JP2013075517A - 易接着性裏面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この易接着性裏面保護シートは、一又は複数の層からなる太陽電池モジュール用裏面保護シートの片面に易接着層が形成されており、前記易接着層は、a)架橋性主剤樹脂が、b)ポリイソシアネート化合物、により架橋されている架橋樹脂と、c)シランカップリング剤と、d)有機金属配位化合物と、を含有する。この易接着層は、例えばゲル分率が25%以下である架橋ポリエチレン樹脂のようなポリエチレン系樹脂を含む封止材との接着性に優れる。
【選択図】図1
Description
本実施形態である易接着性裏面保護シートについて説明する。本実施形態の易接着性裏面保護シートは、裏面保護シート基材層と、該裏面保護シート基材層の片面側の表面に形成される易接着層とからなる。
易接着層はいわゆるプライマー層であり、裏面保護シートの少なくとも一方の最表面にポリイソシアネート化合物による架橋樹脂として形成されている。この易接着層は、a)架橋性主剤樹脂(以下単に主剤樹脂とも言う)と、b)ポリイソシアネート化合物と、c)シランカップリング剤と、d)有機金属配位化合物とを含む混合物からなるコーティング液を、基材の表面に塗布し、塗布されたコーティング液から被膜を形成させる。
架橋性主剤樹脂として用いることができるものとして、例えば、架橋性置換基含有アクリル樹脂、或いはポリオール系化合物、架橋性置換基含有ウレタン樹脂、架橋性置換含有フッ素樹脂、架橋性置換基含有ビニル樹脂、架橋性置換基含有オレフィン樹脂等が挙げられる。架橋樹脂が架橋アクリル樹脂の場合、例えば、主剤樹脂が架橋性置換基含有アクリル樹脂であり、これとポリイソシアネート化合物との反応によって架橋アクリル樹脂が得られる。又、架橋樹脂が架橋ウレタン樹脂の場合、例えば、主剤樹脂がポリオールであり、これとポリイソシアネート化合物(概念としてイソシアネート基末端のウレタンプレポリマーを含む)との反応によって架橋ウレタン樹脂が得られる。本明細書の以下の説明では、ポリイソシアネート化合物で架橋されて硬化する前の樹脂化合物のことを「架橋性主剤樹脂(又は単に主剤樹脂)」と呼び、易接着層に含まれる樹脂、すなわち硬化して易接着層を形成した樹脂と区別する。以下、各構成材料について説明する。
この場合、主剤樹脂の一例となる架橋性置換基含有アクリル樹脂(以下単に、アクリル樹脂とも言う。)について説明する。主剤樹脂として用いられるアクリル樹脂は、ポリイソシアネート化合物と反応するための架橋性置換基を複数有し、ポリイソシアネート化合物と反応して架橋されることにより、硬化して強固な被膜を形成する。ここで、架橋性置換基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。主剤樹脂は、溶剤可溶性の樹脂又は溶剤に分散可能な樹脂から選択される。入手性及び架橋反応性の観点から、架橋性置換基は水酸基であることが好ましい。好ましい水酸基価の範囲は5から100である。
この場合の主剤樹脂は、ポリイソシアネート化合物と反応するための水酸基を複数有し、ポリイソシアネート化合物と反応して架橋されることにより、硬化して強固な被膜を形成する。主剤樹脂は、溶剤可溶性の樹脂又は溶剤に分散可能な樹脂から選択される。主剤樹脂としては従来のポリオール系化合物を使用することができる。例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等が挙げられ、単独若しくは複数種使用される。これらの中でもポリカーボネート系ポリオールが好ましく用いられ、特に常温で液体のポリカーボネート系ポリオールが好ましい。ウレタン結合中に反応性基として活性水素基を有するため、他の樹脂と比較すると低い水酸基価で架橋することができる。好ましい水酸基価の範囲は0から50である。
次に、ポリイソシアネート化合物について説明する。ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。上記のように、ポリイソシアネート化合物は、主剤樹脂を架橋して硬化(高分子量化)させ、易接着層に含まれる樹脂を形成させる。このとき、ポリイソシアネート化合物は、主剤樹脂とともに易接着層に含まれる樹脂の一部となる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系、芳香族−脂肪族系等が挙げられるが、易接着層が長期間に亘って外部環境に曝されることに伴う着色を抑制するという観点からは、脂肪族系、脂環式系のポリイソシアネート化合物が好ましく使用される。
次に、シランカップリング剤について説明する。易接着層には、裏面側封止材との高い接着性が求められるが、上記の主剤樹脂、硬化剤に加えて、更に、シランカップリング剤と有機金属配位化合物とを併用、添加するとこにより、易接着性裏面保護シートと封止材との接着性を高めることができ、特にポリエチレン系樹脂からなる封止材との接着性を顕著に高めることができる。又、併せて、易接着層の耐ブロッキング性を良好なものとすることもできる。
次に有機金属配位化合物について説明する。有機金属配位化合物はキレート化剤とも呼ばれ架橋剤として硬化に寄与すると推定される。特に上記シランカップリング剤と併用することで接着強度が著しく向上する。又、併せて、易接着層の耐ブロッキング性を良好なものとすることもできる。
その他の添加剤は、易接着層に対して、耐候性、耐光性、耐熱性、耐湿性、難燃性等を付与するために必要に応じて添加される。又、添加剤は、コーティング液の安定性、塗工性、乾燥性、耐ブロッキング性等を向上させるためにも必要に応じて添加される。
次に、易接着性裏面保護シートを構成する裏面保護シート基材層について説明する。裏面保護シート基材層は、その表面に上述の易接着層が形成されることにより、易接着性裏面保護シートとなる。
易接着層は、上記の裏面保護シート基材上に塗布されたコーティング液から溶剤を乾燥させ、コーティング液に含まれる主剤樹脂がポリイソシアネート化合物によって架橋されて形成される。コーティング液には主剤樹脂を溶解又は分散するための有機系の溶剤が含まれる。そして、塗布されたコーティング液は、溶剤を揮発させるために加熱される。その後、架橋反応を十分に行なわせるための養生期間として、例えば40〜60℃で3〜7日間放置される。
次に、裏面保護シート基材層の表面に、上記コーティング液を塗布して、易接着層を形成させる方法を説明する。易接着層は、裏面保護シート基材層の表面に上記コーティング液を塗布してコーティング塗膜を形成させ、このコーティング塗膜に含まれる溶剤を蒸発後、コーティング塗膜に含まれる主剤樹脂とポリイソシアネート化合物とを架橋反応させて硬化させることによって形成される。
次に、本発明の太陽電池モジュールの一例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面側封止材層3、太陽電池素子4、裏面側封止材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、裏面側封止材層5に上記の易接着性裏面保護シートを使用する。
(架橋性主剤樹脂)
架橋性主剤樹脂1(架橋性置換基含有アクリル樹脂:表1において「アクリル1」と表記):Tg41℃、酸価5.9、水酸基価19、重量平均分子量25000。
架橋性主剤樹脂2(架橋性置換基含有ポリカーボネート骨格ウレタン樹脂:表1において「ウレタン」と表記):Tg約30℃、水酸基価20、数平均分子量15000。
架橋性主剤樹脂3(架橋性置換基含有アクリル樹脂:下記表中において「アクリル2」と表記):Tg50℃、酸価3.5、水酸基価19、重量平均分子量28000。
(架橋剤:ポリイソシアネート化合物)
ポリイソシアネート化合物(表1において「架橋剤」と表記):(製品名「コロネートHX」日本ポリウレタン工業株式会社製)ポリイソシアネート化合物については、いずれも主剤樹脂100質量部対する質量割合が、表1において質量%で表記した割合となり、且つ、NCO/OH比についても、表1において表記した値となるように配合した。
(有機金属配位化合物)
有機金属配位化合物(表1において「キレート剤」と表記):アルミニウムトリスアセチルアセトネート(製品名アルミキレートA(W)、川研ファインケミカル社製):有機金属配位化合物については、架橋性主剤樹脂とポリイソシアネート化合物との合計量に対する質量割合が表1において質量%で表記した割合となるように配合した。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤1(表1において「イソシア」と表記):3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(製品名KBE−9007、信越シリコーン株式会社製)。
シランカップリング剤2(表1において「メルカプト」と表記):3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(製品名KBM803、信越シリコーン株式会社製)。
シランカップリング剤3(表1において「エポキシ」と表記):3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(製品名KBE−403、信越シリコーン株式会社製)。
シランカップリング剤4(表1において「メチル/フェニル」と表記):メチル及びフェニル基含有メトキシシランオリゴマー(製品名X−40−9227、信越シリコーン株式会社製)
シランカップリング剤5(表1において「混合」と表記):下記シランカップリング剤6とシランカップリング剤7を1:1の割合で混合したもの。
シランカップリング剤6(表1において「メルカプトオリゴマー」と表記):メルカプト基含有メトキシ/エトキシシランオリゴマー:(「製品名X−41−1805」、信越シリコーン株式会社製)。
シランカップリング剤7(エポキシ基含有メトキシ/エトキシシランオリゴマー):(「製品名X−41−1053」、信越シリコーン株式会社製)。
シランカップリング剤1〜6については、架橋性主剤樹脂とポリイソシアネート化合物との合計量に対する質量割合が、表1において質量%で表記した割合となるように配合した。
(着色剤/マット剤)
着色剤1(表1において「C1」と表記):カーボンブラック(製品名スペシャルブラック4、エボニックデグサジャパン株式会社製):架橋性主剤樹脂とポリイソシアネート化合物との合計量に対する質量割合が18質量%となるように配合した。
着色剤2(表1において「C2」と表記):酸化チタン(製品名タイピュアR−105、デュポン株式会社製):架橋性主剤樹脂とポリイソシアネート化合物との合計量に対する質量割合が130質量%となるように配合した。
無機フィラー1(表1において「Si−1」と表記):疎水性シリカ(製品名「サイロホービック100」、富士シリシア株式会社製):架橋性主剤樹脂とポリイソシアネート化合物との合計量に対する質量割合が7.3質量%となるように配合した。
無機フィラー2(表1において「Si−2」と表記):疎水性シリカ(製品名サイロホービック200、富士シリシア株式会社製):架橋性主剤樹脂とポリイソシアネート化合物との合計量に対する質量割合が6.0質量%となるように配合した。
(溶剤)
トルエン:メチルエチルケトン=1:1の混合液
封止材シート1(表2において「EVA」と表記):EVA高速架橋タイプ、厚さ450μm(商品名S−11、ブリヂストン社製):ラミネート条件150℃で15分間圧着。
封止材シート2(表2において「LL」と表記):下記のシラン変性透明樹脂と耐候性マスターバッチと重合開始剤コンパウンド樹脂の質量比が20:5:80となるようにブレンドした樹脂を押し出し温度210℃で厚さ200μmになるように成膜した弱架橋性を有するLLDPE樹脂:ラミネート条件150℃で15分間圧着。
シラン変性透明樹脂:密度0.881g/cm3であり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、密度0.884g/cm3、190℃でのMFRが1.8g/10分であるシラン変性透明樹脂。
耐候性マスターバッチ:密度0.880g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ。
重合開始剤コンパウンド樹脂:密度0.880g/cm3、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、t−アミル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート0.1質量部を含浸させコンパウンドペレットした樹脂。
実施例1〜12、比較例1〜3、及び試験例の試料を用いた接着性及び耐久接着性評価用のサンプルについて、接着性及び耐久接着性を評価した。評価は以下の方法で測定した数値に基づいて行った。
(接着性試験)
各評価用のサンプルについて、剥離強度(N)を15mm幅の180度ピールにて接着性について初期値及び各耐久試験実施後の値を測定した。測定には、剥離試験装置(「株式会社エー・アンド・デイ」社製、商品名「TENSILON RTA−1150−H」)を用いて、180度ピールにて剥離条件50mm/minで23℃にて測定を行い、3回の測定の平均値を採用した。結果を表2に示す。
[評価基準]
A:50N/15mm以上
B:26N/15mm以上、50N/15mm未満
C:16N/15mm以上、26N/15mm未満
D:16N/15mm未満
(ダンプヒート(D.H.)試験)
JIS C8917に準拠し、試験槽内温度85℃、湿度85%の条件下で各試料の耐久性試験を1000時間行った。試験後の各試料について接着性試験を実施した。結果を表2に示す。
表2に記載の各裏面保護シート基材の表面に、表1に記載の組成からなる各コーティング液をバーコーターにて塗工し、塗工されたコーティング液を、120℃で2分間、又は、90℃で30秒間、それぞれ異なる条件下で乾燥させて、基材表面に易接着層を形成した。そして乾燥直後の易接着層表面に、裏面保護シートの最外層として一般に広く用いられる下記のフィルム1及び2をそれぞれ重ね合わせたものを、耐ブロッキング性評価用サンプルとした。
フィルム1:厚さ25μmの白色フッ素フィルム、:(製品名アフレックス25PW、旭硝子株式会社製):凹凸面を易接着層に重ねあわせた。
フィルム2:厚さ50μmの白色ポリエステルフィルム:(製品名VW、帝人デュポンフィルム株式会社製)
以上の耐ブロッキング性評価用サンプルを、ブロッキングテスター(荷重3kg/cm2、40℃)にて72時間静置した。その後、テスターから外した評価用サンプルの重ね合わせた部分を剥がすことでブロッキング状態を評価する方法で耐ブロッキング性の試験を行い評価した。尚、重ね合わせたフィルムが、フィルム1である場合とフィルム2である場合とで評価結果に差異が認められた場合は、ブロッキング性に劣る低い方の評価結果を各サンプルの評価結果とした。
[評価基準]
A:易接着層の転移なく、自然にシート同士が剥離する
B:易接着層の転移なく、シート同士の密着はあるが手ごたえなし
C:易接着層の転移なく、基材同士の剥離時の若干の密着手ごたえあり
D:易接着層の転移あり、及び/又は、基材同士の剥離時に密着手ごたえあり
2 透明前面基板
3 前面側封止材層
4 太陽電池素子
5 裏面側封止材層
6 裏面保護シート
Claims (8)
- 一又は複数の層からなる太陽電池モジュール用裏面保護シートの片面に易接着層が形成されており、
前記易接着層は、a)架橋性主剤樹脂が、b)ポリイソシアネート化合物、により架橋されている架橋樹脂と、c)シランカップリング剤と、d)有機金属配位化合物と、を含有することを特徴とする易接着性裏面保護シート。 - 前記架橋樹脂がウレタン樹脂であり、前記易接着層は裏面保護シートのポリプロピレン樹脂基材上に形成されている請求項1に記載の易接着性裏面保護シート。
- 前記a)架橋性主剤樹脂が架橋性置換基含有アクリル樹脂であり、そのガラス転移点(Tg)が25℃以上70℃以下である請求項1に記載の易接着性裏面保護シート。
- 前記架橋性置換基含有アクリル樹脂のガラス転移点(Tg)が45℃以上60℃以下である請求項3に記載の易接着性裏面保護シート。
- 前記a)架橋性主剤樹脂と、前記b)ポリイソシアネート化合物との合計量に対して、
前記c)シランカップリング剤を0.1質量%以上10質量%以下含有し、
前記d)有機金属配位化合物を0.1質量%以上7質量%以下含有する、請求項1から4のいずれかに記載の易接着性裏面保護シート。 - 請求項4に記載の易接着性裏面保護シートの製造方法であって、
裏面保護シートの片面に、前記架橋樹脂と、溶剤と、を含むコーティング液を塗布して、コーティング塗膜を形成する工程と、
前記コーティング塗膜を加熱して前記溶剤を蒸発させる加熱乾燥工程と、
溶剤を蒸発させたコーティング塗膜を養生に付す工程と、を備え、
前記加熱乾燥工程における加熱温度が70℃以上100℃未満である易接着性裏面保護シートの製造方法。 - 請求項1から5のいずれかに記載の易接着性裏面保護シートと、封止材と、太陽電池素子とが少なくとも一体化されている太陽電池モジュールにおいて、
前記易接着層を介して、前記易接着性裏面保護シートと、ポリエチレン系樹脂を含む前記封止材と、が一体化されている太陽電池モジュール。 - 前記封止材が、少なくとも密度が0.900g/cm3以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、及び又は直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を含んでなるポリエチレン系樹脂を含む封止材である請求項7に記載の太陽電池モジュール。
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