JP2007298687A - 電子写真用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結着樹脂を含有した原料成分を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有する方法により得られるトナーであって、前記結着樹脂が、軟化点が5℃以上異なる2種のポリエステルを含有し、かつ該2種のポリエステルの少なくとも一方が、アルコール成分と、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる電子写真用トナー。
【選択図】なし
Description
一方、特許文献3には、湿式製法である乳化凝集法によるトナーの製造に関する発明が開示されている。
本発明の課題は、原料を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有する方法により得られるトナーにおいて、保存性、低温定着性及び耐オフセット性に優れた電子写真用トナーを提供することにある。
構造異性体の数を高めるためには、アルキレン化合物、特にテトラマーと、マレイン酸とを混合し加熱するエン反応を利用する方法や、分子量分布の広いアルキレン化合物、特にテトラマーを有するアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸製造時における蒸留条件を調整する方法等が挙げられる。
尚、本発明においては、上記アルキル基又はアルケニル基に由来するアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸の各々の構造異性体同士は、異なるアルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸として扱うものとする。
アルキレン化合物の合成に使用される好適な触媒としては、液体リン酸、固体リン酸、タングステン、三フッ化ホウ素錯体等が挙げられる。尚、構造異性体の数の制御容易性の観点から、ランダム重合した後に、蒸留により調整する方法が好ましい。
アルコール成分と、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルの原料モノマーであるカルボン酸成分中における、アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸の総含有量は、耐加水分解性とトナーの定着性、保存性の観点から、3〜50モル%が好ましく、4〜45モル%がより好ましい。5〜40モル%が更に好ましい。
なお、カルボン酸、カルボン酸の無水物、及びカルボン酸のアルキルエステルを、本明細書では以下総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでR2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましく用いられる。
上記チタン化合物及び錫(II)化合物は、その各々について2種以上組み合わせて使用することができる。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、前記エステル化触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、180〜250℃の温度で行うことができる。
したがって、後者のポリエステルの原料モノマーであるカルボン酸成分中における、アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸の総含有量は、耐加水分解性とトナーの定着性、保存性の観点から、3〜50モル%が好ましく、4〜45モル%がより好ましい。5〜40モル%が更に好ましい。
尚、本発明において、ポリエステルには、ポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報等、特開平8−20636号公報に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルが挙げられる。
ポリエステルの酸価が高い場合には樹脂自体の水との親和性が高くなり、加水分解されやすくなる傾向にあるため、上記2種のポリエステルの酸価は、いずれも帯電性および耐加水分解性の観点より、1〜40mgKOH/gが好ましく、2〜35mgKOH/gがより好ましく、3〜30mgKOH/gがさらに好ましい。従って、結着樹脂の酸価もまた上記範囲内の値であることが好ましい。
本発明の電子写真用トナーの結着樹脂として含有される2種のポリエステルの軟化点は、互いに5℃以上異なるものであるが、定着性及び耐久性の観点から、これらを含有する結着樹脂として、80〜160℃であることが好ましく、85〜150℃であることがより好ましい。
本発明においては、上記2種のポリエステルの軟化点の差を、低温定着と耐オフセット性の観点から5℃以上にすることにより、幅広い分子量分布をもつ結着樹脂を得ることができる。かかる観点から、軟化点の差は、7℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。軟化点は、原料モノマー組成、重合開始剤、分子量、触媒量等の調整又は反応条件の選択により容易に調整することができる。
軟化点が5℃以上異なる2種のポリエステルのうち、軟化点が高いポリエステルA、軟化点の低いポリエステルBの含有割合(ポリエステルA/ポリエステルB)は、低温定着と耐オフセット性の観点から、重量比で95/5〜5/95が好ましく、90/10〜10/90がより好ましく、80/20〜20/80がさらに好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、前記軟化点が5℃異なる2種のポリエステルを含む結着樹脂、及びこれと必要に応じて着色剤等の添加剤とを含有する原料を水系媒体中又は溶液中で粒子化する工程を有する方法により得られる。
結着樹脂には、上記2種のポリエステル以外の他の樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等のトナーに用いられる公知の樹脂が含有されていてもよいが、軟化点が5℃以上異なる2種のポリエステルの含有量は、トナー中50〜100重量%が好ましく、60〜100重量%がより好ましく、70〜100重量%がさらに好ましく、80〜100重量%がさらに好ましい。
さらに、本発明のトナーには、更に荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤を、適宜含有することができる。
ワックスの含有量は、結着樹脂100重量部に対して、結着樹脂中への分散性の観点から、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、1.5〜7重量部がさらに好ましい。
従って、水系媒体は、有機溶剤等の溶剤を含有していてもよいが、水を好ましくは50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上含有するものであり、この方法によれば、実質的に有機溶剤を用いることなく水のみを用いても結着樹脂を微粒化させることができる。尚、溶剤を使用する場合には樹脂の溶解性を考慮し、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチルなどが好ましい。
非イオン性界面活性剤の使用量は、結着樹脂の融点を下げる観点から、結着樹脂100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、トナーに残存する非イオン性界面活性剤を制御する観点からは、80重量部以下が好ましい。従って、これらを両立させる観点から、非イオン性界面活性剤の使用量は、結着樹脂100重量部に対して、5〜80重量部が好ましく、10〜70重量部がより好ましく、20〜60重量部がさらに好ましい。
水系媒体の使用量は、続く工程で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜3000重量部が好ましく、400〜3000重量部がより好ましく、800〜3000重量部がさらに好ましい。
なお、結着樹脂がカルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する場合は、結着樹脂の全部もしくは一部を中和した後、又は中和しながら水を添加してもよい。結着樹脂に酸性基を有するものを用いる場合は、非イオン性界面活性剤の因子に加え、樹脂の自己乳化性が一次粒子の粒径の制御因子となる。
一次粒子の平均粒径は、続く工程で均一に凝集させる観点から、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.8μmがさらに好ましい。本発明において一次粒子の平均粒径とは、体積中位粒径(D50)を指し、レーザー回折型粒径測定機等により測定できる。
工程(2)において、一次粒子を凝集させる凝集工程における系内の固形分濃度は、結着樹脂の分散液に水を添加して調整することができ、均一な凝集を起こさせるために、5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、5〜20重量%がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−60℃以上、軟化点以下が好ましい。
なお、一次粒子を凝集させる際には、工程(1)により得られた一次粒子のみを凝集させるだけでなく(ホモ凝集)、別途工程(1)と同様にして得られた樹脂微粒子の分散液等を一次粒子の分散液と混合し、一次粒子と他の樹脂微粒子とを凝集させてもよい(ヘテロ凝集)。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後は十分攪拌することが好ましい。
合一工程における系内の温度は、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂の軟化点−30℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点−25℃以上、軟化点+10℃以下がより好ましく、軟化点−20℃以上、軟化点+10℃以下がさらに好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度が好ましい。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましい。また、添加した非イオン性界面活性剤も洗浄により完全に除去することが好ましく、非イオン性界面活性剤の曇点以下での水系溶液での洗浄が好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナーの乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
また、トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、80〜160℃が好ましく、80〜150℃がより好ましく、90〜140℃がさらに好ましい。また、ガラス転移点は、同様の観点から、45〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。
外添剤の個数平均粒子径は好ましくは4〜200nm、より好ましくは8〜30nmである。外添剤の個数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を用いて求められる。
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機(堀場製作所製、LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定する。
(1)分散液の調製:分散液(エマルゲン109P(花王製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%水溶液)5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液(アイソトンII(ベックマンコールター社製))25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させ分散液を得る。
(2)測定装置:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm 解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
(3)測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子について、体積中位粒径(D50)を求める。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
質量分析ガスクロマトグラフ(GC/MS)にCIイオンソースと下記分析カラムを取り付け、立上げを行う。なお、CI反応ガス(メタン)を流し、MS部の真空排気作業から24時間経過後にチューニングを行う。
ガスクロマトグラフ : Agilent社 HP6890N
分析カラム : HP社製 Ultra1(カラム長50m、内径0. 2mm、膜厚0.33μm)
GCオーブン昇温条件: 初期温度 100℃(0min)
第1段階昇温速度 1℃/min(150℃まで)
第2段階昇温速度 10℃/min(300℃まで)
最終温度 300℃(10min)
サンプル注入量 : 1μL
注入口条件 : 注入モード スプリット法
スプリット比 50:1
注入口温度 300℃
キャリアガス : ガス ヘリウム
流量 1ml/min(定流量モード)
質量分析器 : Agilent社製5973N MSD
イオン化法 : 化学イオン化法
反応ガス : イソブタン
温度設定 : 四重極 150℃
イオン源 250℃
検出条件 : スキャン
スキャン範囲 : m/z 75〜300
検出器ON時間 : 5min
キャリブレーション(質量校正および感度調整)
: 反応ガス メタン
キャリブラント PFDTD(ペルフルオロ−5, 8―ジメチル-3,6,9−トリオキシドデカン)
チューニング法 オートチューニング
プロピレンテトラマーをイソプロピルアルコールに溶解し5%とした。
(データ処理法)
C9〜C14の範囲にある各炭素数のアルケン成分について、それぞれ分子イオンに該当する質量数によるマスクロマトグラムを抽出し、S/N(シグナル/ノイズ比)>3の条件下で、成分毎の積分条件に従い積分を実行する。表1〜5の各々に示す検出結果から、特定アルキル鎖長成分の割合を以下の式により計算する。
特定アルキル鎖長成分の割合=[(特定アルキル鎖長の積分値の総和)/(C9〜C14全ての積分値の総和)]×100(%)
新日本石油株式会社製のプロピレンテトラマー(商品名:ライトテトラマー)を用いて、183〜208℃の加熱条件で分留してアルキレン化合物Aを得た。得られたアルキレン化合物Aは,ガスクロマトグラフィー質量分析において、40個のピークを有していた。
アルキレン化合物Aの製造例の分留条件を171〜175℃に変更した以外は同様にしてアルキレン化合物Bを得た。得られたアルキレン化合物Bはガスクロマトグラフィー質量分析において、25個のピークを有していた。
1Lの日東高圧製オートクレーブにアルキレン化合物A 542.4g、無水マレイン酸157.2g、チェレックス−O 0.4g(堺化学工業(株)社製)、ブチルハイドロキノン(以下、BHQと略)0.1gを仕込み、加圧窒素置換(0.2MPaG)を3回繰り返した。60℃で撹拌開始後、230℃まで1時間かけて昇温して6時間反応を行った。反応温度到達時の圧力は、0.3MPaGであった。反応終了後、80℃まで冷却し、常圧(101.3kPa)に戻して1Lの4つ口フラスコに移しかえた。180℃まで撹拌しながら昇温し、1.3kPaにて残存アルキレン化合物を1時間で留去した。ひきつづき、室温(25℃)まで冷却後、常圧(101.3kPa)に戻して目的物のアルケニルコハク酸A(406.1g)を得た。
原料として、アルキレン化合物Aに代えてアルキレン化合物Bを用いた以外は、アルケニル無水コハク酸Aの製造と同様にしてアルケニル無水コハク酸Bを得た。
ドデセニル無水コハク酸の製造
アルキレン化合物Aに代えてガスクロマトグラフィー質量分析において1個のピークを有する市販の1−ドデセンを用いた以外は、アルケニル無水コハク酸Aの製造と同様にして無水ドデセニルコハク酸を得た。
表6に示す無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマー、及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、230℃、常圧(101.3kPa)にて10時間反応させ、さらに8kPaにて1時間反応させた。210℃まで冷却して表6に示す無水トリメリット酸を添加し、1時間反応させた後、8kPaにて所望の軟化点まで反応させ、ポリエステル樹脂A−1及びA−3〜A−5をそれぞれ得た。
表6に示すフマル酸を除くポリエステルの原料モノマー、及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、230℃、常圧(101.3kPa)にて10時間反応させ、さらに8kPaにて1時間反応させた。180℃まで冷却して表6に示すフマル酸、ハイドロキノンを添加し、210℃まで4時間かけて昇温した後、8kPaにて所望の軟化点まで反応させ、ポリエステル樹脂A−2を得た。
表6に示すフマル酸、無水トリメリット酸を除くポリエステルの原料モノマー、及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、230℃、常圧(101.3kPa)にて10時間反応させ、さらに8kPaにて1時間反応させた。180℃まで冷却して表6に示すフマル酸、無水トリメリット酸、ハイドロキノンを添加し、210℃まで4時間かけて昇温した後、8kPaにて所望の軟化点まで反応させ、ポリエステル樹脂A−6を得た。
表7に示すアルケニルコハク酸を除くポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、230℃、常圧(101.3kPa)にて10時間反応させ、さらに8kPaにて1時間反応させた。220℃まで冷却して、アルケニル無水コハク酸を添加し、常圧で2時間反応させた後、8kPaにて所望の軟化点まで反応させ、ポリエステル樹脂B−1、B−3及びB−4をそれぞれ得た。
表7に示すフマル酸を除くポリエステルの原料モノマー、及びエステル化触媒を用いた以外は、ポリエステル樹脂A−2の製造と同様にしてポリエステル樹脂B−2及びB−5をそれぞれ得た。
後述の実施例及び比較例の各々において使用した表8に示す組み合わせの結着樹脂を粗粉砕して篩いにかけ、16メッシュ(目開き:1mm)の篩いを通過し22メッシュ(目開き:710μm)の篩いは通過しない樹脂粉体を得た。この分級された樹脂粉末を10.00g精秤し、ミル&ミキサー MM−I型((株)日立リビングサプライ製)にて30秒間粉砕して評価樹脂を得た。
100mlナスフラスコに評価樹脂1.0gを入れ、そこに0.1mol/L水酸化カリウム メタノール溶液を20ml加え、更に蒸留水20mlを加えたものを90℃湯浴にて5時間加熱する。5時間加熱終了後、0.1mol/L塩酸により中和した後、溶媒を取り除き、残った樹脂を乾燥させる。得られた樹脂の、ガラス転移点を測定し、試験前の物性と比較し、下記の評価基準にしたがって、耐加水分解性を判定した。
◎:試験前後でのガラス転移点の温度差は2℃未満
○:試験前後でのガラス転移点の温度差が2℃以上4℃未満
△:試験前後でのガラス転移点の温度差は4℃以上6℃未満
×:試験前後でのガラス転移点の温度差は6℃以上
アルケニル無水コハク酸を使用したポリエステル樹脂の耐加水分解性はいずれも良好であった。
表8に示すポリエステル樹脂200g及び非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=9モル付加)、曇点:98℃、HLB:15.3)100gを、5リットル容のステンレス容器中でカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、170℃で溶融させた。内容物を非イオン性界面活性剤の曇点より3℃低い95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5重量%)75.5gを滴下した。続いて、カイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下、脱イオン水を6g/minで滴下し、計1624.5gを添加した。この間、系の温度は95℃に保持し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂を含む樹脂分散液を得た。得られた樹脂分散液中の樹脂粒子(一次粒子)の体積中位粒径(D50)は0.45μm、固形濃度は12.0重量%、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
次に、この混合物に凝集剤として塩化カルシウム1g分の水溶液を加え、炭酸ナトリウム水溶液(濃度:10重量%)でpH=7に調整した後、ホモミキサーを用いて、5000r/minの回転数で室温下1時間攪拌した。その結果、得られた混合分散液を1リットル容のオートクレーブに移し、90℃に加熱して500r/minで6時間攪拌し、凝集粒子を形成させた。
得られた着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(TS530、ワッカーケミー社製、個数平均粒子径:8nm)を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.8μmであった。
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた5L容の容器にメチルエチルケトン600gを投入し、表8に示すポリエステル樹脂200gを室温にて添加し、溶解させた。得られた溶液に、トリエチルアミン10gを添加して中和し、続いてイオン交換水2000gを添加した後、250r/minの攪拌速度で、減圧下、50℃以下の温度でメチルエチルケトンを留去し、自己分散型の水系樹脂粒子分散液(樹脂含有量:9.6重量%(固形分換算))を得た。得られた樹脂分散体中に分散するポリエステル粒子の重量平均粒径は0.3μmであった。
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋(株)製、融点:85℃)50g、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王(株)製)5g及びイオン交換水200gを95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて、パラフィンワックスを分散させた後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、パラフィンワックスが平均粒径550nmで分散したワックス分散液を得た。
荷電制御剤(ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)50g、ノニオン性界面活性剤(エマルゲン150、花王(株)製)5g及びイオン交換水200gを混合し、ガラスビーズを使用し、サンドグラインダーを用いて10分間分散させて、荷電制御剤が平均粒径500nmで分散した荷電制御剤分散液を調製したが、分散液中には粗大粒子の残留が観測された。
凝集粒子が形成された凝集粒子分散液に、アニオン性界面活性剤(ペレックスSS−L、花王(株)製)3gを添加した後、前記ステンレス製フラスコに還流管を装着し、攪拌を継続しながら、5℃/minの速度で80℃まで加熱し、5時間保持して、凝集粒子を合一し、融合させた。その後、冷却し、融合粒子をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、得られた着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は7.1μmであった。
得られた着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(TS530、ワッカーケミー社製、個数平均粒子径:8nm)を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.9μmであった。
表8に示すポリエステル樹脂100重量部、イエロー着色剤(パリオトールD1155、BASF社製)4.0重量部、荷電制御剤(ボントロンE-84、保土谷化学工業社製)2.5重量部及びパラフィンワックス(HNP−9、日本精蝋(株)製、融点:78℃)4重量部を、ヘンシェルミキサーにて予備混合した後、オープンロール型混練機で溶融混練し、冷却後、粉砕し、混練物の1mmチップ品を得た。
得られた混練物200g及び非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=9モル付加)、曇点:98℃、HLB:15.3)100gを、5リットル容のステンレス容器中、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、170℃で溶融させた。内容物を非イオン性界面活性剤の曇点より3℃低い95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5重量%)を75.5g滴下した。続いて、カイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下、脱イオン水を6g/minで滴下し、計1624.5gを添加した。この間、系の温度は95℃に保持し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂を含む樹脂分散液を得た。得られた樹脂分散液中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は0.45μm、固形濃度は12.0重量%、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
その後、125℃に昇温し、さらに1時間攪拌して、凝集粒子を合一させた後、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂微粒子粉末を得た。着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は6.7μm、水分含量は0.3重量%であった。
得られた着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(TS530、ワッカーケミー社製、個数平均粒子径:8nm)を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して外添し、イエロートナーとした。得られたイエロートナーの体積中位粒径(D50)は7.1μmであった。
結着樹脂として、表8に示すポリエステル樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
次に、実施例1〜16及び比較例1〜3で得られた各トナーについて、以下に示すように保存性、低温定着性及び耐オフセット性の各試験を行った。結果を表8に示す。
トナー各々4gを、直径5cm、高さ2cmの開封系の円筒容器に入れ、温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準より保存性を評価した。
評価基準
◎:72時間後も凝集は全く認められない。
○:72時間後も凝集はほとんど認められない。
△:48時間後で凝集は認められないが72時間後では凝集が認められる。
×:48時間後で既に凝集が認められる。
プリンター「ページプレスト N−4」(カシオ計算機社製、定着:接触定着方式、現像方式:非磁性一成分現像方式、現像ロール径:2.3cm)にトナーを実装し、トナー付着量を0.8mg/cm2に調整して未定着画像を得た。得られた未定着画像を接触定着方式の複写機「AR−505」(シャープ社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した定着機(定着速度:350mm/s)を用いて、定着ロールの温度を100℃から240℃へと10℃ずつ上昇させながら未定着画像を定着させ、定着試験を行った。
各定着温度で得られた画像を、「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社製、幅18mm、JISZ−1522)を貼りつけ、30℃に設定した上記定着機の定着ロールを通過させた後、テープを剥し、テープ剥離前後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(マクベス社製)を用いて測定した。両者の比率(剥離後/剥離前)が最初に98%を超える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。また同時に、ホットオフセットの発生を目視にて観察し、以下の評価基準に従って耐オフセット性を評価した。
〔低温定着性の評価基準〕
◎:最低定着温度が160℃未満
○:最低定着温度が160℃以上、170℃未満
△:最低定着温度が170℃以上、180℃未満
×:最低定着温度が180℃以上
〔耐オフセット性の評価基準〕
◎:240℃でもホットオフセットは発生しない。
○:220℃以上、240℃以下でホットオフセットが発生する。
△:190℃以上、220℃未満でホットオフセットが発生する。
×:190℃未満でホットオフセットが発生する。
Claims (7)
- 結着樹脂を含有した原料成分を水系媒体中で粒子化する工程を有する方法により得られるトナーであって、前記結着樹脂が、軟化点が5℃以上異なる2種のポリエステルを含有し、かつ該2種のポリエステルの少なくとも一方が、アルコール成分と、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる電子写真用トナー。
- カルボン酸成分が、分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルキル基を有するアルキルコハク酸の少なくとも2種、及び/又は分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸の少なくとも2種を含有する、請求項1記載の電子写真用トナー。
- カルボン酸成分が、分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルキル基を有するアルキルコハク酸の構造異性体及び/又は分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸の構造異性体を少なくとも20種含有する、請求項1又は2に記載の電子写真用トナー。
- アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸が、アルキレン化合物とマレイン酸及びフマル酸から選ばれる少なくとも一種とから得られるものであって、前記アルキレン化合物が、ガスクロマトグラフィー質量分析において、炭素数9〜14の範囲内のアルキレン化合物に相当するピークを少なくとも20有する、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- カルボン酸成分中におけるアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸の総量が3〜50モル%である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 軟化点が5℃以上異なる2種のポリエステルのうち、軟化点の高いポリエステルAと軟化点の低いポリエステルBの含有割合(ポリエステルA/ポリエステルB)が重量比で95/5〜5/95である、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 軟化点が5℃以上異なる2種のポリエステルが、共に、アルコール成分と、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものである、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用トナー。
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