JP5209439B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に用いられる電子写真トナーに関する。
近年、マシンの高速化、省エネ化に伴い、低温定着性に優れたトナーが要求されている。そこで、トナー用結着樹脂として、従来使用されてきた芳香族多価アルコールを用いて得られる縮重合系樹脂に代わり、脂肪族多価アルコールを使用した縮重合系樹脂が提案されている。
特許文献1には、1,3-プロパンジオールと、特定の他の多価アルコールとを必須の構成成分として含有するアルコール成分と、多塩基酸成分とを反応させて得られるポリエステル樹脂を結着樹脂として用いた、定着性、耐オフセット性に優れ、且つ連続印刷した際も安定した帯電挙動を示し、良好な高画質画像が得られる耐久性に優れた静電荷現像用トナーが開示されている。
特許文献2には、低温定着性と粉砕性のバランスに優れ、定着後の光沢性に優れるトナーを提供することを課題として、ポリオール成分が30〜100モル%の、炭素数2〜6の脂肪族ジオール(該脂肪族ジオールの少なくとも一部が1,2-プロピレングリコールである)からなり、テトラヒドロフラン可溶分の数平均分子量が1000〜9500のポリエステル樹脂を用いたトナー用ポリエステル樹脂が開示されている。
特許文献3には、保存性及び耐久性に優れた電子写真用トナーを提供することを課題として、結着樹脂とポリオレフィンワックス及び/又はパラフィンワックスとを含有してなる原料を溶液中で粒子化する工程を含む方法により得られる電子写真用トナーであって、前記結着樹脂が、少なくとも縮重合系樹脂の原料モノマー及び付加重合系樹脂の原料モノマーを用いて得られる樹脂を含有してなる電子写真用トナーが開示されている。
特開2002−169331号公報 特開2006−154686号公報 特開2007−206540号公報
しかしながら、脂肪族多価アルコールを用いて得られた縮重合系樹脂は、低温定着性に優れるものの、保存性が不十分であり、また混練粉砕法のようにシェアをかけて添加剤を分散することができないケミカルトナーでは、離型剤の分散不良等による耐久性が悪化しやすい。
さらに、脂肪族多価アルコールを用いて得られる縮重合系樹脂を含む原料を水系媒体中で粒子化してトナーを製造する場合には、加水分解が起こり易く、保存性や耐ホットオフセット性が低下し易い。
本発明の課題は、耐加水分解性、低温定着性、耐ホットオフセット性、保存性及び耐久性に優れる電子写真用トナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂を含む原料を水系媒体中で粒子化する工程を含む方法により得られる電子写真用トナーであって、前記結着樹脂が、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含む複合樹脂を含有してなり、前記縮重合系樹脂が、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である、電子写真用トナーに関する。
本発明の電子写真用トナーは、耐加水分解性、低温定着性、耐ホットオフセット性、保存性及び耐久性に優れるという効果を奏するものである。
本発明は、結着樹脂を含む原料を水系媒体中で粒子化する工程を含む方法により得られる電子写真用トナーにおいて、結着樹脂が、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含む、複合樹脂を含有し、縮重合系樹脂が、少なくとも、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である点に特徴を有する。脂肪族多価アルコールを用いて得られる縮重合系樹脂は、一般的に使用されているビスフェノールAのアルキレンオキサイド等の芳香族多価アルコールを使用した場合と比較してエステル価が高くなる傾向があるため、紙との親和性の観点から低温定着性の向上に有効である一方で、分子骨格が柔らかく、分子量をあまり上げない状態ではガラス転移点が高くないため保存性の低下を招くと考えられる。しかしながら、本発明では、上記特定の構造を有する脂肪族多価アルコールを用いることにより、保存性を損なうことなく、低温定着性を向上させることが可能となった。これは、水酸基が結合する第二級炭素に結合しているアルキル基が分子の運動性を束縛するため、同程度の軟化点の樹脂と比べて、高いガラス転移点を有することがその要因の一つと推定される。さらに、水系媒体中でトナー粒子を形成する際にも、低分子量化が抑制されるため、良好な保存性及び耐ホットオフセット性を維持することができる。これは、上記特定の構造を有する脂肪族多価アルコールが末端にアルキル基を有するとともに、疎水性の高い、スチレン系樹脂とを有することにより、エステル基が保護され、縮重合系樹脂の耐加水分解性が向上し、低分子量化が抑制されるためと考えられる。また、耐久性が向上するのは、水酸基が結合した第二級炭素原子にアルキル基が隣接しているため、エステル基近傍の親水性を抑制するとともに、疎水性のスチレン系樹脂を含んでおり、離型剤等の添加剤の分散性が向上するためと推定される。
本発明において、縮重合系樹脂は、少なくとも、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを原料モノマーとして用いて得られる樹脂である。
アルコールAとしては、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール等が挙げられる。
アルコールAの炭素数は、エステル価を高くし、トナーの低温定着性を高めるとともに保存性も高める観点から、4〜8が好ましく、4〜5がより好ましく、4がさらに好ましい。また、樹脂の主鎖骨格をリジッドにして保存性を高める観点から、水酸基が結合した第二級炭素原子が互いに隣接した第二級炭素原子の組を1組以上有する脂肪族多価アルコールがより好ましい。これらの観点から、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール等の水酸基が結合した第二級炭素原子が互いに隣接した第二級炭素原子の組を1組以上有する、炭素数4〜8の脂肪族多価アルコールがより好ましい。
アルコールAの含有量は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、縮重合系樹脂のアルコール成分中、10〜100モル%が好ましく、12〜80モル%がより好ましく、25〜75モル%がさらに好ましい。
また、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させる際のアルコールAの使用量は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、縮重合系樹脂の原料モノマーである、アルコールA以外のアルコール成分及びカルボン酸成分の総量100重量部に対して、6〜100重量部が好ましく、10〜90重量部がより好ましく、15〜80重量部がさらに好ましい。
本発明においては、トナーの低温定着性の観点から、縮重合系樹脂のアルコール成分は、さらに、アルコールA以外の炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜6の脂肪族ジオール(アルコールB)を含有していることが好ましい。アルコールBとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、これらの中では、トナーの保存性の観点から、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール及び1,3-プロパンジオールが好ましい。
アルコールBの含有量は、トナーの低温定着性を高める観点から、アルコール成分中、0〜90モル%が好ましく、0.5〜90モル%がより好ましく、20〜88モル%がさらに好ましく、25〜75モル%がよりさらに好ましい。
また、アルコールA 1モルに対するアルコールBの含有量は、トナーの保存性及び低温定着性の観点から、10モル以下が好ましく、0.1〜5モルが好ましく、0.3〜3モルがより好ましい。
アルコールA及びアルコールB以外のアルコール成分としては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の、式(I):
Figure 0005209439
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、グリセリン等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
芳香族ジオールの含有量は、トナーの低温定着性の観点から、アルコール成分中、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、芳香族ジオールは実質的に用いないことが好ましい。ここで、実質的に用いないとは、含有量が、アルコール成分中、0モル%又は含有されていたとしても1モル%以下であることをいう。
また、縮重合系樹脂のカルボン酸成分としては、ジカルボン酸化合物又は3価以上の多価カルボン酸化合物を使用することができる。
ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。本発明において、上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体が挙げられる。
その他の酸として、ロジン;フマル酸、マレイン酸、アクリル酸等で変性されたロジン等が挙げられる。
本発明において、カルボン酸成分は、樹脂の分子量を上げ、トナーの低温定着性及び保存性を高める観点から、3価以上の多価カルボン酸化合物、好ましくはトリメリット酸化合物、より好ましくは無水トリメリット酸を含有していることが望ましい。3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量は、縮重合系樹脂のカルボン酸成分中、0.1〜30モル%が好ましく、1〜25モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、樹脂の分子量調整やトナーの耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合反応は、例えば、錫化合物、チタン化合物等のエステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、温度条件は、180〜250℃が好ましい。
錫化合物としては、例えば、酸化ジブチル錫が知られているが、本発明では、縮重合系樹脂中での分散性が良好である観点から、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn-O結合を有する錫(II)化合物、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn-O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ラウリル酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)、オレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);オクチロキシ錫(II)、ラウロキシ錫(II)、ステアロキシ錫(II)、オレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでR2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましい。
チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、総炭素数2〜28のアルケニルオキシ基又は総炭素数1〜28のアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
チタン化合物の具体例としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C37O)2〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C4102N)2(C37O)2〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C511O)2〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C25O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(OHC816O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C1837O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)(C37O)3〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6143N)3(C37O)〕等が挙げられ、これらの中ではチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが好ましく、これらは、例えばマツモト交商(株)の市販品としても入手できる。
他の好ましいチタン化合物の具体例としては、テトラ-n-ブチルチタネート〔Ti(C49O)4〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(C37O)4〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C1837O)4〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)4〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C817O)4〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C817O)2(OHC816O)2〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)2(C817O)2〕等が挙げられ、これらの中ではテトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート及びジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましい。これらは、例えばハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることができ、又は、ニッソー社等の市販品としても入手できる。
上記錫(II)化合物及びチタン化合物は、1種又は2種以上を併せて使用することができる。
エステル化触媒の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜2.0重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.2〜1.0重量部がさらに好ましい。
縮重合系樹脂としては、トナーの低温定着性の観点から、ポリエステル・ポリアミド等が挙げられるが、トナーの耐久性及び帯電安定性の観点からは、ポリエステルが好ましい。
アミド成分を形成するための原料モノマーとしては、公知の各種ポリアミン、アミノカルボン酸類、アミノアルコール等が挙げられる。
なお、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
一方、スチレン系樹脂は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体を含む原料モノマーを付加重合させて得られる樹脂である。
スチレン誘導体の含有量は、スチレン系樹脂の原料モノマー中、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
スチレン誘導体以外に用いられ得るスチレン系樹脂の原料モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸のエステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び/またはメタクリル酸を意味する。
これらの中では、低温定着性及び帯電安定性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、上記の観点から、1〜22が好ましく、8〜18がより好ましい。なお、該アルキルエステルの炭素数は、エステルを構成するアルコール成分由来の炭素数を言う。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。「(イソ又はターシャリー)」、「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方の場合を含むことを示す。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、トナーの低温定着性、保存性及び帯電安定性の観点から、スチレン系樹脂の原料モノマー中、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。
なお、スチレン誘導体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含む原料モノマーを付加重合させて得られる樹脂をスチレン−(メタ)アクリル樹脂ともいう。
スチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、重合開始剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件は、110〜200℃が好ましく、140〜170℃がより好ましい。
付加重合反応の際に用いられる有機溶媒としては、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。有機溶媒の使用量は、スチレン系樹脂の原料モノマー100重量部に対して、10〜50重量部程度が好ましい。
本発明における複合樹脂は、トナーの保存性、耐ホットオフセット性、及び耐久性の観点から、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含有していればよく、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂との混合物であってもよいが、縮重合系樹脂の原料モノマー及びスチレン系樹脂の原料モノマーを重合させることにより得られる樹脂が好ましい。かかる複合樹脂は、例えば、縮重合系樹脂の原料モノマーによる縮重合反応とスチレン系樹脂の原料モノマーによる付加重合反応とを並行して、又は順次、同一反応容器中で行うことにより得ることができる。縮重合反応と付加重合反応の進行及び完結は、時間的に同時である必要はなく、それぞれの反応機構に応じて反応温度及び時間を適当に選択し、反応を進行、完結させればよいが、縮重合反応と付加重合反応は同一反応容器中で行うことが好ましい。
本発明において、複合樹脂は、トナーの保存性、耐ホットオフセット性、及び耐久性を向上させる観点から、縮重合系樹脂の原料モノマーとスチレン系樹脂の原料モノマーに加えて、さらにそれらのいずれとも反応し得る化合物(両反応性モノマー)を用いて得られるハイブリッド樹脂であることが好ましい。従って、縮重合系樹脂の原料モノマー及びスチレン系樹脂の原料モノマーを重合させて複合樹脂を得る際に、縮重合反応と付加重合反応は、両反応性モノマーの存在下で行うことが好ましい。これにより、複合樹脂は、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とが部分的に両反応性モノマーを介して結合したハイブリッド樹脂となり、縮重合系樹脂成分中にスチレン系樹脂成分がより微細に、かつ均一に分散したものとなる。
両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及び/又はカルボキシル基、より好ましくはカルボキシル基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましく、このような両反応性モノマーを用いることにより、分散相となる樹脂の分散性をより一層向上させることができる。両反応性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましいが、反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸及びフマル酸がより好ましい。
両反応性モノマーの含有量は、縮重合系樹脂のアルコール成分とカルボン酸成分の総量中、1〜20モル%が好ましく、2〜15モル%がより好ましい。ここで、両反応性モノマーは、縮重合系樹脂の原料モノマーとして扱う。なお、本発明において、両反応性モノマーの含有量やアルコールA以外のアルコール成分とカルボン酸成分の総量に対するアルコールAの含有量等を算出する際、両反応性モノマーの量は、縮重合系樹脂の原料モノマーとしてアルコール成分及びカルボン酸成分の総量に含める。
複合樹脂の、具体的な製造方法としては、
(i) 縮重合反応を行う工程(A)の後に、付加重合反応を行う工程(B)を行う方法、
(ii) 縮重合反応を行う工程(A)の後に、付加重合反応を行う工程(B)を行い、工程(B)の後に、再度反応温度を上昇させ、必要に応じて架橋剤となる3価以上の縮重合系樹脂の原料モノマーを重合系に添加し、工程(A)の縮重合反応をさらに進める方法、
(iii) 付加重合反応に適した温度条件下で、縮重合反応を行う工程(A)と付加重合反応を行う工程(B)とを並行して行い、反応温度を前記条件下で保持して工程(B)を完結させた後、反応温度を上昇させ、必要に応じて架橋剤となる3価以上の縮重合系樹脂の原料モノマーを重合系に添加し、工程(A)の縮重合反応をさらに進める方法
等が挙げられる。(i)、(ii)の方法において、縮重合反応を行う工程(A)の代わりに、予め重合した縮重合系樹脂を用いてもよい。(iii)の方法において、工程(A)と工程(B)を並行して行う際には、縮重合系樹脂の原料モノマーを含有した混合物中に、スチレン系樹脂の原料モノマーを含有した混合物を滴下して反応させることもできる。
また、複合樹脂が両反応性モノマーを用いて得られるハイブリッド樹脂である場合、両反応性モノマーは、スチレン系樹脂の原料モノマーとともに用いることが好ましい。
なお、本発明において、複合樹脂は、ワックスの存在下で原料モノマーを重合して得られる樹脂であってもよい。
本発明においては、縮重合系樹脂のスチレン系樹脂に対する重量比、即ち縮重合系樹脂の原料モノマーのスチレン系樹脂の原料モノマーに対する重量比(縮重合系樹脂の原料モノマー/スチレン系樹脂の原料モノマー)は、連続相が縮重合系樹脂であり、分散相がスチレン系樹脂であることが好ましいことから、55/45〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましく、70/30〜90/10がさらに好ましい。
複合樹脂の軟化点は、トナーの低温定着性、保存性及び耐久性の観点から、90〜160℃が好ましく、95〜155℃がより好ましく、115〜150℃がさらに好ましい。ガラス転移点は、トナーの低温定着性、保存性及び耐久性の観点から、45〜85℃が好ましく、50〜80℃がより好ましく、58〜75℃がさらに好ましい。トナーの帯電性と環境安定性の観点から、酸価は、1〜90mgKOH/gが好ましく、5〜90mgKOH/gがより好ましく、5〜88mgKOH/gがさらに好ましい。
前記複合樹脂を結着樹脂として含む原料を水系媒体中で粒子化する工程を含む方法により、互いに相反する性能である低温定着性と保存性のいずれにも優れ、さらに耐ホットオフセット性及び耐久性に優れた電子写真用トナーが得られる。
本発明のトナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、前記複合樹脂以外の公知の結着樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂が併用されていてもよいが、前記複合樹脂の含有量は、全結着樹脂中、30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
本発明のトナーには、さらに、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、黒色顔料、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾイエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜8重量部が好ましく、0.5〜7重量部がより好ましい。
離型剤としては、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点から、60〜160℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、結着樹脂中への分散性の観点から、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、1〜7重量部がさらに好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、本発明に係る結着樹脂を含む原料を水系媒体中で粒子化する工程を含む方法により得られるものであれば、その製造方法は特に限定されず、例えば、(A)水系媒体中で予め結着樹脂の一次粒子を形成させた後、一次粒子を凝集・合一させる方法、(B)水系媒体中で予め結着樹脂の一次粒子を形成させた後、一次粒子を融着させる方法、(C)結着樹脂を含む原料を水系媒体中で分散させて、粒子化する方法等が挙げられる。
本発明においては、方法(A)が好ましく、結着樹脂を含有した原料を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液に、水性媒体を導入した後、有機溶媒を除去し、結着樹脂を含有した一次粒子の水分散液を得る工程(1)、及び該一次粒子を凝集、合一させる工程(2)を含む方法が好ましい。なお、方法(A)の他の具体例としては、結着樹脂を含有した一次粒子を、非イオン性界面活性剤の存在下、水系媒体中で生成させる工程(1’)、及び該一次粒子を凝集、合一させる工程(2)を含む方法がある。方法(B)の具体例としては、結着樹脂を溶解したラジカル重合性単量体溶液を乳化重合して樹脂微粒子を得、この樹脂微粒子を水系媒体中で融着させる方法(特開2001−42568号公報参照)、方法(C)の具体例としては、結着樹脂を含有した原料を加熱溶融し、結着樹脂の溶融状態を維持しながら、有機溶剤を含まない水性媒体中に分散し、次いで乾燥する方法(特開2001−235904号公報参照)等がそれぞれ挙げられる。
工程(1)は、結着樹脂を含有した原料を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液に、水性媒体を導入した後、有機溶媒を除去し、結着樹脂を含有した一次粒子の水分散液を得る工程である。
有機溶剤の使用量は、結着樹脂100重量部に対して、100〜1000重量部が好ましい。混合溶液に、水、さらに必要に応じ中和剤を混合し、攪拌した後、得られた分散体から有機溶剤を除去し、自己分散型樹脂の一次粒子水分散液を得ることができる。
水系媒体の使用量は、有機溶剤100重量部に対して、100〜1000重量部が好ましい。なお、方法(1)及び後述の工程(1’)に用いられる水系媒体は、有機溶剤等の溶剤を含有していてもよいが、水を好ましくは50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上含有するものである。
混合物を攪拌させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。中和剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等のアルカリ金属;アンモニア、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、及びトリブチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
また、結着樹脂を含有した一次粒子の分散液は、工程(1’)のように有機溶剤を使用せずに、分散液とすることもできる。
工程(1’)は、結着樹脂を含有した一次粒子を、非イオン性界面活性剤の存在下、水系媒体中で生成させる工程である。
工程(1’)の方法によれば、実質的に有機溶剤を用いることなく水のみを用いても結着樹脂を微粒化させることができる。
工程(1’)において、複合樹脂を含む結着樹脂と非イオン性界面活性剤とを混合することにより、有機溶剤を使用せずに、分散液とすることもできる。これは、混合物の粘度が低下し、結着樹脂を微粒化させることができるが、これは、非イオン性界面活性剤が結着樹脂に相溶し、混合物の粘度の低下が、樹脂の軟化点が見掛け上、低下することによるものである。この現象を利用して、非イオン性界面活性剤が相溶した結着樹脂の見かけ上の軟化点を水の沸点以下に下げることができ、樹脂単独では100℃以上の融点又は軟化点を有する結着樹脂でも、常圧で水を滴下することにより、結着樹脂が水中に分散した分散液を得ることができる。この方法は、少なくとも水と非イオン性界面活性剤があればよいため、有機溶剤に不溶な樹脂にも適用できる他、有機溶剤の回収や作業環境維持のための設備負担が不要であり、また機械的手段を利用する場合に必要とされる特別な装置も不要であるため、経済的に樹脂分散液を製造できるという利点も有する。
工程(1’)で用いられる非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルあるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類、ポリエチレングルコールモノラウレート、ポリエチレングルコールモノステアレート、ポリエチレングルコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。また、非イオン性界面活性剤にアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤を併用してもよい。
非イオン性界面活性剤としては、結着樹脂との相溶性のよいものを選択することが好ましい。安定な結着樹脂の分散液を得るためには、非イオン性界面活性剤のHLBは12〜20であることが好ましく、結着樹脂の種類によっては2種以上の異なるHLBの非イオン性界面活性剤を用いることがより好ましい。例えば、親水性が高い樹脂の場合は、HLBが12〜18の非イオン性界面活性剤を少なくとも1種用いればよいが、疎水性の高い樹脂の場合は、HLBの低いもの、例えばHLBが7〜10程度のものと、HLBの高いもの、例えばHLBが14〜20ものを併用して、両者のHLBの加重平均を12〜20に調整することが好ましい。この場合、主としてHLBが7〜10程度のものは樹脂を相溶化させることができ、HLBの高いものは水中での樹脂の分散を安定化させることができると推定される。
また、着色剤を使用する場合、非イオン性界面活性剤は、着色剤に吸着させることが好ましい。非イオン性界面活性剤のHLBを前記範囲に調整することにより、非イオン性界面活性剤が着色剤表面に吸着し易くなり、結着樹脂中で安定に存在させることができる。
非イオン性界面活性剤の曇点は、常圧、水中で結着樹脂を微粒化させる場合には、70〜105℃が好ましく、80〜105℃がより好ましい。
非イオン性界面活性剤の使用量は、結着樹脂の融点を下げる観点から、結着樹脂100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、トナーに残存する非イオン性界面活性剤を制御する観点からは、80重量部以下が好ましい。従って、これらを両立させる観点から、非イオン性界面活性剤の使用量は、結着樹脂100重量部に対して、5〜80重量部が好ましく、10〜70重量部がより好ましく、20〜60重量部がさらに好ましい。
工程(1’)において、結着樹脂を含有した一次粒子を、非イオン性界面活性剤の存在下、水系媒体中で生成させる際、系内の温度は、非イオン性界面活性剤の分散能及び分散効率の低下を防止する観点から、非イオン性界面活性剤の曇点から上下にそれぞれ10℃、好ましくは8℃、より好ましくは5℃の温度範囲内に保つことが望ましい。
工程(1’)では、例えば、結着樹脂及び非イオン性界面活性剤の混合物を攪拌し、系内に均一に混合した状態で、水系媒体(好ましくは、脱イオン水または、蒸留水)を滴下することが好ましい。なお、着色剤を使用する場合には、非イオン性界面活性剤と相溶した着色剤を含む結着樹脂が水と分離しないようにすることが好ましい。
工程(1’)における水系媒体の使用量は、続く工程で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜3000重量部が好ましく、400〜3000重量部がより好ましく、800〜3000重量部がさらに好ましい。
複合樹脂を含む結着樹脂を含有する一次粒子の粒径は、非イオン性界面活性剤の量、攪拌の程度、水の添加速度等により制御することができる。工程(1)において、少なくとも結着樹脂及び非イオン性界面活性剤を含有した混合物に、水系媒体を添加する速度は、均一な一次粒子を得る観点から、混合物100gあたり0.1〜50g/minが好ましく、0.5〜40g/minがより好ましく、1〜30g/minがさらに好ましい。
なお、結着樹脂がカルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する場合は、結着樹脂の全部もしくは一部を中和した後、又は中和しながら水を添加してもよい。結着樹脂に酸性基を有するものを用いる場合は、非イオン性界面活性剤の因子に加え、樹脂の自己乳化性が一次粒子の粒径の制御因子となる。
結着樹脂の溶融粘度及び融点の低下、並びに生成する一次粒子の分散性の向上を目的として、分散剤を用いることができる。分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩が挙げられる。分散剤の使用量は、乳化安定性及び洗浄性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
工程(1)又は工程(1’)により、得られた結着樹脂を含有した一次粒子(以下、単に一次粒子ともいう)の分散液の固形分濃度は、分散液の安定性と凝集工程での分散液の取扱い性の観点から、7〜50重量%が好ましく、より好ましくは7〜40重量%である。なお、固形分には、樹脂、非イオン性界面活性剤等の不揮発性成分が含まれる。
一次粒子の平均粒径は、続く工程で均一に凝集させる観点から、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.8μmがさらに好ましい。本発明において一次粒子の平均粒径とは、体積中位粒径(D50)を指し、レーザー回折型粒径測定機等により測定できる。
続いて、工程(1)で得られた一次粒子を、凝集、合一させる工程(工程(2))について説明する。
工程(2)において、工程(1)又は工程(1’)で得られた一次粒子を凝集させる凝集工程における系内の固形分濃度は、結着樹脂の分散液に水を添加して調整することができ、均一な凝集を起こさせるために、5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、5〜20重量%がさらに好ましい。
凝集工程における系内のpHは、混合液の分散安定性と、結着樹脂等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−70℃以上、軟化点以下が好ましい。
また、着色剤、荷電制御剤等の添加剤は、一次粒子を調製する際に結着樹脂に予め混合してもよく、別途各添加剤を水等の分散媒中に分散させた分散液を調製して、一次粒子と混合し、凝集工程に供してもよい。一次粒子を調製する際に結着樹脂に添加剤を予め混合する場合には、予め結着樹脂と添加剤とを溶融混錬することが好ましい。溶融混練には、オープンロール型二軸混練機を使用することが好ましい。オープンロール型二軸混練機は、2本のロールが並行に近接して配設された混練機であり、各ロールに熱媒体を通すことにより、加熱機能又は冷却機能を付与することができる。従って、オープンロール型二軸混練機は、溶融混練する部分がオープン型であり、また加熱ロールと冷却ロールを備えていることから、従来用いられている二軸押出機と異なり、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することができる。凝集剤としては、有機系では、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等、無機系では、無機金属塩、2価以上の金属錯体等が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。
凝集剤の使用量は、トナーの耐環境特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
続いて、前記凝集工程で得られた少なくとも結着樹脂を含有した凝集粒子を加熱して、合一させる(合一工程)。
合一工程における系内の温度は、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂の軟化点−50℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点−45℃以上、軟化点+10℃以下がより好ましく、軟化点−40℃以上、軟化点+10℃以下がさらに好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度が好ましい。なお、本発明において、結着樹脂として、2種類以上の樹脂を用いた場合は、混合樹脂の軟化点を結着樹脂の軟化点とする。
工程(2)により得られた合一粒子を、適宜、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、トナーを得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましい。また、添加した非イオン性界面活性剤も洗浄により完全に除去することが好ましく、非イオン性界面活性剤の曇点以下での水系溶液での洗浄が好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
トナーの表面には、外添剤が添加されていてもよい。外添剤としては、トナーには、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、樹脂微粒子等の有機微粒子等が挙げられ、これらの表面には疎水化処理が施されていてもよい。外添剤の添加量は、外添剤で処理する前のトナー粒子100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましい。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔分散体中の粒子の平均粒径〕
レーザー回折型粒径測定機(株式会社島津製作所製、SALD-2000J)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定する。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1〔樹脂A、B、D、F、G、I、J〕
表1、2に示す無水トリメリット酸以外のポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、230℃まで10時間かけて昇温を行った。その後、230℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、160℃まで冷却し、表1、2に示すスチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合溶液を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持したのち、210℃まで昇温し、8kPaにて1時間反応を行った。その後、表1、2に示す無水トリメリット酸を添加し、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ハイブリッド樹脂を得た。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
樹脂製造例2〔樹脂C〕
表1に示す無水トリメリット酸以外のポリエステルの原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃まで冷却し、表1に示すスチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合溶液を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持したのち、エステル化触媒を投入し、180℃まで昇温した後、230℃まで10時間かけて昇温を行った。その後230℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、210℃まで昇温し、その後、表1に示す無水トリメリット酸を添加し、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ハイブリッド樹脂を得た。
樹脂製造例3〔樹脂E〕
表1に示す無水トリメリット酸以外のポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、230℃まで10時間かけて昇温をおこなった。その後230℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、160℃まで冷却し、ワックスを投入した後、表1に示すスチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合溶液を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持したのち、210℃まで昇温し、8kPaにて1時間反応を行った。その後、表1に示す無水トリメリット酸を添加し、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ハイブリッド樹脂を得た。
樹脂製造例4〔樹脂H〕
表2に示すフマル酸及び無水トリメリット酸以外のポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、230℃まで10時間かけて昇温をおこなった。その後230℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、160℃まで冷却し、表2に示すスチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合溶液を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持したのち、表2に示す無水トリメリット酸、フマル酸及び重合禁止剤を投入し、4時間かけて210℃まで昇温し、その後、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ハイブリッド樹脂を得た。
樹脂製造例5〔樹脂K〕
表3に示す無水トリメリット酸以外のポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、235℃にて10時間反応を行った。その後235℃、8kPaにて1時間反応を行った後、210℃まで冷却し、表3に示す無水トリメリット酸を投入した。1時間常圧にて反応を行った後、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
樹脂製造例6〔樹脂L〕
表3に示す無水トリメリット酸以外のポリエステルの原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、230℃まで10時間かけて昇温を行った。その後230℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、210℃まで冷却後、表3に示す無水トリメリット酸を投入した。1時間常圧にて反応を行った後、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
Figure 0005209439
Figure 0005209439
Figure 0005209439
実施例1〜12及び比較例1〜3
〔樹脂分散液の調製〕
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた5L容の容器にメチルエチルケトン600gを投入し、表4に示す結着樹脂200gを室温にて添加し、溶解させた。得られた溶液に、トリエチルアミン10gを添加して中和し、続いてイオン交換水2000gを添加した後、250r/minの攪拌速度で、減圧下、50℃以下の温度でメチルエチルケトンを留去し、自己分散型の水系樹脂粒子分散液(樹脂含有量:9.6重量%(固形分換算))を得た。得られた樹脂分散体中に分散するポリエステル粒子(一次粒子)の平均粒径は0.3μmであった。
〔着色剤分散液の調製〕
銅フタロシアニン(大日精化社製)50g、非イオン性界面活性剤(エマルゲン150、花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:18.4、曇点:100℃以上)5g及びイオン交換水200gを混合し、銅フタロシアニンを溶解させ、ホモジナイザーを用いて10分間分散させて、分散した着色剤分散液を得た。
〔離型剤分散液の調製〕
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋(株)製、融点:85℃)50g、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王(株)製)5g及びイオン交換水200gを95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて、パラフィンワックスを分散させた後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、パラフィンワックスが平均粒径550nmで分散した離型剤分散液を得た。
〔荷電制御剤分散液の調製〕
荷電制御剤(ボントロンE-84、オリエント化学工業社製)50g、非イオン性界面活性剤(エマルゲン150、花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:18.4、曇点:100℃以上)5g及びイオン交換水200gを混合し、ガラスビーズを使用し、サンドグラインダーを用いて10分間分散させて、荷電制御剤が平均粒径500nmで分散した荷電制御剤分散液を調製したが、分散液中には粗大粒子の残留が観測された。
〔凝集工程〕
得られた樹脂粒子分散液490g、着色剤分散液20g、離型剤分散液15g、荷電制御剤分散液7g及びカチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王(株)製)2gを、丸型のステンレス製フラスコ中でホモジナイザーを用いて混合し、分散させた後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら48℃まで加熱した。さらに、48℃で1時間保持した後、平均粒径が6.0μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
〔合一工程〕
凝集粒子が形成された凝集粒子分散液に、アニオン性界面活性剤(ペレックスSS-L、花王(株)製)3gを添加した後、前記ステンレス製フラスコに還流管を装着し、攪拌を継続しながら、5℃/minの速度で80℃まで加熱し、5時間保持して、凝集粒子を合一し、融合させた。その後、冷却し、融合粒子をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、得られた着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は6.3μmであった。
〔表面処理工程〕
得られた着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(TS530、ワッカーケミー社製、個数平均粒子径:8nm)を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.5μmであった。
実施例13
〔樹脂分散液の調製〕
5リットル容のステンレス容器中で樹脂A 1300g、アニオン性界面活性剤(ネオペレックス G-15、花王社製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分15重量%))100g、非イオン性界面活性剤(エマルゲン430、花王社製、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO=26モル付加)、HLB:16.2、曇点:100℃以上)100g、及び5重量%水酸化カリウム水溶液689gをカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、25℃で分散させた。内容物を95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、2時間保持した。続いて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水を15g/minで滴下し、計2845gを添加した。この間、系の温度は95℃に保持し、冷却後、150メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂を含む樹脂分散液を得た。得られた樹脂分散液中の樹脂粒子(一次粒子)の平均粒径は0.15μm、固形濃度は31重量%、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
〔着色剤分散液の調製〕
銅フタロシアニン(大日精化社製)50g、非イオン性界面活性剤(エマルゲン150、花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:18.4、曇点:100℃以上)5g及びイオン交換水200gを混合し、銅フタロシアニンを溶解させ、ホモジナイザーを用いて10分間分散させて、分散した着色剤分散液を得た。
〔離型剤分散液の調製〕
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋(株)製、融点:85℃)50g、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王(株)製)5g及びイオン交換水200gを95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて、パラフィンワックスを分散させた後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、パラフィンワックスが平均粒径550nmで分散した離型剤分散液を得た。
〔荷電制御剤分散液の調製〕
荷電制御剤(ボントロンE-84、オリエント化学工業社製)50g、非イオン性界面活性剤(エマルゲン150、花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:18.4、曇点:100℃以上)5g及びイオン交換水200gを混合し、ガラスビーズを使用し、サンドグラインダーを用いて10分間分散させて、荷電制御剤が平均粒径500nmで分散した荷電制御剤分散液を調製したが、分散液中には粗大粒子の残留が観測された。
〔凝集工程〕
得られた樹脂粒子分散液490g、着色剤分散液20g、離型剤分散液15g、荷電制御剤分散液7g及びカチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王(株)製)2gを、丸型のステンレス製フラスコ中でホモジナイザーを用いて混合し(pH=7)、分散させた後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら48℃まで加熱した。さらに、48℃で1時間保持した後、平均粒径が6.0μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
〔合一工程〕
凝集粒子が形成された凝集粒子分散液に、アニオン性界面活性剤(ペレックスSS-L、花王(株)製)3gを添加した後、前記ステンレス製フラスコに還流管を装着し、攪拌を継続しながら、5℃/minの速度で80℃まで加熱し、5時間保持して、凝集粒子を合一し、融合させた。その後、冷却し、融合粒子をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、得られた着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は6.3μmであった。
〔表面処理工程〕
得られた着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(TS530、ワッカーケミー社製、個数平均粒子径:8nm)を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は6.9μmであった。
試験例1〔耐加水分解性〕
表4に示す各実施例及び比較例で使用する結着樹脂1.0gを、100ml容のナスフラスコに入れ、そこに0.1mol/Lの水酸化カリウムのメタノール溶液を20ml添加し、さらに蒸留水20mlを添加したものを90℃の湯浴にて5時間加熱した。5時間加熱終了後、0.1mol/L塩酸により中和した後、溶媒を取り除き、残った樹脂を乾燥させた。得られた樹脂のガラス転移点(Tg)を測定し、試験前後のTgを比較し、以下の評価基準に従って、耐加水分解性を評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
A:試験前後でのTgの温度差が1℃未満
B:試験前後でのTgの温度差が1℃以上3℃未満
C:試験前後でのTgの温度差が3℃以上6℃未満
D:試験前後でのTgの温度差が6℃以上
試験例2〔低温定着性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着画像を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)を用い、定着ロールの温度を100℃から240℃へと10℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着画像の定着試験を行った。定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ロールに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ロールの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。結果を表4に示す。なお、定着試験に用いた紙は、シャープ(株)製のCopyBond SF-70NA(75g/m2)であった。
〔評価基準〕
A:最低定着温度が140℃未満である。
B:最低定着温度が140℃以上、160℃未満である。
C:最低定着温度が160℃以上である。
試験例3〔耐ホットオフセット性〕
試験例2において、定着ロールの温度を90℃から240℃へと順次上昇させた際に、最初にオフセットが確認される温度を目視により判断し、以下の評価基準により、耐ホットオフセット性を評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
A:ホットオフセット発生温度が220℃以上
B:ホットオフセット発生温度が200℃以上、220℃未満
C:ホットオフセット発生温度が180℃以上、200℃未満
D:ホットオフセット発生温度が180℃未満
試験例4〔保存性〕
20ml容の容器(直径約3cm)にトナー4gを入れ、温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、保存性を評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
A:48時間後及び72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後ではわずかに凝集が認められる。
C:48時間後で凝集は認められないが72時間後では明らかに凝集が認められる。
D:48時間以内で凝集が認められる。
試験例5〔耐久性〕
非磁性一成分現像方式「OKI Microline 18」(沖データ社製)の装置にトナーを実装し、温度32℃、湿度85%の条件下にて、黒化率5.5%の斜めストライプのパターンの耐刷を行った。途中、500枚ごとに黒ベタ画像を印字し、画像上のスジを確認した。画像上にスジが目視にて観察された時点までの印字枚数を耐刷枚数とし、以下の基準に従って耐久性を評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
A:耐刷枚数が5000枚以上
B:耐刷枚数が2000枚以上、5000枚未満
C:耐刷枚数が2000枚未満
Figure 0005209439
以上の結果より、実施例1〜13のトナーと対比して、アルコールA以外の脂肪族多価アルコールを使用したハイブリッド樹脂を含有した比較例1のトナーは、耐久性は良好であるものの、その他の性能に欠けていることが分かる。また、アルコールAを使用せず芳香族多価アルコールを使用したポリエステルを含有した比較例2のトナーは、いずれの性能も不十分であり、アルコールA以外の脂肪族多価アルコールを使用したポリエステルを含有した比較例3のトナーは、低温定着性は良好であるものの、その他の性能に欠けていることが分かる。
本発明の電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられる。

Claims (6)

  1. 結着樹脂を含む原料を水系媒体中で粒子化する工程を含む方法により得られる電子写真用トナーであって、前記結着樹脂が、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含む複合樹脂を含有してなり、前記縮重合系樹脂が、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である、電子写真用トナー。
  2. アルコールAが、水酸基が結合した第二級炭素原子が互いに隣接してなる第二級炭素原子の組を1組以上有する、炭素数が4〜8の脂肪族多価アルコールである、請求項1記載の電子写真用トナー。
  3. アルコールAの含有量が、アルコール成分中、10〜100モル%である、請求項1又は2記載の電子写真用トナー。
  4. アルコール成分が、さらに、アルコールA以外の炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有してなる、請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナー。
  5. カルボン酸成分が、3価以上の多価カルボン酸化合物を0.1〜30モル%含有する請求項1〜4いずれか記載の電子写真用トナー。
  6. アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させる際のアルコールAの使用量が、アルコールA以外のアルコール成分及びカルボン酸成分の総量100重量部に対して、6〜100重量部である、請求項1〜5いずれか記載の電子写真用トナー。
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