JP2013110089A - 電極材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】集電体(電極材料)1は、金属箔からなる基材1aと、炭素を含む導電物質1bとを備え、面積が0.1mm2の正方形の視野にて観察した際に、導電物質1bが基材1aの表面に島状に配置されているとともに導電物質1bによる基材1aの表面の被覆率が1〜80%であるように構成した。これにより、基材1aである金属箔の素地の一部が露出し、タブ溶接を良好に行うことができ、活物質層との間の接触抵抗が低減される。
【選択図】図1
Description
本発明に係る電極材料によれば、基材と導電物質との密着性が向上し、基材と導電物質との接触面積が増加するため、電極材料の接触抵抗を更に低減することができる。また、電極材料の厚さが制限されるため、単位体積あたりの活物質層の量が大きく制限されない。
本発明に係る電極材料によれば、適量な付着量の導電物質が基材の表面に配置されるため、タブなどの溶接性と電極材料の接触抵抗の低減とを良好に両立させることができる。
本発明に係る電極材料の製造方法によれば、基材の表面に導電物質をより好適に島状に配置した電極材料を製造することができる。
本発明に係る電極材料の製造方法によれば、基材と導電物質との密着性が向上し、また、導電物質の一部を基材の内部に埋め込ませるため、更に接触抵抗を低減した電極材料を製造することができる。
本発明に係る電極材料の製造方法によれば、基材の圧延により導電物質層を分割して島状の構造を形成するため、導電物質の粒径や、塗布のための導電物質を含む溶液における導電材料の濃度範囲の制約を小さくすることができる。
[集電体の構造]
本実施形態に係る集電体の構造について、図1を参照して説明する。
本実施形態に係る集電体(電極材料)1は、金属箔からなる基材1aと、基材1aの表面に島状に配置された導電物質1bとからなる。また、導電物質1bは、基材1aの両面に配置されている。なお、導電物質1bは、基材1aの片面に配置してもよい。
基材1aは、二次電池用の電極材料として一般的に用いられるアルミニウム(Al)や銅(Cu)などの金属を用いることができる。二次電池用電極材料として使用する際は、基材1aは一般的に厚さが5〜50μm程度の箔状で使用される。本実施形態に係る集電体の製造方法において、圧延工程を実施する場合は、板状または厚肉の箔状の基材1aに導電物質1bを含む溶液を塗布して乾燥した後、圧延を施し薄肉化するようにしてもよい。
なお、基材1aは特定の組成のAlやCuなどに限定されるものではなく、電極に用いられる場合に、その電極の使用環境に適した各種の純金属やその合金を用いることができる。
導電物質1bは、面積が0.1mm2の正方形の視野で観察した際に、基材1aの表面の1〜80%を被覆するように島状に配置され、基材1aとともに構成する集電体1と活物質層(図2参照)との間の接触抵抗を低減するものである。
導電物質1bとしては、炭素系の導電材料を用いることができる。炭素系の導電材料としては、天然または人造の結晶性グラファイト、膨張化黒鉛、人造黒鉛、熱分解黒鉛または各種のカーボンブラックを用いることができる。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る集電体1を用いたリチウムイオン二次電池の電極の構成について説明する。
[製造方法]
金属箔からなる基材1aの表面に、導電物質1bが島状に配置された構造の集電体1を作製するには、いくつかの製造方法を挙げることができる。これらの製造方法について、順に説明する。
まず、図3(a)を参照(適宜図1参照)して、第1実施形態の製造方法について説明する。
集電体1の第1実施形態の製造方法は、金属箔からなる基材1aの表面に、導電物質1bを含む溶液を塗布し、溶液を乾燥することにより製造するものである。
以下、塗布工程S11について詳細に説明する。
導電物質1bを理想的な島状の構造に凝集させるには、導電物質1bの粒径と濃度とを調節することが有効である。粒径と濃度とを調節すると、溶液の粘度が変化するため、塗工性及び、乾燥後の導電物質1bの分布に変化が生じる。導電物質1bとして炭素を用いた場合、平均粒径が0.01〜1μmの炭素が、溶液中に0.1〜7質量%含まれる状態が望ましい。平均粒径を0.01μm以上、および濃度を7質量%以下とすることにより、溶液の粘度が上昇し過ぎず、炭素同士の凝集が大きくなり過ぎないため、理想的な島状の構造を得ることができる。また、導電物質1bである炭素の平均粒径を1μm以下、および炭素の濃度を0.1質量%以上とすることにより、島状の構造が形成されるとともに、導電物質1bである炭素と基材1aである金属箔との接触点が十分にあり、集電体1と活物質層2(図2参照)との間の接触抵抗を低減する効果を得ることができる。
次に、乾燥工程S12について説明する。
乾燥工程S12は、塗布工程S11の後に、溶媒を蒸散させるための工程である。乾燥工程S12は、室温にて乾燥させるようにしてもよいし、必要に応じて熱処理炉などを用いた加熱乾燥を行うようにしてもよい。
次に、図3(b)を参照(適宜図1参照)して、集電体1の製造方法の第2実施形態について説明する。
図3(b)に示すように、集電体1の第2実施形態の製造方法は、第1実施形態の製造方法による塗布工程S21および乾燥工程S22の後に、更に圧着工程または圧延工程(圧着/圧延工程S23)を行うものである。すなわち、第1実施形態の製造方法により作製した集電体1に、更に圧着または圧延を施すものである。
塗布工程S21および乾燥工程S22は、第1実施形態の製造方法における、それぞれ塗布工程S11および乾燥工程S12と同様である。塗布工程S21と乾燥工程S22とを行うことにより、基材1aである金属箔の表面に導電物質1bが島状に配置された集電体1が形成される。
乾燥工程S22の後に、集電体1に更に圧着または圧延(圧着/圧延工程S23)を施して、導電物質1bを押し潰し、また、一部を基材1aの内部に埋め込ませる。これによって、塗布工程S11および乾燥工程S12のみで作製した集電体1と比較して、集電体1を薄膜化することができ、更に基材1aとの密着性を向上し、基材1aと導電物質1bとの接触面積を増加させることができる。
次に、図3(c)を参照(適宜図1参照)して、集電体1の製造方法の第3実施形態について説明する。
図3(c)に示すように、集電体1の第3実施形態の製造方法は、基材1aである金属箔の表面に、導電物質1bを含む溶液を層状に塗布して、導電物質層を形成する塗布工程S31と、導電物質層を乾燥させる乾燥工程S32と、導電物質層を乾燥させた後に金属箔が塑性変形するように圧延を施して、導電物質1bが島状に金属箔の表面に配置された構造を形成する圧延工程S33と、を順次行うものである。
まず、塗布工程S31において、導電物質1bを含む溶液を、基材1aの表面に一様に塗布する。これにより、基材1aの表面を一様に被覆する導電物質1bの層である導電物質層が積層された集電体1が形成される。
次に、乾燥工程S32において、基材1aの表面に塗布された導電物質1bを含む溶液を乾燥させることにより、基材1aの表面に導電物質層が固着した集電体1が形成される。なお、乾燥工程S32は、室温で行うようにしてもよく、熱処理炉を用いて加熱乾燥するようにしてもよい。
そして、圧延工程S33において、導電物質層が固着した基材1aである金属箔を圧延することにより、金属箔上に固着した導電物質層が金属箔の伸びに追随できず、導電物質層が分割される。この結果、基材1aである金属箔上に導電物質1bが島状に配置された構造が形成される。
圧延の方法としては、公知の各種圧延機やロールプレス機を用いることができる。
(基材)
基材として、1000系のAl合金を使用した。また、Al箔の厚さは、圧下しない試料および軽圧下(圧着)した試料は、厚さ15μmのAl箔を用いた。また、高圧下(圧延)を施した試料に関しては、圧延後の厚さが15μmとなるように、適宜に厚さの異なるAl箔を用い、導電物質として炭素を含む溶液を塗布・乾燥した後、圧延を施した。
導電物質として、炭素粉(STREM CHEMICALS社製のアセチレンカーボンブラック(試料No.1〜7、10)、およびSECカーボン社製のSNE−6G膨張化黒鉛(試料No.8、9))を用いた。
塗布工程においては、導電物質を含む溶液の溶媒として水を用い、CMC(カルボキシメチルセルロース)(和光純薬工業株式会社製)樹脂を1質量%の濃度で添加した。また、溶液の塗装は、バーコーター(番手No.5)を用いて行った。
導電物質を含む溶液をAl箔の表面に塗装した後、室温にてAl箔を保持し乾燥を行った。
圧延工程において、圧延は、ロール径φ100mmのスキンパスロールを用いて行った。
なお、圧下率は、圧延前および圧延後の試料(箔+導電物質)の厚みをマイクロメータを用いて測定し、式(1)により算出した。
圧下率は、圧延前の試料の厚さをt0、圧延後の試料の厚さをt1とすると、
(圧下率)=(t0−t1)/t0 × 100 (%)・・・式(1)
により算出した。
(被覆率の評価)
導電物質(炭素)の被覆率は、日立製作所製の電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)SU−70を用いて作製した試料の表面を倍率300倍にて撮影し、撮影した視野中に含まれる炭素による基材表面の被覆面積を画像処理により算出して求めた。
第1の溶接性(溶接性(1))の評価は、厚さ15μmのAl箔の両面に、導電物質(炭素)が形成された試料を10枚重ね、一定圧力を加えた状態で溶接を行い、8枚以上溶接されたものを良好、7枚以下しか溶接されなかったものを不良と判定した。なお、溶接には、Yokodai.jp社製のスポット溶接機HSW−02Aを用い、電圧25V、通電時間500μ秒にて溶接を行った。
第2の溶接性(溶接性(2))の評価は、厚さ15μmのAl箔の両面に導電物質(炭素)が形成された試料を10枚重ね、その外側に、それぞれ厚さ30μmおよび厚さ250μmのAl箔を重ねた状態で、上下より一定圧力を加えた状態で溶接を行い、8枚以上溶接されたものを良好、7枚以下しか溶接されなかったものを不良と判定した。なお、溶接には、ソノボンド社製の超音波溶接機MH2026/CLF2500を用い、圧力0.28MPa、出力400W、エネルギー20Jの条件で、通電時間70μ秒にて溶接を行った。
なお、溶接性の評価は、前記したスポット溶接による溶接性(1)または超音波溶接による溶接性(2)の何れか一方について行った。
試料の両面を2枚のカーボンクロスで挟み、更にその外側を接触面積1cm2の2枚の銅電極で挟み、この銅電極に1kgf(9.8N)の荷重をかけて加圧し、直流電流電源を用いて7.4mAの電流を通電し、カーボンクロス間に加わる電圧を電圧計で測定した。接触抵抗は、前記した電流値、接触面積および測定した電圧から算出して求めた。同様の測定を基材のみを用いて行い、基材のみの場合と比較して接触抵抗が低減するものを接触抵抗の低減効果があると判定した。なお、基材であるAl箔のみの場合の接触抵抗は、500[mΩ・cm2]であった。
Al箔の基材の片面に導電物質(炭素)が形成された試料(集電体)上に活物質層を形成し、リチウムイオン二次電池用の正極を作製した。活物質としてLiCoO2を、導電助剤としてアセチレンブラックを、バインダーとしてPVdF(ポリフッ化ビニリデン)を、溶媒としてNMP(N−メチルピロリドン)をそれぞれ用いた。そして、これらを所定の割合で混合してスラリーとしたものを、試料の導電物質が形成された面に塗布し、120℃の大気中で乾燥させることにより、厚さが約25μmの活物質層を形成した。
導電物質(炭素)の最大高さを求めるために、断面加工装置(日本電子製のクロスセクションポリッシャ(CP)SM−09010)を用いて試料断面を加工後、日立製作所製の電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)SU−70を用いて試料断面方向より倍率2000倍にて20視野観察し、撮影した視野中に含まれる全ての島状炭素の高さ(基準面は基材表面の炭素の無い箇所とする)を画像処理により算出した。そして、得られた炭素の高さの平均値+標準偏差(σ)の値を最大高さとした。このように統計処理を行う理由は、ごくわずかな個数の炭素の高さが高くても特性に影響しないことから、そのような突出値を除外するためである。この統計処理により得られる値は、実質的に最大高さに相当する。
導電物質の基材における単位面積当たりの付着量は、以下の手順により測定した。なお、本実施例において、基材における単位面積当たりの付着量とは、基材の片面の単位面積当たりの付着量である。
まず、導電物質を含有する溶液を基材に塗布して乾燥した試料の質量を測定する。次に、試料の表面を水またはアルコールで拭き取り、試料から導電物質を除去する。導電物質を除去した後の試料の質量を測定する。導電物質を除去前および除去後の試料の質量差を、基材の面積で除することで、導電物質の基材における単位面積当たりの付着量を算出する。
なお、基材(すなわち試料)は、50mm角の大きさ(すなわち、面積が2500mm2)のAl箔を用いた。
なお、表1および表2において、判定結果が「○」は良好を、「×」は不良を示す。また、表1および表2において、不良と判定された数値に下線を付して示した。
試料No.17では、付着量が0.04g/m2と低く、被覆率も1%未満である。このため、Al箔の基材のみの資料と比較して、接触抵抗の低減効果が確認されなかった。
また、試料No.23では、付着量は、0.60g/m2と高いため接触抵抗の低減効果は大きいが、被覆率が高く、溶接性(溶接性(1))に優れなかった。
試料No.18〜22の付着量の範囲では、接触抵抗および溶接性(溶接性(1))について良好な結果が得られた。
図4に、導電物質として炭素粉を塗装して作製した集電体の試料の表面について、SEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)により観察を行った結果を示す。塗布した導電物質(炭素)を含む溶液として、炭素の平均粒径が0.05μmで、炭素の濃度が1質量%の溶液を使用した。試料表面のSEMによる観察の結果から、導電物質である炭素の凝集体がAl箔の表面に島状に付着し、Al箔の表面の一部が炭素によって被覆されずに露出していることが確認された。なお、図4において、右下部に示す1目盛りは、10μmである。
1a 基材
1b 導電物質
2 活物質層
10 電極
Claims (7)
- 金属箔からなる基材と、この基材の表面に設けた炭素を含む導電物質とを備えた電極材料であって、面積が0.1mm2の正方形の視野にて観察した際に、前記導電物質が前記基材の表面に島状に配置されているとともに前記導電物質による前記基材の表面の被覆率が1〜80%であることを特徴とする電極材料。
- 前記導電物質の一部が前記基材の内部に埋め込まれ、前記基材の表面からの前記導電物質の最大高さが3μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電極材料。
- 前記導電物質の前記基材における単位面積当たりの付着量が、0.05〜0.50g/m2であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極材料。
- 請求項1に記載の電極材料の製造方法であって、前記導電物質を含む溶液を前記基材の表面に塗布する塗布工程と、前記溶液を乾燥させる乾燥工程とをこの順で含み、前記溶液を前記基材の表面に塗布する前ないし塗布した後に、前記導電物質を前記溶液中で凝集させることを特徴とする電極材料の製造方法。
- 前記塗布工程は、平均粒径が0.01〜1μmの炭素が0.1〜7質量%含まれる前記溶液を前記基材の表面に塗布することを特徴とする請求項4に記載の電極材料の製造方法。
- 前記乾燥工程の後に、前記基材に前記導電物質を圧着させる圧着工程または前記基材を圧延する圧延工程を更に含むことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の電極材料の製造方法。
- 請求項1に記載の電極材料の製造方法であって、前記基材の表面に前記導電物質を一様に塗布して導電物質層を形成する塗布工程と、前記溶液を乾燥させる乾燥工程と、前記基材を圧延する圧延工程と、をこの順で含むことを特徴とする電極材料の製造方法。
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