JP2013060070A - 非常用制動システム - Google Patents

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Abstract

【課題】アクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違えたときに瞬時に車両の挙動を安全側に制御する非常用制動システムを提供する。
【解決手段】この非常用制動システムは、ブレーキペダル26と間違えてアクセルペダル20を踏むなどして車両10が暴走してしまうような状況に陥ったときに、空いている左足で操作できるようにされた非常用ブレーキペダル30を踏み込むことにより、車輪ブレーキ22を作動させるとともにオートマティックトランスミッション14をニュートラルに切り換え、エンジン12から車輪への駆動力を遮断するように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の非常用制動システムに関し、特にAT車の誤操作による暴走事故の防止に資する非常用制動システムに関する。
自動車、特にAT車(電子制御式オートマティックトランスミッション搭載車両)による暴走事故は後を絶たない。この原因として最も多いのがブレーキとアクセルの踏み間違いである。人は普段の生活の中で予期せぬ状況に遭遇すると、瞬間的に極度の緊張感に襲われ、判断を誤ることが多々ある。特に車両の運転中であれば、交通事故への恐怖心も加わって冷静な判断ができなくなり、その結果としてブレーキとアクセルの踏み間違いが起きている。ブレーキのつもりがアクセルを強く踏み込むことで車両が暴走し、重大な事故に至るケースが非常に多い。財団法人交通事故総合分析センターの調べによれば、このような踏み間違いによる事故が毎日約20件も発生している。
このような事故を防止するため、従来、大別して2種類の技術が提案されている。一つは、アクセルペダルとブレーキペダルにそれぞれ別の色の蛍光塗料を塗布し、視覚的効果に訴えることで踏み間違いを未然に防止するという技術である(特許文献1参照)。もう一つは、踵の位置を電気的に検知し、所定の位置に踵がない場合にはアクセルが作動しないようにしたもの(特許文献2参照)、もしくはアクセルペダルの動きを細かく検知し、異常な動きが検出された場合には自動的にブレーキを作動させるようにしたもの(特許文献3参照)であり、踏み間違いが起きた後に自動車の挙動を制御するという技術である。
実開平06−067153号公報 特開2005−153847号公報 特開2008−174203号公報
ところで、特許文献1に提案されている技術は、アクセルペダルとブレーキペダルの位置を明確に認識させることには一定の効果が期待できるが、そもそも踏み間違いが起きるような事態に至ったような場合には冷静な判断をなし得ない状態となっていることが多いため、実質的な効果はあまり期待できない。この点、特許文献2および3に提案されている技術は、踏み間違いが起きることを前提としており、その後の車両の挙動を安全側に制御するものであるため、事故発生の防止には非常に効果的である。しかしながら、何れの技術もアクセルペダルの異常操作が制御系への入力となるシステム構成であるため、アクセルペダルの異常操作を正確に検出するためのセンサの設置位置や感度の最適化が課題となる。また予め様々なパターンの異常操作を想定しておく必要があり、システム構成が煩雑であるとともに想定外の操作への対応にも疑問が残る。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、アクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違えたときに瞬時に車両の挙動を安全側に制御する非常用制動システムを提供することを目的としている。
本発明の第一の態様は、運転席の右側の足元にアクセルペダルとブレーキペダルが配置された電子制御式オートマティックトランスミッション搭載車両において、前記運転席の左側の足元に配置された非常用ブレーキペダルと、前記非常用ブレーキペダルに加えられた踏圧を検出する検出部と、前記踏圧を検出したときに前記車両のマスタシリンダに制動力を伝達する第一の伝達部と、前記踏圧を検出したときに前記車両のATコントロールユニットにニュートラル変速指令を伝達する第二の伝達部とを備えた、非常用制動システムである。
この非常用制動システムは、例えば、ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏むなどして車両が暴走してしまうような状況に陥ったときに、空いている左足で操作できるようにされた非常用ブレーキペダルを踏み込むことにより、既設の制動機構を作動させるとともにATのシフトをニュートラルに切り換え、エンジンからの駆動力を遮断することで車両の挙動を安全側に制御するように構成されている。
非常用ブレーキペダルは、運転者が運転席に着座したときにその左足が自然に位置する場所に、踏面が足裏に接するような角度で設置するのが望ましい。このような位置に所定の角度で設けられた非常用ブレーキペダルは、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる予期せぬ暴走時にあっても、慌てることなく瞬発的に踏む込むことできる。さらに言えば、非常用ブレーキペダルがこのような位置に設けられていることで、パニック時などに無条件反射的に起きる身体反応をペダル操作に利用することができるようになる。一般に、人は身の危険を伴うような状況に不意に遭遇した場合、身を守るために無意識に両足を突っ張らせて安定姿勢をとることが多い。この両足を突っ張るときの脚力は相当なものであり、また無条件反射的に瞬発的に起きるものであるため、この脚力を非常用ブレーキペダルへの踏圧として利用することにより、車両の挙動を瞬時に安全側に制御することができる。
非常用ブレーキペダルは、理想的には、一般的な電子制御式オートマティックトランスミッション搭載車両に備わるフットレストと同位置であって、さらに踏面が同角度になるように設置することが望ましい。このようにすれば、非常用制動システムの導入に伴い新しく設置されたペダルを通常時はフットレストとして使用することができるようになる。フットレストは多くの運転者にとって馴染みのある機能であり、運転時には何のためらいもなく左足を載せている。このように多くの運転者にとって馴染みのあるフットレストの外観を模すことで、新機能の導入に対する不安感や拒否感を和らげることができ、普段の運転の中で違和感を覚えることなく使用することができるようになる。また通常時にフットレストとして使用していれば、非常時にはそのまま姿勢を変えることなく踏圧を加えることができるため、非常用制動システムを即座に作動させることができる。
非常用ブレーキペダルに加えられた踏圧は、ペダルに加わる力を電気信号に変えて感知する圧力センサや荷重センサなどによって検出することができる。この場合、ペダル自体に大きな変移や変形は生じないため、通常時はフットレストと同じような感覚で使用することができる。これ以外にも、一般的なブレーキペダルに採用されているオルガン式もしくは吊り下げ式といったストローク型の形態を採用することも可能である。
第一の伝達機構は、非常用ブレーキペダルに踏圧が加えられたときに既設のマスタシリンダに制動力を伝達するものである。マスタシリンダにはプッシュロッドが備わっており、プッシュロッドに押圧力を加えることでマスタシリンダが作動し、車輪ブレーキが作動する。プッシュロッドに押圧力を加える機構としては、油圧機構もしくは空圧機構、リンク機構などを採用することができる。
第二の伝達機構は、非常用ブレーキペダルに踏圧が加えられたときに既設のATコントロールユニットにニュートラル変速指令を伝達するものである。
本発明の第二の態様は、前記踏圧を検出したときに前記車両のエンジンコントロールユニットにエンジン停止指令を伝達する第三の伝達部を備えた非常用制動システムである。
エンジンを停止することにより、エンジンへの燃料供給が停止し、点火プラグの着火も停止する。エンジンの停止による車両の制動効果はほとんど期待できないが、火災などの二次災害の発生を未然に防止することができる。
本発明の第三の態様は、前記車両の速度を検出する検出部と、設定速度域を記憶する記憶部を備え、前記検出部によって検出された前記車両の速度が前記記憶部に記憶された設定速度域に収まる場合に、前記車両のマスタシリンダに制動力を伝達するとともに前記車両のATコントロールユニットにニュートラル変速指令を伝達する非常用制動システムである。
ブレーキとアクセルの踏み間違いは、例えば駐車場内での移動や駐停車場所を探しているときなど、ブレーキとアクセルを頻繁に踏み換えながら比較的低速で車両を移動させるような状況下で発生しやすく、一般道を中高速で巡航しているときなどにはほとんど発生していない。一方、もし中低速での車両運行時に非常用制動システムが作動したとすると、駆動輪がロックされるなどして車両の挙動が不安定となり、かえって重大な事故が誘発される可能性がある。そこで、非常用制動システムが有効に作動し得る速度域を予め設定し、これを記憶させておくことにより、その速度域でのみ非常用制動システムが作動するように構成することができるようになる。非常用制動システムが作動する速度域としては、0〜30km/h程度が現実的であろうが、これに限定されるものではない。
本発明の第四の態様は、設定踏圧を記憶する記憶部を備え、前記検出部によって検出された踏圧が前記記憶部に記憶された設定踏圧を超える場合に、前記車両のマスタシリンダに制動力を伝達するとともに前記車両のATコントロールユニットにニュートラル変速指令を伝達する非常用制動システムである。
もし非常用制動システムが軽い踏圧で作動するようなことがあれば、うっかり踏んでしまったときなど意図しないときに作動し、かえって危険である。また運転者の性別や年齢、体格等によって脚力に差があることから、例えばシートの位置調節と同じように、踏圧に関しても運転者に応じて調整できるようにすることが望ましい。そこで、非常用制動システムが有効に作動し得る踏圧の下限値を予め設定し、これを記憶させておくことにより、下限値より大きい踏力が検出されたときのみ非常用制動システムを作動させることができるようになる。踏圧の下限値の設定方法としては、運転者が車両の運行前に実際に非常用ブレーキペダルを踏み込み、そのときの踏圧を記憶させるようにすることができる。
本発明の第五の態様は、前記検出部によって検出された前記車両の速度が前記記憶部に記憶された設定速度域に収まる場合に、前記非常用制動システムが有効に作動し得る状態にあることを前記車両の運転者に報知する手段を備えた非常用制動システムである。
非常用制動システムが有効に作動し得る状態にあることは、運転者に報知し、意識喚起させることが安全運転上好ましいといえる。運転者への報知を行う手段としては聴覚や視覚に訴えるもの、などが考えられる。
本発明の第六の態様は、前記非常用制動システムが作動した状態にあることを前記車両の外部に報知する手段をさらに備えた非常用制動システムである。
車両が緊急事態にあることを周囲に知らせることは、暴走による二次的事故を防ぐ観点からも重要である。非常用制動システムの作動により車両が急停車する可能性があることから、通常の制動灯の他に非常停止灯が点滅するようにしておくことが望ましい。
本発明の非常用制動システムによれば、運転席の左側の足元に非常用ブレーキペダルを設けたことにより、アクセルペダルおよびブレーキペダルの操作に使用される右足ではなく、普段の運転時にはいわば遊んでいる状態にある左足を活用することができるようになるため、今までの運転スタイルや操作レイアウトを変えることなくシステムを導入することができる。また非常用ブレーキペダルは、パニック時の無条件反射的な身体の挙動を利用して操作することができるため、操作に特段の技術や判断を要さず、運転未熟者や高齢者など、運転技術に余裕がない者であっても確実にかつ瞬時にシステムを作動させることができる。このように運転者に特段の操作的要求を課すことなく、また自己防衛時の本能的ともいえる身体的反応をシステム作動に対する入力として利用した非常用制動システムは、ユーザーフレンドリーなインターフェイスを備え、実効性および実用性ともに高いシステムとなっており、これを導入することで、暴走状態もしくは暴走の可能性の高い状態にある車両の挙動を瞬時に安全側に制御することができ、暴走事故による被害を最小限に抑えることができるようになる。
本発明の実施の形態の四輪車両の機能ブロック図 本発明の実施の形態の非常用制動システムによる処理の流れを示すフローチャート
これより本発明の実施の形態について、添付された図面を参照しながら説明する。図1は本発明の非常用制動システムを搭載した四輪車両の機能ブロック図、図2は本発明の非常用制動システムの処理の流れを示すフローチャートである。
図1において、車両10は、電子制御式オートマティックトランスミッションを搭載した四輪自動車である。車両10には、駆動系として、エンジン12、オートマティックトランスミッション14(以下、ATミッション14という。)、エンジン12の回転数を制御するエンジンコントロールユニット16、ATミッション14の変速機構を制御するオートマティックトランスミッションコントロールユニット18(以下、ATコントロールユニット18という。)、運転席の右側の足元に配置されたアクセルペダル20が備わっている。また制動系として、車輪ブレーキ22、車輪ブレーキ22に制動力を伝達するマスタシリンダ24、アクセルペダル20の左隣に配置されたブレーキペダル26が備わっている。
また車両10には、駆動系および制動系と連動する非常用制動システムが搭載されている。非常用制動システムは、非常用ブレーキペダル30と、3系統の伝達部と、コントロールユニット32で構成されている。非常用ブレーキペダル30は、本システム対する入力部として機能するものであり、運転席の左側の足元に配置されている。非常用ブレーキペダル30は運転者が左足によって踏み込むことにより操作を行う。非常用ブレーキペダル30に加えられた踏圧は、コントロールユニット32に設けられた検出部34によって検出する。
コントロールユニット32にはさらに記憶部36と制御部38が設けられている。記憶部36には踏圧データと速度データが記憶されている。踏圧データは、検出部34によって検出された踏圧との比較対象となる踏圧を示す数値データであり、非常用制動システムが有効に作動し得る踏圧の下限値を設定したものである。踏圧データは、車両10の運行前に運転者が非常用ブレーキペダル30を踏み込み、そのときの踏圧を検出し、設定踏圧として記憶部36に記憶させる。設定踏圧は更新可能であり、例えば同じ車両10を複数人が運転するような場合には、運転者が代わる度に非常用ブレーキペダル30を踏み込み、設定し直すことで、脚力の個人差に応じた適正な踏圧に設定することができる。これにより、例えば非常用ブレーキペダル30の踏み間違いにより非常用制動システムが誤作動したり、逆に緊急時に踏み込んだときに非常用制動システムが作動しなかったりするなどの不具合を未然に防止することができる。
速度データは、実際の車速との比較対象となる速度域を示す数値データであり、非常用制動システムが有効に作動し得る速度域を設定したものである。車速は車両10から取得した車速パルスに基づいて検出部34によって検出する。速度域は任意に設定することができるが、現実問題として、非常用制動システムが必要となるような事故は比較的低速域に集中していること、また中高速域で非常用制動システムが作動し、車両10の挙動が変わることが逆に危険である場合もあることなどを考えると、上限を設けておくことが好ましい。従って、設定速度域は30km/h程度に上限を設定しておくのが現実的かつ実用的であると思われるが、この点については今後の実用試験等の結果等を踏まえて判断するべきであろう。
制御部38は、検出部34によって検出された踏圧と設定踏圧とを比較した結果、検出踏圧が設定踏圧を超えている場合にはマスタシリンダ24に制動力を伝達し、ATコントロールユニット18にニュートラル変速指令を伝達し、さらにはエンジンコントロールユニット16にエンジン停止指令を伝達する。また、検出部34によって検出された速度と設定速度域とを比較した結果、検出速度が設定速度域内に収まっている場合にはマスタシリンダ24に制動力を伝達し、ATコントロールユニット18にニュートラル変速指令を伝達し、さらにエンジンコントロールユニット16にエンジン停止指令を伝達する。
マスタシリンダ24への制動力の伝達機構は、マスタシリンダ24のプッシュロッドに押圧力を付与する機構、例えば油圧機構もしくは空圧機構、リンク機構などで構成することができる。これらの伝達機構を通じてマスタシリンダ24に制動力が伝達されると、ブレーキペダル26を右足で操作したときと同様に車輪ブレーキ22が作動し、車両10を停止させることができる。
ATコントロールユニット18にニュートラル変速指令が伝達されると、ATミッション14はニュートラル状態となり、エンジン12から駆動輪への駆動力の伝達が遮断される。これにより、ブレーキペダル26と間違えてアクセルペダル20を強く踏み込んだときなど、エンジン回転数が急激に上昇したような場合に車両10の挙動をいち早く安全側に制御することができる。
エンジンコントロールユニット16にエンジン停止指令が伝達されると、エンジン12への燃料供給が停止し、点火プラグの着火も停止する。エンジン停止は車両10の制動には直接的な効果は期待できないが、火災などの二次災害の発生を未然に防止することができる。
なお、ATミッション14がニュートラル状態とならずにギアが何れかの速度レンジに入ったままであれば、エンジン停止によるエンジンブレーキを車両10の減速および停止に利用することができる。ニュートラル変速による駆動力の遮断、およびエンジンブレーキによる制動力の強化は何れも車両10の挙動の安定化に貢献できる制動方法であるため、例えば、踏圧を検出したときの車両10の状態(例えば速度やエンジン回転数、ATの速度レンジなど)に応じて最適な制動方法を自動的に選択するように構成することも可能である。具体的には、アクセルペダル20を強く踏み込んだ直後はエンジン回転数が非常に高まっているため、初期段階ではニュートラル変速による駆動力の遮断を行い、エンジン回転数が低下したときにエンジンブレーキの利用による制動力の強化に切り替える制御を行うなどの方法が考えられる。
非常用制動システムには、システムが有効に作動し得る状態にあることを運転者に知らせるための報知装置が備わっている。報知装置は運転者の聴覚や視覚に訴えるものなどが考えられるが、運転者の注意力を散漫にすることなく、システムの状態を確実に報知するという観点から、発光手段を用いるのが望ましい。例えば、非常用ブレーキペダル30もしくはその周辺を点灯または点滅させるようにすれば、視覚への刺激も少なく、また非常用ブレーキペダル30の存在そのものを運転者に意識喚起させる効果も期待できる。制御部38は、検出速度と設定速度域とを比較した結果、検出速度が設定速度域内に収まっている場合には報知装置を作動させる。
また非常用制動システムが作動した場合、車両10が急停止することもあり得るので、車両10が緊急事態にあることを周囲に知らせる必要がある。制御部38は、検出踏圧と設定踏圧とを比較した結果、踏圧が設定踏圧を上回っている場合には制動灯(ブレーキランプ)および非常停止灯(ハザードランプ)を点滅させる制御を行う。
次に、車両10の運行時における非常用制動システムの処理の流れについて、図2のフローチャートを参照しながら説明する。エンジン始動後、速度パルスを取得して車両10の速度を検出する(S1)。車両10が速度を上げていく過程において検出速度と設定速度域とを比較する(S2)。検出速度が設定速度域内であれば、非常用制動システムが有効に作動し得る状態にあることを運転者に知らせる報知灯が点灯する(S3)。検出速度が設定速度域の上限値を超えたら報知灯が消灯する(S4)。次に、運転者が非常用ブレーキペダル30を操作するなどして踏圧が加わった場合には、瞬時に踏圧を検出する(S5)。踏圧を検出したら、検出踏圧と設定踏圧との比較を行い(S6)、さらには検出速度と設定速度域との比較を行う(S7)。 検出踏圧が設定踏圧を超え、さらには検出速度が設定速度域内に収まっていたら、マスタシリンダ24に制動力を伝達し(S8)、ATコントロールユニット18にニュートラル変速指令を伝達し(S9)、さらにはエンジンコントロールユニット16にエンジン停止指令を伝達する(S10)。また車両10の制動灯および非常停止灯を点滅させる(S11)。なお、S8乃至S11はこの順序に限られるものではなく、他の順序もしくは同時に作動させてもよい。また、既に説明したように、エンジン停止指令の伝達(S10)は、状況に応じて任意に採用できるものであり、車両10の制動に関しては必須の処理ではない。
非常用制動システムは、車両の製造段階で予め搭載しておくことも可能であるし、既存の車両を改造して搭載することも可能である。車両を改造する場合でも構造面で新設する必要があるのは非常用ブレーキペダル30とマスタシリンダ24への伝達機構だけであるので、改造に要する時間と費用を低く抑えることができる。
10 車両
12 エンジン
14 オートマティックトランスミッション
16 エンジンコントロールユニット
18 オートマティックトランスミッションコントロールユニット
20 アクセルペダル
22 車輪ブレーキ
24 マスタシリンダ
26 ブレーキペダル
30 非常用ブレーキペダル
32 コントロールユニット
34 検出部
36 記憶部
38 制御部

Claims (6)

  1. 運転席の右側の足元にアクセルペダルとブレーキペダルが配置された電子制御式オートマティックトランスミッション搭載車両において、
    前記運転席の左側の足元に配置された非常用ブレーキペダルと、
    前記非常用ブレーキペダルに加えられた踏圧を検出する検出部と、
    前記踏圧を検出したときに前記車両のマスタシリンダに制動力を伝達する第一の伝達部と、
    前記踏圧を検出したときに前記車両のATコントロールユニットにニュートラル変速指令を伝達する第二の伝達部とを備えた、
    非常用制動システム。
  2. 前記踏圧を検出したときに前記車両のエンジンコントロールユニットにエンジン停止指令を伝達する第三の伝達部を備えた、
    請求項1に記載の非常用制動システム。
  3. 前記車両の速度を検出する検出部と、設定速度域を記憶する記憶部を備え、前記検出部によって検出された前記車両の速度が前記記憶部に記憶された設定速度域に収まる場合に、前記車両のマスタシリンダに制動力を伝達するとともに前記車両のATコントロールユニットにニュートラル変速指令を伝達する、
    請求項1または2に記載の非常用制動システム。
  4. 設定踏圧を記憶する記憶部を備え、前記検出部によって検出された踏圧が前記記憶部に記憶された設定踏圧を超える場合に、前記車両のマスタシリンダに制動力を伝達するとともに前記車両のATコントロールユニットにニュートラル変速指令を伝達する、
    請求項1乃至3の何れかに記載の非常用制動システム。
  5. 前記検出部によって検出された前記車両の速度が前記記憶部に記憶された設定速度域に収まる場合に、前記非常用制動システムが有効に作動し得る状態にあることを前記車両の運転者に報知する手段を備えた、
    請求項1乃至4の何れかに記載の非常用制動システム。
  6. 前記非常用制動システムが作動した状態にあることを前記車両の外部に報知する手段を備えた、
    請求項1乃至5の何れかに記載の非常用制動システム。
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