<第1の実施形態>
以下、本発明のサーマルヘッドに係る第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1〜6に示すように、本実施形態に係るサーマルヘッドX1は、放熱体1と、放熱体1上に載置されたヘッド基体3と、ヘッド基体3に電気的に接続された、フレキシブル基板5とを備えている。
図1〜6に示すように、放熱体1は、導電性を有しており、平面視して長方形状である板状の台部1aと、台部1aの上面上に載置され、台部1aの一方の長辺に沿って延びる突起部1bとを備えている。なお、第1の実施形態に係るサーマルヘッドX1のように、1つの部材により一体的に放熱体1を形成してもよく、台部1aと突起部1bとを別体として設けてもよい。放熱体1は、伝熱効果を高めるために、例えば、鉄、銅、またはアルミニウム等の金属材料で形成されており、後述するようにヘッド基体3の発熱部9で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱の一部を放熱するように機能している。
放熱体1は、上記のように金属により作製すると、70〜450(W/m・K)と熱伝導率が高く、伝熱効果が高いために外部に効果的に放熱することができる。
図1,2に示すように、ヘッド基体3は、平面視して長方形状の基板7を備えている。基板7は、発熱部9が設けられた第1端面7aと、第1端面7aの反対側に位置する第2端面7bと、駆動IC11が設けられる第1主面7cと、第1主面7cの反対側に位置する第2主面7dとにより構成されている。
また、ヘッド基体3は、基板7の長手方向に沿って延びる第1端面7a上に設けられ、基板7の長手方向に沿って配列された複数の発熱部9と、発熱部9の配列方向に沿って基板7の第1主面7c上に並べて配置された複数の駆動IC11とを備えている。
ヘッド基体3は、放熱体1の台部1aの上面上に載置されており、第2端面7bが、放熱体1の突起部1bに対向して配置されている。また、ヘッド基体3の下面、より詳細には、絶縁層である第3保護層29の下面と台部1aの上面とが両面テープ12、あるいは絶縁性の樹脂等によって接着されており、これによってヘッド基体3が電気的に絶縁された状態で台部1aに載置されている。
両面テープ12は、例えば、アクリル系粘着剤を使用した両面テープを用いることができる。また、ヘッド基体3と放熱体1とを接合させる機能を有していればよく、両面テープ12の代わりに、接着剤を用いてもよい。なお、接着剤は、絶縁性を有する絶縁性接着剤であることが好ましい。
絶縁性接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ア
クリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等を主成分とする樹脂系接着剤等を用いることができる。
基板7は、図3,4に示すように、第1端面7aが外側に突出している。基板7を形成する材料としては、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料、あるいは単結晶シリコーン等の半導体材料等を例示することができる。
図3、4に示すように、基板7の第1端面7aには、蓄熱層13が形成されている。基板7の第1端面7aは断面視で凸状の曲面形状を有しており、第1端面7a上に蓄熱層13が形成されている。また、蓄熱層13の表面も曲面形状となっている。蓄熱層13は、印画する記録媒体を、発熱部9上に形成された後述する第1保護層25に良好に押し当てるように機能する。
蓄熱層13は、例えば、熱伝導性の低いガラスで形成されており、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積することで、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くし、サーマルヘッドX1の熱応答特性を高めるように機能する。なお、本実施形態では、図3、4に示すように蓄熱層13が基板7の第1端面7a上にのみ形成されており、発熱部9に近い位置で蓄熱することができるため、サーマルヘッドX1の熱応答特性をより効果的に向上させることできる。蓄熱層13は、例えば、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の第1端面7a上に塗布し、これを焼成することにより形成される。
図3に示すように、基板7の第1主面7c上、蓄熱層13上、ならびに基板7の第2主面7dおよび第2端面7b上には、電気抵抗層15が設けられている。電気抵抗層15は、基板7および蓄熱層13と、一対の電極のうち一方の電極である個別電極19と、一対の電極のうち他方の電極である共通電極17との間に介在している。また、駆動IC11とフレキシブル基板5とを接続するIC−FPC接続電極21が第1主面7c上に設けられている。
基板7の第1主面7c上に位置する電気抵抗層15の領域は、図1に示すように平面視において、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21と同形状に形成されている。
蓄熱層13上に位置する電気抵抗層15の領域は、図2に示すように、側面視において、共通電極17および個別電極19と同形状に形成された領域と、共通電極17と個別電極19との間から露出した複数の領域(以下、露出領域という)とを有している。
基板7の第2主面7d上に位置する電気抵抗層15の領域は、図3,4に示すように、基板7の第2主面7d全体にわたって設けられており、共通電極17と同形状に形成されている。
このように電気抵抗層15の各領域が形成されているため、図1では、電気抵抗層15は、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21で隠れており、図示されていない。また、図2では、電気抵抗層15は、共通電極17および個別電極19で隠れており、露出領域のみ図示している。
電気抵抗層15の各露出領域は、電圧が印加されることにより発熱し、上記の発熱部9を形成している。そして、複数の露出領域が、図2に示すように、蓄熱層13上に列状に配置されている。複数の発熱部9は、図2では簡略化して記載しているが、例えば、180dpi〜2400dpi等の密度で配置されている。
電気抵抗層15は、例えば、TaN系、TaSiO系、TaSiNO系、TiSiO系、TiSiCO系またはNbSiO系等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、後述する共通電極17と個別電極19との間に電圧が印加され、発熱部9に電流が供給されたときに、ジュール発熱によって発熱部9が発熱する。
図1〜4に示すように、電気抵抗層15上には、共通電極17、複数の個別電極19および複数のIC−FPC接続電極21が設けられている。これらの共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。
以下、これらの電極について図1〜6を用いて詳細に説明する。
複数の個別電極19は、各発熱部9と駆動IC11とを接続するためのものである。図1,2に示すように、各個別電極19は、一端が発熱部9に接続され、基板7の第1端面7a上から基板7の第1主面7c上にわたって個別に帯状に延びている。
各個別電極19の他端は、駆動IC11の配置領域に配置されており、各個別電極19の他端が駆動IC11に接続されることにより、各発熱部9と駆動IC11との間が電気的に接続されている。より詳細には、個別電極19は、複数の発熱部9を複数の群に分け、各群の発熱部9を、各群に対応して設けられた駆動IC11に電気的に接続している。
複数のIC−FPC接続電極21は、駆動IC11とフレキシブル基板5とを接続するためのものであり、駆動IC11に電気的な信号を送るように形成されている。図1に示すように、各IC−FPC接続電極21は、基板7の第1主面7c上に帯状に延びており、一端が駆動IC11の配置領域に配置され、他端が基板7の第1主面7c上に位置する後述する共通電極17の主配線部17aの近傍に配置されている。
そして、複数のIC−FPC接続電極21は、一端が駆動IC11に接続されるとともに、他端がフレキシブル基板5の配線端子8に接続されることにより、駆動IC11とフレキシブル基板5との間を電気的に接続している。
より詳細には、各駆動IC11に接続された複数のIC−FPC接続電極21は、異なる機能を有する複数の電極で構成されている。具体的には、複数のIC−FPC接続電極21は、例えば、駆動IC11を動作させるための電圧を印加するためのIC電極(不図示)と、駆動IC11および駆動IC11に接続された個別電極19を、例えば0〜1Vのグランド電位に保持するためのグランド電極(不図示)と、駆動IC11内のスイッチング素子のオン・オフ状態を制御するように駆動IC11を動作させる電気信号を供給するためのIC制御電極(不図示)と、測温部材(不図示)により測定された温度を信号として外部に供給する測温電極(不図示)等を備えている。
駆動IC11は、図1,2に示すように、複数の発熱部9の各群に対応して配置されているとともに、個別電極19の他端と、IC−FPC接続電極21の一端とに接続されている。駆動IC11は、各発熱部9の通電状態を制御するためのものであり、内部に複数のスイッチング素子を有しており、各スイッチング素子(不図示)がオン状態のときに通電状態となり、各スイッチング素子がオフ状態のときに不通電状態となる公知のものを用いることができる。
各駆動IC11は、各駆動IC11に接続された各個別電極19に対応するように、内
部に複数のスイッチング素子が設けられている。そして、図3に示すように、各駆動IC11は、各スイッチング素子に接続された第1接続端子11aが個別電極19に接続されており、各スイッチング素子に接続されている第2接続端子11bがIC−FPC接続電極21の上記のグランド電極に接続されている。
より詳細には、駆動IC11の第1接続端子11aおよび第2接続端子11bはそれぞれ、はんだ(不図示)により、個別電極19およびIC−FPC接続電極21上に形成された後述する被覆層30上にはんだ接合されている。これにより、駆動IC11の各スイッチング素子がオン状態のときに、各スイッチング素子に接続された個別電極19とIC−FPC接続電極21のグランド電極配線とが電気的に接続される。
共通電極17は、複数の発熱部9とフレキシブル基板5とを電気的に接続するためのものである。共通電極17は、図1〜4に示すように、基板7の第2主面7dおよび第2端面7bのほぼ全面にわたって形成されるとともに、基板7の第1主面7cにおいて第2端面7bに沿って延びるように形成されている主配線部17aと、基板7の第2主面7d上に位置する主配線部17aから各発熱部9に向かって個別に延びるリード部17bとを有している。各リード部17bは、先端部が各発熱部9を介して個別電極19の一端に対向して配置されている。つまり、共通電極17は、放熱体1と対向する第2主面7cおよび第2端面7bのほぼ全面にわたって設けられることとなる。
このように、共通電極17は、一端が基板7の第1端面7a上にて発熱部9に接続されている。そして、基板7の第1端面7aから第2主面7dおよび第2端面7bを介して第1主面7cまで延びた状態で設けられている。共通電極17の他端は第1主面7cの一方の端部に配置されている。
共通電極17は、図1〜4に示すように、基板7の第1主面7c上に位置する主配線部17aがフレキシブル基板5の配線導体6bに接続されることにより、フレキシブル基板5と各発熱部9との間を電気的に接続している。
上記の電気抵抗層15、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21は、例えば、各々を構成する材料層を、蓄熱層13が形成された基板7上に、スパッタリング法等の従来周知の薄膜成形技術によって順次積層した後、積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工することにより形成される。なお、本実施形態では、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21は、同じ工程によって同時に形成することができる。また、電気抵抗層15の厚さは、例えば0.01μm〜0.2μmとすることができる。共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21の厚さは、例えば0.05μm〜2.5μmとすることができる。
なお、電極ごとに電極の厚さを変えてもよい。例えば、個別電極19の厚さを0.05〜0.9μmとし、共通電極17の厚さを第1主面7c側は1〜5μm、第2主面7d側は1〜30μmとしてもよい。第2主面7d側の共通電極17の厚みを厚くすることで、第2主面7d側の共通電極17の電気抵抗を低減することができる。
また、上述した電極の材料にて、発熱部9、あるいは駆動IC11に接続されていないダミー電極(不図示)を設けてもよい。
図3,4に示すように、蓄熱層13上、ならびに基板7の第1主面7cおよび第2主面7d上には、発熱部9、共通電極17の一部および個別電極19の一部を被覆する第1保護層25が形成されている。第1保護層25は、蓄熱層13上の全体を覆うように設けられ、基板7の第2主面7dでは基板7の第1主面7cと対応する領域を覆うように設けら
れている。
第1保護層25は、発熱部9、共通電極17および個別電極19の被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食、あるいは印画する記録媒体との接触による摩耗から保護するためのものである。第1保護層25は、例えば、SiC系、SiN系、SiO系およびSiON系等の材料で形成することができる。また、第1保護層25は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の従来周知の薄膜成形技術、あるいはスクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
さらに、第1保護層25は、複数の材料層を積層して形成してもよい。なお、第1保護層25は、共通電極17および個別電極19の表面と発熱部9の表面との段差によって、その表面に段差が生じ易いが、共通電極17および個別電極19の厚さを、例えば0.2μm以下程度に薄くすることによって、第1保護層25の表面に形成される段差をなくす、または小さくすることができる。
また、図1〜4に示すように、基板7の第1主面7c上には、個別電極19およびIC−FPC接続電極21を部分的に被覆する第2保護層27が設けられている。なお、説明の便宜上、図1では、第2保護層27の形成領域を一点鎖線で示し、図示を省略している。
第2保護層27は、個別電極19およびIC−FPC接続電極21の被覆した領域を、大気との接触による酸化、あるいは大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。第2保護層27は、例えば、エポキシ樹脂、あるいはポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、第2保護層27は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。
なお、図1に示すように、フレキシブル基板5を接続するIC−FPC接続電極21の端部は、第2保護層27から露出しており、その露出した領域とフレキシブル基板5の配線導体6bとが接続されるようになっている。
また、第2保護層27には、駆動IC11を接続する個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部を露出させるための開口部27a(図3参照)が形成されており、開口部27aにより露出したIC−FPC接続電極21を介してこれらの電極が駆動IC11に接続されている。より詳細には、開口部27aから露出した個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部上に、被覆層30が形成されており、被覆層30を介してこれらの電極が駆動IC11とはんだ接合されている。ここで、被覆層30はめっきにより形成されている。このように、駆動IC11を被覆層30上にはんだ接合することで、個別電極19およびIC−FPC接続電極21上への駆動IC11の接続強度を向上させることができる。
また、駆動IC11は、個別電極19およびIC−FPC接続電極21に接続された状態で、駆動IC11自体の保護、および駆動IC11とこれらの電極との接続部の保護のため、エポキシ樹脂、あるいはシリコーン樹脂等の樹脂からなる被覆部材(不図示)によって被覆されることで封止されている。
図3,4に示すように、基板7の第2主面7d上には、共通電極17を部分的に被覆する第3保護層29が設けられている。第3保護層29は、基板7の第2主面7dの第1保護層25よりも右側の領域を部分的に覆うように設けられている。そのため、第3保護層29は、放熱体1と対向する部位に設けられた絶縁層となっている。
第3保護層29は、共通電極17の被覆した領域を、大気との接触による酸化、あるいは大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。第3保護層29は、第2保護層27と同様、例えば、エポキシ樹脂、あるいはポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、第3保護層29は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。このように、第2保護層27および第3保護層29は、外部と電極とを絶縁する絶縁層として機能することとなる。より詳細には、第3保護層29は、放熱体1と基板7の第2主面7dとを絶縁する絶縁層として機能することとなる。そのため、図3,4に示すように、第2主面7dの第1保護層25が設けられていないほぼ全面にわたって設けられることが好ましい。あわせて、両面テープ12を第2主面7dの第1保護層25が設けられていないほぼ全面にわたって設けてもよい。
図3、4に示すように、基板7の第1主面7cと第2端面7bとで形成される角部7e上、および基板の第2主面7dと第2端面7bとで形成される角部7f上に位置する共通電極17の領域は、被覆層30で被覆されている。より詳細には、被覆層30は、基板7の第1主面7cおよび第2端面7b上に位置する共通電極17の領域全体と、基板7の第2主面7d上に位置する共通電極17の第2端面7bの近傍の領域とを連続的に被覆している。
被覆層30は、例えば、周知の無電解めっき、あるいは電解めっき等によって形成することができる。また、被覆層30として、例えば、共通電極17上にニッケルめっきからなる第1被覆層(不図示)を形成し、第1被覆層上に金めっきからなる第2被覆層(不図示)を形成してもよい。その場合においては、第1被覆層の厚さを例えば1.5μm〜4μmとし、第2被覆層の厚さを例えば0.02μm〜0.1μmとすることができる。
また、被覆層30が、フレキシブル基板5を接続するIC−FPC接続電極21の端部(第2保護層27から露出した端部)上にも形成されている。これにより、後述するように、フレキシブル基板5を被覆層30上に接続するようになっている。
さらに、図3に示すように、被覆層30が、第2保護層27の開口部27aから露出した個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部上にも形成されている。これにより、上記のように、駆動IC11が被覆層30を介して個別電極19およびIC−FPC接続電極21に接続されている。
次に、図3〜6を用いてフレキシブル基板5について説明する。フレキシブル基板5は、ベース部材6aと、ベース部材6a上に設けられており、かつヘッド基体3の共通電極17、あるいはIC−FPC電極21等と電気的に接続された配線導体6bと、配線導体6bを覆うようにベース部材6a上に設けられたカバー部材6cとを有している。フレキシブル基板5は、図6に示すように、平面視してほぼ矩形状の形状を有しており、フレキシブル基板5の長手方向の両端部に、折り曲げ可能な延在部10を有している。
フレキシブル基板5は、発熱部9の配列方向に沿って延びており、上記のように基板7の第1主面7c上に設けられた共通電極17の主配線部17a、および各IC−FPC接続電極21に接続されている。そして、フレキシブル基板5は、各配線導体6bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されるようになっている。
そして、フレキシブル基板5の各配線導体6bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されると、共通電極17は、例えば20〜24Vの正電位に保持された電源装置のプラス側端子に電気的に接続され、個別電極19は
、駆動IC11およびIC−FPC接続電極21のグランド電極を介して、0〜1Vのグランド電位に保持された電源装置のマイナス側端子に電気的に接続されるようになっている。そのため、駆動IC11のスイッチング素子がオン状態のとき、発熱部9に電圧が印加され、発熱部9が発熱するようになっている。
フレキシブル基板5を構成するベース部材6aは、例えば、ポリイミド等の絶縁性の有機樹脂を用いることができる。なお、フレキシブル基板5は、実施形態にあわせて剛性の高いもの、あるいは低いものを用いればよい。また、リジッド基板とフレキシブル基板を組み合わせたリジッドフレキシブル基板を用いてもよい。
配線導体6bは、ベース部材6a上に設けられている。このような配線導体6bは、一般に、例えば、銅箔等の金属箔、薄膜成形技術によって形成された導電性薄膜、または厚膜印刷技術によって形成された導電性厚膜によって形成されている。また、金属箔、あるいは導電性薄膜等によって形成される配線導体6bは、例えば、フォトエッチング等により部分的にエッチングすることによってパターニングされている。配線導体6bは、ヘッド基体3と電気的に接続するための配線電極を有している。配線導体6bは、熱硬化性樹脂等の接着剤により、ベース部材6aに接着されている。
カバー部材6cは、配線導体6bを覆うようにベース部材6a上に設けられている。カバー部材6cは、絶縁性を有しており上述したベース部材6aと同様の材料により形成することができる。カバー部材6cは、ベース部材6aに対応した形状を有しており、配線導体6bが外部に露出しないように配線導体6bを被覆している。そして、配線導体6bの配線電極として機能する部位のカバー部材6cは切り欠かれており、配線電極は外部に露出した状態でフレキシブル基板5が形成されている。カバー部材6cは、エポキシ性熱硬化樹脂等の接着剤により、ベース部材6aに接着されている。
本実施形態では、延在部10は、ベース部材6aおよびカバー部材6cが重畳した状態で形成されている。また、フレキシブル基板5は可曉性を有するため、延在部10は容易に上下方向(図6においては紙面に垂直な方向)に変形させることができる。図5では延在部10が折り曲げられた状態を図示しており、図6では延在部10が折り曲げられていない状態を図示している。そして、延在部10は、ベース部材6aおよびカバー部材6cにより形成されているため、絶縁性を有している。延在部10は、熱硬化性樹脂等の接着剤により、ベース部材6aとカバー部材6cとが接着されて形成されている。
なお、フレキシブル基板5を形成する各部材の厚み等は、絶縁性、加工性、あるいは費用等を考慮して適宜設定すればよい。
図3,4を用いて放熱体1、ヘッド基体3、およびフレキシブル基板5の接合状態について説明する。
サーマルヘッドX1は、図4に示すように、発熱部9の配列方向における両端部において、放熱体1の突起部1bと対向する面である第2端面7bに設けられた共通電極17と、放熱体1の突起部1bとの間に、フレキシブル基板5のベース部材6aおよびカバー部材6cにより形成された絶縁性の延在部10が入り込んでいる。そのため、ヘッド基体3に押圧力が生じた場合においても、第2端面7bに設けられた共通電極17が、導電性の放熱体1と接触する可能性を低減することができる。
また、仮に両端部においてヘッド基体3とフレキシブル基板5の延在部10とが接触した場合においても、図3に示すように、発熱部9の配列方向における中央部においては、ヘッド基体3と放熱体1の突起部1bとが延在部10の厚み分、所定の距離をあけて離間
することとなる。そのため、発熱部9の配列方向における中央部においても、第2端面7bに設けられた共通電極17が、導電性の放熱体1と接触する可能性を低減することができる。
サーマルヘッドX1は、ヘッド基体3の第2主面7d側と、放熱体1の台部1aとが両面テープ等の絶縁性接着剤により接合されている。さらに、図示してはいないが、ヘッド基体3と放熱体1の突起部1bとの間に上述した絶縁性接着剤により、第2端面7bと突起部1bとを接合してもよい。
サーマルヘッドX1の放熱体1、ヘッド基体3、およびフレキシブル基板5の接合方法を説明する。まず、ヘッド基体3の共通電極17、あるいはIC−FPC電極21等の電極と、フレキシブル基板5の配線電極とを、導電性接合材料、例えば、はんだ材料、または電気絶縁性の樹脂中に導電性粒子が混入された異方導電性材料(ACF)等からなる接合材32によって接続する。それにより、ヘッド基体3とフレキシブル基板5とを電気的に接続することができる。
次に、放熱体1の台部1aに両面テープ12を接着して、フレキシブル基板5と一体となったヘッド基体3を放熱体1の台部1aに載置する。なお、両面テープ12ではなく、絶縁性接着剤を用いてもよい。ヘッド基体3を放熱体1に載置する際は、フレキシブル基板5の延在部10が、ヘッド基体3と放熱体の1の突起部1bとの間に入り込むように載置する。
そして、放熱体1とヘッド基体3との間、より詳しくは、第2端面7bと突起部1bとの間に絶縁性接着剤を介在させることにより、放熱体1、ヘッド基体3、およびフレキシブル基板5を接合して、サーマルヘッドX1を作製することができる。
なお、フレキシブル基板5は、放熱体1の突起部1bの上面に、両面テープ、あるいは接着剤等(不図示)によって接着して、放熱体1上に固定してもよい。また、延在部10をあらかじめ、放熱体1に接着固定した後にヘッド基体3を放熱体1に固定してもよい。
第1の実施形態に係るサーマルヘッドX1によれば、フレキシブル基板5の延在部10が、ヘッド基体3の共通電極17と放熱体1の突起部1bとの間に入り込んでいることから、ヘッド基体3に押圧力が生じた場合においても、共通電極17が、導電性の放熱体1と接触する可能性を低減することができる。それにより、サーマルヘッドX1が、短絡する可能性を低減することができ、信頼性の向上したサーマルヘッドX1とすることができる。
また、サーマルヘッドX1は、延在部10が放熱体1とヘッド基体3とを電気的に絶縁している。そのため、絶縁性接着剤のみにより放熱体1とヘッド基体3とを電気的に絶縁する場合に比べて、放熱体1とヘッド基体3とを絶縁できる可能性を高めることができる。
さらに、フレキシブル基板5の延在部10が、発熱部9の配列方向における両端部に設けられていることから、サーマルヘッドX1の第1端面7aに押圧力が生じた場合においても、ヘッド基体3が、平面視して斜めに傾くことを抑えることができる。それにより、放熱体1とヘッド基体3とを電気的に絶縁することができ、サーマルヘッドX1が短絡する可能性を低減することができる。特に、発熱部9の配列方向における長さが長い長尺状のサーマルヘッドにおいては、サーマルヘッドが短絡する可能性を有効に低減することができる。
また、フレキシブル基板5の一部である絶縁性の延在部10を、ヘッド基体3と放熱体1との間に入り込むように配置することで、簡単な構成によりヘッド基体3と放熱体1との絶縁性を向上させることができる。
なお、絶縁性接着剤に変えて、絶縁性の放熱部材を用いてもよい。放熱部材としては、熱伝導率の高い部材を用いることができ、例えばエポキシ等の有機樹脂を用いることができる。また、熱伝導率を向上させるために、フィラー、あるいは充填材等を有機樹脂に含有させてもよい。
また、本実施形態では、延在部10が、ベース部材6aおよびカバー部材6cが積層されて形成された例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、ベース部材6aのみで延在部10を構成してもよく、カバー部材6cのみで延在部10を構成してもよい。さらにまた、延在部10は、ベース部材6aおよびカバー部材6cが熱硬化性樹脂により接着されていなくてもよい。
さらにまた、延在部10が、フレキシブル基板5のヘッド基体3側から延在する例を示したがこれに限定されるものではない。例えば、延在部10が、フレキシブル基板5のヘッド基体3側から延在せずに、フレキシブル基板5のコネクタ31側から延在していてもよい。
次に、第1の実施形態であるサーマルヘッドX1を用いたサーマルプリンタZについて、図7を参照しつつ説明する。図7は、本実施形態のサーマルプリンタZの概略構成図である。
図7に示すように、本実施形態のサーマルプリンタZは、上述のサーマルヘッドX1、搬送機構40、プラテンローラ50、電源装置60および制御装置70を備えている。サーマルヘッドX1は、サーマルプリンタZの筐体(不図示)に設けられた取付部材80の取付面80aに取り付けられている。なお、サーマルヘッドX1は、発熱部9の配列方向が、後述する記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向言い換えると主走査方向に沿うようにして、取付部材80に取り付けられている。
搬送機構40は、感熱紙、受像紙、カード等の記録媒体Pを図7の矢印S方向に搬送して、サーマルヘッドX1の複数の発熱部9上(より詳細には、第1保護層25上)に搬送するためのものであり、搬送ローラ43,45,47,49を有している。搬送ローラ43,45,47,49は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体43a,45a,47a,49aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材43b,45b,47b,49bにより被覆して構成することができる。なお、図示しないが、記録媒体Pが受像紙、あるいはカード等の場合は、記録媒体PとサーマルヘッドX1の発熱部9との間に、記録媒体Pとともにインクフィルムを搬送するようになっている。
プラテンローラ50は、記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧するためのものであり、記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向に沿って延びるように配置され、記録媒体Pを発熱部9上に押圧した状態で回転可能となるように両端部が支持されている。プラテンローラ50は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体50aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材50bにより被覆して構成することができる。
電源装置60は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を発熱させるための電流および駆動IC11を動作させるための電流を供給するためのものである。制御装置70は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を選択的に発熱させるために、駆動IC11の動作を制御する制御信号を駆動IC11に供給するためのものである。
本実施形態のサーマルプリンタZは、図7に示すように、搬送機構40によって記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に搬送しつつ、電源装置60および制御装置70によって発熱部9を選択的に発熱させることで、記録媒体Pに所定の印画を行うことができる。なお、記録媒体Pが受像紙、あるいはカード等の場合は、記録媒体Pとともに搬送されるインクフィルム(不図示)のインクを記録媒体Pに熱転写することによって、記録媒体Pへの印画を行うことができる。
<第2の実施形態>
図8を用いて本発明の第2の実施形態に係るサーマルヘッドX2について説明する。図8(b)は、ヘッド基体3およびフレキシブル基板5を載置した状態のIII‐III線断面図を示している。
図8に示すサーマルヘッドX2は、放熱体1が、台部1aに凹部14を有している点で第1の実施形態に係るサーマルヘッドX1と異なり、その他の構成は同様である。なお、同様の部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
図8(a)に示すように、放熱体1は、発熱部9の配列方向における台部1aの両端部に凹部14を有している。凹部14は、矩形状に台部1aを切り欠くことにより形成されている。そして、図8(b)に示すように、フレキシブル基板5の延在部10の先端が、凹部14内に配置されている。
そのため、発熱部9の配列方向における凹部14の幅は、延在部10の幅よりも大きいことが好ましく、凹部14の厚みは、延在部10の厚みよりも厚いことが好ましい。また、凹部14の深さは、延在部10の先端が収納されるのに十分な深さがあることが好ましいため、延在部10の長さよりも1mm程度長いことが好ましい。
このように、サーマルヘッドX2は、延在部10の長さが、放熱体1の突起部1bの高さよりも長かった場合においても、延在部10の先端が凹部14内に収納され、延在部10の先端を凹部14に配置することができ、延在部10にたわみが生じる可能性を低減することができる。それにより、ヘッド基体1を強固に放熱体1に載置固定することができる。
また、放熱体1が凹部14を有することにより、放熱体1にヘッド基体3およびフレキシブル基板5を載置する際に、凹部14が延在部10をリードするように機能するため、延在部10の先端が凹部14内に導かれることにより、容易に放熱体1にヘッド基体3およびフレキシブル基板5を載置することができる。
なお、矩形状に切り欠かれた凹部14を設けた例を示したがこれに限定されるものではない。例えば、発熱部9の配列方向に溝を設けて凹部14を形成してもよい。また、凹部14を台部1aのヘッド基体3を載置する面に設けた例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、延在部10の先端近傍に位置する突起部1bの第2端面7bに対向する面に設けてもよい。その場合においても、延在部10の先端を凹部14内に配置することができる。
<第3の実施形態>
図9〜12を用いて、第3の実施形態に係るサーマルヘッドX3について説明する。
サーマルヘッドX3は、図9〜11に示すように、フレキシブル基板5の長手方向における中央部に延在部10が設けられている。中央部に設けられた延在部10は、フレキシ
ブル基板5が、平面視して、Cの字状に切り欠かれた切欠き部10´により形成されている。そして、延在部10は、図11においては紙面に対して上下方向に柔軟に屈曲させることができる。そして、図10に示すように、延在部10を屈曲させると、フレキシブル基板5の中央部に平面視して矩形状の切欠部10´が設けられることとなる。
両端部に設けられた延在部10と、中央部に設けられた延在部10とは、フレキシブル基板5の長手方向において、略同じ位置に配置されている。つまり、フレキシブル基板5とヘッド基体3とを接合して、フレキシブル基板5が接合されたヘッド基体3と、放熱体1とを接合すると、それぞれの延在部10が屈曲する位置が略同等の位置となる。それにより、放熱体1とヘッド基体3とが延在部10により離間する距離を等しく近づけることができる。
図12に示すように、延在部10は、ベース部材6a、配線導体6b、およびカバー部材6cが積層されて構成されている。つまり、配線導体6bが、延在部10の内部に設けられている。なお、配線導体6bは、延在部10の内部に設けられており、延在部10の先端から突出していない構成となっている。そのため、放熱体1の台部1aに延在部10が接触しても、フレキシブル基板5と放熱体1とが短絡する可能性を低減することができる。
このような延在部10を形成するには、配線導体6bのパターンを形成する際に、延在部10に相当する部位に配線導体6bを形成することで、延在部10を形成することができる。また、延在部10を構成する配線導体6bは、フレキシブル基板5の配線導体6bのパターニングと、電気的に導通していないことが好ましい。それにより、ヘッド基体3の共通電極17が、短絡する可能性を低減することができる。
サーマルヘッドX3は、延在部10が、発熱部9の配列方向におけるフレキシブル基板5の中央部に設けられていることから、サーマルヘッドX3の作動時に最も押圧力の加わる中央部において、ヘッド基体3と、放熱体1の突起部1bが接触する可能性を低減することができ、サーマルヘッドX3の信頼性を向上させることができる。
特に、発熱部の配列方向における長さの長い長尺状のサーマルヘッドにおいては、有効に機能して、ヘッド基体3と、放熱体1の突起部1bが接触する可能性を低減することができる。
また、ヘッド基体3とフレキシブル基板5とを接合して延在部10を放熱体1の台部1aに向けて延在させると、図9で示すように、平面視して矩形状の切欠部10´が設けられることとなる。そのため、サーマルヘッドX3の中央部にてヘッド基体3と放熱体1とを樹脂により接合する場合、ヘッド基体3の第2端面7bと、放熱体1の突起部1bと、樹脂との接合を確認することができ、ヘッド基体3と放熱体1との接合を強固なものとすることができる。さらに、中央部にて、ヘッド基体3と放熱体1とを樹脂により接合すると、フレキシブル基板5が、フレキシブル基板5の中央部にて接合されることとなり、フレキシブル基板5にたわみが生じる可能性を低減することができる。
延在部10が、ベース部材6a、配線導体6b、およびカバー部材6cが延在して形成されることから、延在部10が、内部に配線導体6bを備える構成となる。それにより、延在部10の厚みを厚くすることができ、ヘッド基体3と放熱体1とが接触する可能性を低減することができる。
また、延在部10がフレキシブル基板5から屈曲させて形成される場合に、フレキシブル基板5の屈曲部(不図示)に配線導体6bを備えることが好ましい。屈曲部に配線導体
6bを備えることで、屈曲部の屈曲した形状を保持することができ、延在部10が放熱体1とヘッド基体3との間に保持されやすくなる。
さらにまた、屈曲部に備える配線導体6bは、屈曲部の屈曲する方向に沿ったスリット状に形成されることが好ましい。それにより、フレキシブル基板5を容易に屈曲して延在部10を形成することができるとともに、延在部10が屈曲した形状を保持することができる。
なお、サーマルヘッドX3においては、発熱部9の配列方向における両端部および中央部にそれぞれ延在部10を設けた例を示したが、発熱部9の配列方向における中央部のみに設けてもよい。また、中央部に複数の延在部10を設けてもよい。
<第4の実施形態>
図13を用いて、第4の実施形態に係るサーマルヘッドX4について説明する。図13(b)は、ヘッド基体3およびフレキシブル基板5を載置した状態のIII‐III線断面図を示している。
サーマルヘッドX4は、放熱体1が、突起部1bから延在部10に向けて突出する突出部16を有している。そして、発熱部9の配列方向の中央部および両端部における放熱体1の台部1aに、凹部14が設けられている。図13(b)に示すように、凹部14は、突出部16の突出した距離分、突起部1bから離れた位置に設けられている。そのため、延在部10の先端を凹部14内に配置することができる。その他の構成はサーマルヘッドX3と同様であり、説明を省略する。
第4の実施形態に係るサーマルヘッドX4は、放熱体1が、延在部10に向けて突出する突起部16を有することから、延在部10を介して、ヘッド基体3と放熱体1の突出部16とが接触することとなる。そのため、延在部10を介して、ヘッド基体3と接触する放熱体1の面積を低減することができ、サーマルヘッドX4が短絡する可能性を低減することができる。
なお、サーマルヘッドX4では、発熱部9の配列方向における中央部にのみ突出部16を設けた例を示したがこれに限定されるものではない。例えば、凹部14に対応するように、発熱部9の配列方向における両端部にも突出部16を設けてもよい。さらに、延在部10に対応して突出部16を設けることにより、ヘッド基体3が短絡する可能性を低減することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、実施形態X1〜X4を任意に組み合わせてもよい。
図14(a)に示すように、凹部14が、ヘッド基体3の第2主面7d側に回り込むように設けられていてもよい。このような構成とすることで、延在部10が、ヘッド基体3の第2主面7d側にも延在することとなり、ヘッド基体3の第2主面7d側、より詳しくは角部7fと、放熱体1とが接触する可能性を低減することができる。それにより、さらにサーマルヘッドX5が短絡する可能性を低減することができる。
また、図14(b)に示すように、凹部14の底面が傾斜するように凹部14を設けてもよい。このような構成とすることで、延在部10をヘッド基体3の第2主面7d側に導くことができ、容易にヘッド基体3と放熱体1とを接合することができる。
なお、延在部10が、ヘッド基体3と放熱体1の突起部1bとの間の一部に入り込んだ例を示したが、延在部10が、ヘッド基体3と放熱体1の突起部1bとの間のほぼ全域にわたって入り込んでいることが好ましい。延在部10が、ヘッド基体3と放熱体1の突起部1bとの間のほぼ全域にわたって入り込んでいることにより、さらにヘッド基体3が短絡する個可能性を低減することができる。
上述した実施形態のサーマルヘッドX1〜X6では、図3、4に示されるように、電気抵抗層15が、蓄熱層13上のみならず、基板7の第1主面7cおよび第2主面7d上にも設けられているが、基板7の第1端面7a上の共通電極17(より詳細には、リード部17b)と個別電極層19とに接続されている限り、これに限定されるものではなく、例えば、蓄熱層13上にのみ設けられていてもよい。また、基板7の第1端面7a上の共通電極17および個別電極19を蓄熱層13上に直接形成し、蓄熱層13上の共通電極17の先端部と個別電極19の先端部との間の領域にのみ電気抵抗層15が設けられていてもよい。
また、他のサーマルヘッドの構成として、例えば、共通電極17は、基板7の第1端面7a上から基板7の第2主面7d上に延び、基板7の第2主面7d上で折り返すようにして、基板7の第1端面7a上を介して基板7の第1主面7c上に延びていてもよい。
さらにまた、上記実施形態のサーマルヘッドX1〜X6では、図3に示すように、基板7の第1端面7aが凸状の曲面形状を有しているが、基板7の第1端面7aの表面形状および傾斜角度は特に限定されるものではなく、任意の形態をとることができる。例えば、基板7の第1端面7aは、平面形状であってもよいし、屈曲した面で形成されていてもよい。また、基板7の第1主面7cおよび第2主面7dと基板7の第1端面7aとのなす角度が直角ではなく、鈍角または鋭角であってもよい。
また、サーマルヘッドX1を用いたサーマルプリンタZの例について説明したが、サーマルヘッドX1に代えて、サーマルヘッドX2〜X6のいずれかを採用してサーマルプリンタZを構成してもよい。