JP2013057868A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス転移温度が45℃以上であり酸成分由来の繰り返し単位に占めるフマル酸由来の繰り返し単位の割合が10モル%以上であり酸成分由来の繰り返し単位に占めるアルケニルコハク酸由来の繰り返し単位の割合が10モル%以上であるポリエステル樹脂と、光重合開始剤を0.5質量%以上10質量%以下と、を含有する静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし
Description
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)は、ガラス転移温度が45℃以上であり酸成分由来の繰り返し単位に占めるフマル酸由来の繰り返し単位の割合が10モル%以上であり酸成分由来の繰り返し単位に占めるアルケニルコハク酸由来の繰り返し単位の割合が10モル%以上であるポリエステル樹脂(以下、特定のポリエステル樹脂と称することがある。)と、光重合開始剤を0.5質量%以上10質量%以下と、を含有する。
本実施形態のトナーは、必要に応じて着色剤、離型剤、外添剤その他の成分を含有してもよい。
このため、不飽和ポリエステルは主鎖の不飽和結合のみを利用して架橋反応を起こし、硬化作用を付与するのが一般的である。具体的には、ポリエステル樹脂の構成モノマーにフマル酸などを用いることにより、主鎖に不飽和結合を導入する方法が提案されている。
しかし、主鎖の不飽和結合のみで硬化させた場合には、架橋密度が上がりにくいため、トナー画像の画像強度を向上させることが困難な場合があった。
なお、ポリエステル樹脂を結着樹脂として含むトナーは、その他3種類の樹脂系を結着樹脂として含むトナーに比較して、定着性、特に画像の可撓性の点で優れる。
本実施形態のトナーは結着樹脂として特定のポリエステル樹脂を含有する。本実施形態で用いられる特定のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が45℃以上であり、酸成分由来の繰り返し単位に占めるフマル酸由来の繰り返し単位の割合が10モル%以上であり、酸成分由来の繰り返し単位に占めるアルケニルコハク酸由来の繰り返し単位の割合が10モル%以上である。
特定のポリエステル樹脂のガラス転移温度は、45℃以上とされる。特定のポリエステル樹脂のガラス転移温度が45℃未満であると、トナーの熱保管性の問題を生ずることがある。特定のポリエステル樹脂のガラス転移温度は50℃以上が好ましい。また、定着性(最低定着温度)の理由から特定のポリエステル樹脂のガラス転移温度は65℃以下が好ましい。
フマル酸由来の繰り返し単位の割合が10モル%未満であると、主鎖骨格に由来する架橋形成の不足に起因した画像強度不足の問題を生ずることがある。また、アルケニルコハク酸由来の繰り返し単位の割合が10モル%未満であると、側鎖に由来する架橋形成の不足に起因した画像強度不足の問題を生ずることがある。
酸成分由来の繰り返し単位に占める、フマル酸由来の繰り返し単位の割合とアルケニルコハク酸由来の繰り返し単位の割合との比は特に限定されるものではないが、例えば、これらのモル比(フマル酸由来の繰り返し単位:アルケニルコハク酸由来の繰り返し単位)として5:1乃至1:5が好ましく4:1乃至1:4がさらに好ましい。
これらアルコール成分の中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また、より良好なる定着性を確保することを目的として、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)を併用してもよい。
ポリエステル樹脂の酸価は、6mgKOH/g以上23mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、高分子量化するためには通常1/1程度が好ましい。
本実施形態のトナーは光重合開始剤を0.5質量%以上10質量%以下含有する。光重合開始剤の含有量が0.5質量%未満であると、トナー画像の硬化が不十分で画像強度が確保できないことがある。また、光重合開始剤の含有量が10質量%を超えると、帯電性悪化および熱保管性悪化の問題を生ずることがある。
光重合開始剤の含有量は、2質量%以上8質量%以下が好ましい。
これらの中でも、融解温度が60℃以上のアルキルフェノン系化合物及び融解温度が60℃以上のアシルフォスフィンオキサイド系化合物の少なくとも一方を用いることが好ましい。光重合開始剤の融解温度が60℃以上であれば、後述する乳化凝集法によりトナーを製造した場合に、凝集粒子を作成する段階における樹脂粒子等の凝集制御が容易になる。また、光重合開始剤としてアルキルフェノン系化合物及びアシルフォスフィンオキサイド系化合物の少なくとも一方を用いることで、トナーの画像強度を向上させることができる。
アシルフォスフィンオキサイド系化合物の具体例としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ベンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられ、これらの中でも、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。
本実施形態のトナーは必要に応じて着色剤を含有してもよい。
着色剤は、染料であっても顔料であっても構わないが、耐光性や耐水性の観点から顔料であることが好ましい。
例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料が使用される。
必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等が得られる。
本実施形態のトナーは、必要に応じて離型剤を含有してもよい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。
トナー中の離型剤の含有量は、0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。離型剤の含有量が0.5質量%以上あれば、特にオイルレス定着の場合における剥離不良が防止される。離型剤の含有量が15質量%以下であれば、トナーの流動性の悪化が防止されるので、画質および画像形成の信頼性が保たれる。
本実施形態のトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
本実施形態のトナーには無機粒子や有機粒子で構成される外添剤を添加してもよい。
トナーの融解温度は、特に限定されるものではないが、45℃以上110℃以下の範囲内であってもよく、60℃以上90℃以下の範囲内であってもよい。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2μm以上50μm以下の範囲にある粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
トナーの形状は、球状トナーが現像性、転写性の点では有利であるが、クリーニング性の面では不定形に比べ劣ることがある。トナーが上記範囲の形状であることにより、転写効率、画像の緻密性が向上し、高画質な画像形成が行われ、また、感光体表面のクリーニング性が高まる。
上記形状係数SF1は、120以上138以下の範囲であることがより好ましい。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
本実施形態のトナーの製造方法は特に限定されず、公知である混練・粉砕製法等の乾式法や、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によって作製される。これらの方法の中でも、コアシェル構造のトナーを作成容易な乳化凝集法が好ましい。以下、乳化凝集法による本実施形態のトナーの製造方法について詳しく説明する。
次に、原料分散液中で、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、凝集粒子を融合する融合工程とを経て、トナー粒子を得る。なお、コア粒子と、このコア粒子を被覆するシェル層とを有するいわゆるコアシェル構造型のトナーを作製する場合には、凝集粒子形成工程を終えた後の原料分散液に、樹脂粒子分散液を添加して(トナー化した際にコア粒子となる)凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させて(トナー化した際にシェル層となる)被覆層を形成する被覆層形成工程を実施し、その後に融合工程を実施する。なお、被覆層形成工程に用いる樹脂成分は、コア粒子を構成する樹脂成分と同一であっても異なっていてもよい。
−乳化工程−
凝集粒子形成工程に用いる原料分散液を準備するために、乳化工程では、トナーを構成する主要な材料を、水系媒体中に分散させた乳化分散液を調整する。以下、樹脂粒子分散液や、着色剤分散液、離型剤分散液等について説明する。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径は、0.01μm以上1μm以下であってもよく、0.03μm以上0.8μm以下であってもよく、0.03μm以上0.6μmであってもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易くなる場合がある。一方、体積平均粒径が上記範囲内であれば前記欠点がない上、トナー間の組成偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておいてもよい。
着色剤分散液を調整する際の分散方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用してもよく、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用して着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用して着色剤の有機溶剤分散液を調製したりしてもよい。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いてもよい。
離型剤分散液は、離型剤を水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、離型剤の融解温度以上に加熱し、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を印加することにより調製される。これにより、体積平均粒径が1μm以下の離型剤粒子を分散させる。また、離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂に用いる分散媒と同様のものを用いてもよい。
凝集粒子形成工程においては、樹脂粒子分散液の他に、通常は着色剤分散液及び離型剤分散液を加え、必要に応じて添加されるその他の分散液を少なくとも混合して得られた原料分散液に対して、凝集剤を更に添加して加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、樹脂粒子が結晶性ポリエステル等の結晶性樹脂である場合には、結晶性樹脂の融解温度付近(±20℃)の温度で、且つ、融解温度以下の温度にて加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
凝集粒子を形成する際に、原料分散液中に光重合開始剤が添加されてもよい。
なお、本実施形態において「室温」とは25℃をいう。
また、凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
凝集粒子形成工程を経た後には、必要であれば被覆層形成工程を実施してもよい。被覆層形成工程では、上記した凝集粒子形成工程を経て形成された凝集粒子の表面に、被覆層形成用の樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する。これにより、いわゆるコアシェル構造を有するトナーが得られる。
凝集粒子形成工程、あるいは、凝集粒子形成工程および被覆層形成工程を経た後に実施される融合工程では、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5以上8.5以下程度の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。
凝集粒子の融合工程を終了した後、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は塩酸、硫酸、硝酸等の強酸の水溶液でトナー粒子に付着した分散剤を除去後、ろ液が中性になるまでイオン交換水などで洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点からスプレードライ乾燥、凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が用いられる。
本実施形態に係る静電荷像現像剤(以下、単に「現像剤」と称することがある。)は、本実施形態のトナーを含むものであれば特に限定されず一成分現像剤あるいは二成分現像剤のいずれであってもよい。二成分現像剤として用いる場合にはトナーと、キャリアとを混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10μm以上500μm以下であり、30μm以上100μm以下であってもよい。
次に、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーを用いた本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、帯電した前記感光体上に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記感光体上に形成された前記静電荷像を本実施形態の現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、前記トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上に転写した前記トナー像を前記被転写体上に定着する定着手段と、前記被転写体上に定着した前記トナー像に光を照射する光照射手段と、を有するものである。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Y上に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
現像効率、画像粒状性、階調再現性等の観点から、直流成分に交流成分を重畳させたバイアス電位(現像バイアス)を現像剤保持体に付与してもよい。具体的には、現像剤保持体直流印加電圧Vdcを−300乃至−700Vとしたとき、現像剤保持体交流電圧ピーク幅Vp−pを0.5乃至2.0kVの範囲としてもよい。
イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
また、光照射手段32としては、光重合開始剤による重合反応を生じさせることのできる波長の光を照射可能であれば特に限定されず、例えば、メタルハライドランプ(波長範囲:200nm以上600nm以下)、もしくは、LED−UVであれば選択波長は365/375/385nmのいずれかが挙げられる。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
図2は、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、現像装置111とともに、感光体107、帯電ローラ108、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は被転写体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、光照射手段120と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
テレフタル酸2260部、ドデセニルコハク酸428部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物3950部、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物1580部、及びエステル化触媒を、230℃、101.3kPaにて12時間反応させ、さら10kPaにて0.5時間反応させた。190℃まで冷却してフマル酸185部を添加し、210℃まで3時間かけて昇温した後、7.5kPaにて所望の軟化点まで反応させ、ポリエステル樹脂1を得た。
ポリエステル樹脂1の合成において、テレフタル酸1860部、ドデセニルコハク酸1070部、とした以外は同様の方法で、ポリエステル樹脂2を得た。
ポリエステル樹脂1の合成において、テレフタル酸1460部、ドデセニルコハク酸1710部、とした以外は同様の方法で、ポリエステル樹脂3を得た。
ポリエステル樹脂1の合成において、テレフタル酸1460部、フマル酸740部、とした以外は同様の方法で、ポリエステル樹脂4を得た。
ポリエステル樹脂1の合成において、テレフタル酸1460部、フマル酸460部、ドデセニルコハク酸1070部とした以外は同様の方法で、ポリエステル樹脂5を得た。
ポリエステル樹脂1の合成において、ドデセニルコハク酸を用いず、テレフタル酸2520部、フマル酸185部、とした以外は同様の方法で、ポリエステル樹脂6を得た。
ポリエステル樹脂1の合成において、フマル酸を用いず、テレフタル酸2120部、ドデセニルコハク酸860部、とした以外は同様の方法で、ポリエステル樹脂7を得た。
ポリエステル樹脂1の合成において、フマル酸およびドデセニルコハク酸を用いず、テレフタル酸2790部、とした以外は同様の方法で、ポリエステル樹脂8を得た。
ポリエステル樹脂1を350部と、メチルエチルケトン175部と、イソプロピルアルコール61.8部、10%アンモニア水溶液12.3部とをセパラブルフラスコに入れ、混合、溶解した後、40℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度8部/minで滴下した。液が均一に白濁した後、送液速度12部/minに上げて転相させ、送液量が1050部になったところで滴下を止めた。その後減圧下で溶剤除去を行い、ポリエステル樹脂分散液1を得た。得られたポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は166nm、樹脂粒子の固形分濃度は41.7%であった。
ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂2乃至8に変更した以外は「ポリエステル樹脂分散液1の調製」と同様にしてポリエステル樹脂分散液2乃至8を調製した。
得られたポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は、ポリエステル樹脂分散液2では171nm、ポリエステル樹脂分散液3では169nm、ポリエステル樹脂分散液4では165nm、ポリエステル樹脂分散液5では169nm、ポリエステル樹脂分散液6では158nm、ポリエステル樹脂分散液7では166nm、ポリエステル樹脂分散液8では165nmであった。また、樹脂粒子の固形分濃度は、ポリエステル樹脂分散液2では41.8%、ポリエステル樹脂分散液3では41.1%、ポリエステル樹脂分散液4では40.8%、ポリエステル樹脂分散液5では41.2%、ポリエステル樹脂分散液6では41.0%、ポリエステル樹脂分散液7では42.0%、ポリエステル樹脂分散液8では41.5%であった。
・ユニシッド350(東洋アドレ社製):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5部
・イオン交換水:170部
以上を110℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社製)で分散処理し、平均粒径が0.18μmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:31%)を調製した。
・カーボンブラック #25(三菱化学社製):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK):15部
・イオン交換水:900部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間程度分散した。これにより、着色剤分散液を得た。なお、着色剤分散液における着色剤の濃度は25%に調整した。
・ポリエステル樹脂分散液1 320部
・着色剤分散液 60部
・アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液) 15部
・離型剤分散液 80部
・Irgacure−651 8部
トナー1の体積平均粒径は5.8μmであった。
トナー1の作製において、Irgacure−651の添加量を19部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー2を得た。
トナー1の作製において、Irgacure−651の添加量を32部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー3を得た。
トナー1の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液2を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー4を得た。
トナー4の作製において、Irgacure−651の添加量を19部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー5を得た。
トナー4の作製において、Irgacure−651の添加量を32部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー6を得た。
トナー1の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液3を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー7を得た。
トナー7の作製において、Irgacure−651の添加量を19部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー8を得た。
トナー7の作製において、Irgacure−651の添加量を32部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー9を得た。
トナー1の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液4を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー10を得た。
トナー10の作製において、Irgacure−651の添加量を19部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー11を得た。
トナー10の作製において、Irgacure−651の添加量を32部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー12を得た。
トナー1の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液5を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー13を得た。
トナー13の作製において、Irgacure−651の添加量を19部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー14を得た。
トナー13の作製において、Irgacure−651の添加量を32部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー15を得た。
トナー1の作製において、Irgacure−651に替えてIrgacure−819(アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、融解温度130℃、25℃の水への溶解度0.01質量%未満)の添加量を8部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー16を得た。
トナー16の作製において、Irgacure−819の添加量を19部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー17を得た。
トナー16の作製において、Irgacure−819の添加量を32部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー18を得た。
トナー16の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液2を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー19を得た。
トナー19の作製において、Irgacure−819の添加量を19部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー20を得た。
トナー19の作製において、Irgacure−819の添加量を32部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー21を得た。
トナー16の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液3を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー22を得た。
トナー22の作製において、Irgacure−819の添加量を19部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー23を得た。
トナー22の作製において、Irgacure−819の添加量を32部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー24を得た。
トナー16の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液4を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー25を得た。
トナー25の作製において、Irgacure−819の添加量を19部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー26を得た。
トナー25の作製において、Irgacure−819の添加量を32部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー27を得た。
トナー16の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液5を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー28を得た。
トナー28の作製において、Irgacure−819の添加量を19部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー29を得た。
トナー28の作製において、Irgacure−819の添加量を32部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー30を得た。
トナー1の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液6を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー31を得た。
トナー16の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液6を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー32を得た。
トナー1の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液7を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー33を得た。
トナー16の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液7を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー34を得た。
トナー1の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液8を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー35を得た。
トナー16の作製において、ポリエステル樹脂分散液1に替えてポリエステル樹脂分散液8を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー36を得た。
トナー1の作製において、Irgacure−651の添加量を44部とした他は同様の作業を行い、トナーの作製を試みたものの、融合が進行しなかったため、評価は行わなかった。
トナー1の作製において、Irgacure−651の添加量を2部とした他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.9μmのトナー38を得た。
ポリエステル樹脂1 208.5部
カーボンブラック #25 15部
ユニシッド350(東洋アドレ社製) 24.8部
Irgacure−651 21.6部
以上を混合し、エクストルーダー型混錬機に入れ、内部の温度が120±5℃になるように設定をし、120rpmで混練を行った。なお、内部の温度は過剰に上昇しないように上記混合物には予め水を添加した。得られた混練物を冷却後、ハンマーミルにて粗粉砕し、これをジェットミルにて約5.4μmに微粉砕した後、エルボージェット分級機(松坂貿易社製)にて分級し、トナー1と同様の方法で外添剤を添加し、体積平均粒径が5.9μmのトナー39を得た。
トナー1の作製において、Irgacure−651を添加しなかった他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.9μmのトナー40を得た。
ポリメチルメタアクリレート樹脂(Mw:80000、綜研化学社製)を1%コートした体積平均粒径が35μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が5%になるようにトナー1を秤量し、ボールミルで5分間攪拌、混合して現像剤1を作製した。
画像形成装置には、光源としてマリオネットワーク社製メタルハライド1000W(スピードキングI)を用い、定着後のトナー像に主波長365nmの光を照射することが可能となるように改造した富士ゼロックス社製カラー複写機DocuCentreII−C3300を用いた。
この改造機を用いて、トナー載り量を15.0g/m2、プロセススピードを250mm/sの条件にて画像形成を行った。得られたトナー画像に対して、スチールウールによる擦り試験を実施した。
擦り試験は、スチールウール(ボンスターロールパット:日本スチールウール社製)を用い、250gの荷重でトナー画像表面を10往復させた。スチールウールで擦る前と後における光沢度をグロスメーター(BYK−GARDERGMBH社製グロス測定機micro−TRI−glossグロスメーター)で測定した。60°の角度における光沢度を指標とした。スチールウールで擦る前後の光沢度差を表1に示す。
トナー1に替えてトナー2乃至40(トナー37を除く)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3、110 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
32、120 光照射手段
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300 記録紙(被転写体)
Claims (9)
- ガラス転移温度が45℃以上であり酸成分由来の繰り返し単位に占めるフマル酸由来の繰り返し単位の割合が10モル%以上であり酸成分由来の繰り返し単位に占めるアルケニルコハク酸由来の繰り返し単位の割合が10モル%以上であるポリエステル樹脂と、光重合開始剤を0.5質量%以上10質量%以下と、を含有する静電荷像現像用トナー。
- 前記アルケニルコハク酸由来の繰り返し単位が、ドデセニルコハク酸由来の繰り返し単位である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記光重合開始剤が、融解温度が60℃以上のアルキルフェノン系化合物及び融解温度が60℃以上のアシルフォスフィンオキサイド系化合物の少なくとも一方である請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記アルキルフェノン系化合物が、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンであり、前記アシルフォスフィンオキサイド系化合物が、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドである請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記光重合開始剤の25℃の水への溶解度が、0.1質量%未満である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
- トナーが少なくとも収容され、前記トナーが請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーであるトナーカートリッジ。
- 現像剤保持体を少なくとも備え、請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジ。
- 感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、帯電した前記感光体上に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記感光体上に形成された前記静電荷像を請求項6に記載の静電荷像現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、前記トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上に転写した前記トナー像を前記被転写体上に定着する定着手段と、前記被転写体上に定着した前記トナー像に光を照射する光照射手段と、を有する画像形成装置。
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