JP2013087002A - イオン伝導性物質の製造方法、イオン伝導性物質、結晶化イオン伝導性物質及び電池 - Google Patents

イオン伝導性物質の製造方法、イオン伝導性物質、結晶化イオン伝導性物質及び電池 Download PDF

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Abstract

【課題】歩留まりが高く作業効率の高い、NaS‐P系ガラス等のイオン伝導性物質の製造方法を提供する。
【解決手段】硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる工程を含む、イオン伝導性物質の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、イオン伝導性物質の製造方法、イオン伝導性物質、結晶化イオン伝導性物質及び電池に関する。
ナトリウム二次電池は、豊富なナトリウム資源を背景に低コストの次世代電池として期待されている。現在、電力貯蔵用の大型電池としてβ‐アルミナ焼結体を固体電解質に用いたナトリウム‐硫黄電池(NaS電池)が実用化されている。
しかしながら、NaS電池は、固体電解質のイオン伝導性を確保するため、その作動温度は300℃以上の高温に限られる。
このような状況下、NaSとPを原料とし、メカニカルミリング処理することにより、xNa・(100−X)P(X:67,70,75,80)のガラス(以下、「NaS‐P系ガラス」という。)が開発された(非特許文献1参照)。
しかしながら、この製造方法ではNaSとPの粉体を用いて遊星ボールミルにより上記ガラスを製造しているが、製造の際にボールとミル容器内の電解質が付着するため、作業効率が低下するとともに歩留まりが低いという欠点があった。
第13回化学電池材料研究会ミーティング講演要旨集
本発明は、歩留まりが高く作業効率の高い、NaS‐P系ガラス等のイオン伝導性物質の製造方法を提供することを課題とする。
本発明によれば、以下のイオン伝導性物質の製造方法等が提供される。
1.硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる工程を含む、イオン伝導性物質の製造方法。
2.硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理する工程を含む、イオン伝導性物質の製造方法。
3.原料に、炭化水素系溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、
原料を、炭化水素系溶媒中で接触させる接触手段と、
前記力学的なエネルギー供与手段と前記接触手段を連結する連結手段と、
前記連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を前記力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いて、イオン伝導性物質を製造する方法であり、
前記原料が硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属と、を含有する、イオン伝導性物質の製造方法。
4.硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理するメカニカルミリング処理工程と、
前記硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物及び硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる接触工程と、
を含み、
前記メカニカルミリング処理工程と前記接触工程を繰り返し行う、イオン伝導性物質の製造方法。
5.上記1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造されたイオン伝導性物質。
6.硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性のガラスを80℃以上400℃以下の温度で加熱する、結晶化イオン伝導性物質の製造方法。
7.上記6に記載の製造方法により製造した結晶化イオン伝導性物質。
8.硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性物質であって、イオン伝導度が1×10−6S/cm以上であるイオン伝導性物質。
9.上記7に記載の結晶化イオン伝導性物質、5に記載のイオン伝導性物質及び8に記載イオン伝導性物質のうち少なくとも1つを含む電池。
10.上記7に記載の結晶化イオン伝導性物質、5に記載のイオン伝導性物質及び8に記載イオン伝導性物質のうち少なくとも1つを用いて製造される電池。
本発明によれば、歩留まりが高く作業効率の高い、NaS‐P系ガラス等のイオン伝導性物質の製造方法を提供することができた。
本発明の第三の態様で使用する製造装置の一実施形態を示す図である。 本発明の第三の態様で使用する製造装置の他の実施形態を示す図である。
1.本発明のイオン伝導性物質の製造方法の第一の態様
本発明の製造方法の第一の態様(第一の製造方法)は、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物(以下、「第一の硫化物」という。)と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属(以下、「第二の硫化物」という。)とを、炭化水素系溶媒中で接触させる工程を含む。
(1)第一の硫化物
第一の硫化物は、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物である。好ましくは、硫化りんであり、より好ましくは、五硫化二りんである。
第一の硫化物は、市販されているものが使用できるが、高純度であることが好ましい。
(2)第二の硫化物
第二の硫化物は、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物及び硫化アルカリ土類金属である。具体的には、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、硫化ベリリウム、硫化マグネシウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化バリウム等が挙げられる。好ましくは、硫化ナトリウム、硫化カリウムであり、特に好ましくは硫化ナトリウムである。
純度は90%以上が好ましい。また、粒子径は0.01μm〜100μmの範囲が好ましい。
(3)炭化水素系溶媒
溶媒である炭化水素系溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、特にトルエン、キシレンが好ましい。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶媒を添加してもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類等、ジクロロメタン、クロロベンゼン、フッ化ヘプタン、フッ化ベンゼン2,3‐ジハイドロパーフルオロペンタン、1,1,2,2,3,3,4‐ヘプタフルオロシクロペンタン等のフッ素系化合物等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
(4)割合
第二の硫化物の仕込み量は、第二の硫化物と第一の硫化物の合計に対し30mol%以上95mol%以下とすることが好ましく、さらに、40mol%以上90mol%以下とすることが好ましく、特に50mol%以上85mol%以下とすることが好ましい。
炭化水素系溶媒の量は、原料である第一の硫化物と第二の硫化物が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.005Kg以上0.5Kg以下、特に好ましくは0.01Kg以上0.3Kg以下である。
(5)接触方法
原料を炭化水素系溶媒中で接触させる方法は、特に限定されない。例えば、撹拌装置を有する容器内で、原料と炭化水素系溶媒の混合物を撹拌させる方法が挙げられる。本発明では、接触時に撹拌することが好ましい。
接触(反応)工程時の温度は、通常、50℃以上300℃以下であり、好ましくは60℃以上250℃以下であり、より好ましくは70℃以上200℃以下である。
また、接触工程時の時間は、通常、5分以上200時間以下、好ましくは、10分以上100時間以下である。接触工程時の時間が5分未満であると反応が不十分のおそれがある。接触時間が短すぎると原料が残ってしまうおそれがある。
尚、温度や時間は、いくつかの条件をステップにして組み合わせてもよい。例えば、接触開始から1時間は100℃で接触させ、1時間後10時間の間は150℃で加熱するなどである。
接触工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。不活性ガスの露点は−20℃以下が好ましく、特に好ましくは−40℃以下である。圧力は、通常、常圧〜100MPaであり、好ましくは常圧〜20MPaである。
接触処理後、生成した固体部分と溶媒を分離してイオン伝導性物質を回収する。分離は、デカンテーション、ろ過、乾燥等、又はこれら組み合わせ等、公知の方法で実施することができる。
上述した、本発明の第一の製造方法によれば、メカニカルミリング装置のような特殊な設備を使用しなくともイオン伝導性物質を製造できる。従って、安価に伝導性物質を製造することができる。また、メカニカルミリング処理をしないため、メカニカルミリング装置の壁面等が剥がれることによる不純物の発生を防止することができる。
また、メカニカルミリング装置を使用しないため、ボールとミル容器内にガラスが付着するような欠点がない。
2.本発明のイオン伝導性物質の製造方法の第二の態様
本発明の製造方法の第二の態様(第二の製造方法)は、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理する工程を含む。
本態様で使用する原料や炭化水素系溶媒については、上述した第一の製造方法と同様である。
メカニカルミリング処理時の第二の硫化物の仕込み量は、第二の硫化物と第一の硫化物の合計に対し30mol%以上95mol%以下とすることが好ましく、さらに、40mol%以上85mol%以下とすることが好ましく、特に50mol%以上75mol%以下とすることが好ましい。
炭化水素系溶媒の量は、原料である第二の硫化物と第一の硫化物が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.01Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.1Kg以上1Kg以下、特に好ましくは0.2Kg以上0.8Kg以下である。
メカニカルミリング処理には、種々の形式の粉砕法を用いることができる。特に、遊星型ボールミルを使用するのが好ましい。遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。また、ビーズミルも好ましい。
メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状電解質ヘの原料の転化率は高くなる。
ただし、メカニカルミリング処理の回転速度が速くすると粉砕機にかかる負担が大きくなるおそれがあり、回転時間を長くするとガラス状電解質の製造に時間がかかる。
例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。より好ましくは10分以上40時間以下である。
本態様では、炭化系水素溶媒の存在下でメカニカルミリング処理するため、処理時間を短縮できる。室温から200℃まで必要に応じて加熱してもよい。
メカニカルミリング処理後の結果物を乾燥し、溶媒を除去することにより、イオン伝導性物質が得られる。
上述した、本発明の第二の製造方法によれば、炭化水素系溶媒を加えた状態でメカニカルミリング処理を施すことで、処理時の増粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料の含有率が低いイオン伝導性物質を得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。
3.本発明のイオン伝導性物質の製造方法の第三の態様
本発明の製造方法の第三の態様(第三の製造方法)は、原料に、炭化水素系溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、原料を、炭化水素系溶媒中で接触させる接触手段と、前記力学的なエネルギー供与手段と前記接触手段を連結する連結手段と、前記連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を前記力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いてイオン伝導性物質を製造する方法である。そして原料として、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを使用する。
本態様で使用する原料や炭化水素系溶媒については、上述した第一の製造方法と同様である。
第三の製造方法に用いる製造装置の例について、以下、図を用いて説明する。
図1は、本態様で使用する製造装置の一実施形態を示す図である。
尚、本発明が下記実施形態に限定されないことはいうまでもない。
製造装置1は、原料を粉砕しつつ反応させてイオン伝導性物質を合成する粉砕機(粉砕合成手段)10と、原料を反応させてイオン伝導性物質を合成する反応槽(合成手段)20とを備える。本実施形態では反応槽20は容器22と撹拌翼24からなる。撹拌翼24はモータ(M)により駆動される。
粉砕機10には、粉砕機10内を20℃以上80℃以下に保つために、粉砕機10の周りに温水を通すことのできるヒータ30(第1の温度安定手段)が設けられている。反応槽20は、反応槽20内を60℃以上300℃以下に保つために、オイルバス40(第2の温度安定手段)に入っている。オイルバス40は容器22内の原料と溶媒を所定温度に加熱する。反応槽20には気化した溶媒を冷却して液化する冷却管26が設けられる。
粉砕機10と反応槽20は、第1の連結管50と第2の連結管52(連結手段)で連結されている。第1の連結管50は、粉砕機10内の原料と溶媒を反応槽20に移動させ、第2の連結部52は、反応槽20内の原料及び溶媒を粉砕機10内に移動させる。原料等を連結管50,52を通して循環するために、ポンプ54(例えばダイアフラムポンプ)(循環手段)が、第2の連結管52に設けられている。
この装置1を用いて、イオン伝導性物質を製造するときは、炭化水素系溶媒と原料を、粉砕機10と反応槽20にそれぞれ供給する。原料は、少なくとも第一の硫化物と第二の硫化物とを含む。ヒータ30には温水(HW)が入り排出される(RHW)。ヒータ30により粉砕機10内の温度を20℃以上80℃以下に保ちながら、原料を炭化水素系溶媒中で粉砕しつつ反応させてイオン伝導性物質を合成する。オイルバス40により反応槽20内の温度を60℃以上300℃以下に保ちながら、原料を炭化水素系溶媒中で反応させてイオン伝導性物質を合成する。反応槽20内の温度は温度計(Th)で測定する。このとき、撹拌翼24をモータ(M)により回転させて反応系を撹拌し、原料と溶媒からなるスラリーが沈殿しないようにする。冷却管26には冷却水(CW)が入り排出される(RCW)。冷却管26は、容器22内の気化した溶媒を冷却して液化し、容器22内に戻す。粉砕機10と反応槽20でイオン伝導性物質を合成する間、ポンプ54により、反応中の原料は連結管50,52を通って、粉砕機10と反応槽20の間を循環する。粉砕機10に送り込まれる原料と溶媒の温度は、粉砕機10前の第2の連結管に設けられた温度計(Th)で測定する。
粉砕機10は、第一の硫化物と第二の硫化物を粉砕混合しながら反応させ、イオン伝導性物質を製造することができるものであればどのような粉砕機でもよい。例えば、回転ミル(転動ミル)、揺動ミル、振動ミル、ビーズミルを挙げることができる。原料を細かく粉砕できる点でビーズミルが好ましい。原料が細かいほど、反応性が高くなり、短時間でイオン伝導性物質を製造できる。
粉砕機がボールを含むとき、ボールと容器とが磨耗することによるイオン伝導性物質への異物混入を防止するため、ボールはジルコニウム製、強化アルミナ製、アルミナ製であることが好ましい。
また、粉砕機10から反応槽20へのボールの混合を防ぐため、必要に応じて粉砕機10又は第1の連結管50にボールと原料及び溶媒を分離するフィルタを設けてもよい。
粉砕機での粉砕温度は、20℃以上80℃以下、好ましくは20℃以上60℃以下である。粉砕機での処理温度が20℃未満の場合、製造に要する反応時間を短縮する効果が小さく、80℃を超えると、容器、ボールの材質であるジルコニア、強化アルミナ、アルミナの強度低下が著しく起こるため、容器、ボールの磨耗、劣化や、イオン伝導性物質への異物混入が生じるおそれがある。
反応槽20は、第一の硫化物と第二の硫化物を反応させ、イオン伝導性物質を製造することができるものであればどのような反応槽でもよい。通常、反応槽は、容器と、攪拌機等の混合手段、冷却手段を有する。混合手段は、容器内の原料と溶媒からなるスラリーを混合し、スラリーが沈殿しないようにする。冷却手段は、蒸発した溶媒を冷却して容器に戻す。
容器22は、金属製又はガラス製であることが好ましい。溶媒の沸点以上の反応温度で反応する場合には耐圧仕様の容器を用いることが好ましい。
容器22内の反応温度は60℃以上300℃以下である。80℃以上200℃以下が好ましい。60℃未満ではガラス化反応に時間がかがり生産効率が十分ではない。300℃を超えると、好ましくない結晶が析出する場合がある。
反応は温度が高い領域が速いので高温にすることが好ましいが、粉砕機を80℃を超える温度にすると磨耗等の機械的な問題が発生する。従って、反応槽は反応温度を高めに設定し、粉砕機は比較的低温に保つ必要がある。
反応槽20の容量と粉砕機10の容量との比率は任意でよいが、通常反応槽20の容量は、粉砕機10の容量の1〜100倍程度である。
図2は、本態様で使用する製造装置の他の実施形態を示す図である。
製造装置2は、第2の連結部52に熱交換器60(熱交換手段)を設けた他は、上述した製造装置1と同じである。製造装置1と同じ部材には同じ符号を付して説明は省略する。
熱交換器60は、反応槽20から送り出される高温の原料と溶剤を冷却して、撹拌機10に送り込む。例えば、反応槽20において、80℃を超える温度で反応を行った場合、原料等の温度を80℃以下に冷却して、撹拌機10に送り込む。
第三の製造方法において、反応時の第二の硫化物の仕込み量は、第二の硫化物と第一の硫化物の合計に対し30mol%以上95mol%以下とすることが好ましく、さらに、40mol%以上85mol%以下とすることが好ましく、特に50mol%以上75mol%以下とすることが好ましい。
炭化系水素溶媒の量は、原料である第一の硫化物と第二の硫化物が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1kgに対する原料(合計量)の添加量は0.03Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.05Kg以上0.5Kg以下、特に好ましくは0.1Kg以上0.3Kg以下である。
反応生成物を乾燥し、溶媒を除去することにより、イオン伝導性物質が得られる。
第三の製造方法では、上記原料に、炭化水素系溶媒を加えた状態で反応させる。炭化水素系溶媒を加えた状態で反応させることで、処理時の造粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料の含有率が低いイオン伝導性物質を得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。
4.本発明のイオン伝導性物質の製造方法の第四の態様
本発明の製造方法の第四の態様(第四の製造方法)は、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理するメカニカルミリング処理工程と、前記硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物及び硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる接触工程と、を含む。そして、メカニカルミリング処理工程と接触工程を繰り返し行う。
本態様で使用する原料や炭化水素系溶媒については、上述した第一の製造方法と同様である。原料や炭化水素系溶媒の使用割合は第三の製造方法と同様である。
メカニカルミリング処理工程については、上述した第二の製造方法で例示した種々の形式の粉砕法を用いることができる。
メカニカルミリング処理工程の温度は、第三の製造方法の力学的なエネルギー供与手段(粉砕機10)の温度と同様である。
メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状電解質ヘの原料の転化率は高くなる。
例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。
ここで、上記処理時間は、遊星型ボールミル機に原料及びガラス状電解質が留まっている時間を示す。言い換えると本発明は、原料及びガラス状電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状電解質が遊星型ボールミル機に留まっている時間の合計になる。
ここで、上記時間が短いと未反応の原料が残るおそれがあると共に上記時間が長いと粉砕機の容量を大きくし、一度に収納できる原料及びガラス状電解質の量を多くするか、下記する反応終了までの時間が長くなるという問題が発生するおそれがある。
接触工程については、上述した第三の製造方法で例示した接触手段を用いることができる。
接触工程の温度は、第三の製造方法の接触手段(容器22)における反応温度と同じである。
接触工程の時間は、5分以上200時間以下が好ましい。
ここで、上記接触工程の時間は、反応槽に原料及びガラス状電解質が留まっている時間を示す。言い換えると本発明では、原料及びガラス状電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状電解質が反応槽に留まっている時間の合計になる。
本発明では、上述したメカニカルミリング処理工程と接触工程を、交互に繰り返して行う。繰り返し回数は、2回以上100回以下が好ましい。より好ましくは繰り返し回数が5回以上100回以下であり、さらに好ましくは、10回以上100回以下である。
本発明のイオン伝導性物質は、上述した第一〜第四の製造方法のいずれかの方法で得ることができる。尚、イオン伝導性物質とは、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属のイオンを伝導する物質を意味する。イオン伝導度は、1×10−6S/cm以上であることが好ましく、より好ましくは5×10−6S/cm以上である。
尚、本願においてイオン伝導度は交流インピーダンス測定により測定した値である。詳細は実施例にて説明する。
イオン伝導性物質は、結晶化することにより、イオン伝導度をより高くすることができることがある。
本発明の結晶化イオン伝導性物質の製造方法は、硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性のガラスを80℃以上400℃以下の温度で加熱する工程を有する。
イオン伝導性のガラスは、上記第一の製造方法、第二の製造方法、第三の製造方法又は第四の製造方法にいずれかにより製造されるイオン伝導性物質でもよい。また、原料をメカニカルミリング処理して製造してもよく、原料が溶解する温度まで加熱し、反応させて製造してもよい。尚、原料については、上述した第一の製造方法と同様である。
イオン伝導性のガラスの加熱温度は、80℃以上400℃以下であり、170℃以上380℃以下であることが好ましく、より好ましくは、180℃以上360℃以下である。150℃より低いと結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、400℃より高いと結晶化度の低い結晶化ガラスが生じるおそれがある。
イオン伝導性のガラスの加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。
加熱時の圧力は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。
雰囲気は、空気であってもよく、不活性ガス雰囲気下であってもよい。
加熱時間は0.1時間以上24時間以下が好ましく、より好ましくは0.5時間以上12時間以下である。
上述した加熱処理により、本発明の結晶化イオン伝導性物質が得られる。
尚、結晶化イオン伝導性物質は、そのすべてが結晶化していてもよく、また、一部が結晶化しそれ以外の部分が非晶質であってもよい。上記結晶化方法で結晶化された結晶体であれば、非晶体よりイオン伝導度が高いと考えられる。
結晶化イオン伝導性物質の結晶化度は、50%以上が好ましく、より好ましくは70%以上である。50%以上結晶化していれば、結晶化によるイオン伝導度の向上効果がより大きくなる。
本発明のイオン伝導性物質の他の態様は、硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性物質であって、イオン伝導度が2×10−4S/cm以上である。
Sと、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性物質としては、上述したイオン伝導性のガラスや、結晶化したイオン伝導性物質が挙げられる。
本態様のイオン伝導性物質のイオン伝導度は、1×10−6S/cm以上であり、好ましくは、5×10−6S/cm以上であり、より好ましくは、8×10−6S/cm以上であり、最も好ましくは1×10−5S/cm以上である。
本態様のイオン伝導性物質は、結晶化されていることが好ましく、すべてが結晶化していてもよく一部が結晶化しそれ以外の部分が非晶質であってもよい。ガラス(非晶体)よりも結晶体の方が、イオン伝導度が高いことがあり、この場合には、結晶化していることが好ましい。結晶化度は、50%以上が好ましく、より好ましくは70%以上である。50%以上結晶化していれば、結晶化によるイオン伝導度の向上効果がより大きくなる。
本態様のイオン伝導性物質は、例えば、上述した本発明の製造方法とイオン伝導性物質の結晶化方法により製造することができる。尚、特に結晶化方法は限定しない。
本発明のイオン伝導性物質及び結晶化イオン伝導性物質は、電池の材料として使用できる。
本発明の電池の第一の態様は、本発明の結晶化イオン伝導性物質及びイオン伝導性物質のうち少なくとも1つを含む。結晶化イオン伝導性物質及びイオン伝導性物質は、電池の電解質層に含まれていてもよいし、電極層に含まれていてもよく、電解質層と電極層の両方に含まれていてもよい。
本発明の他の態様の電池は、本発明の結晶化イオン伝導性物質及びイオン伝導性物質のうち少なくとも1つを用いて製造される。結晶化イオン伝導性物質及びイオン伝導性物質は、電池の電解質層に用いてもよいし、電極層に用いてもよく、電解質層と電極層の両方に用いてもよい。
本発明の電池の構成部材(例えば、電極活物質、導電助剤、集電体等)は、公知のものが使用でき、また、今後発明されるものも適用可能である。
電池の製造方法も公知の製造方法が適用でき、また、今後発明される製造方法であってもよい。
実施例1
撹拌機付きのフラスコ内を窒素で置換し、あらかじめジェットミル(アイシンナノテクノロジー社)により粉砕した、平均粒径が0.3μmの硫化ナトリウム2.9g、五硫化二りん(アルドリッチ社)2.76g及び水分含有量を10ppmとした50mlのキシレン(和光純薬工業株式会社)を仕込み、140℃で24時間接触させた。
固体成分をろ過により分離し、120℃で40分間真空乾燥させ、イオン伝導性物質(固体電解質)を製造した。固体電解質の回収率95%であった。
この固体電解質のイオン伝導度は1.0×10−5S/cmであった。X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果、非晶質に由来するハローパターン以外にピークが観測されず固体電解質ガラスであることが確認された。
尚、硫化ナトリウムの粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器LMS−30(株式会社セイシン企業)を用いて測定した。
また、イオン伝導度は下記方法で測定した。
固体電解質を錠剤成形機に充填し、4〜6MPaの圧力を加え成形体を得た。さらに、電極としてカーボンと固体電解質を重量比1:1で混合した合材を成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、伝導度測定用の成形体(直径約10mm、厚み約1mm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度測定を実施した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
実施例2
実施例1で製造した固体電解質を、280℃で2時間、加熱処理し結晶化固体電解質を得た。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は4.0×10−4S/cmであった。X線回折測定の結果、立方晶NaPS構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
実施例3
あらかじめジェットミル(アイシンナノテクノロジー社)で粉砕した、平均粒径0.3μmの硫化ナトリウム2.9g、五硫化二りん2.76g、及び水分含有量が7ppmであるトルエン(和光純薬工業株式会社)50mlを、内部を窒素で置換した撹拌機付きのオートクレーブに仕込み、190℃で24時間接触させた。
その後、固体成分をろ過により分離し、150℃で120分間真空乾燥し、固体電解質を製造した。固体電解質の回収率95%であった。
この固体電解質のイオン伝導度は4.0×10−5S/cmであった。X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果、非晶質に由来するハローパターン以外にピークが観測されず固体電解質ガラスであることが確認された。
実施例4
実施例3で製造した固体電解質を、280℃で2時間、加熱処理した。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は3.5×10−4S/cmであった。X線回折測定の結果、立方晶NaPS構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
実施例5
用いる溶媒をトルエンに代えて、水分量を6ppmに減らしたヘキサンを用い、接触温度を78℃、接触時間を48時間にした以外は実施例3と同様に作製し固体電解質を製造した。この固体電解質のイオン伝導度は2.0×10−5S/cmであった。固体電解質の回収率95%であった。
この固体電解質を、さらに280℃で2時間、加熱処理した。処理後のイオン伝導度は、3.0×10−4S/cmであった。X線回折測定の結果、立方晶NaPS構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
実施例6
接触温度を88℃、接触時間を40時間にした以外は、実施例5と同様にして固体電解質を製造した。この固体電解質のイオン伝導度は1.5×10−5S/cmであった。固体電解質の回収率95%であった。
この固体電解質を、さらに280℃で2時間、加熱処理した。処理後のイオン伝導度は、3.8×10−4S/cmであった。X線回折測定の結果、立方晶NaPS構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
実施例7
用いる溶媒をトルエンに代えて、水分量を5ppmに減らしたデカンを用い、接触温度を250℃、接触時間を12時間、真空乾燥温度を180℃にした以外は実施例3と同様にして固体電解質を製造した。この固体電解質のイオン伝導度は2.2×10−5S/cmであった。
この固体電解質を、さらに280℃で2時間、加熱処理した。処理後のイオン伝導度は、3.9×10−4S/cmであった。固体電解質の回収率95%であった。
実施例8
NaS(高純度化学研究所製)とP(アルドリッチ社製)を出発原料に用いた。NaS 25.72g(75モル%)、P 24.288g(25モル%)を10mmφアルミナボールが175個入った500mlアルミナ製容器に入れ、さらに脱水トルエン(和光純薬社製)68mlを加えて密閉した。
尚、上記計量、添加、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去したものを用いた。また、脱水トルエンはカールフィッシャー法による水分測定で8.4ppmであった。
密閉したアルミナ容器を、遊星型ボールミル(レッチェ社製PM400)にて室温下、290rpm、18時間メカニカルミリング処理することで白黄色の粉体スラリー(クリーム状)を得た。
得られたスラリーをろ過・風乾後、160℃で2時間チューブヒーターにより乾燥しイオン伝導性物質(固体電解質)粉体を得た。このときの回収率は95%であり、系内の付着は見られなかった。
得られた粉体のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
上記固体電解質粉体をグローブボックス内、Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、280℃で2時間の加熱処理を行ない、結晶化イオン伝導性物質(固体電解質ガラスセラミック)を得た。このガラスセラミックのX線回折測定の結果、立方晶NaPS構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
この電解質ガラスセラミックのイオン伝導度は、2.0×10−4S/cmであった。
実施例9
図1に示す装置を用いた。撹拌機として、アシザワ・ファインテック社製スターミルミニツェア(0.15L)(ビーズミル)を用い、0.5mmφジルコニアボール450gを仕込んだ。反応槽として、攪拌機付の1.5Lガラス製反応器を使用した。
尚、上記計量、添加、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去したものを用いた。また、脱水トルエンはカールフィッシャー法による水分測定で8.4ppmであった。
NaS(高純度化学研究所製) 39g(75mol%)とアルドリッチ社製P 37g(25mol%)に、広島和光純薬製社製脱水トルエン1248ml(水分量8.4ppm)を加えた混合物を反応槽及びミルに充填した。
ポンプにより内容物を400mL/分の流量で循環させ、反応槽を80℃になるまで昇温した。
ミル本体は、液温が70℃に保持できるよう外部循環により温水を通水し、周速8m/sの条件で運転した。2時間ごとにスラリーを採取し、150℃にて乾燥し白黄色の粉体スラリー(クリーム状)を得た。
得られたスラリーをろ過・風乾後、160℃で2時間チューブヒーターにより乾燥し固体電解質粉体を得た。このときの回収率は95%であり、反応器内に付着は見られなかった。
得られた粉体のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
上記固体電解質粉体をグローブボックス内、Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、280℃で2時間の加熱処理を行ない、固体電解質ガラスセラミックを得た。このガラスセラミックのX線回折測定の結果、立方晶NaPS構造であることが確認され、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。
この電解質ガラスセラミックのイオン伝導度は、2.0×10−4S/cmであった。
比較例1
脱水トルエンを使用しない以外は、実施例8と同様な方法で合成した。即ち、NaS(高純度化学研究所製)とP(アルドリッチ社製)を出発原料に用いた。NaS 25.72g(75モル%)、P 24.288g(25モル%)を10mmφアルミナボールが175個入った500mlアルミナ製容器に入れ、溶媒を加えずに密閉した。
尚、上記計量、添加、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去したものを用いた。
密閉したアルミナ容器を、遊星型ボールミル(レッチェ社製PM400)にて室温下、290rpm、18時間メカニカルミリング処理した。メカニカル未リング処理終了後にアルミナ容器の器壁、蓋部、ボールに白黄色の固着物が固着しており、粉体は製造されていなかった。この固着物をハンマー等により砕いたりして、器壁、蓋部及びボールから剥し、さらに乳鉢で粉砕することにより白黄色の紛体を得た。なお、器壁等から固着物を剥す作業は非常に時間がかかり、また乳鉢で粉砕する作業も非常に時間がかかった。また、器壁等から固着物の一部を剥すことができず、回収率は78%であった。
また、窒素雰囲気下で280℃、2時間の加熱処理を行った後の固体電解質のイオン伝導度は1.7×10−4S/cmであった。
比較例2
撹拌機付きのフラスコ内を窒素で置換し、あらかじめジェットミル(アイシンナノテクノロジー社)により粉砕した、平均粒径が0.3μmの硫化ナトリウム2.9g、五硫化二りん2.76g、及び水分含有量が5ppmであるN−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業株式会社)50mlを仕込み、140℃で24時間接触させた。
その後、固体成分をろ過により分離し、150℃で120分間、真空乾燥した。固体電解質の回収率93%であった。
この固体のイオン伝導度は3.7×10−7S/cmであった。X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果、未反応NaSに起因するピークが観察された。
上記固体電解質ガラスを280℃で2時間、加熱処理した後のイオン伝導度は3.4×10−6S/cmであった。
上記実施例及び比較例の製造条件及びイオン伝導性物質の熱処理後のイオン伝導度を表1に示す。
Figure 2013087002
本発明の製造方法は、NaS‐P系ガラス等のイオン伝導性物質の製造に好適である。
また、本発明のイオン伝導性物質及び結晶性イオン伝導性物質は、ナトリウム二次電池等の原料として使用できる。
1、2 製造装置
10 粉砕機(力学的エネルギー供与手段)
20 反応槽(接触手段)
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ
40 オイルバス
50 第1の連結管(連結手段)
52 第2の連結管(連結手段)
54 ポンプ(循環手段)
60 熱交換器

Claims (10)

  1. 硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる工程を含む、イオン伝導性物質の製造方法。
  2. 硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理する工程を含む、イオン伝導性物質の製造方法。
  3. 原料に、炭化水素系溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、
    原料を、炭化水素系溶媒中で接触させる接触手段と、
    前記力学的なエネルギー供与手段と前記接触手段を連結する連結手段と、
    前記連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を前記力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いて、イオン伝導性物質を製造する方法であり、
    前記原料が硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属と、を含有する、イオン伝導性物質の製造方法。
  4. 硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物又は硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中でメカニカルミリング処理するメカニカルミリング処理工程と、
    前記硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを除く、硫化アルカリ金属化合物及び硫化アルカリ土類金属とを、炭化水素系溶媒中で接触させる接触工程と、
    を含み、
    前記メカニカルミリング処理工程と前記接触工程を繰り返し行う、イオン伝導性物質の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造されたイオン伝導性物質。
  6. 硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性のガラスを80℃以上400℃以下の温度で加熱する、結晶化イオン伝導性物質の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法により製造した結晶化イオン伝導性物質。
  8. 硫黄(S)と、リチウムを除くアルカリ金属又は硫化アルカリ土類金属と、りん、ゲルマニウム、ケイ素及びほう素から選択される1種類以上の元素を含み、リチウム元素を含まないイオン伝導性物質であって、イオン伝導度が1×10−6S/cm以上であるイオン伝導性物質。
  9. 請求項7に記載の結晶化イオン伝導性物質、請求項5に記載のイオン伝導性物質及び請求項8に記載イオン伝導性物質のうち少なくとも1つを含む電池。
  10. 請求項7に記載の結晶化イオン伝導性物質、請求項5に記載のイオン伝導性物質及び請求項8に記載イオン伝導性物質のうち少なくとも1つを用いて製造される電池。
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