JP5205748B2 - フレキシブルフラットケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、特性インピーダンスを調整するための低誘電層を備えるフレキシブルフラットケーブルに関する。
従来、例えば、車載カーナビゲーションシステムやオーディオ機器等の電子機器の内部配線材として、複数の平板状導体の両面を、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムと、当該樹脂フィルム上に形成された接着剤層とからなる絶縁フィルムにより被覆した構造のフレキシブルフラットケーブルが使用されている。
また、近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等に接続される電子機器の高速伝送用の配線ケーブルとして、フレキシブルフラットケーブルが用いられつつある。ここで、フレキシブルフラットケーブルを高速伝送用の配線ケーブルとして使用する場合は、当該フレキシブルフラットケーブルの特性インピーダンスを、高速デジタル信号の送信用・受信用ICのインピーダンスと同じ100Ωに設定する必要がある。
そこで、この種の高周波向けのフレキシブルフラットケーブルとして、例えば、導体の両側に接着剤層付きの発泡弾性体をラミネート加工し、当該発泡弾性体の外側に導電性接着剤付きの金属層を備えたフレキシブルフラットケーブルが提案されている。このフレキシブルフラットケーブルでは、発泡弾性体において、空孔を囲む樹脂部の誘電率と、空孔内の空気の誘電率とを複合化することにより、複合誘電率が非発泡の従来の絶縁体の誘電率(約3.0)よりも低い誘電率(約1.5)となるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
このように特許文献1においては、絶縁層に発泡体を設けることにより低誘電率としているが、発泡のバラツキにより、フレキシブルフラットケーブル全体において、均一な静電容量を確保することが困難になるため、フレキシブルフラットケーブルの特性インピーダンスの値を制御することができないという問題があった。
そこで、特性インピーダンスの値を制御するためのフレキシブルフラットケーブルが開示されている。より具体的には、導体の幅、導体の厚み、または導体の両面を被覆する絶縁層の厚さを調整することにより、特性インピーダンスを100Ω±5%に制御した、高周波向けのフレキシブルフラットケーブルが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、特許文献2に記載のフレキシブルフラットケーブルにおいては、電磁干渉とノイズを低減させるためのシールド層が設けられていないため、フレキシブルフラットケーブル全体において、EMI(即ち、電子機器が作動中に電子回路から発生する電磁波が、周辺の電子機器の作動に悪影響を及ぼす現象)を防止することができないという問題があった。また、特許文献2に記載のフレキシブルフラットケーブルに、EMIを防止するためのシールド層を設けた場合、導体とシールド層の間の静電容量が大きくなるため、特性インピーダンスの値が下がり、結果として、EMI防止対策を講じた場合に、インピーダンスマッチングがとれなくなるという問題があった。
特開2003−31033号公報 特開2006−32003号公報
ここで、上述の問題を解消すべく、導体と、シールド層を設けるとともに、当該導体とシールド層の間に、フレキシブルフラットケーブルの特性インピーダンスを調整するための低誘電層を設けることが考えられる。そして、この低誘電層を構成する樹脂として、硬質ポリ塩化ビニル樹脂が考えられるが、硬質ポリ塩化ビニル樹脂を使用する場合、低誘電層が硬くなるため、フレキシブルフラットケーブルの柔軟性が低下するという問題があった。また、一般に、発泡体は低誘電率であるため、低誘電層を構成する樹脂として、発泡ポリプロピレン樹脂等の発泡樹脂が考えられる。このような発泡樹脂は、上述した硬質ポリ塩化ビニル樹脂とは異なり、柔軟性に優れるものの、低誘電層を、例えば、発泡ポリプロピレン樹脂により形成した場合、フレキシブルフラットケーブルを屈曲させて使用する場合に座屈が発生し、屈曲部分の厚みが不均一になる。その結果、屈曲時に、フレキシブルフラットケーブルの特性インピーダンスが不均一になるという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、柔軟性に優れ、屈曲時における座屈を防止することができ、高速伝送用の配線ケーブルとして好適なフレキシブルフラットケーブルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、導体と、導体の両面を被覆する絶縁層と、絶縁層の外面に設けられた低誘電層と、低誘電層の外面に設けられたシールド層と、を備えるフレキシブルフラットケーブルにおいて、低誘電層は、ポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を主成分として含有し、ポリオレフィン樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体と前記ポリエチレン樹脂とからなる樹脂組成物を主成分とするとともに、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体と前記ポリエチレン樹脂の配合割合が、重量比で20:80〜80:20であり、低誘電層の厚み100μm〜350μmであり、かつ低誘電層の誘電率2.2〜3.2であることを特徴とする。
同構成によれば、上記従来技術における発泡ポリプロピレンにより形成された低誘電層とは異なり、発泡させることなく、フレキシブルフラットケーブルの柔軟性を向上させることが可能になる。従って、フレキシブルフラットケーブルの屈曲時における座屈を効果的に防止することが可能になるため、屈曲時に、フレキシブルフラットケーブルの特性インピーダンスが不均一になるのを防止することができる。
また、フレキシブルフラットケーブルの特性インピーダンスの値を、所望の値に設定することが可能になるため、例えば、高速デジタル信号の送信用・受信用ICのインピーダンスと同じ100Ωの特性インピーダンスを有するフレキシブルフラットケーブルを提供することができ、高速伝送用の配線ケーブルとして好適なフレキシブルフラットケーブルを提供することが可能になる。
なお、導体と、導体の両面を被覆する絶縁層と、絶縁層の外面に設けられた低誘電層と、低誘電層の外面に設けられたシールド層と、を備え、低誘電層は、ポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を主成分として含有するフレキシブルフラットケーブルにおいて、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリエチレン樹脂、酸変性ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、およびアイオノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種で構成してもよい。この場合、汎用性が高く、入手が容易な材料により低誘電層を構成するポリオレフィン樹脂(低誘電層)を形成することが可能になる。
請求項2に記載の発明は、請求項に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、ポリエチレン樹脂が、低密度ポリエチレン樹脂および直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の少なくとも一方であることを特徴とする。
同構成によれば、低密度ポリエチレン樹脂および直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、加工性に優れているため、低誘電層を、例えば、Tダイ法やインフレーション法等の溶融押出法や、カレンダー法、キャスティング法、および二軸延伸法等を使用して加工する際に、低誘電層の加工性を向上させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、低誘電層は、難燃剤を、樹脂組成物の100重量部に対して、30重量部以上80重量部以下含有することを特徴とする。同構成によれば、フレキシブルフラットケーブルの特性インピーダンスの値を低下させることなく、UL規格の垂直燃焼試験(VW−1試験)に合格することができる、難燃性に優れたフレキシブルフラットケーブルを提供することが可能になる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、低誘電層とシールド層の間に、易接着層が設けられていることを特徴とする。同構成によれば、低誘電層とシールド層の接着性を確実に向上させることが可能になり、折り曲げで発生するシールド層と低誘電層間の剥離を防ぐことができる。
本発明によれば、特性インピーダンスを調整するための低誘電層を備えるフレキシブルフラットケーブルにおいて、フレキシブルフラットケーブルの柔軟性を向上させ、フレキシブルフラットケーブルの屈曲時における座屈を効果的に防止し、屈曲時に、特性インピーダンスが不均一になるのを防止することができる。また、高速伝送用の配線ケーブルとして好適なフレキシブルフラットケーブルを提供することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るフレキシフラットケーブルの構成を示す概略図であり、図2は、図1のA−A断面図である。また、図3は、図1のB−B断面図である。
本実施形態におけるフレキシブルフラットケーブル1は、図1、図2に示すように、所定の幅及び厚みを有する、複数の平板状の導体2の両面を、絶縁フィルム3により被覆した構造を有する。また、絶縁フィルム3は、樹脂フィルム5と、当該樹脂フィルム5上に積層された接着剤層4により構成されており、2枚の絶縁フィルム3の間に、複数の導体2が挟まれた状態で、当該2枚の絶縁フィルム3を貼り合わせた構成となっている。
また、図2に示すように、一対の絶縁フィルム3を構成する樹脂フィルム5の外面には、低誘電層6が設けられている。この低誘電層6は、フレキシブルフラットケーブル1の特性インピーダンスを調整するためのものであり、本実施形態におけるフレキシブルフラットケーブル1においては、低誘電層6上に積層された粘着剤層8を介して、一対の樹脂フィルム5の外面に、低誘電層6を設ける構成となっている。
また、図2に示すように、本実施形態におけるフレキシブルフラットケーブル1においては、一対の低誘電層6の外面にシールド層9を設ける構成となっている。このシールド層9は、電磁干渉とノイズを低減させるためのものであり、例えば、厚み9μmのポリエチレンテレフタレート樹脂等の絶縁性の樹脂フィルム11の内側面に、例えば、銀等の導電性金属を蒸着し、さらに、導電性金属蒸着層12と導体(グランド線)との導通を得るために、銀蒸着面に、例えば、銀ペースト等の導電性接着剤層13を厚み20μmで塗布し、全体の厚みを30μmとしたシールドテープが使用できる。なおシールド層9はこのような構造に限定されるものではなく、導電性接着剤層13のみをシールド層9としても良い。そして、図2に示すように、低誘電層6とシールド層9の間には、易接着層10が設けられており、当該易接着層10を介して、低誘電層6と、シールド層9の導電性接着剤層13が接着される構成となっている。また、図2に示すように、易接着層10とシールド層9の間には、グランドとしての役割を有するテープ状の導電層15が設けられている。なお、本実施形態においては、フレキシブルフラットケーブル1全体の厚みは、400μm〜900μmとすることができる。
また、図3に示すようにフレキシブルフラットケーブル1の端部1a(以下、「ケーブル端部1a」という。)においては、導体2をプリント基板や電気電子部品等に設けられた接続端子(不図示)と接続すべく、絶縁フィルム3を形成せずに、導体2の一部を外部に露出させる構成となっている。
導体2は、銅箔、錫メッキ軟銅箔等の導電性金属箔からなり、導体2の厚みは、使用する電流量に対応するが、フレキシブルフラットケーブル1の摺動性等を考慮すると、20μm〜50μmが好ましい。
樹脂フィルム5としては、柔軟性に優れた、樹脂材料からなるものが使用され、例えば、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等からなる、フレキシブルフラットケーブル用として汎用性のある樹脂フィルムがいずれも使用可能である。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートポリアリレート樹脂などが挙げられる。
なお、これらの樹脂フィルムのうち、電気的特性、機械的特性、コスト等の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる樹脂フィルム5が好適に使用される。また、ポリイミド樹脂からなる樹脂フィルム5を使用することにより、UL(Underwriters Laboratories inc.)規格を満たす温度定格105℃以上の耐熱老化性を有するとともに、鉛を含有しないはんだによる電子部品の実装作業にも対応できるフレキシブルフラットケーブルを提供することが可能になる。なお、必要に応じて、樹脂フィルム5の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理を施しても良い。また、本実施形態においては、樹脂フィルム5の厚みが、12μm〜50μmのものが、好適に使用できる。
また、接着剤層4としては、樹脂材料からなるものが使用され、本発明においては、例えば、ポリエステル系樹脂に難燃剤を混合した接着剤などが挙げられる。また、本実施形態においては、接着剤層4の厚みが、20μm〜50μmのものが、好適に使用できる。
なお、接着剤層4は、上述の樹脂材料を、溶剤に溶解して樹脂フィルム5上に塗布し、乾燥させて形成する方法のほか、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法により形成することができる。また、樹脂フィルム5との濡れ性を向上させる観点から、樹脂フィルム5に対してコロナ処理を行い、また、既知のアンカーコート剤を塗布した後に塗工することも可能である。
低誘電層6としては、低誘電性を有するとともに、柔軟性、および加工性に優れた樹脂材料を主成分とするものが使用され、本実施形態においては、ポリオレフィン樹脂が使用される。このポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、酸変性ポリエチレン樹脂、酸変性ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、およびアイオノマーが挙げられる。また、これらの樹脂のうち、低誘電性を有するとともに、特に、柔軟性に優れたポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、酸変性ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、およびエチレン−メタクリル酸共重合体が挙げられる。また、低誘電性を有するとともに、特に、加工性に優れたポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)等のポリエチレン樹脂が挙げられる。このような加工性に優れた低密度ポリエチレン樹脂および直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の少なくとも一方により、低誘電層6を構成するポリオレフィン樹脂を形成することにより、低誘電層6を、上述のTダイ法やインフレーション法等の溶融押出法や、カレンダー法、キャスティング法、および二軸延伸法等を使用して加工する際に、低誘電層6の加工性を向上させることができる。
また、本実施形態においては、低誘電層6を、このようなポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を主成分として形成することにより、フレキシブルフラットケーブル1の柔軟性を向上させるとともに、フレキシブルフラットケーブル1の特性インピーダンスの値を50Ω〜110Ωの範囲内において任意の値に設定することが可能になる。
即ち、このような構成により、上記従来技術における発泡ポリプロピレンにより形成された低誘電層とは異なり、発泡させることなく、フレキシブルフラットケーブル1の柔軟性を向上させることが可能になる。従って、フレキシブルフラットケーブル1の屈曲時における座屈を効果的に防止することが可能になる。また、所定の厚み(100μm〜350μm)を有する低誘電層6の誘電率を2.2〜3.2の範囲に低下させることができるため、特性インピーダンスの値を50Ω〜110Ωの範囲内において任意の値に設定することが可能になる。即ち、フレキシブルフラットケーブル1の特性インピーダンスの値を、所望の値に設定することが可能になる。
なお、上述したポリオレフィン樹脂は単独または2種以上の混合物として使用することができる。当該ポリオレフィン樹脂を2種以上の混合物として使用する場合は、例えば、低誘電層6を、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレン樹脂からなる樹脂組成物を主成分として形成するとともに、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレン樹脂の配合割合を、重量比で20:80〜80:20とすることができる。
より具体的には、ポリエチレン樹脂として、低密度ポリエチレン樹脂を使用する場合は、エチレン−酢酸ビニル共重合体と低密度ポリエチレン樹脂により形成するとともに、エチレン−酢酸ビニル共重合体と低密度ポリエチレン樹脂の配合割合を、重量比で20:80〜80:20とすることができる。また、ポリエチレン樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用する場合は、上述のポリオレフィン系樹脂を、エチレン−酢酸ビニル共重合体と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂により形成するとともに、エチレン−酢酸ビニル共重合体と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の配合割合を、重量比で20:80〜80:20とすることができる。
また、上述の低密度ポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を混合して使用することもできる。より具体的には、上述のポリオレフィン系樹脂を、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂との混合樹脂)により形成するとともに、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレン樹脂の配合割合を、重量比で20:80〜80:20とする構成としても良い。
また、ポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を主成分として低誘電層6を形成した場合、当該樹脂組成物の難燃性が乏しいため、フレキシブルフラットケーブル1全体の難燃性が低下するという問題がある。従って、低誘電層6に、難燃剤を含有させて、UL規格の垂直燃焼試験(VW−1試験)に合格する難燃性を付与することが好ましい。当該難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、パークロルペンタシクロデカン等の塩素系難燃剤や、エチレンビスペンタブロモジフェニル、テトラブロモエタン、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモ無水フタール酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、臭化アンモニウム等の臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤が挙げられる。また、例えば、トリアリルホスフェート、アルキルアリルホスフェート、アルキルホスフェート、ジメチルホスフォネート、ホスフォリネート、ハロゲン化ホスフォリネートエステル、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3ジブロモプロピル)2,3ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、芳香族ポリホスフェート、ジブロモネオペンチルグリコール等のリン酸エステルまたはリン化合物や、ホスホネート型ポリオール、ホスフェート型ポリオール、およびハロゲン元素を含むポリオール等が挙げられる。また、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンチモン、ホウ酸、モリブテン酸アンチモン、酸化モリブテン、リン・窒素化合物、カルシウム・アルミニウムシリケート、ジルコニウム化合物、錫化合物、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム水和物、酸化銅、金属銅粉、炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウム等の金属粉や無機化合物、シリコーン系ポリマー。フェロセン、フマール酸、マレイン酸、及びメラミンシアヌレート、トリアジン、イソシアヌレート、尿素、グアニジン等の窒素化合物等が挙げられる。
また、本実施形態においては、低誘電層6が、難燃剤を、上述のポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物の100重量部に対して、30重量部以上80重量部以下含有する構成としている。これは、難燃剤の含有量が30重量部未満の場合は、フレキシブルフラットケーブル1全体の難燃性を十分に向上することができない場合があり、また、難燃剤の含有量が80重量部より多い場合は、フレキシブルフラットケーブル1の特性インピーダンスの値が低下して、当該特性インピーダンスの値を、所望の値に設定することが困難になる場合があるからである。本実施形態においては、低誘電層6に含有する難燃剤としては、臭素系難燃剤、または塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤を使用することが好ましく、また、この際、臭素系難燃剤、または塩素系難燃剤を単独で使用しても良く、臭素系難燃剤と塩素系難燃剤を混合して使用する構成としても良い。また、フレキシブルフラットケーブルの難燃性を一層向上させるとの観点から、難燃助剤を配合する場合は、低誘電層6が、当該難燃助剤を、上述のポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物の100重量部に対して、15重量部以上40重量部以下含有する構成としている。なお、難燃助剤としては、三酸化アンチモンを使用することが好ましい。
また、シールド層9の樹脂フィルム11を、分子骨格中に芳香族環を有する樹脂により形成すると、難燃性、および強度に優れたシールド層9を形成することができる。この樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ1,4シクロヘキシルジメレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂のうち、安価であり、かつ、機械的強度に優れるとの観点から、特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好適に使用できる。
また、低誘電層6とシールド層9を接着させる易接着層10を構成する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ゴム系樹脂等を使用することができる。なお、これらの樹脂は、単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
本実施形態においては、このような易接着層10を設けることにより、低誘電層6とシールド層9の接着性を確実に向上させることが可能になる。なお、本実施形態においては、易接着層10の厚みが、0.1μm〜5μmのものが、好適に使用できる。
また、一対の樹脂フィルム5の外面に、低誘電層6を設けるための粘着剤層8を構成する樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、天然ゴム、ポリイソプレンプレン系ゴム、ニトリルゴム、スチレン・ブタンジエンゴム、ブチルゴム、酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリビニルブチラート、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂等を使用することができる。また、本実施形態においては、粘着剤層8の厚みが、5μm〜60μmのものが、好適に使用できる。
また、低誘電層6は、上述のポリオレフィン樹脂を混合した後、既知のTダイ法やインフレーション法等の溶融押出法や、カレンダー法、キャスティング法、および二軸延伸法等を使用して、加工することにより製造することができる。例えば、Tダイ法を使用する場合は、溶融状態のポリオレフィン樹脂を、Tダイからフィルム状に押出し、その後、冷却ロール等で冷却して成膜することにより、低誘電層6を製造することができる。また、カレンダー法を使用する場合は、ハンバリーミキサー等の混練機によりポリオレフィン樹脂を混練した後、カレンダーロールにより成膜させて冷却ロールで冷却し、巻取機により巻き取ることにより、低誘電層6を製造することができる。なお、難燃剤や難燃助剤が含有された低誘電層6を製造する際には、ポリオレフィン樹脂と難燃剤、難燃助剤を混合した後、上述のTダイ法等により加工して製造する。
また、導電層15としては、例えば、錫めっき箔とアクリル系の粘着剤により形成されたものを使用することができ、厚みが20μmのテープ状のものが好適に使用できる。
フレキシブルフラットケーブル1の製造方法としては、まず、上述の製造方法により製造された低誘電層6の内面に粘着剤層8を設けるとともに、低誘電層6の外面に易接着層10を設けたものを一対、予め形成しておく。なお、この際、粘着剤層8の表面に、離型処理が施されたシート部材(不図示)を設けておく。
また、低誘電層6に易接着層10を形成する方法としては、製造した低誘電層6の外面に、易接着層10を構成する、上述したウレタン樹脂等を酢酸エチル等の溶剤に溶解した塗工液を塗布した後、乾燥させてコーティングする方法や、低誘電層6を構成するポリオレフィン樹脂と、易接着層10を構成するウレタン樹脂等をTダイ共押出機にて、共押し出しするTダイ共押出法等が挙げられる。
また、上述の塗工液を低誘電層6に塗工する方法としては、一般的な塗工方法が使用でき、例えば、グラビアコーティング方法、ロールコーティング方法、カーテンコーティング方法、キスコーティング方法、およびナイフコーティング方法等が挙げられる。このうち、本実施形態においては、グラビアコーティング法が好適に使用され、グラビアコーティング法を使用する際に形成される易接着層10の厚みは、0.1μm〜5μmが好ましい。
次いで、導体2の両面を絶縁フィルム3で挟み込み、既知の熱ラミネータや熱プレス装置を用いて加熱加圧処理を行うことにより、導体2を接着剤層4により、連続的にラミネート接着して、導体2の両面を絶縁フィルム3により被覆した長尺品を製造する。
次いで、離型処理が施されたシート部材を取り除き、絶縁フィルム3の樹脂フィルム5の表面に粘着剤層8を載置し、粘着剤層8を介して、一対の樹脂フィルム5の外面に、低誘電層6を設ける。次いで、低誘電層6の易接着層10の表面に、テープ状の導電層15を設ける。次いで、予め作製しておいたシールドテープを、フレキシブルフラットケーブル1の両側外面に位置する低誘電層6の易接着層10、およびフレキシブルフラットケーブル1の厚さ方向X(図2参照)の両側端面を被覆するように巻き付けて、低誘電層6の外面にシールド層9を設ける。
次いで、既知の熱ラミネータや熱プレス装置を用いて加熱加圧処理を行うことにより、シールド層9と低誘電層6とを接着する。このようにして、図2に示す、フレキシブルフラットケーブル1が製造される。なお、本実施形態におけるフレキシブルフラットケーブル1においては、グランドになる導電層15をコネクタ(不図示)と接続することにより、アース接続を行う構成としている。
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、低誘電層6がポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を主成分とする構成としている。従って、上記従来技術における発泡ポリプロピレンにより形成された低誘電層とは異なり、発泡させることなく、フレキシブルフラットケーブル1の柔軟性を向上させることが可能になる。従って、フレキシブルフラットケーブル1の屈曲時における座屈を効果的に防止することが可能になり、結果として、屈曲時に、フレキシブルフラットケーブル1の特性インピーダンスが不均一になるのを防止することができる。
また、フレキシブルフラットケーブル1の特性インピーダンスの値を、所望の値に設定することが可能になる。従って、例えば、高速デジタル信号の送信用・受信用ICのインピーダンスと同じ100Ωの特性インピーダンスを有するフレキシブルフラットケーブル1を提供することができ、高速伝送用の配線ケーブルとして好適なフレキシブルフラットケーブル1を提供することが可能になる。
(2)本実施形態においては、低誘電層6を構成するポリオレフィン樹脂を、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリエチレン樹脂、酸変性ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、およびアイオノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種により構成している。従って、これらの樹脂を使用することにより、汎用性が高く、入手が容易な材料により低誘電層6を構成するポリオレフィン樹脂を形成することが可能になる。
(3)本実施形態においては、低誘電層6を構成するポリエチレン樹脂を、加工性に優れた低密度ポリエチレン樹脂および直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の少なくとも一方により形成する構成としている。従って、低誘電層6を、Tダイ法やインフレーション法等の溶融押出法や、カレンダー法、キャスティング法、および二軸延伸法等を使用して加工する際に、低誘電層の加工性を向上させることができる。
(4)本実施形態においては、低誘電層6が、難燃剤を、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレン樹脂からなる樹脂組成物の100重量部に対して、30重量部以上80重量部以下含有する構成としている。従って、フレキシブルフラットケーブル1の特性インピーダンスの値を低下させることなく、UL規格の垂直燃焼試験(VW−1試験)に合格することができる、難燃性に優れたフレキシブルフラットケーブル1を提供することが可能になる。
(5)本実施形態においては、低誘電層6とシールド層9の間に、易接着層10を設けり構成としている。従って、低誘電層6とシールド層9の接着性を確実に向上させることが可能になり、折り曲げで発生するシールド層9と低誘電層6間の剥離を防ぐことができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。・図6に示すように、導体2と接続端子の接続信頼性を高めるために、ケーブル端部1aにおける導体2の表面をめっき層7により被覆する構成としても良い。そして、環境への配慮から、鉛を含有しないめっき層7を使用することが好ましく、また、導体2と接続端子間の接続信頼性の低下を防止するとの観点から、鉛を含有しないめっき層7として、金めっき層を使用することができる。導体2の表面へのめっき処理は、無電解めっき法、または電解めっき法により行われ、金めっき層を設ける際には、露出した導体2の表面に対して、まず、拡散防止層としてのニッケルめっき層を形成した後、当該ニッケルめっき層の表面上に金めっき層を形成する方法が採用される。また、めっき層7を形成する際には、導体2の両面を絶縁フィルム3により被覆した後、ケーブル端部1aにおいて、めっき層7が形成される導体2の露出部を設けるべく、打ち抜き加工によって、一方の絶縁フィルム3に穴部を形成しながら、当該絶縁フィルム3を導体2とラミネートし、その後、長尺品を一定の長さに切断する。次いで、露出させた導体2の表面にのみ、連続的にめっき層7を形成する。
以下に、本発明を実施例、比較例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
(低誘電層の作製)
樹脂として、低密度ポリエチレン樹脂〔日本ユニカー(株)製、商品名NUC8007〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で100/30の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(1)を作製した。また、樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂〔日本ユニカー(株)製、商品名NUC DFDJ7540〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で100/30の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(2)を作製した。また、樹脂として、ポリプロピレン樹脂〔日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックPP FL02A〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で100/30の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(3)を作製した。また、樹脂として、エチレン−エチルアクリレート共重合体〔三井・デュポンポリケミカル(株)製、商品名EV A702〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で100/30の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(4)を作製した。また、樹脂として、酸変性ポリエチレン〔三菱化学(株)製、商品名モディックAP F534A〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で100/30の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(5)を作製した。また、樹脂として、エチレン−メチルメタクリレート共重合体〔住友化学(株)製、商品名アクリフトWH303〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で100/30の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(6)を作製した。また、樹脂として、エチレン−メタクリル酸共重合体〔三井・デュポンポリケミカル(株)製、商品名ニュクレル N1207C〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で100/30の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(7)を作製した。また、樹脂として、アイオノマー〔三井・デュポンポリケミカル(株)製、商品名ハイミラン1705〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で100/30の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(8)を作製した。また、樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体〔三井デュポンケミカル(株)製、商品名エバフレックスV360〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で100/30の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(9)を作製した。また、樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体〔三井デュポンケミカル(株)製、商品名エバフレックスV360〕、低密度ポリエチレン樹脂〔日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックYF30〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で50/50/40の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(10)を作製した。また、樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体〔三井デュポンケミカル(株)製、商品名エバフレックスV360〕、低密度ポリエチレン樹脂〔日本ユニカー(株)製、商品名NUC8007〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で50/50/50の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(11)を作製した。また、樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体〔三井デュポンケミカル(株)製、商品名エバフレックスV360〕、低密度ポリエチレン樹脂〔日本ユニカー(株)製、商品名NUC8007〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で50/50/80の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(12)を作製した。さらに、樹脂として、メルトフローレート(MFR)が6g/10minであって、酢酸ビニル含有量(VA)が28%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂〔日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックUF420〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で50/50/40の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(13)を作製した。
なお、公知の低誘電層(14)として、200μmの厚みを有する硬質ポリ塩化ビニル樹脂を用意するとともに、公知の低誘電層(15)として、200μmの厚みを有する発泡ポリプロピレン樹脂を用意した。また、公知の低誘電層(16)として、200μmの厚みを有するポリカーボネート樹脂を用意した。
また、難燃性評価用に、樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体〔三井デュポンケミカル(株)製、商品名エバフレックスV360〕、低密度ポリエチレン樹脂〔日本ユニカー(株)製、商品名NUC8007〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で50/50/20の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(17)を作製した。また、樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体〔三井デュポンケミカル(株)製、商品名エバフレックスV360〕、低密度ポリエチレン樹脂〔日本ユニカー(株)製、商品名NUC8007〕、および臭素系難燃剤〔アルベマール(株)製、商品名SAYTEX8010〕を重量比で50/50/100の割合で使用し、これらの樹脂を混練機により混練後、135℃に設定したカレンダーロールにてカレンダー加工し、200μmの厚みを有するフィルム状の低誘電層(18)を作製した。
(低誘電層の曲げ反発力の測定)
次いで、低誘電層(1)〜(18)の各々について、屈曲時の曲げ反発力の測定を行った。その結果を、表1、表2に示す。なお、曲げ反発力の測定は、低誘電層(1)〜(18)を保持するための保持部材であるチャック20、21を備える引張圧縮試験機(今田製作所(株)製、商品名SV50型)を使用して行った。より具体的には、図4に示すように、まず、低誘電層30の一端部から10mmの部分に、図中の矢印Wの方向に移動可能なチャック20を取り付けるとともに、他端部から10mmの部分に、チャック21を取り付け、低誘電層(1)〜(18)のうち、いずれかの低誘電層(以下、「低誘電層30」という。)を、間隔Dが50mmとなるように配置されたチャック20、21により挟んで固定した。次いで、チャック20を、図中の矢印Wの方向において、100mm/分の速度で移動(降下)させ、図5に示す、チャック20、21の間隔Dが30mmとなった時の低誘電層30の曲げ反発力を測定した。なお、各誘電層(1)〜(18)には、幅が25mm、長さが70mmのものを使用した。
(低誘電層の誘電率の測定)
次いで、低誘電層(1)〜(18)の各々について、誘電率の測定を行った。その結果を、表1、表2に示す。なお、誘電率の測定は、誘電率測定器〔日本ヒューレットパッカード(株)製、商品名4276A LCZメーター〕を使用して行った。
(接着力評価)
(実施例1)
低誘電層(13)の外面に、2液硬化型のウレタン樹脂〔東洋インキ(株)製、主剤:EL510 硬化剤:CAT−RT810〕を、グラビアコーターにて塗布し、乾燥させて、グラビアコーティング法により、厚みが2μmの易接着層を形成した。次いで、熱プレス機を使用して、100℃、10kg/cmで5秒熱プレスし、易接着層を介して、低誘電層(13)とシート状のシールドテープを接着して貼り合わせ、貼り合わせたシートを幅が10mmとなるように加工した。なお、シールドテープとしては、厚さ9μmのPET製のテープの一面に銀を蒸着し、その上に導電性接着剤を厚さ20μmで塗布したもの(即ち、全体の厚さが30μm)を使用した。次いで、シールドテープを、100mm/分の速度で180°剥離し、シールドテープと低誘電層との接着力を測定した。その結果を、表3に示す。なお、接着力の測定は、引張圧縮試験機(今田製作所(株)製、商品名SV50型)を使用して行った。
(実施例2)
低誘電層(10)の外面に、酢酸ビニル樹脂〔日本合成化学工業(株)製 商品名ゴーセニール〕を溶剤に溶解した塗工液を、グラビアコーターにて塗布し、乾燥させて、グラビアコーティング法により、厚みが2μmの易接着層を形成した。次いで、上述の実施例1と同様にして、低誘電層(10)とシールドテープを接着して貼り合わせて、加工した。その後、上述の実施例1と同一条件により、接着力を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例3)
低誘電層(13)の外面に易接着層を設けなかったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、低誘電層(13)とシート状のシールドテープを接着して貼り合わせて、加工した。その後、上述の実施例1と同一条件により、接着力を測定した。その結果を表3に示す。
(比較例1)
熱プレス機を使用して、低誘電層(14)と、シート状のシールドテープを接着して貼り合わせ、貼り合わせたシートを幅が10mmとなるように加工した。なお、シールドテープとしては、厚さ9μmのPET製のテープの一面に銀を蒸着し、その上に導電性接着剤を厚さ20μmで塗布したもの(即ち、全体の厚さが30μm)を使用した。次いで、上述の実施例1と同一条件により、接着力を測定した。その結果を表3に示す。
(比較例2)
熱プレス機を使用して、低誘電層(15)とシート状のシールド層を接着して貼り合わせ、貼り合わせたシートを幅が10mmとなるように加工した。なお、シールドテープとしては、厚さ9μmのPET製のテープの一面に銀を蒸着し、その上に導電性接着剤を厚さ20μmで塗布したもの(即ち、全体の厚さが30μm)を使用した。次いで、上述の実施例1と同一条件により、接着力を測定した。その結果を表3に示す。
(実施例4)
(フレキシブルフラットケーブルの作製)
まず、低誘電層(1)の外面に、2液硬化型のウレタン樹脂〔東洋インキ(株)製、主剤:EL510 硬化剤:CAT−RT810〕を、グラビアコーターにて塗布し、乾燥させて、グラビアコーティング法により、厚みが2μmの易接着層を形成した。次いで、導体である銅線(厚み0.035mm、幅0.3mm)10本を平行に並べた状態で、当該銅線を、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム(厚み0.025mm)と、当該樹脂フィルム上に形成されたポリエステル系接着剤からなる接着剤層(厚み0.035mm)を有する、全体の厚みが0.06mmである2枚の絶縁フィルムで挟み込み、熱ラミネータを用いて加熱加圧処理を行うことにより、銅線の両面を絶縁フィルムにより被覆した。なお、10本の銅線のうち1本は二枚重ねとし、グランド線とした。次いで、上述の、厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の内面に、厚みが40μmであるアクリル樹脂〔綜研化学(株)製 商品名SKダイン1201〕からなる粘着剤層が形成されたものを一対、用意し、絶縁フィルムの樹脂フィルムの表面に粘着剤層を載置し、粘着剤層を介して、一対の樹脂フィルムの外面に、低誘電層を設けた。次いで、低誘電層の易接着層の表面に、厚みが20μmのテープ状の導電層を設けた後、上述の実施例1〜3で使用したシールドテープを低誘電層6の易接着層10を被覆するように巻き付けた。次いで、100℃、10g/cm、5秒間、熱プレスしてフレキシブルフラットケーブルを作製した。
(フレキシブルフラットケーブルの曲げ反発力の測定)
次いで、作製したフレキシブルフラットケーブルについて、屈曲時の曲げ反発力の測定を行った。その結果を、表4に示す。なお、曲げ反発力の測定は、上述の引張圧縮試験機(今田製作所(株)製、商品名SV50型)を使用して、上述の低誘電層の曲げ反発力の測定と同様にして行った。即ち、まず、フレキシブルフラットケーブルの一端部から10mmの部分に、チャック20を取り付けるとともに、他端部から10mmの部分に、チャック21を取り付け、フレキシブルフラットケーブルを、間隔Dが50mmとなるように配置されたチャック20、21により挟んで固定した。次いで、チャック20を、上述の矢印Wの方向において、100mm/分の速度で移動(降下)させ、チャック20、21の間隔Dが30mmとなった時のフレキシブルフラットケーブルの曲げ反発力を測定した。なお、フレキシブルフラットケーブルには、幅が25mm、長さが70mmのものを使用した。
(特性インピーダンスの測定)
また、作製したフレキシブルフラットケーブルについて、特性インピーダンスを測定した。その結果を表4に示す。なお、特性インピーダンスは、特性インピーダンス測定装置〔アジレントテクノロジー社製、ネットワークアナライザ 型番:E8362B、Sパラメータテストセット 型番:N4419Bアジレントテクノロジー〕により測定した。また、特性インピーダンスの目標値を100Ωとし、測定値が90Ω〜110Ωのものを合格とした。
(難燃性評価)
次いで、作製したフレキシブルフラットケーブルに対して、UL規格1581のVW−1に規定される垂直燃焼試験を行った。より具体的には、実施例4のフレキシブルフラットケーブルを10本用意し、着火後、10本中1本以上燃焼したもの、燃焼落下物により、試料であるフレキシブルフラットケーブルの下方に配置した脱脂綿が燃焼したもの、または、試料であるフレキシブルフラットケーブルの上部に取り付けたクラフト紙が燃焼したものを不合格とし、その他を合格とした。以上の結果を表4に示す。
(実施例5)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(2)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
(実施例6)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(3)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
(実施例7)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(4)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
(実施例8)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(5)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
(実施例9)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(6)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
(実施例10)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(7)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
(実施例11)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(8)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
(実施例12)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(9)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表4に示す。
(実施例13)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例2において説明した、厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(10)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
(実施例14)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(11)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
(実施例15)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(12)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
(実施例16)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例1において説明した、厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(13)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
(比較例3)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の低誘電層(14)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
(比較例4)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の低誘電層(15)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
(比較例5)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の低誘電層(16)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
(比較例6)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(17)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
(比較例7)
厚みが2μmの易接着層が形成された低誘電層(1)の代わりに、上述の実施例4において低誘電層(1)に形成した厚みが2μmの易接着層と同一の易接着層が形成された低誘電層(18)を使用したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、フレキシブルフラットケーブルを作製した。その後、上述の実施例4と同一条件により、曲げ反発力の測定、特性インピーダンスの測定、および難燃性評価を行った。以上の結果を表5に示す。
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表1、表2に示すように、低誘電層(1)〜(13)、(15)、(17)および(18)は、いずれの場合においても、屈曲時の曲げ反発力の値が小さく、柔軟性に優れていることが判る。また、同様に、表4、表5に示すように、低誘電層(1)〜(13)を使用した実施例4〜16、低誘電層(15)を使用した比較例4、低誘電層(17)を使用した比較例6、および低誘電層(18)を使用した比較例7のフレキシブルフラットケーブルにおいては、いずれの場合においても、屈曲時の曲げ反発力が小さく、柔軟性に優れていることが判る。即ち、低誘電層(1)〜(13)は、発泡ポリプロピレンにより形成された低誘電層(15)とは異なり、発泡させることなく、フレキシブルフラットケーブルの柔軟性を向上させることができることが判る。一方、表1、表2に示すように、低誘電層(14)、および(16)は、屈曲時の曲げ反発力の値が大きく、柔軟性に乏しいことが判る。また、同様に、表4、表5に示すように、低誘電層(14)、および(16)を使用した比較例3、および比較例5のフレキシブルフラットケーブルにおいては、屈曲時の曲げ反発力の値が大きく、柔軟性に乏しいことが判る。
また、表1、表2に示すように、低誘電層(1)〜(15)、および(17)は、いずれの場合においても、誘電率が3.2以下と低く、また、表4、表5に示すように、これらの低誘電層(1)〜(13)を使用した実施例4〜16、低誘電層(14)を使用した比較例3、低誘電層(15)を使用した比較例4、および低誘電層(17)を使用した比較例6のフレキシブルフラットケーブルにおいては、いずれの場合においても、特性インピーダンスが90Ω〜110Ωの範囲内にあり、高速伝送用の配線ケーブルとして好適であることが判る。一方、表1、表2に示すように、低誘電層(16)、および(18)は、いずれの場合においても、誘電率が3.2以上と高く、また、表4、表5に示すように、これらの低誘電層(16)を使用した比較例5、および低誘電層(18)を使用した比較例7のフレキシブルフラットケーブルにおいては、いずれの場合においても、特性インピーダンスが90Ω〜110Ωの範囲外にあり、高速伝送用の配線ケーブルとして好適ではないことが判る。
また、表4、表5に示すように、低誘電層(1)〜(13)を使用した実施例4〜16、低誘電層(14)を使用した比較例3、低誘電層(16)を使用した比較例5、および低誘電層(18)を使用した比較例7のフレキシブルフラットケーブルにおいては、いずれの場合においても、UL規格1581のVW−1に規定される垂直燃焼試験に合格していることが判る。一方、表4、表5に示すように、低誘電層(15)を使用した比較例4、および低誘電層(17)を使用した比較例6のフレキシブルフラットケーブルにおいては、いずれの場合においても、UL規格1581のVW−1に規定される垂直燃焼試験に不合格であり、難燃性に乏しいことが判る。
また、表3に示すように、低誘電層とシールドテープを接着するための易接着層を設けた実施例1、2は、当該易接着層を設けていない実施例3、および比較例2に比し、シールドテープの接着力が大きいことが判る。なお、比較例1においては、低誘電層(14)とシールドテープの接着力が、シールドテープの強度よりも大きく、シールドテープを剥離する際に、シールドテープが破壊されたため、接着力を測定することができなかった。
本発明の活用例としては、特性インピーダンスを調整するための低誘電層を備えるフレキシブルフラットケーブルが挙げられる。
本発明の実施形態に係るフレキシフラットケーブルの構成を示す概略図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 低誘電層の弾性力の測定を説明するための図である。 低誘電層の弾性力の測定を説明するための図である。 本発明の実施形態に係るフレキシフラットケーブルの変形例を説明するための断面図である。
符号の説明
1…フレキシブルフラットケーブル、2…導体、3…絶縁フィルム、4…接着剤層、5…樹脂フィルム、6…低誘電層、7…めっき層、8…粘着剤層、9…シールド層、10…易接着層、11…樹脂フィルム、12…導電性金属蒸着層、13…導電性接着剤層、15…導電層、16…フレキシブルフラットケーブル

Claims (4)

  1. 導体と、前記導体の両面を被覆する絶縁層と、前記絶縁層の外面に設けられた低誘電層と、前記低誘電層の外面に設けられたシールド層とを備えるフレキシブルフラットケーブルにおいて、
    前記低誘電層は、ポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を主成分として含有し、
    前記ポリオレフィン樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレン樹脂とからなる樹脂組成物を主成分とするとともに、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体と前記ポリエチレン樹脂の配合割合が、重量比で20:80〜80:20であり、
    前記低誘電層の厚み100μm〜350μmであり、かつ前記低誘電層の誘電率2.2〜3.2である
    ことを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。
  2. 前記ポリエチレン樹脂が、低密度ポリエチレン樹脂および直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルフラットケーブル。
  3. 前記低誘電層は、難燃剤を、前記樹脂組成物の100重量部に対して、30重量部以上80重量部以下含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレキシブルフラットケーブル。
  4. 前記低誘電層と前記シールド層の間に、易接着層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のフレキシブルフラットケーブル。
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