JP2013078942A - 化粧シート及びその製造方法、並びにそれを用いた化粧板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有する化粧シートであって、該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、
Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、該基材の厚さが40μm以上である、化粧シート、及びその製造方法、並びにそれを用いた化粧板。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面保護層に干渉防止形状を設ける等の特別な工夫を設けなくとも優れた鏡面性を有する化粧シート及びその製造方法、並びにそれを用いた化粧板を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の化粧シート及びその製造方法、並びにそれを用いた化粧板を提供するものである。
基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有する化粧シートであって、
該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、
該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、
Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、
該基材の厚さが40μm以上である、化粧シート。
<2>
基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有し、該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、該基材の厚さが40μm以上である化粧シートを製造する方法であって、
該製造方法が
(A)基材と着色層とを有する被転写シートを作製する工程、
(B)電離放射線硬化物層と転写用フィルムとを有する転写シートを作製する工程、
(C)該被転写シートと該転写シートとを接着剤を用いて接合する工程、
を含む、化粧シートの製造方法。
<3>
基板と、化粧シートと、該基板と該化粧シートを接着する基板用接着剤層とを有する化粧板であって、
該化粧シートが、基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有し、
該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、
該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、
Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、
該基材の厚さが40μm以上である、化粧板。
本発明の化粧シートは、基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有する。ここで、前記転写用フィルムの前記電離放射線硬化物層の側における表面粗さRa1は20μm以下であり、前記基材の前記着色層側における表面粗さRa2は2μm以下であり、Ra1とRa2の乗数は1μm2以下であり、前記基材の厚さは40μm以上である。このような構成を採用することにより、本発明の化粧シートは優れた鏡面性を発現することができる。
本発明の化粧シートは、上述した以外の層を、必要に応じて、さらに有してもよい。そのような層としては、裏面プライマー層等が例示されるが、これに限定されるものではない。
図1は、本発明の化粧シートの一例の断面を示す模式図である。化粧シート10は、裏面プライマー層1、基材2と、隠蔽層3a及び絵柄層3bからなる着色層3と、接着剤層4と、電離放射線硬化物層5と、転写用フィルム6とをこの順に有する。
化粧シート10の厚さは特に限定されないが、60〜650μmであることが好ましく、120〜500μmであることがより好ましく、180〜250μmであることが更に好ましい。
また、本発明において、基材と着色層とを少なくとも含むシートを被転写シート、電離放射線硬化物層と転写用フィルムとを少なくとも含むシートを転写シートと呼ぶ。図1の様態においては、被転写シート7は、裏面プライマー層1、基材2と、隠蔽層3a及び絵柄層3bからなる着色層3と有しており、転写シート8は、電離放射線硬化物層5と転写用フィルム6とを有している。
なお、化粧シート10は、本発明の化粧シートの一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の特徴の一つとして、転写用フィルム6の、電離放射線硬化物層5の側における、表面粗さRa1は20μm以下であることを要する。本発明の化粧シートの製造方法においては、Ra1は電離放射線硬化物層5の転写用フィルム6側表面の平滑性に大きく影響するものであり、Ra1を20μm以下に抑えることにより、電離放射線硬化物層5の転写用フィルム6側表面に良好な平滑性を付与することができる。
転写用フィルム6は、最終的には(化粧シート10を用いた化粧板が施工されて実際に使用される段階までには)剥離されることを想定して設けるものである。転写用フィルム6が剥離された後の化粧シートにおいては、電離放射線硬化物層5が最表面層となる。したがって、剥離後の化粧シートの鏡面性は、電離放射線硬化物層5の転写用フィルム6側表面の平滑性に大きく影響されるものである。即ち、Ra1は化粧シートの鏡面性に影響を与えるものであって、Ra1が20μmを超えると、電離放射線硬化物層5の転写用フィルム6側表面の平滑性が不十分となり、剥離後の化粧シートが十分な鏡面性を得られなくなる。
Ra1は小さければ小さいほど、電離放射線硬化物層5の転写用フィルム6側表面の平滑性が向上するため好ましく、具体的には10μm以下であることがより好ましい。Ra1の下限について特に制限はないものの、本発明においてはRa1が0.1μm以上であっても、後述するRa2を調整することにより、十分な鏡面性を得ることが可能である。Ra1が0.1μm以上であれば、製造容易性の点(コストの点)で有利である。
(算術平均表面粗さの測定方法)
JIS B 0601:2001に準じ、(株)小坂研究所製の高精度表面粗さ計SE‐3FATを使用して、針の半径2μm、荷重30mgで拡大倍率20万倍、カットオフ0.08mmの条件下にチャートを描かせ、表面粗さ曲線からその中心線方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向とY軸として、粗さ曲線をY=f(x)で表わした時、次の式で与えられた値をμm単位で表わす。また、この測定は、基準長を1.25mmとして4個測定し、平均値で表わす。
転写用フィルムは、用途に応じて適宜選択できる。化粧板の切削性や鏡面性に対しては、延伸ポリエステル系フィルムが好ましく、切削性やラッピング適性に対しては2軸延伸ポリプロピレンフィルムが好ましい。
転写用フィルムに対しては、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、必要に応じて一方の面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
前記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン−紫外線処理法等が挙げられる。
前記凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
これらの表面処理は、転写用フィルムの種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましい。
電離放射線硬化物層5は、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物である。上述したように、電離放射線硬化物層5は、転写用フィルム6が剥離された後の化粧シートの最表面層である。即ち、電離放射線硬化物層5は、実質的には、表面保護層として機能するものであり、化粧シート10に耐汚染性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、耐候性等の使用適性を用途に応じて付与するものである。
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、従来公知の化合物を適宜使用すれば良い。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートが好ましい。多官能(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。
具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、又は、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は溶剤の使用量を低減することが可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等を好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等が挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等が、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等が用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料等が用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
皮膜補強剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂(昭和インク工業(株)製「皮膜補強剤」)が用いられる。
シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。変性シリコーンオイルの構造は、置換される(メタ)アクリル基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、(メタ)アクリル基の結合位置には、特に制限はない。また、(メタ)アクリル基の置換数にも、特に制限はないが、シリコーンメタクリレートとシリコーンアクリレートとを組み合わせて用いることが好ましい。
このようなシリコーンメタクリレートとしては、鏡面性や光沢感を向上させる観点から、メタクリル基を1又は2つ有する1又は2官能シリコーンメタクリレートが好ましく、分子量1000〜6000、より好ましくは3000〜6000、官能基当量(分子量/官能基数)500〜3000、より好ましくは1500〜3000のものが挙げられる。また、シリコーンアクリレートとしては、アクリル基を複数、好ましくは4つ以上を、更に好ましくは4〜6つ有する多官能シリコーンアクリレートが好ましく、分子量3000〜100000、より好ましくは10000〜30000、官能基当量(分子量/官能基数)750〜25000、より好ましくは3000〜6000の条件を有するものが挙げられる。
上記1又は2官能シリコーンメタクリレートの含有量は、鏡面性、光沢感を向上させる観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1.5〜20質量部、より好ましくは2〜4質量部である。また、上記多官能シリコーンアクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
また、シリコーンメタクリレートとシリコーンアクリレートとの含有量の比は、1:1〜1:5、より好ましくは1:2〜1:3(いずれも質量比)である。
本発明においては、前記の電離放射線硬化性成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗布液を調製する。この塗布液の粘度は、後述の塗布方式により、塗布面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗布液を、硬化後の厚さが所望の厚さになるように塗布量を調節して塗布する。塗布は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、転写用フィルム6として電子線により劣化する材料を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、転写用フィルム6への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による転写用フィルム6の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜70kGy(1〜7Mrad)の範囲で選定される。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等を付与することもできる。
電離放射線硬化物層の厚さは、使用適性及び意匠性の観点から、2〜20μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。
本発明の特徴の一つとして、基材2の、着色層3の側における、表面粗さRa2は2μm以下であることを要する。本発明においては、化粧シート10に鏡面性を付与するにあたり、転写用フィルム6の平滑性だけでなく、基材2の平滑性も制御するものである。
着色層3は、光を反射する層であるが、本発明の化粧シート10の製造方法においては、Ra2は光の反射に影響を与える。Ra2を2μm以下に抑えることにより、着色層3中の顔料が均一になるため、光は正反射し、像が鮮明となる。しかし、Ra2を2μm超となると、着色層3中の顔料が不均一となるため、光が乱反射し、像が不鮮明となり、結果的に化粧シート10は十分な鏡面性が得られなくなる。
Ra2は小さければ小さいほど好ましく、具体的には1.5μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。Ra2の下限について特に制限はないが、0.05μm以上であれば、製造容易性の点(コストの点)で有利である。
なお、上述のRa2は、算術平均表面粗さであり、その測定方法はRa1と同様である。
その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことが好ましい。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン−紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材2の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましい。
また基材2には、基材2と各層との層間密着性の強化等のためのプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
着色層3は、本発明の化粧シートに意匠を与えるものであり、隠蔽層3a及び絵柄層3bの少なくとも一方からなる。隠蔽層3aは、基材2の地肌の隠蔽等の目的で設けられ、通常は模様のない全ベタ状に着色する層として形成される。隠蔽層3aは、基材2が着色していたり色ムラがある場合に、意図した色彩を与えて表面の色を整えることができる。隠蔽層3aは、通常基材や下地を隠蔽する目的で、不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、基材2が持っている模様を活かすこともできる。
一方、絵柄層3bは、図形、文字、記号、色彩、それらの組み合わせ等により、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、天然皮革の表面柄、幾何学図形、抽象柄等からなる模様ないし色彩を有し、隠蔽層3a上に、平面状、凹凸状、凸状の層として形成される。なお、絵柄層3bが隠蔽層3aの作用を兼ねる場合もあり、隠蔽層3aのみ、または絵柄層3bのみから着色層3が構成されることもある。
着色剤としては、特に制限なく、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
隠蔽層3a及び絵柄層3bの厚さは、通常0.5〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましい。
接着剤層4は被転写シート7と転写シート8とを接合するために設けられ層である。接着剤層4に用いられる接着剤としては、特に制限はないが、製造上の観点から、熱硬化型接着剤、又は感熱接着剤が好ましい。
前記熱硬化型接着剤としては、熱によって化学反応が生じて架橋する性質を有する組成物を含むものが好ましく、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等を挙げることができ、これらの中では2液硬化型ウレタン系接着剤が好適である。2液硬化型ウレタン系接着剤を用いることにより、より強力な接着強度が得られ、可撓性に優れた化粧シートが提供できる。ここで、2液硬化型ウレタン系接着剤を構成するウレタン系樹脂は、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンである。
前記イソシアネートは、ポリウレタンの製造に通常用いられるものを本発明においても用いることができる。イソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン等の脂環族ポリイソシアネート、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネートの誘導体等が用いられる。これらのポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリイソシアネートのうち、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート誘導体等が好ましく用いられる。これらのポリイソシアネートは、安全性、衛生性及び耐候性に優れたものである。
溶媒を用いる場合には、樹脂組成物と、必要に応じてその他の添加剤を溶媒に含有させて、公知の方法により溶解、分散、混合させて調製される。
接着層は、塗布量が0.1〜20g/m2、好ましくは1〜10g/m2程度になるように塗布することが好ましい。
基材2には、各種の被着材との接着性を向上させる目的で裏面にプライマー層1を設けてもよい。裏面プライマー層1の形成に用いられる材料としては特に限定されず、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。なお、裏面プライマー層1に用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
上述した本発明の化粧シートを製造する方法として、代表的な方法を以下に記載する。
本発明の化粧シート製造方法は、
(A)基材と着色層とを有する被転写シートを作製する工程、
(B)電離放射線硬化物層と転写用フィルムとを有する転写シートを作製する工程、
(C)該被転写シートと該転写シートとを接着剤を用いて接合する工程、
を含む。
被転写シートは、基材と着色層とを少なくとも有するものであるが、その他にも、上述した裏面プライマー層などの層も任意に有するものである。したがって、被転写シートの作製工程(A)は、基材に着色層用インキを塗布し、乾燥することによって、基材上に着色層を設ける工程を少なくとも含むが、それら以外の層を設ける工程も含みえる。各層の形成方法は上述したとおりである。
転写シートの作製工程(B)は、転写用フィルムに上述した電離放射線硬化樹脂組成物を塗布し、電離放射線を照射することによって、転写用フィルム状に電離放射線硬化物層を設ける工程を含む。転写シート中に他の層も含みたい場合には、当該層を設ける工程を含んでもよい。
本発明においては、このようにして電離放射線硬化物層を形成することで、転写用フィルムのRa1を制御することによって、電離放射線硬化樹脂層の表面(転写用フィルム側)に所望の平滑性を得ることを可能にするものである。
被転写シートと転写シートとを接着剤を用いて接合する。これによって被転写シートと転写シートとが、接着層を介して接合する。用いられる接着剤は、上述した通りである。
本発明の化粧板について説明する。
本発明の化粧板は、基板と、本発明の化粧シートと、該基板と該化粧シートを接着する基板用接着剤層とを有する。このような構成を採用することにより、本発明の化粧板は優れた鏡面性を発現することができる。
本発明の化粧基板には、基板、基板用接着剤層、化粧シート以外の層が、必要に応じて、さらに設けられてもよい。
図2は、本発明の化粧板の一例の断面を示す模式図である。化粧板100は、基板30と、化粧シート10と、基板30と化粧シート10を接着する基板用接着剤層20とを有する。
化粧板100は、本発明の化粧板の一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
化粧シートの基板上への貼着は、通常、本発明の化粧シートの裏面に基板用接着層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧シートを貼着する等の方法による。
(A)実施例1の化粧シートは下記(1)〜(3)の工程に従って作製した。
(1)基材としてポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=0.1μm)を用い、当該シート上にウレタン樹脂を主体とし、着色顔料として酸化チタンを含有するインキをグラビア印刷することにより乾燥後の塗布量が2g/m3となるように、隠蔽層を形成し、被転写シートを作製した。
また、隠蔽層の光沢度をグロスチェッカー(光沢計:ガードナー社製、商品名「マイクロ-グロス」)を用いて、JIS K5600に準拠して、入射角20度及び60度の条件で測定した。
(2)転写用フィルムであるPETフィルム(東洋紡製「A4100」、Ra1=0.5μm)上に、電離放射線硬化性樹脂組成物(2官能オリゴマーを含有)を乾燥後の厚さが5μmとなるように塗布し、165KV、5Mradにて電子線照射して硬化させ、電離放射線硬化物層を形成し、転写シートを作製した。
また、電離放射線硬化物層の光沢度をグロスチェッカー(光沢計:ガードナー社製、商品名「マイクロ-グロス」)を用いて、JIS K5600に準拠して、入射角20度及び60度の条件で測定した。(3)転写シートの電離放射線硬化物層に対してコロナ処理を行った後、当該コロナ処理面に対し、2液硬化型接着剤(大日精化製「E295NT」)を塗布し、当該接着剤が被転写シートの絵柄層に接するようにラミネートして、化粧シートを作成した。
基板(中密度繊維板(MDF)(厚さ3mm)、JIS A 5905に準じたもの)に対して、中央理化株式会社製の水性エマルジョンであるエチレン−酢酸ビニル系接着剤「BA−20」を塗布量が60g/m2(wet)となるよう塗布して基板用接着層を形成し、これを介して前記化粧シートの基材と接着することにより化粧板を作製した。
基材及び転写用フィルムとして以下に示したものを用いた以外は、実施例1と同様の手順にて化粧シート及び化粧板を作製した。
実施例2
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東レ製「S10」、Ra1=1μm)
実施例3
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「E5100」、Ra1=10μm)
実施例4
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「A4100」、Ra1=0.5μm)
実施例5
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東レ製「S10」、Ra1=1μm)
実施例6
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=50μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「A4100」、Ra1=0.5μm)
実施例7
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:OPPフィルム(三井化学東セロ(株)製「U−1」、Ra1=10μm)
比較例1
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(Ra1=30μm)
比較例2
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「E5100」、Ra1=10μm)
比較例3
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=3μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「A4100」、Ra1=0.5μm)
比較例4
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=25μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「A4100」、Ra1=0.5μm)
得られた化粧シート及び化粧板を3波長域発光型蛍光灯(パナソニック製:商品名「FPL27EX−N」)の下に置き、目視により表面の写り込み像を以下の基準で評価した。
◎ :明確に像が映り込んでいる
○ :明確ではないが像が映り込んでいる
○△:写り込んだ像が多少荒れているが、実用上問題ない程度である
× :写り込んだ像の荒れが著しい
溶融装置(ノードソン(株)製「MC−12」)を用いて、115℃の温度で溶融したポリウレタン系ホットメルト接着剤(日立化成ポリマー(株)製「ハイボン4836」)が80μm厚となるように3R形状のMDF(厚さ3mm、JIS A 5905に準じたもの)に塗布し、基板接着層を形成した。次いで、プロフィールラミネーターPL−300−PUR(株式会社丸仲鐵工所製PURラッピング機)で供給した前記化粧シートの基材とMDFとを前記基板接着層を介して接着し、ラッピング加工を行い表面の状態を以下の基準で評価した。
○ :ベース基材、表面保護層の割れ、転写用フィルムの浮きが全くない。
○△:ベース基材、表面保護層の割れ、転写用フィルムの浮きが多少あるが、実使用上
問題ない。
× :ベース基材、表面保護層の割れ、転写用フィルムの浮きが発生した。
得られた化粧板を積層面側からルーター切削加工を行い、バリの評価を以下の基準で行った。
◎ :バリの発生が全くない。
○ :バリが僅かにあるが、実使用上問題ない。
△ :バリが一部あるが、実使用上問題ない。
× :バリが多く発生している。
2 基材
3 着色層
3a 隠蔽層
3b 絵柄層
4 接着層
5 電離放射線硬化物層
6 転写フィルム
7 被転写シート
8 転写用シート
10 化粧シート
20 基板接着層
30 基板
100 化粧板
Claims (7)
- 基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有する化粧シートであって、
該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、
該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、
Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、
該基材の厚さが40μm以上である、化粧シート。 - Ra1が10μm以下である、請求項1に記載の化粧シート。
- Ra1が0.1μm以上である、請求項1又は2に記載の化粧シート。
- Ra2が1μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記基材の厚さが70μm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
- 基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有し、該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、該基材の厚さが40μm以上である化粧シートを製造する方法であって、
該製造方法が
(A)基材と着色層とを有する被転写シートを作製する工程、
(B)電離放射線硬化物層と転写用フィルムとを有する転写シートを作製する工程、
(C)該被転写シートと該転写シートとを接着剤を用いて接合する工程、
を含む、化粧シートの製造方法。 - 基板と、化粧シートと、該基板と該化粧シートを接着する基板用接着剤層とを有する化粧板であって、
該化粧シートが、基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有し、
該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、
該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、
Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、
該基材の厚さが40μm以上である、化粧板。
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