JP2013090302A - 光電スイッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】光電スイッチを複数台連装して使用する場合に相互干渉があっても正常に入光状態か遮光状態かを判定する。
【解決手段】投光部10は、投光周期と投光パルス幅がそれぞれ異なる3つの投光パターンA〜Cのうち、パターン選択部11で選択された特定の投光パターンに従って投光する。受光部20のパルス幅判定回路30は、パターン選択部21で選択された投光部10と同じ投光パターンのパルス幅の情報に基づいて、投光パルス幅の投光パターンによる違いを受光信号のパルス幅の違いとして検出し、自発光か干渉光かを区別する。
【選択図】図1

Description

この発明は、受光量の変化に基づいて検出対象物を検出する光電スイッチに関するものである。
透過形の光電スイッチは、投光器と受光器を1組備え、その光路を通過する検出対象物による遮蔽の有無に応じた光量変化を検出する(例えば、特許文献1参照)。図5は、透過形光電スイッチを3台連装状態で使用する場合の設置例を示す図であり、検出対象物が通過する検出領域の一方側に投光器100A〜100Cを配置し、他方側に受光器200A〜200Cを配置している。この例では、投光器100Aと受光器200Aが対になり、投光器100Bと受光器200Bが対になり、投光器100Cと受光器200Cが対になっており、例えば受光器200Aは投光器100Aからの光信号のみに反応し、投光器100B,100Cからの光信号には反応してほしくない。しかしながら、対になった投光器と受光器の間で光信号以外の情報のやり取りはなく、従って受光器は受光した光信号がどの投光器からのものか区別できなかった。
そのため、従来は投光器と受光器を互い違いに配置(ちどり配置)したり、受光器に偏光フィルタを取り付けて隣接する投光器からの光をカットしたりしていた。
特開平5−175817号公報
従来の光電スイッチは以上のように構成されているので、ちどり配置にした場合は、検出領域の両側に投光器と受光器がそれぞれ配置されるため、制御装置からの配線が長くなったり、検出対象物からの反射光による干渉が生じたりする課題があった。
偏光フィルタを用いる場合は、偏光する角度が直角になるよう偏光フィルタを取り付けることで隣の投光器からの光をカットできるが、受光量が半分以下に低下するので検出距離が短くなるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、光電スイッチを複数台連装して使用する場合に相互干渉があっても正常に入光状態か遮光状態かを判定することが可能な光電スイッチを提供することを目的とする。
この発明の請求項1に係る光電スイッチは、投光周期および投光パルス幅がそれぞれ異なる複数の投光パターンのうちの特定の投光パターンに従って、検出領域に向けて当該パルス幅の投光を当該投光周期毎に行う投光部と、検出領域からの光を受光して受光パルスを生成する受光部と、受光部が生成した受光パルスのパルス幅が、特定の投光パターンの投光パルス幅と略同じか否かを判定し、略同じであれば受光部で受光した光が投光部の投光した自発光であると判断するパルス幅判定部とを備えるものである。
この発明の請求項2に係る光電スイッチは、投光部が、特定の投光パターンに従ったパルス幅の投光の周波数を変調する変調部を有し、受光部は、受光した信号について、変調部で用いた変調周波数を中心周波数にした信号を抽出するバンドパスフィルタ部と、バンドパスフィルタ部が抽出した信号を整流する検波部と、検波部が整流した信号について、変調により当該信号に重畳した周波数成分を所定レベルまで低減した周波数特性にするローパスフィルタ部と、ローパスフィルタ部が抽出した信号を所定の閾値で弁別して受光パルスを出力する弁別部とを有するものである。
この発明の請求項3に係る光電スイッチは、パルス幅判定部で自発光と判定された場合に計数値に所定数を加算し、当該判定のされた時点から特定の投光パターンの投光周期が経過する間に次の判定がなければ計数値から所定値を減算して、計数値に基づいて検出領域における検出対象物の有無を判定する判定部を備えるものである。
この発明の請求項4に係る光電スイッチは、外部から指示を受け付け、複数の投光パターンのうちから特定の投光パターンを選択するパターン選択部を備えるものである。
この発明の請求項5に係る光電スイッチは、変調部が、ハイレベル期間が略1.0μs、ローレベル期間が略1.5μsの変調周期で投光を変調するものである。
この発明の請求項1によれば、受光部が生成した受光パルスのパルス幅が、投光部が従う特定の投光パターンの投光パルス幅と略同じか否かを判定することにより、自発光か否か判断するようにしたので、光電スイッチを複数台連装して使用する場合に相互干渉があっても正常に入光状態か遮光状態かを判定することができる。
この発明の請求項2によれば、投光パルスを変調し、受光部側で変調周波数を中心周波数にしてバンドパスフィルタ処理するようにしたので、特定の投光パターンに従って投光パルス幅を変更した場合でもバンドパスフィルタ処理した信号の振幅を略同じにすることができ、その信号に重畳した周波数成分を所定レベルまで低減させるローパスフィルタ処理をすることで、投光部側の投光パルス幅の違いを受光部側で受光パルス幅の違いとして検出することができる。
この発明の請求項3によれば、パルス幅判定部の判定結果に応じて昇降する計数値に基づいて検出対象物の有無を判定するようにしたので、相互干渉光か自発光かの判定ミスがあってもその頻度が低い場合には入光状態か遮光状態かの誤判定を防ぐことができる。そのため、自発光か否かの判定ミスの頻度が低くなるような投光周期を選択して投光パターンに設定することにより、入光/遮光状態の誤判定をさらに低減可能となる。
この発明の請求項4によれば、外部からの指示を受けて投光パターンを選択するようにしたので、ユーザが自由に光電スイッチを連装して使用することができるようになり、汎用性および拡張性を向上できる。
この発明の請求項5によれば、ハイレベルの期間を略1.0μs、ローレベルの期間を略1.5μsで高周波変調するようにしたので、干渉光による影響を小さくしつつ、十分な信号レベルを確保することができる。
この発明の実施の形態1に係る光電スイッチの構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1に係る光電スイッチの3種類の投光パターンを説明するグラフである。 この発明の実施の形態1に係る光電スイッチの投光パターンに応じた受光信号の例を示すグラフである。 この発明の実施の形態1に係る光電スイッチの動作例を示すグラフである。 3台の透過形光電スイッチを連装状態で使用する場合の設置例を示す図である。
実施の形態1.
図1に示す光電スイッチ1は、検出領域を間に挟んで向き合う状態に設置される投光部10と受光部20とを備えた透過形光電スイッチであり、受光部20は検出領域から入光する光量の変化に基づいて検出領域に検出対象物体があるか否かを判定するものである。
本実施の形態1では、この光電スイッチ1を最大で3台まで連装して使用する場合を想定した構成を説明する。3台の光電スイッチ1(ここでは光電スイッチ1A〜1Cと呼び分ける)は、投光パルスの周期およびパルス幅が異なる3つの投光部10と、受光した周期およびパルス幅に基づいて自発光か干渉光かを区別する3つの受光部20とから構成されることになる。
ここで、自発光とは、光電スイッチ1Aの受光部20が、同じ光電スイッチ1Aの投光部10から受ける光である。干渉光とは、光電スイッチ1Aの受光部20が、光電スイッチ1A以外の光電スイッチ1B,1Cから受ける光である。
図2に、投光パターンA〜Cを示す。投光パルスは、投光パターンA〜Cに共通して変調周期t=2.5μs(変調周波数400kHz)で高周波変調されたパルス列からなる。この変調周期tは、ハイレベル(H)の期間が1.0μs、ローレベル(L)の期間が1.5μsで構成される。
図2(a)に示す投光パターンAは、投光周期TA=90μsとし、パルス幅8.5μsの投光パルスが高周波変調されて4列のパルスになる。
図2(b)に示す投光パターンBは、投光周期TB=288μsとし、パルス幅28.5μsの投光パルスが高周波変調されて12列のパルスになる。
図2(c)に示す投光パターンCは、投光周期TC=972μsとし、パルス幅48.5μsの投光パルスが高周波変調されて20列のパルスになる。
ここで、変調周期tのH期間とL期間は、相互干渉時の状態と受光信号の信号レベルを考慮して決定することが望ましい。本実施の形態1では、変調周期tを2.5μsとした場合に、H期間を1.0μsより長くすると干渉による影響が大きくなり、短くすると信号レベルが低下し信号対雑音比(S/N比)が悪化することから、H期間を1.0μs(ある程度の範囲を持たせても可)、L期間を1.5μs(ある程度の範囲を持たせても可)と決定した。
投光部10において、パターン選択部11には予め上記投光パターンA〜Cを規定する投光周期と投光パルス幅の情報が登録されている。そして、外部から投光パターンA〜Cのいずれかを選択する入力を受け付けたパターン選択部11が、選択された投光パターンを変調回路13へ指示する。
本実施の形態1では、光電スイッチ1Aには投光パターンAが選択され、光電スイッチ1Bには投光パターンBが選択され、光電スイッチ1Cには投光パターンCが選択されたものとする。
変調回路13は、発振回路12の発振する一定周期のクロック信号を、パターン選択部11から指示された投光パターンになるよう変調する。なお、変調周波数は、想定される外乱光およびノイズの周波数より十分高い周波数であればよく、400kHzに限定されるものではない。駆動回路14は、変調回路13から出力される投光パターンのパルス電流を投光素子15へ供給する。そして、LED(発光ダイオード)などで構成される投光素子15が、検出領域に向けて投光する。
受光部20において、パターン選択部21にも予め上記投光パターンA〜Cに対応した投光周期、投光パルス幅、および受光パルス幅の判定条件に関する情報が登録されている。それぞれの情報の詳細は後述する。そして、外部から投光パターンA〜Cのいずれかを選択する入力を受け付けたパターン選択部21が、選択された投光パターンに応じた受光パルス幅の判定条件と投光周期を判定回路29へ指示する。自発光と干渉光とを区別するためには、対になった投光部10と受光部20とで同じ投光パターンを用いる必要があるので、光電スイッチ1Aの受光部20には投光パターンAが、光電スイッチ1Bの受光部20には投光パターンBが、光電スイッチ1Cの受光部20には投光パターンCが選択される。
受光素子22は、フォトダイオードなどで構成され、検出領域の方向からの光を受光し、受光量に応じたレベルの電流値を出力する。受光素子22の出力電流は、IV変換回路23で電流−電圧変換され、増幅回路24で増幅される。
BPF(バンドパスフィルタ)回路25には、投光部10の変調回路13と同じ変調周波数(ここでは400kHz)が予め設定されており、この変調周波数を通過域の中心周波数にして、増幅回路24からの出力信号をフィルタ処理する。これにより、例えば100kHz程度の周波数で発光するインバータ式の蛍光灯などに由来する外乱光、およびノイズなどを取り除く。そして、BPF回路25の出力信号を検波回路26で整流する。
LPF回路27は、検波回路26からの出力信号を、投光部10側の高周波変調により重畳した高周波成分を必要なレベルまで低減させるようにフィルタ処理する。これにより、高周波成分を取り除き、受光した信号を、自発光の投光パルス幅に応じた幅をもつ信号に復調できる。
弁別回路28は、LPF回路27から出力される受光信号レベルを予め設定されている所定の閾値と比較し、閾値以上の成分のみを抽出したパルスを出力する。なお、この閾値は、投光パターンA〜Cによらず振幅が略等しいので同じ値にできる。もちろん、閾値は固定でなくともよく、適宜変更できるようにしてもよい。
以下、投光部10で用いる投光パルス幅と区別するために、LPF回路27および弁別回路28により復調した受光信号のパルス幅を受光パルス幅と称する。
図3(a)〜図3(c)にLPF回路27の出力する受光信号を示し、図3(a’)〜図3(c’)に弁別回路28の出力する受光パルスを示す。図3(a),(a’)は投光パターンAが選択された光電スイッチ1Aの場合、図3(b),(b’)は投光パターンBが選択された光電スイッチ1Bの場合、図3(c),(c’)は投光パターンCが選択された光電スイッチ1Cの場合のグラフである。また、いずれのグラフにも干渉光は含まれていないものとする。
投光パターンA〜Cで投光パルス幅が異なるので、これを復調した場合、図3(a’)〜図3(c’)のように投光パターンに応じて受光パルス幅が異なる。よって、後述する判定回路29において、受光パルス幅が自機に設定された投光パターンの投光パルス幅に相当するか否かを判定することにより自発光を区別可能になる。
判定回路29は、パルス幅判定回路30とアップダウンカウンタ31とを備える。また、パターン選択部21より受光パルス幅の判定条件と投光周期の情報を受け付ける。
パルス幅判定回路30は、弁別回路28から出力される受光信号の受光パルス幅が、パターン選択部21から指示された判定条件に該当するか否かを判定し、該当すれば自発光と判定して「1」を出力する。この判定条件は、自発光のパルス幅と見なし得る上限値と下限値であり、受光パルス幅が下限値以上、かつ、上限値以下であれば自発光と判定し、この上下限値の範囲外であれば干渉光と判定する。図3(a’)〜図3(c’)の例では、いずれの受光パルス幅も上下限値の範囲内であるから自発光と判定されることになる。
本実施の形態1では、閾値に対する受光量のレベルの変動により受光パルス幅も変動することになる。閾値より少し大きい受光量レベルであれば受光パルス幅は短くなり、閾値より十分大きい受光量レベルであれば受光パルス幅は広くなる。そのため、受光部20において受光パルス幅が変動しても投光パターンA〜Cのいずれに該当するか区別できるように、予め、パターン間で投光パルス幅にある程度の差を持たせておく必要がある。そこで、図2に示したようにパターン間で20μsの差をつけ、投光パターンAでは投光パルス幅を8.5μs、投光パターンBでは28.5μs、投光パターンCでは48.5μsにしておくことにより、受光パルス幅を投光パターン毎に区別できるようになる。
アップダウンカウンタ31は、パルス幅判定回路30から「1」が出力されたときにカウントアップし、「1」が所定の期間出力されないときにはカウントダウンする。本実施の形態1では、アップダウンカウンタ31を、10段階のアップ/ダウンカウントを行うデジタル積分回路で構成する。
カウントに際し、所定の期間を、「1」が入力された直後は投光周期より少し長い期間(例えば投光周期の1.1倍)とし、それ以降は投光周期と同じ期間とする。「1」が入力された直後に期間を長くとるのは、投光部10と受光部20の間のクロック誤差によるミスカウントを排除するためである。
そして、判定回路29は、アップダウンカウンタ31のカウンタ値に応じて以下の動作を行う。
1.カウンタ値が0のとき、遮光状態(検出対象物がある状態)と判定する
2.カウンタ値が10のとき、入光状態(検出対象物がない状態)と判定する
3.カウンタ値が1〜9のとき、前の判定を維持する
光電スイッチ1を3台連装して使用した場合、干渉状態では自発光に干渉光が混じって受光パルス幅が変わることがある。そうすると、パルス幅判定回路30による自発光か否かの判定にミスが生じることがあるが、判定回路29がアップダウンカウント方式により入光/遮光状態の判定処理を行っているため、パルス幅判定回路30による多少の判定ミスの影響を排除することができる。なお、10段階のアップダウンカウントの場合、平均で5回以下の判定ミスであれば、理論上は入光/遮光状態の誤判定が発生しないことになる。
例えば、アップダウンカウンタ31のカウンタ値が「10」で、パルス幅判定回路30による判定ミスが2回連続して発生した場合(即ち、投光周期2回分の期間「1」の出力がない場合)、その後に判定ミスがなければ入光/遮光状態の誤判定は生じない。このとき、カウンタ値の遷移は「10(入光状態)」→(判定ミス)→「9(入光状態)」→(判定ミス)→「8(入光状態)」→(正常判定)→「9(入光状態)」→(正常判定)→「10(入光状態)」となるので、判定回路29は入光状態の判定を維持することになる。従って、光電スイッチ1が誤動作しない。
このように、例えばカウンタ値が「10」の場合に、ノイズまたは干渉光によりパルス幅判定回路30の受光パルス幅判定が正しく行えなくなったとしても、判定ミスが連続しなければ入光状態の判定を維持できる。反対にカウンタ値が「0」の場合に、ノイズまたは干渉光によりパルス幅判定回路30の受光パルス幅判定が正しく行えなくなったとしても、判定ミスが連続しなければ遮光状態の判定を維持できる。
即ち、干渉により判定ミスが発生してもカウンタ値が「10」→「0」、または「0」→「10」とならなければ正常動作とみなせるため、相互干渉によるパルス幅判定回路30の判定ミスの発生頻度をある程度以下に抑えることで干渉による影響を受けなくできる。
投光周期TA〜TCは、その周期の比が大きい方が投光タイミングが一致する頻度が下がる。またその比が整数倍だと遅い周期のものは必ず早い周期のものとタイミングが一致してしまうため、整数倍から少しずらした値とする必要がある。そこで、本実施の形態1では、投光周期TA〜TC間の差(比)をある程度大きい値である3倍より少し大きい値に設定する。
ただし、投光周期同士の比を大きくすると、投光パターンAより投光パターンBの応答速度が遅くなり、さらに投光パターンBより投光パターンCの応答速度が遅くなるので、干渉による判定ミス発生頻度と応答速度との兼ね合いに応じて投光周期を設定することが好ましい。
また、投光パターンAより投光パターンB、投光パターンBより投光パターンCで応答速度が遅くなる特性があるので、光電スイッチ1を単独で使用する場合には投光パターンAを選択することが好ましい。同様の理由により、光電スイッチ1を2台連装状態で使用する場合には投光パターンA,Bを選択することが好ましい。
さらに、上記説明では最大3台の連装を想定したが、これに限定されるものではなく、4つの異なる投光パターンを用意して4台以上の光電スイッチ1を連装状態で使用することも可能である。
ここで、図4を用いて、本実施の形態1に係る光電スイッチ1A,1Bの2台を連装状態で使用した場合の動作例を説明する。
図4(a)は光電スイッチ1Aの投光素子15の発する光信号、図4(b)は光電スイッチ1Bの投光素子14の発する光信号である。それぞれの投光パルスは高周波変調されているが、図示すると見にくくなるため、グラフ上では高周波変調前の波形として示す。図4(c)は、光電スイッチ1A,1Bの各受光素子22が受光する光信号であり、投光パターンA,Bの投光が相互干渉状態になっているので同一波形となる。図4(d)は、光電スイッチ1Aのアップダウンカウンタ31のカウンタ値、図4(e)は光電スイッチ1Bのアップダウンカウンタ31のカウンタ値である。また、これら図4(a)〜図4(d)の横軸は時間[ms]であり、各グラフの時間は同期している。
先ず、光電スイッチ1Aの動作を説明する。
図4(c)の受光パルスP1は、投光パターンBの投光パルスに投光パターンAの投光パルスが含まれた干渉状態であるため、投光パターンAの判定条件の上限値以上のパルス幅となる。従って、光電スイッチ1Aのパルス幅判定回路30はこの受光パルスP1を干渉光と判定し(判定ミス)、アップダウンカウンタ31へ「1」を入力しない。ここで、投光パターンAの投光周期と同じ長さの期間をT1とすると、アップダウンカウンタ31はこの期間T1より少し長い期間T2(例えばT2=T1×1.1)に「1」が入力されなければカウンタ値を「10」から「9」(図4(d)のC1A)にカウントダウンする。判定回路29は、カウンタ値が「9」のときは前回の判定を維持する動作設定のため、入光状態と判定する。
受光パルスP2,P4も受光パルスP1と同様に処理する
これら受光パルスP1,P2,P4の次の受光パルスは、投光パターンAの投光パルス幅に近いので判定条件を満たして自発光と判定され、アップダウンカウンタ31へ「1」が入力される。よって、カウンタ値が「10」になって引き続き入光状態と判定される。
次に、光電スイッチ1Bの動作を説明する。
図4(c)の受光パルスP1,P2は、投光パターンBの投光パルスに投光パターンAの投光パルスが含まれた干渉状態であるが、受光パルス幅は投光パターンBの投光パルス幅に近いので、光電スイッチ1Bのパルス幅判定回路30はこれら受光パルスP1,P2を自発光と判定し、アップダウンカウンタ31へ「1」を入力する。ただし、すでにカウンタ値が上限「10」になっているのでカウンタ値に変化はない。判定回路29は、カウンタ値が「10」であるので、入光状態と判定する。
受光パルスP3は、投光パターンA,Bの投光パルスが一部重なった干渉状態であり、より具体的には、投光パターンBにおける高周波変調された投光期間の立ち上がり近傍および立ち下がり近傍においては投光パターンAとの干渉が生じておらず、これに属しない、投光パターンBにおける高周波変調された投光期間の中央部近傍において投光パターンAとの干渉が生じている状態である。換言すれば、投光パターンBは、非干渉→干渉→非干渉、と推移する。このとき、BPF回路25は、受光パルスP3のうち、干渉が生じていない部分を通過させるよう作用するものであり、投光パターンBのうち、投光パターンAと重なる部分のみがBPF回路25にて減衰される。ここで、光電スイッチ1Aにおいては、投光パターンBにおける高周波変調された投光期間の立ち上がり近傍および立ち下がり近傍の2箇所(非干渉部分)はそれぞれ判定条件の下限値を下回らない(同時に、上限値を上回らない)ため、アップダウンカウンタ31には2回「1」が入力される。これに対し、光電スイッチ1Bにおいては、受光パルス幅が判定条件の下限値以下となるため、光電スイッチ1Bのパルス幅判定回路30は受光パルスP3を干渉光と判定し(判定ミス)、アップダウンカウンタ31へ「1」を入力しない。ここで、投光パターンBの投光周期と同じ長さの期間をT3とすると、アップダウンカウンタ31はこの期間T3より少し長い期間T4(例えばT4=T3×1.1)に「1」が入力されなければカウンタ値を「10」から「9」(図4(e)のC3B)にカウントダウンする。このとき、判定回路29は入光状態の判定を維持する。なお、光電スイッチ1Bにおいては投光パターンBの投光パルス周期毎にしか受光パルス幅の判定を行わないため、投光パターンBにおける高周波変調された投光期間の立ち上がり近傍および立ち下がり近傍の2箇所(非干渉部分)がそれぞれ判定条件の下限値を下回るものであったとしても、相互の間隔が投光パターンBの投光パルス周期より十分短いため、2回カウンタ値をカウントダウンするような動作は生じていない。
受光パルスP4は、投光パターンA,Bの投光パルスが連なった干渉状態であるため、受光パルス幅が投光パターンBの判定条件の上限値以上となる。そのため、光電スイッチ1Bのパルス幅判定回路30は受光パルスP4を干渉光と判定し(判定ミス)、アップダウンカウンタ31へ「1」を入力しない。ただし、上述したように、アップダウンカウンタ31は「1」が入力された次の回は投光周期より少し長い期間T4待ってカウントダウン(即ちC3Bへのカウントダウン)して、クロック誤差によるミスカウントを排除する。この回でクロック誤差によるずれを吸収できるので、それ以降の回は通常動作に戻し、投光周期と同じ期間T3待ってカウントダウン(即ちC3BからC4Bへのカウントダウン)すればよい。
受光パルスP4の次の受光パルス、さらに次の受光パルスは、投光パターンBの投光パルス幅と等しいので自発光と判定され、アップダウンカウンタ31へ「1」が入力される。よって、カウンタ値が「9」、「10」とカウントアップされ、引き続き入光状態と判定される。
このように、光電スイッチ1Aでは受光パルスP1,P2,P4について自発光/干渉光の判定ミスが生じ、光電スイッチ1Bでは受光パルスP3,P4について自発光/干渉光の判定ミスが生じるが、カウンタ値が「0」にならなければ入光状態が維持される。
よって、2台の光電スイッチ1A,1Bの間で相互干渉による判定ミスが発生するのは、10回の判定中2〜3回となり、この程度の回数であればミス判定があっても入光/遮光状態の誤判定は起こらない。
以上より、実施の形態1によれば、光電スイッチ1は、投光周期および投光パルス幅がそれぞれ異なる3つの投光パターンA〜Cのうち、パターン選択部11,21で選択された特定の投光パターンに従って、当該パルス幅の投光を高周波変調する変調回路13と、高周波変調した当該パルス幅の投光を検出領域に向けて当該投光周期毎に行う投光部10と、検出領域からの光を受光して変調回路13で用いた変調周波数を中心周波数にした信号を抽出するBPF回路25と、BPF回路25が抽出した信号を整流する検波回路26と、検波回路26が整流した信号に重畳した高周波成分を所定レベルまで低減させるLPF回路27と、LPF回路27が抽出した受光信号を所定の閾値で分別して受光パルスを出力する弁別回路28と、弁別回路28が出力する受光パルスのパルス幅が特定の投光パターンの投光パルス幅と略同じか否かを判定し、略同じであれば受光部20で受光した光が投光部10の投光した自発光であると判断するパルス幅判定回路30とを備えるように構成した。このため、光電スイッチ1を最大3台連装して使用する場合に、相互干渉があっても自発光を区別できるので、正常に入光状態か遮光状態かを判定することが可能となる。
なお、実施の形態1では変調回路13により投光パルスを400kHzで高周波変調したが、これに限定されるものではなく、従来の光電スイッチのように高周波変調を行わなくてもよい。例えば投光パターンAなら、投光周期90μs毎に8.5μsの投光を行う。
高周波変調を行わない場合、従来の光電スイッチの多くは、BPF回路25を投光周期の周波数を通過させるような周波数特性にしている。従って、投光パターンA〜Cに応じて投光パルス幅を変えると、BPF回路25の出力信号の振幅が投光パターンA〜Cに応じて大きく変化することになる。
そのため、BPF回路25の出力信号の振幅が投光パターンA〜Cに応じて大きく変化しないように、BPFの通過域を広くするような周波数特性にすることが好ましい。ただし、受光信号に混じったノイズも通過しやすくなるため、S/N比は悪化する。
これに対し、上記説明のように高周波変調を行った場合は、BPF回路25を高周波変調の周波数を通過させるような周波数特性にするので、投光パルス幅を投光パターンA〜Cに応じて8.5、28.5、48.5μsに変えてもBPF回路25の出力信号が略等しい振幅になる。従って、LPF回路27を、高周波変調により重畳した高周波成分を所定レベルまで低減させる周波数特性にすることで、投光パルス幅の投光パターンによる違いをLPF処理した受光信号のパルス幅の違いとして検出することができるようになる。
また、実施の形態1では、判定回路29が、パルス幅判定回路30で自発光と判定した場合にカウンタ値をカウントアップし、当該判定のされた時点から特定の投光パターンの投光周期が略経過する間に次の判定がなければカウンタ値をカウントダウンするアップダウンカウンタ31を有して、アップダウンカウンタ31のカウンタ値に基づいて検出領域における検出対象物の有無を判定するように構成した。このため、パルス幅判定回路30で相互干渉光か自発光かの判定ミスがあっても、その判定ミス頻度が低い場合には入光状態か遮光状態かの誤判定を防ぐことができる。そこで実施の形態1では、アップダウンカウンタ31のこの特性を利用して、自発光か否かの判定ミスの頻度が低くなるような投光周期TA〜TCを選択して投光パターンA〜Cとして用いることにより、入光/遮光状態の誤判定をさらに低減可能となる。
また、実施の形態1では、パターン選択部11,21を設けて投光パターンA〜Cを光電スイッチ1毎に選択できるように構成したので、ユーザが自由に光電スイッチを連装して使用することができるようになり、汎用性および拡張性を向上できる。
ただし、ユーザが投光パターンを選択して光電スイッチ1に設定するのではなく、ユーザが投光周期と投光パルス幅を入力することにより光電スイッチ1に投光パターンを設定する構成にしてもよいし、または、特定の投光パターンが光電スイッチ1に予め設定されていてもよい。予め設定されている場合にはパターン選択部11,21は不要である。
なお、図1の構成例では受光部20のIV変換回路23〜弁別回路28まで、投光パターンA〜Cによらず同一の回路構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば投光パターンA〜Cに応じてLPF回路27の周波数特性を切り替える構成にしてもよい。具体的には、パターン選択部21が選択された投光パターンA〜Cに対応する投光パルス幅の情報をLPF回路27へ出力し、LPF回路27が投光パルス幅の周波数成分を通過させつつ高周波変調により重畳した高周波成分を除去するフィルタ処理を行って光電スイッチ1の性能向上を図る。
また、上記説明では、実施の形態1の構成を透過形の光電スイッチに適用した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、反射形など他のタイプの光電スイッチに適用することも可能である。
これ以外にも、具体的な構成は、上述した実施の形態1の構成に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても本発明に含まれることは言うまでもない。
1 光電スイッチ
10 投光部
11,21 パターン選択部
12 発振回路
13 変調回路
14 駆動回路
20 受光部
22 受光素子
23 IV変換回路
24 増幅回路
25 BPF回路
26 検波回路
27 LPF回路
28 弁別回路
29 判定回路
30 パルス幅判定回路
31 アップダウンカウンタ
100A〜100C 投光器
200A〜200C 受光器

Claims (5)

  1. 投光周期および投光パルス幅がそれぞれ異なる複数の投光パターンのうちの特定の投光パターンに従って、検出領域に向けて当該パルス幅の投光を当該投光周期毎に行う投光部と、
    前記検出領域からの光を受光して受光パルスを生成する受光部と、
    前記受光部が生成した受光パルスのパルス幅が、前記特定の投光パターンの投光パルス幅と略同じか否かを判定し、略同じであれば前記受光部で受光した光が前記投光部の投光した自発光であると判断するパルス幅判定部とを備える光電スイッチ。
  2. 投光部は、特定の投光パターンに従ったパルス幅の投光の周波数を変調する変調部を有し、
    受光部は、受光した信号について、前記変調部で用いた変調周波数を中心周波数にした信号を抽出するバンドパスフィルタ部と、
    前記バンドパスフィルタ部が抽出した信号を整流する検波部と、
    前記検波部が整流した信号について、前記変調により当該信号に重畳した周波数成分を所定レベルまで低減した周波数特性にするローパスフィルタ部と、
    前記ローパスフィルタ部が抽出した信号を所定の閾値で弁別して受光パルスを出力する弁別部とを有することを特徴とする請求項1記載の光電スイッチ。
  3. パルス幅判定部で自発光と判定された場合に計数値に所定数を加算し、当該判定のされた時点から特定の投光パターンの投光周期が経過する間に次の判定がなければ前記計数値から所定値を減算して、前記計数値に基づいて検出領域における検出対象物の有無を判定する判定部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光電スイッチ。
  4. 外部から指示を受け付け、複数の投光パターンのうちから特定の投光パターンを選択するパターン選択部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の光電スイッチ。
  5. 変調部は、ハイレベル期間が略1.0μs、ローレベル期間が略1.5μsの変調周期で投光を変調することを特徴とする請求項2記載の光電スイッチ。
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