JP2003069284A - 電磁波シールド材及びその製造方法 - Google Patents

電磁波シールド材及びその製造方法

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JP2003069284A
JP2003069284A JP2001254925A JP2001254925A JP2003069284A JP 2003069284 A JP2003069284 A JP 2003069284A JP 2001254925 A JP2001254925 A JP 2001254925A JP 2001254925 A JP2001254925 A JP 2001254925A JP 2003069284 A JP2003069284 A JP 2003069284A
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electromagnetic wave
shield
layer
protective layer
wave shielding
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JP2001254925A
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Yutaka Hayashi
豊 林
Taketoshi Nakayama
武俊 中山
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Komatsu Seiren Co Ltd
Original Assignee
Komatsu Seiren Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低周波から高周波までの広域に渡って、優れ
た電磁波シールド性を示すと共に、軽量化、薄型化を図
ることができ、柔軟性、伸長性に優れた電磁波シールド
材を提供する。 【解決手段】 本発明の電磁波シールド材2は、金属含
有樹脂からなるシールド層10と、前記シールド層10
の表面及び/又は裏面に形成され、前記シールド層10
を保護する保護層20とを具備して構成されている。ま
た、最裏面に粘着剤層30を具備するものであることが
好ましい。また、本発明の電磁波シールド材2は、10
MHz〜10GHzの電磁波の電界成分を30dB以上
シールドすることが可能であると共に、表面抵抗値が5
Ω/sq以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低周波から高周波
までの広域に渡って、優れた電磁波シールド性を示すと
共に、軽量化、薄型化を図ることができ、柔軟性、伸長
性に優れた電磁波シールド材、及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクス技術の進歩に伴
って、家庭電化製品、携帯電話機等の種々の電子機器が
広く利用されており、これらの電子機器を無線によって
接続する技術も開発されている。電子機器は、社会生活
の利便性を向上するために必要なものであるが、その反
面、電子機器から発生する電磁波によって、他の電子機
器が誤作動するなど、電磁波による他への影響も懸念さ
れている。
【0003】そこで、従来から、電磁波による影響を低
減するために、電磁波をシールド(遮蔽)する電磁波シ
ールド材が提案されている。例えば、不織布等の繊維布
帛の表面に、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ス
パッタリング法、無電解金属めっき法等により、金属か
らなるシールド層を形成した電磁波シールド材が多数提
案されている(特開昭62−238698号公報、特開
昭62−262900号公報、特開2000−2089
84号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】金属からなるシールド
層を備えた従来の電磁波シールド材は、軽量化、薄型化
を図ることができるものの、金属からなるシールド層の
柔軟性や伸長性が十分ではないため、複雑な形状の箇所
に取り付ける場合には、屈曲や伸長等によって亀裂等が
発生し、亀裂等が発生した部分の電磁波シールド性が低
下する恐れがあった。
【0005】また、上述の構造を有する電磁波シールド
材を、電磁波シールドルームの壁面や天井等の面積の広
い箇所に取り付ける場合には、複数の電磁波シールド材
を、壁紙用の接着剤等を介して下地に貼着固定すると共
に、貼着した複数の電磁波シールド材の繋ぎ目を導電性
のテープで塞ぐことにより、繋ぎ目部分から電磁波が漏
洩することを防止している。このように、電磁波シール
ド材を面積の広い箇所に取り付ける場合には、電磁波シ
ールド材を接着剤等を介して貼着する工程と、電磁波シ
ールド材の繋ぎ目を導電性のテープで塞ぐ工程とを要す
るため、工程数が多く、取り付け作業が複雑であるとい
う問題点も有している。
【0006】また、高速通信等を可能とするために、使
用される電磁波の周波数帯は、MHz帯からGHz帯へ
と高周波数側に移行してきており、低周波の電磁波のみ
ならず、高周波の電磁波をもシールドすることが可能
な、電磁波シールド性に優れた電磁波シールド材の開発
が必要になっている。
【0007】そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされ
たものであり、低周波から高周波までの広域に渡って、
優れた電磁波シールド性を示すと共に、軽量化、薄型化
を図ることができ、柔軟性、伸長性に優れた電磁波シー
ルド材、及びその製造方法を提供することを第1の目的
とする。また、壁面等に取り付ける際の作業を簡略化す
ることが可能な電磁波シールド材、及びその製造方法を
提供することを第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するべく検討を行った結果、以下の電磁波シールド
材及びその製造方法を発明するに到った。なお、本明細
書では、電磁波シールド材の壁面や天井等に取り付ける
側を「裏側」、その反対側を「表側」と定義する。本発
明の第1の電磁波シールド材は、金属含有樹脂からなる
シールド層と、前記シールド層の表面及び/又は裏面に
形成され、前記シールド層を保護する保護層とを具備し
てなり、10MHz〜10GHzの電磁波の電界成分を
30dB以上シールドすることが可能であると共に、表
面抵抗値が5Ω/sq 以下であることを特徴とする。
【0009】本発明の第2の電磁波シールド材は、金属
含有樹脂からなるシールド層と、前記シールド層の表面
及び/又は裏面に形成され、前記シールド層を保護する
保護層と、最裏面に形成され、粘着剤を含有する粘着剤
層とを具備してなり、10MHz〜10GHzの電磁波
の電界成分を30dB以上シールドすることが可能であ
ると共に、表面抵抗値が5Ω/sq以下であることを特
徴とする。
【0010】また、本発明の第1、第2の電磁波シール
ド材において、前記シールド層の表面抵抗値が1Ω/s
q以下であることが好ましい。また、前記シールド層
が、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルの中から選ば
れた少なくとも一種以上の金属を含有することが好まし
い。また、前記シールド層が10〜95質量%の金属を
含有することが好ましい。また、前記シールド層の膜厚
が3〜80μmであることが好ましい。また、前記シー
ルド層が、前記金属粒子として、平均粒子径が2〜20
μmの鱗片状金属粒子と、平均粒子径が5μm以下の超
微粉状金属粒子とを含有することが好ましい。
【0011】以上の本発明の第1、第2の電磁波シール
ド材によれば、低周波から高周波までの広域に渡って、
優れた電磁波シールド性を示すと共に、軽量化、薄型化
を図ることができ、柔軟性、伸長性に優れた電磁波シー
ルド材を提供することができる。また、本発明の第2の
電磁波シールド材によれば、壁面等に取り付ける際の作
業を簡略化することができるという効果も合わせて得ら
れる。なお、本発明の第1、第2の電磁波シールド材に
より、かかる効果を得ることができる理由については、
「発明の実施の形態」の項において詳述する。
【0012】本発明の第1の電磁波シールド材は、以下
の本発明の電磁波シールド材の製造方法により、簡易に
製造することができる。本発明の電磁波シールド材の製
造方法は、離型シート上に保護層材料を塗布することに
より、保護層を形成する保護層形成工程と、前記保護層
上に金属含有樹脂を塗布することにより、シールド層を
形成するシールド層形成工程と、前記シールド層を形成
した前記保護層を、前記離型シートから剥離する剥離工
程とを有することを特徴とする。
【0013】また、前記剥離工程の後に、前記保護層上
若しくは前記シールド層上に、粘着剤を含有する粘着剤
層を形成する粘着剤層形成工程をさらに付与することに
より、上記本発明の第2の電磁波シールド材を簡易に製
造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る実施形態につ
いて詳述する。 [第1実施形態]図1に基づいて、本発明に係る第1実
施形態の電磁波シールド材の構造について説明する。図
1は本実施形態の電磁波シールド材の概略断面図であ
り、図1においては、下側を裏側(壁面等に取り付ける
側)として図示している。図1に示すように、本実施形
態の電磁波シールド材1は、金属含有樹脂からなるシー
ルド層10の表面に、シールド層10を保護する保護層
20が積層形成されたものである。
【0015】以下、本実施形態の電磁波シールド材1を
構成する各層の構造について詳述する。 (シールド層)本実施形態の電磁波シールド材1を構成
するシールド層10は、上述のように金属含有樹脂によ
り構成されたものであるが、樹脂内に多数の微細な金属
粒子を分散させたものが好適である。ここで、シールド
層10に含有させる金属粒子としては、平均粒子径が2
〜20μmの鱗片状金属粒子と平均粒子径が5μm以下
の略球形の超微粉状金属粒子とを併用することが特に好
ましい。このように、鱗片状金属粒子と超微粉状金属粒
子とが併用されていると、鱗片状金属粒子と鱗片状金属
粒子との間に超微粉状金属粒子が入り込み、金属の充填
率が増加するため、電磁波シールド材1を5〜10%程
度伸長した場合においても、シールド層10に十分な導
電性と電磁波シールド性を発現させることができる。
【0016】シールド層10に含有させる金属として
は、導電性を有するものであれば特に制限されるもので
はないが、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、亜
鉛、白金、チタン、コバルト、ベリリウム、パラジウム
等の金属、あるいは、これらの金属を含む合金等を例示
することができる。これらの中でも、特に、金、銀、
銅、アルミニウム、ニッケルから選ばれる一種以上の金
属を用いることが好ましい。これらの金属は高い導電性
を有するため、これらの金属を用いることにより、シー
ルド層10及び電磁波シールド材1の電磁波シールド性
を向上させることができる。
【0017】また、シールド層10中の金属の含有量
は、10〜95質量%であることが好ましく、50〜9
0質量%であることがより好ましい。かかる構成とする
ことにより、電磁波シールド材1が、柔軟性、伸長性
と、電磁波シールド性とを兼ね備えたものとなる。な
お、上述の範囲の中でも、金属の種類によって、好まし
い下限、上限が異なるが、金属含有量が下限未満では、
電磁波シールド性が十分に発現しない恐れがあり、金属
含有量が上限を超えた場合には、柔軟性、伸長性が低下
する恐れがあるため、好ましくない。
【0018】シールド層10に含有させる樹脂として
は、層を形成することができれば特に制限されるもので
はないが、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミ
ド系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系、ポリエチ
レン系、スチレンブタジエン系、ニトリルブタジエン
系、エポキシ系等の合成樹脂を例示することができる。
これらの中でも、ウレタン系合成樹脂が、高い柔軟性を
確保できるので、特に好ましい。また、シールド層10
を形成するに際しては、上述の合成樹脂を溶剤に溶解し
た溶液や、上述の合成樹脂を水等に乳化分散したエマル
ジョン等を用いることが好適である。
【0019】シールド層10の膜厚は、特に制限される
ものではないが、3〜80μmであることが好ましい。
かかる構成とすることにより、電磁波シールド材1が、
柔軟性、伸長性と、電磁波シールド性とを兼ね備えたも
のとなる。なお、シールド層10の膜厚が3μm未満で
あると、電磁波シールド性が不十分となる恐れがあり、
80μmを超えると、柔軟性、伸長性が不十分となる恐
れがあるため、好ましくない。
【0020】また、シールド層10の表面抵抗値が1Ω
/sq以下であることが好ましく、かかる構成とするこ
とにより、電磁波の電界成分から誘起される電流を効率
的に導電することができるので、電磁波シールド材1の
電磁波シールド性の一層の向上を図ることができる。な
お、シールド層10の表面抵抗値が1Ω/sqを超える
と、シールド層10の導電性が低下し、電磁波の電界成
分から誘起される電流が導電しにくくなり、電磁波シー
ルド性が低下するため、好ましくない。
【0021】(保護層)従来の電磁波シールド材では、
不織布等の繊維布帛を基材とし、その表面に金属層から
なるシールド材を形成して構成されていたのに対し、本
実施形態の電磁波シールド材1では、基材を用いない構
成としている。したがって、シールド層10単独では十
分な機械的強度が得られない恐れがあるが、本実施形態
の電磁波シールド材1では、シールド層10の表面に保
護層20を形成する構成としているので、かかる恐れは
ない。また、このように、基材を用いる代わりに、保護
層20を形成する構成を採用することにより、電磁波シ
ールド材1の薄型化、軽量化を図ることができるという
効果も得られる。本発明者が検討を行った結果、十分な
電磁波シールド性を確保しつつ、例えば、膜厚が160
μm以下のフィルム状の電磁波シールド材を簡易に得る
ことができることが判明した。
【0022】また、本実施形態の電磁波シールド材1に
おいて、保護層20がシールド層10よりも電磁波の入
射側に位置する場合には、保護層20が少なくとも厚み
方向に対して導電性を有するように構成する必要があ
る。なお、このように、保護層20がシールド層10よ
りも電磁波の入射側に位置する場合、保護層20は少な
くとも厚み方向に対して導電性を有するものであれば良
いので、例えば、面方向に対しては絶縁性を有するな
ど、異方性を有するものであっても良い。保護層20
に、少なくとも厚み方向に対して導電性を持たせること
により、保護層20から入射した電磁波の電界成分から
誘起される電流を効率良く、シールド層10側に導電す
ることができ、電磁波をシールドすることができる。
【0023】以下、保護層20が少なくとも厚み方向に
対して導電性を有する場合について説明する。保護層2
0側から電磁波が入射する場合には、保護層20とし
て、樹脂内に、導電性を有するフィラーを含有したもの
が好適である。なお、本明細書において、「フィラー」
とは、微細な固形粉体であって、粒子径20μm以下の
ものを意味しているものとする。
【0024】保護層20に含有させるフィラーとして
は、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、亜
鉛、白金、チタン、コバルト、ベリリウム、パラジウ
ム、導電性カーボン等の粒子が好適である。これらの中
でも、特に、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、導
電性カーボンからなるフィラーを用いることが好適であ
る。これらの金属や導電性カーボンは高い導電性を有す
るため、これらを用いることにより、保護層20の導電
性を向上させることができる。
【0025】保護層20に含有させるフィラーの含有量
は、10〜95質量%であることが好ましい。この範囲
の中でも、フィラーの種類によって、好ましい下限、上
限が異なるが、フィラーの含有量が下限未満では、保護
層20の導電性が低下する恐れがあり、フィラーの含有
量が上限を超えた場合には、保護層20の柔軟性、伸長
性が低下する恐れがあるため、好ましくない。
【0026】保護層20に含有させる樹脂としては、層
を形成できれば特に制限されるものではないが、ポリウ
レタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル
系、シリコーン系、フッ素系、ポリエチレン系、スチレ
ンブタジエン系、ニトリルブタジエン系、エポキシ系な
どの合成樹脂を例示することができる。これらの中で
も、ウレタン系合成樹脂が、高い柔軟性を確保できるの
で、特に好適である。また、保護層20を形成するに際
しては、上述の合成樹脂を溶剤に溶解した溶液や、上述
の合成樹脂を水等に乳化分散したエマルジョン等を用い
ることが好適である。
【0027】また、保護層20の膜厚は特に限定される
ものではないが、3〜80μmであることが好ましい。
保護層20の膜厚が3μm未満であると、機械的強度を
確保するという保護層としての機能が十分に得られない
恐れがあり、80μmを超えると、柔軟性、伸長性等の
機械的特性が低下する恐れがあるため、好ましくない。
【0028】以上、保護層20側から電磁波が入射する
場合について説明したが、本発明はこれに限定されるも
のではなく、シールド層10側から電磁波が入射する場
合には、保護層20を、絶縁性を有する層により構成し
ても良いし、少なくとも厚み方向に対して導電性を有す
る層により構成しても良い。なお、保護層20を、絶縁
性を有する層により構成する場合には、導電性フィラー
を含有しない樹脂等により保護層20を構成すれば良
い。
【0029】本実施形態の電磁波シールド材1は以上の
ように構成され、シールド層10、保護層20に含有さ
せる金属あるいはフィラーの種類や濃度等を適宜設計す
ることにより、10MHz〜10GHzの電磁波の電界
成分の水平偏波、垂直偏波の双方を30dB以上シール
ドすることが可能な電磁波シールド性を有し、表面抵抗
値が5Ω/sq以下の電磁波シールド材を提供すること
ができる。なお、本明細書において、電磁波シールド性
は、「MIL−STD285に準拠した挿入損失法によ
り測定されるものとする。また、「表面抵抗値」は、ロ
レスターEP(三菱化学製)などの表面抵抗測定器を用
い、JIS K−7194に準拠して測定されるものと
する。
【0030】このように、本実施形態の電磁波シールド
材1に備えられたシールド層10には金属が含有されて
いるので、低周波から高周波までの広域に渡って、優れ
た電磁波シールド性を発現することができ、本実施形態
の電磁波シールド材1を用いることにより、電磁波によ
る他の電子機器等への影響を防止することができる。
【0031】また、シールド層10には樹脂が含有され
ているので、シールド層10は十分な柔軟性、伸長性を
有するものとなる。したがって、本実施形態の電磁波シ
ールド材1は、十分な柔軟性、伸長性を有するものとな
り、従来の電磁波シールド材では取り付け困難であっ
た、複雑な形状の箇所や取り付けに際して伸長性を要す
る箇所にも、支障なく、取り付けることが可能になる。
【0032】また、シールド層10には均一に微細な金
属粒子(鱗片状金属粒子と超微粉状金属粒子)を分散さ
せているため、シールド層10を薄く形成しても、十分
な電磁波シールド性を得ることができる。したがって、
シールド層10を薄くすることができ、電磁波シールド
材1の薄型化、軽量化を図ることができる。また、本実
施形態の電磁波シールド材1では、上述のように、基材
を用いる代わりに保護層20を形成する構成を採用して
いるので、電磁波シールド材1の薄型化、軽量化を一層
図ることができる。
【0033】なお、本実施形態では、シールド層10の
表面に保護層20を形成する構成のみを取り上げて説明
したが、本発明はこれに限定されるものではなく、シー
ルド層10の裏面に保護層20を形成する構成としても
良い。また、シールド層10の表面及び裏面の双方に保
護層20を形成する構成としても良い。かかる構成とし
ても、本実施形態の電磁波シールド材1と全く同様の効
果を得ることができる。
【0034】(電磁波シールド材の製造方法)次に、上
記実施形態の電磁波シールド材1の製造方法について、
簡単に説明する。なお、以下に記載の製造方法は、電磁
波シールド材1の製造方法の一例であって、電磁波シー
ルド材1の製造方法は、以下に記載の製造方法に限定さ
れるものではない。
【0035】はじめに、離型シート上に、保護層材料
(樹脂及びフィラー、若しくは樹脂のみ)を塗布した
後、乾燥することにより、保護層20を形成する。本明
細書において、「離型シート」とは、樹脂が接着しない
ように表面処理が施されたシートのことであり、具体的
には、離型紙や離型フィルム等を意味する。次いで、保
護層20上に金属含有樹脂を塗布することにより、シー
ルド層10を形成する。最後に、シールド層10を形成
した保護層20(シールド層10と保護層20とからな
る積層体)を離型シートから剥離することにより、上記
実施形態の電磁波シールド材1を製造することができ
る。
【0036】なお、上述した製造方法において、保護層
材料若しくは金属含有樹脂を塗布する方法については、
特に制限されるものではなく、例えば、保護層材料若し
くは金属含有樹脂を溶剤に溶解した溶液をロールコー
タ、バーコータ、コンマコータを用いて塗布する方法な
どが挙げられる。
【0037】以上の製造方法によれば、基材を用いるこ
となく、シールド層10を簡易に形成することができる
ので、上記実施形態の電磁波シールド材1を簡易に製造
することができ、好適である。
【0038】[第2実施形態]次に、図2に基づいて、
本発明に係る第2実施形態の電磁波シールド材の構造に
ついて説明する。図2は、本実施形態の電磁波シールド
材の概略断面図である。なお、本実施形態の電磁波シー
ルド材の基本構造は、第1実施形態と同様であるので、
第1実施形態と同じ構成要素については同じ参照符号を
付し、説明は省略する。
【0039】図2に示すように、本実施形態の電磁波シ
ールド材2は、金属含有樹脂からなるシールド層10の
表面に、シールド層10を保護する保護層20が積層形
成されていると共に、シールド層10の裏面に粘着剤層
30が積層形成されたものである。このように、本実施
形態の電磁波シールド材2では、シールド層10の裏面
に粘着剤層30が形成されている点のみが、第1実施形
態の電磁波シールド材1と異なっている。したがって、
以下、粘着剤層30の構造についてのみ簡単に説明す
る。
【0040】粘着剤層30に含有させる粘着剤として
は、特に限定されるものではないが、ウレタン系ホット
メルト樹脂、アクリル系粘着樹脂等を例示することがで
きる。また、粘着剤層30は、絶縁性を有するものであ
っても良いが、導電性を有するものであることが好まし
く、さらに、樹脂内に導電性を有するフィラーを含有し
たものが好適である。また、含有させるフィラーとして
は、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、導電性カー
ボン等の粒子が、導電性が高く好適である。
【0041】また、粘着剤層30の膜厚は、10〜10
0μmであることが好ましい。粘着剤層30の膜厚が1
0μm未満であると、粘着剤層30の粘着力が低下する
恐れがあり、100μmを超えた場合には、導電性を発
現させることが難しくなる。また、フィラーが過剰に含
有されていると、粘着力が低下する恐れがあるため、粘
着力を十分に確保できる範囲内で、フィラーを含有させ
ることが好ましい。
【0042】本実施形態の電磁波シールド材2は、上記
第1実施形態の電磁波シールド材1に粘着剤層30を形
成したものであるので、上記第1実施形態の電磁波シー
ルド材1と同様の効果を得ることができる他、最裏面に
粘着剤層30に形成されていることから、電磁波シール
ド材2を、粘着剤層30を介して、種々の部材に容易に
貼着することができる。例えば、ガスケットの芯材とな
るウレタンフォームに電磁波シールド材2を容易に圧着
固定することができる。また、電磁波シールドルームの
壁面や天井などに容易に圧着固定することができる。こ
のように、電磁波シールド材2を取り付ける際には、最
裏面に形成された粘着剤層30を介して圧着固定するこ
とができるので、電磁波シールド材2の裏面に接着剤等
を塗布する工程が不要になり、電磁波シールド材2の取
り付け作業を簡略化することができる。
【0043】また、粘着剤層30が導電性を有する場合
には、電磁波シールドルームの壁面や天井等の面積の広
い箇所に取り付ける際に、複数の電磁波シールド材2の
繋ぎ目を導電性テープで目止めしなくても、一部を重ね
て貼り合わすことにより、繋ぎ目から電磁波が漏洩する
ことを防止することができる。したがって、導電性テー
プを貼着する工程が不要になり、電磁波シールド材2の
取り付け作業を著しく簡略化することができる。このよ
うに、本実施形態の電磁波シールド材2は、建設、建築
用途に特に好適に用いることができる。
【0044】なお、粘着剤層30は最裏面に形成されて
いれば良いので、シールド層10の裏面に保護層20を
形成する構成とした場合には、保護層20の裏面に粘着
剤層30を形成すれば良い。
【0045】(電磁波シールド材の製造方法)次に、本
実施形態の電磁波シールド材2の製造方法について簡単
に説明する。上記第1実施形態の電磁波シールド材1を
製造した後、最裏面に、粘着剤層30を形成することに
より、本実施形態の電磁波シールド材2を簡易に製造す
ることができる。
【0046】シールド層10の裏面に粘着剤層30を形
成する方法としては、例えば、上記第1実施形態の電磁
波シールド材1上に、粘着剤、フィラーを溶剤に溶解し
た溶液を、ロールコータ、バーコータ、コンマコータを
用いて塗布した後、乾燥する方法や、離型シート上に粘
着剤、フィラーを溶剤に溶解した溶液を塗布した後、乾
燥し、粘剤剤層30を形成させてから、粘着剤層30と
上記第1実施形態の電磁波シールド材1とを貼り合わせ
る方法などが挙げられる。
【0047】本実施形態の電磁波シールド材2は、第1
実施形態の電磁波シールド材1に粘着剤層30を形成し
たものであるが、第1実施形態の電磁波シールド材1を
形成した後、粘着剤層30を形成すれば良いので、第1
実施形態の電磁波シールド材1の製造プロセスを大きく
変えることなく、第2実施形態の電磁波シールド材2を
製造することができ、好適である。なお、以上説明した
製造方法は、電磁波シールド材2の製造方法として好適
なものであるが、電磁波シールド材2の製造方法は、以
上の製造方法に限定されるものではない。
【0048】上述したように、上記第1、第2実施形態
の電磁波シールド材1、2は、低周波から高周波までの
広域に渡って、優れた電磁波シールド性を示すと共に、
軽量化、薄型化を図ることができ、柔軟性、伸長性に優
れたものであるので、電子機器のハウジングやガスケッ
ト、壁材、カーテン、ブラインダー、衣服の裏地、衣服
の内層材など様々な用途に好適に用いることができる。
【0049】なお、上記第1、第2実施形態において
は、シールド層と保護層、若しくはシールド層と保護層
と粘着剤層を具備する電磁波シールド材についてのみ説
明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本
発明の趣旨を逸脱しない範囲において、他の層を追加形
成することも可能である。但し、粘着剤層を備えた電磁
波シールド材においては、粘着剤層が最裏面に位置する
必要がある。
【0050】
【実施例】次に、本発明に係る実施例について詳述す
る。 (評価項目及び評価方法)各実施例における評価項目及
び評価方法を示す。 1.層の膜厚 各実施例において、形成した層の膜厚を、JIS L−
1096(6.5法)に基づいて測定した。 2.電磁波シールド性 各実施例において、得られた電磁波シールド材の電磁波
シールド性を、「MIL−STD285に準拠した挿入
損失法」に基づいて、10MHz〜10GHzの領域で
測定した。 3.表面抵抗値 各実施例において、得られた電磁波シールド材の表面抵
抗値を、表面抵抗測定器ロレスターEP(三菱化学製)
を用いて測定した。
【0051】(実施例1)導電性カーボン粒子10質量
%、ポリウレタン樹脂10質量%、及びN,N−ジメチ
ルホルムアミド35質量%とメチルエチルケトン65質
量%との混合溶媒80質量%からなる導電性カーボン含
有ポリウレタン樹脂液を調製した。次いで、この導電性
カーボン含有ポリウレタン樹脂液を離型紙上にコンマコ
ータを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥することに
より、導電性を有する保護層を形成した。得られた保護
層の膜厚は20μm 、導電性カーボンの含有率は5
0.0質量%であった。
【0052】次いで、鱗片状の銀粒子(平均長径6μm
、平均短径2μm )36質量%、ポリウレタン樹脂4
質量%、及びN,N−ジメチルホルムアミド30質量%
とトルエン70質量%との混合溶媒60質量%からなる
銀含有ポリウレタン樹脂液を調製した。次に、この銀含
有ポリウレタン樹脂液を先に形成した保護層上にコンマ
コータを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥すること
により、シールド層を形成し、シールド層及び保護層か
らなる積層体を得た。得られたシールド層の膜厚は10
μm 、銀含有率は90.0質量%であった。最後に、
得られたシールド層と保護層の積層体を離型紙から剥離
することにより、本発明の第1のフィルム状の電磁波シ
ールド材を得た。なお、得られた電磁波シールド材は、
シールド層と保護層とが積層形成されたものであるの
で、その膜厚は30μmである。
【0053】(実施例2)アクリル樹脂20質量%、鱗
片状のニッケル粒子3質量%、酢酸エチル77質量%か
らなるニッケル含有アクリル樹脂液を調製した。次い
で、このニッケル含有アクリル樹脂液を離型紙上にコン
マコータを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥するこ
とにより、膜厚15μmの粘着剤層を形成させた。次い
で、この粘着剤層と実施例1において得られた電磁波シ
ールド材とを貼り合わせ、120℃で0.4MPaの圧
力にて熱圧着して、粘着剤層を具備する本発明の第2の
電磁波シールド材を得た。なお、シールド層上に粘着剤
層が位置するように、粘着剤層と実施例1において得ら
れた電磁波シールド材とを貼り合わせることにより、本
発明の第2のフィルム状の電磁波シールド材を得た。な
お、得られた電磁波シールド材は、実施例1で得られた
電磁波シールド材に粘着剤層を形成したものであるの
で、その膜厚は45μmである。
【0054】(評価結果)実施例1、2において得られ
たフィルム状電磁波シールド材の評価結果を表1に示
す。表1に示すように、実施例1、2において得られた
電磁波シールド材の膜厚は、各々、30μm、45μm
と薄いものであったが、いずれも10MHz〜10GH
zの広域に渡って、60dB以上シールドすることがで
き、優れた電磁波シールド性を示すことが判明した。ま
た、表面抵抗値も0.03Ω/sqと低いものであるこ
とが判明した。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、金属
含有樹脂からなるシールド層の表面及び/又は裏面に、
シールド層を保護する保護層を設ける構成としたので、
低周波から高周波までの広域に渡って、優れた電磁波シ
ールド性を示すと共に、軽量化、薄型化を図ることがで
き、柔軟性、伸長性に優れた電磁波シールド材を提供す
ることができる。また、最裏面に粘着剤層を設けること
が好ましく、かかる構成とすることにより、壁面等に取
り付ける際の作業を簡略化することができる。また、本
発明の電磁波シールド材の製造方法によれば、本発明の
電磁波シールド材を簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る第1実施形態の電磁波
シールド材の構造を示す概略断面図である。
【図2】 図2は、本発明に係る第2実施形態の電磁波
シールド材の構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1、2 電磁波シールド材 10 シールド層 20 保護層 30 粘着剤層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属含有樹脂からなるシールド層と、前
    記シールド層の表面及び/又は裏面に形成され、前記シ
    ールド層を保護する保護層とを具備してなり、 10MHz〜10GHzの電磁波の電界成分を30dB
    以上シールドすることが可能であると共に、表面抵抗値
    が5Ω/sq 以下であることを特徴とする電磁波シー
    ルド材。
  2. 【請求項2】 金属含有樹脂からなるシールド層と、前
    記シールド層の表面及び/又は裏面に形成され、前記シ
    ールド層を保護する保護層と、最裏面に形成され、粘着
    剤を含有する粘着剤層とを具備してなり、 10MHz〜10GHzの電磁波の電界成分を30dB
    以上シールドすることが可能であると共に、表面抵抗値
    が5Ω/sq以下であることを特徴とする電磁波シール
    ド材。
  3. 【請求項3】 前記シールド層の表面抵抗値が1Ω/s
    q以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の電磁波シールド材。
  4. 【請求項4】 前記シールド層が、金、銀、銅、アルミ
    ニウム、ニッケルの中から選ばれた少なくとも一種以上
    の金属を含有することを特徴とする請求項1から請求項
    3までのいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
  5. 【請求項5】 前記シールド層が10〜95質量%の金
    属を含有することを特徴とする請求項1から請求項4ま
    でのいずれか1項に記載の電磁波シールド材。
  6. 【請求項6】 前記シールド層の膜厚が3〜80μmで
    あることを特徴とする請求項1から請求項5までのいず
    れか1項に記載の電磁波シールド材。
  7. 【請求項7】 前記シールド層が、前記金属粒子とし
    て、平均粒子径が2〜20μmの鱗片状金属粒子と、平
    均粒子径が5μm以下の超微粉状金属粒子とを含有する
    ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか
    1項に記載の電磁波シールド材。
  8. 【請求項8】 離型シート上に保護層材料を塗布するこ
    とにより、保護層を形成する保護層形成工程と、 前記保護層上に金属含有樹脂を塗布することにより、シ
    ールド層を形成するシールド層形成工程と、 前記シールド層を形成した前記保護層を、前記離型シー
    トから剥離する剥離工程とを有することを特徴とする電
    磁波シールド材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記剥離工程の後に、 前記保護層上若しくは前記シールド層上に、粘着剤を含
    有する粘着剤層を形成する粘着剤層形成工程をさらに有
    することを特徴とする請求項8に記載の電磁磁シールド
    材の製造方法。
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