JP2013117807A - 交通信号制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両122xの位置および車両速度に基づき、停止線108Aで停止できるかどうかに関する停止余裕度(MTS)、および交差点出口側横断歩道106Bの信号が「緑」信号に切り替わる前に上記出口側横断歩道106Bを通過できるかどうかに関する通過余裕度(MTP)を演算する。演算結果に基づき進入した車両122xが上記横断歩道106Bを通過する前に、上記横断歩道106Bの信号が「緑」信号に切り替わる場合、上記「緑」信号への切り替わりを遅らせる制御を行う。
【選択図】図4
Description
図1および図2を用いて、横断歩道を利用する歩行者あるいは自転車横断帯を利用する利用者を交通事故から護るための交通制御システムの概要を説明する。図1は、横断歩道を有する一般道路に本発明を適用した場合の交通制御システムの一例を示すシステム図であり、後述する図2は、2つの道路が交わる一般的な四叉路交差点に本発明を適用した場合の交通制御システムの一例である。図1や図2を用いて説明する色々な技術思想は、狭い道路あるいは広い道路における横断歩道を備えた交通制御システム、さらには三叉路交差点あるいは五叉路交差点等、さらに他の色々な形式の交差点における交通制御システムにも適用できる。さらに図1や図2を用いた説明における色々な課題の解決および色々な効果は、上述した色々な形式の交差点における課題を同様に解決でき、また同様に効果を奏する。また自転車横断帯については、横断歩道を用いた説明と略同じ技術内容となるので、自転車横断帯および横断歩道への本発明の適用例を代表して、横断歩道への適用例で説明する。
交通信号制御装置202の動作を説明する前に、制御の背景となるリスクを評価するための指標を、図3や図4を用いて説明する。車両用信号機162が「緑」信号から「黄」信号に切り替わったときに、運転者が考慮しなければならないリスクは、停止線108で安全に停止できるか、交差点に安全に進入できるか、交差点を安全に通過できるか、である。これらのリスクを評価のために、停止余裕度MTS(Margin To Stop)と進入余裕度MTE(Margin To Enter)、通過余裕度MTP(Margin To Pass)の概念を導入する。なお、図4Aは停止余裕度(MTS)の概念を説明する説明図であり、図4Bは進入余裕度(MTE)の概念を説明する説明図であり、図4Cは通過余裕度(MTP)の概念を説明する説明図である。
図4(A)において、車両122Zは安全な減速度dで減速したときに進入側停止線108Aで停止する状態にある車両を示している。ここでDは速度V(t)の状態で、減速度dで運転したときの制動距離である。制動距離Dは次の式(1)で表される。
ここでV(t)は現時点の車両122の速度であり、tは車両用信号機162が「緑」信号から「黄」信号に切り替わった時点をt=0とする時間経過である。現在の車速V(t)による制動距離Dより、現在の車の位置から進入側停止線108Aまでの距離L(t)が長い場合には、進入側停止線108Aで停止するのに余裕があることになる。現在の車両と進入側停止線108Aとの間の距離をL(t)とすると、停止余裕度(MTS)は次式(2)となる。
MTSが1以上であれば安全に停止線108Aに停止できる。逆にMTSが1未満であれば、進入側停止線108Aで停止するためには減速度dを通常以上の減速度とすることが必要となる。なお、通常の安全な減速状態は、0.3(G)程度である。
2.2 進入余裕度(MTE)の説明
図4(B)は「黄」信号の状態で交差点に進入できるか、あるいは交差点に進入するときに「赤」信号に切り替わっているかを表す指標である、進入余裕度(MTE)を説明する説明図である。Y(t)は現時点から「黄」信号が「赤」信号に切り替わるまでの時間を表す。一方時間T(t)は、現在の車両122xの位置から進入側停止線108Aに到達するまでにかかる時間を表す。tは「黄」信号に切り替わった時点からの経過時間を表す。時間T(t)は次の式(3)で表される。
ここでL(t)は現在の車両位置から交差点入口までの距離であり、V(t)は現在の車速である。T(t)≦Y(t)の場合は現在の速度であれば、「黄」信号の状態で交差点に進入することとなり、T(t)>Y(t)であれば、交差点への進入時は「赤」信号に切り替わっていることになる。進入余裕度(MTE)は次に示す式(4)で表される。
進入余裕度(MTE)が1以上の状態では、「黄」信号の状態で進入側停止線108Aを通過することとなり、進入余裕度(MTE)が1未満であれば加速しなければ「赤」信号に切り替わった後に進入側停止線108Aを通過することとなる。「赤」信号で交差点に進入する場合は、交通事故を起こすリスクが高く、たいへん危険な状態である。
2.3 通過余裕度(MTP)の説明
図4(C)は通過余裕度(MTP)を説明するための説明図である。交差点の信号は安全性を確保するために、一般的には、「黄」信号の後関係する信号が全て「赤」信号状態となり、次に横断歩道の信号が「緑」信号に替わる。車両122xが「黄」信号の状態で交差点に進入しても、全赤信号で交差点を通過できなければ、横断歩道106Aや106Bの歩行者用信号機が通行許可(緑)」信号となり、出口側の横断歩道106Bで歩行者と接触事故を起こす恐れがある。全赤信号で交差点を通過できるかどうかを表す指標として通過余裕度(MTP)を次に説明する。通過余裕度(MTP)は次の式(5)で表される。
ここでAR(t)は現時点から全赤信号の時間が終了するための時間である。またLiは交差点の入口側停止線108Aと出口側停止線108B間の距離である。MTPが1以上の状態であれば、信号が全赤状態で出口側停止線108Bを通過することができる。一方MTPが1未満の状態であれば、現在の速度では出口側停止線108Bに到達する前に全赤信号の時間が終了し、横断歩道106Bの歩行者用信号機142が緑信号となり、歩行者と接触事故を起こす可能性が高くなる。
図3および図4を用いて説明した停止余裕度(MTS)や進入余裕度(MTE)、通過余裕度(MTP)の指標を背景として、図1や図2に代表される信号システムが制御される。図5は、図1あるいは図2に示す道路に設置された信号システムを制御するための交通信号制御装置202の機能(以下交通信号制御機能300と記す)を示す機能図である。交通信号制御機能300により、図1や図2に代表される横断歩道の歩行者用信号機142や歩行者用警報機144を含む信号機や警報機などを制御し、歩行者が関係する交通事故の低減を図る。これらの制御機能の背景には図3および図4を用いて説明したリスク評価指標である、停止余裕度(MTS)や進入余裕度(MTE)、通過余裕度(MTP)の考え方が反映されている。
図1あるいは図2に記載の横断歩道あるいは交差点(以下これらを交差点などと記す)で、進入車両122が交差点などの停止線108Aで安全に停止できるかどうかは、車両122から上記停止線までの距離Lおよび車速Sの関係により定まることは、図3および図4(A)を用いて、停止余裕度(MTS)として既に説明した。停止余裕度(MTS)の概念は上述の通りであるが、実際の制御においてはこれらの関係だけでなく例えば路面の状態が異なるとその結果は異なってしまう。交通信号制御装置202の制御の信頼性を向上するには、天候状態により変化する路面状態を考慮した制御を行うが望ましい。例えば道路が凍結していると同じ車速であっても停止までの距離が長くなる。積雪の状態や雨天の状態でも同様である。
次に進入車両122の走行状態の測定について説明する。交通信号制御装置202は、車検知器124からの車両の検知情報を時々刻々、短周期で繰り返し受け取り、交差点や横断歩道への進入車両を進入車両計測機能340により検知し、走行車両毎に車種や車の走行状態を計測する。走行状態としてこの実施例では、車の位置と速度、さらに加減速を計測を計測する。検知した各進入車両の車種や走行状態を図7のメモリ部212の領域M30に、車毎に記憶する。ここで車の位置は基準位置からの距離であり、例えば横断歩道や交差点などの停止線108からの距離で表される。なお、以下に説明の図10では制御が複雑になるのを避けるため、車両用信号機162が「緑」信号で進入する車両は対象から外し、「黄」信号あるいは「赤」信号で進入してくる車を対象としている。
上述のように、進入車両122が無理に横断歩道106を通過しようとしたことに起因する、車と歩行者の交通事故が多い。このような事故を防止するために歩行者用信号機142や歩行者用警報機144を、単に一定時間間隔で動作させるのではなく、進入車両の状況に応じて、より適切に制御することが望ましい。しかし進入車両122に基づくだけでなく、横断歩道106を利用する歩行者の状況を踏まえてより適切に制御できればさらに交通事故低減の効果が向上する。またもし横断歩道106の利用者がいない場合、上述の交通事故の発生原因がなくなることになる。この場合、複雑な制御を避け、シンプルな制御を行う方が、車両がスムーズに流れることに繋がる。これらのことから横断歩道106の利用者である歩行者の状況を計測し、信号機の制御に利用することが有意義となる。
進入車両計測機能340の計測結果である車両毎の車両位置および車速の計測データを用い、停止余裕度を含む各種余裕度を演算処理機能410に演算する。交差点や横断歩道(以下交差点など)の進入側停止線で車両が停止できる状態かどうか、交差点の通過時に出口側横断歩道が緑信号の状態になっていないかどうか、などを判断し、歩行者用信号機142や歩行者用警報機144の制御に反映する。
図5に示す演算処理機能400に記載の運転意思の判定機能460は、図10に示すステップS3416や図12に示すステップS4108による加速運転から判断でき、進入側の停止線108で停止する意思が無く、交差点を通過すると判断される。この場合は上述のとおり、通過余裕度(MTP)の演算から横断歩道106の利用者の危険度が演算され、後述するように、危険性が高い場合は歩行者用警報機144を動作させる。また通過余裕度(MTP)の演算により、歩行者用信号機142が「緑」信号に切り替わった後通過する可能性がある場合に、「緑」信号への切り替えを遅らせる制御を行う。
図5に示す演算処理機能400に記載の緊急車両対応機能490は、図10に示すステップS3414による車種の計測や図12に示すステップS4106、ステップS4132、ステップS4134、ステップS4136により行われる。緊急車両は車両用信号機162や歩行者用信号機142の信号に関係なく走行できる車両であり、横断歩道106の利用者に注意を喚起すべき危険度の大きい状況を作り出す場合がある。図12に示すステップS4136で危険度大を設定することで、後述する歩行者用信号機142の「緑」信号への切り替えを遅らせる制御ができ、また歩行者用警報機144を動作させるなどの制御が可能となる。このことは交通事故の防止につながる効果がある。
上述のように、対象車両の走行速度が速く、停止余裕度(MTS)の速度を超えている場合、車両用信号機162の黄信号あるいは緑信号で進入した車両は、停止しないで横断歩道を通過する判断される。通過余裕度(MTP)の演算により、歩行者用信号機142が「緑」信号に切り替わる場合は、歩行者にとってたいへん危険であり、図12のフローチャートの実行により停止余裕度(MTS)や通過余裕度(MTP)の演算を行い、さらに危険度の演算を行い、図7に示すメモリ部212の領域M38に危険度を記憶する。危険が無ければ、歩行者用信号機142は予め定められた順に予め定められた時間間隔で、「赤」信号あるいは「緑」信号の切り替えが行われる。危険な状態である、車両の横断歩道の通過時点が「赤」信号から「緑」信号への切り替え間近の状態あるいは「緑」表示への切り替え後の状態であれば、歩行者用信号機142の「赤」信号から「緑」信号への切り替えのタイミングを遅らせる制御を行う。さらに歩行者に危険を知らせる意味で歩行者用警報機の警報機能800により、歩行者用警報機144を制御して、横断歩道の利用者に対して危険を知らせる警報を光あるいは音により行う。また車への警報機能900により車両用警報機164を制御し、対象車両に危険運転である旨の警報を光あるいは音声により、あるいは対象者の車両内機器であるナビゲーション装置あるいはラジオを利用して行う。
危険な運転に対して警報を発することは交通事故防止の上でたいへん有効である。またうっかりして信号を見落としている可能性があり、警報は運転者に事前に注意を喚起し事故を未然に防ぐ上で大きな効果がある。以下図面を用いて警報機能900について説明する。
図16は、図5に示す学習機能の具体的な動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、他のフローチャートの実行周期に比べ非常に長い周期で実行される。あるいはバックグランド処理の一つとして実行しても十分である。信号機の制御はその土地の環境を考慮して行うことが効率的であり、安全性向上の点でも望ましい。例えば交差点などを利用する車や人の状態が、交差点毎にことなる。このようなことから設置されている環境に応じた制御を学習し、実行することが望ましい。
Claims (7)
- 入力情報を受信すると共に横断歩道用の信号機を制御するための制御信号を送信する送受信部と、上記送受信部で受信した入力情報に基づいて上記制御信号を発生することにより上記横断歩道用の信号機を制御する演算部と、情報を記憶する記憶部とを備え、
上記送受信部を介して交差点あるいは横断歩道に近づく進入車両の走行状態を表す走行情報を上記入力情報として受信し、
上記演算部は、上記進入車両が上記横断歩道あるいは上記交差点に設けられた横断歩道を通過する前に、上記横断歩道あるいは上記交差点に設けられた横断歩道の歩行者用信号機の信号が通行許可である緑信号に替わるかどうかを演算し、上記緑信号に切り替わると判断したときに、上記歩行者用信号機の信号が通行不可である赤信号から通行許可である緑信号に替わるのを遅らせる制御を行う、ことを特徴とする交通制御装置。 - 請求項1に記載の交通制御装置において、
上記演算部はさらに、横断歩道の利用者に警報を発するための歩行者用警報機の制御信号を上記送受信部から出力することにより上記歩行者用警報機を制御し、
上記演算部は、上記横断歩道用の信号機の赤信号から緑信号への切り替え時点を遅らせる上記制御に加え、上記歩行者用警報機から警報を発する制御を行う、ことを特徴とする交通制御装置。 - 請求項1あるいは請求項2に記載の交通制御装置において、
上記演算部はさらに、進入車両に警報を発する車両用警報機の制御信号を上記送受信部から出力することにより上記車両用警報機を制御し、
上記演算部は、上記横断歩道用の信号機の赤信号から緑信号への切り替え時点を遅らせる上記制御に加え、上記車両用警報機を制御して車輛に警報を発する、ことを特徴とする交通制御装置。 - 請求項1乃至請求項3の内の一に記載の交通制御装置において、
上記演算部は、上記進入車両の走行状態を表す走行情報として車両位置と車両速度とを表す情報を受け、
上記演算部は、受け取った上記情報に基づき通過余裕度(MTP)を演算し、上記通過余裕度(MTP)の演算に基づいて、上記横断歩道あるいは上記交差点に設けられた横断歩道を通過する前に、上記横断歩道あるいは上記交差点に設けられた横断歩道の歩行者用信号機の信号が赤信号から緑信号に切り替わるかどうかを判断する、ことを特徴とする交通制御装置。 - 請求項1乃至請求項4の内の一に記載の交通制御装置において、
上記演算部は、上記進入車両の走行状態を表す走行情報として車両位置と車両速度とを表す情報を受けると共に、天候情報を受け、
上記演算部は上記天候情報に基づいて特定された特性に基づき、上記横断歩道あるいは上記交差点に設けられた横断歩道を通過する前に、上記横断歩道あるいは上記交差点に設けられた横断歩道の歩行者用信号機の信号が赤信号から緑信号に切り替わるかどうかの上記演算を行う、ことを特徴とする交通制御装置。 - 請求項5に記載の交通制御装置において、
上記演算部は、上記進入車両の走行情報に加え車種情報を上記送受信部を介して受け、上記車種情報に基づき上記横断歩道あるいは上記交差点に設けられた横断歩道を通過する前に、上記横断歩道あるいは上記交差点に設けられた横断歩道の歩行者用信号機の信号が赤信号から緑信号に切り替わるかどうかの上記演算を行う、ことを特徴とする交通制御装置。 - 請求項1乃至請求項6の内の一つに記載の交通制御装置において、
上記演算部は、上記進入車両の走行情報に基づき、横断歩道利用者の危険度を演算し、上記危険度が所定レベルを超えるときに上記歩行者用警報機から警報を発する制御を行い、
上記演算部は、さらに通学時間帯であるかを判断し、通学時間帯である場合には上記所定レベルを下げ、上記危険度が上記下げられた所定レベルを超えるときに、上記歩行者用警報機から警報を発する制御を行う、
ことを特徴とする交通制御装置。
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