JP2009272083A - 絶縁フィルムおよびそれを備えたフラットケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】耐湿熱性、耐熱性に優れるとともに、カール状の変形の発生を防止でき、加工性に優れた絶縁フィルムおよびそれを備えたフラットケーブルを提供することを目的とする。
【解決手段】フラットケーブル1は、複数の導体2と、接着剤層4と樹脂フィルム5とアンカーコート層7からなり、導体2の両面を被覆する絶縁フィルム3とを備えている。アンカーコート層7は、無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂にイソシアネート系の硬化剤を混合した樹脂組成物を主成分としている。
【選択図】図2
【解決手段】フラットケーブル1は、複数の導体2と、接着剤層4と樹脂フィルム5とアンカーコート層7からなり、導体2の両面を被覆する絶縁フィルム3とを備えている。アンカーコート層7は、無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂にイソシアネート系の硬化剤を混合した樹脂組成物を主成分としている。
【選択図】図2
Description
本発明は、導体の両面を被覆する絶縁フィルム、およびそれを備えたフラットケーブルに関する。
従来、例えば、車載カーナビゲーションシステムやオーディオ機器等の電子機器の内部配線材として、複数の平板状導体の両面を、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムと、当該樹脂フィルム上に形成された接着剤層とからなる絶縁フィルムにより被覆した構造のフラットケーブルが使用されている。
また、一般に、フラットケーブルを製造する際には、導体の両面を絶縁フィルムで挟み込み、既知の熱ラミネータや熱プレス装置を用いて加熱加圧処理を行うことにより、導体を絶縁フィルムの接着剤層により、連続的にラミネート接着して、導体の両面を絶縁フィルムにより被覆する方法が採用される。
ここで、一般に、樹脂フィルムと接着剤層の接着性を向上させるために、樹脂フィルムと接着剤層の間にアンカーコート層を設ける構成としている。このアンカーコート層としては、例えば、主剤であるポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等のポリオールに、イソシアネート系の硬化剤を混合した熱硬化型の樹脂組成物を主成分とするアンカーコート層が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
また、樹脂フィルムと接着剤層の接着性をより一層向上させるとの観点から、樹脂フィルムであるポリエステルフィルムと接着剤層の間に有機チタン化合物を主成分とするアンカーコート層を設けた絶縁フィルムが提案されている。このような絶縁フィルムを使用することにより、絶縁フィルムの接着性および耐電圧特性が向上すると記載されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−146347号公報
特開平7−169352号公報
しかし、上記特許文献1に記載のアンカーコート層を備えたフラットケーブルにおいては、上述のごとく、アンカーコート層がポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールにより構成されており、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールは加水分解しやすいため、耐湿熱性が低下するという問題があった。
また、上記特許文献2に記載のアンカーコート層を備えたフラットケーブルにおいては、アンカーコート層を介して、接着剤層を樹脂フィルムとラミネートして絶縁フィルムを作製する際に、高温(約180℃)下での加熱処理を行う必要があるため、接着剤層4が溶融して固化する際に、熱収縮が生じ、絶縁フィルムにカール状の変形が発生し易くなるという問題があった。従って、導体を、樹脂フィルムと接着剤層の間に有機チタン化合物を主成分とするアンカーコート層を設けた2枚の絶縁フィルムで挟み込み、熱ラミネータを用いて加熱加圧処理を行い、導体の両面を絶縁フィルムによりラミネートして被覆することによりフラットケーブルを作製する際に、絶縁フィルム3により、導体2の両面を良好にラミネートすることが困難になるという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、耐湿熱性、耐熱性に優れるとともに、カール状の変形の発生を防止でき、加工性に優れた絶縁フィルムおよびそれを備えたフラットケーブルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、樹脂フィルムと、樹脂フィルムの表面に設けられたアンカーコート層と、アンカーコート層の表面に設けられた接着剤層とを備える絶縁フィルムにおいて、アンカーコート層は、無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂にイソシアネート系の硬化剤を混合した樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする。
同構成によれば、アンカーコート層の耐熱性を低下させることなく、耐湿熱性が向上するため、耐湿熱性、および耐熱性に優れた絶縁フィルムを提供することが可能になる。また、アンカーコート層を介して、接着剤層を樹脂フィルムとラミネートする際に、接着剤層の熱収縮を低減させることが可能になる。従って、絶縁フィルムのカールを防ぐことが可能になるため、加工性に優れた絶縁フィルムを提供することが可能になる。その結果、例えば、導体を、アンカーコート層を設けた2枚の絶縁フィルムで挟み込み、加熱加圧処理を行うことにより、導体の両面を絶縁フィルムによりラミネートして被覆する際に、絶縁フィルムにより、導体の両面を良好にラミネートすることが可能になる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の絶縁フィルムであって、接着剤層が、酸変性ポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする。同構成によれば、酸変性ポリオレフィン樹脂は無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂と接着するため、接着剤層の表面におけるコロナ処理が不要となる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の絶縁フィルムであって、接着剤層は、難燃剤を、酸変性ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、30重量部以上100重量部以下含有するとともに、難燃助剤を、酸変性ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、15重量部以上50重量部以下含有することを特徴とする。
同構成によれば、例えば、導体の両面を絶縁フィルムにより被覆したフラットケーブルにおいて、難燃性を向上させることができるため、導体と接着剤層の接着強度を低下させることなく、UL(Underwriters Laboratories inc.)規格の垂直燃焼試験(VW−1試験)に合格することができる、難燃性に優れたフラットケーブルを提供することが可能になる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の絶縁フィルムであって、樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、またはポリイミド樹脂からなることを特徴とする。
同構成によれば、電気的特性、および機械的特性に優れ、かつ、安価な樹脂フィルムを備えた絶縁フィルムを提供することが可能になる。また、UL規格を満たす温度定格105℃以上の耐熱老化性を有するとともに、鉛を含有しないはんだによる電子部品の実装作業にも対応できる絶縁フィルムを提供することが可能になる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の絶縁フィルムと、導体とを備え、導体の両面が、絶縁フィルムにより被覆されていることを特徴とするフラットケーブルである。同構成によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の絶縁フィルムを備えるため、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明と、同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、例えば、導体の両面を絶縁フィルムにより被覆したフラットケーブルにおいて、耐湿熱性、耐熱性、および加工性に優れた絶縁フィルムおよびそれを備えたフラットケーブルを提供することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るフラットケーブルの構成を示す概略図であり、図2は、図1のA−A断面図である。また、図3は、図1のB−B断面図である。
本実施形態におけるフラットケーブル1は、図1、図2に示すように、所定の幅及び厚さを有する、複数の平板状の導体2の両面を、絶縁フィルム3により被覆した構造を有する。また、絶縁フィルム3は、樹脂フィルム5と、当該樹脂フィルム5上に積層されたアンカーコート層7と、アンカーコート層7上に積層された接着剤層4により構成されており、フラットケーブル1は、2枚の絶縁フィルム3の間に、複数の導体2が挟まれた状態で、当該2枚の絶縁フィルム3を貼り合わせた構成となっている。
また、図3に示すように、フラットケーブル1の端部(以下、「ケーブル端部」という。)1aにおいては、導体2をプリント基板や電機電子部品等に設けられた接続端子(不図示)と接続すべく、絶縁フィルム3を形成せずに、導体2の一部を外部に露出させる構成となっている。
フラットケーブル1の製造方法としては、まず、導体2の両面を絶縁フィルム3で挟み込み、既知の熱ラミネータや熱プレス装置を用いて加熱加圧処理を行うことにより、導体2を接着剤層4により、連続的にラミネート接着して、導体2の両面を絶縁フィルム3により被覆した長尺品を製造する。また、この際、ケーブル端部1aにおいて、絶縁フィルム3を形成せずに、導体2の一部を外部に露出させた露出部を設けるべく、打ち抜き加工によって、一方の絶縁フィルム3に穴部を形成しながら、当該絶縁フィルム3を導体2とラミネートし、その後、長尺品を一定の長さに切断することにより、フラットケーブル1が製造される。
導体2は、銅箔、錫メッキ軟銅箔、ニッケルメッキ軟銅薄等の導電性金属箔からなり、導体2の厚みは、使用する電流量に対応するが、フラットケーブル1の摺動性等を考慮すると、20μm〜50μmが好ましい。
樹脂フィルム5としては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用され、例えば、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等からなる、フラットケーブル用として汎用性のある樹脂フィルムがいずれも使用可能である。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートポリアリレート樹脂などが挙げられる。
なお、これらの樹脂フィルムのうち、電気的特性、機械的特性、コスト等の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂、またはポリフェニレンサルファイド樹脂からなる樹脂フィルム5が好適に使用される。また、ポリイミド樹脂からなる樹脂フィルム5を使用することにより、UL(Underwriters Laboratories inc.)規格を満たす温度定格105℃以上の耐熱老化性を有するとともに、鉛を含有しないはんだによる電子部品の実装作業にも対応できる絶縁フィルム3を提供することが可能になる。また、本実施形態においては、樹脂フィルムの厚みが、12μm〜50μmのものが、好適に使用できる。
接着剤層4としては、耐湿熱性に優れた樹脂材料を主成分とするものが使用され、本実施形態においては、酸変性ポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を主成分とするものが使用される。この酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、酸変性ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリエチレン樹脂が挙げられる。なお、本実施形態においては、接着剤層4の厚みが、20μm〜50μmのものが、好適に使用できる。
酸変性ポリプロピレン樹脂としては、耐熱性、および導体2との接着強度に優れたものが使用され、例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、アクリル酸変性ポリプロピレン樹脂、イタコン酸変性ポリプロピレン樹脂が挙げられる。なお、ポリプロピレン樹脂を、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の他の官能基で変性したものを使用することもできる。また、耐熱性、および導体との接着強度を向上させるとの観点から、酸変性ポリプロピレン樹脂の融点は、105℃〜155℃であることが好ましい。
また、上述の酸変性ポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を必須成分として接着剤層4を形成した場合、当該樹脂組成物の難燃性が乏しいため、フラットケーブル1全体の難燃性が低下するという問題がある。従って、接着剤層4に、難燃剤を含有させて、UL規格の垂直燃焼試験(VW−1試験)に合格する難燃性を付与することが好ましい。
当該難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、パークロルペンタシクロデカン等の塩素系難燃剤や、エチレンビスペンタブロモジフェニル、テトラブロモエタン、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモ無水フタール酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、臭化アンモニウム等の臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤が挙げられる。また、例えば、トリアリルホスフェート、アルキルアリルホスフェート、アルキルホスフェート、ジメチルホスフォネート、ホスフォリネート、ハロゲン化ホスフォリネートエステル、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3ジブロモプロピル)2,3ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、芳香族ポリホスフェート、ジブロモネオペンチルグリコール等のリン酸エステルまたはリン化合物や、ホスホネート型ポリオール、ホスフェート型ポリオール、およびハロゲン元素を含むポリオール等が挙げられる。また、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンチモン、ホウ酸、モリブテン酸アンチモン、酸化モリブテン、リン・窒素化合物、カルシウム・アルミニウムシリケート、ジルコニウム化合物、錫化合物、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム水和物、酸化銅、金属銅粉、炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウム等の金属粉や無機化合物、シリコーン系ポリマー、フェロセン、フマール酸、マレイン酸、及びメラミンシアヌレート、トリアジン、イソシアヌレート、尿素、グアニジン等の窒素化合物等が挙げられる。
そして、本実施形態においては、接着剤層4が、難燃剤を、上述の酸変性ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、30重量部以上100重量部以下含有する構成としている。なお、接着剤層4に含有する難燃剤としては、上述の臭素系難燃剤、または塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤を使用することが好ましく、また、臭素系難燃剤、または塩素系難燃剤を単独で使用しても良く、臭素系難燃剤と塩素系難燃剤を混合して使用する構成としても良い。
また、フラットケーブル1の難燃性を一層向上させるとの観点から、難燃助剤を配合する構成としており、本実施形態においては、接着剤層4が、当該難燃助剤を、上述の酸変性ポリオレフィン樹脂100重量部に対して15重量部以上50重量部以下含有する構成としている。なお、難燃助剤としては、三酸化アンチモンを使用することが好ましい。
これは、難燃剤の含有量が30重量部未満であり、かつ、難燃助剤の含有量が15重量部未満の場合は、フラットケーブル1全体の難燃性を十分に向上することができない場合があり、また、難燃剤の含有量が100重量部より多く、かつ、難燃助剤の含有量が50重量部より多い場合は、導体2と接着剤層4の接着強度が低下し、絶縁フィルム3の導体接着力が低下する場合があるからである。
また、アンカーコート層7としては、耐熱性、耐湿熱性、および加工性に優れた樹脂材料を主成分とするものが使用され、本実施形態においては、酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂にイソシアネート系の硬化剤を混合した樹脂組成物を主成分とするアンカーコート剤により形成されたものが使用される。この酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂としては、例えば、無水マレイン酸、アクリル酸等により、酸変性されたものが挙げられ、本実施形態においては、無水マレイン酸の開環部とイソシアネートが反応し、架橋構造を形成することから、無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂を使用する構成としている。また、イソシアネート系の硬化剤としては、例えば、TDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソアネート)等が使用できる。なお、本実施形態においては、アンカーコート層7の厚みが、0.5μm〜5.0μmのものが、好適に使用できる。
また、使用するアンカーコート剤は、上述の樹脂組成物を、トルエン、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解したものを使用するが、本実施形態においては、結晶性ポリプロピレンではなく、有機溶剤に溶解し易い結晶構造を有する非晶性ポリプロピレン樹脂を使用するため、樹脂フィルム5の表面上にアンカーコート剤を塗布して、アンカーコート層7を形成する際に、アンカーコート剤を塗布し易くなり、使用性が向上するという利点がある。
また、本実施形態においては、アンカーコート層7が、イソシアネート系の硬化剤を、上述の無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂からなる樹脂組成物の100重量部に対して、5重量部以上20重量部以下含有する構成としている。これは、イソシアネート系の硬化剤の含有量が5重量部未満である場合は、耐熱性が悪くなる場合があり、また、イソシアネート系の硬化剤の含有量が20重量部より多い場合は、未反応のイソシアネートが空気中の水分と反応して尿素結合ができ、硬く、脆い塗膜が形成されてしまう場合があるからである。
本実施形態においては、このようなアンカーコート層7を使用することにより、耐熱性を低下させることなく、耐湿熱性を向上させることが可能になるため、耐熱性、および耐湿熱性に優れた絶縁フィルム3を提供することが可能になる。
また、絶縁フィルム3を作製する際には、まず、接着剤層4を構成する酸変性ポリオレフィン樹脂に、難燃剤、および難燃助剤を配合した樹脂組成物を、ボールミル、サンドミル、3本ロール等の混練機により混練後、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法によりフィルム状に形成する。次いで、樹脂フィルム5の表面上に上述のアンカーコート剤を塗布して、アンカーコート層7を形成した後に、アンカーコート層7を介して、接着剤層4を樹脂フィルム5とドライラミネートする方法が採用できる。この際、本実施形態におけるアンカーコート層7は、上述のごとく、無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂にイソシアネート系の硬化剤を混合した樹脂組成物を主成分としているため、アンカーコート層7を介して、接着剤層4を樹脂フィルム5とラミネートする際に、接着剤層4の熱収縮を低減させることが可能になる。従って、絶縁フィルム3のカールを防ぐことが可能になる。
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、アンカーコート層7が、無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂にイソシアネート系の硬化剤を混合した樹脂組成物を主成分とする構成としている。従って、アンカーコート層7の耐熱性を低下させることなく、耐湿熱性を向上させることが可能になるため、耐湿熱性、および耐熱性に優れた絶縁フィルム3を提供することが可能になる。また、アンカーコート層7を介して、接着剤層4を樹脂フィルム5とラミネートする際に、接着剤層4の熱収縮を低減させることが可能になる。従って、絶縁フィルム3のカールを防ぐことが可能になるため、絶縁フィルム3の加工性が向上し、導体2を、アンカーコート層7を設けた2枚の絶縁フィルム3で挟み込み、加熱加圧処理を行うことにより、導体2の両面を絶縁フィルム3によりラミネートして被覆する際に、絶縁フィルム3により、導体2の両面を良好にラミネートすることが可能になる。
(1)本実施形態においては、アンカーコート層7が、無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂にイソシアネート系の硬化剤を混合した樹脂組成物を主成分とする構成としている。従って、アンカーコート層7の耐熱性を低下させることなく、耐湿熱性を向上させることが可能になるため、耐湿熱性、および耐熱性に優れた絶縁フィルム3を提供することが可能になる。また、アンカーコート層7を介して、接着剤層4を樹脂フィルム5とラミネートする際に、接着剤層4の熱収縮を低減させることが可能になる。従って、絶縁フィルム3のカールを防ぐことが可能になるため、絶縁フィルム3の加工性が向上し、導体2を、アンカーコート層7を設けた2枚の絶縁フィルム3で挟み込み、加熱加圧処理を行うことにより、導体2の両面を絶縁フィルム3によりラミネートして被覆する際に、絶縁フィルム3により、導体2の両面を良好にラミネートすることが可能になる。
(2)本実施形態においては、接着剤層4が、酸変性ポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を主成分とする構成としている。従って、酸変性ポリオレフィン樹脂は無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂と接着するため、接着剤層4の表面におけるコロナ処理が不要となる。
(3)本実施形態においては、樹脂フィルム5が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、またはポリイミド樹脂からなる構成としている。従って、電気的特性、および機械的特性に優れ、かつ、安価な樹脂フィルム5を備えた絶縁フィルム3を提供することが可能になる。また、UL規格を満たす温度定格105℃以上の耐熱老化性を有するとともに、鉛を含有しないはんだによる電子部品の実装作業にも対応できる絶縁フィルム3を提供することが可能になる。
(4)本実施形態においては、接着剤層4が、難燃剤を、酸変性ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、30重量部以上100重量部以下含有するとともに、難燃助剤を、酸変性ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、15重量部以上50重量部以下含有する構成としている。従って、導体2と接着剤層4の接着強度を低下させることなく、UL規格の垂直燃焼試験(VW−1試験)に合格することができる、難燃性に優れたフラットケーブル1を提供することが可能になる。
なお、上記実施形態には以下のように変形しても良い。
・図4(図1のB−B断面図)に示すように、ケーブル端部1aにおいて、導体2と接続端子の接続信頼性を高めるために、ケーブル端部1aにおける導体2の露出部の表面をめっき層6により被覆する構成としても良い。
・図4(図1のB−B断面図)に示すように、ケーブル端部1aにおいて、導体2と接続端子の接続信頼性を高めるために、ケーブル端部1aにおける導体2の露出部の表面をめっき層6により被覆する構成としても良い。
この際、環境への配慮から、鉛を含有しないめっき層6を使用する構成とすることが好ましく、導体2と接続端子間の接続信頼性の低下を防止するとの観点から、鉛を含有しないめっき層6として金めっき層を使用することが好ましい。導体2の表面へのめっき処理は、無電解めっき法、または電解めっき法により行われ、金めっき層を設ける際には、露出した導体の表面に対して、まず、拡散防止層としてのニッケルめっき層を形成した後、当該ニッケルめっき層の表面上に金めっき層を形成する方法が採用される。このような構成により、導体2を、プリント基板や電気電子部品等に設けられた接続端子と接続する際に、導体2と接続端子間の接続信頼性の低下を効果的に防止することができる。
・また、接着剤層4に、酸化防止剤、着色剤(例えば、酸化チタン)、隠蔽剤、滑剤、加工安定剤、可塑剤、発泡剤等の既知の配合剤を添加する構成としても良い。また、これらの配合剤の混合は、溶融成形法でフィルムとする場合は、単軸混合機、二軸混合機等を使いて溶融混合する方法で行うことができる。
以下に、本発明を実施例、比較例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1)
(接着性樹脂組成物の作製)
まず、100重量部の変性ポリプロピレン樹脂〔三菱化学(株)製、商品名モディックAP P502〕に、50重量部の難燃剤〔アルマベール(株)製、商品名SAITEX8010〕、および25重量部の難燃助剤である三酸化アンチモンを加え、2軸混合機を用いて、均一に混合して、接着性樹脂組成物を作製した。
(接着性樹脂組成物の作製)
まず、100重量部の変性ポリプロピレン樹脂〔三菱化学(株)製、商品名モディックAP P502〕に、50重量部の難燃剤〔アルマベール(株)製、商品名SAITEX8010〕、および25重量部の難燃助剤である三酸化アンチモンを加え、2軸混合機を用いて、均一に混合して、接着性樹脂組成物を作製した。
(絶縁フィルムの作製)
次に、作製した接着性樹脂組成物を、Tダイで押し出して、フィルム状(厚さ0.035mm)に形成した。次いで、100重量部の無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂〔日本シーマ(株)製〕と10重量部のイソシアネート系の硬化剤〔日本ポリウレタン工業(株)製、商品名コロネートHX〕を混合した樹脂組成物をトルエンとMEK(メチルエチルケトン)を4:1の割合で混ぜ合わせた溶剤で希釈したアンカーコート剤を用意し、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム〔帝人デュポンフィルム(株)製、厚さ0.025mm〕の表面上に上述のアンカーコート剤を塗布した後、乾燥させて溶剤を除去することにより、樹脂フィルムの表面上にアンカーコート層(厚さ0.003mm)を形成した。次いで、上述のフィルム状の接着性樹脂組成物をアンカーコート層の表面上に積層し、60℃に加熱された熱ラミネータを用いて加熱加圧処理を行うことにより、アンカーコート層の表面上に、接着性樹脂組成物からなる接着剤層がラミネートにより形成された、全体の厚さが0.063mmのフィルム状の絶縁フィルムを作製した。
次に、作製した接着性樹脂組成物を、Tダイで押し出して、フィルム状(厚さ0.035mm)に形成した。次いで、100重量部の無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂〔日本シーマ(株)製〕と10重量部のイソシアネート系の硬化剤〔日本ポリウレタン工業(株)製、商品名コロネートHX〕を混合した樹脂組成物をトルエンとMEK(メチルエチルケトン)を4:1の割合で混ぜ合わせた溶剤で希釈したアンカーコート剤を用意し、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム〔帝人デュポンフィルム(株)製、厚さ0.025mm〕の表面上に上述のアンカーコート剤を塗布した後、乾燥させて溶剤を除去することにより、樹脂フィルムの表面上にアンカーコート層(厚さ0.003mm)を形成した。次いで、上述のフィルム状の接着性樹脂組成物をアンカーコート層の表面上に積層し、60℃に加熱された熱ラミネータを用いて加熱加圧処理を行うことにより、アンカーコート層の表面上に、接着性樹脂組成物からなる接着剤層がラミネートにより形成された、全体の厚さが0.063mmのフィルム状の絶縁フィルムを作製した。
(フラットケーブルの作製)
次に、導体である錫メッキ軟銅箔(厚さ0.035mm、幅1.0mm)10本を平行に並べた状態で、当該錫メッキ軟銅箔を、作製した2枚の絶縁フィルムで挟み込み、130℃に加熱された熱ラミネータを用いて加熱加圧処理を行うことにより、錫メッキ軟銅箔の両面を絶縁フィルムによりラミネートして被覆し、次いで、ケーブル状に加工することにより、フラットケーブルを作製した。
次に、導体である錫メッキ軟銅箔(厚さ0.035mm、幅1.0mm)10本を平行に並べた状態で、当該錫メッキ軟銅箔を、作製した2枚の絶縁フィルムで挟み込み、130℃に加熱された熱ラミネータを用いて加熱加圧処理を行うことにより、錫メッキ軟銅箔の両面を絶縁フィルムによりラミネートして被覆し、次いで、ケーブル状に加工することにより、フラットケーブルを作製した。
(耐熱性評価)
次いで、作製したフラットケーブルに対して、耐熱性評価を行った。より具体的には、作製したフラットケーブル1を、図5に示すZ字形状に折り曲げた後、136℃で7日間、自然状態にして放置し、樹脂溶解による剥離(即ち、絶縁フィルム3からの導体2の剥離)が生じていないものを合格とした。以上の結果を表1に示す。
次いで、作製したフラットケーブルに対して、耐熱性評価を行った。より具体的には、作製したフラットケーブル1を、図5に示すZ字形状に折り曲げた後、136℃で7日間、自然状態にして放置し、樹脂溶解による剥離(即ち、絶縁フィルム3からの導体2の剥離)が生じていないものを合格とした。以上の結果を表1に示す。
(耐湿熱性評価)
また、耐湿熱性試験として、上記の絶縁フィルムを、150℃で熱接着させ、温度を85℃、湿度を85%に設定した恒温恒湿槽中に1000時間放置した後、絶縁フィルムを恒温恒湿槽から取り出す。次いで、その2枚の絶縁フィルムを、500mm/分の速度で90°剥離し、絶縁フィルム間の接着力〔kg/cm〕を測定した。なお、接着力の測定は、引張り試験機〔INSTRON製、商品名INSTRON−MODEL4301〕を使用して行った。また、接着力が0.5kg/cmより大きいものを合格とした。以上の結果を表1に示す。
また、耐湿熱性試験として、上記の絶縁フィルムを、150℃で熱接着させ、温度を85℃、湿度を85%に設定した恒温恒湿槽中に1000時間放置した後、絶縁フィルムを恒温恒湿槽から取り出す。次いで、その2枚の絶縁フィルムを、500mm/分の速度で90°剥離し、絶縁フィルム間の接着力〔kg/cm〕を測定した。なお、接着力の測定は、引張り試験機〔INSTRON製、商品名INSTRON−MODEL4301〕を使用して行った。また、接着力が0.5kg/cmより大きいものを合格とした。以上の結果を表1に示す。
(加工性評価)
また、作製した絶縁フィルムに対して、加工性評価を行った。より具体的には、フィルム状の絶縁フィルムを形成した場合に、絶縁フィルムにカール状の変形が生じているか否かを目視で判断し、カール状の変形が生じていないものを合格とした。また、作製した絶縁フィルムにより、導体の両面をラミネートして被覆し、フラットケーブルを作製する際に、絶縁フィルムにより導体の両面を良好にラミネートできたものを合格とした。換言すると、フィルム状の絶縁フィルムにカール状の変形が生じてしまうと、絶縁フィルムにより導体の両面をラミネートする際に、良好にラミネートできないため、良好にラミネートできたものを、加工性に優れているものとして評価した。以上の結果を表1に示す。
また、作製した絶縁フィルムに対して、加工性評価を行った。より具体的には、フィルム状の絶縁フィルムを形成した場合に、絶縁フィルムにカール状の変形が生じているか否かを目視で判断し、カール状の変形が生じていないものを合格とした。また、作製した絶縁フィルムにより、導体の両面をラミネートして被覆し、フラットケーブルを作製する際に、絶縁フィルムにより導体の両面を良好にラミネートできたものを合格とした。換言すると、フィルム状の絶縁フィルムにカール状の変形が生じてしまうと、絶縁フィルムにより導体の両面をラミネートする際に、良好にラミネートできないため、良好にラミネートできたものを、加工性に優れているものとして評価した。以上の結果を表1に示す。
(難燃性評価)
次いで、作製したフラットケーブルに対して、UL規格1581のVW−1に規定される垂直燃焼試験を行った。より具体的には、フラットケーブルを各々10本用意し、着火後、10本中1本以上燃焼したもの、燃焼落下物により、試料であるフラットケーブルの下方に配置した脱脂綿が燃焼したもの、または、試料であるフラットケーブルの上部に取り付けたクラフト紙が燃焼したものを不合格とし、その他を合格とした。以上の結果を表1に示す。
次いで、作製したフラットケーブルに対して、UL規格1581のVW−1に規定される垂直燃焼試験を行った。より具体的には、フラットケーブルを各々10本用意し、着火後、10本中1本以上燃焼したもの、燃焼落下物により、試料であるフラットケーブルの下方に配置した脱脂綿が燃焼したもの、または、試料であるフラットケーブルの上部に取り付けたクラフト紙が燃焼したものを不合格とし、その他を合格とした。以上の結果を表1に示す。
(比較例1)
(絶縁フィルムの作製)
実施例1において作製した接着性樹脂組成物を、Tダイで押し出して、フィルム状(厚さ0.035mm)に形成した。次いで、100重量部のポリエーテルポリオール〔東洋インキ(株)製、商品名AD900〕と10重量部のイソシアネート系の硬化剤〔東洋インキ(株)製、商品名CAT−RT85〕を混合した樹脂組成物をトルエンとMEK(メチルエチルケトン)を4:1の割合で混ぜ合わせた溶剤で希釈したアンカーコート剤を用意し、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム〔帝人デュポンフィルム(株)製、厚さ0.025mm〕の表面上に上述のアンカーコート剤を塗布した後、乾燥させて溶剤を除去することにより、樹脂フィルムの表面上にアンカーコート層(厚さ0.003mm)を形成した。次いで、上述のフィルム状の接着性樹脂組成物をアンカーコート層の表面上に積層し、60℃に加熱された熱ロールを用いて加熱加圧処理を行うことにより、アンカーコート層の表面上に、接着性樹脂組成物からなる接着剤層がラミネートにより形成された、全体の厚さが0.063mmのフィルム状の絶縁フィルムを作製した。
(絶縁フィルムの作製)
実施例1において作製した接着性樹脂組成物を、Tダイで押し出して、フィルム状(厚さ0.035mm)に形成した。次いで、100重量部のポリエーテルポリオール〔東洋インキ(株)製、商品名AD900〕と10重量部のイソシアネート系の硬化剤〔東洋インキ(株)製、商品名CAT−RT85〕を混合した樹脂組成物をトルエンとMEK(メチルエチルケトン)を4:1の割合で混ぜ合わせた溶剤で希釈したアンカーコート剤を用意し、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム〔帝人デュポンフィルム(株)製、厚さ0.025mm〕の表面上に上述のアンカーコート剤を塗布した後、乾燥させて溶剤を除去することにより、樹脂フィルムの表面上にアンカーコート層(厚さ0.003mm)を形成した。次いで、上述のフィルム状の接着性樹脂組成物をアンカーコート層の表面上に積層し、60℃に加熱された熱ロールを用いて加熱加圧処理を行うことにより、アンカーコート層の表面上に、接着性樹脂組成物からなる接着剤層がラミネートにより形成された、全体の厚さが0.063mmのフィルム状の絶縁フィルムを作製した。
その後、上述の実施例1と同様にして、フラットケーブルを作製した。次いで、上述の実施例1と同一の条件により、耐熱性評価、耐湿熱性評価、加工性評価、および難燃性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(比較例2)
(絶縁フィルムの作製)
実施例1において作製した接着性樹脂組成物を、Tダイで押し出して、フィルム状(厚さ0.035mm)に形成した。次いで、100重量部のポリエステルポリオール〔東洋インキ(株)製、商品名AD76H5〕と10重量部のイソシアネート系の硬化剤〔東洋インキ(株)製、商品名CAT−10L〕を混合した樹脂組成物をトルエンとMEK(メチルエチルケトン)を4:1の割合で混ぜ合わせた溶剤で希釈したアンカーコート剤を用意し、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム〔帝人デュポンフィルム(株)製、厚さ0.025mm〕の表面上に上述のアンカーコート剤を塗布した後、乾燥させて溶剤を除去することにより、樹脂フィルムの表面上にアンカーコート層(厚さ0.003mm)を形成した。次いで、上述のフィルム状の接着性樹脂組成物をアンカーコート層の表面上に積層し、60℃に加熱された熱ロールを用いて加熱加圧処理を行うことにより、アンカーコート層の表面上に、接着性樹脂組成物からなる接着剤層がラミネートにより形成された、全体の厚さが0.063mmのフィルム状の絶縁フィルムを作製した。
(絶縁フィルムの作製)
実施例1において作製した接着性樹脂組成物を、Tダイで押し出して、フィルム状(厚さ0.035mm)に形成した。次いで、100重量部のポリエステルポリオール〔東洋インキ(株)製、商品名AD76H5〕と10重量部のイソシアネート系の硬化剤〔東洋インキ(株)製、商品名CAT−10L〕を混合した樹脂組成物をトルエンとMEK(メチルエチルケトン)を4:1の割合で混ぜ合わせた溶剤で希釈したアンカーコート剤を用意し、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム〔帝人デュポンフィルム(株)製、厚さ0.025mm〕の表面上に上述のアンカーコート剤を塗布した後、乾燥させて溶剤を除去することにより、樹脂フィルムの表面上にアンカーコート層(厚さ0.003mm)を形成した。次いで、上述のフィルム状の接着性樹脂組成物をアンカーコート層の表面上に積層し、60℃に加熱された熱ロールを用いて加熱加圧処理を行うことにより、アンカーコート層の表面上に、接着性樹脂組成物からなる接着剤層がラミネートにより形成された、全体の厚さが0.063mmのフィルム状の絶縁フィルムを作製した。
その後、上述の実施例1と同様にして、フラットケーブルを作製した。次いで、上述の実施例1と同一の条件により、耐熱性評価、耐湿熱性評価、加工性評価、および難燃性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(比較例3)
(絶縁フィルムの作製)
実施例1において作製した接着性樹脂組成物を、Tダイで押し出して、フィルム状(厚さ0.035mm)に形成した。次いで、100重量部の有機チタン化合物〔日本曹達(株)製、商品名T−50〕からなる樹脂組成物を溶剤に溶解したアンカーコート剤を用意し、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム〔帝人デュポンフィルム(株)製、厚さ0.025mm〕の表面上に上述のアンカーコート剤を塗布した後、乾燥させて溶剤を除去することにより、樹脂フィルムの表面上にアンカーコート層(厚さ0.003mm)を形成した。次いで、上述のフィルム状の接着性樹脂組成物をアンカーコート層の表面上に積層し、180℃に加熱された熱ロールを用いて加熱加圧処理を行うことにより、アンカーコート層の表面上に、接着性樹脂組成物からなる接着剤層がラミネートにより形成された、全体の厚さが0.063mmのフィルム状の絶縁フィルムを作製した。
(絶縁フィルムの作製)
実施例1において作製した接着性樹脂組成物を、Tダイで押し出して、フィルム状(厚さ0.035mm)に形成した。次いで、100重量部の有機チタン化合物〔日本曹達(株)製、商品名T−50〕からなる樹脂組成物を溶剤に溶解したアンカーコート剤を用意し、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム〔帝人デュポンフィルム(株)製、厚さ0.025mm〕の表面上に上述のアンカーコート剤を塗布した後、乾燥させて溶剤を除去することにより、樹脂フィルムの表面上にアンカーコート層(厚さ0.003mm)を形成した。次いで、上述のフィルム状の接着性樹脂組成物をアンカーコート層の表面上に積層し、180℃に加熱された熱ロールを用いて加熱加圧処理を行うことにより、アンカーコート層の表面上に、接着性樹脂組成物からなる接着剤層がラミネートにより形成された、全体の厚さが0.063mmのフィルム状の絶縁フィルムを作製した。
その後、上述の実施例1と同様にして、フラットケーブルを作製した。次いで、上述の実施例1と同一の条件により、耐熱性評価、耐湿熱性評価、加工性評価、および難燃性評価を行った。以上の結果を表1に示す。
本発明の活用例としては、導体の両面を被覆する絶縁フィルム、およびそれを備えたフラットケーブルが挙げられる。
1…フラットケーブル、1a…ケーブル端部、2…導体、3…絶縁フィルム、4…接着剤層、5…樹脂フィルム、6…めっき層、7…アンカーコート層
Claims (5)
- 樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの表面に設けられたアンカーコート層と、前記アンカーコート層の表面に設けられた接着剤層とを備える絶縁フィルムにおいて、
前記アンカーコート層は、無水マレイン酸変性された非晶性ポリプロピレン樹脂にイソシアネート系の硬化剤を混合した樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする絶縁フィルム。 - 前記接着剤層が、酸変性ポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の絶縁フィルム。
- 前記接着剤層は、難燃剤を、前記酸変性ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、30重量部以上100重量部以下含有するとともに、難燃助剤を、前記酸変性ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、15重量部以上50重量部以下含有することを特徴とする請求項2に記載の絶縁フィルム。
- 前記樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、またはポリイミド樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の絶縁フィルム。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の絶縁フィルムと、導体とを備え、前記導体の両面が、前記絶縁フィルムにより被覆されていることを特徴とするフラットケーブル。
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-
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