JP2013087002A - イオン伝導性物質の製造方法、イオン伝導性物質、結晶化イオン伝導性物質及び電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる工程を含む、イオン伝導性物質の製造方法。
【選択図】なし
Description
しかしながら、NaS電池は、固体電解質のイオン伝導性を確保するため、その作動温度は300℃以上の高温に限られる。
しかしながら、この製造方法ではNa2SとP2S5の粉体を用いて遊星ボールミルにより上記ガラスを製造しているが、製造の際にボールとミル容器内の電解質が付着するため、作業効率が低下するとともに歩留まりが低いという欠点があった。
1.硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる工程を含む、イオン伝導性物質の製造方法。
2.硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理する工程を含む、イオン伝導性物質の製造方法。
3.原料に、炭化水素系溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、
原料を、炭化水素系溶媒中で接触させる接触手段と、
前記力学的なエネルギー供与手段と前記接触手段を連結する連結手段と、
前記連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を前記力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いて、イオン伝導性物質を製造する方法であり、
前記原料が硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属と、を含有する、イオン伝導性物質の製造方法。
4.硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理するメカニカルミリング処理工程と、
前記硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物及び硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる接触工程と、
を含み、
前記メカニカルミリング処理工程と前記接触工程を繰り返し行う、イオン伝導性物質の製造方法。
5.上記1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造されたイオン伝導性物質。
6.硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性のガラスを80℃以上400℃以下の温度で加熱する、結晶化イオン伝導性物質の製造方法。
7.上記6に記載の製造方法により製造した結晶化イオン伝導性物質。
8.硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性物質であって、イオン伝導度が1×10−6S/cm以上であるイオン伝導性物質。
9.上記7に記載の結晶化イオン伝導性物質、5に記載のイオン伝導性物質及び8に記載イオン伝導性物質のうち少なくとも1つを含む電池。
10.上記7に記載の結晶化イオン伝導性物質、5に記載のイオン伝導性物質及び8に記載イオン伝導性物質のうち少なくとも1つを用いて製造される電池。
本発明の製造方法の第一の態様(第一の製造方法)は、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物(以下、「第一の硫化物」という。)と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属(以下、「第二の硫化物」という。)とを、炭化水素系溶媒中で接触させる工程を含む。
第一の硫化物は、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物である。好ましくは、硫化りんであり、より好ましくは、五硫化二りんである。
第一の硫化物は、市販されているものが使用できるが、高純度であることが好ましい。
第二の硫化物は、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物及び硫化アルカリ土類金属である。具体的には、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、硫化ベリリウム、硫化マグネシウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化バリウム等が挙げられる。好ましくは、硫化ナトリウム、硫化カリウムであり、特に好ましくは硫化ナトリウムである。
純度は90%以上が好ましい。また、粒子径は0.01μm〜100μmの範囲が好ましい。
溶媒である炭化水素系溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、特にトルエン、キシレンが好ましい。
第二の硫化物の仕込み量は、第二の硫化物と第一の硫化物の合計に対し30mol%以上95mol%以下とすることが好ましく、さらに、40mol%以上90mol%以下とすることが好ましく、特に50mol%以上85mol%以下とすることが好ましい。
原料を炭化水素系溶媒中で接触させる方法は、特に限定されない。例えば、撹拌装置を有する容器内で、原料と炭化水素系溶媒の混合物を撹拌させる方法が挙げられる。本発明では、接触時に撹拌することが好ましい。
接触(反応)工程時の温度は、通常、50℃以上300℃以下であり、好ましくは60℃以上250℃以下であり、より好ましくは70℃以上200℃以下である。
また、接触工程時の時間は、通常、5分以上200時間以下、好ましくは、10分以上100時間以下である。接触工程時の時間が5分未満であると反応が不十分のおそれがある。接触時間が短すぎると原料が残ってしまうおそれがある。
尚、温度や時間は、いくつかの条件をステップにして組み合わせてもよい。例えば、接触開始から1時間は100℃で接触させ、1時間後10時間の間は150℃で加熱するなどである。
また、メカニカルミリング装置を使用しないため、ボールとミル容器内にガラスが付着するような欠点がない。
本発明の製造方法の第二の態様(第二の製造方法)は、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理する工程を含む。
メカニカルミリング処理時の第二の硫化物の仕込み量は、第二の硫化物と第一の硫化物の合計に対し30mol%以上95mol%以下とすることが好ましく、さらに、40mol%以上85mol%以下とすることが好ましく、特に50mol%以上75mol%以下とすることが好ましい。
ただし、メカニカルミリング処理の回転速度が速くすると粉砕機にかかる負担が大きくなるおそれがあり、回転時間を長くするとガラス状電解質の製造に時間がかかる。
例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。より好ましくは10分以上40時間以下である。
メカニカルミリング処理後の結果物を乾燥し、溶媒を除去することにより、イオン伝導性物質が得られる。
本発明の製造方法の第三の態様(第三の製造方法)は、原料に、炭化水素系溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、原料を、炭化水素系溶媒中で接触させる接触手段と、前記力学的なエネルギー供与手段と前記接触手段を連結する連結手段と、前記連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を前記力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いてイオン伝導性物質を製造する方法である。そして原料として、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを使用する。
第三の製造方法に用いる製造装置の例について、以下、図を用いて説明する。
図1は、本態様で使用する製造装置の一実施形態を示す図である。
尚、本発明が下記実施形態に限定されないことはいうまでもない。
製造装置1は、原料を粉砕しつつ反応させてイオン伝導性物質を合成する粉砕機(粉砕合成手段)10と、原料を反応させてイオン伝導性物質を合成する反応槽(合成手段)20とを備える。本実施形態では反応槽20は容器22と撹拌翼24からなる。撹拌翼24はモータ(M)により駆動される。
製造装置2は、第2の連結部52に熱交換器60(熱交換手段)を設けた他は、上述した製造装置1と同じである。製造装置1と同じ部材には同じ符号を付して説明は省略する。
熱交換器60は、反応槽20から送り出される高温の原料と溶剤を冷却して、撹拌機10に送り込む。例えば、反応槽20において、80℃を超える温度で反応を行った場合、原料等の温度を80℃以下に冷却して、撹拌機10に送り込む。
本発明の製造方法の第四の態様(第四の製造方法)は、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理するメカニカルミリング処理工程と、前記硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物及び硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる接触工程と、を含む。そして、メカニカルミリング処理工程と接触工程を繰り返し行う。
メカニカルミリング処理工程については、上述した第二の製造方法で例示した種々の形式の粉砕法を用いることができる。
メカニカルミリング処理工程の温度は、第三の製造方法の力学的なエネルギー供与手段(粉砕機10)の温度と同様である。
メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状電解質ヘの原料の転化率は高くなる。
例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。
ここで、上記処理時間は、遊星型ボールミル機に原料及びガラス状電解質が留まっている時間を示す。言い換えると本発明は、原料及びガラス状電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状電解質が遊星型ボールミル機に留まっている時間の合計になる。
ここで、上記時間が短いと未反応の原料が残るおそれがあると共に上記時間が長いと粉砕機の容量を大きくし、一度に収納できる原料及びガラス状電解質の量を多くするか、下記する反応終了までの時間が長くなるという問題が発生するおそれがある。
接触工程の温度は、第三の製造方法の接触手段(容器22)における反応温度と同じである。
接触工程の時間は、5分以上200時間以下が好ましい。
ここで、上記接触工程の時間は、反応槽に原料及びガラス状電解質が留まっている時間を示す。言い換えると本発明では、原料及びガラス状電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状電解質が反応槽に留まっている時間の合計になる。
尚、本願においてイオン伝導度は交流インピーダンス測定により測定した値である。詳細は実施例にて説明する。
本発明の結晶化イオン伝導性物質の製造方法は、硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性のガラスを80℃以上400℃以下の温度で加熱する工程を有する。
加熱時の圧力は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。
雰囲気は、空気であってもよく、不活性ガス雰囲気下であってもよい。
加熱時間は0.1時間以上24時間以下が好ましく、より好ましくは0.5時間以上12時間以下である。
尚、結晶化イオン伝導性物質は、そのすべてが結晶化していてもよく、また、一部が結晶化しそれ以外の部分が非晶質であってもよい。上記結晶化方法で結晶化された結晶体であれば、非晶体よりイオン伝導度が高いと考えられる。
本発明の電池の第一の態様は、本発明の結晶化イオン伝導性物質及びイオン伝導性物質のうち少なくとも1つを含む。結晶化イオン伝導性物質及びイオン伝導性物質は、電池の電解質層に含まれていてもよいし、電極層に含まれていてもよく、電解質層と電極層の両方に含まれていてもよい。
電池の製造方法も公知の製造方法が適用でき、また、今後発明される製造方法であってもよい。
撹拌機付きのフラスコ内を窒素で置換し、あらかじめジェットミル(アイシンナノテクノロジー社)により粉砕した、平均粒径が0.3μmの硫化ナトリウム2.9g、五硫化二りん(アルドリッチ社)2.76g及び水分含有量を10ppmとした50mlのキシレン(和光純薬工業株式会社)を仕込み、140℃で24時間接触させた。
固体成分をろ過により分離し、120℃で40分間真空乾燥させ、イオン伝導性物質(固体電解質)を製造した。固体電解質の回収率95%であった。
この固体電解質のイオン伝導度は1.0×10−5S/cmであった。X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果、非晶質に由来するハローパターン以外にピークが観測されず固体電解質ガラスであることが確認された。
また、イオン伝導度は下記方法で測定した。
固体電解質を錠剤成形機に充填し、4〜6MPaの圧力を加え成形体を得た。さらに、電極としてカーボンと固体電解質を重量比1:1で混合した合材を成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、伝導度測定用の成形体(直径約10mm、厚み約1mm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度測定を実施した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
実施例1で製造した固体電解質を、280℃で2時間、加熱処理し結晶化固体電解質を得た。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は4.0×10−4S/cmであった。X線回折測定の結果、立方晶Na3PS4構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
あらかじめジェットミル(アイシンナノテクノロジー社)で粉砕した、平均粒径0.3μmの硫化ナトリウム2.9g、五硫化二りん2.76g、及び水分含有量が7ppmであるトルエン(和光純薬工業株式会社)50mlを、内部を窒素で置換した撹拌機付きのオートクレーブに仕込み、190℃で24時間接触させた。
その後、固体成分をろ過により分離し、150℃で120分間真空乾燥し、固体電解質を製造した。固体電解質の回収率95%であった。
実施例3で製造した固体電解質を、280℃で2時間、加熱処理した。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は3.5×10−4S/cmであった。X線回折測定の結果、立方晶Na3PS4構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
用いる溶媒をトルエンに代えて、水分量を6ppmに減らしたヘキサンを用い、接触温度を78℃、接触時間を48時間にした以外は実施例3と同様に作製し固体電解質を製造した。この固体電解質のイオン伝導度は2.0×10−5S/cmであった。固体電解質の回収率95%であった。
この固体電解質を、さらに280℃で2時間、加熱処理した。処理後のイオン伝導度は、3.0×10−4S/cmであった。X線回折測定の結果、立方晶Na3PS4構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
接触温度を88℃、接触時間を40時間にした以外は、実施例5と同様にして固体電解質を製造した。この固体電解質のイオン伝導度は1.5×10−5S/cmであった。固体電解質の回収率95%であった。
この固体電解質を、さらに280℃で2時間、加熱処理した。処理後のイオン伝導度は、3.8×10−4S/cmであった。X線回折測定の結果、立方晶Na3PS4構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
用いる溶媒をトルエンに代えて、水分量を5ppmに減らしたデカンを用い、接触温度を250℃、接触時間を12時間、真空乾燥温度を180℃にした以外は実施例3と同様にして固体電解質を製造した。この固体電解質のイオン伝導度は2.2×10−5S/cmであった。
この固体電解質を、さらに280℃で2時間、加熱処理した。処理後のイオン伝導度は、3.9×10−4S/cmであった。固体電解質の回収率95%であった。
Na2S(高純度化学研究所製)とP2S5(アルドリッチ社製)を出発原料に用いた。Na2S 25.72g(75モル%)、P2S5 24.288g(25モル%)を10mmφアルミナボールが175個入った500mlアルミナ製容器に入れ、さらに脱水トルエン(和光純薬社製)68mlを加えて密閉した。
尚、上記計量、添加、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去したものを用いた。また、脱水トルエンはカールフィッシャー法による水分測定で8.4ppmであった。
得られたスラリーをろ過・風乾後、160℃で2時間チューブヒーターにより乾燥しイオン伝導性物質(固体電解質)粉体を得た。このときの回収率は95%であり、系内の付着は見られなかった。
上記固体電解質粉体をグローブボックス内、Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、280℃で2時間の加熱処理を行ない、結晶化イオン伝導性物質(固体電解質ガラスセラミック)を得た。このガラスセラミックのX線回折測定の結果、立方晶Na3PS4構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
この電解質ガラスセラミックのイオン伝導度は、2.0×10−4S/cmであった。
図1に示す装置を用いた。撹拌機として、アシザワ・ファインテック社製スターミルミニツェア(0.15L)(ビーズミル)を用い、0.5mmφジルコニアボール450gを仕込んだ。反応槽として、攪拌機付の1.5Lガラス製反応器を使用した。
尚、上記計量、添加、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去したものを用いた。また、脱水トルエンはカールフィッシャー法による水分測定で8.4ppmであった。
ポンプにより内容物を400mL/分の流量で循環させ、反応槽を80℃になるまで昇温した。
ミル本体は、液温が70℃に保持できるよう外部循環により温水を通水し、周速8m/sの条件で運転した。2時間ごとにスラリーを採取し、150℃にて乾燥し白黄色の粉体スラリー(クリーム状)を得た。
得られたスラリーをろ過・風乾後、160℃で2時間チューブヒーターにより乾燥し固体電解質粉体を得た。このときの回収率は95%であり、反応器内に付着は見られなかった。
上記固体電解質粉体をグローブボックス内、Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、280℃で2時間の加熱処理を行ない、固体電解質ガラスセラミックを得た。このガラスセラミックのX線回折測定の結果、立方晶Na3PS4構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
この電解質ガラスセラミックのイオン伝導度は、2.0×10−4S/cmであった。
脱水トルエンを使用しない以外は、実施例8と同様な方法で合成した。即ち、Na2S(高純度化学研究所製)とP2S5(アルドリッチ社製)を出発原料に用いた。Na2S 25.72g(75モル%)、P2S5 24.288g(25モル%)を10mmφアルミナボールが175個入った500mlアルミナ製容器に入れ、溶媒を加えずに密閉した。
尚、上記計量、添加、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去したものを用いた。
また、窒素雰囲気下で280℃、2時間の加熱処理を行った後の固体電解質のイオン伝導度は1.7×10−4S/cmであった。
撹拌機付きのフラスコ内を窒素で置換し、あらかじめジェットミル(アイシンナノテクノロジー社)により粉砕した、平均粒径が0.3μmの硫化ナトリウム2.9g、五硫化二りん2.76g、及び水分含有量が5ppmであるN−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業株式会社)50mlを仕込み、140℃で24時間接触させた。
その後、固体成分をろ過により分離し、150℃で120分間、真空乾燥した。固体電解質の回収率93%であった。
この固体のイオン伝導度は3.7×10−7S/cmであった。X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果、未反応Na2Sに起因するピークが観察された。
上記固体電解質ガラスを280℃で2時間、加熱処理した後のイオン伝導度は3.4×10−6S/cmであった。
上記実施例及び比較例の製造条件及びイオン伝導性物質の熱処理後のイオン伝導度を表1に示す。
また、本発明のイオン伝導性物質及び結晶性イオン伝導性物質は、ナトリウム二次電池等の原料として使用できる。
10 粉砕機(力学的エネルギー供与手段)
20 反応槽(接触手段)
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ
40 オイルバス
50 第1の連結管(連結手段)
52 第2の連結管(連結手段)
54 ポンプ(循環手段)
60 熱交換器
Claims (10)
- 硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる工程を含む、イオン伝導性物質の製造方法。
- 硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理する工程を含む、イオン伝導性物質の製造方法。
- 原料に、炭化水素系溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、
原料を、炭化水素系溶媒中で接触させる接触手段と、
前記力学的なエネルギー供与手段と前記接触手段を連結する連結手段と、
前記連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を前記力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いて、イオン伝導性物質を製造する方法であり、
前記原料が硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属と、を含有する、イオン伝導性物質の製造方法。 - 硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理するメカニカルミリング処理工程と、
前記硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物及び硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる接触工程と、
を含み、
前記メカニカルミリング処理工程と前記接触工程を繰り返し行う、イオン伝導性物質の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造されたイオン伝導性物質。
- 硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性のガラスを80℃以上400℃以下の温度で加熱する、結晶化イオン伝導性物質の製造方法。
- 請求項6に記載の製造方法により製造した結晶化イオン伝導性物質。
- 硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性物質であって、イオン伝導度が1×10−6S/cm以上であるイオン伝導性物質。
- 請求項7に記載の結晶化イオン伝導性物質、請求項5に記載のイオン伝導性物質及び請求項8に記載イオン伝導性物質のうち少なくとも1つを含む電池。
- 請求項7に記載の結晶化イオン伝導性物質、請求項5に記載のイオン伝導性物質及び請求項8に記載イオン伝導性物質のうち少なくとも1つを用いて製造される電池。
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