JP2008262958A - ガスケット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】芯材と被覆層からなる複合構造においても、耐久性に優れ、しかも電磁波シールド効果や放熱、緩衝等の機能の設計が容易であるガスケット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】弾力性を有する芯材2と、芯材2を被覆するためにその表面に形成された被覆層4とから構成されるガスケット10において、芯材2は、ゲル状体から形成され、かつ、被覆層4と接する芯材2の表面は、ブリード面3と硬化スキン面1とから構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスケット及びその製造方法に関し、詳しくは、例えばディスプレイ、パソコン、携帯電話等の電気製品、自動車部品等に用いられ、電磁波(光、紫外線を含む広義)、熱、振動環境下でも、耐久性と機能性を併せ持つガスケット及びその製造方法に関する。
従来から、気体や液体の封止や遮蔽のための部材として、ガスケットは、広く多様に利用されており、使用環境に応じて耐圧力、耐熱、耐振動、耐候、耐薬品性、耐油性など様々な工夫がされてきた。
近年では、電気機器の普及と通信技術の進歩により不要電磁波の影響を低減するための電磁波遮蔽の用途が注目され、様々な電磁波シールドガスケットが提案されている。たとえば、エラストマ等の弾性材料からなる芯材の表面に、シールド層を設けたものが知られており、このシールド層は、メッキや蒸着等によって芯材の表面に導電性被膜を形成したり、芯材を導電性の編物やシート等で被覆することにより形成されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
しかしながら、前記の提案された電磁波シールドガスケットにみられるように、ガスケットに機能性を持たせるためには、芯材と被覆材の組み合わせや積層、表面の機能化といったように複合構造とする設計が一般的で、従来の単体構造に比べて、複合化部位の耐久性の確保に問題があった。
この課題に対して、電磁波シールドガスケットにおいては、図10に示すように、被覆剤を意図的に非接合部分を形成するなどの方法が提案されている(特許文献2,3)が、ガスケットの変形に伴う被覆層の皺の防止やそれによる被覆層の耐久性に効果は得られるものの、芯材の圧縮変形に対して、被覆層が大きく撓み、薄い被覆層が撓んだ状態で芯材表面から著しく浮き上がるので、開閉部分に使用された場合に、撓んだ薄い被覆層が噛みこまれて、破損する危険性や、密閉空間に圧縮して組み込む場合には、被覆層が芯材の変形に追従できずに皺となるか、または芯材と装着物に挟まれて被覆層が破損することが実用においては懸念されるなど、使用方法や用途に制限があった。
特開平06−330677号公報 特許第2710744(特開平6−350282)号公報 特許第2801180(特開平10−70388)号公報 特開2006−222107号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、芯材と被覆層からなる複合構造においても、耐久性に優れ、しかも電磁波シールド効果や放熱、緩衝等の機能の設計が容易であるガスケット及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、弾力性を有する芯材と、該芯材の表面に設けられた被覆材の被覆層とからなるガスケットにおいて、芯材として、シリコーン等のゲル状体を用いる際に、芯材の一部の面に、ブリード面を設けると、その面から、媒体(本明細書中の媒体とは、ゲルの構成において、分子架橋した三次元的な網目構造体の網目間に含まれている液状物を意味し、シリコーンゲルにおいては、主にシリコーンオイルが媒体に当る)が滲み出して、その媒体の滑り効果により、ガスケットの芯材と被覆材との伸縮追従性と界面へ応力集中を低減する効果があり、また、その一方で、ブリード面よりも媒体の滲み出し現象が生じ難い硬化スキン面を設けることにより、極めて平滑でハリのある面を維持でき、そのハリが表面の被覆層への密着促進する効果があり、それらの効果が相俟った結果、ガスケットの機械的強度と耐久性にも効果があることを見出した。そして、本発明は、これらの知見に基づき、完成するに至ったものである。
さらに詳しくは、本発明は、図2、図4及び図5に示すように、ゲル状体と被覆層の密着界面に媒体が滲み出ると、前記界面の剥離強度が低下し、媒体の滲み出し量が多くなるに伴い、剥離強度が低下する現象に着目し、ゲル状体の適用において、本来避けるべき媒体の滲み出し現象を積極的に利用することにより、ガスケット使用時に芯材から媒体を、使用環境に対応して自発的に滲み出させ、芯材と被覆層の界面の接着力を低下させることにより、長期間の使用でガスケットの芯材と被覆層の界面への破壊要因の影響を低減させ、その結果、前記ガスケットの耐久性を向上させるものである。さらに、芯材の表面に媒体の滲み出し量の違いを生じさせる工夫により、所望の位置で、本発明の効果を発揮させることができるものである。
本発明におけるブリード面とは、人工的に媒体の滲み出しを容易となるように加工された部分または表面を指し、媒体とは、ゲル状体を構成する液体成分であり、例えばオイルや水、さらに未架橋のゲル構成成分などを含むものとする。
また、本発明における硬化スキン面とは、ゲル状体の硬化表面であって、ゲル状体内部よりも架橋密度が高く、かつ、ゲル状体と、異種材料との接触面として硬化形成される該ゲル状体の表層部であり、例えば熱硬化型シリコーンゲルの作製において、型表面、熱空気または熱水に接触し硬化して、形成されるゲル状体の硬化表層部をいう。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、弾力性を有する芯材(A)と、芯材(A)を被覆するためにその表面に形成された被覆層(B)とからなるガスケットにおいて、芯材(A)は、ゲル状体から形成され、かつ、被覆層(B)と接する芯材(A)の表面は、ブリード面と硬化スキン面とからなることを特徴とするガスケットが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記芯材(A)の硬度は、JIS K2207−1996(50g荷重)に準拠した針入度(25℃)が10〜200であることを特徴とするガスケットが提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記芯材(A)は、ゲル状体にフィラーを添加してなることを特徴とするガスケットが提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記芯材(A)と被覆層(B)との接合部の少なくとも一部に、補強材を挟着することを特徴とするガスケットが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記芯材(A)のブリード面は、使用時に圧縮される際に、圧縮方向に対して垂直方向の撓み面であることを特徴とするガスケットが提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記被覆層(B)の両端部の重ね合わせ部分又は接合部分に、前記芯材(A)の硬化スキン面を設けることを特徴とするガスケットが提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、電磁波シールド用であって、前記被覆層(B)が導電体であることを特徴とするガスケットが提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第3〜7のいずれかの発明において、前記芯材(A)に添加するフィラーは、熱伝導性フィラー、導電性フィラー、磁性フィラー、蓄熱フィラー及び中空フィラーからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするガスケットが提供される。
一方、本発明の第9の発明によれば、成型における硬化離型後の離型表面を保持して、硬化スキン面としたゲルシートを、所定の形状に切断し、切断して得られる新生面をブリード面にした芯材(A)を作製する工程(I)と、次いで工程(I)で得た芯材(A)に、被覆層(B)を被覆する工程(II)を含むことを特徴とする第1の発明に係るガスケットの製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、密閉または上方の一部が開放された型に、ゲル状体原料を流し込み硬化させ、芯材(A)の表面に、硬化スキン面を形成させた後または同時に、ブリード面を形成する工程(I)と、次いで、芯材(A)に被覆層(B)を被覆する工程(II)を含むガスケットの製造方法であって、
該ブリード面を形成する工程は、(i)ブリード面を設ける面に相当する型の内面側には、予め薄テープ状の離型シートを設け、(ii)その後、前記離型シートを設けた型に、ゲル状体原料を流し込み硬化させ、(iii)その後、前記離形シートを剥がすことにより、ゲル状体からなる芯材(A)の表面に、所望のブリード面を形成することを特徴とする第1の発明に係るガスケットの製造方法が提供される。
本発明は、上記した如く、ガスケットなどに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)前記ゲル状体は、シリコーンゲル又はウレタン系ゲルであることを特徴とする上記のガスケット。
(2)前記補強材は、PETフィルムであることを特徴とする上記のガスケット。
(3)前記導電体は、樹脂基材に導電層を形成した導電性フィルム、金属箔、金属メッシュ、又は導電性繊維であることを特徴とする上記のガスケット。
(4)被覆層(B)の外側表面に、さらに、両面テープを貼着したものであることを特徴とする上記のガスケット。
本発明のガスケットは、弾力性を有する芯材(A)と、被覆層(B)とからなるガスケットにおいて、芯材(A)は、ゲル状体から形成され、かつ芯材(A)と被覆層(B)が接する芯材(A)の表面は、ブリード面と硬化スキン面とからなることを特徴としているので、ガスケットの使用環境要因である圧力、温度、振動の強さに応じて、前記ブリード面から被覆層と芯材の接着界面に、ブリード層を形成することにより、前記界面での応力集中が低減されるため、被覆層の損傷を防止でき、耐久性に優れたものである。
また、機能性フィラーを添加した機能性芯材と機能性被覆層を組み合わせることにより、電磁波をシールド(遮蔽)することや放熱、防振、緩衝等の機能を自由に設計することができる。さらに、芯材表面のブリード面の配置条件を任意に選択できることにより、より最適な設計が可能となり、優れた機能を発揮させることができる。
以下に、本発明のガスケットの構成成分及びその製造方法などについて詳細に説明する。
本発明のガスケットは、図1に示すように、弾力性を有する芯材(A)と、芯材(A)を被覆するためにその表面に形成された被覆層(B)とからなるガスケットにおいて、芯材(A)は、ゲル状体から形成され、かつ、芯材(A)と被覆層(B)が接する芯材(A)の表面は、ブリード面と硬化スキン面とからなることを特徴とするものである。
1.芯材(A)
本発明のガスケットにおいて、芯材(A)として用いられるゲル状体は、JIS K2207−1996「石油アスファルト」に準拠した50g荷重における針入度(25℃)が10〜200のものが好適である。
ゲル状体としては、例えばシリコーン系、ウレタン系、水系など公知のものを用途に応じて、適宜選択できるが、耐熱性、耐候性、環境性の観点からシリコーン系が好ましい。シリコーン系材料としては、付加型や縮合型、また、加熱硬化型や紫外線硬化型などが使用できる。また、形態として発泡体も含む。発泡体は、熱反応性発泡剤添加した方法や脱水素反応型材料の使用や、溶解性フィラーをゲルに充填して硬化した後に、溶媒(水や有機溶剤)でフィラーを溶出する方法等の公知の製法のものを使用できる。
さらに、その芯材(A)は、被覆層(B)と接する芯材(A)表面に、ブリード面と硬化スキン面からなることが本発明の必須の構成要件である。
本発明においては、ガスケットとして使用される際に、図5に示すように、使用状態における加圧力や温度や振動などの外的付加因子の強さに応じて、ゲル状体からなる芯材のブリード面から、ゲル状体中の媒体(オイル、水、その他有機低分子液状成分)が滲み出して、その滲み出した媒体の滑り効果や、芯材と被覆層の接着力の低減作用により、ガスケットの芯材と被覆層との界面において、伸縮追従性に効果を発揮し、その結果、ガスケットの耐久性に効果を発揮するのである。
さらに詳しくは、芯材たるゲル状体の自己粘着性によって、または接着層部を具備した被覆層においては、その接着層部を介して、ゲル状体と被覆層界面を形成する構造において、芯材と被覆層は、前記界面で互いに固定されているが、ガスケットが使用される条件(例えば、圧力、温度、振動等が加わった条件)から受ける負荷の強さに応じて、ゲル状体から媒体が滲み出し、前記媒体が前記界面に介在することにより、前記界面での固定力もしくは接着力を低減させるとともに、界面剥離状態においては、前記媒体が芯材と被覆層の接触抵抗を低減させる潤滑剤又は潤滑膜として作用することにより、被覆層に対する振動による繰り返し応力や伸縮特性の経時変化に起因した応力集中等々の影響を低減でき、芯材と被覆層が前記界面で固定された状態に比べて、被覆層の疲労破壊を起し難くなる。その結果、ガスケットの耐久性を向上させる効果を発揮するのである。
なお、本発明において、媒体の滲み出しは、(硬化した)ゲル状体に新生面を形成した直後から発生してもよいが、ガスケット装着以降に、滲み出しが開始させるのが望ましく、被装着品の発熱や振動、ガスケット適用部の物理的変形などの応力に応じて、徐々に滲み出るのが最も効果的である。
また、被覆層(B)の芯材と密着する内面側が金属層である場合には、とくにその金属面が滲み出した媒体による潤滑及び保護膜効果によって、防錆性などが発揮される。
また、前記芯材表面に、非加工表面、すなわち硬化スキン面よりも、媒体の滲み出しが容易となる加工を施したブリード面を形成することにより、前記の媒体に起因する作用効果を発現させる位置を、任意に設定できるので、形状や使用される状況に応じた耐久性付与が可能となる。また、ブリード面は、ゲル状体の硬化表面に、物理的または化学的な手段を講じて、架橋構造を乱した新生面とすることにより形成される。
そのメカニズムを、例えば、シリコーンゲルで考察すると、ゲルの硬化機構に係らずに、表面と内部で架橋密度が異なり、かつ、表面の架橋密度の方が大きい場合においては、硬化スキン面を加工により除去して形成された新生面の方が、硬化スキン面よりも媒体の拘束性が小さく、かつ、加工により架橋分子の配列が乱されるため、媒体の滲み出しが促進されものと考えられる。また、表面と内部の架橋密度の差が極めて小さい場合(均一硬化物)は、外内部における架橋密度の差が大きい場合に比べて、滲み出しの促進作用は、小さいが、加工により架橋分子の配列を乱した新生面とすることにより、未加工表面よりも媒体の滲み出しが起こり易くなると考えられる。
また、本発明においては、芯材表面が、ブリード面と硬化スキン面の両方から構成させていることが重要である。芯材表面が硬化スキン層だけの場合は、媒体の滲み出しによる本発明の効果が得られにくく、また、芯材表面がブリード面だけの場合には、媒体の滲み出しが過剰となり、芯材に被覆層を被覆した際の前記被覆層の重ね合わせ部または接合部から媒体がガスケット外部に漏れ出すため問題となる。特に電気機器に組み込んだ場合には、媒体による電気接点不良や、機器筐体外部への滲み出しによる外観不良等が起こり問題である。
また、ブリード面の形成方法として、新生面を形成する際に、切断などのせん断力による加工や、予めゲル状体を硬化する前に所定形状の型の内面の一部に、ゲル状体が硬化した際にゲル状体表面と一体化される薄い離型シートを設けておき、その中でゲル状体を硬化させ、硬化後に前記離型シートを剥離することにより、硬化スキン面を離型シートとともに除去する加工を適用することができる。この離型シートとしては、未硬化状態のゲル原料を吸収する能力がある紙、布、不織布やこれらを組み合わせたものを適用することができるが、ゲル状体の硬化時に、ゲル状体に物理的または化学的に接着され、かつ剥しやすいものを選択する。物理的接着としては、剥離シート表面または内部へ未硬化ゲル原料が進入して硬化することによるアンカー効果が挙げられ、化学的接着としては、プライマーの塗布などの処理が適用可能である。プライマー処理においては、例えば、剥離シートにプライマーをドット状やストライプ状など任意のパターン形状で設けたり、接着力の異なるプライマーを適宜選択することで、ブリード面の形状や位置、媒体の滲み出し具合を調整できるので好ましい。
さらに、イオン、ラジカル、電子、原子、レーザー光、放射線、電離性放射線、あるいはオゾン等の何れか一つあるいは複数が、照射、透過あるいは充満等して存在すこととなる雰囲気下や、ブラストによる表面処理を施すことによって、その面を荒らす加工によっても、ブリード面の形状や位置、媒体の滲み出し具合を調整できる。
さらに、芯材の表面の一部に、タルク、コーンスターチ、澱粉、シリカ等の微粉を付着させて、媒体を表面に吸い出してブリード面を形成させても良い。微粉は、芯材の特性に合わせて放熱性フィラー、導電性フィラー、磁性フィラーなどを適宜選択することができる。特に粘着性が強い芯材の場合において、芯材表面に、微粉を付着させることにより、粘着性を適正化せしめて、被覆層の被覆作業性が改善される効果もある。
また、このようなブリード面を形成部位は、設計に応じて適宜選択できるが、圧縮方向側面に形成すると、すなわち、使用時に圧縮される際に、圧縮方向に対して垂直方向の撓み面になるように形成すると、連続振動で媒体の滲み出しが促進されてよい。
さらに、硬化スキン面は、ブリード面に比較して表面が極めて平滑であるため、被覆との密着性がよい。また、ブリード面よりも媒体の滲み出しが少ないため、芯材を被覆した被覆層の末端封止(被覆層の重ね合わせ部又は接合部)をホットメルトなどの接着剤または粘着剤で行った場合に、滲み出た媒体による接着力低下が起こり難くなり、ガスケットの耐久性がよい。
また、芯材の形状としては、例えば、断面四角形の紐状のものが挙げられるが、これに限られるものではない。その他の例としては、断面円形の紐状のもの、または紐状でなく板状のものL字状、T字状、U字状等々、用途に応じて、その形状を選定すれば良い。長さも用途に応じて選定すれば良い。
前記芯材(A)の硬度は、JIS K2207−1996「石油アスファルト」に準拠した50g荷重における針入度(25℃)が、前記したゲル状体と同様に、10〜200のものが好適である。
針入度が10未満では、ゲル状体が硬くなり媒体の滲み出しが起こり難く、本発明の作用が発揮されない。また、ガスケットを装着する部分の形状や面粗さへの密着性が劣る。一方、針入度が200超では、ゲル状体の保形性が困難となり、被覆層による被覆が困難であるため実用性に欠ける。
なお、芯材の厚さが小さく、硬さが柔らかい場合においては、芯材の変形が容易に起こるため、被覆材による被覆が行い難く、また、ガスケットとしての取り扱い性も悪いため、幅に相当する面(被覆の重ね面と相対する面)の双方もしくは一方に、補強材(サポート材)を介在させるとよい(図8参照。)。補強材により、芯材や被覆の形状保持に優れ、使用感や耐久性、製造しやすさに寄与する。
補強材としては、ガスケットとしての曲げ性や性能を損なわない範囲で材質や厚みを適宜選択することができる。例えばPETフィルム等が挙げられる。
芯材をゲル状体とする効果としては、粘弾性を有し、外部の圧力を自己の非弾性変形によって吸収する特性があり、従って外部からの圧力に対し、反発弾性を生じることがないと共に、外部圧力をゲル状体内部において全体的作用によって、吸収すると云う効果がある。
さらに、本発明では、芯材として、強い圧縮や振動の強さが印加される程度に応じて、任意な箇所に媒体を滲み出させることにより、潤滑および保護膜効果も同時に促進・調整させることも行え、相俟った又は共動した効果として、得られる。
ゲル状体の代表的ものとしては、従来から防振や緩衝素材としてのシリコーンゲルを例にとれば、種々のシリコーン材料として一般的に市販されているものを適宜選択して用いることができる。
よって、加熱硬化型あるいは常温硬化型のもの、硬化機構が縮合型あるいは付加型のものなど、いずれも用いることができる。また、珪素原子に結合する基も特に限定されるものではなく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基のほか、これらの基の水素原子が部分的に他の原子又は結合基で置換されたものを挙げることができる。
具体的なシリコーンゲル材としては、東レ・ダウコーニング(株)製の商品名:CF−5106(針入度が150)などが良好であり、このシリコーンゲル材は、原料であるシリコーン樹脂がA液とB液とに分れていて、この両液を所定比率で混合して加熱することにより所望の針入度を有するシリコーンゲル材を得ることができるものである。
また、ウレタン系ゲルとしては、ポリイソシアネートと活性水素をもった化合物で構成されるゲルであり、公知のものを適宜選択できる。ポリイソシアネートには、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンイソシアネートなどがある。また、活性水素をもった化合物には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールが代表例であり具体的にはポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エポキシ樹脂、ひまし油などがある。
ゲル化するには、架橋密度を減らす必要があり、これは架橋点となる官能基の数を減らしたり架橋剤の添加量を減らすことにより、硬度を調整できる。
さらに、水系ゲルとしては、ゼリーなどの食料品をはじめ、気化熱を利用した冷却材などが市販されている。本発明に水系ゲルを適用する例としては、高湿または水存在下で吸水膨潤させて密閉する作用を有したガスケットとして有用である。
芯材に用いるゲル状体には、フィラーを添加して機能を付加することができ、目的や用途に応じて、フィラーを適宜選択すればよく、公知のフィラーを使用できる。例えば熱伝導性フィラー、導電性フィラー、蓄熱フィラー、蓄光フィラー、磁性フィラー、中空フィラー、チキソ性付与フィラーなどが使用できる。
例えば、熱伝導性フィラーを添加して、芯材に高い熱伝導性を付与することにより、放熱性ガスケットとして利用でき、さらに、熱伝導性に優れた金属箔等を用いた被覆層との組み合わせにより、より放熱性を向上させた放熱性ガスケットを得ることができる。
熱伝導性フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化珪素、黒鉛、窒化硼素、酸化鉄、金属などが適用できる。
また、導電性フィラーとしては、金属や黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、フラーレン等の炭素系材料、さらには酸化亜鉛等の金属酸化物などを使用できる。芯材に、導電性を付与することにより、ガスケットをアース経路として使用することもできる。
さらに、磁性フィラーとしては、公知の強磁性粉や軟磁性粉が適用でき、磁性損失型の電磁波吸収機能を付与できる。また、ガスケットに強磁性を付与でき、鉄などの部品への組み込みの際に、鉄部品へ磁気保持させることができるので、重力に逆らってガスケットをセットすることができ、組み付け作業性が改善される。導電性や磁性を有した被覆層で被覆することにより、さらに、電磁波シールド効果を付与できたり、磁気抵抗を減じることができ、より有効な効果が得られる。
また、蓄熱フィラーとしては、ワックスやパラフィン等の蓄熱材を核としたマイクロカプセルを使用でき、その殻の材質も適宜公知のものを使用でき、ガスケットに蓄熱性を付与することができる。ガスケットを組み込んだ部位において、ガスケットに接した部分の温度変化を減じることができ、環境温度によるガスケット組み込み部分の熱膨張に起因する結合部の緩みの発生を低減する効果が得られる。
さらに、導電性や熱伝導性に優れた被覆層で被覆することにより、熱抵抗を減じて前記温度変化の緩和作用の効率を上げたり、電磁波シールド効果を付与することができる。
2.被覆層(B)
本発明のガスケットは、弾力性を有する芯材(A)の表面を、被覆層(B)によって、被覆した構造をしている。
被覆層(B)としては、ガスケットに機能性を付与するにおいて、芯材の機能性を損なわず、かつ被覆層単独または芯材と共動して機能性ガスケットを構成できるものであれば、特に材質、形状、厚みなどの制限はなく、目的に応じて、適宜適用できる。また、被覆層は、単層でも同質または異種の材料の積層体であってもよく、さらに前記異種材料層として、芯材(A)に接する面に、粘着層または接着層を具備していても良い。単層の例として、金属フィルム、金属箔、樹脂フィムルなどが挙げられる。複層としては、樹脂フィルムに金属層を複合したものが使用できる。
特に、電磁波シールド用途としては、導電性の被覆層を適用するが、電磁波シールド効果を発揮するものであれば、被覆層として特に限定されない。その具体的なものとしては、例えば、合成樹脂製のフィルムの表面に金属層を形成して成る導電性フィルム、金属箔、金属メッシュ、又は導電性繊維などが挙げられる。また、被覆層としての電磁波シールド層は、アルミニウム、チタン、銀、ニッケル又は銅等、導電性の良好な金属を用いて、蒸着、溶射、電解または無電解メッキ等を施すことにより、芯材の表面に、金属被膜を形成してもよいし、または上記金属やステンレス等からなる金属箔、上記金属にて合成繊維をメッキしたメッキ繊維、或は炭素繊維等を使用した導電性編織物や不織布、或はポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる樹脂シートに、上記金属からなる箔を積層してなる導電性シートにて、芯材の表面を被覆することにより構成してもよい。
上記導電性フィルムとしては、例えば、合成樹脂製フィルムの双方または一方の表面に、金属層を形成したものを使用できる。
合成樹脂製フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルムまたはポリプロピレンフィルムからなるが、これに限られるものではない。他のプラスチックフィルムから成っていても良い。
フィルムの厚さは、例えば3〜5μm程度であるが、これに限られるものではない。必要とされる機械的強度等に応じて厚さを選定すれば良い。
金属層は、金属であるから導電性を有している。この金属層は、例えば、銅またはニッケルからなるが、これに限られるものではない。例えば、アルミニウム、チタン、銀、スズ等の導電性の良い金属から成っていても良い。また、金属層は、上記各金属の単層から成っていても良いし、上記各金属から成る層を複数層に積層したものでも良い。例えば、銅の層を下地層としてその上にニッケルの層を形成したものでも良い。
金属層は、フィルムの表面に、例えば、蒸着またはメッキによって形成(被着)されたものであるが、これに限られるものではなく、他の成膜方法によって形成されていても良い。蒸着は、例えば蒸発源を用いた真空蒸着や、スパッタリングによる蒸着等の物理的蒸着である。
また、金属層の厚さは、例えば0.3μm〜0.5μm程度であるが、これに限られるものではない。必要とされる電気抵抗、強度等に応じて厚さを選定すれば良い。
芯材の表面に、被覆層を被覆する方法としては、被覆層または芯材の表面に接着剤もしくは粘着剤にて接着層部を形成させて、接着して、被覆しても良い。被覆作業の観点からは、被覆層に接着剤もしくは粘着剤からなる接着層部もしくは粘着層部を付加しておくことが好ましい。接着剤や粘着剤は、芯材と被覆層の必要接着度合いに応じて公知のものを適宜選択して使用すれば良く、加熱溶融(ホットメルト)法を使用して接着しても良いし、ゲルの自己粘着性を利用してもよい。
また、被覆層を、例えば、芯材の(より具体的には芯材の側面の)周囲に巻き付けて接着すると共に、端部を重ね合わせ部で互いに重ね合わせても、重ねずに、つきあわせてもよい。さらに、重ね合わせ部などの補強のために、図7に示すように、粘着テープ等で補強材(例えば、補強シール)として付加することもできる。
また、実用性を考慮して、導電性フィルムの外側表面に、両面テープを貼り付けることができ、この両面テープを用いて、本発明のガスケットを、目的とする箇所に簡単に貼り付けることができるようにしている。両面テープは、例えば、重ね合わせ部の上部に貼り付けておくのが好ましく、そのようにすれば、重ね合わせ部の強度を両面テープによって高めることができるという効果も奏する。もっとも、両面テープは、必須のものではなく、他の手段によって、本発明のガスケットを目的とする箇所に取り付けるようにしても良い。
また、上記両面テープに、導電性のものや熱伝導性のものを用いても良く、そのようにすると、当該両面テープを介して、電磁波シールド用または放熱用または導電用ガスケットと相手側との電気的または熱的導通を取ることもできる。
このようなガスケットを、必要な長さに切る等して、目的の製品の用途にあわせて、目的とする箇所に取り付ければ良い。例えば、電磁波シールド用であれば、携帯電話の受信部品の周囲を取り囲むように配置して、ケース嵌め合い部に組み込んだりすればよい。また、放熱用としては、発熱素子または放熱板と筐体に挟設させて、外部に熱を導くなどの使い方ができる。
3.ガスケットの製造方法
本発明に係るガスケットの製造方法は、例えば、図6、図7、図8に示すように、ゲル状体原料から、成型における硬化離型後の離型表面を保持して、形成されるゲルシートを所定の形状に切断し、該ゲルシートの上下面にある切断されていない面を硬化スキン面(a)に、切断して得られる新生面をブリード面(b)にした芯材(A)を作製する工程(I)と、次いで工程(I)で得た芯材(A)に、被覆層(B)を被覆する工程(II)を含むことを特徴とするものである。なお、図6には、成形型によるシート成形方法を例示したが、対向させた樹脂フィルムに前記ゲル状物質原料を挟んで、カレンダー成形機等で圧延してシート化するとともに、同時又はその後に、硬化させてゲル状物質のシートを製造しても良い。
また、新生面を形成する際には、すなわちブリード面を形成する工程は、所定形状の型の内面の一部に、ゲル状体が硬化した際にゲル表面と一体化される薄い離型シートが予め設けられた型に、硬化前のゲル材料を充填する工程(i)と、その中でゲルを硬化させる工程(ii)と、硬化後に前記離型シートを剥離することにより、スキン層面を離型シートとともに除去する加工工程(iii)を含むことを特徴とするものである。工程(i)において、硬化前ゲルは、液状でも半硬化状でもよく、また、工程(ii)においては、型押し成形、ロール成形、熱プレス、紫外線照射など公知の硬化手法が適用できる。
また、前記離型シートとしては、ゲル状体の硬化時にゲル状体に物理的または化学的に接着され、かつ剥しやすいシートを用い、型内面へは、接着剤等で貼付すればよく、所望の接着性が得られる範囲内でその手法は問わない。ゲル状体の硬化面の平坦度を重視する場合で接着剤等を用いて剥離シートを貼付する場合は、型の内面と著しい段差が生じないように、接着層は薄くするのが好ましい。また、剥離シートに、プライマー処理を施して、前記工程(iii)において、表層部を剥ぎ取るに十分な剥離シートとゲル状体の接合強度を持たせる手法を用いてもよい。さらに、剥離シートに、プライマーをドット状やストライプ状など任意のパターン形状で設けたり、接着力の異なるプライマーを適宜選択することで、ブリード面の形状や位置、媒体の滲み出し具合を調整してもよい。
4.ガスケットの用途
本発明のガスケットは、柔軟で表面形状追従性に優れるとともに、電磁波シールド効果や放熱性や緩衝性に優れ、しかも使用環境下で自発的に芯材と被覆層の接着界面における応力を緩和する特徴を有することにより、耐久性に優れたものであるので、低応力での組み込みや、電磁波、発熱環境において種々の用途に用いることができる。例えば、ディスプレイ、パソコン、携帯電話等の電気製品、自動車部品等のような、電磁波の発生や発熱を伴う電気関連製品に、用いることができ、特に、振動が伴う使用環境、例えば、携帯電話やカーナビなどの使用環境で、好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。
[実施例1]
芯材(A)として、二液性の付加型のシリコーンゲル(東レ・ダウコーニング社製のCF5057)を、50:50の割合で混合したのち、平底の有底の金型に流し込み充填し、100℃で型押しして硬化した後、型から離型して、400mm×400mmの厚さ3mmで、JIS K2207−1996に準拠した針入度(25℃)が100のシリコーンゲルシートを得た。
このシートを3mm幅の短冊状にカットし、金型に接した面を、シリコーンゲルシートのカット面でない上下面の硬化スキン面(a)とし、一方、カット面の新生面を、ブリード面(b)とした。
また、被覆層(B)である電磁波シールド層として、合成樹脂製のフィルムの表面に金属層を形成して成る導電性フィルムを用いた。具体的には、PETフィルムの表面に、Ni/Cuを蒸着法で積層して導電性フィルムを得た。導電性フィルムは、PETフィルム側を芯材(A)側として、芯材(A)の表面に芯材の自己粘着性により密着させて被覆した。
このようにして、例えば、図1に示すようなガスケットを作製した。
[実施例2〜14]
主な作製方法は、実施例1と同様にして、実施例2〜14の電磁波シールド用ガスケットを作製した。その作製に用いた材料等を、以下に示し、表1、2にも、概要を示す。
実施例2のシリコーンゲルは、二液性の付加型の東レ・ダウコーニング社製のCF5106の配合比を調整し用い、シリコーンゲルシートの硬度が針入度(25℃)200のものを芯材とした。
また、実施例3のシリコーンゲルは、二液性の付加型の東レ・ダウコーニング社製のCF5058を用い、シリコーンゲルシートの硬度は針入度(25℃)が10のものを芯材とした。
実施例4は、実施例1のシリコーンゲルに替えて、ウレタンゲルであるエクシールコーポレーション製の商品名「人肌ゲル」を用い、ウレタンゲルシートの硬度は針入度(25℃)が100のものを芯材とした。
また、実施例5では、芯材(A)と被覆層(B)との密着を、接着剤を用いた以外は実施例4と同じ方法で作製したものである。被覆層(B)の芯材(A)への接着には、変性シリコーン系接着剤(セメダイン社製 スーパーX)を用い、被覆層にコーターにより厚さ約10μmで塗布した。
実施例6は、未硬化状態のゲル原料98重量%に対して、2重量%のアソビスイソブチロニトリルを添加して混合して、熱硬化発泡させて発泡体とした以外は実施例1と同様に作製したガスケットである。芯材となる発泡剤の骨子部分の硬度(アソビスイソブチロニトリルを添加しないベースゲルの硬度)は、針入度(25℃)が100である。
また、被覆層(B)の芯材(A)への接着には、変性シリコーン系接着剤(セメダイン社製 スーパーX)を用い、被覆層にコーターにより厚さ約10μmで塗布した。
実施例7は、シリコーンゲルの厚みが1mmであることと、芯材の上下の非ブリード面にサポートフィルムとしてPETフィルムを積層した後に、被覆層で被覆した以外は実施例1と同じ方法で作製したものである。
また、実施例8は、未硬化状態のゲル原料30重量%に対して70重量%の水酸化アルミニウム(昭和電工社製CB−A40)を添加して混合した以外は実施例1と同様に作製したガスケットで、芯材の硬度は針入度(25℃)が70で、熱伝導率が1.0W/m・Kである。
実施例9は、未硬化状態のゲル原料97.5重量%に対して2.5重量%の中空フィラー(日本フィライト社製 エクスパンセル(登録商標)「092DE40d30」)を添加して混合した以外は実施例1と同様に作製したガスケットであり、芯材の硬度は、針入度(25℃)が100である。
実施例10は、未硬化状態のゲル原料70重量%に対して、30重量%の黒鉛粉末(日本黒鉛社製 LB−BG)を添加して混合した以外は実施例1と同様に作製したガスケットであり、芯材の硬度は針入度(25℃)が70で、表面抵抗率が10Ω□である。表面抵抗は、JIS K6271準拠の二重リング法により測定した。
実施例11は、未硬化状態のゲル原料30重量%に対して、70重量%のNi−Znフェライト(戸田工業社製 BSN−714)を添加して混合した以外は実施例1と同様に作製したガスケットであり、芯材の硬度は、針入度(25℃)が60である。
実施例12は、未硬化状態のゲル原料55重量%に対して、45重量%の蓄熱マイクロカプセル(日本カプセルプロダクツ社製 SP−30 融点ピーク温度30℃)を添加して混合した以外は実施例1と同様に作製したガスケットであり、芯材の硬度は針入度(25℃)が60で、DSC(示差熱分析装置)の測定における吸熱ピーク温度が32℃である。
実施例13は、実施例1の被覆層(B)の金属層面を、芯材(A)であるシリコーンゲルとの接着面としたこと以外は実施例1と同様にして作製したガスケットである。
実施例14は、被覆層(B)として、透明導電層付きPETフィルム(東レ社製「ハイビーム」(登録商標)NX01 50μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして作製したガスケットである。
[比較例1〜5]
主な作製方法は、実施例1と同様にして、比較例1〜5のガスケットを作製した。その作製に用いた材料等を、以下に示し、表1にも、概要を示す。
比較例1は、短冊状にカットしたシリコーンゲルの全表面に、表面硬化剤(東レ・ダウコーニング製RD−1のエタノール希釈液)を塗布して、被覆層に対して自己粘着性を生じない硬化スキン層を形成して、媒体の滲み出しを困難にした表面とした以外は実施例1と同様にして作製したガスケットである。
また、比較例2は、芯材となるシリコーンゲルが被覆層に接する全表面をカットし、硬化スキン層を取り除くことにより、全てブリード面としたこと以外は実施例1と同様にして作製したガスケットである。
比較例3は、シリコーンゲルに替えて、東レ・ダウコーニング社製のアスカーC硬度が70のシリコーンゴム(ミラブル型)を用いたことと、芯材と被覆層とを接着剤で密着させた以外は実施例1と同様にして作製したガスケットである。被覆層(B)の芯材(A)への接着には、変性シリコーン系接着剤(セメダイン社製 スーパーX)を用い、被覆層にコーターにより厚さ約10μmで塗布した。
比較例4は、ウレタンゲルに替えて、イノアック社製のアスカーC硬度が70のウレタンゴムを用いた以外は実施例5と同様にして作製したガスケットである。
比較例5は、ウレタンゲルに替えて、ゲル状体でないウレタン発泡体であるイノアック社製のPORON L−24を用いた以外は、実施例5と同様にして作製したガスケットである。芯材の硬度は、JIS K6254(2003)の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−低変形における応力・ひずみ特性の求め方」に準拠して、25%圧縮ひずみにおける圧縮弾性率が0.04MPaである。
(評価):
実施例1〜14、比較例1〜5で得たガスケット又はそれに用いた芯材などについて、次の評価方法に基き、性能評価を実施した。それらの評価結果を表1〜3に示す。
(i)ブリード性(ブリード試験):
[ブリード試験方法の概要]
20mm□×10mmの試料を硝子板に挟み、30%圧縮して、60℃でオーブン中で継続して試験し、滲み出した媒体の重量を測定し、初期重量(100%とする)に対する重量比率の経時変化を評価した。
試料として、実施例1の芯材を用いた。その評価結果を図2に示す。
(ii)接着性(剥離試験):
[剥離試験方法の概要]
図3に示したSUS板の両端に重複するようにゲル状体を設置し、オーブンで60℃に加熱しながらゲル状体の厚み方向に30%圧縮し、所定の時間暴露したのち、引張試験機で180°剥離試験を行い、媒体の滲み出し現象と剥離強度の変化を調べた。
なお、試験片の片面は、未硬化ゲルをSUS板にプライマーを塗布した面に枠を設けて、その枠内へ未硬化ゲルを充填して硬化させて、片方のSUS板にゲルが強固に固定したものを用いた。引っ張り速度は50mm/minとし、加熱無しのブランク試料の剥離強度を100%とし、各暴露時間の経過時の試料の剥離強度を%率で評価した。
試料として、実施例1、実施例5及び比較例4の芯材を用いた。それらの評価結果を図4に示す。
(iii)耐久性(疲労試験及び恒温湿圧試験):
[疲労試験方法の概要]
疲労試験は、ガスケットが使用される状態として、開閉部のシール材として使用されることを想定した繰り返し圧縮試験と、機器に組み込まれて使用され、かつ振動が加わった環境を想定した振動試験を実施し、試験後の媒体の滲み出しと被覆層の損傷の有無を目視検査し、耐久性の評価とした。
また、湿熱圧試験を行い、温度と圧力によるガスケットの耐久性も評価した。
繰返し圧縮試験は、試験体を基盤に両面テープで固定し、試験体厚みに対して30%加圧となるストロークで、試験体上面全体に垂直方向から60回/分の条件で11万回(30回/日で10年分相当の開閉耐久性を想定)実施した。装置は、社内製の平板プレス型の繰返し圧縮試験機を用いた。
振動試験は、断面が3mm□で長さ40mmのガスケットを試験体とし、Φ100mm×厚み2mmのアクリル製の丸型平板上に、均一に4点支持されるように試験体を配置し、さらに試験体の上から同様のアクリル板で挟み試験ユニットとした。なお、アクリル板と試験体の固定は両面テープを用いた。
次に、前記試験ユニットを、加振機の加振台中央に両面テープで固定し、試験体の初期厚さ(試験ユニット組み込み前厚さ)に対して30%加圧となるように、試験ユニットに錘を載せて、1Hz〜100Hzの範囲で30秒間でスイープし、その後30秒間で100Hz〜1Hzまでスイープさせるサイクルパターンを、10万サイクル行った。尚、錘は、加振中に試験ユニット上で動かないように、試験ユニットに両面テープで固定した。
媒体の滲み出しは、試験後の試験体を切断して、芯材表面もしくは被覆層の芯材との接触面を目視評価した。油膜状のものが目視で確認できたものを、滲み出し有りと判定した。
また、ガスケットの損傷は、被覆層の外観の損傷と芯材と被覆層での材料破壊の有無を目視確認し、4つの試験体のうち1箇所でも前記損傷及び破壊が発生しているものは、損傷有りと判定した。
[恒温湿圧試験の概要]
70℃、湿度90%の環境でガスケットを初期厚みに対して30%圧縮した条件で恒温湿圧試験を100時間行い、芯材と被覆層間の媒体の滲み出しの有無を目視確認した。
滲み出しの評価は、耐久性試験と同じ基準で判定した。また、芯材からの媒体の滲み出しにより、芯材と被覆層の密着性の低減の有無を、手で被覆層を剥したときの感覚で、未試験品と比較して判定した。その判定基準は、次の4段階とした。
0:変化無し。
1:やや剥離し易くなった。
2:明らかに剥離し易くなった。
3:著しく剥離し易くなった。
試料として、実施例1〜14、比較例1〜5のガスケットを用いた。それらの評価結果を表1〜3に示す。
Figure 2008262958
Figure 2008262958
Figure 2008262958
表1〜3の評価結果から明らかなように、実施例1〜14のガスケットは、比較例1〜5のガスケットに比べて被覆層の耐久性に優れていた。また、図2に示す実施例1の芯材は、媒体の滲み出しが起こっていることが判り、また、図4に示すように、ガスケットの芯材に、ゲル状体を用い、さらに、芯材の表面がブリード面と硬化スキン面とからなれば、経時変化により、ブリード面からの滲み出した媒体の影響で剥離力が変化し、その結果、界面での応力集中が低減されるため、被覆層の損傷を防止でき、耐久性に優れたものとなることが判る。
さらに詳しく言えば、実施例1と比較例1の比較において、ゲルから滲み出した媒体がゲルと被覆層の界面に介在することにより、被覆層の耐久性が向上することが判る。
また、実施例1と比較例2の対比から、被覆層の接合部となる芯材部位に硬化スキン面を配置することにより、過剰な媒体の滲み出しを抑制でき、比較例2のように芯材の全面がブリード面の場合は、過剰な媒体の滲み出しが起こり、本発明の媒体の滲み出しの適用による作用を逸脱しているため、問題である。
また、実施例1〜3と比較例3、4の対比から、芯材の好ましい硬度範囲が針入度で10〜200であることが判る。
さらに、実施例4と実施例5の対比から、芯材と被覆層の界面が芯材の自己粘着でも接着層でも同様の効果が得られることが判る。
また、実施例1〜3と実施例4の対比から、ゲル状体の素材が異なっても媒体が滲み出すことで得られる作用は同じであることが判る。
さらに、実施例1と実施例6の対比から、芯材がゲルの発泡体であっても同様の効果が得られることが判る。
また、実施例7についてみると、薄物の芯材を用いる場合において、補強材を入れないと被覆層の被覆ができなかったが、実施例7の通り補強材を組み込みことにより、実施例1のガスケットと同等の耐久性を確保しつつ、製造が容易となることが判る。
また、実施例1と実施例8〜12の対比から、芯材に各種フィラーを添加して機能化しても、同様な被覆層の耐久性が得られることが判る。
さらに、実施例1と実施例13の対比から、芯材と接触する被覆材の表面が樹脂面でも金属面でも同様に、被覆層の耐久性が得られるとともに、媒体が有機液体の場合においては、金属界面の防錆効果があることが判る。
最後に、本発明の出願時に販売されている商品に相当する比較例5と実施例1〜14の対比においても、本発明品の耐久性が優れていることが判る。
これらのことから、本発明のガスケットは、電磁波シールド効果や放熱性等の機能性を有しつつ、しかも、耐久性に優れたものであるといえる。
本発明のガスケットは、電磁波シールド効果や放熱性等の機能性を有しつつ、しかも耐久性に優れるという作用効果を奏するので、種々の用途に好適に用いることができ、ディスプレイ、パソコン、携帯電話等の電気製品、自動車部品等のような製品において、不要電磁波や熱対策のガスケットとして有用であり、特に、振動が伴う使用環境、例えば、携帯電話やカーナビなどの使用環境で、好適に用いることができる。
本発明のガスケットを説明する模式図である。 本発明の実施例における評価結果の一例を示す図である。 本発明の実施例における評価方法を説明する図である。 本発明の実施例における評価結果の一例を示す図である。 本発明のガスケットに係る芯材のブリード面からの媒体の滲み出しについて説明するための一実施形態を示す部分拡大図と、従来品の押圧変形形態の一例を示す図である。 本発明に係るゲル状体の作製方法の一例を説明する図である。 本発明のガスケットの作製方法の一例を説明する図である。 本発明のガスケットの作製方法の一実施形態を説明する図である。 本発明のガスケットの一実施形態を示す図である。 従来のガスケットの一実施形態を示す図である。
符号の説明
1 硬化スキン面
2 芯材(ゲル状体)
3 ブリード面
4 被覆層(導電性フィルム等)
5 フィラー
6 被覆層端部の重ね合わせ部
8 両面テープ
10 ガスケット

Claims (10)

  1. 弾力性を有する芯材(A)と、芯材(A)を被覆するためにその表面に形成された被覆層(B)とからなるガスケットにおいて、
    芯材(A)は、ゲル状体から形成され、かつ、被覆層(B)と接する芯材(A)の表面は、ブリード面と硬化スキン面とからなることを特徴とするガスケット。
  2. 前記芯材(A)の硬度は、JIS K2207−1996(50g荷重)に準拠した針入度(25℃)が10〜200であることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
  3. 前記芯材(A)は、ゲル状体にフィラーを添加してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスケット。
  4. 前記芯材(A)と被覆層(B)との接合部の少なくとも一部に、補強材を挟着することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスケット。
  5. 前記芯材(A)のブリード面は、使用時に圧縮される際に、圧縮方向に対して垂直方向の撓み面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスケット。
  6. 前記被覆層(B)の両端部の重ね合わせ部分又は接合部分に、前記芯材(A)の硬化スキン面を設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスケット。
  7. 電磁波シールド用であって、前記被覆層(B)が導電体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガスケット。
  8. 前記芯材(A)に添加するフィラーは、熱伝導性フィラー、導電性フィラー、磁性フィラー、蓄熱フィラー及び中空フィラーからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のガスケット。
  9. 成型における硬化離型後の離型表面を保持して、硬化スキン面としたゲルシートを、所定の形状に切断し、切断して得られる新生面をブリード面にした芯材(A)を作製する工程(I)と、次いで工程(I)で得た芯材(A)に、被覆層(B)を被覆する工程(II)を含むことを特徴とする請求項1に記載のガスケットの製造方法。
  10. 密閉または少なくとも一部が開放された型に、ゲル状体原料を流し込み硬化させ、芯材(A)の表面に、硬化スキン面を形成させた後または同時に、ブリード面を形成する工程(I)と、次いで、芯材(A)に被覆層(B)を被覆する工程(II)を含むガスケットの製造方法であって、
    該ブリード面を形成する工程(I)は、(i)ブリード面を設ける面に相当する型の内面側には、予め薄テープ状の離型シートを設け、(ii)その後、前記離型シートを設けた型に、ゲル状体原料を流し込み硬化させ、(iii)その後、前記離形シートを剥がすことにより、ゲル状体からなる芯材(A)の表面に、所望のブリード面を形成することを特徴とする請求項1に記載のガスケットの製造方法。
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