JP2016002893A - 車両の走行制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】たとえ追い越しを制限する環境が存在したとしても、その状況によっては、適切に追い越し走行制御を可変設定して安全に追い越し走行が行える。【解決手段】周辺環境情報と走行情報とに基づいて、追い越し対象車両を追い越すのに必要な追い越し走行距離Lrを推定し、推定した追い越し走行距離と追い越し制限環境の位置とを比較して推定した追い越し走行距離に到達するまでに追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行を中止する方向に制御する一方、推定した追い越し走行距離と追い越し制限環境の位置とを比較して推定した追い越し走行距離の先の予め設定した領域に追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行の加速特性を向上させる追い越し対象車両に対する追い越し走行を可変制御する。【選択図】図3
Description
本発明は、特に、車線前方の車両を自動走行の技術により追い越し自在な車両の走行制御装置に関する。
近年、車両においては、ドライバの運転を、より快適に安全に行えるように自動運転の技術を利用した様々なものが開発され提案されている。例えば、特開2009−248892号公報(以下、特許文献1)では、自車両及び先行車両の走行状態に基づいて自車両による先行車両の追い越しの適否を判定し、先行車両の追い越しが適切であると判定した場合に、追い越しの準備動作を実行し、走行環境と自車両及び先行車両の走行状態とに基づいて、例えば、自車両及び先行車両が片側複数車線の道路の走行車線を走行しており、前方の所定距離範囲内に信号機や交差点等が存在せず、追い越し経路内に別の先行車両が存在せず、かつ、追い越し経路内に進入しようとする後続車両も存在しないことを認識した場合に、先行車両の追い越しが可能であると判定し、追い越しを実行する走行制御システムの技術が開示されている。
上述の特許文献1による走行制御システムの技術によれば、自車両が追い越し走行を実行しようとする走行環境(交差点、信号機の有無等)、追い越し経路上の走行車両に応じて追い越しが行われるため、安全な追い越し走行が可能になる。しかしながら、単純に、交差点の存在位置等を追い越し制限環境として追い越し制御を中止すると、追い越し制御の実行が不要に減少してしまい、追い越し制御の利便性だけでなく、走行制御システムへの信頼度が失われてしまうという問題がある。追い越し対象となる車両を追い越すためには、追い越すための車線変更、車線変更後の加速、追い越し加速後の元車線への車線変更等の複雑な走行の組み合わせで行われことから、追い越し制限環境の位置によっては、上述の追い越し走行制御を所定に可変制御することにより、適切、かつ、安全に追い越し走行が可能になる場合もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、たとえ追い越しを制限する環境が存在したとしても、その状況によっては、適切に追い越し走行制御を可変設定して安全に追い越し走行が行えるようにして利便性が高い車両の走行制御装置を提供することを目的とする。
本発明の車両の走行制御装置の一態様は、自車両が走行する周辺環境を認識する周辺環境認識手段と、自車両の走行する走行情報を検出する走行情報検出手段と、上記周辺環境情報と上記走行情報とに基づいて自車両の走行車線前方の追い越し対象とする追い越し対象車両を検出する追い越し対象車両検出手段と、上記周辺環境情報と上記走行情報とに基づいて追い越し走行を制限する追い越し制限環境の情報を取得する追い越し制限環境情報検出手段と、上記追い越し対象車両を追い越すのに必要な追い越し走行距離を推定する追い越し走行距離推定手段と、上記推定した追い越し走行距離と上記追い越し制限環境の位置とを比較して少なくとも上記推定した追い越し走行距離の先の予め設定した領域に上記追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行の加速特性を向上させる上記追い越し対象車両に対する追い越し走行を可変制御する追い越し制御手段と、上記追い越し制御手段による制御状態を報知する報知手段とを備えた。
本発明による車両の走行制御装置によれば、たとえ追い越しを制限する環境が存在したとしても、その状況によっては、適切に追い越し走行制御を可変設定して安全に追い越し走行が行えるようにして利便性が高いという効果を奏する。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1において、符号1は、車両の走行制御装置を示し、この走行制御装置1には、走行制御部10に、周辺環境認識装置11、走行パラメータ検出装置12、自車位置情報検出装置13、車車間通信装置14、道路交通情報通信装置15、スイッチ群16の各入力装置と、エンジン制御装置21、ブレーキ制御装置22、ステアリング制御装置23、表示装置24、スピーカ・ブザー25の各出力装置が接続されている。
図1において、符号1は、車両の走行制御装置を示し、この走行制御装置1には、走行制御部10に、周辺環境認識装置11、走行パラメータ検出装置12、自車位置情報検出装置13、車車間通信装置14、道路交通情報通信装置15、スイッチ群16の各入力装置と、エンジン制御装置21、ブレーキ制御装置22、ステアリング制御装置23、表示装置24、スピーカ・ブザー25の各出力装置が接続されている。
周辺環境認識装置11は、車両の外部環境を撮影して画像情報を取得する車室内に設けた固体撮像素子等を備えたカメラ装置(ステレオカメラ、単眼カメラ、カラーカメラ等:図示せず)と、車両の周辺に存在する立体物からの反射波を受信するレーダ装置(レーザレーダ、ミリ波レーダ、超音波レーダ等:図示せず)で構成されている。
周辺環境認識装置11は、カメラ装置で撮像した画像情報を基に、例えば、距離情報に対して周知のグルーピング処理を行い、グルーピング処理した距離情報を予め設定しておいた三次元的な道路形状データや立体物データ等と比較することにより、車線区画線データ、道路に沿って存在するガードレール、縁石等の側壁データ(車線形状(合流、分岐、右折レーン、カーブ、登り下り路面)・色データ)、車両等の立体物データ等を、車両の種別が予め記憶しておいた情報と比較してカラーカメラ等で特定できる場合にはその種別(本形態では、乗用車、トラック、二輪車等の種別以外にも、清掃車両、道路パトロール車両、除雪車両、スクールバス、その他救急車両、パトカー等の緊急車両)も含め、方向指示器の点滅、ハザードランプの点滅、ブレーキランプの点灯状態、自車両からの相対的な位置(距離、角度)を、速度と共に抽出する。更に、カメラからの画像情報を基に、立体物情報から信号機、交差点、踏切情報、道路標識(標識に描かれている交通規則の意味も含め)、中央分離帯、ビル等の路側構造物、橋梁、トンネル等を認識する。また、画像情報の輝度情報等を基に取得できる天候(雨天、雪、霧等)情報が抽出される。
また、周辺環境認識装置11は、レーダ装置で取得した反射波情報を基に、反射した立体物の存在する位置(距離、角度)を、速度と共に検出する。このように、周辺環境認識装置11は周辺環境認識手段として設けられている。
走行パラメータ検出装置12は、自車両の走行状態、具体的には、車速V、アクセル開度θacc、スロットル開度θth、及び走行する路面の路面勾配Ug(登り方向勾配を「+」とする)、路面摩擦係数推定値μe、燃料残量等を検出する。このように、走行パラメータ検出装置12は、走行情報検出手段として設けられている。
自車位置情報検出装置13は、例えば、公知のナビゲーションシステムであり、例えば、GPS[Global Positioning System:全地球測位システム]衛星から発信された電波を受信し、その電波情報に基づいて現在位置を検出して、フラッシュメモリや、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイ(Blu−ray;登録商標)ディスク、HDD( Hard disk drive)等に予め記憶しておいた地図データ上に自車位置を特定する。この予め記憶される地図データとしては、道路データおよび施設データを有している。
道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報(例えば、交通規則(追い越し禁止、はみ出し禁止、制限速度、特定車両のみの道路等)情報、合流、分岐、右折レーン、工事、交通規制情報、交差点、踏切、料金所、橋梁、トンネル、中央分離帯等の情報)を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種別(デパート、商店、レストラン、駐車場、公園、車両の故障時の修理拠点の別)、その他路側構造物等の情報を示すデータを有している。
そして、地図位置上の自車位置を表示して、操作者により目的地が入力されると、出発地から目的地までの経路が所定に演算され、ディスプレイ、モニタ等の表示装置24に表示され、また、スピーカ・ブザー25により音声案内して誘導自在になっている。
車車間通信装置14は、例えば、無線LANなど100[m]程度の通信エリアを有する狭域無線通信装置で構成され、サーバなどを介さずに他の車両と直接通信を行い、情報の送受信を行うことが可能となっている。そして、他の車両との相互通信により、該車両に搭載された上述の周辺環境認識装置11で認識した各種情報、走行パラメータ検出装置12で認識した各種情報、自車位置情報検出装置13で取得される各種情報、後述の道路交通情報通信装置15で取得した各種情報、スイッチ群16で操作されている各種情報の車両情報、走行情報、交通環境情報等を交換する。
道路交通情報通信装置15は、所謂、道路交通情報通信システム(VICS:Vehicle Information and Communication System:登録商標)で、FM多重放送や道路上の発信機(電波ビーコン、光ビーコン等)から、渋滞情報や所要時間情報、分岐案内、事故や故障車、工事、災害、気象条件等による規制情報(通行止、車線規制、速度規制、チェーン規制等)、駐車場の満車・空車情報、緊急地震速報等をリアルタイムに受信し、この受信した交通情報を、上述の予め記憶しておいた地図データ上に表示する装置となっている。
スイッチ群16は、ドライバの運転支援制御に係るスイッチ群で、例えば、速度を予め設定しておいた一定速で走行制御させるスイッチ、或いは、先行車との車間距離、車間時間を予め設定しておいた一定値に維持して追従制御させるためのスイッチ、走行車線を設定車線に維持して走行制御するレーンキープ制御のスイッチ、走行車線からの逸脱防止制御を行う車線逸脱防止制御のスイッチ、先行車(追い越し対象車両)の追い越し制御を実行させる追い越し制御実行許可スイッチ、これら各制御に必要な車速、車間距離、車間時間、制限速度等を設定するスイッチ、或いは、これら各制御を解除するスイッチを含む。また、車両が複数の駆動力特性を有し、ドライバが選択自在な場合は、選択されている駆動力特性(例えば、アクセル操作に対する駆動力特性を重視するモード、通常のモード、駆動力よりも燃費を重視するモード等)の選択スイッチも含む。更に、ワイパースイッチ、フォグランプスイッチ、方向指示器のスイッチ、ハザードランプのスイッチ等を含んでいる。
以上の周辺環境認識装置11、走行パラメータ検出装置12、自車位置情報検出装置13、車車間通信装置14、道路交通情報通信装置15、スイッチ群16からの情報より、追い越し制限情報として、具体的には、以下のような情報を取得する。
追い越し禁止、はみ出し走行禁止、現在の車速以下の制限速度情報、特定車両のみ走行可能な車線情報、道路の合流、分岐、右折レーン、工事・災害・走行・速度・車線等の規制情報、交差点、踏切、橋梁、トンネル、料金所、清掃車両、道路パトロール車両、除雪車両、スクールバス、その他救急車両、パトカー等の緊急車両の存在、故障車両の存在、緊急地震速報、駆動力よりも燃費を重視するモードの選択、燃料残量が設定値以下に低下した情報等。
また、自車両前方の視界、視程情報として、具体的には、天候に応じて予め設定しておいた視界・視程情報、車線の登り下り情報により算出される視程情報、車線のカーブ(設定値以下の半径のカーブ深さ)により算出される視程情報、路側構造物により妨害される視程距離情報、(天候、路面状態により、状態が急変することの多い)トンネル出口までの距離、実際にカメラ等により検出できる距離を視程とした視程情報、VICS等から送信される視界・視程情報、車車間通信で受信した視界・視程情報等を得る。
このように、周辺環境認識装置11、走行パラメータ検出装置12、自車位置情報検出装置13、車車間通信装置14、道路交通情報通信装置15、スイッチ群16は、追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段を構成している。
エンジン制御装置21は、例えば、吸入空気量、スロットル開度θth、エンジン水温、吸気温度、酸素濃度、クランク角、アクセル開度θacc、その他の車両情報に基づき、車両のエンジン(図示せず)についての燃料噴射制御、点火時期制御、電子制御スロットル弁の制御等の主要な制御を行う公知の制御ユニットである。そして、このエンジン制御装置21には、走行制御部10から目標加速度(d2X/dt2)tや目標速度V2の入力、また、アクセル開度θaccに対するスロットル開度θthの特性の変更指示が入力される。
ブレーキ制御装置22は、例えば、ブレーキスイッチ、4輪の車輪速、ハンドル角、ヨーレート、その他の車両情報に基づき、4輪のブレーキ装置(図示せず)をドライバのブレーキ操作とは独立して制御可能で、公知のアンチロック・ブレーキ・システム(Antilock Brake System)や横すべり防止制御等を行う公知の制御ユニットである。そして、ブレーキ制御装置22は、走行制御部10から、減速指示等の出力がなされた場合には、その減速指示値に応じたブレーキ制御を実行する。
ステアリング制御装置23は、例えば、車速V、操舵トルク、ハンドル角、ヨーレート、その他の車両情報に基づき、車両の操舵系に設けた電動パワーステアリングモータ(図示せず)によるアシストトルクを制御する、公知の制御装置である。また、ステアリング制御装置23は、上述の走行車線を設定車線に維持して走行制御するレーンキープ制御、走行車線からの逸脱防止制御を行う車線逸脱防止制御が可能となっており、これらレーンキープ制御、車線逸脱防止制御に必要な操舵角、或いは、操舵トルクを算出して制御自在に構成されている。更に、ステアリング制御装置23には、走行制御部10から、追い越し走行制御の際に、追い越し対象車両を追い越す場合、或いは、元車線に戻る場合に、必要な目標ハンドル角θHtが入力され制御される。このように、ステアリング制御装置23は、操舵制御手段として設けられている。
表示装置24は、例えば、モニタ、ディスプレイ、アラームランプ等のドライバに対して視覚的な警告、報知を行う装置である。スピーカ・ブザー25は、ドライバに対して聴覚的な警告、報知を行う装置で、これら表示装置24、スピーカ・ブザー25は、報知手段として設けられている。
そして、走行制御部10は、上述の各装置11〜16からの各入力信号に基づいて、自車両の走行車線前方の追い越し対象とする追い越し対象車両を検出し、追い越し対象車両を追い越すのに必要な追い越し走行距離を推定し、推定した追い越し走行距離と追い越し制限環境の位置とを比較して推定した追い越し走行距離に到達するまでに追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行を中止する方向に制御する一方、推定した追い越し走行距離と追い越し制限環境の位置とを比較して推定した追い越し走行距離の先の予め設定した領域に追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行の加速特性を向上させる追い越し対象車両に対する追い越し走行を可変制御する。また、自車両前方の視界、視程が推定した追い越し走行距離以下の場合で、かつ、自車両前方の視界、視程が自車両から追い越し対象車両までの距離以上の場合で、かつ、自車両前方に対向障害物が存在しない場合には追い越し対象車両に対する追い越し走行制御を抑制させる。
本実施の形態の走行制御部10では、追い越し走行制御を、図2のフローチャート、及び、図6に示すように、追い越し開始車線変更フェイズP1、追い越し加速前半フェイズP2、追い越し加速後半フェイズP3、元車線への車線変更フェイズP4の4つのフェイズで実行するようになっており、以下、各フェイズ毎の走行制御を説明する。
図2は、追い越し走行制御全般のプログラムを示すフローチャートで、まず、ステップ(以下、「S」と略称)101で、追い越し開始車線変更フェイズP1を実行する。尚、走行制御部10が追い越し開始車線変更フェイズP1を実行している間、追い越し開始車線変更フェイズ実行フラグFp1がセット(Fp1=1)される。
本実施の形態では、自車両が車線変更する際の車両軌跡を、その一例として、走行距離をx方向とし、横移動量(車線変更幅)をy方向とする2次元座標上において、ジャーク(∫d3y/dx3)最小軌跡の正規化多項式で求めるものとする。
この場合、y(0)=0、y(1)=1、dy(0)/dx=d2y(0)/dx2=0、dy(1)/dx=d2y (1)/dx2=0を満足するものとして、以下の(1)式が得られる。
y=6・x5−15・x4+10・x3 ・・・(1)
この(1)式を微分処理し、以下の(2)、(3)、(4)式を得る。
この(1)式を微分処理し、以下の(2)、(3)、(4)式を得る。
dy/dx=30・(x4−2・x3+x2)・・・(2)
d2y/dx2=60・(2・x3−3・x2+x)・・・(3)
d3y/dx3=60・(6・x2−6・x+1)・・・(4)
そして、上述の(4)式により、d3y/dx3=0となるときのxを逆算すると、以下の(5)式が得られる。
d2y/dx2=60・(2・x3−3・x2+x)・・・(3)
d3y/dx3=60・(6・x2−6・x+1)・・・(4)
そして、上述の(4)式により、d3y/dx3=0となるときのxを逆算すると、以下の(5)式が得られる。
x(d3y/dx3=0)=(3±31/2)/6・・・(5)
このxの値から、(3)式により、d2y/dx2を算出して、この値を横加速度の最大値の絶対値|(d2y/dx2)max|とすると、以下の(6)の値を得る。
このxの値から、(3)式により、d2y/dx2を算出して、この値を横加速度の最大値の絶対値|(d2y/dx2)max|とすると、以下の(6)の値を得る。
|(d2y/dx2)max|=10・31/2/3≒5.77・・・(6)
また、上述の横加速度の最大値(d2y/dx2)maxを用いて、車線変更時の最大横加速度(d2Y/dt2)max_c(予め設定する値)を表現すると、車線変更に要する走行距離をLとし、車線変更幅をWとして以下の(7)式となる。
また、上述の横加速度の最大値(d2y/dx2)maxを用いて、車線変更時の最大横加速度(d2Y/dt2)max_c(予め設定する値)を表現すると、車線変更に要する走行距離をLとし、車線変更幅をWとして以下の(7)式となる。
(d2y/dx2)max・W/(L/V)2=(d2Y/dt2)max_c
・・・(7)
この(7)式を走行距離Lについて解くと、以下の(8)式が得られる。
・・・(7)
この(7)式を走行距離Lについて解くと、以下の(8)式が得られる。
L=(5.77・W・V2/(d2Y/dt2)max_c)1/2
・・・(8)
この(8)式により、追い越し開始車線変更フェイズP1に必要な距離L1は、そのときの車速VをV1として、以下の(9)式であることが解る。
・・・(8)
この(8)式により、追い越し開始車線変更フェイズP1に必要な距離L1は、そのときの車速VをV1として、以下の(9)式であることが解る。
L1=(5.77・W・V12/(d2Y/dt2)max_c)1/2
・・・(9)
また、推定される自車両のx方向の正規化した走行距離をxeとすると、
xe=(∫V・dt)/L ・・・(10)
となる。目標ヨーレートγtと車速Vと横加速度(d2y/dx2)の関係は、以下の(11)式で表されるため、目標ヨーレートγtは、前述の(3)式を用いて、以下の(12)式となる。
・・・(9)
また、推定される自車両のx方向の正規化した走行距離をxeとすると、
xe=(∫V・dt)/L ・・・(10)
となる。目標ヨーレートγtと車速Vと横加速度(d2y/dx2)の関係は、以下の(11)式で表されるため、目標ヨーレートγtは、前述の(3)式を用いて、以下の(12)式となる。
γt・V=(d2y/dx2)・W/(L/V)2・・・(11)
γt=60・(2・xe3−3・xe2+xe)・W・V/L2
・・・(12)
この目標ヨーレートγtを以下の目標ハンドル角θHtの関係式((13)式)に代入することにより、制御に必要な(ステアリング制御装置23に出力される)目標ハンドル角θHtが求められる。
γt=60・(2・xe3−3・xe2+xe)・W・V/L2
・・・(12)
この目標ヨーレートγtを以下の目標ハンドル角θHtの関係式((13)式)に代入することにより、制御に必要な(ステアリング制御装置23に出力される)目標ハンドル角θHtが求められる。
θHt=γt・n/Gγ ・・・(13)
ここで、nはステアリングギヤ比であり、Gγはヨーレートゲインであり、ヨーレートゲインGγは、例えば、以下の(14)式により算出できる。
ここで、nはステアリングギヤ比であり、Gγはヨーレートゲインであり、ヨーレートゲインGγは、例えば、以下の(14)式により算出できる。
Gγ=(1/(1+A・V2))・(V/l)・・・(14)
ここで、Aは車両固有のスタビリティファクタ、lはホイールベースである。
ここで、Aは車両固有のスタビリティファクタ、lはホイールベースである。
このように、S101の追い越し開始車線変更フェイズP1では、上述の(13)式で目標ハンドル角θHtが算出されて自動操舵制御され、上述の(9)式の距離L1の走行が行われる。尚、目標ハンドル角θHtを算出するために必要な車速V、距離Lは、それぞれV1、L1が用いられる。
また、本実施の形態では、自車両が車線変更する際の車両軌跡を、ジャーク最小軌跡の正規化多項式で求める例の一例で示したが、これに限るものでは無く、他の、曲線の関数等で近似するようにしても良い。
S101で追い越し開始車線変更フェイズP1を終えて、車線変更を終了した後は、S102で、図7の追い越し加速前半フェイズP2が実行される。尚、走行制御部10が追い越し加速前半フェイズP2を実行している間、追い越し加速前半フェイズ実行フラグFp2がセット(Fp2=1)される。
この追い越し加速前半フェイズP2は、追い越し車線で追い越し対象車両まで追いつき略並走するまで加速する走行制御であり、追い越し加速前半フェイズP2での走行距離L2は、例えば、以下の(15)式により算出できる。
L2=(1/(2・(d2X/dt2)t))・(V22−V12)
・・・(15)
ここで、V2は、追い越し加速後の目標車速で、例えば、追い越し対象車両の車速Vfに予め設定しておいた所定速度(すなわち、追い越し時の(目標)相対速度)ΔVを加算した値(Vf+ΔV)と、制限速度Vlim(予め設定しておいた制限速度、或いは、前述の各入力信号で認識した道路の制限速度)の小さい方の値である。
・・・(15)
ここで、V2は、追い越し加速後の目標車速で、例えば、追い越し対象車両の車速Vfに予め設定しておいた所定速度(すなわち、追い越し時の(目標)相対速度)ΔVを加算した値(Vf+ΔV)と、制限速度Vlim(予め設定しておいた制限速度、或いは、前述の各入力信号で認識した道路の制限速度)の小さい方の値である。
また、(d2X/dt2)tは、目標追い越し加速度で、例えば、以下の(16)式で設定する。
(d2X/dt2)t=min((d2x/dt2)0−Kg・Ug,μe・g)
・・・(16)
ここで、minは、((d2X/dt2)0−Kg・Ug)と(μe・g)の小さい方を選択するミニマム関数、(d2X/dt2)0は、予め設定しておいた追い越し加速度の基準値、Kgは路面勾配係数、gは重力加速度を示す。
・・・(16)
ここで、minは、((d2X/dt2)0−Kg・Ug)と(μe・g)の小さい方を選択するミニマム関数、(d2X/dt2)0は、予め設定しておいた追い越し加速度の基準値、Kgは路面勾配係数、gは重力加速度を示す。
S102で追い越し加速前半フェイズP2を終えると、S103に進んで、図7の追い越し加速後半フェイズP3が実行される。尚、走行制御部10が追い越し加速後半フェイズP3を実行している間、追い越し加速後半フェイズ実行フラグFp3がセット(Fp3=1)される。
この追い越し加速後半フェイズP3は、追い越し車線で追い越し対象車両と略並走してから元車線に車線変更するために加速する走行制御であり、追い越し加速後半フェイズP3での走行距離L3は、例えば、以下の(17)式により算出できる。
L3=(Lp−(1/(2・(d2X/dt2)t))・(V2−V1)2)
・V2/(V2−V1)・・・(17)
ここで、Lpは、追い越し対象車両との車間距離に追い越し後の目標とする車間距離を加算した値である。
・V2/(V2−V1)・・・(17)
ここで、Lpは、追い越し対象車両との車間距離に追い越し後の目標とする車間距離を加算した値である。
S103で追い越し加速後半フェイズP3を終えると、S104に進んで、図7の元車線への車線変更フェイズP4が実行される。尚、走行制御部10が元車線への車線変更フェイズP4を実行している間、元車線への車線変更フェイズ実行フラグFp4がセット(Fp4=1)される。
この元車線への車線変更フェイズP4は、追い越し車線で追い越し対象車両を追い越した後、元車線に車線変更するまで実行される制御となっている。そして、この元車線への車線変更フェイズP4での走行距離L4は、例えば、ジャーク最小軌跡の正規化多項式で求めると、前述の(8)式により、以下の(18)式により算出される。
L4=(5.77・W・V22/(d2Y/dt2)max_c)1/2
・・・(18)
また、制御に必要な(ステアリング制御装置23に出力される)目標ハンドル角θHtは、前述の(13)式に基づいて、車速V、距離Lは、それぞれV4、L4として算出される。従って、本実施の形態の走行制御部10で実行される追い越し制御による走行距離Lrは、L1+L2+L3+L4となる。また、追い越し開始車線変更フェイズP1が終了した時に算出される走行距離Lrは、L2+L3+L4となり、追い越し加速前半フェイズP2が終了した時に算出される走行距離Lrは、L3+L4となり、追い越し加速後半フェイズP3が終了した時に算出される走行距離Lrは、L4となる。
・・・(18)
また、制御に必要な(ステアリング制御装置23に出力される)目標ハンドル角θHtは、前述の(13)式に基づいて、車速V、距離Lは、それぞれV4、L4として算出される。従って、本実施の形態の走行制御部10で実行される追い越し制御による走行距離Lrは、L1+L2+L3+L4となる。また、追い越し開始車線変更フェイズP1が終了した時に算出される走行距離Lrは、L2+L3+L4となり、追い越し加速前半フェイズP2が終了した時に算出される走行距離Lrは、L3+L4となり、追い越し加速後半フェイズP3が終了した時に算出される走行距離Lrは、L4となる。
そして、走行制御部10は、追い越し対象車両の追い越し制御を開始した場合(追い越し開始車線変更フェイズP1の場合)、或いは、車線変更を行った場合(追い越し加速前半フェイズP2の場合)、推定した追い越し走行距離Lrと追い越し制限環境の位置とを比較して推定した追い越し走行距離Lrに到達するまでに追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行を中止する方向に制御する。一方、推定した追い越し走行距離Lrと追い越し制限環境の位置とを比較して推定した追い越し走行距離Lrの先の予め設定した領域ΔLrcに追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行の加速特性を向上させる追い越し対象車両に対する追い越し走行を可変制御する。
追い越し開始車線変更フェイズP1、或いは、追い越し加速前半フェイズP2で実行される、追い越し開始車線変更および追い越し加速前半における走行制御を、図3のフローチャート、及び、図7、図8を基に説明する。
まず、S201では、追い越し開始車線変更フェイズP1か否か(Fp1=1か否か)判定する。この判定の結果、追い越し開始車線変更フェイズP1の場合(Fp1=1の場合)はS203にジャンプし、追い越し開始車線変更フェイズP1ではない場合(Fp1=0の場合)はS202に進み、追い越し加速前半フェイズP2か否か(Fp2=1か否か)判定する。
この判定の結果、追い越し加速前半フェイズP2の場合(Fp2=1の場合)はS203に進み、追い越し加速前半フェイズP2ではない場合(Fp2=0の場合:すなわち、追い越し開始車線変更フェイズP1、追い越し加速前半フェイズP2の何れでもない場合)はルーチンを抜ける。
追い越し開始車線変更フェイズP1の場合、或いは、追い越し加速前半フェイズP2の場合と判定されてS203に進むと、追い越し制御による走行距離Lrが推定される。このとき、開始車線変更フェイズP1が終了した時に算出される走行距離Lrは、L2+L3+L4となり、追い越し加速前半フェイズP2が終了した時に算出される走行距離Lrは、L3+L4で算出される。
次いで、S204に進むと、S203で推定した走行距離Lr未満の位置に追い越し制限環境が存在するか否か判定される。
S204の判定の結果、S203で推定した走行距離Lr未満の位置に追い越し制限環境が存在すると判定されると(図7の「はみ出し通行禁止線」の位置の例を参照)、S205に進み、追い越し制限環境が前方にあり、追い越しができないことをドライバに報知するべく、表示装置24のディスプレイ、モニタ、アラームランプにより視覚的警報、或いは、スピーカ・ブザー25による聴覚的警報、或いは、ステアリング制御装置23によるステアリングの加振を行って警報する。また、ステアリング制御装置23がレーンキープ制御機能を有している場合は、走行車線に沿って走行することを維持するべく(追い越し制御による車線変更が作動しないように)レーンキープ制御を作動させる。更に、追い越し制御を行おうとする自動操舵(車線変更)を中止させる。
次いで、S206に進み、追い越し走行制御のために設定する加速制御を中止させる。具体的には、目標加速度を0に強制的に設定する。
次に、S207に進み、車線変更のための自車両の加速に対してドライバに報知するべく、表示装置24のディスプレイ、モニタ、アラームランプにより視覚的警報、或いは、スピーカ・ブザー25による聴覚的警報を行う。そして、エンジン制御装置21に対しては、例えば、図11に示すように、通常よりも加速特性を制限したアクセル開度θacc−スロットル開度θthの特性マップを設定させる。
そして、S208に進み、ブレーキ制御装置22に対して信号を出力し、例えば、予め設定しておいた減速度になるように自動ブレーキを発生させる。この際、図示しないストップランプも点灯させる。
尚、本実施の形態では、S205で車線変更を警報した後、自動操舵を中止し、S206で加速制御を中止し、S207で自車両の加速を警報し、自車両の加速を制限し、S208で減速制御を実行するようになっているが、これらの処理は、何れか一つ、或いは、何れか組み合わせて行うようにしても良い。
一方、前述のS204で、S203で推定した走行距離Lr以遠の位置に追い越し制限環境が存在すると判定された場合は、S209に進み、推定した走行距離Lrのすぐ先の予め設定しておいた領域ΔLrc(すなわち、Lr+ΔLrc)に、追い越し制限環境が存在するか否か判定される。
そして、Lr+ΔLrcに、追い越し制限環境が存在すると判定された場合は(図8の「はみ出し通行禁止線」の位置の例を参照)、S210に進み、エンジン制御装置21に対して、例えば、図12に示すように、通常よりも加速特性が向上するアクセル開度θacc−スロットル開度θthの特性マップを設定させ、速やかに追い越し走行を行えるようにしてルーチンを抜ける。また、Lr+ΔLrcに追い越し制限環境が存在しないと判定された場合は、そのままルーチンを抜け、通常の追い越し走行制御を続行させる。
また、走行制御部10は、追い越し対象車両と元車線後続車両とを監視し、追い越し対象車両を追い越すために自車両が車線変更を行って、追い越し加速前半フェイズP2、或いは、追い越し加速後半フェイズP3の場合に、追い越し対象車両に対する加速制御を略中止した場合に、元車線後続車両が自車両を追い越して該元車線後続車両の後方に自車両との間に予め設定しておいた距離が確保できる際は、元車線後続車両の後方の元車線への復帰自在であると共に、元車線後続車両が自車両よりも予め設定した距離よりも後方で、自車両との相対速度も離間方向になった際は、元車線後続車両の前方の元車線への復帰自在となっている。
追い越し加速前半フェイズP2、或いは、追い越し加速後半フェイズP3で実行される、追い越し加速前半、後半における元車線後続車両監視下の走行制御を、図4のフローチャート、及び、図9(a)、図9(b)を基に説明する。
まず、S301では、追い越し加速前半フェイズP2か否か(Fp2=1か否か)判定する。この判定の結果、追い越し加速前半フェイズP2の場合(Fp2=1の場合)はS303にジャンプし、追い越し加速前半フェイズP2ではない場合(Fp2=0の場合)はS302に進み、追い越し加速後半フェイズP3か否か(Fp3=1か否か)判定する。
この判定の結果、追い越し加速後半フェイズP3の場合(Fp3=1の場合)はS303に進み、追い越し加速後半フェイズP3ではない場合(Fp3=0の場合:すなわち、追い越し加速前半フェイズP2、追い越し加速後半フェイズP3の何れでもない場合)はルーチンを抜ける。
追い越し加速前半フェイズP2の場合、或いは、追い越し加速後半フェイズP3の場合と判定されてS303に進むと、追い越し加速が中止されているか否か判定され、追い越し加速が中止されていない場合にはルーチンを抜け、追い越し加速が中止されている場合は、S304に進む。
S303で追い越し加速が中止されていると判定されてS304に進むと、元車線後続車両が自車両前方に存在するか否か判定される。
そして、この判定の結果、元車線後続車両が自車両前方に存在しない場合には、S305に進み、元車線後続車両が自車両を追い越さず、後方で自車両との車間距離が離間方向か否か、すなわち、VR_D1≦VR_sf(VR_sfは自車両に対する相対速度の離間判定閾値)か否か判定される。
このS305の判定の結果、VR_D1≦VR_sfであり、元車線後続車両は、自車両を追い越さず、後方で自車両との車間距離が離間方向と判定できる場合は、S306に進み、逆に、VR_D1>VR_sfであり、元車線後続車両が自車両を追い越す可能性があると判定できる場合は、そのままルーチンを抜ける。
S305の判定の結果、VR_D1≦VR_sfと判定してS306に進むと、自車両と元車線後続車両との間の車間距離LD1は、自車両が復帰するのに十分な車間距離(LD1c2)か(LD1≧LD1c2か)否か判定され、LD1≧LD1c2の場合には、S307に進む。逆に、LD1<LD1c2で、自車両が復帰するのに十分な車間距離(LD1c2)が無いと判定した場合は、そのままルーチンを抜ける。
S306で、自車両が復帰するのに十分な車間距離(LD1c2)があると判定されてS307に進むと、図9(b)に示すような走行軌跡で、元車線に復帰することが可能であることをドライバに報知するべく、表示装置24のディスプレイ、モニタ、アラームランプにより視覚的警報、或いは、スピーカ・ブザー25による聴覚的警報を行う。
次いで、S308に進み、例えば、前述の(13)式を利用し、そのときの車速等を基に、目標ハンドル角θHtを算出する。
次に、S309に進んで、目標ハンドル角θHtをステアリング制御装置23に出力してルーチンを抜ける。
一方、前述のS304で、元車線後続車両が自車両前方に存在すると判定された場合は、S310に進み、自車両と元車線後続車両との間の車間距離LD1は、自車両が復帰するのに十分な車間距離(LD1c1)か(LD1≧LD1c1か)否か判定され、LD1≧LD1c1の場合には、S307に進む。逆に、LD1<LD1c1で、自車両が復帰するのに十分な車間距離(LD1c1)が無いと判定した場合は、そのままルーチンを抜ける。
S310で、自車両が復帰するのに十分な車間距離(LD1c1)があると判定されてS307に進むと、図9(a)に示すような走行軌跡で、元車線に復帰することが可能であることをドライバに報知するべく、表示装置24のディスプレイ、モニタ、アラームランプにより視覚的警報、或いは、スピーカ・ブザー25による聴覚的警報を行う。
次いで、S308に進み、例えば、前述の(13)式を利用し、そのときの車速等を基に、目標ハンドル角θHtを算出する。
次に、S309に進んで、目標ハンドル角θHtをステアリング制御装置23に出力してルーチンを抜ける。
尚、本実施の形態では、S307で元車線への車線変更が可能であることを報知した後、S308で目標ハンドル角θHtを算出し、S309で自動操舵を実行するようになっているが、これらの処理は、何れか一つ、或いは、何れか組み合わせて行うようにしても良い。
また、走行制御部10は、自車両の前方の視界、視程Lvを監視し、追い越し加速前半フェイズP2、或いは、追い越し加速後半フェイズP3の場合に、自車両前方の視界、視程Lvが推定した追い越し走行距離Lr以下の場合で、かつ、自車両前方の視界、視程Lvが自車両から追い越し対象車両までの距離Lf以上の場合で、かつ、自車両前方に対向障害物が存在しない場合には追い越し対象車両に対する追い越し走行制御を抑制させる。
以下、この追い越し加速前半フェイズP2、或いは、追い越し加速後半フェイズP3で実行される、追い越し加速前半、後半における前方視界・視程を考慮した走行制御を図5のフローチャート、図10で説明する。
まず、S401では、追い越し加速前半フェイズP2か否か(Fp2=1か否か)判定する。この判定の結果、追い越し加速前半フェイズP2の場合(Fp2=1の場合)はS403にジャンプし、追い越し加速前半フェイズP2ではない場合(Fp2=0の場合)はS402に進み、追い越し加速後半フェイズP3か否か(Fp3=1か否か)判定する。
この判定の結果、追い越し加速後半フェイズP3の場合(Fp3=1の場合)はS403に進み、追い越し加速後半フェイズP3ではない場合(Fp3=0の場合:すなわち、追い越し加速前半フェイズP2、追い越し加速後半フェイズP3の何れでもない場合)はルーチンを抜ける。
追い越し加速前半フェイズP2の場合、或いは、追い越し加速後半フェイズP3の場合でS403に進むと、追い越し制御による走行距離Lrが推定される。このとき、開始車線変更フェイズP1が終了した時に算出される走行距離Lrは、L2+L3+L4となり、追い越し加速前半フェイズP2が終了した時に算出される走行距離Lrは、L3+L4となり、追い越し加速後半フェイズP3が終了した時に算出される走行距離Lrは、L4となる。
次いで、S404に進み、前述の如く、例えば、天候に応じて予め設定しておいた視界・視程情報、車線の登り下り情報により算出される視程情報、車線のカーブ(設定値以下の半径のカーブ深さ)により算出される視程情報、路側構造物により妨害される視程距離情報、(天候、路面状態により、状態が急変することの多い)トンネル出口までの距離、実際にカメラ等により検出できる距離を視程とした視程情報、VICS等から送信される視界・視程情報、車車間通信で受信した視界・視程情報等を基に、前方視界・視程Lvを検出する。
そして、推定される走行距離Lrと前方視界・視程Lvとを比較して、推定される走行距離Lrが前方視界・視程Lvよりも短い距離である場合(Lr<Lvの場合)は、ルーチンを抜け、推定される走行距離Lrが前方視界・視程Lv以上の距離である場合(Lr≧Lvの場合)は、S406に進む。
S406では、自車両から追い越し対象車両までの距離Lfと前方視界・視程Lvとを比較して、自車両から追い越し対象車両までの距離Lfが前方視界・視程Lvよりも遠方の場合(Lf>Lvの場合)は、ルーチンを抜け、自車両から追い越し対象車両までの距離Lfが前方視界・視程Lv以下の場合(Lf≦Lvの場合)は(図10参照)、S407に進む。
S407では、対向車等の対向障害物が無いか判定され、対向車等の対向障害物が存在する場合は、ルーチンを抜け、対向車等の対向障害物が存在しない場合は、S408に進み、注意して追い越し走行を行うように、自車両の加速に対してドライバに報知するべく、表示装置24のディスプレイ、モニタ、アラームランプにより視覚的警報、或いは、スピーカ・ブザー25による聴覚的警報を行う。そして、エンジン制御装置21に対しては、例えば、図11に示すように、通常よりも加速特性を制限したアクセル開度θacc−スロットル開度θthの特性マップを設定させてルーチンを抜ける。
尚、S408での加速報知制御と、加速制限制御は、どちらかのみを行うものであっても良い。
以上のように、走行制御部10は、周辺環境認識手段、追い越し対象車両検出手段、追い越し制限環境情報検出手段、追い越し走行距離推定手段、追い越し制御手段、視程検出手段、元車線後続車両検出手段としての機能を備えて構成されている。
このように、本実施の形態によれば、周辺環境情報と走行情報とに基づいて、自車両の走行車線前方の追い越し対象とする追い越し対象車両を検出し、追い越し対象車両を追い越すのに必要な追い越し走行距離を推定し、推定した追い越し走行距離と追い越し制限環境の位置とを比較して推定した追い越し走行距離に到達するまでに追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行を中止する方向に制御する一方、推定した追い越し走行距離と追い越し制限環境の位置とを比較して推定した追い越し走行距離の先の予め設定した領域に追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行の加速特性を向上させる追い越し対象車両に対する追い越し走行を可変制御する。また、自車両前方の視界、視程が推定した追い越し走行距離以下の場合で、かつ、自車両前方の視界、視程が自車両から追い越し対象車両までの距離以上の場合で、かつ、自車両前方に対向障害物が存在しない場合には追い越し対象車両に対する追い越し走行制御を抑制させる。具体的には、追い越し対象車両の追い越し制御を開始した場合(追い越し開始車線変更フェイズP1の場合)、或いは、車線変更を行った場合(追い越し加速前半フェイズP2の場合)、推定した追い越し走行距離Lrと追い越し制限環境の位置とを比較して推定した追い越し走行距離Lrに到達するまでに追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行を中止する方向に制御する。一方、推定した追い越し走行距離Lrと追い越し制限環境の位置とを比較して推定した追い越し走行距離Lrの先の予め設定した領域ΔLrcに追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行の加速特性を向上させる追い越し対象車両に対する追い越し走行を可変制御する。また、追い越し対象車両と元車線後続車両とを監視し、追い越し対象車両を追い越すために自車両が車線変更を行って、追い越し加速前半フェイズP2、或いは、追い越し加速後半フェイズP3の場合に、追い越し対象車両に対する加速制御を略中止した場合に、元車線後続車両が自車両を追い越して該元車線後続車両の後方に自車両との間に予め設定しておいた距離が確保できる際は、元車線後続車両の後方の元車線への復帰自在であると共に、元車線後続車両が自車両よりも予め設定した距離よりも後方で、自車両との相対速度も離間方向になった際は、元車線後続車両の前方の元車線への復帰自在となっている。更に、自車両の前方の視界、視程Lvを監視し、追い越し加速前半フェイズP2、或いは、追い越し加速後半フェイズP3の場合に、自車両前方の視界、視程Lvが推定した追い越し走行距離Lr以下の場合で、かつ、自車両前方の視界、視程Lvが自車両から追い越し対象車両までの距離Lf以上の場合で、かつ、自車両前方に対向障害物が存在しない場合には追い越し対象車両に対する追い越し走行制御を抑制させる。このため、たとえ追い越しを制限する環境が存在したとしても、その状況によっては、適切に追い越し走行制御を可変設定して安全に追い越し走行が行えるようにして利便性が高いという効果を奏する。
1 走行制御装置
10 走行制御部(周辺環境認識手段、追い越し対象車両検出手段、追い越し制限環境情報検出手段、追い越し走行距離推定手段、追い越し制御手段、視程検出手段、元車線後続車両検出手段)
11 周辺環境認識装置(周辺環境認識手段、追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
12 走行パラメータ検出装置(走行情報検出手段、追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
13 自車位置情報検出装置(追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
14 車車間通信装置(追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
15 道路交通情報通信装置(追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
16 スイッチ群(追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
21 エンジン制御装置
22 ブレーキ制御装置
23 ステアリング制御装置(操舵制御手段)
24 表示装置(報知手段)
25 スピーカ・ブザー(報知手段)
10 走行制御部(周辺環境認識手段、追い越し対象車両検出手段、追い越し制限環境情報検出手段、追い越し走行距離推定手段、追い越し制御手段、視程検出手段、元車線後続車両検出手段)
11 周辺環境認識装置(周辺環境認識手段、追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
12 走行パラメータ検出装置(走行情報検出手段、追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
13 自車位置情報検出装置(追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
14 車車間通信装置(追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
15 道路交通情報通信装置(追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
16 スイッチ群(追い越し制限環境情報検出手段、視程検出手段)
21 エンジン制御装置
22 ブレーキ制御装置
23 ステアリング制御装置(操舵制御手段)
24 表示装置(報知手段)
25 スピーカ・ブザー(報知手段)
Claims (5)
- 自車両が走行する周辺環境を認識する周辺環境認識手段と、
自車両の走行する走行情報を検出する走行情報検出手段と、
上記周辺環境情報と上記走行情報とに基づいて自車両の走行車線前方の追い越し対象とする追い越し対象車両を検出する追い越し対象車両検出手段と、
上記周辺環境情報と上記走行情報とに基づいて追い越し走行を制限する追い越し制限環境の情報を取得する追い越し制限環境情報検出手段と、
上記追い越し対象車両を追い越すのに必要な追い越し走行距離を推定する追い越し走行距離推定手段と、
上記推定した追い越し走行距離と上記追い越し制限環境の位置とを比較して少なくとも上記推定した追い越し走行距離の先の予め設定した領域に上記追い越し走行の制限環境が存在する場合は、追い越し走行の加速特性を向上させる上記追い越し対象車両に対する追い越し走行を可変制御する追い越し制御手段と、
上記追い越し制御手段による制御状態を報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする車両の走行制御装置。 - 上記追い越し制御手段は、上記推定した追い越し走行距離と上記追い越し制限環境の位置とを比較して上記推定した追い越し走行距離に到達するまでに上記追い越し走行の制限環境が存在する場合は、上記追い越し走行を中止する方向に制御することを特徴とする請求項1記載の車両の走行制御装置。
- 自車両前方の視界、視程を検出する視程検出手段を有し、
上記追い越し制御手段は、上記自車両前方の視界、視程が上記推定した追い越し走行距離以下の場合で、かつ、上記自車両前方の視界、視程が自車両から上記追い越し対象車両までの距離以上の場合で、かつ、自車両前方に対向障害物が存在しない場合には上記追い越し対象車両に対する追い越し走行制御を抑制させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両の走行制御装置。 - 上記周辺環境情報に基づいて自車両の走行車線後方の後続車両を元車線後続車両として検出する元車線後続車両検出手段を有し、
上記追い越し制御手段は、上記追い越し対象車両を追い越すために自車両が車線変更を行って上記追い越し対象車両に対する加速制御を略中止した場合に、
上記元車線後続車両が自車両を追い越して該元車線後続車両の後方に自車両との間に予め設定しておいた距離が確保できる際は、上記元車線後続車両の後方の元車線への操舵制御手段による復帰制御を実行自在であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の車両の走行制御装置。 - 上記周辺環境情報に基づいて自車両の走行車線後方の後続車両を元車線後続車両として検出する元車線後続車両検出手段を有し、
上記追い越し制御手段は、上記追い越し対象車両を追い越すために自車両が車線変更を行って上記追い越し対象車両に対する加速制御を略中止した場合に、
上記元車線後続車両が自車両よりも予め設定した距離よりも後方で、自車両との相対速度も離間方向になった際は、上記元車線後続車両の前方の元車線への操舵制御手段による復帰制御を実行自在であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の車両の走行制御装置。
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