JP2013110280A - 薄型電磁波シールド材 - Google Patents

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Abstract

【課題】筐体への自己粘着性を有する、厚さが1mm以下の薄型電磁波シールド材を提供する。
【解決手段】芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる薄型電磁波シールド材であって、前記芯材が、自己粘着性を有する弾性発泡体樹脂材料からなり、前記シールド材が、前記導電性フィルムで前記芯材の表面を被覆してなる被覆部と、前記芯材の表面を外部に露出させてなる露出部を有する薄型電磁波シールド材。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波を遮断可能な電磁波シールド材に関する。更に詳しくは、厚さが1mm以下の薄型電磁波シールド材に関するものである。
電磁波シールド材は、電磁波を遮断することを目的に、ガスケット、緩衝材、あるいはパッキン等として使用されている。かかる電磁波シールド材としては、弾性材料からなる芯材の表面を導電性フィルムで被覆した構造のものが用いられている(例えば、特許文献1)。
近年、スマートフォーンに代表される携帯電子端末の小型化に伴い、電磁波シールド材も出来るだけ薄型のものが要請され、厚さが1mm以下の電磁波シールド材の供給が求められている。
しかしながら、従来の電磁波シールド材は、図3に示すように、弾性材料からなる芯材に接着層を介して導電性被覆材を被着し、更にその外周部の一辺の一部に両面テープを被着し、その両面テープによって筺体等に固定しており、かかる構造では1mm以下の薄物ガスケットについては製作困難であった。
薄物対応の電磁波シールド材としては、例えば図4に示すように、ウレタンに金属めっきした導電性ウレタンや不織布に金属めっきした導電性不織布を使用したガスケットが提案されているが、表面から粉塵が発生することやコスト面(導電性ウレタンや導電性不織布が高価)での課題があった。また、このようなシールド材は両面テープを介して導電性筺体等に固定するため、導電性両面テープを使用してもある程度圧縮させなければ十分な電磁波シールド性が得られないという問題があった。
一方、特許文献2には、弾性芯材に粘着層を介して導電性外皮を巻回し、芯材の外周面に一部を残して被着することにより、外皮の隙間から露出した粘着層で直接筐体に固着する方法が記載されている。
しかし、この弾性芯材には自己粘着性がなく、導電生地との接着には別途接着層が必要である。また、弾性芯材(例えば、ウレタンスポンジ)を薄くするには特殊な技術が必要であり一般的に実施する事は難しい。
また、同文献2には、弾性芯材ではなく、粘着層を有する芯材(ゲル状の柱形状をした粘着材)を用いて導電性外皮を巻回する方法も開示されている。
しかしながら、粘着性を有する芯材(ゲル状芯材)を薄くした場合、ゲルには空隙がないため、一定の厚みがなければ筐体との密着性において必要な弾性を確保出来ず、薄くてクッション性のある電磁シールド材を作製することは難しい。
また、特許文献3には、表面に粘着層を有する膠化体状樹脂材料に導電性フィルムを芯材の表面が外部に露出するように巻回し、直接筐体に付着する方法が記載されている。
しかし、粘着性を保持するには膠化体状樹脂はブリードを起こすことが前提であり、長期的にみると膠化体状樹脂は染み出したブリードの分だけ固くなり、反復性を確保できず、また、上記特許文献2のゲル状樹脂同様、弾性を確保しつつ薄くすることは製作上難しいという問題があった。
特開平6−350282号公報 特開2009−32925号公報 特開2000−13079号公報
かかる現状下、本発明の目的は、薄くても弾性を有し、筐体との密着に両面テープ等の接着材を必要としない、芯材表面に導電性フィルムを被覆してなる薄型電磁波シールド材を提供することにある。
即ち、本発明は次の<1>から<6>に係る発明である。
<1> 芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが1mm以下の薄型電磁波シールド材であって、
前記芯材が、自己粘着性を有する弾性発泡体樹脂材料からなり、かつ、
前記シールド材が、前記導電性フィルムで前記芯材の表面を被覆してなる被覆部と、前記芯材の表面を外部に露出させてなる露出部とを有する薄型電磁波シールド材。
<2> 前記自己粘着性を有する弾性発泡体樹脂材料が、アクリル系発泡体樹脂である前記<1>に記載の薄型電磁波シールド材。
<3> 前記薄型電磁波シールド材の厚みが、0.3〜0.5mmである前記<1>又は<2>に記載の薄型電磁波シールド材。
<4> 前記導電性フィルムが、合成樹脂フィルムの表面に導電処理を施したものである前記<1>から<3>のいずれかに記載の薄型電磁波シールド材。
<5> 前記シールド材の露出部に、更に、粘着剤層を有してなる前記<1>から<4>のいずれかに記載の薄型電磁波シールド材。
<6> 前記粘着剤層を構成する粘着剤が、アクリル系粘着剤である前記<5>に記載の薄型電磁波シールド材。
本発明により、厚みが1mm以下の薄型電磁波シールド材が簡易、経済的に提供される。
本発明の薄型電磁波シールド材は、前記構成によって、次の具体的効果を有する。
(1)本発明の電磁波シールド材は、既形成されたウレタン等の発泡体樹脂(ウレタンスポンジ)をスライスするのではなく、発泡体樹脂材料から直接成形する事ができ、極薄のシールド材を容易に得ることができる。
(2)本発明の電磁波シールド材は、微細な発泡体であるため、薄くても弾性を確保出来る。そのため、極薄でも筐体に密着が可能となる。
(3)本発明の電磁波シールド材は、接着層や粘着層を用いることなく導電生地(導電性フィルム)を巻回することが可能となるため、シールド材の製作工数を減らすことができると共に、接着層(粘着層)分の厚みを減らすことが出来る。
(4)本発明の電磁波シールド材は、露出した芯材部分(露出部)に粘着性を有するため、両面テープを用いることなく筐体に粘着可能である。また、そのため、貼り直しの際にのり残りがないという利点を有する。
(5)本発明は、前記露出した芯材部分(露出部)に、更に粘着剤層を付加することにより、より強固な粘着を必要な場合にも対応することができる。
本発明の実施形態に係る電磁波シールド材を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電磁波シールド材を示す断面図である。 従来の実施形態に係る電磁波シールド材を示す断面図である。 従来の他の実施形態に係る電磁波シールド材を示す断面図である。 本発明の実施形態(粘着剤層有り)に係る電磁波シールド材を示す断面図である。 本発明の他の実施形態(粘着剤層有り)に係る電磁波シールド材を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る電磁波シールドガスケットの作成手順を示すフロー図である。 本発明の実施形態に係る電磁波シールドガスケットの物性測定の為の圧縮冶具を示す断面図である。 変形量と圧縮力の関係を示した図である。 変形量と抵抗値の関係を示した図である。
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照し具体的に説明する。
本発明は、芯材10の表面に導電性フィルム11を被覆してなる薄型の電磁波シールド材1であって、前記芯材10が自己粘着性を有する弾性発泡体樹脂材料からなり、前記導電性フィルム11で前記芯材10の表面を被覆してなる被覆部12aと、前記芯材の表面を外部に露出させてなる露出部12bを有する薄型電磁波シールド材1にかかるものである。
本発明の薄型電磁波シールド材1は、例えば電磁波シールドガスケットとして、デジタルカメラや携帯電話などの小型端末、薄型テレビや小型家電の基板や筐体に取り付けられ、基板から筐体への導通を目的として使用される。
本発明の特徴は、先ず、芯材10として自己粘着性を有する弾性発泡体樹脂材料を使用することである。
自己粘着性は、自己吸着性とも言われ、材料自身が粘着性を有するものであり、基板や筐体への載置・接着が両面テープ等の他の接着材を使用することなく行えるという利点を有する。
また、本発明の弾性発泡体樹脂材料は、熱硬化性樹脂を発泡させることにより得られる、弾性を有する発泡体樹脂からなる材料である。
本発明の弾性発泡体樹脂材料は、自己粘着性と弾性とを併せ持つ発泡体樹脂(「樹脂発泡体」とも言われる。)から適宜選択することができるが、かかる発泡体樹脂としてはアクリル系発泡体樹脂、アクリル・ウレタン系発泡体樹脂、ウレタン系発泡体樹脂等が挙げられる。中でも、アクリル系発泡体樹脂が好適に使用される。
アクリル系発泡体樹脂は、アクリル系樹脂エマルジョン(例えば、商品名;ニカゾール:日本カーバイド工業株式会社製)を原料にして、発泡・樹脂化することにより製造することができる。
次に、本発明の芯材を構成する発泡体樹脂の例として、アクリル系発泡体樹脂の製造方法について説明する。
アクリル系発泡体樹脂は、次の組成物からなる発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を得た後、このエマルジョン組成物を離型紙上に塗布し、予備乾燥後、加熱硬化させることにより得ることができる。
即ち、先ず、アクリル系樹脂エマルジョン(例えば、ニカゾール FX-2138Y;日本カーバイド工業株式会社製)を主原料として、これに泡立てを促進する増粘剤及び自己粘着性を促進する粘着剤を添加し、更に、硬化剤、補強材等を加え十分に混合した後、空気を巻き込みながら激しく攪拌することにより発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を得る。混合、攪拌は、室温にて行うことができる。混合は如何なる方法でも良いが、通常、攪拌しながら混合することが行われる。また、空気を巻き込みながら激しく攪拌する操作は、通常3分以上、好ましくは5分以上行うことが好ましい。
増粘剤としては、アルカリ増粘剤が好ましく、例えば、ニカゾール VT-253(日本カーバイド工業株式会社製)が使用できる。また、アクリル系粘着剤としては、例えば、ニカゾール CL-303E(日本カーバイド工業株式会社製)が使用できる。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の硬化に使用されるものが適宜使用されるが、例えば、ニカゾール FX-955(日本カーバイド工業株式会社製)が使用できる。また、補強材は、芯材に強度を付与する為に添加される所謂フィラーであり、炭酸カルシウムやN,Nカオリンクレー等が適宜使用される。
なお、これら以外にも、整泡剤や分散剤、難燃剤等を本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加することができる。
各成分の添加割合は、アクリル系樹脂エマルジョンを100重量部としたとき、増粘剤が、0.5〜5重量部、好ましくは1〜2重量部である。増粘剤が0.5重量部未満では、十分な気泡が発生せず、また、5重量部を超えると流動性を失い加工性が損なわれる。
アクリル系粘着剤の添加量は、アクリル系樹脂エマルジョン100重量部に対し、アクリル系粘着剤が、15〜40重量部、好ましくは20〜30重量部である。粘着剤が15重量部未満では、自己粘着性が確保できず、また、40重量部を超えると材料の機械物性が低下する。
硬化剤の添加量は、目的とする芯材の性状により適宜選択されるが、通常、アクリル系樹脂エマルジョン100重量部に対し、1〜10重量部、好ましくは1.5〜5重量部である。
また、補強材の添加量も、目的とする芯材の性状により適宜選択され、通常、アクリル系樹脂エマルジョン100重量部に対し、20〜80重量部、好ましくは20〜40重量部である。
次に、上記発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を、離型紙上に塗布し、80℃で約10分間予備乾燥し、更に、120℃で約10分間加熱硬化させてアクリル系発泡体樹脂(単に「アクリルフォーム」ということがある。)を得る。
例えば、発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を離型紙上に0.8mmの厚さで塗布した場合、アクリル系発泡樹脂の厚みは0.4〜0.5mm程度となる。
得られるアクリル系発泡体樹脂の発泡倍率は、1.2〜3であり、好ましくは、1.5以上である。またアクリル系発泡体樹脂の粘着性は、1N/25mm以上のものが好適に使用できる。
上記アクリル系発泡体樹脂は、弾性発泡体樹脂材料として、本発明の芯材10を構成するものであり、弾性および粘着性を有し、その厚みは薄型デバイスに装着可能とする為に1mm以下、好ましくは0.5mm以下である。一方、電磁波シールド材1としての弾性を付与する為にはある程度の厚みが必要であり、好ましくは0.3mm以上である。
次に、本発明の導電性フィルム11は、電磁波シールド材1に導電性を付与するものであり、ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム等の合成樹脂フィルムの表面に導電処理を施したものである。これらのフィルムの中でも、コスト及び耐熱性の観点からポリエステル樹脂フィルムが好適に使用され、特にPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)フィルムが好適に使用される。また、耐熱性や難燃性の観点からは、ポリイミド樹脂フィルムの使用が有効である。
本発明において、導電処理とは、金属メッキ、金属蒸着、金属箔貼り合わせ、導電性塗料や導電性インクの印刷等が挙げられる。
上記フィルムにメッキされる金属としては、銅、ニッケル、錫、銀、金等よりなる材料から選ばれた1種又は2種以上が使用される。具体的には、ポリエステル樹脂フィルムへの銅/ニッケルや銅/錫のメッキ等が挙げられるが、この中でも、導電性に優れた銅メッキの上に酸化防止機能を有するニッケルをメッキした銅/ニッケルメッキが好適に使用される。
金属蒸着の例としては、ポリエステル樹脂フィルムへの銅/ニッケルの蒸着が挙げられ、金属箔貼り合わせの例としては、ポリエステル樹脂フィルムへのアルミ箔や銅箔の貼り合わせが挙げられる。
また、導電性塗料や導電性インクの印刷の例としては、ポリエステル樹脂フィルムへ銀や銅のペーストをシルクスクリーン印刷したものを挙げることができる。
これらの中でも、金属蒸着や金属箔を貼り合わせたものが信頼性やコストの観点から好適に使用される。なお、導電性フィルムは導電性シートともいわれ、本発明において特に両者を区別する必要はない。
本発明の導電性フィルム11の厚みは、通常5μm〜100μmであり、好ましくは10μm〜50μmである。
このように、導電性フィルム11として、薄い柔軟性のあるフィルムを使用することで粉塵が発生しない電磁波シールド材1の製作が可能である。
本発明の電磁波シールド材1は、上記のように発泡体樹脂材料からなる芯材10に導電性フィルム11を被覆したものであり、その厚さは、ほぼ芯材10の厚さに同じであり、1mm以下、好ましくは0.5mm以下であり、特に好ましくは、0.3〜0.5mmである。
本発明の別の態様を図2に示した。図2のように、本発明の芯材10は自己粘着性を有することから、芯材10の片面に導電性フィルム11を圧着し、一部自己粘着面を露出させるように折り曲げただけの簡単構造の電磁波シールド材1が提供可能である。
本発明の電磁波シールド材は、自己粘着性があるので導電性フィルムに接着層を設ける必要がなく、筐体への固定用の両面テープも不要なので低コストで作製可能となる。また、接着層及び筐体への固定用両面テープの厚みを排除出来る為、弾力性を有しつつ極薄にする事が可能となる。更に筐体への固定用の両面テープが不要なだけでなく、このような固定構造では、導電性フィルムが直接導電性筺体に接触するため圧縮せずとも良好な導通(電磁波シールド性)を得ることができる。
本発明では、電磁波シールド材の筐体へのより強固な粘着が必要な場合に、前記露出した芯材部分(露出部)に、更に粘着剤層を付加することが好ましい。図5、図6にその態様を示す。図5(a)、(b)は、図1の電磁波シールド材1の導電性フィルム露出部12bに粘着剤層16を付加したものであり、また、図6(a)、(b)は、図2の電磁波シールド材1の導電性フィルム露出部12bに粘着剤層16を付加したものでる。
図5(a)及び図6(a)は、導電性フィルム露出部12bの全面に粘着層16を付加した態様を示したものである。一方、図5(b)及び図6(b)は、導電性フィルム露出部12bの一部に粘着層16を付加したものであり、かつ粘着層16の厚みをより薄くした態様を示した例である。
この粘着剤層16の厚さは、導電性フィルム11の厚さとほぼ同等、好ましくはそれ以下とすることにより、両面テープ等を使用する場合に比べ、本発明の目的とする薄型の電磁波シールド材1を容易に得ることができる。
即ち、その厚さは、通常2〜30μであり、好ましくは18μ以下である。
また、粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着材、ブチルゴム等のゴム系粘着剤等の通常の粘着剤が使用できる。中でも、アクリル系粘着剤が、好ましい。特に、アクリル系発泡体樹脂を芯材として使用する場合は、同様な化合物を原料とするアクリル系粘着剤が好適に使用される。
以下、本発明の好ましい実施の形態に係る電磁波シールド材を具体的に説明するが、本発明はその要旨を変更しない限り、本実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)芯材の製作
次の材料を室温(28℃)で、十分混合し、その後、空気を巻き込みながら激しく撹拌して発泡させアクリル樹脂エマルジョン組成物を得た。
1)アクリル系樹脂エマルジョン(商品名;ニカゾール FX-2138Y:日本カーバイド工業株式会社製) 80g
2)増粘剤(商品名;ニカゾール VT-253:日本カーバイド工業株式会社製) 1g
3)アクリル系粘着剤(商品名;ニカゾール CL-303E :日本カーバイド工業株式会社製) 20g
4)硬化剤(商品名;ニカゾール FX-955:日本カーバイド工業株式会社製) 2.4g
5)炭酸カルシウム(商品名;ルミナス:丸尾カルシウム株式会社製) 30g
上記アクリル樹脂エマルジョン組成物を、離型紙上に0.8mmの厚さで塗布し、80℃で10分間予備乾燥し、更に、120℃で10分間加熱硬化させて厚み0.45mmのアクリルフォーム(以下「アクリルフォームA」という。)を得た。
アクリルフォームの発泡倍率は、1.67、嵩比重は、0.75、また粘着性は、1.4N/25mmであった。
(2)アクリルフォームガスケットの製作
前記(1)で得られたアクリルフォームAを幅10mmにスリットし、幅16mmの導電性フィルムを巻き込み圧着した。その後、長さ6mmにカットして、厚み0.5mm×幅10mm×長さ6mmのガスケットを得た。なお、導電性フィルムは、銅/ニッケルメッキポリエステルフイルム(有限会社 金田技研製)厚み25μmを使用した。なお、ガスケットの作成手順を図7にフロー図として示した。
(3)性能比較
ガスケットサンプルについて、変形量−圧縮力、変形量−抵抗値を比較評価した。サンプルサイズは、上記のように、厚み0.5mm×幅10mm×長さ6mmを使用した。結果をそれぞれ表1、表2及び図9、図10に併せて示した。
1)変形量−圧縮力
サンプルを図8の圧縮治具にセットし、サンプルを高さの0〜40%変形させたときの各変形量に対する圧縮力を測定した。
2)変形量−抵抗値
サンプルを図8の圧縮治具(抵抗値測定器具は図示せず)にセットし、サンプルを高さの0〜40%変形させたときの各変形量に対する上下間の抵抗値を測定した。
(実施例2)
実施例1で得られたアクリルフォームAを使用し、実施例1において、導電性フィルムとして、銅/ニッケル蒸着ポリエステルフィルム(東レKPフィルム株式会社製)厚み18μmを使用した以外は、実施例1と同様にしてガスケットサンプルを作成した。
このガスケットについて、実施例1と同様に変形量−圧縮力、変形量−抵抗値を比較評価した。評価結果を表1、表2及び図9、図10に示した。
(実施例3)
実施例1で得られたアクリルフォームAを使用し、実施例1において、導電性フィルムとしてアルミ貼合ポリエステルフィルム(商品名;アルペット、パナック株式会社製)厚み39μmを使用した以外は、実施例1と同様にしてガスケットサンプルを作成した。
このガスケットについて、実施例1と同様に変形量−圧縮力、変形量−抵抗値を比較評価した。評価結果を表1、表2及び図9、図10に示した。
(比較例1)
1)導電性不織布ガスケット
導電性布織布U6100CTV(ウラセ株式会社製:厚さ0.6mm)に、導電性粘着剤(厚さ0.06mm)を貼り合わせてガスケットサンプルを作成した。
このガスケットサンプルについて、実施例1と同様に変形量−圧縮力、変形量−抵抗値を比較評価した。評価結果を表1、表2及び図9、図10に示した。
(比較例2)
2)導電性ウレタンガスケット
導電性ウレタンSui-70-5005A(セーレン株式会社製:厚さ0.45mm)に導電性粘着剤(厚さ0.06mm)を貼り合わせてガスケットサンプルを作成した。
このガスケットサンプルについて、実施例1と同様に変形量−圧縮力、変形量−抵抗値を比較評価した。評価結果を表1、表2及び図9、図10に示した。
図9、図10から明らかなように、変形量−圧縮力の測定結果より、実施例1〜3のアクリルフォームガスケットのクッション性は、比較例2の導電性ウレタンガスケットには及ばないものの比較例1の導電性不織布ガスケットと同程度であり、一方、変形量−抵抗値の測定結果より、導電性能は、比較例1の導電性不織布ガスケットや比較例2の導電性ウレタンガスケットに比べ非常に優れていることがわかる。
(比較例3)
実施例1の(1)芯材の製作において、材料として「2)増粘剤(商品名;ニカゾール VT-253:日本カーバイド工業株式会社製)」を使用しない以外は同様にしてアクリル樹脂エマルジョン組成物を得た。しかし、このエマルジョン組成物は、発泡が不十分であり、得られたアクリルフォームの発泡倍率は、1.11、嵩比重は、1.13と殆どクッション性を示さなかった。
(比較例4)
実施例1の(1)芯材の製作において、材料として「3)アクリル系粘着剤(商品名;ニカゾール CL-303E:日本カーバイド工業株式会社製)」を使用しない以外は同様にしてアクリル樹脂エマルジョン組成物を得た。しかし、このエマルジョン組成物から得られたアクリルフォームは粘着性を示さず、導電性フィルムとの接着ができなかった。
本発明は、筐体への自己粘着性を有する厚さが1mm以下の薄型電磁波シールド材を提供するものであり、携帯電子端末等の小型化、高機能化に対応可能なガスケット等として利用できる。
1 電磁波シールド材
10 芯材
11 導電性フィルム
12a 導電性フィルム被覆部
12b 導電性フィルム露出部
13 接着剤
14 両面テープ
15 導電性ウレタン(導電性不織布)
16 粘着剤層

Claims (6)

  1. 芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが1mm以下の薄型電磁波シールド材であって、
    前記芯材が、自己粘着性を有する弾性発泡体樹脂材料からなり、かつ、
    前記シールド材が、前記導電性フィルムで前記芯材の表面を被覆してなる被覆部と、前記芯材の表面を外部に露出させてなる露出部とを有することを特徴とする薄型電磁波シールド材。
  2. 前記自己粘着性を有する弾性発泡体樹脂材料が、アクリル系発泡体樹脂である請求項1に記載の薄型電磁波シールド材。
  3. 前記薄型電磁波シールド材の厚みが、0.3〜0.5mmである請求項1又は2に記載の薄型電磁波シールド材。
  4. 前記導電性フィルムが、合成樹脂フィルムの表面に導電処理を施したものである請求項1から3のいずれかの項に記載の薄型電磁波シールド材。
  5. 前記シールド材の露出部に、更に、粘着剤層を有してなることを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の薄型電磁波シールド材。
  6. 前記粘着剤層を構成する粘着剤が、アクリル系粘着剤である請求項5に記載の薄型電磁波シールド材。
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