JP2018056316A - 難燃性薄型電磁波シールドガスケット - Google Patents

難燃性薄型電磁波シールドガスケット Download PDF

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Abstract

【課題】携帯電子端末等の小型化、高機能化に対応可能なガスケット等として利用できる難燃性薄型電磁波シールドガスケットを提供する。【解決手段】難燃性、自己粘着性及び弾性を有するアクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材10に導電性シート11を貼合わせた難燃性薄型電磁波シールドガスケット2であって、前記アクリル系発泡体樹脂材料が、アクリル系樹脂、アクリル系樹脂粘着剤および難燃剤を含有し、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計に対し、アクリル系樹脂の割合が15重量%以上70重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が30重量%以上85重量%以下であり、難燃剤の平均粒径が40μm以下で、かつ難燃剤の割合がアクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計に対し、10重量部以上30重量部以下であり、芯材10の両面の少なくとも一端が導電性シート11にて被覆され、電磁波シールドガスケットの厚みが0.25mm以下である。【選択図】図4

Description

本発明は、電磁波を遮断可能な電磁波シールド材に関する。更に詳しくは、難燃性、自己粘着性及び弾性を有する厚みが0.25mm以下の極薄型難燃性電磁波シールドガスケトに関するものである。
電磁波シールド材は、電磁波を遮断することを目的に、ガスケット、緩衝材、あるいはパッキン等として使用されている。かかる電磁波シールド材としては、弾性材料からなる芯材の表面を導電性フィルムで被覆した構造のものが広く用いられている(例えば、特許文献1)。
近年、スマートフォーンに代表される携帯電子端末の小型化に伴い、電磁波シールド材も出来るだけ薄型のものが要請されている。
しかしながら、図1に示すように、従来の電磁波シールド材(ガスケット)20は弾性材料からなる芯材21に接着剤23を介して導電性被覆材22を被着し、更にその外周部の一辺の一部に両面テープ24を被着し、その両面テープ24によって筺体等に固定しており、かかる構造では薄物ガスケットについては製作が困難であった。
薄物対応の電磁波シールド材としては、ウレタンに金属めっきした導電性ウレタンや不織布に金属めっきした導電性不織布を使用したガスケットが提案されているが、表面から粉塵が発生することやコスト面(導電性ウレタンや導電性不織布が高価)での課題があった。また、このようなシールド材は両面テープを介して導電性筺体等に固定するため、導電性両面テープを使用してもある程度圧縮させなければ十分な電磁波シールド性が得られないという問題があった。
一方、特許文献2には、弾性芯材に粘着層を介して導電性外皮を巻回し、芯材の外周面に一部を残して被着することにより、外皮の隙間から露出した粘着層で直接筐体に固着する方法が記載されている。
しかし、この弾性芯材には自己粘着性がなく、導電生地との接着には別途接着層が必要である。また、弾性芯材(例えば、ウレタンスポンジ)を薄くするには特殊な技術が必要であり一般的に実施する事は難しい。
また、同文献2には、弾性芯材ではなく、粘着層を有する芯材(ゲル状の柱形状をした粘着材)を用いて導電性外皮を巻回する方法も開示されている。
しかしながら、粘着性を有する芯材(ゲル状芯材)を薄くした場合、ゲルには空隙がないため、一定の厚みがなければ筐体との密着性において必要な弾性を確保出来ず、薄くてクッション性のある電磁波シールド材を作製することは難しい。
また、特許文献3には、表面に粘着層を有する膠化体状樹脂材料に導電性フィルムを芯材の表面が外部に露出するように巻回し、直接筐体に付着する方法が記載されている。
しかし、粘着性を保持するには膠化体状樹脂はブリードを起こすことが前提であり、長期的にみると膠化体状樹脂は染み出したブリードの分だけ固くなり、反復性を確保できず、また、上記特許文献2のゲル状芯材同様、弾性を確保しつつ薄くすることは製作上難しいという問題があった。
そこで、本発明者等は、自己粘着性を有する弾性発泡体樹脂材料からなる芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが1mm以下の薄型電磁波シールド材を開発した(特許文献4)。しかし、このシールド材は、難燃性のものではなく、また厚みも弾性確保の点から0.3mm以上を好ましい範囲とするものであった。
更に、本発明者等は、難燃性、自己粘着性及び弾性を有するアクリル系発泡樹脂材料からなる芯材の片方に導電性フィルムを貼り合わせてなる電磁波シールド材を用いることにより厚みが1.0mm以下である電磁波シールド材用シートを開発した(特許文献5)。
しかし、このシールド材用シートを使用したガスケットは、やはり弾性確保の点から厚みが0.3mm以上を好ましい範囲とするものであった。
しかしながら、近年の携帯電子端末の更なる小型化、軽量化に伴い、使用するガスケットもより薄肉化が要求され、上記特許文献4、5に記載の技術では、0.3mm以下のギャップ(間隙)に対応する極薄のシールドガスケットとしての十分なクッション性と粘着性を付与することは困難であった。特に、スマートフォーンでは液晶パネルと回路基板のギャップが0.1mm程度と少ない為に、使用されるシールドガスケットのクッション性が乏しい場合には、液晶パネルが白化するという問題を生じる虞があり、また、かかる極薄のシールドガスケットで難燃性を付与する必要があることも大きな課題となっていた。
特開平6−350282号公報 特開2009−32925号公報 特開2000−13079号公報 特開2013−110280号公報 特開2014−112662号公報
かかる現状下、本発明の目的は、難燃性があり、かつ、薄くても弾性を有し、筐体との密着に両面テープ等の接着剤を必要としない、芯材表面に導電性シートを被覆してなる厚みが0.25mm以下の難燃性薄型電磁波シールドガスケットを提供することにある。
即ち、本発明は次の<1>から<6>に係る発明である。
<1> 難燃性、自己粘着性及び弾性を有するアクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材に導電性シートを貼り合わせてなる難燃性薄型電磁波シールドガスケットであって、
前記アクリル系発泡体樹脂材料が、アクリル系樹脂、アクリル系樹脂粘着剤および難燃剤を含有してなり、
アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が15重量%以上70重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が30重量%以上85重量%以下であり、
難燃剤の平均粒径が40μm以下で、かつ難燃剤の割合がアクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量部)に対し、10重量部以上30重量部以下であり、
アクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材の少なくとも一端が導電性シートにて当該芯材の両面が被覆されてなり、
電磁波シールドガスケットの厚みが0.25mm以下であることを特徴とする難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
<2> アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が30重量%以上60重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が40重量%以上70重量%以下である前記<1>に記載の難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
<3> 前記アクリル系樹発泡体樹脂材料の粘着力が、1.0N/25mm以上である前記<1>または<2>に記載の難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
<4> 前記難燃剤が、ポリ燐酸アンモニウムである前記<1>から<3>のいずれかに記載の難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
<5> 前記導電性シートが、合成樹脂フィルムや合成繊維シートの表面に導電処理を施したものである前記<1>から<4>のいずれかに記載の難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
<6> 前記電磁波シールドガスケットが、UL94V−0相当の難燃性を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
本発明により、難燃性を有し、かつ厚みが0.25mm以下の薄型電磁波シールドガスケットが簡易に、かつ経済的に提供される。
本発明の薄型電磁波シールドガスケットは、前記構成によって、次の具体的効果を有する。
(1)本発明の薄型電磁波シールドガスケットは、芯材が微細な発泡体であるため、薄くても弾性を確保出来る。そのため、極薄でも筐体に密着が可能となる。
(2)本発明の薄型電磁波シールドガスケットは、芯材部分に粘着性を有するため、両面テープを用いることなく筐体に粘着可能である。また、そのため、貼り直しの際にのりが残りにくいという利点を有する。
(3)また、本発明の薄型電磁波シールドガスケットは、難燃性を有し、好ましくはUL94V−0相当の難燃性を有する。
従来の電磁波シールドガスケットを示す断面図である。 本発明の実施形態に係る薄型電磁波シールドガスケットを構成する電磁波シールド材用シートの概念図である。 本発明の実施形態に係る薄型電磁波シールドガスケット(片側側部被覆ガスケット)の概念図である。 本発明の実施形態に係る薄型電磁波シールドガスケット(両側側部被覆ガスケット)の概念図である。 本発明の実施形態に係る薄型電磁波シールドガスケットの作成手順を示すフロー図である。 薄型電磁波シールドガスケットサンプルの物性測定の為の圧縮冶具を示す断面図である。 圧縮力と変形量の関係を示した図である。 変形量と抵抗値の関係を示した図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、図面は本発明の電磁波シールド材用シート、電磁波シールドガスケットを概念的に示したものであり、分かり易くする為に寸法等は実際のものとは異なる。
先ず、本発明は、芯材の片方に導電性フィルムを被覆してなる電磁波シールド材用シートの少なくとも一端において導電性シートによって芯材の両面が被覆された電磁波シールドガスケットであって、前記芯材が、難燃性、自己粘着性及び弾性を有するアクリル系発泡体樹脂材料からなり、かつ、前記電磁波シールドガスケットの厚みが、0.25mm以下である難燃性薄型電磁波シールドガスケット(以下、単に「電磁波シールドガスケット」と呼ぶことがある。)に係るものである。
図2は、本発明の電磁波シールドガスケットを構成する電磁波シールド材用シート1の概念図である。図2(A)において、電磁波シールド材用シート1は、芯材10の片側の表面に導電性シート11を被覆したものであり、前記芯材10が難燃性、自己粘着性及び弾性を有するアクリル系発泡体樹脂材料からなる。なお、芯材10に比べ導電性シート11の幅が広く構成されており、このはみ出し部分を折り曲げ芯材10を両面で被覆することによりガスケットの導電性が担保される。
また、図2(B)は、電磁波シールド材用シートの他の概念図を示したものであり、芯材10に比べ導電性シート11の幅が片側のみ広く構成されている。このはみ出し部分を折り曲げ芯材10を両面で被覆することによりガスケットの導電性が担保される。
電磁波シールド材用シート1は、本発明の電磁波シールドガスケット2として適宜加工され、例えば、デジタルカメラや携帯電話などの小型端末、薄型テレビや小型家電の基板や筐体に取り付けられ、基板から筐体への導通を目的として使用される。
本発明の特徴は、先ず、芯材10として自己粘着性と弾性とを併せ持つアクリル系発泡体樹脂材料を使用することである。
自己粘着性は、材料自身が粘着性を有するものであり、電磁波シールドガスケット2の基板や筐体への載置・接着が両面テープ等の他の接着剤を使用することなく行えるという利点を有する。
弾性は、電磁波シールドガスケット2が基板と筐体との間に載置された場合に両者間の導電性を確保し、また、液晶パネル等における白化の問題を減ずる上で重要である。
アクリル系発泡体樹脂材料は、アクリル系樹脂およびアクリル系樹脂粘着剤を主原料として、発泡・樹脂化することにより製造することができる。アクリル系樹脂、アクリル系樹脂粘着剤は、通常樹脂エマルジョンの形態にて使用される。
アクリル系樹脂は、アクリル系発泡体樹脂材料の主剤となり発泡により弾性を付与し、アクリル系樹脂粘着剤は、アクリル系発泡体樹脂材料に粘着性を付与するとともに、発泡により弾性にも寄与する。本発明で使用するアクリル系樹脂は、ガラス転移点(Tg)が−10℃以上、好ましくは0℃以上であり、アクリル系樹脂粘着剤は、ガラス転移点(Tg)が−40℃以下、好ましくは−50℃以下である。
本発明で使用するアクリル系樹脂とは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体を主成分として重合することで得られたポリマーである。上記アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の単量体を重合してなるポリマーとしては特に限定されないが、アクリル系樹脂エマルジョンを構成するポリマーが好適に用いられる。かかるアクリル系樹脂エマルジョンの市販品としては、例えば、商品名:「ニカゾール」シリーズ(日本カーバイド工業社製)が挙げられる。
また、アクリル系樹脂粘着剤とは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体を主成分として重合することで得られた粘着性ポリマーである。上記アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の単量体を重合してなるポリマーとしては特に限定されないが、アクリル系樹脂粘着剤エマルジョンを構成するポリマーが好適に用いられる。
かかるアクリル系樹脂粘着剤エマルジョンの市販品としては、例えば、商品名:「ニカゾール」シリーズ(日本カーバイド工業社製)、商品名:「プライマル」シリーズ(日本アクリル社製)等の製品が挙げられる。
本発明におけるアクリル系発泡体樹脂材料は、少なくともアクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤とを含有してなり、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が15〜70重量%、好ましくは30〜60重量%であり、アクリル系樹脂粘着剤の割合が30〜85重量%、好ましくは40〜70重量%である。
なお、アクリル系樹脂エマルジョンおよびアクリル系樹脂粘着剤エマルジョンの合計(スラリー:100重量%)に対しては、アクリル系樹脂エマルジョンの割合が約12〜65重量%、好ましくは25〜54重量%であり、アクリル系樹脂粘着剤エマルジョンの割合が約35〜88重量%、好ましくは46〜75重量%となる。
アクリル系樹脂粘着剤の含有量が少なすぎると薄型電磁波シールドガスケットの粘着力、保持力、タックが不十分となり、逆に多すぎるとシールドガスケットの弾性(クッション性)が低下する。
本発明のアクリル系発泡樹脂材料には、難燃性を付与する為、難燃剤を添加する。かかる難燃剤としては、従来から使用されている金属水酸化物や実質的にハロゲンを含有しない難燃剤(ハロゲン不含難燃剤)が使用できる。
本願発明で使用する難燃剤は、平均粒径が40μm以下、好ましくは30μm以下であることが必須である。平均粒径が40μmを超えると保持力が劣るばかりでなく、弾性も不満足なものとなる。なお、難燃剤の平均粒径の下限は特に限るものではないが、5μm以上のものが一般に使用できる。
かかる難燃剤としては、例えば有機リン化合物、膨張黒鉛、ポリフェニレンエーテル、又はトリアジン骨格含有化合物を挙げることができる。これらのうち、難燃性の効果を発現する上で最も好ましいものは、リン化合物である。リン化合物としては、リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム類等を挙げることができる。なかでも、ポリリン酸アンモニウムが好ましく用いられる。
なお、これらの難燃剤は、単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
この難燃剤の含量は、通常、アクリル系樹脂エマルジョンとアクリル系樹脂粘着剤エマルジョンの合計(固形分:100重量部)に対し、10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部であり、10重量部未満では所望の難燃効果が得られず、30重量部を超えるとシールド材の弾性が損なわれる。
本願発明の電磁波シールドガスケットは、上記構成によりUL94V−0相当の難燃性を有する。本願発明の電磁波シールドガスケットは、従来のものと異なり特定の平均粒形の難燃剤を特定量使用することで、極薄のガスケットにも拘らずクッション性が担保されている。
次に、本発明の芯材を構成するアクリル系発泡体樹脂材料およびその製造方法について説明する。
アクリル系発泡体樹脂材料は、次の組成物からなる発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を得た後、この樹脂エマルジョン組成物を離型紙や剥離フィルム(以下、単に「離型紙」ということがある。)上に塗布し、加熱硬化させることにより得ることができる。なお、剥離フィルムとしてはPETフィルムが好適に使用できる。
また、アクリル系発泡体樹脂材料を芯材とし、この芯材に導電性シートを被覆してなる本発明の電磁波シールドガスケットの製法は次の工程を適宜含むものである。
(1)アクリル系樹脂エマルジョン、アクリル系粘着剤エマルジョン、難燃剤、増粘剤、硬化剤、及び好ましくは起泡剤や整泡剤を更に含むアクリル系樹脂エマルジョン組成物を十分に混合した後、空気を巻き込みながら激しく攪拌することにより発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物の塗工液を得る工程
(2)上記塗工液を離型紙上に塗工し、加熱乾燥することによりアクリル系発泡体樹脂材料からなるアクリル系発泡体樹脂シート(芯材)を得る工程
(3)前記アクリル系発泡体樹脂シートの離型紙と接する反対の面に導電性シートを貼り合せて電磁波シールド材用シートを得る工程
(4)電磁波シールド材用シートの離型紙を剥ぎ取り、アクリル系発泡体樹脂シートの少なくとも一端を導電性シートにて両面被覆しガスケットを得る工程
(5)さらに、上記ガスケットの(導電性シートが被覆されていない)芯材の自己粘着面に離型紙を貼り合わせる工程
以下、本発明の電磁波シールドガスケットの製造につき詳述する。
先ず、アクリル系樹脂エマルジョン(例えば、商品名:ニカゾール FX-2138Y;日本カーバイド工業株式会社製)およびアクリル系粘着剤エマルジョン(例えば、商品名:ニカゾール CL-303E;日本カーバイド工業株式会社製)を主原料として、これに難燃剤、泡立てを促進する増粘剤を添加し、更に、硬化剤等を加え十分に混合した後、空気を巻き込みながら激しく攪拌することにより発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を得る。混合、攪拌は、室温にて行うことができる。混合は如何なる方法でも良いが、通常、攪拌しながら混合することが行われる。また、空気を巻き込みながら激しく攪拌する操作は、通常3分以上、好ましくは5分以上行うことが好ましい。この空気を巻き込みながら激しく攪拌する操作により本発明の弾性を有するアクリル系発泡体樹脂材料(アクリル系発泡体樹脂シート)を得ることが可能となる。
上記増粘剤としては、アルカリ増粘剤が好ましく、例えば、商品名:ニカゾール VT-253(日本カーバイド工業株式会社製)や商品名:アロンB-300K(東亞合成株式会社製)等が使用できる。また、水系エマルジョンの増粘剤としてBYK-425(ビックケミージャパン株式会社)が使用できる。
また、硬化剤は、架橋剤とも称され、熱硬化性樹脂の硬化に使用されるものが適宜使用される。例えば、オキサゾリン系硬化剤、メラミン系硬化剤、エポキシ系硬化剤等が使用できるが、比較的低温で効果があり、アルカリ側で混和性、安定性にすぐれるオキサゾリン系硬化剤が好適に使用できる。かかる硬化剤としては、例えば、商品名:ニカゾール FX-955(日本カーバイド工業株式会社製)が使用できる。
なお、これら以外にも、起泡剤、整泡剤や分散剤等を本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加することができる。
各成分の添加割合は、アクリル系樹脂エマルジョンおよびアクリル系粘着剤エマルジョンの合計(固形分)を100重量部としたとき、増粘剤が、0.01〜0.1重量部、好ましくは0.03〜0.07重量部である。増粘剤が0.01重量部未満では、十分な気泡が発生せず、また、0.1重量部を超えると流動性を失い加工性が損なわれる。
硬化剤の添加量は、目的とする芯材の性状により適宜選択されるが、通常、アクリル系樹脂エマルジョンおよびアクリル系粘着剤の合計100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
次に、上記発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を、離型紙上に塗布し、80℃で約10分間予備乾燥し、更に、120℃で約10分間加熱硬化させてアクリル系発泡体樹脂シート(以下、「アクリルフォームシート」ということがある。)を得る。
例えば、発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を離型紙上に0.4mmの厚さで塗布した場合、アクリル系発泡樹脂シートの厚みは0.2〜0.25mm程度となる。
得られるアクリル系発泡体樹脂シートの発泡倍率は、1.2〜3であり、好ましくは、1.3以上である。
また、アクリル系発泡体樹脂シートの幅は、特に制限が無いが、通常0.2〜1.5mである。なお、最終的には使用される電磁波シールドガスケットの適用箇所に応じ適宜カットされる。
上記アクリル系発泡体樹脂シートは、本発明の芯材10を構成するものであり、弾性および粘着性を有し、その厚みは薄型デバイスに装着可能とする為に0.25mm以下、好ましくは0.2mm以下である。一方、電磁波シールドガスケットとしての弾性を付与する為にはある程度の厚みが必要であり、好ましくは0.05mm以上である。
次に、本発明の導電性シート11は、電磁波シールドガスケット2に導電性を付与するものであり、導電性の樹脂フィルムや合成繊維シートなどの生地が挙げられる。導電性の樹脂フィルムとは、ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム等の合成樹脂フィルムの表面に導電処理を施したものである。これらのフィルムの中でも、コスト及び耐熱性の観点からポリエステル樹脂フィルムが好適に使用され、特にPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)フィルムが好適に使用される。また、耐熱性や難燃性の観点からは、ポリイミド樹脂フィルムの使用が有効である。
また、導電性の合成繊維シートとしては、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維シートの表面に導電処理を施したものが例示される。これらの中でも、コスト、耐久性、耐熱性の観点からポリエステル繊維シートの表面に導電処理を施したものが好適に使用される。
本発明において、導電処理とは、金属メッキ、金属蒸着、金属箔貼り合わせ、導電性塗料や導電性インクの印刷等が挙げられる。
上記フィルムにメッキされる金属としては、銅、ニッケル、錫、銀、金等よりなる材料から選ばれた1種又は2種以上が使用される。具体的には、ポリエステル樹脂フィルムへの銅/ニッケルや銅/錫のメッキ等が挙げられるが、この中でも、導電性に優れた銅メッキの上に酸化防止機能を有するニッケルをメッキした銅/ニッケルメッキが好適に使用される。
金属蒸着の例としては、ポリエステル樹脂フィルムへの銅/ニッケルの蒸着が挙げられ、金属箔貼り合わせの例としては、ポリエステル樹脂フィルムへのアルミ箔や銅箔の貼り合わせが挙げられる。
また、導電性塗料や導電性インクの印刷の例としては、ポリエステル樹脂フィルムへ銀や銅のペーストをシルクスクリーン印刷したものを挙げることができる。
これらの中でも、金属蒸着や金属箔を貼り合わせたものが信頼性やコストの観点から好適に使用される。なお、導電性フィルムは導電性シートともいわれ、本発明において特に両者を区別する必要はない。
本発明の導電性シート11の厚みは、通常5μm〜100μmであり、好ましくは10μm〜50μmである。
このように、導電性シート11として、薄い柔軟性のあるフィルムを使用することで粉塵が発生しない電磁波シールドガスケット2の製作が可能である。
本発明の電磁波シールド材用シート1は、上記のようにアクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材10に導電性シート11を被覆したものであり、その厚さは、0.25mm以下、好ましくは0.2mm以下であり、特に好ましくは、0.05〜0.2mmである。
本発明の電磁波シールド材用シートは、自己粘着性があり、粘着力が1.0N/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.0N/25mm以上のものが好適に使用できる。かかる自己粘着性があるため導電性シート11との貼り合わせや筐体と密着を両面テープや接着剤を使用することなく行うことができる。
粘着性が、1.0N/25mm未満では、粘着力が不足し筐体との密着が不十分となるおそれがある。
また、電磁波シールド材用シートの保持力(40℃、荷重0.5kg)は、好ましくは180分以上である。
シートの保持力が、180分未満では、貼り付け後にズレが発生するおそれがある。
更に、電磁波シールド材用シートのタックは、ボールタック6以上、好ましくは10以上である。タックは、初期粘着力に関係があり、値が少ないと初期密着が不十分になるおそれがある。
また、電磁波シールド材用シートの圧縮残留歪み率(%)は、49.5以下、好ましくは49.3以下である。49.5を超えると復元力が乏しくなり、導電性能が問題となるおそれがある。
また、本発明の電磁波シールド材用シート1は、難燃性を有し、好ましくはUL94VTM−0相当の難燃性を有する。
ここに、UL94VTM−0は、ULの薄手材料垂直燃焼試験を示す。UL94VTM−0相当とは、当社内の燃焼試験設備において実施したUL94VTM−0試験において要求事項を満足する難燃性を示すものをいう。
次に、前記電磁波シールド材用シート1を使用する本発明の電磁波シールドガスケット2について説明する。電磁波をシールドするためにはシールド材に導電性が必要なため、前記電磁波シールド材用シートを適宜加工する。
本発明の電磁波シールドガスケットの態様例を図3に示した。図3(A)は、電磁波シールド材用シート1の片側側部の両面に導電性シートを折り曲げたシート状電磁波シールドガスケットの概念図である。
この電磁波シールドガスケット2は、自己粘着性を有する芯材10の片面に導電性シート11を圧着被覆した電磁波シールド材用シート1の片側側部に導電性シート11を折り曲げ被覆しただけの簡単な構造の電磁波シールドガスケットである。
図3(A)に示す様に電磁波シールドガスケット2は、シールド材の導電性を担保する導電性シート被覆部12aと粘着性を担保する導電性シート露出部12bとからなる。
なお、図3(A)のシート状電磁波シールド材は、図3(B)に示すように、適宜カットして適用場所、状況に応じ使用される。
他の態様例を図4に示した。図4(A)は、電磁波シールド材用シート1の両側側部に導電性シート11を折り曲げ被覆したシート状電磁波シールドガスケットの概念図である。この図4(A)のシート状電磁波シールドガスケットは、図4(B)に示すように、適宜カットして適用場所、状況に応じ使用される。
なお、図3(A)に示す芯材10の片側の一端が導電シート11にて芯材の両面が被覆された電磁波シールドガスケットは、図4(A)に示す芯材10の両側側部が導電シート11にて芯材の両面が被覆された電磁波シールドガスケットを二つに裁断することによっても作成することができる。
本発明の電磁波シールドガスケット2の厚さは、ほぼ電磁波シールド材用シート1の厚さと同じであるが、0.25mm以下、好ましくは0.2mm以下であり、特に好ましくは、0.1〜0.2mmである。
本発明の電磁波シールドガスケットは、自己粘着性があるので導電性シートに接着層を設ける必要がなく、筐体への固定用の両面テープも不要なので低コストで作製可能となる。また、接着層及び筐体への固定用両面テープの厚みを排除出来る為、弾力性を有しつつ極薄にする事が可能となる。更に筐体への固定用の両面テープが不要なだけでなく、このような固定構造では、導電性シートが直接導電性筺体に接触するため圧縮せずとも良好な導通(電磁波シールド性)を得ることができる。
また、本発明の電磁波シールドガスケットは、UL94V−0相当の難燃性を有する。かかる難燃性を付与することで、電子機器に用いる電磁波シールドガスケットに使用が可能となる。
以下、本発明の好ましい実施の形態に係る電磁波シールドガスケットを実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を変更しない限り、本実施例に限定されるものではない。
(1)使用材料
1)主剤:アクリル系樹脂エマルジョン(商品名;ニカゾール FX-2138Y:日本カーバイド工業株式会社製)(固形分濃度:59重量%)
2)粘着剤:アクリル系粘着剤エマルジョン(商品名;ニカゾール CL-303E :日本カーバイド工業株式会社製)(固形分濃度:46重量%)
3)増粘剤:アクリルエマルジョン用増粘剤(商品名;BYK-425 ビックケミージャパン株式会社製)(固形分濃度:50重量%)
4)硬化剤:オキサゾリン系硬化剤(商品名;ニカゾール FX-955:日本カーバイド工業株式会社製)(固形分濃度:40重量%)
5)起泡剤:ヒマシ油カリ石けん(商品名;FR25:花王株式会社製)(固形分濃度:33重量%)
6)整泡剤:脂肪酸ジエタノールアミン塩等の水溶液(商品名;SNフォーム200:サンノプコ株式会社製)(固形分濃度:46重量%)
7)難燃剤(1):ポリ燐酸アンモニウム(商品名;AP-462:クラリアント株式会社製);平均粒径(μm)D50=約20
8)難燃剤(2):水酸化アルミニウム(商品名;アピラール1E:テスコ株式会社製);平均粒径(μm)D50=50
(2)アクリルフォームの物性評価方法
発泡倍率は次の式により求めた。
発泡倍率 = 未発泡時の密度/発泡後の密度(嵩密度)
(3)電磁波シールド材用シートの物性の評価方法
1)粘着力(JIS Z0237 180°引き剥がし法)
被着体(SUS304)に貼り付け後、2kgのローラーにて1往復させ、室温にて30分養生後、測定した。
2)保持力(JIS Z0237 40℃保持力測定)
被着体(SUS304)に貼り付け後、2kgのローラーにて1往復させ、40℃の環境下に吊り下げるように設置し、その後1kgの負荷錘をぶら下げて落下する時間を測定した。
3)ボールタック(JIS Z0237 タック力測定)
斜面(30°)試験片をセットし、スチールボールを転がし5秒以上停止したスチールボールのナンバーをタック力として評価した。
4)難燃性
UL94V−0及びUL94VTM-0相当の難燃性をUL規格に基づいて評価した。UL94V−0は、ULの垂直燃焼試験を示し、UL94VTM−0は、ULの薄手材料垂直燃焼試験を示す。また、UL94V−0及びUL94VTM−0相当とは、当社内の燃焼試験設備において実施したUL94V−0及びUL94VTM−0試験において要求事項を満足する難燃性を示すものをいう。
5)圧縮残留歪み率(%)
JIS K6400 軟質ウレタンフォームの試験方法に準じて測定した。
圧縮残留歪みCは、次の式より求めた。なお、試験片の圧縮率は50%、放置条件は70℃(22時間)とした。

C = (t0−t1)/ t0 × 100

C:圧縮残留歪み率(%)
0:初めの試験片の厚み
1:試験後の試験片の厚み
(実施例1)
(1)芯材(アクリルフォームシート)の作成
次の材料を使用し室温(28℃)で、ディスパーにて十分撹拌混合し、その後、空気を巻き込みながら激しく撹拌して発泡させアクリル樹脂エマルジョン組成物の塗工液を調整した。
1)主剤:アクリル系樹脂エマルジョン;15重量%
2)粘着剤:アクリル系粘着剤エマルジョン;85重量%
なお、上記、1)主剤および2)粘着剤の合計(エマルジョン)を100重量部とし、以下の材料を添加した。
3)増粘剤:0.05重量部
4)硬化剤:0.45重量部
5)起泡剤:4重量部
6)整泡剤:2重量部
7)難燃剤(1):ポリ燐酸アンモニウム;20重量部
8)希釈水:15重量部
これらの使用材料の樹脂エマルジョン組成割合を、1)主剤および2)粘着剤のスラリー及び固形分濃度割合と併せて表1に示した。
上記アクリル樹脂エマルジョン組成物の塗工液を、離型紙上に0.2mmの厚さで塗布し、80℃で10分間予備乾燥し、更に、120℃で10分間加熱硬化させて厚み0.13mmの芯材であるアクリルフォームシート(以下「フォームシートA」という。)を得た。フォームシートAの発泡倍率は、1.38、嵩比重は、0.90であった。
(2)電磁波シールド材用シートおよびガスケットの作成
前記(1)で得られたフォームシートAを幅10mmにスリットし、幅15mmの導電性シートを貼付し電磁波シールド材用シートを得た。更に、アクリルフォームAの両側にはみ出した導電性シートを巻き込み圧着被覆した。その後、長さ20mmにカットして、厚み0.2mm×幅10mm×長さ20mmのガスケットを得た。導電性シートは、アルミ箔接着ポリエステルフイルム(パナック株式会社製)厚み35μmを使用した。なお、ガスケットの厚み0.2mmは、両面に被覆された導電性シートの厚み(70μm)を含むものである。
参考までに、ガスケットの作成手順を図5にフロー図として示した。
得られた電磁波シールド材用シートの粘着力は、6.2 N/25mm、保持力は180分以上、ボールタックは16であった。また、圧縮残留歪み率は49.3%であった。これらの評価結果を表1に併せて示す。
(実施例2〜4)
上記実施例1の「(1)芯材の作成」において、各材料の組成割合を表1に示すように変更した以外は同様に行い、厚みが0.13mmの各アクリルフォームシートを得た。また、この各フォームシートを使用し実施例1の「(2)電磁波シールド材用シートおよびガスケットの作成」と同様に行い各電磁波シールド材用シートおよび厚さが0.2mmのガスケットを得た。樹脂エマルジョン組成および物性評価結果を表1に示した。
(比較例1〜5)
上記実施例1の「(1)芯材の作成」において、各材料の組成割合を表1に示すように変更した以外は同様に行い、厚みが0.13mmの各アクリルフォームシートを得た。なお、比較例5は、難燃剤として、水酸化アルミニウムを使用した例である。
また、この各アクリルフォームシートを使用し実施例1の「(2)電磁波シールド材用シートおよびガスケットの作成」と同様に行い各電磁波シールド材用シートおよび厚さが0.2mmのガスケットを得た。樹脂エマルジョン組成および物性評価結果を表2に示した。
(3)電磁波シールドガスケットの性能比較
上記で得られた各ガスケットを試験サンプルとして使用し、圧縮力−変形量、変形量−抵抗値を比較評価した。
同様に、ガスケットサンプルについて高温および高温高湿での信頼試験を行った。試験の条件、結果は次の通りである。
1)圧縮力−変形量
サンプルを図6の圧縮治具にセットし、サンプルを高さの0〜60%変形させたときの各変形量に対する圧縮力を測定した。結果を図7示した。なお、図の煩雑さを避けるため、実施例1、3及び比較例2、3、5の試験結果につき表示した。
2)変形量−抵抗値
サンプルを図6の圧縮治具(抵抗値測定器具は図示せず。)にセットし、サンプルを高さの0〜60%変形させたときの各変形量に対する上下間の抵抗値を測定した。結果を図8示した。なお、図の煩雑さを避けるため、実施例1、3及び比較例2、3、5の試験結果につき表示した。
3)高温試験
高温(85℃×1000hr)の信頼性試験を行った。
上記ガスケットサンプルについて85℃環境下で40%圧縮時の上下間の抵抗値を1000時間経過まで評価した。評価結果をそれぞれ表1、2に示した。
4)高温高湿試験
高温高湿(60℃/90%RH×1000hr)の信頼性試験を、上記「3)高温試験」と同様に行った。評価結果それぞれ表1、2に示した。
5)難燃性
実施例1から4のいずれのガスケットサンプルも、難燃性評価は、UL94V-0相当であった。
(評価結果)
表1のシート物性が示すように、実施例1〜4の本願発明に係る電磁波シールドガスケットの基材となる電磁波シールド材用シートは、0.13mmと極薄にも関わらず、ガスケットとして要求される物性を満足するものであった。
即ち、粘着力はいずれも1.5N/25mm以上、保持力は180分以上、ボールタックは6以上であった。また、圧縮残存歪みは47.1〜49.3%であり、いずれも難燃性(UL94VTM−0)を満足するものであった。
また、表1および図7および図8が示すように、実施例1〜4の本願発明に係る電磁波シールドガスケットは、0.2mmと極薄にも関わらず、信頼性試験をいずれも満足するものであった。
先ず、表1に示す通り、上記ガスケットサンプルについての高温(85℃×1000hr)および高温高湿(60℃/90%×1000hr)の試験でも抵抗値の上昇率は少なく耐熱性を満足するものであった。なお、耐熱性については、高温(85℃)での試験後の抵抗値が0.5Ω以下を保持していれば、また、高温高湿(60℃/90%)での試験後の抵抗値が0.1Ω以下を保持していれば、耐熱性ありと判断できる。
次に、図7の圧縮力−変形量の測定結果は、実施例1〜4のガスケットサンプルのクッション性(弾性)が変形量60%においてもいずれも10Nと良好であることを示している。また、図8の変形量−抵抗値の測定結果は、実施例1〜4のガスケットサンプルの導電性能が低圧縮時の変形量10%においていずれも0.2Ω以下と優れていた。
一方、表2中で比較例1、2が示すように、樹脂エマルジョン組成において主剤に対し粘着剤の量が本願発明の組成より多い場合には保持力が劣り、また高温(85℃)や高温高湿(60℃/90%)での耐熱性に問題が出てくる。
また、比較例3、4が示すように、樹脂エマルジョン組成において主剤に対し粘着剤の量が本願発明の組成より少ない場合には粘着力が劣り、また比較例4では保持力、ボールタックにおいても問題が出てくることが分かる。
比較例5は、実施例1において難燃剤を平均粒径が20μのポリリン酸アンモニウムから平均粒径50μの水酸化アルミニウムに変更したものであるが、表2から分かるように保持力、ボールタックにおいて不満足であり、図7、図8から分かるように導電性能は優れるもののクッション性(弾性)において、実施例1〜4のガスケットサンプルに大きく劣るものであった。
(実施例5)
(1)芯材の作成
実施例1のアクリル樹脂エマルジョン組成物の塗工液を、離型紙上に0.12mmの厚さで塗布し、80℃で10分間予備乾燥し、更に、120℃で10分間加熱硬化させて厚み0.08mmの芯材であるアクリルフォーム(以下「アクリルフォームB」という。)を得た。アクリルフォームBの発泡倍率は、1.38、嵩比重は、0.90であった。
(2)電磁波シールド材用シートおよびガスケットの製作
前記(1)で得られたアクリルフォームBを幅10mmにスリットし、幅15mmの導 電性シートを貼付し電磁波シールド材用シートを得た。更に、アクリルフォームBの両側にはみ出した導電性シートを巻き込み圧着した。その後、長さ20mmにカットして、厚み0.15mm×幅10mm×長さ20mmのガスケットを得た。なお、導電性シートは、アルミ箔接着ポリエステルフイルム(パナック株式会社製)厚み35μmを使用した。得られた電磁波シールド材用シートの粘着力は、6.2 N/25mm、保持力は180分以上、ボールタックは16であった。また、圧縮残留歪み率は49.3%であった。
(3)電磁波シールドガスケットの性能
実施例1と同様にしてガスケットサンプルを作成し、物性評価を行った。
圧縮力−変形量は変形量60%において10Nであり、変形量−抵抗値は変形量10%において0.2Ω以下であった。また、難燃性評価はUL94V-0相当であった。
(比較例6,7)
上記実施例2において、難燃剤(平均粒径が20μのポリリン酸アンモニウム)の量を表3に示すように変更した以外は同様に行い、電磁波シールド材用シートおよびガスケットを製作した。なお、比較例6は、難燃剤の量を10重量部、また、比較例7は、難燃剤の量を40重量部使用した例である。得られた電磁波シールド材用シートの物性を表3に併せて示した。
(評価結果)
表3のシート物性が示すように、比較例6の電磁波シールド材用シートでは、難燃性(UL94VTM−0)が達成できなかった。また、比較例7のシートでは、保持力が著しく劣るものであった。
本発明は、筐体への自己粘着性を有する厚さが0.25mm以下の難燃性、自己粘着性及び弾性を有する薄型電磁波シールドガスケットを提供するものであり、携帯電子端末等の小型化、高機能化に対応可能なガスケット等として利用できる。
1 電磁波シールド材用シート
2、20 電磁波シールドガスケット
10、21 芯材
11 導電性シート
12a 導電性シート被覆部
12b 導電性シート露出部
22 導電性被覆材
23 接着剤
24 両面テープ

Claims (6)

  1. 難燃性、自己粘着性及び弾性を有するアクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材に導電性シートを貼り合わせてなる難燃性薄型電磁波シールドガスケットであって、
    前記アクリル系発泡体樹脂材料が、アクリル系樹脂、アクリル系樹脂粘着剤および難燃剤を含有してなり、
    アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が15重量%以上70重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が30重量%以上85重量%以下であり、
    難燃剤の平均粒径が40μm以下で、かつ難燃剤の割合がアクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量部)に対し、10重量部以上30重量部以下であり、
    アクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材の少なくとも一端が導電性シートにて当該芯材の両面が被覆されてなり、
    電磁波シールドガスケットの厚みが0.25mm以下であることを特徴とする難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
  2. アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が30重量%以上60重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が40重量%以上70重量%以下である請求項1に記載の難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
  3. 前記アクリル系樹発泡体樹脂材料の粘着力が、1.0N/25mm以上である請求項1または2に記載の難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
  4. 前記難燃剤が、ポリ燐酸アンモニウムである請求項1から3のいずれかの項に記載の難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
  5. 前記導電性シートが、合成樹脂フィルムや合成繊維シートの表面に導電処理を施したものである請求項1から4のいずれかの項に記載の難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
  6. 前記電磁波シールドガスケットが、UL94V−0相当の難燃性を有する請求項1から5のいずれかの項に記載の難燃性薄型電磁波シールドガスケット。
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