JP2013071364A - 射出成形用金型、及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キャビティCは、筒部を成形するための筒状の第1キャビティ31と、第1キャビティ31における軸方向一端側に連通し、フランジ部を成形するための環状の第2キャビティ32と、を有し、第2キャビティ32は、型板22,23のうち、可動側型板23に形成された可動側凹部41と、固定側型板22の上面24と、で画成され、固定側型板22の上面24において、内周部分には、可動側凹部41内に向けて突出するとともに、第1キャビティ31の全周を取り囲む突出成形部51が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
具体的に、特許文献1には、射出成形用金型において環状のキャビティの内側にディスク状のランナーが形成されるとともに、そのランナーの外縁と環状のキャビティの内縁とを全周に亘って繋ぐゲートが形成されており、さらに、ランナーに連通するスプルが雌型に形成されている。そして、このスプルからランナーに樹脂を注入すると、その樹脂が環状のゲートの全周からキャビティに流れ込み、キャビティに樹脂が充填されるようになっている。
また、フランジ部が厚かったり、筒部の軸長が長かったりすると、樹脂充填の様相が悪く、樹脂材料がキャビティの全体に均一に行き渡り難くなるため、所望の形状の成形品を成形できないという問題がある。
そこで、これらの課題に対応するために、例えば、成形品全体での肉厚の均一化や、ゲート寸法の変更、成形収縮率の低い材料への変更、成形条件の変更等の対策が図られている。
すなわち、上述した各種の対策のうち、例えば肉厚の均一化やゲート寸法の変更をする場合等には、自由度が小さく、所望の製品機能を有した上で、肉厚の均一化やゲート寸法の変更が難しいという問題がある。
また、上述した各種の対策のうち、例えば材料や成形条件の変更をする場合等には、変更による効果が小さく、改善が見込めないという問題がある。
ここで、第1キャビティの全周に亘って突出成形部を形成することで、突出成形部と凹部との間隔が、第1キャビティの全周に亘って均一となる。
これにより、筒部となる第1キャビティ内とフランジ部となる第2キャビティ内の全体に樹脂材料を均一に充填でき、樹脂充填の様相を改善させることができるため、均一な収縮を促すことができる。また、樹脂材料が収縮する際に、第1キャビティと第2キャビティとの間でのヒケの発生を抑制することが可能になり、筒部の軸方向における径差を抑制できる。
その結果、成形品全体での肉厚の均一化や、ゲート寸法の変更、成形収縮率の低い材料への変更、成形条件の変更等、上述した各種の大幅な変更を伴うことなく、かつ製品機能を維持した上で、成形品を所望の形状に成形できる。
この構成によれば、筒部(第1キャビティ)の軸方向一端側と、フランジ部(第2キャビティ)の内周部分と、の間でのヒケを効果的に抑制できる。
この構成によれば、突出成形部に開口するゲートを形成することで、成形後のゲート残り部が成形品の薄肉部に配置されることになる。そのため、ゲート残り部がフランジ部のから突出するのを抑えて、フランジ部の薄型化を図ることができる。
この構成によれば、上記本発明の射出成形用金型を用いて成形されているため、筒部の軸方向での径差の発生を抑制して、所望の形状の成形品を提供できる。
また、本発明に係る成形品によれば、筒部の軸方向での径差の発生を抑制して、所望の形状の成形品を提供できる。
(成形品)
まず、後述する本実施形態の射出成形用金型21で成形する成形品1について説明する。図1は成形品の斜視図であり、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
図1に示すように、成形品1は、例えば機械式時計やクオーツ時計等に組み込まれる歯車であって、筒部2と、筒部2における軸方向一端縁(根元)から径方向の外側に向けて突設されたフランジ部3と、を有している。なお、筒部2及びフランジ部3は、それぞれの軸線を共通軸O上に配置させた状態で連設されている。以下、共通軸Oに沿った方向を単に「軸方向」、「軸方向」に直交する方向を単に「径方向」、「軸方向」周りの方向を単に「周方向」という。
フランジ部3の軸方向他端側(筒部2側)に位置する面(以下、表面7という)において、内周部分には外周部分に対して軸方向一端側に向けて窪んだ凹部8が形成されている。この凹部8は、筒部2(大径部5)の根元部を周方向の全周に亘って取り囲む環状の第1凹部11と、第1凹部11から径方向外側に向けて連設された第2凹部12と、を備えている。第2凹部12は、平面視で半円状に形成されるとともに、周方向に沿って間隔をあけて複数配列されている。したがって、フランジ部3のうち、内周部分は凹部8が形成された薄肉部13を構成し、外周部分は薄肉部13よりも厚い厚肉部14を構成している。
次に、上述した成形品1を成形するための射出成形用金型21について説明する。図3は、射出成形用金型の断面図であって、図1のA−A線に相当する断面を示している。
図3に示すように、本実施形態における射出成形用金型21は、固定側型板22(他方の型板)と可動側型板23(一方の型板)とを備えている。固定側型板22及び可動側型板23は、固定側型板22を下に可動側型板23を上にして上下に配置されており、これら固定側型板22の上面(合わせ面)24と可動側型板23の下面(合わせ面)25とが重ね合わされることで、両型板22、23の間に溶融樹脂(樹脂材料)Wが充填されるキャビティCが形成される。また、図示しない昇降機構によって可動側型板23を上下に昇降させることで、固定側型板22と可動側型板23とは上下方向に相対的に接近離間可能とされている。
固定側凹部33は、上下方向を軸方向とする円柱状に形成され、上方から下方に向かうに従い多段(2段)に縮径されている。
可動側凹部41は、上下方向に沿う深さが固定側凹部33よりも浅く、かつ、内径が固定側凹部33よりも大きい円盤状に形成されており、固定側凹部33と同軸上に配置されている。また、可動側凹部41の周壁部42のうち、上側には上述したフランジ部3の歯部16を成形するための歯部成形部43が形成されている。
次に、上述した射出成形用金型21を用いて成形品1を製造する方法について説明する。
はじめに、図示しない昇降機構によって可動側型板23を下降させ、可動側型板23の下面25を固定側型板22の上面24に当接させ、射出成形用金型21を閉じておく。続いて、図示しない射出装置によって溶融樹脂Wを各ピンゲート56内に注入する。ピンゲート56内に注入された溶融樹脂Wは、各ゲート開口55を通じてキャビティC(第2キャビティ32)内に注入される。すると、キャビティC内に注入された溶融樹脂Wは、各ゲート開口55から径方向の全域に行き渡り、第2キャビティ32内の全体に充填されるとともに、第1キャビティ31の上端部から第1キャビティ31内に流入し、第1キャビティ31内の全体に充填される。
なお、キャビティC内の気体(エア)は、溶融樹脂Wの注入に伴って図示しないガス抜き溝を通って射出成形用金型21の外部に排出される。
この構成によれば、第1キャビティ31の全周に亘って突出成形部51を形成することで、突出成形部51と可動側凹部41との間隔が、第1キャビティ31の全周に亘って均一となる。
これにより、第1キャビティ31内と第2キャビティ32内の全体に溶融樹脂Wを均一に充填でき、樹脂充填の様相を改善させることができるため、均一な収縮を促すことができる。また、溶融樹脂Wが収縮する際に、第1キャビティ31と第2キャビティ32との間でのヒケの発生を抑制することが可能になり、筒部2の軸方向における径差を抑制できる。
したがって、成形品全体での肉厚の均一化や、ゲート寸法の変更、成形収縮率の低い材料への変更、成形条件の変更等、上述した各種の大幅な変更を伴うことなく、かつ製品機能を維持した上で、成形品1を所望の形状に成形できる。この場合、突出成形部51を形成する簡素な構成のため、時計用歯車等の微小な部品であっても、比較的容易に高精度な成形品1を成形できる。
また、本実施形態では、突出成形部51にゲート開口55を形成することで、ゲート残り部15が成形品1の第2凹部12内(薄肉部13上)に配置されることになる。そのため、ゲート残り部15がフランジ部3の表面7から突出することがなく、フランジ部3の薄型化を図ることができる。
例えば、上述した実施形態では、フランジ部3の外周縁に歯部16を有する成形品1に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、図4に示すように、筒部2及びフランジ部3を有していれば、種々の形状に採用することができる。
また、上述した実施形態では、フランジ部3の表面7側に凹部8を形成する構成について説明したが、これに限らず、図5に示すように、フランジ部3の裏面9側に凹部8を形成する構成にしても構わない。
また、上述した実施形態では、一方の型板を可動側型板23、他方の型板を固定側型板22として説明したが、これとは逆に、一方の型板を固定側型板、他方の型板を可動側型板としても構わない。
また、上述した実施形態では、時計用の歯車を成形する場合について説明したが、これに限らず、種々の部品を成形することが可能である。
Claims (4)
- 重ね合わせた一対の型板の間に形成されたキャビティ内にゲートを介して樹脂材料が注入されることにより、筒部、及び前記筒部における軸方向一端縁から径方向外側に向けて突設されたフランジ部を有する成形品を成形するための射出成形用金型において、
前記キャビティは、前記筒部を成形するための筒状の第1キャビティと、
前記第1キャビティにおける軸方向一端側に連通し、前記フランジ部を成形するための環状の第2キャビティと、を有し、
前記第2キャビティは、前記型板のうち、一方の型板に形成された凹部と、他方の型板における前記一方の型板との合わせ面と、で画成され、
前記他方の型板の合わせ面において、内周部分には、前記凹部内に向けて突出するとともに、前記第1キャビティの全周を取り囲む突出成形部が形成されていることを特徴とする射出成形用金型。 - 前記前記第1キャビティにおける径方向の間隔D1は、前記第2キャビティのうち前記突出成形部と前記凹部との間隔D2以上に設定されていることを特徴とする請求項1記載の射出成形用金型。
- 前記突出成形部には、前記キャビティ内に開口するゲートが形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の射出成形用金型。
- 請求項1記載の射出成形用金型を用いて成形された成形品であって、
前記フランジ部のうち、内周部分には、前記突出成形部と前記凹部との間で成形されて、外周部分よりも薄肉とされた薄肉部が形成され、
前記薄肉部は、前記筒部における軸方向一端側を全周に亘って取り囲むように形成されていることを特徴とする成形品。
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