JP2014112662A - 薄型電磁波シールド材用シートおよび薄型電磁波シールド材 - Google Patents
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Abstract
携帯電子端末等の小型化、高機能化に対応可能なガスケット等として利用できる薄型電磁波シールド材用シート及びそれを使用した薄型電磁波シールド材を提供する。
【解決手段】
難燃性、自己粘着性及び弾性を有するアクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材の片方に導電性フィルムを貼り合わせてなる電磁波シールド材用シートであって、
前記電磁波シールド材用シートの厚みが1.0mm以下である薄型電磁波シールド材用シート及び前記薄型電磁波シールド材用シートを使用した2.0mm以下の薄型電磁波シールド材。
【選択図】図4
Description
近年、スマートフォーンに代表される携帯電子端末の小型化に伴い、電磁波シールド材も出来るだけ薄型のものが要請されている。
しかしながら、従来の電磁波シールド材は、図1に示すように、弾性材料からなる芯材に接着剤を介して導電性被覆材を被着し、更にその外周部の一辺の一部に両面テープを被着し、その両面テープによって筺体等に固定しており、かかる構造では薄物ガスケットについては製作が困難であった。
しかし、この弾性芯材には自己粘着性がなく、導電生地との接着には別途接着層が必要である。また、弾性芯材(例えば、ウレタンスポンジ)を薄くするには特殊な技術が必要であり一般的に実施する事は難しい。
また、同特許文献2には、弾性芯材ではなく、粘着層を有する芯材(ゲル状の柱形状をした粘着材)を用いて導電性外皮を巻回する方法も開示されている。
しかしながら、粘着性を有する芯材(ゲル状芯材)を薄くした場合、ゲルには空隙がないため、一定の厚みがなければ筐体との密着性において必要な弾性を確保出来ず、薄くてクッション性のある電磁波シールド材を作製することは難しい。
しかし、粘着性を保持するには膠化体状樹脂はブリードを起こすことが前提であり、長期的にみると膠化体状樹脂は染み出したブリードの分だけ固くなり、反復性を確保できず、また、上記特許文献2のゲル状芯材同様、弾性を確保しつつ薄くすることは製作上難しいという問題があった。
<1> 難燃性、自己粘着性及び弾性を有するアクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材の片方に導電性フィルムを貼り合わせてなる電磁波シールド材用シートであって、
前記電磁波シールド材用シートの厚みが1.0mm以下である薄型電磁波シールド材用シート。
<2> 前記アクリル系発泡体樹脂材料が、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤とを含有してなり、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が35重量%以上97重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が3重量%以上65重量%以下である前記<1>に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
<3> 前記導電性フィルムが、合成樹脂フィルムの表面に導電処理を施したものである前記<1>又は<2>に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
<4> 前記アクリル系発泡体樹脂材料が、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤とを含有してなり、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が35重量%以上75重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が25重量%以上65重量%以下である前記<2>又は<3>に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
<5> 前記アクリル系発泡体樹脂材料が、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤とを含有してなり、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が75重量%を超え97重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が3重量%以上25重量%未満である前記<2>又は<3>に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
<6> アクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材の片方に導電性フィルムを、他の片方に両面粘着テープを貼り合せてなる前記<5>に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
<7> 前記薄型電磁波シールド材用シートの粘着力が、5.0N/25mm以上、保持力が100分(40℃、荷重1kg)以上である前記<1>から<6>のいずれかに記載の薄型電磁波シールド材用シート。
<8> 前記薄型電磁波シールド材用シートが、UL510FR及びUL94VTM−0相当の難燃性を有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の薄型電磁波シールド材用シート。
<9> 芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが2.0mm以下の薄型電磁波シールド材であって、
前記薄型電磁波シールド材が、前記<1>から<8>のいずれかに記載の薄型電磁波シールド材用シートを使用してなる薄型電磁波シールド材。
<10> 芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが2.0mm以下の薄型電磁波シールド材であって、
前記<1>から<8>のいずれかに記載の薄型電磁波シールド材用シートの任意の一部又は複数部が、導電性フィルムを被覆していない芯材部同士を貼り合わせるように折り曲げられることにより、両面間の導通が確保されてなる薄型電磁波シールド材。
<11> 芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが2.0mm以下の薄型電磁波シールド材であって、
前記薄型電磁波シールド材が、前記<1>から<8>のいずれかに記載のシートの片側側部または両側側部を折り曲げてなる薄型電磁波シールド材。
<12> 芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが2.0mm以下の薄型電磁波シールド材であって、
前記薄型電磁波シールド材が、前記<1>から<8>のいずれかに記載のシートの中央部分に沿って一定の間隔で当該シートの一部を切り曲げてなる薄型電磁波シールド材。
<13> 前記<9>から<12>のいずれかに記載の薄型電磁波シールド材が、UL510FR及びUL94VTM−0相当の難燃性を有する薄型電磁波シールド材。
<14> 次の工程を有する、厚みが1.0mm以下である薄型電磁波シールド材用シートの製造方法。
(1)アクリル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂粘着剤エマルジョン、難燃剤、増粘剤、硬化剤、及び整泡剤を含むアクリル系樹脂エマルジョン組成物を十分に混合した後、空気を巻き込みながら激しく攪拌することにより発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物の塗工液を得る工程
(2)上記塗工液を剥離フィルム上に塗工し、加熱乾燥することによりアクリル系発泡体樹脂シートを得る工程
(3)前記アクリル系発泡体樹脂シートの剥離フィルムと接する反対の面に導電性フィルムを貼り合せて電磁波シールド材用シートを得る工程
<15> 次の工程を有する、厚みが1.0mm以下である薄型電磁波シールド材用シートの製造方法。
(1)アクリル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂粘着剤エマルジョン、難燃剤、増粘剤、硬化剤、及び整泡剤を含むアクリル系樹脂エマルジョン組成物を十分に混合した後、空気を巻き込みながら激しく攪拌することにより発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物の塗工液を得る工程
(2)上記塗工液を導電性フィルム上に塗工し、加熱乾燥することによりアクリル系発泡体樹脂シートを得る工程
本発明の薄型電磁波シールド材及び薄型電磁波シールド材用シートは、前記構成によって、次の具体的効果を有する。
(1)本発明の電磁波シールド材及び薄型電磁波シールド材用シートは、既形成されたウレタン等の発泡体樹脂(ウレタンスポンジ)をスライスするのではなく、発泡体樹脂材料から直接成形する事ができ、極薄のシールド材を容易に得ることができる。
(2)本発明の電磁波シールド材及び薄型電磁波シールド材用シートは、芯材が微細な発泡体であるため、薄くても弾性を確保出来る。そのため、極薄でも筐体に密着が可能となる。
(3)本発明の電磁波シールド材及び薄型電磁波シールド材用シートは、芯材部分に粘着性を有するため、筐体に圧着可能である。
(4)本発明の電磁波シールド材及び電磁波シールド材用シートは、接着剤を用いることなく、芯材に導電性フィルムを被覆することができる。
(5)また、本発明の電磁波シールド材及び薄型電磁波シールド材用シートは、難燃性を有し、好ましくはUL510FR及びUL94VTM−0相当の難燃性を有する。
先ず、本発明は、芯材の片方に導電性フィルムを貼り合せてなる電磁波シールド材用シートであって、前記芯材が、難燃性、自己粘着性及び弾性を有するアクリル系発泡体樹脂材料からなり、かつ、前記電磁波シールド材用シートの厚みが、1.0mm以下である薄型電磁波シールド材用シートに係るものである。
本発明の特徴は、先ず、芯材10として自己粘着性と弾性とを併せ持つアクリル系発泡体樹脂材料を使用することである。
自己粘着性は、材料自身が粘着性を有するものであり、基板や筐体への載置・圧着が可能であるという利点を有する。
アクリル系樹脂は、アクリル系発泡体樹脂材料の主剤となり発泡により弾性を付与し、アクリル系樹脂粘着剤は、アクリル系発泡体樹脂材料に粘着性を付与するとともに、発泡により弾性にも寄与する。
かかるアクリル系樹脂粘着剤エマルジョンの市販品としては、例えば、商品名:「ニカゾール」シリーズ(日本カーバイド工業社製)、商品名:「プライマル」シリーズ(日本アクリル社製)等の製品が挙げられる。
なお、アクリル系樹脂エマルジョンおよびアクリル系樹脂粘着剤エマルジョンの合計(エマルジョン:100重量%)に対し、アクリル系樹脂エマルジョンの割合が30重量%以上95重量%以下、好ましくは40重量%以上70重量%以下であり、アクリル系樹脂粘着剤エマルジョンの割合が5重量%以上70重量%以下、好ましくは30重量%以上60重量%以下である。
アクリル系樹脂粘着剤の含有量が少なすぎると薄型電磁波シールド材の粘着力、保持力、タックが不十分となり、逆に多すぎても粘着力、保持力が低下する。
金属水酸化物としては、例えば水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等が挙げられる。
また、ハロゲン不含難燃剤としては、例えばリン化合物、膨張黒鉛、ポリフェニレンエーテル、又はトリアジン骨格含有化合物を挙げることができる。これらのうち、難燃性の効果を発現する上で最も好ましいものは、リン化合物である。リン化合物としては、リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム類等を挙げることができる。なかでも、ポリリン酸アンモニウムが好ましく用いられる。
なお、これらの難燃剤は、単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系発泡体樹脂材料は、発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を得た後、このエマルジョン組成物を剥離フィルムや離型紙上に塗布し、加熱硬化させることにより得ることができる。
(1)アクリル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂粘着剤エマルジョン、難燃剤、増粘剤、硬化剤、及び整泡剤を含むアクリル系樹脂エマルジョン組成物を十分に混合した後、空気を巻き込みながら激しく攪拌することにより発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物の塗工液を得る工程
(2)上記塗工液を剥離フィルム上に塗工し、加熱乾燥することによりアクリル系発泡体樹脂シートを得る工程
(3)前記アクリル系発泡体樹脂シートの剥離フィルムと接する反対の面に導電性フィルムを貼り合せて電磁波シールド材用シートを得る工程
なお、これら以外にも、整泡剤や分散剤等を本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加することができる。
例えば、発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を剥離フィルム上に0.8mmの厚さで塗布した場合、アクリル系発泡樹脂シートの厚みは0.4〜0.5mm程度となる。
得られるアクリル系発泡体樹脂シートの発泡倍率は、1.2〜3であり、好ましくは、1.5以上である。
また、アクリルフォームシートの幅は、特に制限が無いが、通常0.2〜1.5mである。なお、最終的には使用される電磁波シールド材の適用箇所に応じ適宜カットされる。
本発明において、導電処理とは、金属メッキ、金属蒸着、金属箔貼り合わせ、導電性塗料や導電性インクの印刷等が挙げられる。
また、導電性塗料や導電性インクの印刷の例としては、ポリエステル樹脂フィルムへ銀や銅のペーストをシルクスクリーン印刷したものを挙げることができる。
これらの中でも、金属蒸着や金属箔を貼り合わせたものが信頼性やコストの観点から好適に使用される。なお、導電性フィルムは導電性シートともいわれ、本発明において特に両者を区別する必要はない。
このように、導電性フィルム11として、薄い柔軟性のあるフィルムを使用することで粉塵が発生しない電磁波シールド材2の製作が可能である。
粘着性が、5.0N/25mm未満では、粘着力が不足し筐体との密着が不十分となるおそれがある。
また、電磁波シールド材用シートの保持力(40℃、荷重1kg)は、100分以上が好ましく、より好ましくは180分以上である。
シートの保持力が、100分未満では、貼り付け後にズレが発生するおそれがある。
即ち、前記アクリル系発泡体樹脂材料が、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤とを含有してなり、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が75重量%を超え97重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が3重量%以上25重量%未満である場合は、両面粘着テープを使用することにより、粘着力が5.0N/25mm以上で、保持力(40℃、荷重1kg)が、100分以上を確保することができる。
ここに、UL510は、ULの「電気絶縁テープの燃焼試験」でテープ状製品に対する燃焼試験を示す。UL510FR相当とは、自社内の燃焼試験設備において実施したUL510試験において要求事項を満足する難燃性を示すものをいう。
UL94VTM−0は、ULの薄手材料垂直燃焼試験を示す。UL94VTM−0相当とは、当社内の燃焼試験設備において実施したUL94VTM−0試験において要求事項を満足する難燃性を示すものをいう。
この電磁波シールド材2は、自己粘着性を有する芯材10の片面に導電性フィルム11を圧着した電磁波シールド材用シート1の片側側部を折り曲げただけの簡単な構造の電磁波シールド材である。なお、折り曲げは、導電性フィルムを被覆していない芯材部分同士を貼り合わせるように行う。
図4(A)に示す様に電磁波シールド材2は、シールド材の導電性を担保する導電性フィルム被覆部12aと粘着性を担保する芯材露出部12bとからなる。
なお、図4(A)のシート状電磁波シールド材は、図4(B)に示すように、適宜カットして適用場所、状況に応じ使用される。
この電磁波シールド材2は、自己粘着性を有する芯材10の片面に導電性フィルム11を圧着した電磁波シールド材用シート1の両側側部を折り曲げた構造の電磁波シールド材である。
なお、図5(A)のシート状電磁波シールド材は、図5(B)に示すように、適宜カットして適用場所、状況に応じ使用される。
本発明において、一定の間隔とは、電磁波シールド材の導電性を担保し、かつ粘着性等の本発明で要求される物性を維持する観点から適宜設定される間隔であり、通常5から20mm位である。
また、方形状とは、長方形、正方形のみならず多角形を含み、半円弧状とは、半円形、半楕円形等を含む。
なお、切り曲げ部は、電磁波シールド材シートの長さ方向に設置するが、幅方向にも複数の折り曲げ部を配置しても良い。
このように、本発明の薄型電磁波シールド材は、使用場所や状況に応じ多くの変形使用が可能である。
この電磁波シールド材2は、自己粘着性を有する芯材10の片面に導電性フィルム11を被覆した電磁波シールド材用シート1の両側側部を折り曲げた構造の電磁波シールド材である。なお、折り曲げは、導電性フィルムを被覆していない芯材部分同士を貼り合わせるように行い、折り曲げの無い部分(芯材露出部12b)に、両面粘着テープ14を貼り合せたものとなっている。
また、図8(B)に示す電磁波シールド材は、電磁波シールド材用シート1の片側側面を折り曲げたシート状電磁波シールド材の断面図である。
この電磁波シールド材2は、自己粘着性を有する芯材10の片面に導電性フィルム11を被覆した電磁波シールド材用シート1の両側側部を折り曲げた構造の電磁波シールド材である。なお、折り曲げは、導電性フィルムを被覆していない芯材部を、両面粘着テープ14を介して貼り合わせたものであり、折り曲げの無い部分には両面粘着テープ14が露出したものとなっている。なお、図に示すように折り曲げ部の全面を、両面粘着テープを介して貼り合せる必要はなく、自己粘着性の芯材10の粘着性を考慮し、両面粘着テープによる貼り合せ範囲を適宜決定することができる。
また、図9(B)に示す電磁波シールド材は、電磁波シールド材用シート1の片側側面を折り曲げたシート状電磁波シールド材の断面図である。
図10(A)に示す様に電磁波シールド材2は、シールド材の導電性を担保する導電性フィルム被覆部12aと粘着性を担保する芯材露出部12bに貼付された両面粘着テープ14とを含むものである。
なお、図10(A)のシート状電磁波シールド材は、図10(B)に示すように、適宜カットして適用場所、状況に応じ使用される。
また、図11(A)のシート状電磁波シールド材は、図11(B)に示すように、適宜カットして適用場所、状況に応じ使用される。
剥離フィルムを使用しない場合、アクリル系発泡体樹脂材料は、発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物を得た後、このエマルジョン組成物を導電性フィルム上に直接に塗布し、加熱硬化させることにより得ることができる。
(1)アクリル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂粘着剤エマルジョン、難燃剤、増粘剤、硬化剤、及び整泡剤を含むアクリル系樹脂エマルジョン組成物を十分に混合した後、空気を巻き込みながら激しく攪拌することにより発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物の塗工液を得る工程
(2)上記塗工液を導電性フィルム上に塗工し、加熱乾燥することによりアクリル系発泡体樹脂シートを得る工程
1)主剤:アクリル系樹脂エマルジョン(商品名;ニカゾール FX-2138Y:日本カーバイド工業株式会社製)(固形分濃度:59重量%)
2)粘着剤:アクリル系樹脂粘着剤エマルジョン(商品名;ニカゾール CL-303E :日本カーバイド工業株式会社製)(固形分濃度:46重量%)
3)増粘剤:アクリルエマルジョン用増粘剤(商品名;ニカゾール VT-253:日本カーバイド工業株式会社製)(固形分濃度:28重量%)
4)硬化剤:オキサゾリン系硬化剤(商品名;ニカゾール FX-955:日本カーバイド工業株式会社製)(固形分濃度:40重量%)
5)整泡剤:(商品名;FR25:花王株式会社製)
6)難燃剤(1):ポリ燐酸アンモニウム(商品名;AP-462:クラリアント株式会社製)
7)難燃剤(2):水酸化アルミニウム(商品名;アピラール1E:テスコ株式会社製)
発泡倍率は次の式により求めた。
発泡倍率 = 未発泡時の密度 / 発泡後の密度(嵩密度)
1)粘着力(JIS Z0237 180°引き剥がし法)
被着体(SUS304)に貼り付け後、2kgのローラーにて1往復させ、室温にて30分養生後、測定した。
2)保持力(JIS Z0237 40℃保持力測定)
被着体(SUS304)に貼り付け後、2kgのローラーにて1往復させ、40℃の環境下に吊り下げるように設置し、その後1kgの負荷錘をぶら下げて落下する時間を測定した。
3)ボールタック(JIS Z0237 タック力測定)
斜面(30°)試験片をセットし、スチールボールを転がし5秒以上停止したスチールボールのナンバーをタック力として評価した。
4)難燃性
UL510FR及びUL94VTM−0相当の難燃性をUL規格に基づいて評価した。
UL510は、ULの「電気絶縁テープの燃焼試験」でテープ状製品に対する燃焼試験を示し、UL510FR相当とは、自社内の燃焼試験設備において実施したUL510試験において要求事項を満足する難燃性を示すものをいう。
また、UL94VTM−0は、ULの薄手材料垂直燃焼試験を示し、UL94VTM−0相当とは、当社内の燃焼試験設備において実施したUL94VTM−0試験において要求事項を満足する難燃性を示すものをいう。
(1)塗工液の調整
次の材料を室温(28℃)で、ディスパーにて十分撹拌混合し、その後、空気を巻き込みながら5分間激しく撹拌して発泡させアクリル樹脂エマルジョン組成物の塗工液を調整した。
1)主剤:アクリル系樹脂エマルジョン;50重量部
2)粘着剤:アクリル系樹脂粘着剤エマルジョン;50重量部
なお、上記、1)主剤および2)粘着剤の合計(エマルジョン)を100重量部とし、以下の材料を添加した。
3)増粘剤:アクリルエマルジョン用増粘剤;1重量部
4)硬化剤:オキサゾリン系硬化剤;0.5重量部
5)整泡剤:5重量部
6)難燃剤(1):ポリ燐酸アンモニウム;20重量部
7)難燃剤(2)(「難燃性補助剤」ともいう。):水酸化アルミニウム;30重量部
8)希釈水:6重量部
これらの使用材料の樹脂エマルジョン組成割合を、1)主剤および2)粘着剤の固形分濃度割合(重量部)と併せて表1に示した。
次に、図18を参照しながら塗工処理について説明する。
塗工装置(株式会社ヒラノテクシード製、コンマダイレクトコーター;型番TM-MC)を使用して、電磁波シールド材用シートの中間体となるアクリルフォームシートを作製した。本実施例のアクリルフォームシートの支持材となる剥離フィルムとして、厚み25μm、幅350mmのPETフィルムを用いた。
即ち、塗工装置20の剥離フィルム(PETフィルム)を送り出しロール21から塗工機のバックロール22に送り、その上に上記(1)で調整した塗工液を乗せ、PETフィルム上とコンマヘッド23との間隙を400μmに調整し均一に塗工した。そして乾燥炉24に送り、温度80℃、通過時間6分間の条件下で水分を蒸発させ、発泡したアクリルフォームシートとして、案内ロール26,27を経て巻き取りロール29に巻き取った。
このとき、導電性フィルムとして銅/ニッケルメッキポリエステルフイルム(有限会社 金田技研製)厚み25μmを送り出しロール30から供給し、上記アクリルフォームシートの剥離フィルムと接する反対の面にラミネータロール28により貼りあわせた。
得られたシートの厚みは210μm(剥離フィルム除く。)であった。
さらに巻き取ったロールごと乾燥機内(図示せず。)に収容し、100℃、10分間加熱硬化させて厚み250μm(剥離フィルムを除く)の電磁波シールド材用シートを得た。アクリルフォームシートの発泡倍率は、1.52、嵩比重は、0.89であった。
また得られた電磁波シールド材用シートの粘着性は、7.6N/25mm、保持力は180分以上、ボールタックは12であった。
これらの評価結果を表1に併せて示す。
上記実施例1の(1)塗工液の調整において、各材料の組成割合を表1に示すように変更した以外は同様に行い、各塗工液を得た。また、この各塗工液を実施例1の(2)塗工処理と同様に行い各電磁波シールド材用シートを得た。物性評価結果と併せて表1に示した。
前記実施例1の(2)(および実施例2〜5)で得られた電磁波シールド材用シートを図12に示すように片側側部を折り曲げ長さ6mmにカットして、厚み0.5mm×幅10mm×長さ6mmのガスケットサンプルを得た。
上記ガスケットサンプルについて、変形量−圧縮力、変形量−抵抗値を比較評価した。
同様に、上記ガスケットサンプルについて高温および高温高湿での信頼試験を行った。試験の条件、結果は次の通りである。
サンプルを図13の圧縮治具にセットし、サンプルを高さの0〜40%変形させたときの各変形量に対する圧縮力を測定した。結果をそれぞれ表2及び図14に併せて示した。
サンプルを図13の圧縮治具(抵抗値測定器具は図示せず。)にセットし、サンプルを高さの0〜40%変形させたときの各変形量に対する上下間の抵抗値を測定した。結果をそれぞれ表3及び図15に併せて示した。
高温(85℃×1000hr)の信頼性試験を行った。
上記ガスケットサンプルについて85℃環境下で40%圧縮時の上下間の抵抗値を1000時間経過まで評価した。評価結果を図16に示した。
高温高湿(60℃/90%RH×1000hr)の信頼性試験を、上記高温試験と同様に行った。結果を図17に示した。
実施例1から5のいずれのガスケットサンプルも、難燃性評価は、UL510FR及びUL94VTM-0相当であった。
1)導電性不織布ガスケット
導電性布織布U6100CTV(ウラセ株式会社製:厚さ0.5mm)に、導電性粘着剤(厚さ0.06mm)を貼り合わせてガスケットサンプル(図2参考)を作成した。
このガスケットサンプル(厚み0.5mm×幅10mm×長さ6mm)について、実施例1の(4)と同様に変形量−圧縮力、変形量−抵抗値を比較評価した。評価結果を表2、表3及び図14、図15に実施例1の評価と併せて示した。
また、実施例1の(4)と同様に高温および高温高湿における信頼試験を行った。評価結果を図16、図17に実施例1の評価と併せて示した。
2)導電性ウレタンガスケット
導電性ウレタンSui-70-5005A(セーレン株式会社製:厚さ0.5mm)に導電性粘着剤(厚さ0.06mm)を貼り合わせてガスケットサンプル(図2参考)を作成した。
このガスケットサンプル(厚み0.5mm×幅10mm×長さ6mm)について、実施例1の(4)と同様に変形量−圧縮力、変形量−抵抗値を比較評価した。評価結果を表2、表3及び図14、図15に実施例1の評価と併せて示した。
また、実施例1の(4)と同様に高温および高温高湿における信頼試験を行った。評価結果を図16、図17に実施例1の評価と併せて示した。
実施例1の(1)塗工液の調整の製作において、材料として「2)アクリル系粘着剤(商品名;ニカゾール CL−303E:日本カーバイド工業株式会社製)」を使用しない以外は同様にしてアクリル樹脂エマルジョン組成物を得た。しかし、このエマルジョン組成物から得られたアクリルフォームシートは粘着性を示さず、導電性フィルムとの接着ができなかった。
実施例1の(1)塗工液の調整において、材料として「3)増粘剤(商品名;ニカゾール VT-253:日本カーバイド工業株式会社製)」を使用しない以外は同様にしてアクリル樹脂エマルジョン組成物を得た。しかし、このエマルジョン組成物は、発泡が不十分であり、得られたアクリルフォームシートの発泡倍率は、1.11、嵩密度は、1.22と殆どクッション性を示さなかった。
上記実施例1の(1)塗工液の調整において、各材料の組成割合を表4に示すように変更した以外は同様に行い、各塗工液を得た。また、この各塗工液を実施例1の(2)塗工処理と同様に行い各電磁波シールド材用シートを得た。物性評価結果と併せて表4に示した。
(1)塗工液の調整
上記実施例1の(1)塗工液の調整において、各材料の組成割合を表4に示すように変更した以外は同様に行い、各塗工液を得た。
次に、実施例1と同様に塗工処理を行った。但し、実施例1と異なり剥離フィルムは使用せず、剥離フィルムの代わりに導電性フィルムを使用して、上記アクリル樹脂エマルジョン組成物を導電性フィルム上に直接塗工した。
以下、図19を参照しながら塗工処理について説明する。
塗工装置(株式会社ヒラノテクシード製、コンマダイレクトコーター;型番TM-MC)を使用して、電磁波シールド材用シートの中間体となるアクリルフォームシートを作製した。
塗工装置20の送り出しロール21から導電性フィルム(銅/ニッケルメッキポリエステルフイルム(有限会社 金田技研製))を塗工機のバックロール22に送り、その上に上記(1)で調整した塗工液を乗せ、導電性フィルム上とコンマヘッド23との間隙を400μmに調整し均一に塗工した。そして乾燥炉24に送り、温度80℃、通過時間6分間の条件下で水分を蒸発させ、発泡したアクリルフォームシートとして、案内ロール26,27を経て巻き取りロール29に巻き取った。
次に、巻き取ったロールごと乾燥機内(図示せず。)に収容し、100℃、10分間加熱硬化させて厚み250μmの電磁波シールド材用シートを得た。アクリルフォームシートの発泡倍率は、1.52、嵩比重は、0.89であった。
これらの評価結果を表4に併せて示した。
上記実施例9の(1)塗工液の調整において、各材料の組成割合を表4に示すように変更した以外は同様に行い、各塗工液を得た。また、この各塗工液を実施例9の(2)塗工処理と同様に行い各電磁波シールド材用シートを得た。物性評価結果と併せて表4に示した。
一方、粘着剤の組成が25重量部(固形分)未満では、得られた電磁波シールド材用シートは、粘着力が5.0N/25mm以下と自己粘着性が小さいことから、成形時には剥離フィルムを使用する必要が無い利点を有する。但し、シールド材として使用する場合は、自己粘着性を補うために両面接着テープを併用することが好ましい。
前記実施例6〜8で得られた電磁波シールド材用シートを図12と同様に片側側部を折り曲げ、長さ2mmにカットして、厚み0.5mm×幅5mm×長さ2mmのガスケットサンプルを得た。
また、前記実施例9〜11で得られた電磁波シールド材用シートにポリエステル両面粘着テープ(製品名:フィルム両面テープ;品種 7075;株式会社寺岡製作所製)厚み50μmを貼り付け、図11に示すように片側側部を折り曲げ長さ2mmにカットして、厚み0.5mm×幅5mm×長さ2mmのガスケットサンプルを得た。
上記ガスケットサンプルについて、高温(85℃×1000hrおよび125℃×1000hr)での信頼試験を行った。試験の結果を表4に併せて示した。なお、耐熱性については、高温(85℃、125℃)での試験後の抵抗値が1Ω以下を保持していれば、耐熱性ありと判断できる。実施例6から8のシート材料は、85℃×1000hr試験後の抵抗値は1Ω以下であったが、125℃×1000hr試験後の抵抗値は1Ωを超え、実施例9から11のシート材料に比べより高温での耐熱性が少し劣ることが分かった。
また、実施例6から8及び実施例9から11のいずれのガスケットサンプルも、難燃性評価はUL510FR及びUL94VTM-0相当であった。
2 電磁波シールド材
10 芯材
11 導電性フィルム
12a 導電性フィルム被覆部
12b 芯材露出部
13 接着剤
14 両面粘着テープ
15 導電性ウレタン(導電性不織布)
20 塗工装置
21 送り出しロール
22 バックロール
23 コンマヘッド
24 乾燥炉
25 案内ロール
26 案内ロール
27 案内ロール
28 ラミネータロール
29 巻き取りロール
30 送り出しロール
Claims (15)
- 難燃性、自己粘着性及び弾性を有するアクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材の片方に導電性フィルムを貼り合わせてなる電磁波シールド材用シートであって、
前記電磁波シールド材用シートの厚みが1.0mm以下であることを特徴とする薄型電磁波シールド材用シート。 - 前記アクリル系発泡体樹脂材料が、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤とを含有してなり、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が35重量%以上97重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が3重量%以上65重量%以下である請求項1に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
- 前記導電性フィルムが、合成樹脂フィルムの表面に導電処理を施したものである請求項1又は2に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
- 前記アクリル系発泡体樹脂材料が、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤とを含有してなり、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が35重量%以上75重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が25重量%以上65重量%以下である請求項2又は3に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
- 前記アクリル系発泡体樹脂材料が、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤とを含有してなり、アクリル系樹脂とアクリル系樹脂粘着剤の合計(固形分:100重量%)に対し、アクリル系樹脂の割合が75重量%を超え97重量%以下、アクリル系樹脂粘着剤の割合が3重量%以上25重量%未満である請求項2又は3に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
- アクリル系発泡体樹脂材料からなる芯材の片方に導電性フィルムを、他の片方に両面粘着テープを貼り合せてなることを特徴とする請求項5に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
- 前記薄型電磁波シールド材用シートの粘着力が、5.0N/25mm以上、保持力が100分(40℃、荷重1kg)以上である請求項1から6のいずれかの項に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
- 前記薄型電磁波シールド材用シートが、UL510FR及びUL94VTM−0相当の難燃性を有する請求項1から7のいずれかの項に記載の薄型電磁波シールド材用シート。
- 芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが2.0mm以下の薄型電磁波シールド材であって、
前記薄型電磁波シールド材が、請求項1から8のいずれかの項に記載の薄型電磁波シールド材用シートを使用してなることを特徴とする薄型電磁波シールド材。 - 芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが2.0mm以下の薄型電磁波シールド材であって、
請求項1から8のいずれかの項に記載の薄型電磁波シールド材用シートの任意の一部又は複数部が、導電性フィルムを被覆していない芯材部同士を貼り合わせるように折り曲げられることにより、両面間の導通が確保されてなることを特徴とする薄型電磁波シールド材。 - 芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが2.0mm以下の薄型電磁波シールド材であって、
前記薄型電磁波シールド材が、請求項1から8のいずれかの項に記載のシートの片側側部または両側側部を折り曲げてなることを特徴とする薄型電磁波シールド材。 - 芯材の表面に導電性フィルムを被覆してなる厚みが2.0mm以下の薄型電磁波シールド材であって、
前記薄型電磁波シールド材が、請求項1から8のいずれかの項に記載のシートの中央部分に沿って一定の間隔で当該シートの一部を切り曲げてなることを特徴とする薄型電磁波シールド材。 - 請求項9から12のいずれかの項に記載の薄型電磁波シールド材が、UL510FR及びUL94VTM−0相当の難燃性を有することを特徴とする薄型電磁波シールド材。
- 次の工程を有することを特徴とする、厚みが1.0mm以下である薄型電磁波シールド材用シートの製造方法。
(1)アクリル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂粘着剤エマルジョン、難燃剤、増粘剤、硬化剤、及び整泡剤を含むアクリル系樹脂エマルジョン組成物を十分に混合した後、空気を巻き込みながら激しく攪拌することにより発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物の塗工液を得る工程
(2)上記塗工液を剥離フィルム上に塗工し、加熱乾燥することによりアクリル系発泡体樹脂シートを得る工程
(3)前記アクリル系発泡体樹脂シートの剥離フィルムと接する反対の面に導電性フィルムを貼り合せて電磁波シールド材用シートを得る工程 - 次の工程を有することを特徴とする、厚みが1.0mm以下である薄型電磁波シールド材用シートの製造方法。
(1)アクリル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂粘着剤エマルジョン、難燃剤、増粘剤、硬化剤、及び整泡剤を含むアクリル系樹脂エマルジョン組成物を十分に混合した後、空気を巻き込みながら激しく攪拌することにより発泡アクリル系樹脂エマルジョン組成物の塗工液を得る工程
(2)上記塗工液を導電性フィルム上に塗工し、加熱乾燥することによりアクリル系発泡体樹脂シートを得る工程
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