10nmを超えると、チタン層14のチタンが圧電体層16中に拡散したり、酸化チタン等の常誘電体層を形成したりすることで、圧電体層16は、所望の組成が得られなくなることがある。
圧電体層16は、チタン層14の上に接して設けられる。圧電体層16は、下部電極12および上部電極18によって電界が印加されることで伸縮変形し、これにより基体10をたわませたり振動させたりすることができる。圧電体層16の厚みは、圧電素子100の用途によるが、例えば、300nm〜3000nmとすることができる。圧電体層16には、圧電性を有する材料を用いることができる。圧電体層16は、例えば、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物からなることができ、Aは、鉛を含み、Bは、ジルコニウムおよびチタンのうちの少なくとも一方を含むことができる。前記Bは、例えば、さらに、ニオブを含むことができる。具体的には、圧電体層16としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)、シリコンを含むニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O:PZTNS)などを用いることができる。
圧電体層16は、チタン層14を介して下部電極12の上に位置する第1部分16aと、チタン層14を介して基体10の上に位置する第2部分16bと、を有することができる。圧電体層16は、例えば、図2に示すように、平面視において、前記第2部分16bが、前記第1部分16aの第1の方向(X方向)における端部と連続するように設けられることができる。第1方向(X方向)は、例えば、圧電体層16が矩形である場合、圧電体16の長手方向とすることができる。第1方向(X方向)と直行する第2方向(Y方向)は、例えば、下部電極12が矩形である場合、下部電極12の長手方向とすることができる。第2部分16bは、第1部分16aの一方の端部とのみ連続するように設けられてもよいし、第1部分16aの両方の端部と連続するように設けられてもよい。すなわち、下部電極12は、第1方向(X方向)において、圧電体層16より小さい幅を有するように形成されることができる。下部電極12を、第1方向(X方向)において、圧電体層16より小さい幅を有するように形成することで、圧電体層16の振動は、基体10に伝わり易くなり、圧電素子100は、圧電特性(変位性)が向上する。なお、第2部分16bは、第1部分16aの両方の端部と連続するように設けられることが好ましい。第2部分16bが第1部分16aの両方の端部と連続するように設けられると、圧電素子として駆動する第1部分16aは、圧電体層16をパターニングする時に、エッチングダメージを受けない。
上部電極18は、圧電体層16の上に設けられる。上部電極18は、下部電極12と対になり他方の電極として機能する。上部電極18の厚みは、例えば、20nm〜200nmとすることができる。上部電極18の材質は、前記機能を満足する導電性を有する物質である限り、特に限定されない。上部電極18の材質は、イリジウム、金、白金、チタンなどの各種の金属、それらの導電性酸化物、酸化イリジウム(IrO)、ストロンチウムとルテニウムの複合酸化物(SrRuO:SRO)、ランタンとニッケルの複合酸化物(LaNiO:LNO)などを用いることができる。また、上部電極18は、例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
圧電素子100は、図1および図2に示すように、例えば、チタン層14の端部と、圧電体層16の端部と、上部電極18の端部と、が連続するように形成されることができる。圧電素子100は、図示しないが、例えば、平面視において、圧電体層16が、チタン層14より小さく形成されることもできる。圧電素子100は、図示しないが、例えば、平面視において、上部電極18が、圧電体層16より小さく形成されることもできる。
本実施形態に係る圧電素子100は、圧電体層16が優先的に(100)に配向し、信頼性が高く、かつ圧電特性が良好である。圧電素子100の特徴の詳細は、後述する。
2.圧電素子の製造方法
次に、本実施形態に係る圧電素子100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図3〜図7は、本実施形態に係る圧電素子の製造工程を概略的に示す断面図である。
圧電素子100の製造方法は、基体の上方にパターニングされた下部電極を形成する工程と、基体および下部電極の上にチタン層を形成する工程と、チタン層の上に圧電体層を形成する工程と、圧電体層の上方に上部電極を形成する工程と、少なくとも、上部電極および圧電体層をパターニングする工程と、を含む。ここで、上部電極および圧電体層をパターニングする工程は、圧電体層がチタン層を介して下部電極の上に位置する第1部分と、圧電体層がチタン層を介して基体の上に位置する第2部分と、を有するように行われることができる。
図3に示すように、まず、基体10を準備し、基体10の上に、下部電極12を形成する。下部電極12は、例えば、スパッタ法、めっき法などにより形成される。なお、下部電極12の形成に先立ち、基体10上にチタン層やジルコニウム層あるいはそれらの酸化物(図示せず)を形成してもよい。これらの層は、スパッタ法などにより形成され、厚さは、特に限定されないが、30nm以上とするのが好ましい。基体10上にチタン層やジルコニウム層あるいはそれらの酸化物を設けることで、基体10と下部電極12との密着性を向上させることができる。
図4に示すように、下部電極12を所定形状にパターニングする。パターニングは、例えば、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により行われる。
図5に示すように、基体10上および下部電極12上にチタン層14を形成する。チタン層16は、例えば、スパッタ法などにより形成される。チタン層14の厚みは、例えば、5nm〜10nmとすることができる。チタン層14の厚みを、5nm〜10nmとすることで、圧電体層16は優先的に(100)に配向し、圧電素子100は、良好な圧電特性を有することができる。
図6に示すように、チタン層14上に接するように圧電体層16を形成する。圧電体層16は、例えば、ゾルゲル法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、MOD(Metal Organic Decomposition)法、スパッタ法、レーザーアブレーション法などにより形成される。ゾルゲル法においては、圧電体原材料を塗布して乾燥する塗布乾燥工程を複数回繰り返し、いずれかの塗布乾燥工程の後に、圧電体原料の結晶化を行う結晶化アニール工程を少なくとも1回行うようにすることができる。塗布乾燥工程の繰り返しは、合計の厚みが所望の膜厚となるまで行う。
図7に示すように、圧電体層16上に上部電極18を形成する。上部電極18は、例えば、スパッタ法などにより形成される。
図1に示すように、少なくとも、上部電極18および圧電体層16を所定形状にパターニングする。チタン層14は、例えば、上部電極18および圧電素子16のパターニングと同時に、パターニングされることができる。パターニングは、圧電体層16がチタン層14を介して下部電極18の上に位置する第1部分16aと、圧電体層16がチタン層14を介して基体10の上に位置する第2部分16bと、を有するように行われることができる。該パターニングは、例えば、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により行われる。上部電極18、圧電体層16およびチタン層14は、各層の形成ごとにパターニングされることもできるし、複数層の形成後に一括してパターニングされることもできる。
以上の工程によって、本実施形態に係る圧電素子100を製造することができる。
本実施形態に係る圧電素子100の製造方法によれば、基体10および下部電極12と、圧電体層16の間に、チタン層14が形成される。これにより、圧電体層16は、全体的にグレインサイズが小さく均一となり、信頼性の高い圧電素子を得ることができる。チタン層14が形成されないと、基体10の上方の圧電体層16は、グレインサイズが大きく、下部電極12の上方の圧電体層16は、グレインサイズが小さくなる。その結果、グレインサイズが異なる界面に応力が集中し、圧電体層16は、機械的強度が低下して破損しやすくなるが、本実施形態によれば、このような問題は解消できる。
本実施形態に係る圧電素子100の製造方法によれば、チタン層14の厚さを、5nm〜10nmとすることができる。これにより、圧電体層16は優先的に(100)に配向し、圧電素子100は、良好な圧電特性を有することができる。
3.実施例
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明は、これらに限定されない。
(1)実施例に係る圧電素子の製造方法
実施例に係る圧電素子のサンプルは、以下のようにして得た。
シリコン基板上に、厚さ1μmのシリコン酸化膜層および厚さ400nmの酸化ジルコニウム層が形成された基体10を準備した。シリコン酸化膜層は、熱酸化炉で形成されたものである。酸化ジルコニウム層は、スパッタ法で形成されたものである。
基体10上に、チタンと白金とイリジウムの積層構造からなる厚さ150nmの下部電極12を形成した。下部電極12は、スパッタ法で形成されたものである。下部電極12をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、所定の形状にパターニングした。
基体10および下部電極12上に、チタン層14を形成した。チタン層14は、スパッタ法で形成されたものである。チタン層14は、厚さを変えて複数のサンプルを形成した。
チタン層14上に、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr50,Ti50)O:PZT)膜からなる圧電体層16を形成した。ゾルゲル原料をチタン層14上にスピン塗布によって塗布し、塗膜を150℃で乾燥させた後、400℃で脱脂熱処理を行った。この塗布、乾燥、脱脂の工程を3回繰り返し、RTA法により700℃で3層一括で焼成した。さらに、塗布、乾燥、脱脂を3回繰り返した後に1回焼成する工程を4回繰り返し、厚さ1μmのPZT層を得た。
PZT膜から構成される圧電体層16上に、イリジウムからなる厚さ50nmの上部電極18を形成した。上部電極18は、スパッタ法で形成されたものである。
上部電極18、PZT膜から構成される圧電体層16およびチタン層14を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、所定の形状にパターニングした。
(2)PZT膜のグレインサイズ
上述の方法で製造した圧電体層16(PZT膜)の表面のグレインサイズを、走査電子顕微鏡(SEM)で評価した。なお、チタン層14の厚さは、8nmとした。
図8に、圧電素子の上部電極18を形成する前の層構造の断面図を示した。同図中のPZT膜は、下部電極12上にチタン層14を介して形成された部分(領域A)と、下部電極12の端部上にチタン層14を介して形成された部分(領域B)と、基体10上にチタン層14を介して形成された部分(領域C)と、を有する。なお、領域A、領域Cは、それぞれ、図1および図2における、第1部分16a、第2部分16bに相当する。
図9(A)、(B)、(C)に、それぞれ図8の領域A、B、CにおけるPZT膜の表面形態を示した。倍率は、100k倍である。また、チタン層14がPZT膜の表面形態に与える影響を評価するため、図10(C1)、(C2)に、それぞれ、チタン層14を介して、基体10上に形成されたPZT膜の表面形態と、チタン層14を介することなく、基体10上に形成されたPZT膜の表面形態を示した。倍率は、50k倍である。すなわち、図9(C)と図10(C1)は、同一のPZT膜の表面形態で、倍率が異なっている。
図9(A)、(B)、(C)は、いずれも100nmないし200nmに区画された形態が認められた。同様に、図10(C1)も、100nmないし200nmに区画された形態が認められた。一方、図10(C2)は、3μmないし5μm程度に区画された形態が認められた。各区画は、結晶粒(グレイン)を示している。すなわち、チタン層14を介して形成されたPZT膜のグレインサイズは、全ての領域で小さく、かつ均一であり、チタン層14を介することなく、基体10上に形成されたPZT膜のグレインサイズは、大きくなることが確認された。
以上の結果から、本実施例のサンプルでは、下部電極12上および基体10上のいずれにおいても、グレインサイズの小さく、かつ均一なPZT膜を得ることができることが確認された。
(3)PZT膜の配向度
上述の方法で製造した圧電体層16(PZT膜)について、チタン層14の厚さの変化に対するPZT膜の(100)面と(110)面の配向度[%]を、X線回折広角測定法で測定した。測定結果を図11に示した。ここで、配向度とは、PZT膜の(XYZ)面の反射強度をI(XYZ)とすると、
I(XYZ)/{I(100)+I(110)+I(111)}
で表されるものとする。なお、PZT膜が(100)に配向すると、圧電素子100は良好な圧電特性を示す。
図11に示すように、(100)面の配向度は、チタン層14の厚さと単調増加の関係にあり、チタン層14の厚さが、5nm〜10nmの範囲で、50%〜約100%であることが確認された。
4.液体噴射ヘッド
次に、上述した圧電素子がアクチュエータとして機能している液体噴射ヘッドについて説明する。
図12は、本実施に係る液体噴射ヘッド200の要部を概略的に示す断面図である。図13は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド200の分解斜視図である。なお、図13は、通常使用される状態とは上下を逆に示したものである。
液体噴射ヘッド200は、図12に示すように、ノズルプレート26と、基板20と、アクチュエータ150と、を含む。アクチュエータ150は、基板20の上に形成された振動板24と、振動板24の上に形成された圧電素子の振動部110と、を含む。圧電素子の振動部110は、下部電極12と、チタン層14と、圧電体層16と、上部電極18と、を含む。なお、図13において、圧電素子の振動部110の各層の図示は、省略されている。
液体噴射ヘッド200は、図13に示すように、さらに、筐体25を有する。筐体25に、ノズルプレート26、基板20、振動板24および圧電素子の振動部110が収納される。筐体25は、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料等を用いて形成される。
ノズルプレート26は、例えば、ステンレス製の圧延プレート等で構成されたものである。ノズルプレート26には、液滴を吐出するための多数のノズル穴28が一列に配置されている。ノズルプレート26には、基板20が固定されている。基板20は、ノズルプレート26と振動板24との間の空間を区画して、リザーバ21、供給口23および複数の流路22を形成する。リザーバ21は、液体カートリッジ(図示せず)から供給される液体を一時的に貯留する。供給口23によって、リザーバ21から各流路22へ液体が供給される。
流路22は、図12および図13に示すように、各ノズル穴28に対応して配設されている。ノズル穴28は、流路22と連続している。流路22は、振動板24の振動によってそれぞれ容積可変になっている。この容積変化によって、流路22から液体が吐出される。
振動板24の所定位置には、図13に示すように、振動板24の厚さ方向に貫通した貫通孔27が形成されている。貫通孔27によって、液体カートリッジからリザーバ21へ液体が供給される。
圧電素子の振動部110は、圧電素子駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて作動(振動、変形)することができる。振動板24は、圧電素子の振動部110の振動(たわみ)によって振動し、流路22の内部圧力を瞬間的に高めることができる。
アクチュエータ150の製造方法および液体噴射ヘッド200の製造方法において、下部電極12、チタン層14、圧電体層16および上部電極18のそれぞれは、上述した実施形態に係る下部電極12、チタン層14、圧電体層16および上部電極18の製造方法を用いて形成される。また、液体噴射ヘッド200の製造方法は、基板20上に振動板24を形成する工程と、基板20に流路22を形成する工程と、基板20の下にノズルプレート26を形成する工程と、を含む。振動板24、流路22およびノズルプレート26は、公知の方法により形成される。
本実施形態に係る圧電素子の振動部110は、上述のように、簡易なプロセスにより、信頼性が高く、かつ圧電特性が良好である。これにより、信頼性が高く、特性の良好なアクチュエータ150および液体噴射ヘッド200を提供することができる。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
本実施形態に係る圧電素子を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子を模式的に示す平面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る実験例の圧電素子を示す断面SEM観察結果。 本実施形態に係る実験例の圧電素子を示す表面SEM観察結果。 本実施形態に係る実験例の圧電素子を示す表面SEM観察結果。 本実施形態に係る実験例のチタン膜厚を変化させたときのPZT膜の配向度を示す図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す分解斜視図。
符号の説明
10 基体、12 下部電極、14 チタン層、16 圧電体層、18 上部電極、
20 基板、21 リザーバ、22 流路、23 供給口、24 振動板、25 筐体、26 ノズルプレート、27 貫通孔、28ノズル穴、100 圧電素子、110 圧電素子の振動部、150 アクチュエータ、200 液体噴射ヘッド

Claims (7)

  1. 基体の上方にパターニングされた下部電極を形成する工程と、
    前記基体および前記下部電極の上にチタン層を形成する工程と、
    前記チタン層の上に圧電体層を形成する工程と、
    前記圧電体層の上方に上部電極を形成する工程と、
    少なくとも、前記上部電極および前記圧電体層をパターニングする工程と、を含み、
    前記上部電極および前記圧電体層をパターニングする工程は、前記圧電体層が前記チタン層を介して前記下部電極の上に位置する第1部分と、前記圧電体層が前記チタン層を介して前記基体の上に位置する第2部分と、を有するように行われる、圧電素子の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記チタン層を形成する工程は、該チタン層の厚さが5nm以上、10nm以下となるように行われる、圧電素子の製造方法。
  3. 基体と、
    前記基体の上方に形成された下部電極と、
    前記基体および前記下部電極の上に形成されたチタン層と、
    前記チタン層の上に形成された圧電体層と、
    前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、を含み、
    前記圧電体層は、前記チタン層を介して前記下部電極の上に位置する第1部分と、前記チタン層を介して前記基体の上に位置する第2部分と、を有する、圧電素子。
  4. 請求項3において、
    前記圧電体層は、平面視において、前記第2部分から前記第1部分に向かう方向を第1の方向としたとき、前記第2部分が、前記第1部分の前記第1の方向における少なくとも一方の端部と連続するように設けられた圧電素子。
  5. 請求項3または4において、
    前記チタン層の厚さは、5nm以上、10nm以下である、圧電素子。
  6. 請求項3ないし5のいずれかに記載の圧電素子を含み、
    前記基体が振動板を有する、アクチュエータ。
  7. 請求項6に記載のアクチュエータと、
    前記基体に形成された流路と、
    前記基体の下方に形成された、前記流路に連続するノズル穴を有するノズルプレートと、を含む、液体噴射ヘッド。
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