JP2000106332A - 電極シートおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】集電箔と電極材との電気抵抗を小さくし、しか
も電気二重層コンデンサ等の効率を向上させることが可
能な電極シートおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】製造装置１０の塗布部２０により集電箔１
４にグラファイトの電極材を含む電極材溶液１８を塗布
し、乾燥部２２により電極材溶液１８を乾燥させる。そ
して、圧延ローラ５０ａ、５０ｂにより電極材が塗布さ
れた集電箔１４を圧延すると、電極材は集電箔１４の表
面に形成された酸化アルミニウム層を破り、集電箔１４
のアルミニウム層に食い込み、電極材と集電箔１４との
電気抵抗が小さくなる。このようにして電極シート１２
が製造される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電気二重層コンデ
ンサ等に使用される電極シートおよびその製造方法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、電気二重層コンデンサ等に使
用される電極シートを製造するために、グラファイトま
たはカーボンからなる電極材を導電性有機接着剤のバイ
ンダに混練した電極材溶液をアルミニウム等のシート材
で形成された集電箔の表面に塗布して分極性電極層を形
成する方法が知られている。

【０００３】また、集電箔の表面に活性炭繊維布等を導
電性有機接着剤で接着して分極性電極層を形成する方法
がある。

【０００４】このようにして製造された電極シートは所
定の大きさに切断され、各切断片が絶縁物シートを介し
て積層されて電気二重層コンデンサが製造される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
にして製造される電極シートは、アルミニウムの集電箔
の表面に酸化アルミニウムの層が形成されると、酸化ア
ルミニウムは集電箔と分極性電極層との間に挟まれるこ
とになる。この場合、集電箔と分極性電極層との電気抵
抗を十分に小さくすることができず、この電極シートを
使用して製造された電気二重層コンデンサを充放電する
際、電気抵抗によりエネルギが消費されてしまい、電気
二重層コンデンサの充放電効率を高くすることができな
いという問題がある。

【０００６】そこで、集電箔の表面に形成された酸化ア
ルミニウムの層を化学エッチングにより除去した後に、
電極材を導電性有機接着剤のバインダに混練した電極材
溶液を塗布して分極性電極層を形成する、あるいは酸化
アルミニウムの層を除去した集電箔に活性炭繊維布等を
導電性有機接着剤で接着して分極性電極層を形成する方
法があるが、これらの方法によっても、導電性有機接着
剤の有する抵抗によりさほどに集電箔と分極性電極層と
の電気抵抗を小さくすることができない。

【０００７】本発明は前記の課題を解決すべくなされた
ものであって、集電箔と電極材との電気抵抗を小さく
し、しかも電気二重層コンデンサ等の効率を向上させる
ことが可能な電極シートおよびその製造方法を提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、電極材が塗布された集電箔を圧延し、
前記電極材を前記集電箔に圧着して形成されることを特
徴とする。

【０００９】本発明によれば、集電箔の表面に形成され
た酸化物層が電極材の圧着によって破れ、電極材が集電
箔に直接接触することにより、電極シートの集電板と分
極性電極層との電気抵抗が小さくなる。

【００１０】また、本発明は、電極材が混合された電極
材溶液を、集電箔の表面に塗布する工程と、前記集電箔
に塗布された前記電極材溶液を乾燥させて分極性電極層
を形成する工程と、前記分極性電極層が形成された前記
集電箔を圧延することにより、前記電極材を前記集電箔
に圧着させる工程と、を有することを特徴とする。

【００１１】本発明によれば、電極材が集電箔に圧着さ
れる際に、集電箔の表面に形成された酸化物層が電極材
によって破れ、電極材が集電箔に直接接触することによ
り、集電板と分極性電極層との電気抵抗が小さくなる。

【００１２】さらに、本発明は、電極材のシートと集電
箔とを貼着して分極性電極層を形成する工程と、前記電
極材のシートが貼着された前記集電箔を圧延することに
より、前記電極材を前記集電箔に圧着させる工程と、を
有することを特徴とする。

【００１３】この場合にも、電極材が集電箔に圧着され
る際に、集電箔の表面に形成された酸化物層が電極材に
よって破れ、集電板と分極性電極層との電気抵抗が小さ
くなる。

【００１４】また、前記圧延による前記集電箔の伸び率
が０．３％〜４％であると、集電板と分極性電極層との
電気抵抗が一層小さくなり、好適である。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明に係る電極シートについ
て、その製造方法との関係において、好適な実施の形態
を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明す
る。

【００１６】図１において、参照符号１０は、本実施の
形態に係る電極シート１２を製造する製造装置を示す。
この製造装置１０は、アルミニウムからなるロール状に
巻回された集電箔１４を連続して供給する供給機構１６
と、集電箔１４に電極材溶液１８を塗布する塗布部２０
と、集電箔１４に塗布された電極材溶液１８を乾燥させ
る乾燥部２２と、集電箔１４を圧延する圧延部２４とを
備える。

【００１７】供給機構１６は集電箔１４の供給ローラ２
８を有する。供給ローラ２８から供給された集電箔１４
は駆動ローラ３０ａ、３０ｂの回転作用下に搬送され、
ローラ３２を介してテンションローラ３４に巻回され
る。

【００１８】テンションローラ３４の下流側に配置され
た塗布部２０は、電極材溶液１８が貯留された容器３６
を有し、容器３６には複数の塗布用ローラ３８ａ〜３８
ｃが回転可能にかつ互いに接触して設けられる。電極材
溶液１８は、グラファイトからなる電極材と導電性有機
接着剤とが水、エチルアルコール等の水溶性溶媒と混合
されて形成される。

【００１９】塗布部２０から搬送された集電箔１４はロ
ーラ４０を介してテンションローラ４２に巻回され、ロ
ーラ４４ａ、４４ｂを介して乾燥部２２に搬送される。
乾燥部２２では集電箔１４の両面に対して高温の空気を
吹き付ける噴射機構４６ａ、４６ｂが上下に配設され
る。

【００２０】乾燥部２２の下流側には圧延部２４が配置
され、圧延部２４には圧延ローラ５０ａ、５０ｂが設け
られる。圧延ローラ５０ａ、５０ｂはバックアップロー
ラ５１ａ、５１ｂの駆動作用下に回転するとともに、互
いに押圧される。圧延部２４の下流側には巻取ローラ５
２が回転可能に配置される。

【００２１】本実施の形態に係る電極シート１２の製造
装置１０は、基本的には以上のように構成されるもので
あり、次にその動作について、本実施の形態に係る製造
方法との関連で説明する。

【００２２】供給ローラ２８に巻回されている集電箔１
４の表面には、空気に触れることにより酸化アルミニウ
ム層５４が形成されている（図２参照）。

【００２３】先ず、駆動ローラ３０ａ、３０ｂが回転す
ると、供給ローラ２８から集電箔１４が供給され、該集
電箔１４はローラ３２を介してテンションローラ３４に
より一定のテンションが付与されながら塗布部２０に搬
送される。塗布部２０では、塗布用ローラ３８ａ〜３８
ｃが回転して容器３６に貯留された電極材溶液１８が集
電箔１４に塗布される。

【００２４】電極材溶液１８が塗布された集電箔１４は
ローラ４０、テンションローラ４２およびローラ４４
ａ、４４ｂを介して乾燥部２２に搬送される。乾燥部２
２では噴出機構４６ａ、４６ｂにより集電箔１４に塗布
された電極材溶液１８が乾燥される。このとき、図３Ａ
に示すように、集電箔１４の表面には酸化アルミニウム
層５４を介してグラファイトの粒子５６が積層されてお
り、グラファイトの粒子５６と集電箔１４のアルミニウ
ム層５８とは直接接触していない。このため、集電箔１
４と粒子５６の層との電気抵抗は大きい。

【００２５】その後、集電箔１４は、図２に示すよう
に、圧延部２４の圧延ローラ５０ａ、５０ｂにより圧延
され、電極シート１２が製造される。この場合、図３Ｂ
に示すように、圧延により酸化アルミニウム層５４が薄
くなるとともに、グラファイトの粒子５６が酸化アルミ
ニウム層５４を破り、アルミニウム層５８に食い込み、
粒子５６とアルミニウム層５８とが直接接触し、集電箔
１４と粒子５６の層との電気抵抗が小さくなる。

【００２６】このようにして製造された電極シート１２
は巻取ローラ５２に巻き取られる。

【００２７】この電極シート１２は、所定の大きさに切
断され、各切断片が絶縁物からなるシートを介して積層
されて電気二重層コンデンサが製造される。この電気二
重層コンデンサではグラファイトの粒子５６は分極性電
極として機能する。この場合、集電箔１４と分極性電極
との間の電気抵抗が小さいため、この電気二重層コンデ
ンサの充放電をする際、エネルギの消費が小さくてす
み、電気二重層コンデンサの充放電効率が向上し、ま
た、発熱も少なくなる。

【００２８】図４に、圧延の際の集電箔１４の伸び率
と、集電箔１４と粒子５６の層との電気抵抗との関係を
表すグラフを示す。伸び率が小さいと、粒子５６はアル
ミニウム層５８に十分に食い込まず、電気抵抗は大きい
が、伸び率が大きくなると、電気抵抗が小さくなること
がわかる。また、伸び率が大きくなりすぎると、グラフ
ァイトの粒子５６が集電箔１４の伸びに追従することが
できなくなり、粒子５６が剥離してしまい、再び電気抵
抗が大きくなる。従って、集電箔１４の伸び率が０．３
％〜４％であると、集電箔１４と粒子５６の層との電気
抵抗が小さくなり、好適である。

【００２９】本実施の形態では、集電箔１４にグラファ
イトの粒子５６を塗布して分極性電極を形成したが、活
性炭繊維布の如き電極材のシート（図示せず）を集電箔
１４に貼着して分極性電極を積層形成した後、集電箔１
４に圧延を施してもよい。

【００３０】この場合、圧延部２４の上流側にて集電箔
１４と図示しない電極材のシートとを導電性有機接着剤
で貼着した後、圧延部２４で集電箔１４を圧延して電極
シート１２を形成すると、シートを形成する電極材が集
電箔１４の酸化アルミニウム層５４を破ってアルミニウ
ム層５８に食い込み、電極材とアルミニウム層５８とが
直接接触し、集電箔１４と電極材のシートとの電気抵抗
が小さくなる。従って、この電極シート１２を使用して
製造された電気二重層コンデンサの充放電効率が向上す
る。

【００３１】なお、圧延後、さらに、粒子５６の層に活
性炭シートまたは活性炭繊維布を貼着し、あるいはスラ
リー状の活性炭を塗布することにより、分極性電極の層
の厚さが増加して空孔率が向上し、この電極シート１２
を使用して製造された電気二重層コンデンサの容量を十
分に確保することができる。

【００３２】

【発明の効果】本発明に係る電極シートおよびその製造
方法によれば、以下のような効果ならびに利点が得られ
る。

【００３３】集電箔と電極材との電気抵抗が小さいた
め、この電極シートを電気二重層コンデンサに使用した
場合、充放電をする際にエネルギの消費が小さくてす
み、電気二重層コンデンサの効率を向上することがで
き、また、発熱も少なくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係る電極シートを製造す
る製造装置を示す概略側面図である。

【図２】図１の製造装置の圧延部を示す一部拡大断面図
である。

【図３】本発明の実施の形態に係る電極シートを示し、
図３Ａは、圧延前の一部拡大断面図であり、図３Ｂは、
圧延後の一部拡大断面図である。

【図４】集電箔の伸び率と、集電箔と電極材との電気抵
抗との関係を表すグラフを示す図である。

【符号の説明】

１０…製造装置 １２…電極シート １４…集電箔 １８…電極材溶液 ２０…塗布部 ２４…圧延部 ３８ａ〜３８ｃ…塗布用ローラ ５０ａ、５０ｂ…圧
延ローラ ５２…巻取ローラ ５４…酸化アルミニ
ウム層 ５６…粒子 ５８…アルミニウム
層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 品川 孝司 埼玉県狭山市新狭山１−10−１ ホンダエ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 溝口 次雄 埼玉県狭山市新狭山１−10−１ ホンダエ ンジニアリング株式会社内 Ｆターム(参考） 5H017 BB06 BB08 BB12 BB14 BB19 CC01 DD01 DD03 EE05 EE06 HH01

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電極材が積層された集電箔を圧延し、前記
   電極材を前記集電箔に圧着して形成されることを特徴と
   する電極シート。
2. 【請求項２】電極材が混合された電極材溶液を、集電箔
   の表面に塗布する工程と、 前記集電箔に塗布された前記電極材溶液を乾燥させて分
   極性電極層を形成する工程と、 前記分極性電極層が形成された前記集電箔を圧延するこ
   とにより、前記電極材を前記集電箔に圧着させる工程
   と、 を有することを特徴とする電極シートの製造方法。
3. 【請求項３】電極材のシートと集電箔とを貼着して分極
   性電極層を形成する工程と、 前記電極材のシートが貼着された前記集電箔を圧延する
   ことにより、前記電極材を前記集電箔に圧着させる工程
   と、 を有することを特徴とする電極シートの製造方法。
4. 【請求項４】請求項２または３記載の電極シートの製造
   方法において、 前記圧延による前記集電箔の伸び率は０．３％〜４％で
   あることを特徴とする電極シートの製造方法。